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JP3558637B2 - ビニール単量体類のリビング・ラジカル重合 - Google Patents
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ビニール単量体類のリビング・ラジカル重合 Download PDF

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、可逆的ラジカル・キャッピング剤類(reversible radical capping agents)として金属錯体類を用いるビニール単量体類のリビング・フリー・ラジカル重合に関する。
従来技術の説明
「リビング重合」と言う用語は、成長重合体鎖が、更なる重合を促進することができる1以上の活性点(active sites)を含む場合の重合プロセスに係わる。リビング重合を達成する一般的戦略の一つは、ある化学種(chemical species)に重合を促進する活性中心を可逆的にキャップ(cap)させることである。アニオン(アニオン重合)またはカチオン(カチオン重合)により開始されるイオン重合においては、対カチオンまたはアニオンがそれぞれキャッピング剤として機能する。イオンが互いに結合すると重合が停止するが、イオン片(ionic fragments)に可逆的に解離すると更なるイオン重合を促進する部位の制御された源(controlled source of sites)を提供する。リビング・イオン重合は、異種のアルケン単量体類を逐次添加することによってブロック共重合体類を生成するのに広く利用されている。
リビング・イオン重合に対比して、リビング・フリー・ラジカル重合を達成しようとする従来の試みは、アルケン単量体類の重合を促進するアルキル・ラジカル(R・)と、成長重合体ラジカル(RMnX)をキャップする機能を有する主要基原子中心(main group atomic center)に不対電子が在る第二のラジカル(X・=Ar3C・、R2NO・、(CH32NCS2・)とに分解することができる重合開始剤(R−X)類を利用してきた。
リビング重合の従来の試みに関しては、ウェブスター,オー.ダブリュ.(Webster,O.W.)Science 251,887(1991)、オツ,ティー.(Otzu,T.)、マツナガ,ティー.(Matsunaga,T.)、クリヤマ,エー.(Kuriyama,A.)、ヨシャカ,エム.(Yoshaka,M.)Eur.Polym.J.25,643(1989);ブレツキ,エー.(Bledzki,A.)、ブラウン,ディー.(Braun,D.)、チツシュカウ,ケイ.(Titzschkaw,K.)Makromol.Chem.184,745(1983);およびソロモン,ディー.エッチ.(Solomon,D.H.)、リッツァルド,イー.(Rizzardo,E.)、カチオリ,ピー.(Cacioli,P.),米国特許第4581429号公報(1986)参照のこと。
これらの従来技術のアプローチは、ブロックおよび末端機能化重合体類の製造において限られた成功を収めたのみである。比較的高分子量において狭い分散度(dispersities)を維持できないこと、並びに、純粋なブロック共重合体を製造できないことが、この従来の技術の欠陥を例証している。主要基(main group)キャッピング剤が真のリビング・ラジカル重合の理想的な諸特徴を達成したこと、或いは、これらに近づけたことすら実証した例は無い。
発明の概要
本発明は、
(i)式:
L−M−(R)n
但し、Lは、L−Mによる成長重合体ラジカルからの水素原子引抜きを立体的に阻害するに十分な分子の大きさを有する配位子であり;
Mは、周期表の23から28番、40から46番、および72から78番の元素類の少なくとも一つから選ばれる遷移金属であり;
L−Mは、成長重合体鎖を可逆的にキャップすることにより停止反応(termination)を禁止し、そして重合を開始することができないものであり;
Rは、重合を開始する有機部分であり;そして、
nは、0または1である;
を有する遷移金属開始剤または開始剤先駆物質を生成する工程;
(ii)エチレン性不飽和単量体を開始剤、L−M−Rと、あるいはL−MプラスL−Mの外部のフリー・ラジカル開始剤からのR・源と接触させる工程;および
(iii)フリー・ラジカル・メカニズムにより前記単量体を重合し、それにより狭い分散度(polydispersity)を維持し、かつ、単量体が重合体に転化するに従い重合体の数平均分子量を実質的に比例的に(linearly)増加させる工程を包含する、
エチレン性不飽和単量体の擬似リビング・フリー−ラジカル重合の方法に広く関している。
本発明の好ましい方法としては、上述の広範な方法の次のような実施態様を挙げることができる:
・該単量体と遷移金属開始剤L−M−Rとを接触させることを包含する方法、
・該単量体とL−M−および外からのR・源とを接触させることを包含する方法、
・Mが、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuの群から選ばれる方法、
・MがCoである直前に記載の方法(より好ましい)、
・Lが、ポルフィリン類、フタロシアニン類、テトラアザ〔14〕アヌレン類(tetraaza[14]annulenes)、テトラアザポルフィリン類、ビシナル(vicinal)イミノヒドロキシイミノ化合物類とそれらの橋状(bridged)誘導体類、ジアザジヒドロキシイミノジアルキルデカジエン類および−ウンデカジエン類とそれらの橋状誘導体類、テトラアザテトラアルキル−シクロテトラデカテトラエン類および−ドデカテトラエン類、N,N−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン類、ならびにジアルキルジアザジオキソジアルキルドデカジエン類および−トリデカジエン類の群から選ばれる方法、
