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JP3555826B2 - 壜のコーティングチャンバー - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、壜の外表面にコーティング膜を形成させるチャンバーに係り、特に壜が繰返しの熱アルカリ洗浄に晒されるリターナブル壜用コーティング膜を形成させる壜のコーティングチャンバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
製壜機において口部、肩部、胴部、および底部を有する壜形状にブロー成形されたガラス壜は、徐冷炉へ運ぶコンベア上では未だ500℃以上の表面温度を保っている。
【0003】
上記徐冷炉へ壜を運搬するコンベア上に図3に示すコーティングチャンバーが設置されている。
【0004】
このコーティングチャンバ7の内部は図3(A)に斜視図を示すように循環ブロワ7a、口部パージブロワ7b、反応ガス供給口7c、および排気ブロワ7d等から構成されている。
【0005】
その作用は図3(B)に示すように壜2は先端の口部部分には口部パージブロワ7bによりエアーを供給し、壜2の本体部分(胴部)には反応ガスを供給して循環させるようにしてSnCl、有機錫化合物、TiCl、チタンアルコキシド等、この温度域で加水分解反応、酸化反応を起こし酸化物を形成し得る物質を、チャンバ内でガス状にして充満させ、SnO、TiO等の酸化物被膜を形成させることができる。このように酸化物被膜を形成することにより、ガラスの強度低下の主因であるマイクロクラックの生成を防ぐことができるため、強度を保証するのに必要なガラス肉厚を減らすことができる。
【0006】
この技術はホットエンドコーティングと呼ばれ、発展し、壜の軽量化に貢献している。
【0007】
このようにして形成した膜は10nm程度に薄い場合、殆ど存在が判らないが、厚みが増した場合、その厚みに対応した光の反射率や色調を有するので目立つようになる。
【0008】
このため膜の厚さが場所によって異なると見苦しくなるが、局部的なむらのないように壜全体に被膜を形成することは膜厚が厚いほど難しくなる。このためこれまで市場に出ている製品には10nm程度の薄い被膜しかコーティングされていない。
【0009】
壜には充填後再使用を前提としないワンウェイ壜と、ビール壜、一升壜等のように回収し再度充填するリターナブル壜の2種類があり、リターナブル壜の場合、再使用する前に熱アルカリによる洗浄が行われる。
【0010】
従来のホットエンドコーティング技術で成膜した場合、熱アルカリによる洗浄で被膜が剥がれてしまうため、リターナブル壜にこの技術は用いられなかった。
【0011】
しかし特開平3−131547号公報によれば、被膜形成時の壜の外表面温度を550℃以上に保ち、膜厚を40nmから100nmに制御することによって熱アルカリ洗浄に耐え得る被膜が形成できることが開示されている。
【0012】
他方、広く用いられているIS製壜機では、成形した壜がコーティングチャンバに到達するまで時間、即ち大気に解放され冷却していく時間が壜を形成した金型により異なる。
【0013】
このため膜を形成する時の壜の表面温度が、成形した金型毎に異なり、十分な温度制御が困難である。
【0014】
この点、特開平6−157062号公報には成形後、コンベアに排出されてから徐冷炉に入るまでの時間を金型によらず一定にする搬送方法が開示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平3−131547号公報に開示された条件を満たし、かつ美観を保つためには、従来から実施されているホットエンドコーティング膜厚の4倍以上の膜を局部的なむらのないように形成する必要がある。
【0016】
特に壜の上下方向に沿って被膜の厚いところが出た場合、美観劣化が甚だしい。
【0017】
また機能の点からは、充填ライン等で衝撃を受け易い所、すなわち胴部で最大径の所(コンタクトポイント)の膜厚を十分確保する必要がある。
【0018】
被膜は外表面全域に形成されるが、壜の口部近傍に被膜の形成部と非形成部の境界ができる。
【0019】
この部分を目立たなくするために、壜の下部から上部にかけてなだらかに膜厚が減少することが望ましい。
【0020】
