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JP3559137B2 - 熱伝導性接着剤組成物及び該組成物を用いた熱伝導性接着フィルム - Google Patents
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JP3559137B2 - 熱伝導性接着剤組成物及び該組成物を用いた熱伝導性接着フィルム - Google Patents

熱伝導性接着剤組成物及び該組成物を用いた熱伝導性接着フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱伝導性接着剤組成物及び該組成物をフィルムにした熱伝導性接着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、多層配線板、PGA、BGAなどの半導体パッケージに対する配線の高密度化や電子部品の搭載密度が大きくなり、また、半導体素子も高集積化して単位面積あたりの発熱量が大きくなったため、半導体パッケージからの熱放散をよくすることが望まれるようになっている。それに伴いヒートマネージメントが重要になってきているが、従来、熱伝導性が良い熱硬化系接着フィルムで、高レベルの耐熱性、耐湿性を有するものは得られていなかった。 このような熱伝導性が良い熱硬化系接着フィルムは異種材料の接着に使用されるため、熱膨張率の違いにより発生するそりやクラックを生じないことが好ましく、そのためには、接着剤が低弾性率であり、熱応力を緩和することが望まれるが、上記の特性に加えて低弾性率化を図ったものは得られていなかった。
【0003】
従来、低弾性率の熱伝導性接着剤としては、ゴム系粘接着剤に無機フィラーを添加したものなどが知られている。これは、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムなどの各種ゴムを主成分とする接着剤であり、これらのゴムは、接着剤の強度、可撓性及び密着性を改善するために使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらのうち、アクリルゴムを主成分とする系では、高温長時間処理後の接着力の低下は比較的小さいが、高温時の接着強さが不十分であるほか、吸湿時の特性低下が大きいという欠点があった。また、NBRを主成分とする系では、高温長時間処理後の接着力の低下が大きいことや、耐電食性に劣ることなどの欠点があった。特に、PCT処理等、近年の電子機器の厳しい条件での耐湿性試験を行った場合の劣化が大きかった。吸湿後のはんだ耐熱性を向上させたものとしては、特開昭60−243180号公報に示されるアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート及び無機フィラーを含む接着剤があり、また特開昭61−138680号公報に示されるアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、分子中にウレタン結合を有する両末端が第1級アミン化合物及び無機フィラーを含む接着剤があるが、特開昭60−243180号公報は、樹脂混合物100重量部に対して無機フィラーを10〜45重量部添加するものであり、また特開昭61−138680号公報は、樹脂混合物100重量部に対して無機フィラーを10〜100部添加するものであり、熱伝導性の向上の効果はあまり大きくない。
【0005】
また、ゴムーエポキシ樹脂系接着剤において、反応性を有するアクリルゴム、アクリロニトルリルブタジエンゴムなどをエポキシ樹脂に混合した接着剤があり、これらの接着剤は、高温接着性等が改善されている。 反応性ゴム系接着剤として反応性アクリル系接着剤は、特開平3−181580号公報に示されるように、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基含有アクリルエラストマ及びアルキルフェノール、エポキシ樹脂、イミダゾリウムトリメリテートからなる接着剤組成物があり、フレキシブル印刷配線板のベースフィルムと銅箔とを接着する分野に用いられる。また光沢面との接着性、耐熱性を向上させたものとして特開平7−76679号公報のエポキシ基を有するアクリルエラストマ60〜80重量部及びアルキルフェノール8〜20重量部、エポキシ樹脂8〜20重量部、イミダゾール系硬化剤0.2〜1.0重量部を必須成分とする抵抗回路付きシートヒーター用接着剤組成物があるほか、特開平7−173449号公報に示されるように、エポキシ基含有アクリルゴムを主成分としたエポキシ基含有アクリルエラストマ系接着剤組成物がある。これらは比較的低弾性率の接着剤であるが熱伝導率はよくない。