・Rが、炭素−炭素結合(carbon−to−carbon bond)により該遷移金属に結合した有機部分である方法、
・Rが、加熱時あるいは可視光線または紫外線照射時に該金属イオンからホモリチック解離(homolytic dissociation)することができる、アルキル、アリール、複素環種(heterocyclic species)またはこれらの種の一つの置換誘導体の群から選ばれる方法、
・Rがアルキルである直前に記載の方法、
・L−M−Rが(テトラメシチルポルフィリナート)コバルト−ネオペンチルである方法、
・L−M−Rが(テトラメシチルポルフィリナート)コバルト−CH(CO2CH3)CH2CH3である方法、
・L−Mが(テトラメシチルポルフィリナート)コバルト−(II)であり、R・がアゾ開始剤から誘導される方法、
・該アゾ開始剤が2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルである直前に記載の方法(より好ましい)、
・該単量体が1−置換エテンを包含する方法、
・該重合体が、アクリル酸、そのエステル類とアミド類、置換または不置換スチレン、アクリロニトリルまたはそれらの混合物類からなる群から選ばれる直前に記載の方法(より好ましい)、
・該重合体が単独重合体である方法、
・該重合体がランダム共重合体である方法、
・該共重合体が、下記の単位、即ち、アクリル酸、そのエステル類とアミド類、置換または不置換スチレン、アクリロニトリルまたはそれらの混合物類の少なくとも一つのランダム成分(random components)を包含する直前に記載の方法(より好ましい)、
・異なった単量体類を逐次添加してブロック共重合体を生成する方法、
・該重合体の多分散度(polydispersity)が約2を越えない方法、
・該重合体の多分散度が1.5を越えない直前に記載の方法(より好ましい)。
発明の詳細
本発明の方法は、リビング重合を特徴づける下記の基準を達成する。普通は、かかる重合はイオン・プロセス(ionic processes)によってのみ達成できるものであり、ここに述べるようなフリー・ラジカル・メカニズムでは達成できない:
(1)単量体の全てが消費されるまで重合が進行し、単量体を更に添加すると重合が継続することとなる;
Figure 0003558637
(3)重合体分子(および活性中心)の数は、それ故、転化率と無関係な不変数(constant)である;
(4)分子量は、反応の化学量論により制御できる;
(5)狭い分子量分布の重合体類が製造される;および、
(6)逐次的な単量体の添加によりブロック共重合体類を調製することができる。
ここで用いられる「配位子」なる用語は、錯体の金属中心に結合できる如何なる原子、ラジカルまたは分子として定義されるものである。アクシアル(axial)配位子または配位子類も存在してもよいが、エカトリアル(equatorial)配位子または配位子類が特に重要である。このような金属キレート錯体類は、炭素中心のラジカル(R・)と可逆的に結合できる一群の化合物類を提供する。
成長重合体ラジカルを可逆的に結合する機能を有する金属錯体類(ML)は、比較的弱いM−炭素結合を形成する第1遷移シリーズ金属類(Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu)を含むのが好ましい。下記する式や反応において、コバルトは金属の好ましい一例である。MLを成長重合体ラジカルと結合させ、停止反応を禁止するいかなる配位子またはいかなる一組の配位子類(L)も好適である。
ビニール単量体類(CH2=CH(X))の制御されたラジカル重合は、開始剤ラジカル(R・)とキャッピング剤(LCo・)の両方を提供する触媒としての例えば有機コバルト錯体(LCoR)の使用によって、あるいは、コバルト(II)錯体と、AIBNの如きジアルキル・アゾ化合物類のような従来のラジカル源から生成するアルキル・ラジカル類とからなる触媒系によって達成することができる。両タイプの触媒系に対するリビング・ラジカル・ビニール重合体鎖の成長反応は、同じタイプの重合体−コバルト有機金属錯体(R(CH2CHX)−Co)を通して、繰り返しの可逆的コバルト−炭素結合ホモリシス(homolysis)、1個以上の単量体単位の挿入、およびキャッピング剤としてのLCoII・による新しい重合体ラジカルのキャッピングにより起こる。これにより、リビング重合プロセスが成立する。
LM−R結合の熱または光分解(photolytic)ホモリシスにより、アルケン・ラジカル重合の成長反応を進める有機ラジカル(R・)と、続いて成長重合体ラジカル鎖を再キャップする金属錯体(ML)を生成する。有機ラジカル停止反応無しでこれらの出来事が繰り返されることにより、重合体の成長が継続することができる活性点を各重合体鎖が含む場合のリビング・ラジカル重合が成立する。
これは、次のように表すことができる:
Figure 0003558637
可逆的キャッピング剤の存在が下記のような有機ラジカル停止反応を防ぐ防御となる:
R.+R′.→R−R′
R.+RCH2CH(X).→R−H+RCH=CH(X)
但し、R′は、成長重合体鎖である。ここに記載したキャッピング剤類は、更なる成長の不可能な重合体鎖を生成する反応を防ぐ防護となる。LM錯体類の配位子類(L)を選ぶことによって、下記のような有機ラジカル停止反応を与えるLMと成長重合体ラジカルとの反応も禁止される場合に、かかるキャッピング剤の例が与えられる:
LM+RCH2CH(X).→LM−H+RCH=CH(X).
