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JP3555804B2 - アダプティブアンテナ装置 - Google Patents
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JP3555804B2 - アダプティブアンテナ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は例えば移動通信の基地局に用いられ、移動端末のそれぞれに適した指向特性を適応的に与えることを可能とするアダプティブアンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9に従来のアダプティブアンテナ装置を示す。これは4つのアンテナ素子11〜11を備えた場合であり、アンテナ素子11〜11よりの各受信信号はそれぞれダウンコンバータ12〜12で中間周波信号に変換され、これら中間周波信号はそれぞれ復調器13〜13でそれぞれ複素ベースバンド信号、つまりI信号とQ信号に復調され、これら各復調出力はA/D変換器14〜14でデジタル信号に変換され、その各デジタル信号はそれぞれチャネル分離回路15〜15で各チャネルこの例ではNチャネルに分離され、これら分離された第1〜第Nチャネルの復調デジタル信号はN個のアダプティブプロセッサ16〜16へ供給されるアダプティブプロセッサ16〜16においてはそれぞれ当該チャネルについての4つのアンテナ素子11〜11からの受信信号の復調信号を入力して、アダプティブ(適応)処理を行って当該チャネルの受信出力が最適になるように処理され、その各アダプティブプロセッサ16〜16よりの処理結果が各ベースバンド信号としてそれぞれ出力端子17〜17を通じて図に示していない対応ベースバンド回路へ供給される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来においては各チャネルごとにアダプティブプロセッサを設け、これに当該チャネルについての全てのアンテナ素子よりの信号を入力する必要があった。
アダプティブプロセッサ16〜16はデジタル回路であるため、高周波信号を直接処理することができず、ダウンコンバータ12〜12により周波数を下げ、更に復調器13〜13で復調し、A/D変換器14〜14でデジタル信号に変換する必要があり、各アンテナ素子ごとにダウンコンバータ、復調器、A/D変換器、チャネル分離回路を必要とし、アダプティブプロセッサは各チャネルについて並列処理が必要であり、チャネル数を必要とする。これらのためハードウェアの規模が大きなものとなる欠点があった。またアダプティブプロセッサはそれぞれ全アンテナ素子の信号を入力として数値処理してパターンを決定するため、処理が複雑で、かつプロセッサの規模も大形化する欠点があった。
【0004】
上述では受信用のアダプティブアンテナ装置について述べたが、従来の送信用アダプティブアンテナ装置も図中のダウンコンバータがアップコンバータになり、復調器が変調器になり、チャネル分離回路がチャネル合成回路になるだけであり、同様の問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば、K個のアンテナ素子少なくともK−1個に、各チャネルごとに振幅及び位相を制御できる重み制御器が接続され、K個のアンテナ素子は重み制御器を介して合成/分配器に接続され、受信の場合は合成され、送信の場合は分配され、合成/分配器に周波数変換器が接続され、受信の場合はダウンコンバートされ、送信の場合はアップコンバートされ、この周波数変換器に変/復調器が接続され、受信の場合は復調され、送信の場合は変調され、変/復調器はA−D変換器に接続され、受信の場合はデジタル信号に変換され、送信の場合はアナログ信号に変換され、A−D変換器はチャネル分離/合成回路に接続され、受信の場合は各チャネルのベースバンド信号に分離され、送信の場合は各ベースバンド信号が合成され、各種の放射パターン波形のデータがパターンデータベースに格納され、アダプティブプロセッサが、データベースよりパターンデータを取出し、前記重み制御器にチャネルごとに振幅、位相データとして設定して、その時の受信電力、S/N,D/U(非干渉波/干渉波)などの値に応じてパターンデータを制御して、各チャネルごとに適切な放射パターンに設定する。
【0006】
【発明の実施の形態】
実施例1
