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JP3557016B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行中の車両が障害物に衝突するのを防止できる操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーンチェンジ等の際に車両が側方や後側方のガードレールや他車両等の障害物と衝突するのを防止することを目的として、車両と障害物との衝突可能性に基づき操舵抑制を行なう操舵装置が提案されている。例えば、車両の後側方における障害物の検知時に操舵補助力の付与を解除したり、操舵しようとする方向とは逆方向に操舵抑制力を作用させたり、現在走行中の車線を維持するようにステアリング装置を制御することで、操舵抑制を行ない、障害物の存在をドライバーに認識させるものが提案されている(特開平5‐294250号公報、特開平4‐19274号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、そのような衝突可能性発生時において、実際には衝突可能性のある方向へのレーンチェンジ等を行なわず、現在の車線を維持する場合であっても、その操舵抑制が行なわれると、その衝突可能性のある方向への操舵の遊び感がなくなり、操舵フィーリングが低下するという問題がある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決することのできる車両の操舵装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両の操舵装置は、操舵トルクを検知する手段と、その操舵トルクが設定値以上か否かを判断する手段と、操舵方向において検知される障害物と車両との衝突可能性の有無を判断する手段と、その操舵トルクが設定値以上であって、且つ、衝突可能性発生時に、操舵抑制を行なう手段とを備え、その操舵トルクの設定値は、車速が増加すると増加するように設定されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の構成によれば、衝突可能性のある方向への操舵に要する操舵トルクが設定値未満であれば、操舵抑制は行なわれないので、その衝突可能性のある方向への操舵の遊び感を得ることができ、操舵フィーリングの低下を防止できる。
また、図10の比較例に示すように、その操舵トルクの設定値Tcが車速vに対して一定であると、高速走行時には操舵の遊び範囲が小さくなってしまい、操舵フィーリングの低下を充分に防止することができない。これは、車速が大きくなると、低速走行時と舵角が同一であっても、路面からタイヤに作用するセルフアライニングトルクが大きくなって操舵に要するトルクが大きくなるからである。
これに対し、本発明の構成によれば、その操舵トルクの設定値は、車速が増加すると増加するので、高速走行時にセルフアライニングトルクが増加しても操舵の遊び範囲が小さくなるのを防止し、操舵フィーリングの低下を充分に防止できる。
【0007】
その検知された操舵トルクに応じた制御値によって操舵補助力発生用のアクチュエータを制御する手段と、その操舵トルクが設定値以上であって、且つ、衝突可能性発生時に、操舵抑制を行なうように前記制御値を変化させる手段とを備え、その操舵補助力の操舵トルクに対する増加率は、車速が増加すると減少するように設定されているのが好ましい。
【0008】
本発明をパワーステアリング装置に適用することで、操舵抑制力を操舵補助力発生用アクチュエータにより付与することができる。その操舵補助力の操舵トルクに対する増加率が車速の増加により減少することで、高速で走行安定性が向上し低速で旋回性能が向上する。この場合、高速では操舵補助力が減少するので、低速走行時と舵角が同一であっても、操舵に要するトルクが大きくなる。
本発明の構成によれば、その操舵トルクの設定値は、車速が増加すると増加するので、高速走行時であっても操舵の遊び範囲が小さくなるのを防止し、操舵フィーリングの低下を充分に防止でき、且つ、高速での走行安定性と低速での旋回性能の向上を図れる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0010】
図1に示すラックピニオン式電動パワーステアリング装置1は、車両10のステアリングホイールHに連結される入力軸2と、この入力軸2にトルクセンサ3を介して連結される出力軸4とを備えている。その出力軸4はユニバーサルジョイント5を介してピニオン6に接続され、そのピニオン6に噛み合うラック7に操舵用車輪8が連結される。これにより、操舵トルクがステアリングホイールH、入力軸2、トルクセンサ3、出力軸4、およびピニオン6を介してラック7に伝達され、そのラック7の移動によって車両10の操舵がなされる。
【0011】