テトラメシチルポルフィリン((TMP)M)の如き立体的に要求の厳しい(sterically demanding)配位子類の金属錯体類は、有機ラジカル停止プロセスを阻止し、アクリレート類のほぼ理想的なリビング・ラジカル重合を生起することが分かっている。
異なった単量体類を逐次添加することにより、引き続いて多重(multiple)ブロック共重合体類を生成するのに用いることができる活性中心を含むブロック共重合体類を製造する。これは下記の反応で示される:
Figure 0003558637
アルケン類のラジカル重合における可逆的キャッピング剤として金属錯体を用いるこの新しいアプローチは、現存する技術と比べて大幅に改良されたリビングラジカル重合を達成する方法を提供する。
従来技術と異なって、本発明は、成長重合体ラジカル部位(site)との可逆的相互作用と結合に利用される金属錯体類に基づいている。キャッピング剤類として金属錯体類を使用する利点は、配位子類が立体的かつ電子的効果を有することと金属中心を選択することにより、金属−開始剤または金属−炭素結合解離エネルギーを調整するためと、ラジカル鎖の停止反応を生起する反応経路へのアクセスを制限するためとの双方に広く適用できる方法論が提供されることにある。金属−開始剤結合解離エネルギーの制御は、活性ラジカル中心を生成する速度と程度を調整する能力を与える。配位子類の立体的要求性(steric demands)と金属の電子的性質は、ラジカル重合を停止する副反応を抑えるのに利用することができる。
成長重合体ラジカルと可逆的に結合する金属錯体類を添加することにより、ビニール単量体類のリビング・ラジカル重合を達成することができる。例えば、有機ラジカル(R・)と反応し有機金属錯体(LM−R)を生成することができる金属錯体類(ML)は、アルケン類のラジカル重合の制御のための潜在的候補物である。これは、下記のように示される:
Figure 0003558637
有機金属錯体の可逆的解離は、有機金属錯体の生成まで単量体類の添加により成長する制御されたラジカル源となる。これらの出来事の繰り返しによりアルケン単量体のリビング・ラジカル重合が生起することとなる。
Figure 0003558637
金属錯体でキャップされたビニール重合体(ポリマー−CH2CHX−M)に異なった単量体を添加すると、重合が再開始されブロック重合体(AB)を生成する。一連の単量体類(X,Y...)を逐次添加すると、主に、下記のように多重ブロック共重合体類(AB,ABA,ABC等)を生成することができる。
Figure 0003558637
理想的なリビング・ラジカル重合においては、各重合体鎖は、更なる重合体鎖成長が起こる1個以上の活性点を有する。ラジカルを停止するプロセスは、最早重合に参加できない鎖を生じる。不可逆的ラジカル・カップリング(R.+R′.→R−R′)およびラジカル部位に隣接する炭素からの水素引抜き(RCH2CH(X).+R′.→R′−H+RCH=CH(X))は、ラジカルを停止するから、真のリビング・ラジカル重合を達成するためには抑制する必要がある。金属錯体類の立体的および電子的ファクターを変えることは、ラジカル停止プロセスを抑制するのに効果的であり得る。ラジカル重合を停止する有機ラジカル・カップリング(R.+R′.→R−R′)を、金属錯体とラジカルのクロス・
Figure 0003558637
質的に排除することができる。それ自身とはカップリングしない
Figure 0003558637
金属錯体を用いることによって、ラジカル(R・)に対する金属錯体(ML)の比を、可逆的クロス・カップリング
Figure 0003558637
(R.+R′.→R−R′)と不均化(R.+R′CH2CH(X).→R−H+R′CH=CH(X))を効果的に排除するように、確立することができる。成長ラジカル鎖からの水素引抜きは活性化されたプロセスであり、水素引抜き種(MLまたはR′・)がβ−H位に到達するのに立体的制限を受ける。反応温度の低下は、必ずβ−H引抜きを低減させる。金属錯体類の立体的要求性は、配位子類上に置換基類を用いることによって錯体の立体的必要条件を調整することにより容易に変えられる。金属中心がラジカルのβ−Hへ接近するのを阻害する配位子類を有する金属錯体類を構成することにより、金属錯体による水素引抜きを下記のように抑制しかつ効果的に排除することができる:
Figure 0003558637
それ故、本発明は、一般的に、リビング・ラジカル重合を達成する可逆的ラジカル・カップリング剤類としての金属錯体類の使用に関する。上に示したように、好ましい一群はコバルト錯体類である。コバルト(II)の強い場の(strong field)錯体類は、単一の非共有電子(LCo・)を有し、炭素中心ラジカル(R・)との反応によりラジカル・キャッピング剤として機能して有機コバルト錯体類(LCo−R)を生成することができる。比較的弱いコバルト−炭素結合は、次の通りに可逆的な炭素および金属中心ラジカル源を提供する:
Figure 0003558637
アルキル・ラジカル(R・)は、アルケン重合の成長反応の開始と促進を行い、コバルト金属ラジカル(cobalt metallo−radical)(LCo・)は成長重合体鎖を可逆的にキャップし、アルケン類の制御されたラジカル重合を生起する。コバルト金属ラジカル類は、アルケン類のラジカル重合を開始することはできず、それ故、リビング・ラジカル重合に適用するためのキャッピング剤の最低限の必要条件を満たしている。
コバルトポルフィリン類および関連のマクロサイクル(macrocycle)かつキレートの錯体類は、可逆的ラジカル・キャッピング剤類の例である。これらは、コバルト錯体の構造と反応条件に依存して、アクリレート類や関連のビニールアルケン単量体類のラジカル重合においてリビング特性(living character)の程度を変化させる。アルケン重合におけるリビング・ラジカル特性を確保するために、ラジカルを除去したり重合を停止させるプロセスは抑制する必要がある。ラジカル鎖成長の停止は、ラジカル中心に隣接する炭素からの水素原子引抜き(β−H引抜き)やポリマー間ラジカル鎖カップリングにより、しばしば生じる。コバルトポルフィリンまたは関連のコバルト錯体類の立体的要求性の増加と反応温度の低下の両方が、β位から成長重合体ラジカル中のラジカル中心への水素引抜きを減少させることが観察されている。コバルト(II)ポルフィリンまたは関連のCo(II)錯体類の存在は、コバルト金属ラジカル中心(LCo・)と重合体ラジカル(R′・)とがクロス・カップリングしてポリマー−コバルト有機金属錯体(LCo−R′)を生成することにより、ポリマー間ラジカル・カップリングによる停止を抑制する。ポリマー−コバルト有機金属錯体におけるLCo−C結合の
