JP3560024B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機により車両のステアリング系に補助操舵トルクを付加する電動パワーステアリング装置に関し、詳しくは、ステアリング系の急操舵の場合にも確実なアンローダ制御を可能とする電動パワーステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両のステアリング装置として、ステアリングホイールの操作時に電動機による補助操舵トルクをステアリング系に付加して運転者の操舵力を軽減する、いわゆる電動パワーステアリング装置が近年普及しつつある。この電動パワーステアリング装置は、基本的には、ステアリングホイールの操作に伴なうステアリング系の操舵トルクを検出し、その検出トルクの方向および大きさに応じて前記電動機の補助操舵トルクを制御するように構成されている。
【0003】
前記の電動パワーステアリング装置においては、ステアリング系の最大舵角の近傍で大きな補助操舵トルクが電動機により付加されると、ステアリング系が最大舵角に至った時点で大きな衝撃が発生し、まれには電動機を含むステアリング系がロックする虞もある。そこで、この種の電動パワーステアリング装置には、ステアリング系の舵角が最大舵角に近づくと、電動機による補助操舵トルクを低減補正してステアリング系の保護を図る、いわゆるアンローダ制御が採用されている(実開昭60−193868号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の電動パワーステアリング装置のアンローダ制御においては、ステアリング系の舵角が最大舵角近傍の所定舵角を超えると電動機による補助操舵トルクが低減されてしまい、車両の中高速時において、操舵フィーリングが低下したり、緊急時等における最大舵角までの急操舵が行い難くなる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、車両の中高速時における最大舵角までの急操舵を行いやすくした電動パワーステアリング装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため、本発明は、車両のステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、前記ステアリング系の舵角を検出する舵角センサと、前記ステアリング系に補助操舵トルクを付加する電動機と、少なくとも前記操舵トルクセンサの検出信号に基づいて前記電動機の補助操舵トルクを制御する制御装置とを備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御装置は、前記舵角センサの検出信号に基づき、舵角が最大舵角近傍の所定舵角を超えると前記電動機の補助操舵トルクを低減補正するアンローダ補正部を有し、このアンローダ補正部は、ステアリング系の操舵速度の検出信号に基づき、操舵速度が速いほど前記補助操舵トルクの低減補正量を増大修正するとともに、車両の速度を検出する車速センサの検出信号に基づき、車速が所定車速以上のときには前記補助操舵トルクの低減補正を回避する構成としたことを手段としている。
【0007】
本発明の電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイール等の操作に伴ない操舵トルクセンサがステアリング系の操舵トルクを検出し、舵角センサがステアリング系の舵角を検出する。そして、ステアリング系の舵角が所定舵角未満のときは、制御装置がステアリング系の操舵トルクに基づいて電動機の補助操舵トルクを制御する。ここで、舵角が最大舵角近傍の所定舵角を超えると、制御装置のアンローダ補正部が電動機の補助操舵トルクを低減補正する。その際、アンローダ補正部は、ステアリング系の操舵速度が速いほど電動機の補助操舵トルクの低減補正量を増大修正するのであり、より迅速に電動機の補助操舵トルクを低減する。また、車速センサの検出信号に基づき、アンローダ補正部が車速が所定車速以上のときには電動機の補助操舵トルクの低減補正を回避する。これにより、ステアリング系の舵角が最大舵角近傍の所定舵角を超えても電動機による補助操舵トルクが得られるため、車両の中高速時に違和感のない良好な操舵フィーリングが得られるとともに、緊急時等においては最大舵角まで円滑に急操舵できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は一実施形態の電動パワーステアリング装置が適用されたステアリング系の構成図、図2は一実施形態の電動パワーステアリング装置のブロック構成図である。
【0010】
