JP3557463B2 - スーパーリゾリューションアンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、同一ビーム内、同一レンジセル内に存在する複数目標に対し、それぞれの目標の信号到来方向を高精度に検出するスーパーリゾリューションアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に従来方式の構成を示す。従来の3Dレーダでは送信パルスを一定周期毎に送信し、目標からの反射信号を繰り返し受信する。この繰り返し周期をPRIとし、連続するパルス数をnとする。1PRI目〜nPRI目の受信信号は順次素子アンテナ11〜1Mで受信され、これらM個の素子アンテナで受信された受信信号は相関行列計算部401にて相関行列計算され、その計算結果を用いて固有値演算部403にて固有値を算出した後、MDL規範やAIC規範(Mati Wax, Thomas Lailath,‘Detection of Signals by Information Theoretic Criteria’, IEEE Trans.Acoust. ,Speech, and Signal Processing, Vol. ASSP−33, pp.387−392, 1985)等の公知文献に記載の方式により信号数検出部404にて到来信号数を検出する。前記固有値演算部403で演算した固有値に対応する固有ベクトルと方向ベクトル(素子アンテナ配置により定まる)を用いた評価関数を定義する。この評価関数は方向ベクトルが信号到来方向に一致するとき評価関数が極値を取るように設定することにより、信号到来方向検出部4051〜405Lにて到来信号数(L個)毎に信号到来方向を検出する。なお、図5の従来方式における相関行列計算乃至固有値算出等については公知文献(R.O.Schmidt,“Multiple Emitter Location and Signal Parameter Estimation”,IEEE Trans, Antennas and Propagation, Vol. AP−34, No.3, pp276−280(特にFig.2及びこれに関する記載), Mar. 1986.)に述べられている。
【0003】
また、それら信号到来方向の推定アルゴリズムは公知技術であり、MUSICアルゴリズム等の各種方式が報告されている。従来のモノパルスビームによる信号到来方向推定に対し、測角精度が優れており、また、同一のビーム幅内同一レンジセル内の複数目標からの受信信号に対しても、各々の到来信号毎に測角することができる。
【0004】
前記MUSICアルゴリズムの場合の評価関数は、前記公知文献(R.O.Schmidt,“Multiple Emitter Location and Signal Parameter Estimation”,IEEE Trans, Antennas and Propagation, Vol. AP−34, No.3, pp276−280, Mar. 1986.)に記載されており、次式で示される。
【0005】
【数1】
また、評価関数としては、式(1)を規格化したものとして、次式が用いられる場合もある。
【0006】
【数2】
【0007】
図6は、図5の従来方式における信号到来方向推定の概要を示す。図6(a)は1目標からの到来信号の場合における評価関数のスペクトラム(横軸:角度、縦軸:強度)を示している。評価関数は目標1の信号到来方向に鋭いピーク値を持つ。図6(b)は目標数が2つの場合で互いの相関性が低い場合における評価関数のスペクトラムを示している。評価関数は2つの信号到来方向(目標1及び目標2)にピークを有し、それぞれの目標の方向を推定できる。但し、測角精度は1目標時に比べ劣化する。ここで、相関性が低いとは2目標からの信号がインコヒーレント(PRI毎に2信号間の位相が一定でない)であることを意味している。図6(c)は目標数が2つの場合で互いの相関性が高い場合における評価関数のスペクトラムを示している。評価関数は2つの信号到来方向(目標1及び目標2)にピークを有さず、それぞれの目標を正しく測角することができず、測角誤差が大きくなる。ここで、相関性が高いとは2目標からの信号がコヒーレントであり、2目標の相対速度成分が小さく、ドップラ周波数差がパルス繰り返し周波数(PRF=1/PRI)に比べ、十分小さい場合を示す。