Figure 0003558637
重合を促進し続ける連続的な制御されたポリマー有機ラジカル源を提供する:
Figure 0003558637
ビニール単量体類(CH2=CH(X))の制御されたラジカル重合は、開始剤ラジカル(R・)とキャッピング剤(LCo・)の両方を与える有機コバルト触媒類(LCo−R)を用いることにより、または、キャッピング剤としてのコバルト(II)錯体の存在下にAIBNの如きアルキル・ラジカル源を用いて開始することにより達成される。何れの場合においてもリビング・ラジカル鎖の成長反応は、可逆的コバルト−炭素結合ホモリシスと単量体挿入の繰り返しによりポリマー−コバルト有機金属錯体(LCo−R)を介して起こる。コバルト錯体またはポリマー・ラジカル鎖に対する立体的要求性が増加するとLCo−C結合ホモリシス・エンタルピーが減少し、それによりポリマー・ラジカル濃度が増大し、従って、重合速度が増大する。配位子の立体的必要条件が増大すると、コバルトのβ−位への接近が阻害され、ラジカルを停止させて非リビング重合体単位を生成するβ−H引抜きプロセスを抑制または禁止する。
例えば、二つだけ例を挙げるならばテトラ(2,4,6−トリメチルフェニル)ポルフィリン、あるいは(TMP)Coとテトラ(2,4,6−トリエチルフェニル)ポルフィリンまたは(TTEPP)Coのような立体的に要求の厳しいコバルト錯体類を可逆的キャッピング剤類として用いると、アクリレート類のラジカル重合に対して、ほぼ理想的なリビング重合に伴う、転化率と比例的なMnの増加、低い分散度(1.1〜1.3)、およびブロック共重合体類の生成が観察される。好適には、配位子L上の置換基類は、フェニルと同じかそれより大きい立体的な嵩高さ(steric bulk)を有するのが好ましい。
本発明によれば、下記の式に従う遷移金属錯体類を開始剤および/またはキャッピング剤として用いることができる:
Figure 0003558637
式I aの遷移金属錯体BLM−Rにおいて、Mは遷移金属であり、Lは四つのエカトリアル配位部位(equatorial coordination sites)を占有する配位子または一組の配位子類であり、Rは加熱時あるいは可視光線または紫外線で照射時に金属イオンからホモリチック解離することができる種(species)である。このような種の例としては、水素、有機基、またはハロゲン原子を挙げることができる。Bは、式I aにおいてRに対してトランス(trans)のアクシアル位(axial position)を占める配位子である。開始剤およびキャッピング剤の両方の機能を有する錯体類は、5配位か6配位のいずれか(either five or six coordinate)で、一般式LM−Rか(B)LM−R(上記の式I bとI a)を有する。キャッピング剤として機能する錯体類は、4配位種か5配位種のいずれか、あるいは下記の式I cとI dに従う一般式(B)LMまたはLMを有する4配位錯体類か5配位錯体類の源である。
Figure 0003558637
エカトリアル配位は、単一のテトラデンテート(4歯状、tetradentate)キレート化配位子から、2個のバイデンテート(2歯状、bidentate)配位子から、または1個のバイデンテート配位子プラス2個のモノデンテート(1歯状、monodentate)、あるいはその他の適当な配位子類の組み合わせから得ることがきる。
I aおよびI bにおける基Rは、如何なるアルキル、アリール、複素環式種またはこれらの置換誘導体類も含めた共有結合アクシアル有機基である。
アクシアル配位子(B)としては、例えば、対立するアクシアル配位子の解離を禁止しない水、アルコールか他のヒドロキシル系種(hydroxylic species)、チオエーテル、アミン、フォスフィン、カルボニルまたはカルボキシレート(carboxylate)、その他の如何なる種であってもよい。特に有用な配位子類としては、ピリジンまたは置換ピリジン類のような弱塩基性アミン類を挙げることができる。配位子(B)は、重合混合物中に存在する単量体またはその他の種から現場で誘導されるものであってもよい。有用な剤としては、アクシアル配位子(B)を欠く種も挙げることができる。
代表的なエカトリアル配位子(L):ポルフィリン類(II)、フタロシアニン類(III)、テトラアザ〔14〕アヌレン類(IV)(tetraaza[14]annulenes)、テトラアザポルフィリン類(V)、ビシナル(vicinal)・イミノヒドロキシイミノ化合物類(VI)とそれらのBR2橋懸け橋状(BR2 bridged)誘導体類(VII)、ジアザジヒドロキシイミノジアルキルデカジエン類および−ウンデカジエン類(VIII)ならびにそれらのBR2橋懸け橋状(BR2 bridged)誘導体類(IX)、テトラアザテトラアルキル−シクロテトラデカテトラエン類および−ドデカテトラエン類(X)、ビシナル・ジヒドロキシイミノ化合物類のBR2橋懸け橋状(BR2 bridged)環状誘導体類(XI)、N,N−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン類(XII)、およびジアルキルジアザジオキソジアルキルドデカジエン類および−トリデカジエン類(XIII)。式II〜XIIIにおいて、各Rは、独立に−H、−F、−Cl、Br、−I、−CN、直鎖または分岐アルキル、アリールまたはアラルキル基であり;あるいは、隣接炭素原子上のRとRが一緒になってC5〜C8シクロアルキレンであり;各R2は、独立に−H、直鎖または分岐アルキル、アリールまたはアラルキルであり;R3は−F、−Cl、直鎖または分岐アルキル、アリールまたはアラルキルであり;R4は、−OHまたは−NH2であり;そして、nは2または3である。アルキル、アリールまたはアラルキル基類は、不置換でもよいし、ラジカル・キャッピング剤類としてのこれらの錯体類の使用と適合する置換基類で部分的または完全に置換されていてもよい。かかる置換基類の例としては、−OR5、−NR5 2、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2、−SO3R5および−R5を挙げることができ、ここでR5はHまたは直鎖または分岐アルキルである。これらの配位子類の金属錯体類の対応する構造を下に挙げる。即ち、構造IIに対応する金属錯体はXIVであり、構造III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XIIおよびXIIIに対応する金属錯体は、それぞれ、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、XXI、XXII、XIII、XXIVおよびXXVである。配位子類に対応するコバルト錯体類は、式XXVI〜XXXVIIに示されている。