【0006】
これらの接着剤にフィラーを含有することにより、熱伝導性接着剤を得ることは容易に類推できるが、これらにフィラーを混合した場合、熱伝導性が向上するが、同時に接着性が低下したり、あるいは弾性率が上昇するという問題点があった。この理由として、フィラーの割合を高くすると、被着体と接する接着剤の表面に、接着に寄与しないフィラーが存在する確率が大きくなり、そのため接着性が低下したり、流動性、濡れ性が低いゴム成分を多量に含んでいるところに、フィラーを添加するため、被着体との濡れ性がさらに低下し接着性が低下すると考えられる。また、フィラーの補強効果のために弾性率が上昇するということが考えられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、熱伝導性及び低弾性率化の両立を図るとともに、特に接着性、耐湿性、耐熱性、絶縁信頼性に優れた熱伝導性接着剤組成物及び該組成物を用いた熱伝導性接着フィルムを提供することを目的とする。
本発明の熱伝導性接着剤組成物は、エポキシ樹脂とその硬化剤、高分子量樹脂、硬化促進剤、無機フィラーからなっており、それから得られる熱伝導性接着フィルム中の一部をゲル化させ網目構造を形成させることを特徴としている。これにより、網目より小さい液状樹脂の成分は網目をすり抜けることが可能であり、濡れ性、接着性の良い液状樹脂成分のみが被着体と接する接着フィルム表面に浸み出し、接着に寄与する。これに対して、網目化した高分子量樹脂や無機フィラーは網目をすり抜けることができないため移動できず、濡れ性、接着性に乏しい網目化した高分子量樹脂や無機フィラーは接着フィルム表面に浸み出してこないため、接着性が低下することがないと考えられる。
本発明は、上記のような考えによりなされ、低弾性率化、高熱伝導率化をはかったものである。
【0008】
本発明は(1)エポキシ樹脂及びその硬化剤を合わせて100重量部、(2)エポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量が3万以上の高分子量樹脂1〜40重量部、(3)Tg(ガラス転移温度)が0℃以下であり反応性の官能基を有する重量平均分子量10万以上の高分子量樹脂100〜250重量部(但し100重量部は除く)、(4)硬化促進剤0.1〜5重量部及び(5)球形アルミナを、樹脂100体積部に対して30〜130体積部含む熱伝導率が0.6W/m・K以上である熱伝導性接着剤組成物を基材上に塗布し、その硬化度をDSC(示差走査熱分析)を用いて測定した場合の全硬化発熱量の10〜40%の発熱を終えた状態にした熱伝導性接着フィルムである。また本発明は、Tgが0℃以下であり反応性の官能基を有する重量平均分子量10万以上の高分子量樹脂がエポキシ基を1〜10モル%含んだアクリルゴムであることを特徴とし、さらに、本発明は、上記熱伝導性接着フィルムを金属箔上に貼付してなる接着剤付き金属箔に適用した熱伝導性接着フィルムに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において使用される(1)のエポキシ樹脂は、硬化して接着作用を呈するものであれば良く制限するものでないが、二官能以上で、分子量が5,000未満、好ましくは3,000未満のエポキシ樹脂が好適に使用される。特に、分子量が500以下のビスフェノールA型またはビスフェノールF型液状樹脂を用いると積層時の流動性を向上させることができて好ましい。分子量が500以下のビスフェノールA型またはビスフェノールF型液状樹脂は、油化シェルエポキシ株式会社から、エピコート807、エピコート827、エピコート828という商品名で市販されている。また、ダウケミカル日本株式会社からは、D.E.R.330、D.E.R.331、D.E.R.361という商品名で市販されている。さらに、東都化成株式会社から、YD128、YDF170という商品名で市販されている。
【0010】