図2に示すように、その入力軸2と出力軸4とに、トーションバー11が挿入されると共にピン18、19により連結されている。なお、その入力軸2は、ステアリングホイールH側の第1軸2aとトルクセンサ3側の第2軸2bとをピン18により連結することで構成されている。これにより、その入力軸2と出力軸4とは操舵トルクに応じ相対回転する。その入力軸2の一端は出力軸4の一端に形成された凹部4a内に挿入され、図3に示すように、その入力軸2の外周面の一部と凹部4aの内周面の一部とは互いに対向する非円形部2′、4′とされている。その入力軸2側の非円形部2′と出力軸4側の非円形部4′とが当接することで、入力軸2と出力軸4とは相対回転可能量が一定範囲に規制され、トーションバー11の破損が防止される。その出力軸4の外周にウォームホイール12が嵌合され、このウォームホイール12に噛み合うウォームギヤ15が、図1に示すように、操舵補助力発生用モータ(アクチュエータ)13に接続されている。
【0012】
図2に示すように、そのトルクセンサ3は、その入力軸2と出力軸4とに相対回転可能に嵌め合わされるハウジング16を備えている。その入力軸2の外周に磁性材製の第1検知リング21が、また、その出力軸4の外周に磁性体製の第2検出リング23が、それぞれ同行回転するよう嵌合されている。その第1検出リング21の一端面と第2検出リング23の他端面とは互いに対向するように配置され、各検出リング21、23の対向端面に、それぞれ歯21a、23aが周方向に沿って複数設けられている。その第1検出リング21の他端側は一端側よりも外径の小さな小径部21bとされている。そのハウジング16に、各検出リング21、23の対向間を覆う第1検出コイル33と、第1検出リング21の小径部21bを覆う第2検出コイル34とが保持され、各検出コイル33、34は図4に示す信号処理回路を構成する。すなわち、第1検出コイル33は抵抗45を介して発振器46に接続され、第2検出コイル34は抵抗47を介して発振器46に接続され、各検出コイル33、34は差動増幅回路48に接続される。
【0013】
その入力軸2から出力軸4への操舵トルクの伝達によりトーションバー11が弾性的に捩れ、第1検出リング21と第2検出リング23とが相対的に回転すると、各検出リング21、23の歯21a、23aの対向面積が変化する。その面積変化により、その歯21a、23aの対向間の磁気抵抗が変化することから、その変化に応じて第1検出コイル33の出力が変化し、その出力に対応して操舵トルクが検出される。これによりトルクセンサ3は、前記入力軸2側の非円形部2′と出力軸4側の非円形部4′とが当接する検出限界まで、操舵トルクを検出することができる。また、操舵トルクの作用していない状態で第1検出コイル33側の磁気抵抗と第2検出コイル34側の磁気抵抗とが等しくなるように、前記小径部21bの外径を設定することで、温度変動による第1検出コイル33の出力変動は、温度変動による第2検出コイル34の出力変動に等しくされ、差動増幅回路48により打ち消され、伝達トルクの検出値の温度変動が補償される。なお、トルクセンサ3は、操舵がなされていない中点において出力が零となり、右操舵時の上記検出限界における出力の絶対値と、左操舵時の上記検出限界における出力の絶対値とが等しくなるように、その組み立て工程において、入力軸2と出力軸4とは相対位置が定められた後に、トーションバー11によりピン18、19を介して連結される。
【0014】
図1に示すように、そのトルクセンサ3は、コンピューターにより主構成されるコントローラー50に接続される。そのコントローラー50に、前記モータ13、車速検知センサ51、および車両10に取り付けられた複数の障害物検知センサ53、54、55、56が接続される。それら障害物検知センサ53、54、55、56は、例えば、車両10の左右側方と左右後側方における他車両やガードレール等の障害物を検知するもので、車両からレーザや超音波等のレーダ波を発射する発信器と、そのレーダ波の受信器と、その受信したレーダ波の増幅器とを有し、そのレーダ波の発信から受信までの時間差に基づき、コントローラー50により障害物までの距離を演算するものにより構成できる。
【0015】
そのコントローラー50は、そのトルクセンサ3の出力と車速とに基づき、操舵補助力発生用モータ13の駆動電流に対応する制御値Iを演算し、その演算した制御値Iによりモータ13を制御する。
すなわち、図5は、操舵補助を行なう場合の操舵トルクと制御値Iとの関係を示し、操舵トルクが大きくなると制御値Iすなわち操舵補助力が増加し、その増加率は低速では大きく高速では小さくなる。これにより、低速での旋回性と高速での走行安定性の向上が図られている。
そのコントローラー50は、操舵補助を行なう場合、その図5に示す関係を満たすように制御値Iを演算し、また、衝突可能性発生時には、その制御値Iを変化させることで操舵抑制を行なう。
なお、その図5に示す操舵トルクと制御値Iとの関係は一例であり、これに限定されるものではなく、例えば、車速だけでなく舵角も検知し、その制御値Iを舵角が大きい低速状態では操舵補助力を大きくして車両の旋回性を向上し、舵角が小さい高速状態では操舵補助力を小さくして走行安定性を向上してもよい。
【0016】
上記コントローラー50の制御プログラムに基づく制御手順を、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0017】