一実施形態の電動パワーステアリング装置を説明するに当たり、まず、この電動パワーステアリング装置が適用されたステアリング系の構造を図1により説明する。このステアリング系は、いわゆるラック・ピニオン式のステアリング系であり、ステアリングホイール1に一体に連結されたステアリングシャフト2の下端部は、連結軸3を介して相互に連結された一対のユニバーサルジョイント4,4を介して操舵トルクセンサ5の入力軸5Aに連結されている。そして、この操舵トルクセンサ5の出力軸には、ラック・ピニオン機構6のピニオン6Aが一体に形成されている。
【0011】
前記ラック・ピニオン機構6は、ピニオン6Aに噛み合うラック歯6Bが形成されたラック軸6Cを備え、このラック軸6Cの両端部には、車両の左右の前輪7,7に付設されたナックルアーム(図示省略)がタイロッド8,8を介してそれぞれ連結されている。そして、前記ラック軸6Cには、これと同軸にボールネジ機構9のボールネジ部9Aが形成され、このボールネジ部9Aに噛み合うボールナット9Bは、前記ラック軸6Cが貫通する状態でその周囲に配置された電動機10のロータ10Aに固定されている。
【0012】
ここで、図1および図2に示すように、一実施形態の電動パワーステアリング装置は、図示しない変速機出力軸の回転数を検出する車速センサ11と、少なくともこの車速センサ11および前記操舵トルクセンサ5の検出信号を入力する制御装置12と、この制御装置12の出力信号を入力する電動機駆動回路13と、この電動機駆動回路13から前記電動機10に供給される電流値を検出してその信号を前記制御装置12に出力する電流センサ14と、前記電動機10に印加される電圧値を検出してその信号を前記制御装置12に出力する電圧センサ15と、前記操舵トルクセンサ5に付設された舵角センサ16とを備えている。
【0013】
操舵トルクセンサ5は、入力軸5Aと出力軸であるピニオン6Aとの間の捩れ角に応じた操舵トルクの方向および大きさを検出し、その検出信号である操舵トルク信号TSを制御装置12に出力する。また、前記車速センサ11は、図示しない変速機出力軸の回転数に応じた車速信号VPを制御装置12に出力する。
【0014】
電流センサ14は、直流サーボモータからなる前記電動機10に直列に接続された抵抗またはホール素子を備えており、電動機10に流れる電流の方向および大きさに応じたモータ電流信号IMを制御装置12に出力する。また、前記電圧センサ15は、電動機10に並列に接続されることにより、電動機10に印加される電圧に応じたモータ電圧信号VMを制御装置12に出力する。そして、舵角センサ16は、ステアリングホイール1の転舵角度に応じた舵角信号θSを制御装置12に出力する。
【0015】
制御装置12は、前記操舵トルクセンサ5、車速センサ11、電流センサ14、電圧センサ15、舵角センサ16等との間の入出力インターフェースI/O、および、これらのセンサから入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータの他、各種のデータやプログラムを記憶しているROM、各種のデータ等を一時記憶するRAM、各種の演算処理を行うCPU等をハードウェアとして備えている。また、ソフトウェア構成として、図2に示すように、目標電流値設定部12A、アンローダ補正部12B、偏差演算部12C、PID制御部12D、PWM信号生成部12Eおよび電動機回転速度演算部12Fを備えている。一方、前記電動機駆動回路13は、ゲート駆動回路13Aおよびブリッジ回路13Bにより構成されている。
【0016】
前記制御装置12の目標電流値設定部12Aには、前記車速センサ11から出力される車速信号VPが入力されると共に、前記操舵トルクセンサ5から出力される操舵トルク信号TSがデジタル信号に変換されて入力される。この目標電流値設定部12Aは、ステアリング系の操舵トルクの増加に伴ない増大し、かつ、車速の増加に伴ない減少する基本特性の補助操舵トルクを電動機10に発生させるための目標電流値信号ITを、前記操舵トルク信号TSおよび車速信号VPをアドレスとするデータエリアから検索し、検索した目標電流値信号ITをアンローダ補正部12Bに出力する。
【0017】
前記アンローダ補正部12Bには、前記目標電流値信号ITの他に、前記車速センサ11から出力される車速信号VP、前記舵角センサ16から出力される舵角信号θS、前記電動機回転速度演算部12Fから出力される回転角速度信号MVELがそれぞれ入力される。このアンローダ補正部12Bは、後述するように、前記目標電流値信号ITに低減補正を加え、その補正目標電流値信号IT’を偏差演算部12Cに出力する。
【0018】
前記偏差演算部12Cには、前記補正目標電流値信号IT’の他に、前記電流センサ14から出力されるモータ電流信号IMがデジタル信号に変換されて入力される。この偏差演算部12Cは、補正目標電流値信号IT’とモータ電流信号IMとの偏差を演算し、その偏差信号ΔIをPID制御部12Dに出力する。