高Tg化を目的に多官能エポキシ樹脂を加えてもよい。多官能エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が例示される。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂は、日本化薬株式会社から、EPPN−201という商品名で市販されている。また、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、住友化学工業株式会社から、ESCN−001、ESCN−195という商品名で、また、前記、日本化薬株式会社から、EOCN1012、EOCN1025、EOCN1027という商品名で市販されている。
【0011】
本発明において使用される(1)のエポキシ樹脂の硬化剤は、特に制限するものではないが、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する化合物であるフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂を用いるのが好ましい。吸湿時の接着性、耐電食性に優れるからである。
【0012】
このような硬化剤として、大日本インキ化学工業株式会社から、フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH4150、フェノライトVH4170という商品名で市販されている。
【0013】
本発明で用いる(4)の硬化促進剤としては、各種イミダゾール類を用いるのが好ましい。イミダゾールとしては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられる。
イミダゾール類は、四国化成工業株式会社から、2E4MZ、2PZ−CN、2PZ−CNSという商品名で市販されている。
【0014】
本発明において使用される(2)のエポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量3万以上の高分子量樹脂としては、フェノキシ樹脂、高分子量エポキシ樹脂、超高分子量エポキシ樹脂、極性の大きい官能基含有ゴム、極性の大きい官能基含有反応性ゴムなどが挙げられる。Bステージにおける接着剤のタック性の低減や硬化時の可撓性を向上させるため重量平均分子量が3万以上とされる。前記極性の大きい官能基含有反応性ゴムは、アクリルゴムにカルボキシル基のような極性が大きい官能基を付加したゴムが挙げられる。ここで、エポキシ樹脂と相溶性があるとは、硬化後にエポキシ樹脂と分離して二つ以上の相に分かれることなく、均質混和物を形成する性質を言う。
フェノキシ樹脂は、東都化成株式会社から、フェトートYP−40、フェトートYP−50、フェトートYP−60という商品名で市販されている。
【0015】
高分子量エポキシ樹脂は、分子量が3〜8万の高分子量エポキシ樹脂、さらには、分子量が8万を超える超高分子量エポキシ樹脂(特公平7−59617号、特公平7−59618号、特公平7−59619号、特公平7−59620号、特公平7−64911号、特公平7−68327号公報参照)があり、何れも日立化成工業株式会社で製造している。カルボキシル基含有アクリロニトリル−ブダジエンゴムは、日本合成ゴム株式会社から、PNR−1という商品名で、また、日本ゼオン株式会社から、ニポール1072という商品名で市販されている。
上記エポキシ樹脂と相溶性がありかつ重量平均分子量が3万以上の高分子量樹脂の添加量は、エポキシ樹脂を主成分とする相(以下エポキシ樹脂相という)の可撓性の不足、タック性の低減やクラック等による絶縁性の低下を防止するため1重量部以上、エポキシ樹脂相のTgの低下を防止するため40重量部以下とされる。
【0016】
本発明において使用する(3)のTgが0℃以下であり反応性の官能基を有する重量平均分子量10万以上の高分子量樹脂としては反応性を有するエポキシ基を含有する、アクリルゴム、NBR等が挙げられる
【0017】
また、反応性の官能基を有する高分子量樹脂の重量平均分子量は10万以上200万以下であることが必要であり、好ましくは80万以上200万以下である。高分子量樹脂の重量平均分子量が10万未満であると、接着フィルムの可撓性が低下するとともに、フロー性が大きくなりすぎてしまい、樹脂の浸出量の制御が困難になる。また、200万を超えるとフロー性が小さくなり、回路充填性の低下等が生じ好ましくない。
【0018】
上記反応性の官能基を有する重量平均分子量10万以上の高分子量樹脂の配合量は、100〜250重量部とされる。配合量が、100重量部未満であると、弾性率が大きくなり、熱応力の緩和が不十分になり、ひいてはヒートサイクル後のクラック発生、剥離の発生を生じる点で好ましくなく、250重量部を超えると接着剤のフロー性が低下するため、接着性の低下、ひいては絶縁信頼性の低下、耐熱性の低下、耐湿性の低下が起こるため好ましくない。