【0008】
以上より、従来のMUSICアルゴリズム等を用いた高精度測角方式の場合は、同一ビーム幅かつ同一レンジセル内に複数の目標が存在するときに1目標時に比べ測角精度は劣化する。さらに、目標間の相関性が高い場合は測角精度が劣化するばかりか、正しく2目標の方向を推定できない問題が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のMUSICアルゴリズム等を用いた高精度測角方式の場合は、同一ビーム幅かつ同一レンジセル内に複数の目標が存在するときに1目標時に比べ測角精度は劣化し、さらに、目標間の相関性が高い場合は測角精度が劣化するばかりか、正しく2目標の方向を推定できないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、高い相関性を有する複数目標からの受信信号を信号分離し、それぞれの信号から信号到来方向を高精度に測角演算することを可能とするスーパーリゾリューションアンテナを提供することを目的とする。
【0011】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、複数の素子アンテナからの受信信号を用いて信号到来方向を探知するスーパーリゾリューションアンテナにおいて、
各素子アンテナ毎に設けられていて、当該素子アンテナで受信されるパルス列の受信信号が入力される目標信号分離手段と、ウェイト設定手段と、各目標信号分離手段の出力信号が入力される測角演算手段とを具備し、
前記目標信号分離手段は、前記素子アンテナで受信されるパルス列の受信信号をフーリエ変換して、ドップラ周波数に応じたフィルタバンク毎の信号成分を生成するフーリエ変換手段と、
前記ドップラ周波数に応じたフィルタバンク毎の信号成分に対して、前記ウェイト設定手段により重み付けした信号成分から、所望のフィルタバンク成分のみを抽出する逆フーリエ変換手段とを有し、
前記測角演算手段は、所望のフィルタバンクの信号成分のみを抽出した前記各素子アンテナの信号成分から信号到来方向を推定することを特徴としている。
【0013】
この構成により、同一ビーム幅かつ同一レンジセル内に複数の目標が存在する場合にも、1目標の場合と同様の高精度な測角が実現できる。
【0014】
本願請求項2の発明に係るスーパーリゾリューションアンテナは、請求項1において、前記測角演算手段が、各素子アンテナに対応する信号成分から、相関行列計算を行う相関行列計算処理部と、その相関行列計算結果から固有値を計算する固有値計算部と、前記固有値に対応する固有ベクトルと方向ベクトルから信号到来方向を推定する信号到来方向検出部とを具備することを特徴としている。
【0015】
本願請求項3の発明に係るスーパーリゾリューションアンテナは、請求項2において、前記信号到来方向検出部の後段に、前記信号到来方向検出部の出力信号強度を検出し予め設定した閾値を越えた場合のみ信号到来方向を出力する信号強度計算部を設けたことを特徴としている。
【0016】
本願請求項4の発明に係るスーパーリゾリューションアンテナは、請求項2又は3において、前記信号到来方向検出部は、MUSICアルゴリズムの評価関数を用いてピーク値の方向を信号到来方向に推定することを特徴としている。
【0017】
本願請求項5の発明に係るスーパーリゾリューションアンテナは、請求項1において、前記フーリエ変換手段により生成されたドップラ周波数に応じたフィルタバンク毎の信号を複数に分岐し、分岐単位毎に前記ウェイト設定手段にて異なる重み付けを行い、それぞれを逆フーリエ変換することにより、特定のフィルタバンク成分のみを抽出した複数の出力信号を、当該フィルタバンク成分毎に設けられた前記測角演算手段に出力して、信号到来方向をそれぞれ推定することを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスーパーリゾリューションアンテナの一実施の形態を図1〜図4を参照して詳細に説明する。但し、図1〜図4において、図5と同一又は相当部分には同一符号を付して示し、説明を省略する。
【0019】
図1は本発明に係るスーパーリゾリューションアンテナの実施の形態の全体構成を示したものである。本実施の形態において、スーパーリゾリューションアンテナは、素子アンテナ11〜1M、目標信号分離手段としての目標信号分離回路21〜2M、ウェイト設定手段としてのウェイト設定回路3、測角演算手段としての高精度測角演算回路41〜4nから構成される。