【0019】
前記PID制御部12Dは、前記偏差信号ΔIに対して比例(P)、積分(I)、微分(D)等の処理を施すことにより、その偏差がゼロに収束するように前記電動機10の駆動を制御するための駆動制御信号SOをPWM信号生成部12Eに出力する。そして、このPWM信号生成部12Eは、前記駆動制御信号SOに基づいて電動機10をPWM(パルス幅変調)運転するためのPWM信号VOを生成し、これを電動機駆動回路13のゲート駆動回路13Aに出力する。
【0020】
前記電動機回転速度演算部12Fには、前記電流センサ14から出力されるモータ電流信号IMおよび前記電圧センサ15から出力されるモータ電圧信号VMがそれぞれデジタル信号に変換されて入力される。この電動機回転速度演算部12Fは、電動機10の電圧をVM、電流をIM、抵抗値をRM、誘起電圧係数をKPとするとき、電動機10の回転角速度MVELを次式(1)により演算し、その回転角速度信号MVELをステアリング系の操舵速度の信号として前記アンローダ補正部12Bに出力する。
MVEL=(VM−IM×RM)/KP………(1)
【0021】
一方、前記電動機駆動回路13のゲート駆動回路13Aは、前記PWM信号VOに基づいてブリッジ回路13Bをスイッチング駆動する。このブリッジ回路13Bは、図3に示すように、直流12Vの電源(車載バッテリ)と電動機10との間にブリッジ回路を構成する4個のパワーFET(電界効果トランジスタ)T1,T2,T3,T4を備えている。そして、前記ゲート駆動回路13Aは、偏差信号ΔIの大きさに応じた駆動信号を偏差信号ΔIの極性に応じてパワーFET(T1,T2)のゲートG1,G2の何れか一方に出力し、他方にはオフ信号を出力する。その際、パワーFET(T3,T4)のゲートG3,G4の何れか一方にオン信号を出力し、他方にオフ信号を出力する。例えば、パワーFET(T1)のゲートG1に駆動信号を出力する場合には、パワーFET(T4)のゲートG4にオン信号を出力し、他のパワーFET(T2,T3)のゲートG2,G3にはオフ信号を出力する。
【0022】
ここで、前記制御装置12のアンローダ補正部12Bは、ステアリング系の舵角が最大舵角近傍の所定舵角を超えると、前記電動機10による補助操舵トルクを低減するように、前記目標電流値信号ITに低減補正を加え、その際、ステアリング系の操舵速度が速いほど前記目標電流値信号ITに加える低減補正量を増大修正する機能を有する。このアンローダ補正部12Bは、図4に示すように、オフセット量設定部12B1、制御舵角演算部12B2、アンローダレシオ設定部12B3、アンローダレシオ修正量設定部12B4、アンローダレシオ修正演算部12B5および目標電流値補正部12B6により構成されている。以下、このアンローダ補正部12Bの各部の機能を順次説明する。
【0023】
オフセット量設定部12B1は、車速VPをアドレスとするデータエリアにオフセット量αを格納しており、車速センサ11からの車速信号VPの入力に応じてオフセット量αを瞬時に検索する。このオフセット量αの特性は、例えば図5のグラフに示すように、車速VPが例えば5km/h未満では「0度」であり、10km/h以上では「50度」となるように設定されている。
【0024】
制御舵角演算部12B2は、前記舵角センサ16から出力される舵角信号θSおよび前記オフセット量設定部12B1から出力されるオフセット量αの信号を入力する。そして、舵角θSからオフセット量αを減算処理した値βを制御舵角信号βとしてアンローダレシオ設定部12B3に出力する。
【0025】
アンローダレシオ設定部12B3は、制御舵角βをアドレスとするデータエリアにアンローダレシオRを格納しており、制御舵角演算部12B2からの制御舵角信号βの入力に応じてアンローダレシオRを瞬時に検索する。そして、検索したアンローダレシオRの信号をアンローダレシオ修正演算部12B5に出力する。このアンローダレシオRの特性は、例えば図6のグラフに示すように、制御舵角βが例えば220度未満では「1」であり、220度を超えると一定の逆勾配で漸次減少し、270度で「0」となるように設定されている。なお、本実施形態においては、前記270度が最大舵角であり、220度が所定舵角である。
【0026】
アンローダレシオ修正量設定部12B4は、前記車速センサ11から出力される車速信号VP、前記舵角センサ16から出力される舵角信号θSおよび前記電動機回転速度演算部12Fから出力される回転角速度信号MVELを入力する。このアンローダレシオ修正量設定部12B4は、回転角速度MVELをアドレスとするデータエリアにアンローダレシオ修正量Aを格納している。そして、このアンローダレシオ修正量設定部12B4は、舵角θSが例えば220度より大きく、かつ、車速VPが例えば10km/hより低い条件のもとに、回転角速度信号MVELに応じたアンローダレシオ修正量Aを瞬時に検索する。そして、検索したアンローダレシオ修正量Aの信号をアンローダレシオ修正演算部12B5に出力する。このアンローダレシオ修正量Aの特性は、例えば図7のグラフに示すように、回転角速度MVELが例えば「50度/秒」未満では「0」であり、「50度/秒」を超えると一定の勾配で漸次増大するように設定されている。