【0019】
本発明では、接着剤として異種材料間の界面結合をよくするために、カップリング剤を配合することもできる。カップリング剤としては、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0020】
前記したシランカップリング剤は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがNUC A−187、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランがNUC A−189、γ−アミノプロピルトリエトキシシランがNUC A−1100、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランがNUC A−1160、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランがNUC A−1120という商品名で、いずれも日本ユニカー株式会社から市販されている。
カップリング剤の配合量は、添加による効果や耐熱性およびコストから、樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部を添加するのが好ましい。
【0021】
さらに、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性をよくするために、イオン捕捉剤を配合することができる。イオン捕捉剤の配合量は、添加による効果や耐熱性、コストより、5〜10重量部が好ましい。イオン捕捉剤としては、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤を配合することもできる。ビスフェノール系還元剤としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第3−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−第3−ブチルフェノール)等が挙げられる。
トリアジンチオール化合物を成分とする銅害防止剤は、三協製薬株式会社から、ジスネットDBという商品名で市販されている。またビスフェノール系還元剤を成分とする銅害防止剤は、吉富製薬株式会社から、ヨシノックスBBという商品名で市販されている。
【0022】
また、無機イオン吸着剤としては、東亜合成化学工業株式会社から、ジルコニウム系化合物を成分とするものがIXE−100という商品名で、アンチモンビスマス系化合物を成分とするものがIXE−600という商品名で、マグネシウムアルミニウム系化合物を成分とするものがIXE−700という商品名で、市販されている。また、ハイドロタルサイトは、協和化学工業から、DHT−4Aという商品名で市販されているものがある。
【0023】
さらに、本発明においては(5)の無機フィラーを樹脂100体積部に対して30〜130体積部配合する。無機フィラーの配合は、接着フィルムの熱伝導性を0.6W/m・K以上にすることを目的とするものである。無機フィラーの配合量が樹脂100体積部に対して30体積部未満であると、配合の効果が少なく、130体積部を超えて配合すると、接着剤の可撓性低下、接着性の低下、ボイド残存による耐電圧の低下等の問題が発生する。なお、40体積部以上を配合する場合には、パッキングのよい適切な粒度分布を有するものを使用する必要がある。 なお、熱伝導率はチップや基板からの熱を放散するために0.6W/m・K以上が必要である。
【0024】
無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、炭化ケイ素などが挙げられる。
【0025】
特に、熱伝導性をよくするためには、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカが好ましい。
【0026】
この内、アルミナは、熱伝導性が良く、耐熱性、絶縁性が良好な点で好適である。また、球形アルミナはフィラーを多量の添加した場合でも接着剤の弾性率の上昇が少ない点で特に好ましい。このような球形アルミナとしては昭和電工株式会社からAS−50、AS−40、AS−30という商品名で市販されている。