一方、特開平3−131547号公報に開示された条件を満たしても通常のワンウェイ用コーティングチャンバーでコーティングした場合、熱アルカリによって部分的に被膜が剥離する現象が生ずる。
【0021】
コーティングチャンバとしては特公平2−61426号公報に開示されているように様々な方法が提案されている。
【0022】
代表的なチャンバはコンベア上にトンネル状に載置され、その側壁の両側に反応ガスを吹き付けるための複数の吹出口と、未反応ガス、副生成ガス等を回収する吸込口を備えている。
【0023】
吹出口と吸込口はチャンバの外部でブロワを介して接続され、循環ループを形成し、未反応ガスと排熱を再利用するタイプが主流であり、この場合吹出口近傍に反応ガス供給口がある。
【0024】
吹出口と吸込口はコンベアを挟んで相対するように配置するものが一般的であり、循環ループを用いる場合、未反応ガスを効果的に回収するため吸込口は吹出口よりも大きい。
【0025】
チャンバ両端には吸込口とは別に排気口を備えており、チャンバ外部に未反応ガス、生成ガスが漏れない機構となっている。
【0026】
徐冷炉入口で口部の平滑性を得るためにバーナー処理を行うことがあるが、この時口部に被膜が付着していると白くなり、美観上好ましくない。
【0027】
また壜がネジ口の場合、付着している酸化物の影響でキャップの開栓トルクが過度に大きくなるという機能上の問題も生じるため、口部に被膜が付かないようにエアーでパージする機構が付いている。
【0028】
通常のチャンバは、例えば特公平2−61426号公報では口部より下の部分に一様にコーティングできるように、その範囲に合わせて吹出口の高さを設定している。熱アルカリ洗浄に耐え得る被膜を壜の外表面のすべての部位で達成するためには、口部にも十分な厚さの被膜を形成する必要がある。
【0029】
そこで上記の特徴を持つチャンバの口部パージ機構を外し、特開平6−157062号公報に記載の搬送法を用い、さらにバーナーで表面温度を特開平3−131547号公報に開示された条件を満たすように温度制御した壜に容器全長の2/3の高さを持つ吹出口でコーティングしたところ、壜上部に膜が厚く付着した。このサンプルは外表面全域で特開平3−131547号公報に開示された条件を満たしているにも拘らず、熱アルカリにより部分的に被膜が剥離する個所が発生した。ただし、吹出口に正対し反応ガスが勢いよくぶつかつたものと思われる個所の被膜は剥離しなかった。
【0030】
この事実を元に鋭意検討を重ねた結果つぎのことが判明した。
【0031】
熱アルカリ洗浄に耐え得る被膜を形成するには特開平3−131547号公報に開示された条件の他にある値以上の流速で反応ガスをガラス容器外表面に触れさせる必要がある。
【0032】
これに必要な流速は反応ガスの種類によって異なるがSnClの場合、吹出口での流速で約30m/秒以上である。
【0033】
上記の流速を得るために吹出口の面積を小さくした場合、吹出口近傍で局所的に反応ガスの濃度が高くなるため、壜がチャンバを通過する時に吹出口とで正対する部分の被膜が厚くなる。
【0034】
特に吹出口の面積を縦に細長くして減らした場合、後述する上昇気流の影響により壜上部の吹出口と正対する部分が厚くなる傾向にある。
【0035】
また上記の流速を得るために循環ブロワの風量を上げて対応した場合、循環ブロワの能力を増やす必要がある。このような過度の風量増加は大型の循環ブロワが必要となり設備上好ましくない。
【0036】
さらに風量を過度に増加させると壜がチャンバ内で転倒する恐れがあり、特に吹出口の高さが壜の重心位置を越える程度に高い場合、壜の上部に強い風が当たるため転倒し易くなるという欠点がある。
【0037】
【課題を解決するための手段】
本発明は、壜の外表面全域に亘って熱アルカリによる剥離を起こさず、かつ美観を保つために局部的なむらがないような被膜を形成することができる壜のコーティングチャンバを提供することを課題としてなされたもので、その解決手段として、請求項1記載の発明は、被処理物である壜近傍に設けられた吹出室および吸込室と、吹出室および吸込室との間に配設されたブロアとを備え、該吹出室には吹出口を有し、該吸込室には吸込口を有して、前記吹出室の吹出口は壜の重心より下方に配設されていることを特徴とする。
【0038】