【0020】
等間隔(PRI毎)に受信されるパルス列(1PRI目〜nPRI目までの合計n個のパルス列からなる)の受信信号は、M個の素子アンテナ11〜1Mで順次受信され、目標信号分離回路21〜2Mに入力される。M個の目標信号分離回路21〜2Mは全て同一回路構成であり、代表して一つの目標信号分離回路について図2を用いて説明する。
【0021】
図2において、目標信号分離回路21はFFT(高速フーリエ変換)回路211、n個の乗算器2121〜212n、及びn個の逆FFT回路2131〜213nから構成されている。
【0022】
素子アンテナで受信された1PRI目〜nPRI目までの合計n個のパルス列分の受信信号は、各PRI毎のパルス列における同一レンジセルの受信信号をFFT回路211によりフーリエ変換することにより、n個の周波数成分の信号S1〜Snに分離される。フーリエ変換された信号S1〜Snは、それぞれn個に分岐された信号S11〜Snnとなって、n個の乗算器2121〜212nに入力される。それぞれの乗算器2121〜212nでは、異なるウェイト関数W0〜Wn−1が設定されており、信号S11〜Snnに重み付けする。重み付けされた信号S11’〜Snn’はn個の逆FFT回路2131〜213nにより、逆フーリエ変換され、n個のパルス列の信号成分に変換される。
【0023】
そして、図1に示すように、M個の目標信号分離回路21〜2Mから、同一のウェイト関数が設定された出力信号を同一の測角演算回路41〜4nに入力する。n種のウェイト関数毎に逆フーリエ変換後の信号が測角演算回路41〜4nに入力され、それぞれの測角演算回路41〜4nで信号到来方向(信号到来方向1〜信号到来方向n)を求め出力する。
【0024】
上記の測角演算回路はウェイト関数の種別分(n個)、準備されており、n個の測角演算回路41〜4nは全て同一構成である。測角演算回路41の構成例を図3に示し、従来方式と同一部分には同一符号を付して示し、説明を省略する。
【0025】
図3の測角演算回路41において、M個の各素子アンテナに対応する入力信号(逆フーリエ変換後の信号)を用いて、相関行列計算部401にて相関行列計算を行い、その計算結果を用いて固有値演算部403にて固有値計算を行う。得られた固有値に対応する固有ベクトルと方向ベクトル(素子アンテナ配列により既知)より到来信号方向を推定する。この到来信号方向推定には従来方式と同様にMUSICアルゴリズム等の評価関数を用いる。例えば、MUSICアルゴリズムの評価関数として前記式(1)又は式(2)を用いることができる。以上は従来方式と同様である。
【0026】
さらに、図3の測角演算回路では、評価関数のピーク方向に対して、相関行列と到来信号方向行列を用いて信号強度計算部406にて信号強度計算を行い、設定されたスレッショルド値(閾値)を超えた場合のみ、信号到来方向を出力する。
【0027】
図4に本実施の形態における信号毎のグラフを示す。図2に示す目標信号分離回路21のうち、FFT回路でフーリエ変換された信号S11〜S1nは図4(a)に示すように周波数軸上に受信パルス列数(n個)分のフィルタバンク(#0〜#n−1)が形成される。ここで、2目標からの反射波の合成信号により受信信号が形成されている場合は、ドップラ周波数に応じたフィルタバンクより信号出力される。ここで、相関性の高い信号においても、2目標の相対速度に応じてドップラ周波数差は生じ、そのドップラ周波数に応じたフィルタバンクにより信号分離される。
【0028】
次に、図2に示す乗算器2121に設定されるウェイト関数はn個のフィルタバンク出力の重み付け関数であり、例えば図4(b)のW1=[0,1,0,…,0]、W3=[0,0,0,1,0,…,0]のように特定の1つのフィルタバンクのみ選択される。図4(c)では乗算器の出力信号を示しており、特定のフィルタバンク出力以外は消去されるため、1目標からの反射信号成分のみが出力される。
【0029】
以上により、同一ビームかつ同一レンジセル内に複数目標が存在した場合でもドップラフィルタバンクにより信号分離されるため、1目標からの反射信号成分のみが抽出される。従って、複数目標に対しても、従来方式図6(a)に示すような高精度な測角精度が得られる。更に、相関性の高い複数目標からの受信信号に対してもドップラフィルタバンクにより信号分離ができれば、高精度な測角を行うことができる。