Figure 0003558637
Figure 0003558637
Figure 0003558637
Figure 0003558637
Figure 0003558637
Figure 0003558637
Figure 0003558637
Figure 0003558637
式XIV〜XXXVIIにおいて、R、R2、R3およびnは上に定義した通りであり;各R6はOまたはNHのいずれかであり;そして、X-はNO-、Cl-、I-、BF4 -、SbF6 -またはR1COO-であり、ここでR1はC1〜C12アルキルである。上式のコバルト・キレート類は、反応媒体中に存在する物質から誘導される追加の配位子類と配位してもよいが、必要という訳では無い。
構造X〜XIIIの配位子類の調製の参考資料は、下記の特許に見出すことができる:ヤノビッツ,エー.エッチ.(Janowicz,A.H.)、米国特許第5,028,677号公報、1991年、ヤノビッツ,エー.エッチ.(Janowicz,A.H.)、メルビー,エル.アール.(Melby,L.R.)、米国特許第4,680,352号公報、1987年、ヤノビッツ,エー.エッチ.(Janowicz,A.H.)、米国特許第4,694,057号公報、1987年。
構造XXVI〜XXXVIIのコバルト錯体類は、それぞれ、対応する配位子類II〜XIIIとCo(II)X2とを反応させることにより調製することができる。例えば、引用することにより全体としてここに編入した共通に譲渡されたヤノクビッツ(Janocwicz)等の米国特許第4,680,352号公報に記載された合成を参照のこと。類似のコバルト(III)錯体類(LCo−R)は、これらがCo−R結合ホモリシスにより重合温度で急速に分解してR・ラジカルと対応するLCoIIラジカル・キャッピング剤を生成するならば、本発明の方法に用いることができる。かかる配位子類の例としては、−H、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、直鎖または分岐アルキル、またはフェニルを挙げることができる。アルキルおよびフェニル基類は、不置換でも、ラジカル開始剤としてのこれらの配位子類の使用に適合する置換基類で部分的または完全に置換されていてもよい。
LCo−R錯体類の合成についての参考資料は、オゴシ,エッチ.(Ogoshi,H.)、ワタナベ,イー.(Watanabe,E.)、コケツ,エヌ.(Koketsu,N.)、ヨシダ,ゼット.(Yoshida,Z.)、日本化学会誌(Bulletin of the Chemical Society of Japan),vol 49(9),2529−2536(1976);キャロット,エッチ.−ジェイ(Callot,H.−J.)、メッツ,エフ(Metz,F.)、クロマー,アール.(Cromer,R.)、ヌーボー・ジュルナル・ドゥ・シミー(Nouveau Journal De Chimie),vol 8,No.12,759(1984);および、フォーレット−ペリー(Fauret−perree)、ゴーデマー,エー.(Gaudemer,A.)、ボベリー,ピー.(Bovery,P.)、デビンク,ジェイ.(Devynck,J.)、ジャーナル・オブ・オーガノメタリック・ケミストリー(Journal of Organometallic Chemistry),120,439−451(1976)に見出される。ポルフィリン配位子類およびメタロポルフィリン錯体類(Metalloporphyrin complexes)は、アルドリッチ・ケミカルズ・カンパニー(Aldrich Chemicals Co.)、1001ダブリュ・セイント・ポール,アベニュー,ミルウォーキー,ダブリュアイ53233(1001 W.Saint Paul,Avenue,Milwaukee,WI 53233)やミッドセンチュリー・ケミカルズ(Midcentury Chemicals)、ピー.オー.ボックス217,ポセン,イリノイ60469(P.O.Box.217,Posen,IL 60469)から購入することもできる。
ここでの好ましいラジカル・キャッピング剤類は、フェニル環上で部分的または完全に置換された(テトラフェニルポルフィリナート)コバルト(II)誘導体類(上記XXXVIII)である。このような置換基類の例としては、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、OR7、−NR7 2、−SO3R7および−R7を挙げることができ,ここでR7は直鎖または分岐アルキル基である。これらの配位子類は、BF3−エーテラート(etherate)の存在下にピロールと対応する置換ベンズアルデヒドとを縮合し、次いでp−クロルアニルで酸化することにより調製される。ポルフィリン配位子類の合成については、ワグナー,アール.ダブリュ.(Wagner,R.W.)、ローレンス,ディー.エス.(Lawrence,D.S.)、リンゼイ,ジェイ.エス.(Lindsey,J.S.)、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),28,3069(1987)を参照のこと。コバルト(II)錯体類は、配位子類とCo(II)塩類、好ましくは酢酸コバルト(II)とを反応させることによって調製される。コバルト−ポルフィリン類の調製については、ロゼムンド,ピー.(Rothemund,P.)、メモッチ,エー.アール.(Memotti,A.R.)、ジェイ・エー・シー・エス(J.A.C.S),70,1808(1948)およびウェイランド,ビー.ビー.(Wayland,B.B.)、ミンキエビッツ,ジェイ.ブイ.(Minkiewicz,J.V.)、アブド−エル−マギード(Abd−El−Mageed)、ジェイ・エー・シー・エス(J.A.C.S),96,2795(1974)を参照のこと。XXXVIIIの好ましいコバルト(III)誘導体類(LCo−R)は、分岐かつ不置換または部分置換アルキル基を含む。これらの錯体類は、適当なコバルト(II)錯体類(LCo)をナトリウムアマルガムで還元し、次いで対応するハロゲン化アルキルと反応させてLCo−Rを生成することにより調製することができる。