【0027】
アンローダレシオ修正演算部12B5は、前記アンローダレシオ設定部12B3から出力されるアンローダレシオRの信号および前記アンローダレシオ修正量設定部12B4から出力されるアンローダレシオ修正量Aの信号を入力する。そして、アンローダレシオRからアンローダレシオ修正量Aを減算処理した値を修正アンローダレシオR’の信号として目標電流値補正部12B6に出力する。
【0028】
目標電流値補正部12B6は、前記目標電流値設定部12Aから出力される目標電流値信号ITおよび前記アンローダレシオ修正演算部12B5から出力される修正アンローダレシオR’の信号を入力する。そして、目標電流値信号ITに修正アンローダレシオR’を乗算処理した値を補正目標電流値信号IT’として前記偏差演算部12Cに出力する。
【0029】
以上のように構成された一実施形態の電動パワーステアリング装置においては、図1に示すステアリングホイール1の操作に伴ない、操舵トルクセンサ5がステアリング系に発生する操舵トルクの方向および大きさを検出し、その検出した操舵トルク信号TSを制御装置12に出力する。また、車速センサ11が車両の速度を検出し、その検出した車速信号VPを制御装置12に出力する。さらに、舵角センサ16がステアリング系の舵角を検出し、その検出した舵角信号θSを制御装置12に出力する。
【0030】
制御装置12では、図2に示す目標電流値設定部12Aが前記操舵トルク信号TSおよび車速信号VPを入力することにより、ステアリング系の操舵トルクの増加に伴ない増大し、かつ、車速の増加に伴ない減少する基本特性の補助操舵トルクを電動機10に発生させるための目標電流値信号ITを瞬時に検索し、その目標電流値信号ITをアンローダ補正部12Bに出力する。
【0031】
アンローダ補正部12Bにおいては、図4に示すように、オフセット量設定部12B1が車速信号VPに基づき、車速VPが5km/h未満では「0度」、10km/h以上では「50度」のオフセット量αの信号を制御舵角演算部12B2に出力する。続いて、制御舵角演算部12B2が舵角信号θSおよびオフセット量αの信号に基づき、舵角θSからオフセット量αを減算処理した値βを制御舵角信号βとしてアンローダレシオ設定部12B3に出力する。そして、アンローダレシオ設定部12B3が制御舵角信号βに応じたアンローダレシオRの信号をアンローダレシオ修正演算部12B5に出力する。
【0032】
一方、車速信号VP、舵角信号θSおよび回転角速度信号MVELを入力する前記アンローダレシオ修正量設定部12B4においては、図8のフローチャートに示すように、舵角θSが220°より大きいか否かが判定され(ステップS1)、続いて車速VPが10km/hより低いか否かが判定される(ステップS2)。そして、舵角θSが220度より大きく、かつ、車速VPが10km/hより低い場合、アンローダレシオ修正量設定部12B4は、回転角速度信号MVELに応じたアンローダレシオ修正量Aを瞬時に検索してその信号をアンローダレシオ修正演算部12B5に出力する(ステップS3)。
【0033】
前記アンローダレシオRの信号およびアンローダレシオ修正量Aの信号を入力するアンローダレシオ修正演算部12B5は、アンローダレシオRからアンローダレシオ修正量Aを減算処理した値を修正アンローダレシオR’の信号として目標電流値補正部12B6に出力する。そして、この目標電流値補正部12B6が前記目標電流値設定部12Aからの目標電流値信号ITおよび前記アンローダレシオ修正演算部12B5からの修正アンローダレシオR’の信号に基づき、目標電流値信号ITに修正アンローダレシオR’を乗算処理した値を補正目標電流値信号IT’として前記偏差演算部12Cに出力する。
【0034】
以後、制御装置12においては、偏差演算部12Cがアンローダ補正部12Bからの補正目標電流値信号IT’と、電流センサ14からのモータ電流信号IMとの偏差信号ΔIをPID制御部12Dに出力し、PID制御部12Dが前記偏差をゼロに収束させるための駆動制御信号SOをPWM信号生成部12Eに出力し、PWM信号生成部12Eが駆動制御信号SOに応じたPWM信号VOを電動機駆動回路13に出力する。そして、電動機駆動回路13が制御装置12からのPWM信号VOに応じて電動機10を回転駆動することにより、図1に示すステアリング系においては、補正目標電流値信号IT’に応じた補助操舵トルクがボールネジ機構9を介してラック軸6Cに付与され、ステアリングホイール1の操舵力が軽減される。