また請求項2は請求項1記載の発明において、前記吹出口の面積の総和が3000〜30000mmで、風量を5m/min〜20m/minの範囲内での組合せとしたことを特徴としている。
【0039】
なお、吸込口の配置は通常のように吹出口とコンベアを挟んで対向させることもできるが、吸込口の上部に配置するようにしてもよい。またその形状は、循環効率を上げるため横長形状とし、面積の総和を吹出口面積の総和の3〜20倍とすることが望ましい。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1および図2に示す実施の形態を参照して説明する。
【0041】
図1は本発明にかかる壜のコーティングチャンバ11の実施形態を示すもので、(A)は外観斜視図、(B)は(A)の吹出口および吸込口部分の斜視図、(C)は循環ブロワの流れを示す断面図である。
【0042】
図1(A)において移動するコンベア4の上面には壜2が前後方向に1列に並べられて図の右側から左側に移動するようになっている。コンベア4を挟む両側の固定側にはチャンバブロック11aがコンベア4を跨いで固着され、その上部には大型循環ブロワ12が取付けられている。またチャンバブロック11aにはコンベア4の壜2を通過させるための大きさを有して前後に貫通する孔が設けられている。前記チャンバブロック11aには矢印で示すように大型循環ブロワ12に連通する4個の接続口(中央)と図示しない排気ブロワに連通する前後の接続口がそれぞれ設けられている。図1(A)の場合、循環ブロワ12に連通する接続口が下向きの矢印となっている方が吹出室11bで、上向きの矢印となっている方が吸込室11cである。そして吹出室11b側の下方には反応ガスの供給口13が設けられている。
【0043】
図1(B)は図1(A)からコンベア4上の壜2を両側で囲む吹出室11b側と吸込室11c側の仕切り壁だけを残してチャンバブロック11aを取り去った状態を示すもので、これら仕切り壁には循環ブロワ12からのエアーの吹出口14と、吹出しのに終わったエアーの循環ブロワ12へ戻すための吸込口15がそれぞれ設けられている。
【0044】
図1(C)は循環ブロワ12からのエアーの流れを示すチャンバブロック11aをコンベア4の流れに直角方向から見た図1(B)のA−A断面図で、循環ブロワ12から排出されたエアー(下向きの矢印)は反応ガス供給口13からのガスと一緒になって吹出室11bに入り吹出口14からコンベア4上の壜2の回りに吹出され、吸込口15から吸込室11cを経て上向きとなり循環ブロワ12へ上向きの矢印のように戻されて循環するようになっている。
【0045】
図2は本発明にかかる壜のコーティングチャンバ11の他の実施形態を示すもので、(A)は外観斜視図、(B)は(A)の吹出口および吸込口部分の斜視図、(C)は循環ブロワの流れを示す断面図である。
【0046】
図2と図1の違いは、図1が吹出室11bと吸込室11cとがチャンバブロック11aの上面の同じ高さに設けられているのに対し、図2では吹出室11bが吸込室11cよりも低い位置になっている点と、図1が仕切り壁を挟んでんで吹出室11b側に吹出口14を、吸込室11c側に吸込口15をそれぞれ設けたのに対し、図2が吹出室11bの仕切り壁の下側に吹出口14を同じ仕切り壁の上側に吸込口15を設けて吸込室11cに連通させた点が相違する。
【0047】
したがって循環ブロワ12からのエアーの流れは図2(C)に示すように循環ブロワ12から排出されたエアーはで反応ガス供給口13からのガスと一緒になって吹出室11bに入り吹出口14からコンベア4上の壜2の回りに吹出され、壜2の上部を回ったのち同じ仕切り壁に設けた吸込口15から吸込室11cに入って循環ブロワ12へ矢印のように戻されて循環するようになっている。
【0048】
ここで図2(C)は図2(B)のB−B断面である。
【0049】
本発明は前記のようにチャンバ11の入口の直前で壜の温度制御を行なうようにしているため、通常のホットエンドコーティングよりも高い表面温度を持っている。これにより外表面には非常に高速の上昇気流が発生している。この上昇気流の流速は耐アルカリ性を得るのに十分な速度を有しているため、この流れに反応ガスを乗せれば耐アルカリ性のある被膜を形成できるのである。
【0050】
以上をまとめると、吹出口14を壜2の重心Gよりも低い位置に設置させて、壜2の転倒防止を図り、その開口面積と循環ブロワの風量を適正にバランスさせることにより部分的な被膜むらのない耐アルカリ性の高い被膜を形成できる。