重合は、重合媒体の存在下でも不存在下でも行うことができる。重合媒体類として好適な溶剤類は、重合に用いられる特定の単量体(類)と比較的小さな連鎖移動定数を有するベンゼン、トルエン、キシレン類等の芳香族炭化水素類、ピリジン類またはその他の溶剤類である。重合は、−80℃〜80℃で行うことができる。好ましい反応温度範囲は、25℃〜70℃である。公知の一群のアゾ重合開始剤類は何れも、それが選ばれた溶剤または単量体混合物中に必要な溶解度を有しかつ重合温度で適当な半減期を有するならば、好適である。開始剤は、重合プロセスに必要な全時間に比べて短い半減期を有するのが好ましい。本発明の方法は、好ましくは回分法で実施されるが、必要に応じて、例えば、半回分法、供給不足(starved feed)法または連続法の標準的重合法の何れかによって実施することができる。重合体は、溶剤と未反応単量体をストリッピング除去する(stripping off)ことによって単離し、重量を測って転化率(conversion)を求める。本発明の方法は、アクリル酸、そのエステル類、アミド類およびニトリル類の如き1−置換アルケン類、スチレン等、およびそれらの混合物について最も効率的に実施される。最大限の触媒活性を確保するために、窒素、アルゴンまたはその他の非酸化性ガスのような不活性雰囲気下で実質的に酸素の不存在下に重合を実施すべきである。
本発明の好ましい形態(aspects)として挙げることができるのは:
A. 金属錯体である可逆的ラジカル・キャッピング剤によってリビング重合を制御するエチレン性不飽和単量体類のリビング・フリー・ラジカル・単独重合または共重合の方法。
B. 該金属錯体がプロセスにおいてキャッピング剤および/または開始剤として機能することを特徴とするAの方法において、該遷移金属錯体が下記の式Iに従い、式中Mは二つの容易に相互転化される隣接した原子価状態を有する遷移金属イオンであり、Rは該遷移金属に不安定な結合により結合した無機または有機部分であり、Lはキレート化配位子類の平面状エカトリアルなまたはほぼ平面的な配列であり、そして、Bはアクシアル配位子である方法。
C. Lが、ラジカルを保有する炭素に対してβ位の水素原子の引抜きによる成長重合体鎖の停止を本質的に或いは効果的に立体的に抑制または排除するBの方法。
D. 該Lが、ポルフィリン類、フタロシアニン類、テトラアザ〔14〕アヌレン類(tetraaza[14]annulenes)、テトラアザポルフィリン類、ビシナル(vicinal)・イミノヒドロキシイミノ化合物類とそれらの橋状(bridged)誘導体類、ジアザジヒドロキシイミノジアルキルデカジエン類および−ウンデカジエン類とそれらの橋状誘導体類、テトラアザテトラアルキル−シクロテトラデカテトラエン類および−ドデカテトラエン類、N,N−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン類、ならびにジアルキルジアザジオキソジアルキルドデカジエン類および−トリデカジエン類から選ばれるAの方法。
E. L上の置換基類が、立体的嵩高さにおいてフェニルまたはそれより大きいAの方法。
F. Rが、炭素−金属結合によって該遷移金属に結合されている有機部分であるBの方法。
G. 該金属が、コバルト、鉄、クロムおよびマンガンからなる第1の遷移シリーズの一員であるAの方法。
H. 金属がコバルトであるAの方法。
I. エカトリアル配位が、単一のクウォドリデンテート(4歯状、quadridentate)キレート化配位子から、2個のバイデンテート(2歯状、bidentate)配位子から、または1個のバイデンテート配位子プラス2個のモノデンテート(1歯状、monodentate)、或いはその他の適当な配位子類の組み合わせから得られるAの方法。
J. Rが、加熱時或いは可視光線または紫外線で照射時に該金属イオンからホモリチック解離することができるアルキル、アリール、複素環式種またはこれらの種の一つの置換誘導体類であるAの方法。
K. 単量体のキャッピング剤に対する比が、5対1から10,000対1であるAの方法。
L. 生成物の分散度が1.0から1.5の範囲にあるAの方法。
M. アクシアル配位子Bが、水、アルコールか他のヒドロキシル系種(hydroxylic species)、チオエーテル、アミン、フォスフィン、カルボニルまたはカルボキシレート(carboxylate)化合物であるBの方法。
N. 配位子Bが、重合混合物中に存在する単量体またはその他の種から現場で誘導されるBの方法。
O. 有機または水性溶剤が重合媒体を与えるAの方法。
P. 該単量体類が1−置換エテンを包含するAの方法。
Q. 該単量体が、アクリル酸、そのエステル類とアミド類、置換または不置換スチレン、またはアクリロニトリルまたはそれらの混合物からなる群から選ばれるPの方法。
R. ブロック重合体を製造するために、一連の異なった単量体類を逐次添加することを更に包含するAによる方法。
S. 該単量体類の全てが同じであるAの方法。
T. 重合体生成物が、500〜1,000,000の分子量を有するAの方法。
U. Tの重合体生成物を用いて作成された塗料(coating)。
V. 該塗料が自動車仕上塗料(automotive finish)であるUの塗料。
W. 該重合体が、1.0〜1.5の範囲の分散度を有するUの塗料。
X. 該重合体が、50,000〜500,000の分子量を有するUの塗料。
Y. エチレン性不飽和単量体類のリビング・フリー・ラジカル共重合を包含するブロック重合体の製造方法において、金属錯体である可逆的ラジカル・キャッピング剤によりリビング重合が制御され、かつ、重合時に一連の異なった単量体類を逐次添加してブロック重合体を生成する方法。
実施例1
A. (TMP)Co−CH2C(CH3と称する(テトラメシチルポルフィリナート)コバルト−ネオペンチルの調製
減圧に適合させた止め栓を備えた反応器中に、100mg(0.0001モル)の(TMP)Co(II)および2gの(3%Na/Hgアマルガム)を入れた。100mlの量の新たに蒸留したTHFを、減圧蒸留法(vacuum distillation)により添加し、光を遮断して真空下に16時間混合物を攪拌した。Na/Hgアマルガムの除去後、溶媒THFを減圧排気して(evacuated)、300mg(0.002モル)の臭化ネオペンチル((CH33CCH2Br)を反応フロック(flock)中に減圧蒸留で送り込んだが、そこで、(TMP)Co−ネオペンチルの生成が直ちに起こった。減圧によって過剰のハロゲン化アルキルを除去後、不活性雰囲気の箱内に生成物を96%の収率(110mg)で集めた。(テトラフェニルポルフィリナート)コバルト−ネオペンチル、(TPP)Co−CH2C(CH3、および(TMP)Co−CH(CO2CH3)CH2CH3の調製のために同様の手順に従った。