図1にこの発明の第1実施例を示し、図7と対応する部分に同一符号を付けてある。この例も4つのアンテナ素子11〜11を用いた場合である。アンテナ素子11の受信信号は高周波合成回路21へ直接供給されるが、他のアンテナ素子11〜11の各受信信号はそれぞれ重み制御器22〜22を通じて高周波合成回路21へ供給される。高周波合成回路21の合成出力はダウンコンバータ12により中間周波信号に変換され、その中間周波信号は復調器13で複素ベースバンド信号に復調され、その復調出力はA/D変換器14でデジタル信号に変換され、そのデジタル信号はチャネル分離回路15でN個のチャネルに分離されてアダプティブプロセッサ16へ供給され、アダプティブプロセッサ16から各チャネルのベースバンド信号が出力端子17〜17を通じて図に示していない対応ベースバンド回路へ供給される。
【0007】
アダプティブプロセッサ16はパターンデータベース23から各種アンテナ指向性パターンが読出され、これに応じて制御線24を通じて重み制御器22〜22の重みを各チャネルごとに制御して、適切なパターンを設定する。
重み制御器22は例えば図2に示すように構成されている。これは周波数分割多元接続(FDMA)信号に適用した場合で入力端子25を通じてアンテナ素子11よりの受信信号が入力され、帯域通過フィルタ26〜26で各チャネルf〜fごとの信号に分離され、フィルタ26〜26よりの各チャネルf〜fの信号は可変移相器27〜27をそれぞれ通じ、更に可変減衰器28〜28をそれぞれ通じて出力端子29へ供給される。出力端子29で各チャネルの信号が合成されて図1中の合成回路21へ供給される。可変移相器27〜27の移相量、可変減衰器28〜28の減衰量はそれぞれ制御端子31〜31よりの制御信号により制御される。各制御端子31〜31による対応する移相量の設定制御、減衰量の設定制御は、それぞれ多重化されて入力された制御信号を分離して行ってもよく、あるいは制御端子31〜31としてそれぞれ移相制御用と減衰制御用との各一対づつ設けてそれぞれの制御を行ってもよい。図1中の制御線24は各重み制御器22〜22ごとに設けられ、かつ、重み制御器22に対するその制御線24は制御端子31〜31ごとに設けられ、又は多重伝送路が設けられ、多重化された各制御信号が制御端子31〜31に分離供給するようにされる。重み制御器22,22も重み制御器22と同様の構成とされている。
【0008】
図1中のパターンデータベース23に格納されている各種指向性パターンは重み制御器22,22,22にそれぞれ設定すべき移相量及び減衰量として蓄えられている。例えば図3Aに示すように指向性パターン形状A,B,C・・・に応じて重み制御器22,22,22にそれぞれ設定すべき振幅(減衰量)/位相(移相量)が蓄えられている。
【0009】
図1中のアダプティブプロセッサ16は各チャネルf〜fの各1つごとにパターンデータベース23から各パターンのデータを適当に順次取出して重み制御器22〜22に重みをそれぞれ設定して、そのベースバンド出力が適切なものになるようにする。
移動機−基地局間の信号のやりとりとパターン形状の選定アルゴリズムの具体例を図4に示す。
【0010】
基地局は定常状態では自局サービスエリア(ゾーン、セル)内では一様な放射パターンとする。この例では360°を120°ずつの3つのセクタに分割して各セクタごとに制御する場合で、図4では1つのセクタ32を示し、そのセクタ32の全体をカバーする放射パターン(定常パターン)33が得られるように重み制御器22〜22の各重みが設定されている。
【0011】
このセクタ32内の移動機34が発呼要求し、移動機34と基地局との間で通話開始までの間制御信号のやりとり、つまり回線接続処理が行われる。この回線接続処理の間に、アダプティブプロセッサ16はパターンデータベース23からパターンを1つずつ取出し、その移相量、及び減衰量を重み制御器22〜22のその回線接続処理に用いられているチャネル(例えばf)と対応する各可変移相器27、各可変減衰器28にそれぞれ設定し、図4では放射パターンを例えばパターン波形Cのパターン33とし、その時の受信電力、S/N、D/U(Disier/Undisier:非干渉率)などを調べ、次々とパターンデータベース23中の各パターンと対応した重みを重み制御器22〜22に設定し、その都度、受信電力、S/N、D/Uなどを調べ、試行錯誤的に最も適切なパターンを選択し、つまり図4中に示すように指向方向(主ビーム方向)が移動機34に向いたパターン33が使用パターンとして決定される。