結晶性シリカは、熱伝導性の点ではアルミナより劣るが、イオン性不純物が少ないため、PCT処理時の絶縁性が高く、銅箔、アルミ線、アルミ板等の腐食が少ない点で好適である。
【0027】
本発明の熱伝導性接着剤組成物は、ワニスとしてそのまま使用するほか、各成分を溶剤に溶解・分散してワニスとし、基材上に塗布し、加熱して溶剤を除去してフィルム状態で使用することが可能である。
ワニス化の溶剤は、比較的低沸点の、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−エトキシエタノール、トルエン、ブチルセルソルブ、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノールなどを用いるのが好ましい。また、塗膜性を向上するなどの目的で、高沸点溶剤を加えても良い。高沸点溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
ワニスの製造は、無機フィラーの分散を考慮した場合には、らいかい機、3本ロール及びビーズミル等により、またこれらを組み合わせて行なうことができる。フィラーと低分子量物をあらかじめ混合した後、高分子量物を配合することにより、混合に要する時間を短縮することも可能となる。また、ワニスとした後、真空脱気によりワニス中の気泡を除去することが好ましい。基材としては、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム等やそれらを離型処理したフィルムなどを使用することができる。
【0028】
さらに、銅箔やアルミニウム箔等の金属箔を基材として使用することができる。金属箔を基材として使用し、本発明の接着剤組成物を塗布することにより、接着剤付きの金属箔として、さらに、アルミニウム板、銅板上にスクリーン印刷または塗布したり、フィルムを貼付けして使用することも可能である。これらの金属箔は、マット処理等の粗面化処理を行っていることが好ましい。
【0029】
これらに接着剤組成物ワニスを塗布または印刷した後、溶剤を乾燥、接着剤の若干の硬化を行う必要がある。
【0030】
上記プラスチックフィルム等の基材上に接着剤ワニスを塗布し、加熱乾燥して溶剤を除去するが、これにより得られる接着フィルムは、DSC(示差走査熱分析)を用いて測定した全硬化発熱量の10〜40%の発熱を終えた状態とされる。溶剤を除去する際に加熱するが、この時、接着剤組成物の硬化反応が進行しゲル化してくる。その際の硬化状態が接着剤の流動性に影響し、接着性や取扱い性を適正化する。
DSC(示差走査熱分析)は、測定温度範囲内で、発熱、吸熱の無い標準試料との温度差をたえず打ち消すように熱量を供給または除去するゼロ位法を測定原理とするものであり、測定装置が市販されておりそれを用いて測定できる。樹脂組成物の反応は、発熱反応であり、一定の昇温速度で試料を昇温していくと、試料が反応し熱量が発生する。その発熱量をチャートに出力し、ベースラインを基準として発熱曲線とベースラインで囲まれた面積を求め、これを発熱量とする。室温から250℃まで5〜10℃/分の昇温速度で測定し、上記した発熱量を求める。これらは、全自動で行なうものもあり、それを使用すると容易に行なうことができる。つぎに、上記ベースフィルムに塗布し、乾燥して得た接着剤の発熱量は、つぎのようにして求める。まず、25℃で真空乾燥器を用いて溶剤を乾燥させた未硬化試料の全発熱量を測定し、これをA(J/g)とする。つぎに、塗工、乾燥した試料の発熱量を測定し、これをBとする。試料の硬化度C(%)(加熱、乾燥により発熱を終えた状態)は、つぎの数1で与えられる。
【0031】
【数1】
C(%)=(A−B)×100/A
【0032】
熱伝導性接着フィルムの硬化度については、DSCを用いて測定した場合の全硬化発熱量の10〜40%の発熱を終えた状態にすることが必要である。
【0033】
硬化度が10%未満の場合、網目構造が十分発生していないため、液状成分、高分子量成分、無機フィラーがともに流動し、被着面と接着するため、接着性が低下する点で好ましくない。また、硬化度が40%を越えると、網目構造が密になり、その他の液状成分まで硬化するため、液状成分、無機フィラーの流動性が低下し、接着性が低下するので好ましくない。
【0034】