【0035】
ここで、一実施形態の電動パワーステアリング装置においては、車両の発進後、車速が例えば10km/h以上となると、前記アンローダ補正部12Bのオフセット量設定部12B1がオフセット量αとして「50度」の信号を出力する。このため、ステアリング系の舵角θSの最大値を例えば270度とすると、制御舵角演算部12B2は常に220度未満の制御舵角信号βを出力し、アンローダレシオ設定部12B3はアンローダレシオRとして常に「1」の信号を出力する。その際、アンローダレシオ修正量設定部12B4は、車速が10km/hより高いため、アンローダレシオ修正量Aの出力を停止する。換言すれば、アンローダレシオ修正量Aとして「0」の信号を出力する。その結果、アンローダレシオ修正演算部12B5は修正アンローダレシオR’として常に「1」の信号を目標電流値補正部12B6に出力する。
【0036】
従って、目標電流値補正部12B6は、目標電流値信号ITと同じ値を補正目標電流値信号IT’として偏差演算部12Cに出力する。すなわち、車速が例えば10km/hより高い場合には、電動機10の補助操舵トルクを低減補正するアンローダ制御が回避される。
【0037】
一方、車速が例えば5km/hより低い極低速走行時には、オフセット量設定部12B1がオフセット量αとして「0度」の信号を出力するため、制御舵角演算部12B2は舵角θSと一致する制御舵角信号βを出力する。この場合、舵角θSが220度未満であると、それに一致した制御舵角信号βを制御舵角演算部12B2が出力するため、アンローダレシオ設定部12B3はアンローダレシオRとして「1」の信号を出力する。その際、アンローダレシオ修正量設定部12B4は、舵角θSが220度未満であるため、アンローダレシオ修正量Aとして「0」の信号を出力する。従って、この場合も、車速が10km/hより高い場合と同様に、電動機10の補助操舵トルクを低減補正するアンローダ制御が回避される。
【0038】
ここで、車庫入れの際などのように、車速が例えば5km/hより低い極低速走行時に舵角θSが220度を超えると、オフセット量設定部12B1がオフセット量αとして「0度」の信号を出力し、制御舵角演算部12B2が舵角θSと一致した220度を超える制御舵角信号βを出力するため、アンローダレシオ設定部12B3は、制御舵角信号βに応じて「1」から「0」へと漸次減少する特性の信号をアンローダレシオRとして出力する。その際、ステアリング系の操舵速度が低く、それに応じて回転角速度信号MVELが所定値以下であると、アンローダレシオ修正量設定部12B4はアンローダレシオ修正量Aとして「0」の信号を出力する。その結果、アンローダレシオ修正演算部12B5は、制御舵角信号βに応じた「1」と「0」との間の信号を修正アンローダレシオR’として目標電流値補正部12B6に出力する。
【0039】
従って、目標電流値補正部12B6は、目標電流値信号ITより小さい値を補正目標電流値信号IT’として偏差演算部12Cに出力する。すなわち、車速が5km/hより低い極低速走行時に舵角θSが220度を超えると、電動機10の補助操舵トルクを低減補正するアンローダ制御が実行される。
【0040】
一方、車速が5km/hより低い極低速走行時に急操舵によって舵角θSが220度を超える場合、アンローダレシオ設定部12B3は、制御舵角信号βに応じて「1」から「0」へと漸次減少する特性の信号をアンローダレシオRとして出力する。その際、アンローダレシオ修正量設定部12B4は、回転角速度信号MVELが所定値以上となるため、回転角速度信号MVELに応じて「0」から漸次増大する特性の信号をアンローダレシオ修正量Aとして出力する。その結果、アンローダレシオ修正演算部12B5は、制御舵角信号βに応じた「1」と「0」との間のアンローダレシオRから回転角速度信号MVELに応じて「0」から漸次増大するアンローダレシオ修正量Aを減算した値を修正アンローダレシオR’の信号として目標電流値補正部12B6に出力する。この修正アンローダレシオR’の値は、回転角速度信号MVELの上昇に応じて、すなわち、ステアリング系の操舵速度の上昇に応じて小さくなる。
【0041】
従って、目標電流値補正部12B6は、目標電流値信号ITの低減補正量をステアリング系の操舵速度の上昇に応じて増大修正し、一層小さく低減補正した補正目標電流値信号IT’を偏差演算部12Cに出力する。すなわち、車速が5km/hより低い極低速走行時に急操舵によって舵角θSが220度を超える場合、電動機10の補助操舵トルクは、操舵速度が速いほど急激に低減補正されるようになり、急操舵の場合にも、電動機10の補助操舵トルクを迅速に低減することができ、確実なアンローダ制御を行うことができる。
【0042】