なおアダプティブプロセッサ16内で現在パターン制御しているチャネルf、(第1チャネル)の受信電力を検出し、つまりチャネル分離回路15でその入力をその制御しているチャネルの出力端に出力しその受信電力を検出し、また出力端子17〜17よりの各ベースバンド信号が供給される図示していない各ベースバンド処理回路のチャネルfに対するものでI、Qベースバンド信号から元データ系列が再生されるが、この再生出力からS/N、D/Uを求めて、端子30よりアダプティブプロセッサ16に入力され、これら受信電力、S/N、D/Uの各値にもとづき前記パターン選択処理がなされる。他のチャネルについてパターン選択を行なっている時は、対応するチャネルのベースバンド処理回路よりのS/N、D/Uが端子30よりプロセッサ16へ入力される。
【0012】
このパターン33が初期となって、移動機は基地局を通じる通話を開始し、通話開始後は、この初期パターン33に対し、その左右にわずかずれたパターンを周期的に設定して、つまり初期パターン33を左、右にわずか変化させて受信電力、S/N、D/Uなどの調査を行い、移動機34に対し常に最適なパターン形状を維持するようにする。初期パターンの選択は非常に短時間で行う必要があるが、パターンの初期値が決まると、このパターン形状の更新は短時間で行う必要はない。それは携帯機の場合は基地局から見た移動機34の動きは比較的狭い角度でかつ穏やかな変化であり、携帯機がパターンの主ビームから急激にはずれたり、干渉源の方向がパターンヌルから急に外れたりする可能性は少ないからである。従ってパターンの更新は1秒程度でも現実には十分であり、アダプティブプロセッサ16は余り速い演算速度は要求されず、かつ並列処理などもする必要はない。移動機34の通話が終了し、回線切断処理をすると、そのチャネルfの放射パターンは定常パターン33にする。
【0013】
一方、他のエリアで別の携帯機が発呼して同一周波数を使用することになった場合、移動機34に対する干渉源が突然発生することになるので、このアルゴリズムではこの基地局で対応することはできない。しかしこの干渉源となる移動機はこの移動機34及び基地局間の電波が干渉となるため、これが干渉とならないパターンを成形するように動作し、干渉源となる移動機に接続する基地局が本移動機34方向に対してヌルを作ることになる。従ってこのアルゴリズムでも総合的には十分な干渉抑圧効果が得られる。ただしこのアルゴリズムではフェージングなどの瞬時変動には対応できないので、他にダイバーシチ化などの対策が必要となる。セクタ32内で他の移動機からの発呼要求が生じれば、他のチャネル、例えばfを用いて同様の処理を行う。このようにしてチャネルf〜fのそれぞれに対し、1つの重み制御器に対する移相量、減衰量の各設定値は例えば図3Bに示すようになる。この例では各チャネル内で平坦な特性としたが、所望の特性に近い曲線としてもよい。
【0014】
このアルゴリズムにおいて試行放射パターンを選択するにあたり、アダプティブプロセッサ16に学習機能を持たせることも非常に有効である。基地局は、その設置場所、周囲環境により放射パターンはある限られた形状のみで済むことも多い。また干渉などもいつも決まった方向(基地局)から来ることも多い。従って、アダプティブプロセッサ16が過去の経緯を記憶しておき、最も頻繁に発生する干渉や呼に対して適切な形状の放射パターンをまず初期値として選択する機能を持たせるだけでもかなり処理量が少なくなる。さらに、周辺基地局の状況、時間帯や日、気温や交通量などの情報を取り込みながら放射パターンとの相関をとることで、より確実な放射パターンを短時間で選択出来るようになる。また、あらかじめ、ある場所で集中的な呼の発生が予測される場合には、人為的にその方向へビームが向く放射パターンの優先順位を上げておくことも有効である。
【0015】
さらに、パターン形状に曖昧さを持たせることも有効となる。すでに述べたように、任意の基地局において干渉、呼ともある程度集中する方向が存在すると考えられるが、一方これらは必ずしも1点で集中するものでは無く、ある確率で集中する。このことから、放射パターンもある確率でそのパターンとすることも良いと考えられる。従って、ファジー的なパターン形状決定も現実においては有効である。
【0016】
従って、効率的なアダプティブ処理が可能となり、処理速度のあまり早くないプロセッサを用いて高い効果を得ることが出来るので、このような構成とすることによりさらに簡易な構成で高い周波数利用効率を得ることが出来る。