B. 60℃でのメチル・アクリレートのリビング・ラジカル重合を開始かつ制御する触媒兼可逆的キャッピング剤としての(TMP)Co−ネオペンチル錯体、(TMP)Co−CH2C(CH3の使用
7.0g(0.081モル)の市販グレードの、阻害剤を含まないメチル・アクリレートおよび20mlの試薬グレードのベンゼンを反応容器に仕込み、室温で半時間窒素下に攪拌することにより脱酸素を行った。30mg(0.000033モル)の量の(TMP)Co−ネオペンチルを添加し、完全に溶解した後、系を60℃に加熱した。重合中にアリコート(aliquots)をシリンジ(syringe)で取り出し、過剰の単量体と溶剤をロータリー蒸発器(rotary evaporator)上で除去し(stripped out)、重合体の重量を測り、転化率を求めた。表Iは、経時による転化率と分子量の変化を示す。
Figure 0003558637
(TMP)Co−ネオペンチル無しで行った同様の実験では、24時間内に観察できる量の重合体を生成しなかった。
実施例2
本実施例は、メチル・アクリレートのリビング・ラジカル重合を開始かつ制御する(TMP)Co−CH(CO2CH3)CH2CH3の使用を説明する。
31mg(0.000033モル)の(TMP)Co−CH(CO2CH3)CH2CH3を開始剤兼キャッピング剤として用いた以外は、実施例1を繰り返した。転化率と分子量のデータを表IIに纏めた。
Figure 0003558637
実施例3
本実施例は、連鎖移動プロセスによる停止に起因するより高い温度でのリビング性(livingness)の低下を説明する。
反応温度を80℃とした以外は、実施例1を繰り返した。転化率と分子量のデータを表IIIに纏めた。(TMP)Co−ネオペンチル無しで行った同様の実験では、7時間内に観察できる量の重合体を生成しなかった。
Figure 0003558637
実施例4
本実施例は、エカトリアル配位子類の大きさの減少に起因する重合リビング性の比率の低下を説明する。
T=60℃で24.5mg(0.000033モル)の(TPP)Co−ネオペンチルを開始剤兼キャッピング剤として用いた以外は、実施例1を繰り返した。転化率と分子量のデータを表IVに纏めた。
Figure 0003558637
実施例5
本実施例は、アゾ開始剤により開始されたメチル・アクリレートのリビング・ラジカル重合を制御する安定な金属ラジカル(metalloradical)可逆的キャッピング剤としての(TMP)Co(II)の使用を説明する。
0.055g(0.000065モル)の(TMP)Co(II)、0.010g(0.000032モル)の2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、14g(0.16モル)の市販グレードの、阻害剤を含まないメチル・アクリレートおよび28mlの試薬グレードのベンゼンを反応容器に仕込んだ。アゾ開始剤の半減期は60℃で11分である。混合物を室温で半時間窒素下に攪拌することにより脱酸素を行い、続いて60℃で加熱した。重合中にアリコート(aliquots)をシリンジで取り出し、過剰の単量体と溶媒をロータリー蒸発器上で除去した(stripped out)。表Vは、経時による転化率と分子量の変化を示す。
Figure 0003558637
(TMP)Co(II)ラジカル無しで行った同様の実験では、90分で75%の転化率でポリ(メチル・アクリレート)を生成したが、恐らく非常に高い分子量のためにTHF中の溶解度が非常に低かった。
実施例6
本実施例は、メチル・アクリレートとブチル・アクリレートのブロック共重合体の合成における安定な金属ラジカル可逆的キャッピング剤としての(TMP)Co(II)の使用を説明する。
0.060g(0.000072モル)の(TMP)Co(II)錯体を用いた以外は、実施例5に記載されたと同様にメチル・アクリレートの重合を行った。60℃で6時間の重合後、重合体溶液を冷却し、溶剤と単量体を減圧下に除去した(stripped out)。共に予め脱酸素した15g(0.11モル)の量の市販グレードの、阻害剤を含まないブチル・アクリレートおよび25mlの試薬グレードのベンゼンを重合体試料に加えた。60℃で更に6時間重合を続け、次いで単量体と溶剤を減圧下に除去した(stripped out)。第1の重合工程の生成物は、転化率28%で下記の特性を有するポリ(メチル・アクリレート)であった:
Figure 0003558637
実施例7
本実施例は、メチル・アクリレートとアクリル酸のブロック共重合体の合成における安定な金属ラジカル可逆的キャッピング剤としての(TMP)Co(II)の使用を説明する。
0.065g(0.000077モル)の(TMP)Co(II)錯体を用いた以外は、実施例5と同様にメチル・アクリレートの重合を行った。60℃で6時間の重合後、重合体溶液を冷却し、溶剤と単量体を減圧下に除去した(stripped out))。共に予め脱酸素した10g(0.14モル)の量の市販グレードの阻害剤を含まないアクリル酸および25mlのベンゼンを重合体試料に加えた。60℃で更に6時間重合を続け、次いで未反応単量体と溶剤を減圧下に除去
Figure 0003558637
実施例8
本実施例は、メチル・アクリレートのリビング・ラジカル重合における安定な金属ラジカル可逆的キャッピング剤としてのテトラ(トリエチルフェニル)ポルフィリンCo(II)錯体、(TTEPP)Co(II)のエカトリアル配位子類の立体的大きさの増加に起因するリビング性の喪失の無い重合速度の増大を説明する。
0.066g(0.000065モル)の(TTEPP)Co(II)をキャッピング剤として用いた以外は、実施例5を繰り返した。表VIIIは、経時による転化率と分子量の変化を示す。
Figure 0003558637
実施例9
本実施例は、ブチル・アクリレートのリビング・ラジカル重合における安定な金属ラジカル可逆的キャッピング剤としてのテトラ(o−ジクロロフェニル)ポルフィリンCo(II)、(Cl8TPP)Co(II)の使用を説明する。
単量体としての0.034g(0.000036モル)のブチル・アクリレートを使用した以外は、実施例5を繰り返した。表IXは、経時による転化率と分子量の変化を示す。
Figure 0003558637