【0030】
ところで、本発明はフーリエ変換にFFT及び逆FFT変換を用いた場合を示したが、DET(離散フーリエ変換)方式及び逆DFT方式を用いても成り立つ。
【0031】
また、ウェイト関数は1目標のみを選択することが目的であり、複数のフィルタバンクに重み付けした窓関数を適用できる。
【0032】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るスーパーリゾリューションアンテナによれば、同一ビーム幅かつ同一レンジセル内に複数の目標が存在する場合にも、1目標の場合と同様の高精度な測角が実現できる。更に、目標間の相関性が高い場合においても、信号分離ができる限りは測角精度は劣化せず、正しく2目標の方向を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスーパーリゾリューションアンテナの一実施の形態であって、全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における目標信号分離回路の詳細を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における測角演算回路の詳細を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における各部信号を表した説明図である。
【図5】従来方式のスーパーリゾリューションアンテナのブロック図である。
【図6】従来方式における信号検出の説明図である。
【符号の説明】
11〜1M 素子アンテナ
21〜2M 目標信号分離回路
211 FFT回路
2121〜212n 乗算器
2131〜213n 逆FFT回路
3 ウェイト設定回路
41〜4n 高精度測角演算回路
401 相関行列計算部
403 固有値演算部
404 信号数検出部
4051〜405L 信号到来方向検出部
Claims (5)
- 複数の素子アンテナからの受信信号を用いて信号到来方向を探知するスーパーリゾリューションアンテナにおいて、
各素子アンテナ毎に設けられていて、当該素子アンテナで受信されるパルス列の受信信号が入力される目標信号分離手段と、ウェイト設定手段と、各目標信号分離手段の出力信号が入力される測角演算手段とを具備し、
前記目標信号分離手段は、前記素子アンテナで受信されるパルス列の受信信号をフーリエ変換して、ドップラ周波数に応じたフィルタバンク毎の信号成分を生成するフーリエ変換手段と、
前記ドップラ周波数に応じたフィルタバンク毎の信号成分に対して、前記ウェイト設定手段により重み付けした信号成分から、所望のフィルタバンク成分のみを抽出する逆フーリエ変換手段とを有し、
前記測角演算手段は、所望のフィルタバンクの信号成分のみを抽出した前記各素子アンテナの信号成分から信号到来方向を推定することを特徴とするスーパーリゾリューションアンテナ。 - 前記測角演算手段は、各素子アンテナに対応する信号成分から、相関行列計算を行う相関行列計算処理部と、その相関行列計算結果から固有値を計算する固有値計算部と、前記固有値に対応する固有ベクトルと方向ベクトルから信号到来方向を推定する信号到来方向検出部とを具備する請求項1記載のスーパーリゾリューションアンテナ。
- 前記信号到来方向検出部の後段に、前記信号到来方向検出部の出力信号強度を検出し予め設定した閾値を越えた場合のみ信号到来方向を出力する信号強度計算部を設けてなる請求項2記載のスーパーリゾリューションアンテナ。
- 前記信号到来方向検出部は、MUSICアルゴリズムの評価関数を用いてピーク値の方向を信号到来方向に推定する請求項2又は3記載のスーパーリゾリューションアンテナ。
- 前記フーリエ変換手段により生成されたドップラ周波数に応じたフィルタバンク毎の信号を複数に分岐し、分岐単位毎に前記ウェイト設定手段にて異なる重み付けを行い、それぞれを逆フーリエ変換することにより、特定のフィルタバンク成分のみを抽出した複数の出力信号を、当該フィルタバンク成分毎に設けられた前記測角演算手段に出力して、信号到来方向をそれぞれ推定する請求項1記載のスーパーリゾリューションアンテナ。
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