上述においては1つの放射パターンとして、主ビーム方向とヌル方向が同時に最適になるものを選択したが、主ビーム方向と、ヌル方向とを走査により決定するようにすることもできる。図5に図4と対応する部分に同一符号を付けて示すように、この場合も基地局は通常はセクタ32の全体をカバーする定常パターン33を放射しており、移動機34からの発呼要求を受けると、アダプティブプロセッサ16はパターンデータベース23から主ビーム36の方向をステアリング(回動)させるためのデータをパターンデータベース23から取出してセクタ32の一縁から他縁に主ビーム方向を回動させ、所望信号が最大となるように、主ビーム36の方向を決定する。次にヌルをもつ放射パターン37のヌル方向をステアリングさせるデータをパターンデータベース23から取出してセクタ32の一縁から他縁にヌル方向を回動させ、D/Uが最小となるようにパターン37のヌル方向を決定する。ヌル方向の決定を先に行った後、主ビーム方向の決定を行ってもよい。何れにしても、その決定した両者のデータを掛け合わせて通話開始時のパターン初期値とする。このように主ビーム方向と、ヌル方向とをそれぞれ1次元で1回ずつ走査すれば良いので、所望のパターンを高速に成形(設定)することができる。その他については図4に示した場合と同様である。
【0017】
更に高速な処理を行うにはアンテナ素子11〜11中で主ビーム成形用と、ヌル成形用とに予め分けておくと有効である。例えば図6Aに示すように4つのアンテナ素子11〜11中の中央の2つのアンテナ素子11及び11により単指向性ビーム41の成形に用い、図6Bに示すように両端のアンテナ素子11及び11を交差指向性パターン(ヌルパターン)42の成形に用いる。これらのパターンデータとしては例えば図7Aに示すように単指向性ビーム41の方向を0度、10度、20度・・・と10度ごとに、重み制御器22及び22の各可変移相器、各可変減衰器に設定すべきデータがデータベースに格納される。この例では単指向性ビームパターン41として互いに半値幅が異なるものを3種類用意し、状況に応じてその1つのパターンを選択してその順次0度方向、10度方向・・・120度方向のデータを読出して重み制御器22,22にそれぞれ設定して、その単指向性ビーム42の方向を例えば図において左から右へ回動させる。この時所望信号が最大となる方向を決定する。
【0018】
同様にヌル方向の走査のため図7Bに示すように0度、10度・・・120度に対する振幅(減衰量)/位相(移相量)の各データが3つづつ格納されている。この3つのヌルパターンの1つを選び、これについて順次0度方向、10度方向・・・120度方向、データを読出して重み制御器22に設定することによりヌルパターン42のヌル方向が例えば0度方向から10度づつ120度方向に回動する。この時、D/Uが最小となる方向を決定する。これら決定された方向が図6A,Bにそれぞれ示した方向となった場合、これらの合成パターンは図6Cに示すパターンとなり、その主ビーム36の方向が移動機34方向にヌル方向が干渉源の方向となる。従ってこの場合は非常に効率的なアダプティブ処理が可能となり、処理速度がそれ程速くないプロセッサでも使用できる。
【0019】
上述ではこの発明をFDMA(周波数分割多元接続)方式に適用したが、TDMA(時分割多元接続)方式にも適用できる。その場合、各重み制御器22〜22において、受信信号チャネルごとにフィルタで分離される代りに、各チャネルのタイムスロットごとに、可変移相器27、可変減衰器28がそれぞれそのチャネル(タイムスロット)を利用している移動機の方向や干渉源に応じて設定制御される。つまり図3Bにおいて横軸が周波数ではなく時間(タイムスロット)とすればよい。またチャネル分離回路15もタイムスロットに応じ各チャネル出力端への切替えが行なわれる。更にFDMA−TDD(時間分割同時送受話)方式にも、前記FDMA方式の場合とTDMA方式の場合とを組合せることにより同様にこの発明を適用できる。
【0020】
次に図1と同じアンテナ構成として、スペクトラム拡散形のマルチプルアクセス方式、例えばCDMA方式を用いる場合にこの発明を適用した例を示す。この場合、各アンテナ素子に接続されている重み制御器の重みの値を以下のように、若干の前計算をすることで実現出来る。
すなわち、拡散コードの行をチャネル、列を周波数とした正方行列をC、各チャネルにおいて適切な重み行列をXn (n=1〜K、K:アンテナ素子数)とした時、各アンテナ素子に接続された各重み制御器にかける周波数をパラメータとした重みW1〜WK(K:アンテナ素子数)は以下である。