硬化度が10%以上、40%以下の場合、接着剤中に網目構造が適度に形成されるため、網目より小さい液状樹脂の成分は網目をすり抜けることが可能であり、濡れ性、接着性の良い液状樹脂成分のみが被着体と接する接着剤表面に浸み出し、接着に寄与する。これに対して、網目化した高分子量成分及び無機フィラーは網目をすり抜けることができないため移動できず、濡れ性、接着性の悪い網目化した高分子量成分及び無機フィラーは接着剤表面に浸み出してこないため、接着性が低下することがないと考えられる。
【0035】
またこれに付随する本発明の接着剤の特徴として、熱伝導性接着剤組成物中のエポキシ基含有アクリルゴムやエポキシ樹脂等のエポキシ樹脂の混合比率が大きいことである。エポキシ樹脂はTgが比較的高く、かつ、耐湿性が良好であるため、エポキシ樹脂混合比を大きくすることで、耐湿性、耐熱性の向上が図られる。
【0036】
以上をまとめると、以下のような特徴を有する。
1) 未反応のエポキシ樹脂の成分が多数残存しているため、圧力がかかった場合、ゲル中より未反応成分が浸みだすため、多量の高分子量成分やフィラーを多量に含む場合でも接着性が良好である。
2)エポキシ樹脂を添加したことで、耐湿性の向上がはかられる。
3)分子量の大きい高分子量樹脂を使用することで、接着剤の低弾性率化を図れる。
4)本発明で規定したエポキシ基含有アクリルゴムを使用することにより、耐電圧、耐電食性の特性を付与できる。
5)高分子量樹脂がゲル化しているため、エポキシ樹脂の未反応成分が多数残存している場合に圧力をかけたとしても、未反応成分が極端に流動し多量の浸み出しを発生し、接続端子を覆う等の不良が発生しない。
6)接着剤がエポキシ樹脂等の未反応成分を多く含んだ状態でフィルム化できるため接着フィルムのライフ(有効使用期間)が長くなるという利点がある。
7)上記の効果に加えて、接着剤の熱伝導性向上、接着剤に難燃性を付与できる。
以下、本発明に係る熱伝導性接着剤組成物及びその組成物を用いた熱伝導性接着フィルムについて実施例により具体的に説明する。
【0037】
【実施例】
<実施例1>
以下に示す組成物より熱伝導性接着フィルムを作製した。
エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量=200、油化シェルエポキシ株式会社製商品名、エピコート828を使用した)45重量部とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業株式会社製商品名、ESCN001を使用した)15重量部、硬化剤としてビスフェノールA型ノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製商品名、プライオ−フェンLF2882を使用した)40重量部、そしてエポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量が3万以上の高分子量樹脂としてフェノキシ樹脂(分子量5万、東都化成株式会社製商品名、フェトートYP−50を使用した)15重量部、反応性の官能基を有する重量平均分子量10万以上の高分子量樹脂としてエポキシ基含有アクリルゴム(分子量100万、Tg−7℃、帝国化学産業株式会社製商品名、HTR−860P−3を使用した)150重量部、硬化促進剤として1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製商品名、キュアゾール2PZ−CN)0.5重量部、γ−グリシドキシプロピルトリトメキシシラン(日本ユニカー株式会社製商品名、NUC A−187を使用した)0.5重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加え、さらに無機フィラーとして平均粒径5μmのアルミナ(昭和電工株式会社製商品名、AS−50を使用した)1500重量部(樹脂100体積部に対して40体積部)。これをビーズミルで混合し、さらにメチルエチルケトンを加えて粘度を調整し、真空脱気した。得られたワニスを、基材として厚さ70μmの離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、110℃で15分間加熱乾燥して、フィルム厚みが0.1mmのBステージ状態の熱伝導性接着フィルムを作製した。なおこの状態での接着フィルムの硬化度は、DSC(デュポン社製912型DSC)を用いて測定(昇温速度、10℃/分)した結果、全硬化発熱量の20%の発熱を終えた状態であった。
【0038】
<実施例2>