実施例10
本実施例は、溶剤の不存在下に純粋なメチル・アクリレートのリビング・ラジカル重合における安定な金属ラジカル可逆的キャッピング剤としての(TMP)Co(II)の使用を説明する。
重合を塊状−溶剤を使用しなかった−で行い、かつ、0.065g(0.000077モル)の(TMP)Co(II)錯体を用いた以外は、実施例5を繰り返した。表Xは、経時による転化率と分子量の変化を示す。
Figure 0003558637
ここに、本開示と特許請求の範囲により本発明を実施するための現在考えられる最良の態様を示したが、重合される単量体(類)、使用される重合体キャッピング剤と開始剤およびそれらの量、並びに、温度、圧力、転化率および収率などの重合条件を始めとする種々のファクターに最良の態様の選択が依存するであろうと理解される。本開示に鑑み、本発明の多くの改良法が当業者に明らかとなろう。これらの改良法の全てが、添付された特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。

Claims (19)

  1. (i)式:
    L−M−(R)n
    但し、Lは、ポルフィリン類、フタロシアニン類、テトラアザ〔14〕アヌレン類、テトラアザポルフィリン類、ビシナル・イミノヒドロキシイミノ化合物類とそれらの橋状誘導体類、ジアザジヒドロキシイミノジアルキルデカジエン類および−ウンデカジエン類とそれらの橋状誘導体類、テトラアザテトラアルキル−シクロテトラデカテトラエン類および−ドデカテトラエン類、N,N−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン類、ならびにジアルキルジアザジオキソジアルキルドデカジエン類および−トリデカジエン類の群から選ばれる配位子であり、
    Mは、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuの群から選ばれる遷移金属であり;
    L−Mは、成長重合体鎖を可逆的にキャップすることにより停止反応を禁止し、そして重合を開始することができないものであり;
    Rは、重合を開始する有機部分であり;そして、
    nは、0または1である;
    を有する遷移金属開始剤または開始剤先駆物質を生成する工程;
    (ii)エチレン性不飽和単量体を、遷移金属開始剤(L−M−R)と、或いは開始剤先駆物質(L−M)およびフリー・ラジカル(R・)発生源と接触させる工程;および
    (iii)前記エチレン性不飽和単量体をフリー・ラジカル重合させ、それにより狭い分散度を維持し、かつ、単量体が重合体に転化するに従い重合体の数平均分子量を実質的に比例的に増加させる工程
    を包含することを特徴とするエチレン性不飽和単量体のリビング・フリー・ラジカル重合の方法。
  2. 前記エチレン性不飽和単量体を、遷移金属開始剤L−M−Rと接触させること包含することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記エチレン性不飽和単量体を、開始剤先駆物質(L−M)およびフリー・ラジカル(R・)発生源と接触させることを包含することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. MがCoであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. Rが、炭素−炭素結合により前記遷移金属に結合した有機部分であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. Rが、アルキル、アリール、複素環種またはこれらの種の一つの置換誘導体の群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. Rがアルキルであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. L−M−Rが(テトラメシチルポルフィリナート)コバルト−ネオペンチルであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  9. L−M−Rが(テトラメシチルポルフィリナート)コバルト−CH(CO2CH3)CH2CH3であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  10. L−Mが(テトラメシチルポルフィリナート)コバルト−(II)であり、R・がアゾ開始剤から誘導されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  11. 前記アゾ開始剤が2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記エチレン性不飽和単量体が1−置換エテンを包含することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  13. 前記エチレン性不飽和単量体が、アクリル酸、そのエステル類とアミド類、置換または不置換スチレン、アクリロニトリルまたはそれらの混合物類からなる群から選ばれることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記重合体が単独重合体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  15. 前記重合体がランダム共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. 前記共重合体が、下記の単位、即ち、アクリル酸、そのエステル類とアミド類、置換または不置換スチレン、アクリロニトリルまたはそれらの混合物類の少なくとも一つのランダム成分を包含することを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 異なった単量体類を逐次添加してブロック共重合体を生成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  18. 前記重合体の多分散度が2を越えないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  19. 前記重合体の多分散度が1.5を越えないことを特徴とする請求項18に記載の方法。
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