【0021】
Wn =C−1・Xn ・C (n=1〜K) …(1)
【0022】
【数2】
Figure 0003555804
【0023】
Nはチャネル数、Kはアンテナ素子数、Fはシステム帯域内の周波数分割数である。
これにより、スペクトラム拡散方式のマルチプルアクセス方式、例えばCDMA方式を用いている場合においても、各アンテナ素子においてRF回路でパターン成形処理を行えるため、簡易な構成で高い周波数利用効率を得ることが出来る。
【0024】
式(1)の説明を以下にする。スペクトラム拡散方式では拡散コードで信号を拡散し、広い帯域を有する信号として、同一帯域に多重化をして送信する。従って、受信においては逆拡散を行って信号に変換する。拡散コードは各チャネルごとで、周波数をパラメータとしてコード表が決定されている。まずアンテナ素子の1つについて考える。n番目のアンテナ素子の出力信号をAn、拡散コード群をCとするとこのアンテナ素子から出力されるチャネル信号Snは以下で表される。
【0025】
Sn =C・An (n=1〜K) …(2)
【0026】
【数3】
Figure 0003555804
【0027】
アンテナ素子11〜11から出力された各チャネル信号S1〜SKにそれぞれ重みX1〜XKをかけて、各チャネルごとに適切な放射パターンとすると、その時のチャネル信号Zは以下で表される。
Z=X・S+X・S+……+XK・SK …(3)
【0028】
【数4】
Figure 0003555804
【0029】
である。
(3)式に(2)式を代入すると以下の式となる。
Z=X・C・A+X・C・A+……+XK・C・AK …(4)
ここで、行列Cを正方行列(N=F)とし、すなわち、所望帯域幅をチャネル数と同じ数で分割することとする。これにより、Cは正方行列となるので、逆行列が存在することになる。(4)式の両辺にC・C−1(=E)をかけると
Z=C・C−1・X・C・A+C・C−1・X・C・A+……+C・C−1・XK・C・AK …(5)
Cでくくると
Z=C・(C−1・X・C・A+C−1・X・C・A+……+C−1・XK・C・AK) …(6)
ここで、C−1・X・C・A+C−1・X・C・A+……+C−1・XK・C・AK=ASと置くと(6)式は以下のようになる。
【0030】
Z=C・AS …(7)
これは、ASという信号を拡散することで、所望の信号Zが得られることを示している。一方、ASは以下のように表される。
AS=(C−1・X・C)・A+(C−1・X・C)・A+……+(C−1・XK・C)・AK …(8)
式(8)は各アンテナ素子の出力AnにC−1・Xn ・C(n=1〜K)をかけることを意味しており、これは各アンテナ素子の出力A1〜AKにそれぞれ与える重みW1〜WKを示している。従って、重みW1〜WKは以下の式で表されることとなり、式(1)が導出される。
【0031】
Wn =C−1・Xn ・C (n=1〜K)
具体的な重みWn は、前記実施例と同様に、周波数をチャネル数に分割して所望の位相・振幅特性を持つ必要がある。すなわち、この場合も、図3Bに示したように、周波数軸で離散的な値となり、一例として、図2に示した回路でも十分に実現が出来る。
【0032】
また、式(1)は行列計算となるが、このアンテナ装置ではパターンデータベース23を用いているので、あらかじめ所望のパターンを実現する各アンテナ素子の重みを式(1)まで含めて計算し、その結果のみをデータベース23に入れておけば良い。放射パターンの更新を頻繁に行わず、図4を参照して説明したように例えば1秒に1回程度とすれば、式(1)を計算する計算時間は十分ある。従って、スペクトラム拡散方式を用いたシステムにおいてこの発明を適用したアダプティブアンテナ装置を用いた場合でも、処理時間が大幅に増大することは無い。
【0033】
すなわち、既に述べたように、スペクトラム拡散方式のマルチプルアクセス方式、例えばCDMA方式を用いてもアンテナ装置の構成は図1と全く変わらない。
さらに、図5について説明したアルゴリズムを用いることも、パターンステアリング、ヌルステアリングを行う重みを式(1)まで含めて計算してパターンデータベース23に入れるのみで良いので、全く問題無い。
【0034】
従って、スペクトラム拡散方式のマルチプルアクセス方式、例えばCDMA方式を用いている場合においても、各アンテナ素子においてRF回路でパターン成形処理を行えるため、簡易な構成で高い周波数利用効率を得ることが出来る。