まず、トルクセンサ3、車速検知センサ51および障害物検知センサ53、54、55、56からの信号を読み込み、操舵トルクおよび車速を求め、障害物までの距離を演算する(ステップ1)。
【0018】
次に、その検知したトルクTが、設定値Ta以上か否かを判断する(ステップ2)。その設定値Taは、車速が増加すると増加するものとされている。本実施形態では、図7に示すように、操舵抑制を必要としない一定車速va未満では設定値Taを一定とし、その一定車速va以上において、設定値Taを車速vに比例して増加させる。
【0019】
その検知したトルクTが設定値Ta未満の場合、上記のように操舵補助用モータ13の制御値Iを演算し(ステップ3)、その制御値Iによりモータ13を制御して操舵補助を行ない(ステップ4)、ステップ1に戻る。
【0020】
その検知したトルクTが設定値Ta以上の場合、トルクセンサ3からの信号により操舵方向を判断し、その操舵方向におけるセンサ53、54、55、56からの障害物検知信号により、車両10と障害物との衝突可能性を判断する(ステップ5)。例えば、その操舵方向において予め定めた一定距離内に障害物が検知された場合は衝突可能性が有ると判断する。
【0021】
その衝突可能性が無い場合はステップ3、4において操舵補助を行ない、ステップ1に戻る。
【0022】
ステップ5において衝突可能性が有ると判断された場合は操舵抑制を行ない(ステップ6)、ステップ1に戻る。その操舵抑制の仕方は特に限定されず、例えば、操舵補助力の付与を解除したり、操舵しようとする方向とは逆方向に操舵抑制力を作用させる。
【0023】
上記構成によれば、衝突可能性のある方向への操舵に要する操舵トルクTが設定値Ta未満であれば、操舵抑制は行なわれないので、その衝突可能性のある方向への操舵の遊び感を得ることができ、操舵フィーリングの低下を防止できる。また、その操舵トルクの設定値Taは、車速vが増加すると増加するので、高速走行時にセルフアライニングトルクが増加しても、また、操舵補助力の操舵トルクに対する増加率を車速の増加により減少させることで、高速での走行安定性の向上と低速での旋回性能の向上を図る場合であっても、高速走行時に操舵の遊び範囲が小さくなるのを防止し、操舵フィーリングの低下を充分に防止できる。
【0024】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、図8の第1変形例に示すように、設定値Taを車速vの2次関数として増加させることができる。また、図9の第2変形例に示すように、設定値Taを車速vに対し段階的に増加させることができる。また、障害物の検知手段は特に限定されず、例えば、CCDカメラによる車両周囲の映像に基づき車両に接近する障害物の有無を判断するようにしてもよい。また、操舵方向の検知手段も特に限定されず、例えば、ウィンカの操作信号により検知してもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明の車両の操舵装置によれば、障害物との衝突可能性発生時に、車速に応じて適正に操舵の遊び感を確保し、操舵フィーリングの低下を防止できる。また、本発明をパワーステアリング装置に適用することで、高速での走行安定性と低速での旋回性能の向上を図りつつ、その適正な操舵の遊び感を確保し、操舵フィーリングの低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のパワーステアリング装置の構成説明図
【図2】本発明の実施形態のトルクセンサの断面図
【図3】図2のIII‐III線断面図
【図4】本発明の実施形態のトルクセンサの回路図
【図5】本発明の実施形態の制御値と操舵トルクとの関係を示す図
【図6】本発明の実施形態のパワーステアリング装置の制御手順を示すフローチャート
【図7】本発明の実施形態のトルク設定値と車速との関係を示す図
【図8】本発明の第1変形例のトルク設定値と車速との関係を示す図
【図9】本発明の第2変形例のトルク設定値と車速との関係を示す図
【図10】本発明の比較例のトルク設定値と車速との関係を示す図
【符号の説明】
1 パワーステアリング装置
3 トルクセンサ
13 モータ(アクチュエータ)
50 コントローラー
51 車速検知センサ
53、54、55、56 障害物検知センサ

Claims (2)

  1. 操舵トルクを検知する手段と、
    その操舵トルクが設定値以上か否かを判断する手段と、
    操舵方向において検知される障害物と車両との衝突可能性の有無を判断する手段と、
    その操舵トルクが設定値以上であって、且つ、衝突可能性発生時に、操舵抑制を行なう手段とを備え、
    その操舵トルクの設定値は、車速が増加すると増加するように設定されている車両の操舵装置。
  2. 検知された操舵トルクに応じた制御値によって操舵補助力発生用のアクチュエータを制御する手段と、
    その操舵トルクが設定値以上であって、且つ、衝突可能性発生時に、操舵抑制を行なうように前記制御値を変化させる手段とを備え、
    その操舵補助力の操舵トルクに対する増加率は、車速が増加すると減少するように設定されている請求項1に記載の車両の操舵装置。
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