【0051】
上記のバランスは壜の重量、高さ、胴径、単位時間当たりの製造量によって変化する。ただし通常のホットエンドコーティングとは全く異なっている。
【0052】
具体的数字として吹出口の開口面積の総和が3000mmから30000mmの範囲に入る。これは通常のチャンバの1/5から1/2である。
【0053】
循環ブロワ12の能力を風量に換算した場合、5m/minから20m/minの範囲に入る。この風量を得るためには通常の20倍の能力を持つ循環ブロワを必要とする。
【0054】
実施例
図1に示すコーティングチャンバを用いてコーティングを実施した。
【0055】
133mm間隔でマシンコンベア上を流れている壜の表面温度を620±20℃に制御した。反応ガスにはSnClを用い、吹出し面積、循環風量を変えてコーティングを行い、膜厚が40〜100nmになるよう反応ガス量を調整した。
【0056】
得られた壜を80℃、4%のNaOH溶液に6時間浸し、コーティングの剥離を調査した。その結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003555826
上記の表1において、「膜厚むら」は局部的に130nmを超えた箇所が発生したものを良否の判定基準とした。また「耐アルカリ性」はコーティングの剥離が全体の1/50以下であることを良否の判定基準とした。「コンベア上での安定性」は循環風によって動かないことを判定基準とした。
【0058】
この結果からも分かるように、吹出口の面積の総和が3000〜30000mmの範囲とし、風量を5〜20m/minの範囲内であって、実施例1ではA、同2ではB、同3ではC、同4ではDの組合せを選択することが膜厚むらを生じず、耐アルカリ性に富み、かつ壜の安定性を得るうえで好ましい。
【0059】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、被処理物である壜近傍に設けられた吹出室および吸込室と、吹出室および吸込室との間に配設されたブロアとを備え、該吹出室には吹出口を有し、該吸込室には吸込口を有して、前記吹出室の吹出口は壜の重心より下方に配設されているから、壜のコーティングに際し安定して処理を行うことが可能となる。
【0060】
また請求項2によれば、吹出口の面積の総和を3000〜30000mmとし、循環ブロワの吹出口からの風量の範囲を5m/min〜20/minとし、これらの範囲内で最適値を組合せることにより良好な被膜の形成ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる壜のコーティングチャンバの1実施形態を示し、(A)は外観斜視図、(B)は(A)の吹出口および吸込口部分の斜視図、(C)は循環ブロワの流れを示す断面図。
【図2】本発明にかかる壜のコーティングチャンバの他の実施形態を示し、(A)は外観斜視図、(B)は(A)の吹出口および吸込口部分の斜視図、(C)は循環ブロワの流れを示す断面図。
【図3】従来の壜のコーティングチャンバを示し(A)は外観斜視図、(B)は循環ブロワの流れを示す断面図。
【符号の説明】
2 壜
11 コーティングチャンバ
11a チャンバブロック
11b 吹出室
11c 吹込室
12 循環ブロワ
14 吹出口
15 吸込口

Claims (3)

  1. 被処理物である壜近傍に設けられた吹出室および吸込室と、吹出室および吸込室との間に配設されたブロワとを備え、該吹出室には吹出口を有し、該吸込室には吸込口を有して、前記吹出室の吹出口は壜の重心より下方に配設されるとともに、前記吹出口の面積の総和が3000〜30000mmの範囲であり、風量が5m/min〜20m/minの範囲であって、これらの範囲内の数値を選択した組み合わせとされていることを特徴とする壜のコーティングチャンバー。
  2. 前記吹出室と前記吸込室とは同じ高さに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の壜のコーティングチャンバー。
  3. 前記吹出室は前記吸込室より低い位置に配置されていること特徴とする請求項1に記載の壜のコーティングチャンバー。
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