アルミナを平均粒径5μmのアルミナを750重量部にしたこと以外は実施例1と同様の方法で接着フィルムを作製した。なおこの状態での接着フィルムの硬化度は、DSCを用いて測定した結果、全硬化発熱量の15%の発熱を終えた状態であった。
【0039】
上記<実施例1><実施例2>の配合組成を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003559137
【0041】
<比較例1>
エポキシ基含有アクリルゴムの添加量を45重量部に変更し、アルミナの添加量を480重量部にした以外は実施例2と同様にして接着フィルムを作製した。
【0042】
<比較例2>
エポキシ基含有アクリルゴムの添加量を300重量部に変更し、アルミナの添加量を1260重量部にした以外は実施例2と同様にして接着フィルムを作製した。
【0043】
<比較例3>
アルミナの添加量300重量部を150重量部にしたこと以外は実施例1と同様の方法で接着フィルムを作製した。
【0044】
<比較例4>
アルミナの添加量を750重量部を1500重量部にしたことは以外は実施例2と同様の方法で接着フィルムを作製した。
【0045】
<比較例5>
実施例1のワニスを、厚さ70μmの離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、実施例2より高い温度で同じ時間の130℃で15分間加熱乾燥して、厚み0.1mmの接着フィルムを作製した。なおこの状態での接着剤の硬化度は、DSCを用いて測定した結果、全硬化発熱量の50%の発熱を終えた状態であった。
【0046】
<比較例6>
実施例1のワニスを、厚さ70μmの離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、実施例2より低い温度で同じ時間である100℃で15分間加熱乾燥して、厚み0.1mmの接着フィルムを作製した。なおこの状態での接着フィルムの硬化度は、DSCを用いて測定した結果、全硬化発熱量の7%の発熱を終えた状態であった。
【0047】
上記<比較例1>〜<比較例6>の配合組成を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003559137
【0049】
次に、実施例1,2及び比較例1〜5により得られた接着フィルムを170℃30分加熱処理して硬化させ、硬化後の熱伝導性接着フィルムの各種特性を調べ、その結果を表3に示した。 また、得られた接着フィルムを、厚さ35μm、50mm×50mmの銅箔と厚さ2mm、50mm×50mmのアルミニウム板との間に挟み、温度170℃、圧力1.96MPaで30分間加熱加圧して接着した。その後、耐電圧測定用として銅箔の周囲をエッチングして直径20mmの円形部分を残した。 またひきはがし強さ測定用として幅10mmの銅箔を残した。またチップ抵抗素子(1.6mm、3.2mm)をはんだ付けするための回路パターン(パッド2mm×2mm、パッド端部間距離 2mm)を形成し、チップ抵抗素子(1.6mm、3.2mm)をはんだ付けした。
【0050】
【表3】
Figure 0003559137
【0051】
試験方法は以下の通りである。
(チップ部品の実装信頼性):−40℃、30分間、125℃、30分間放置を1サイクルとし、500サイクル経過後のチップ抵抗素子(1.6mm、3.2mm)のはんだ接続部の表面及び断面を観察し、はんだクラック発生の有無を調査した。はんだクラックの発生が1%以上あるものは不良とし、はんだクラックの発生1%未満のものを良好と判定した。
(そり):得られた接着フィルムを、厚さ1mm、50cm×50cmのガラスエポキシ基板と、厚さ2mm、50cm×50cmのアルミニウム板との間に挟み、温度170℃、圧力1.96MPaで30分間加熱加圧して接着した。この試料を、25℃雰囲気中で平板上に放置した場合の試料(大きさ10cm×10cm)のそりの量を、試料端面と平面間の距離として測定した。そり量が0.2mm超の場合を不良とし、そり量が0.2mm以下の場合を良好とし、そり量が0.1mm以下の場合を極良とした。
(密着性):温度121℃、相対湿度100%、気圧2026hPaのプレッシャークッカーテスターにて96時間処理後の試験片について、層間に剥離が生じているものを不良、層間に剥離が生じていないものを良好とした。
(耐電圧):温度121℃、相対湿度100%、気圧2026hPaのプレッシャークッカーテスターにて処理前と96時間処理後の試験片を絶縁油中に浸漬し、室温で交流電圧を銅箔とアルミニウム板間に印加し、絶縁破壊する電圧を測定した。なお、耐電圧の単位はKVである。