また、以上の各実施例では、受信している場合を例として説明したが、この発明のアンテナ装置を送信として用いることもできる。この場合は移動機から受信電力、S/N、D/Uなどを基地局へ通知してもらい、その結果に応じてパターン波形の選択、ビーム方向走査時の最大出力方向の決定、ヌル方向走査時の最大D/Uの方向の決定、更にパターン波形の更新を行う。つまり図8に示すように送信側に用いる時は、図1におけるアダプティブプロセッサ16には端子51〜51から各チャネルの送信すべきベースバンド信号がチャネル合成回路53に入力されて合成される。また移動機24から送られて来た受信電力、S/N、D/Uなどの情報が端子52よりアダプティブプロセッサ16に入力される。チャネル合成回路53で合成された合成信号はD/A変換器54でアナログ信号に変換され、その各シンボルごとの二系列のデータとされ、変調器55で搬送波が直交変調され、その変調出力はアップコンバータ56で送信電波の搬送周波数に変換され、その変換出力は分配器57で、この例では4分配され、その1つは直接アンテナ素子11へ供給され、残りの3つの信号はそれぞれ重み制御器22〜22を通じてアンテナ素子11〜11へ供給される。アダプティブプロセッサ16により、移動機よりの情報にもとづきパターンデータベース23よりのパターンデータを取出し、重み制御器22〜22を制御する手法は受信装置の場合と同様である。
【0035】
このようにこの発明では受信アンテナ装置にも送信アンテナ装置にも適用できるものであるから、対応する処理手段によって合成器11と分配器57を分配/合成器と、ダウンコンバータ12とアップコンバータ56を周波数変換器と、復調器13と変調器55を変/復調器と、A/D変換器14とD/A変換器54をA−D変換器と、チャネル分離回路15とチャネル合成回路53をチャネル分離合成回路とそれぞれ称する。
【0036】
上述において重み制御器22〜22において減衰量を制御する代りに増幅器の利得を制御してもよい。更にアンテナ素子の数は4つに限られず、任意の数とすることができる。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば周波数変換器、変/復調器、A−D変換器、アダプティブプロセッサを全チャネルに共通に用いられ、これらを各チャネルごとに用いた従来技術と比較して構成が著しく簡単となる。
パターンデータの取出しに学習機能を付けることにより少ない処理で適切なパターンに設定することができる。
【0038】
また主ビームの方向の決定と、ヌル方向の決定とを異なるアンテナ素子を用い、これらを別個に決定することにより処理が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を受信装置に適用した実施例を示すブロック図。
【図2】図1中の重み制御器22の具体例を示すブロック図。
【図3】Aは図1中のパターンデータベースの格納データの例を示す図、Bは重み制御器22における各チャネルに対する減衰量、位相量の設定状態の例を示す図である。
【図4】移動機と基地局間の信号状態と、これと対応する基地局アンテナパターンの変更アルゴリズムの例を示す図。
【図5】移動機と基地局間の信号状態と、これと対応する基地局アンテナパターンの変更アルゴリズムの他の例を示す図。
【図6】Aは主ビームの最適化を示す図、Bはヌル最適化を示す図、CはA,Bの合成パターンを示す図である。
【図7】パターンデータベース内の他のデータ例を示す図。
【図8】この発明を送信側装置に適用した例を示すブロック図。
【図9】従来のアダプティブアンテナ装置を示すブロック図。

Claims (4)

  1. K個(Kは2以上の整数)のアンテナ素子と、
    これらK個のアンテナ素子の少くとも(K−1)個にそれぞれ接続され、そのアンテナ素子の送受信信号の振幅、位相を制御することができる重み制御器と、
    上記K個のアンテナ素子と上記重み制御器を介して接続された合成/分配器と、
    その合成/分配器と接続された周波数変換器と、
    その周波数変換器と接続された変/復調器と、
    その変/復調器と接続されたA−D変換器と
    そのA−D変換器と接続されたチャネル分離/合成回路と、
    そのチャネル分離/合成回路と接続された共通のアダプティブプロセッサと、
    上記複数のアンテナ素子が成形する放射パターンの各種のデータが格納されたパターンデータベースと、