なお、本発明の電動パワーステアリング装置において、ステアリング系の操舵速度は、必ずしも電動機10の回転角速度MVELから求める必要はなく、舵角センサ16からの舵角信号θSを時間微分して求めてもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の電動パワーステアリング装置においては、ステアリングホイール等の操作に伴ない操舵トルクセンサがステアリング系の操舵トルクを検出し、舵角センサがステアリング系の舵角を検出する。そして、ステアリング系の舵角が所定舵角未満のときは、制御装置がステアリング系の操舵トルクに基づいて電動機の補助操舵トルクを制御する。ここで、舵角が最大舵角近傍の所定舵角を超えると、制御装置のアンローダ補正部が電動機の補助操舵トルクを低減補正する。その際、アンローダ補正部は、ステアリング系の操舵速度が速いほど電動機の補助操舵トルクの低減補正量を増大修正する。
【0044】
従って、本発明の電動パワーステアリング装置によれば、ステアリング系の舵角が最大舵角近傍の所定舵角を速い操舵速度で超える急操舵の場合にも、電動機の補助操舵トルクを迅速に低減することができ、確実なアンローダ制御を行うことができる。
【0045】
そして、本発明の電動パワーステアリング装置においては、車速センサの検出信号に基づき、車速が所定車速以上のときには電動機の補助操舵トルクの低減補正を回避するように前記アンローダ補正部が構成されており、ステアリング系の舵角が最大舵角近傍の所定舵角を超えても電動機による補助操舵トルクが得られるため、車両の中高速走行時に違和感のない良好な操舵フィーリングが得られ、緊急時等においては最大舵角まで円滑に急操舵できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置が適用されたステアリング系の構成図である。
【図2】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置のブロック構成図である。
【図3】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置のブリッジ回路の回路図である。
【図4】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置のアンローダ補正部のブロック構成図である。
【図5】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置のアンローダ補正部がデータ処理するオフセット量の特性グラフである。
【図6】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置のアンローダ補正部がデータ処理するアンローダレシオの特性グラフである。
【図7】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置のアンローダ補正部がデータ処理するアンローダレシオ修正量の特性グラフである。
【図8】一実施形態に係る電動パワーステアリング装置のアンローダ補正部におけるデータ処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 :ステアリングホイール
2 :ステアリングシャフト
5 :操舵トルクセンサ
6 :ラック・ピニオン機構
9 :ボールネジ機構
10 :電動機
11 :車速センサ
12 :制御装置
12A:目標電流値設定部
12B:アンローダ補正部
12C:偏差演算部
12D:PID制御部
12E:PWM信号生成部
12F:電動機回転速度演算部
13 :電動機駆動回路
13A:ゲート駆動回路
13B:ブリッジ回路
14 :電流センサ
15 :電圧センサ
16 :舵角センサ
Claims (1)
- 車両のステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、前記ステアリング系の舵角を検出する舵角センサと、前記ステアリング系に補助操舵トルクを付加する電動機と、少なくとも前記操舵トルクセンサの検出信号に基づいて前記電動機の補助操舵トルクを制御する制御装置とを備えた電動パワーステアリング装置において、前記制御装置は、前記舵角センサの検出信号に基づき、舵角が最大舵角近傍の所定舵角を超えると前記電動機の補助操舵トルクを低減補正するアンローダ補正部を有し、このアンローダ補正部は、ステアリング系の操舵速度の検出信号に基づき、操舵速度が速いほど前記補助操舵トルクの低減補正量を増大修正するとともに、車両の速度を検出する車速センサの検出信号に基づき、車速が所定車速以上のときには前記補助操舵トルクの低減補正を回避することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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