(回路充填性):パターン(パターン幅0.5mm、パターン間距離0.5mm)を形成したガラスエポキシ両面板(基材厚さ200μm、銅箔厚さ35μm)と100mm×100mmの接着フィルム及び厚さ2mm、100mm×100mmのアルミニウム板とを、温度170℃、圧力1.96MPaで30分間加熱加圧して接着した。その後、断面を光学顕微鏡で観察し、ガラスエポキシ両面板、接着フィルム、アルミニウム板間にボイドが発生していないものを良好と判定し、ボイドが発生しているものを不良と判定した。
(弾性率):25℃で50mm/分の引っ張り速度で引っ張り試験を行い初期の弾性率を測定した。
(引きはがし強さ):銅箔と基板を90度の角度で50mm/分の引っ張り速度で剥離した。その他はJIS C6481に準じた。
(熱抵抗):得られた接着フィルム(厚み100μm)を、厚さ35μm、30mm×30mmの銅箔と、厚さ2mm、30mm×30mmのアルミニウム板とを、温度170℃、圧力1.96MPaで30分間加熱加圧して接着した。その後、銅箔の周囲をエッチングして、10mm×14mmの長方形の部分を形成した。この試験片の銅箔にトランジスタ(2SC2233)をはんだで固着し、アルミニウム板側が放熱ブロックと接するようにして放熱ブロックの上において、トランジスタに電流を通じた。そして、トランジスタの温度(T1)と、放熱ブロックの温度(T2)を測定し、測定値と印加電力(W)から、次の数2によって熱抵抗(X)を算出した。
【0052】
【数2】
X=(T1−T2)/W……(数1)
【0053】
(熱伝導率):熱伝導率は接着フィルムを用い「迅速熱伝導率計QTM−500(京都電子工業株式会社製)」熱電導率計を用いて25℃で測定した。
【0054】
表3から明らかなように、実施例1,2は、何れも、エポキシ樹脂及びその硬化剤、反応性高分子量成分、本発明で規定したエポキシ基含有アクリルゴムをともに含む接着剤である。これらは、熱伝導性の尺度である熱抵抗が小さく、また熱伝導率は大きいほか、そり、チップ部品の実装信頼性ともに良好である。またPCT処理後耐電圧、密着性が良好であるほか、回路充填性も良好である。
【0055】
また、比較例1は、反応性の高分子量樹脂量が少なくなっているため、弾性率が大きくなっており、そり、チップ部品の実装信頼性ともに不良である。比較例2は、反応性の高分子量樹脂量が多くなっているため、フロー性が悪く、回路充填性、PCT処理後耐電圧、密着性が低下している。
比較例3は、フィラー量が少なく、熱伝導性は実施例と比較して悪くなっている。比較例4は、フィラー量が多すぎるため、熱伝導性は良好であるが、密着性が低下している他、弾性率が大きくなっており、そり、チップ部品の実装信頼性ともに不良である。また、PCT処理後耐電圧も悪くなっている。比較例5は、熱伝導性接着フィルムを製造する際に、硬化が進みすぎているため、フロー性、回路充填性が不良である。比較例6は逆に、硬化が不足しているために、やや密着性が低下している。
【0056】
【発明の効果】
本発明に係る熱伝導性接着剤組成物及び熱伝導性接着フィルムは、高熱伝導性と低弾性率化の両立が図られている他、耐湿性、耐熱性、絶縁信頼性に優れる効果を有する。

Claims (3)

  1. (1)エポキシ樹脂及びその硬化剤を合わせて100重量部、(2)エポキシ樹脂と相溶性でありかつ重量平均分子量が3万以上の高分子量樹脂1〜40重量部、(3)Tg(ガラス転移温度)が0℃以下であり反応性の官能基を有する重量平均分子量10万以上の高分子量樹脂100〜250重量部(但し100重量部は除く)、(4)硬化促進剤0.1〜5重量部及び(5)球形アルミナを、樹脂100体積部に対して30〜130体積部含む熱伝導率が0.6W/m・K以上である熱伝導性接着剤組成物を基材上に塗布し、その硬化度をDSC(示差走査熱分析)を用いて測定した場合の全硬化発熱量の10〜40%の発熱を終えた状態にしたことを特徴とする熱伝導性接着フィルム
  2. Tgが0℃以下であり反応性の官能基を有する重量平均分子量10万以上の高分子量樹脂がエポキシ基を1〜10モル%含んだアクリルゴムであることを特徴とする請求項1記載の熱伝導性接着フィルム
  3. 請求項1または2記載の熱伝導性接着フィルムを金属箔上に貼付してなることを特徴とする熱伝導性接着フィルム。
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