    上記各重み制御器と上記パターンデータベースと接続されたアダプティブプロセッサとを備え、
    上記アダプティブプロセッサは上記パターンデータベースよりのパターンデータを読出して上記重み制御器に各チャネルごとに設定し、その設定を受信電力、S/N、D/U(非干渉波/干渉波)などにより各チャネルごとに適切な放射パターンが得られるようにする手段を有し、
    上記各チャネルは周波数分割の多元接続のチャネル周波数帯域であり、上記重み制御器のそれぞれはその各チャネル周波数帯域ごとにそれぞれ分離して振幅及び位相が制御される構成となっていることを特徴とするアダプティブアンテナ装置。
  2. K個(Kは2以上の整数)のアンテナ素子と、
    これらK個のアンテナ素子の少くとも(K−1)個にそれぞれ接続され、そのアンテナ素子の送受信信号の振幅、位相を制御することができる重み制御器と、
    上記K個のアンテナ素子と上記重み制御器を介して接続された合成/分配器と、
    その合成/分配器と接続された周波数変換器と、
    その周波数変換器と接続された変/復調器と、
    その変/復調器と接続されたA−D変換器と
    そのA−D変換器と接続されたチャネル分離/合成回路と、
    そのチャネル分離/合成回路と接続された共通のアダプティブプロセッサと、
    上記複数のアンテナ素子が成形する放射パターンの各種のデータが格納されたパターンデータベースと、
    上記各重み制御器と上記パターンデータベースと接続されたアダプティブプロセッサとを備え、
    上記アダプティブプロセッサは上記パターンデータベースよりのパターンデータを読出して上記重み制御器に各チャネルごとに設定し、その設定を受信電力、S/N、D/U(非干渉波/干渉波)などにより各チャネルごとに適切な放射パターンが得られるようにする手段を有し、
    上記各チャネルは時分割多元接続のタイムスロットであり、上記重み制御器はそれぞれ、その対応チャネルの各タイムスロットごとに時分割的に振幅及び位相が制御されることを特徴とするアダプティブアンテナ装置。
  3. K個(Kは2以上の整数)のアンテナ素子と、
    これらK個のアンテナ素子の少くとも(K−1)個にそれぞれ接続され、そのアンテナ素子の送受信信号の振幅、位相を制御することができる重み制御器と、
    上記K個のアンテナ素子と上記重み制御器を介して接続された合成/分配器と、
    その合成/分配器と接続された周波数変換器と、
    その周波数変換器と接続された変/復調器と、
    その変/復調器と接続されたA−D変換器と
    そのA−D変換器と接続されたチャネル分離/合成回路と、
    そのチャネル分離/合成回路と接続された共通のアダプティブプロセッサと、
    上記複数のアンテナ素子が成形する放射パターンの各種のデータが格納されたパターンデータベースと、
    上記各重み制御器と上記パターンデータベースと接続されたアダプティブプロセッサとを備え、
    上記アダプティブプロセッサは上記パターンデータベースよりのパターンデータを読出して上記重み制御器に各チャネルごとに設定し、その設定を受信電力、S/N、D/U(非干渉波/干渉波)などにより各チャネルごとに適切な放射パターンが得られるようにする手段を有し、
    上記チャネルは、スペクトラム拡散形のマルチプルアクセス方式の拡散コード及び周波数であり、その拡散コードの行をチャネル、列を周波数とした正方行列をC、各チャネルにおいて適切な重み行列をXn (n=1〜K、K:アンテナ素子数)、各アンテナ素子に接続された各重み制御器にかける周波数をパラメータとした重みW1〜WK(K:アンテナ素子数)が以下であることを特徴とするアダプティブアンテナ装置。
    Wn =C-1・Xn ・C (n=1〜N) …(1)
    Figure 0003555804
    Nはチャネル数、Fはシステム帯域内の周波数分割数である。
  4. 上記アンテナ素子は主ビーム成形用アンテナ素子と、ヌル成形用アンテナ素子とに分離され、上記アダプティブプロセッサは主ビームの方向の走査を行う手段と、上記ヌル方向の走査を行う手段と、これら走査結果における各最良の方向に設定する手段とを有することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載のアダプティブアンテナ装置。
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