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JP3561651B2 - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents
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JP3561651B2 - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents

内燃機関の蒸発燃料処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料タンク内で発生する蒸発燃料を内燃機関の吸気系に放出する内燃機関の蒸発燃料処理装置に関し、より具体的には、燃料タンクからエンジン吸気系に至る蒸発燃料排出抑止系の漏れの有無を判定することができる内燃機関の蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平7−83125には、タンク系の漏れの有無を判定する手法が記載されている。排出抑止系を所定圧力まで減圧し、次に燃料タンクの圧力の減圧目標値を上限値および下限値に交互に設定して燃料タンクの圧力を除々に減圧目標値に収束させるフィードバック減圧を行い、その後の燃料タンクの単位時間あたりの圧力変動量を算出する(リークダウンチェックモード)。判定結果に対するベーパの影響を取り除くため、補正値として蒸発燃料による単位時間あたりの圧力変動量を算出する。タンク系の漏れの有無の判定は、上記のリークダウンチェックモードで算出された圧力変動量から、補正チェックモードで算出された圧力変動量に係数を掛けた値を引いた値に基づいて行われる。この値が所定値以下であれば、タンク系に漏れがなく正常と判定し、この値が所定値より大きければ、タンク系に漏れがあると判定する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、検出するリーク穴として0.5mm程度の微小な穴を対象にすると、漏れの有無の診断結果に高い精度が要求されるようになる。この発明の発明者は、タンク減圧モニター前またはタンク減圧モニター処理中の補正モードにおいてタンク内圧が負圧方向に変動する場合、診断結果に誤りを生じることがあることを見いだした。
【0004】
この発明は、このような新たなに見いだされた問題を解決しようとするものであり、漏れの有無の検出精度を向上させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、燃料タンク、内部を大気に開放する開放口を有し、前記燃料タンク内に発生した蒸発燃料を吸着するキャニスタ、前記燃料タンクと前記キャニスタを連通するチャージ通路、前記キャニスタと内燃機関の吸気管を連通するパージ通路、前記チャージ通路に設けられた圧力調整弁、前記圧力調整弁をバイパスする通路に設けられたバイパス弁、前記パージ通路に設けられたパージ制御弁、前記開放口を開閉可能なベントシャット弁、前記燃料タンクの内圧を検出するための内圧センサ、および前記バイパス弁、パージ弁、ベントシャット弁を制御することにより前記燃料タンクを大気圧に開放しまたは負圧に制御することができ、該燃料タンクを負圧にした後の負圧の変化度合いに基づいて漏れの有無を検出する制御手段を備える蒸発燃料処理装置において、前記制御手段は、前記バイパス弁を閉弁している時前記燃料タンクの内圧が負圧方向に変化することに応答して、前記漏れの有無の検出を禁止するという構成をとる。
【0006】
この発明によると、バイパス弁を閉じている時燃料タンクの内圧が負圧方向に変化するときは漏れの有無の検出を禁止するので、誤った検出結果を得ることが避けられ、検出の精度を向上させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の実施形態による内燃機関の蒸発燃料処理装置の全体構成図である。この装置は、内燃機関(以下、「エンジン」という)1、蒸発燃料排出抑止装置31および電子制御ユニット(以下、「ECU」という)5を備える。
【0008】
ECU5は、この発明の制御手段を構成するユニットであり、エンジン1の各部の制御を行うための演算を実行するCPU91、エンジン各部の制御を行うためのプログラムおよび各種のデータを格納する読み取り専用メモリ(ROM)92、CPU91による演算の作業領域を提供し、エンジン各部から送られてくるデータおよびエンジン各部に送り出す制御信号を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)93、エンジン各部から送られてくるデータを受け入れる入力回路94、エンジン各部に制御信号を送る出力回路95を備えている。
【0009】
図1では、プログラムは、モジュール1、モジュール2、モジュール3等で示されており、この発明による漏れの有無を検出するプログラムは、たとえばモジュール3、4、5に含まれている。また、演算に用いる各種のデータはテーブル1、テーブル2等の形でROM92に格納されている。ROM92は、EEPROMのような書き換え可能なROMであってもよく、この場合、ある運転サイクルにおいてECU5が演算した結果をROMに格納しておき、次の運転サイクルで利用することができる。また、種々の処理でセットされた多くのフラグ情報をEEPROMに記録しておくことにより、故障診断に利用することができる。
【0010】
エンジン1は、例えば4気筒を備えるエンジンであり、吸気管2が連結されている。吸気管2の上流側にはスロットル弁3が配されており、スロットル弁3に連結されたスロットル弁開度センサ(θTH)4は、スロットル弁3の開度に応じた電気信号を出力してECUに供給する。
【0011】
燃料噴射弁6は、吸気管2の途中であって、エンジン1とスロットル弁3の間に各気筒毎に設けられ、ECUからの制御信号により開弁時間が制御される。燃料供給管7は、燃料噴射弁6および燃料タンク9を接続し、その途中に設けられた燃料ポンプ8が燃料を燃料タンク9から燃料噴射弁6に供給する。図示しないレギュレータが、ポンプ8と燃料噴射弁6の間に設けられ、吸気管2から取り込まれる空気の圧力と、燃料供給管7を介して供給される燃料の圧力との間の差圧を一定にするよう動作して、燃料の圧力が高すぎるときは図示しないリターン管を通して余分な燃料を燃料タンク9に戻す。こうして、スロットル弁3を介して取り込まれた空気は、吸気管2を通り、燃料噴射弁6から噴射される燃料と混合してエンジン1のシリンダに供給される。
【0012】
吸気管圧力(PBA)センサ13および吸気温(TA)センサ14は、吸気管2のスロットル弁3の下流側に装着されており、それぞれ吸気管圧力および吸気温を検出して電気信号に変換し、それをECU5に送る。
【0013】
エンジン水温(TW)センサ15は、エンジン1のシリンダブロックの冷却水が充満した気筒周壁に取り付けられ、エンジン冷却水の温度を検出し、電気信号に変換して結果をECU5に送る。エンジン回転数(NE)センサ16がエンジン1のカム軸周囲またはクランク軸周囲に取り付けられ、エンジン1のクランク軸の180度回転毎に所定のクランク角度位置で信号パルス(TDC信号パルス)を出力し、それをECU5に送る。
【0014】
エンジン1は排気管12を持ち、排気管12の途中に設けられた排気ガス浄化装置である三元触媒33を介して排気する。O2センサ32は排気濃度センサであり、排気管12の途中に装着され、排気ガス中の酸素濃度を検出し、検出値に応じた信号をECU5に送る。
【0015】
車速(VP)センサ17、バッテリ電圧(VB)センサ18および大気圧(PA)センサ19は、ECU5に接続されており、それぞれ車両の走行速度、バッテリ電圧および大気圧を検出し、それをECU5に送る。
【0016】
各種センサからの入力信号は入力回路94に渡される。入力回路94は、入力信号波形を整形して電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する。CPU91は、変換されたデジタル信号を処理し、ROM92に格納されているプログラムに従って演算を実行し、車の各部のアクチュエータに送る制御信号を作り出す。この制御信号は出力回路95に送られ、出力回路95は、燃料噴射弁6、バイパス弁24、ベントシャット弁26およびパージ制御弁30その他のアクチュエータに制御信号を送る。
【0017】
次に、蒸発燃料排出抑止系31について説明する。排出抑止系31は、燃料タンク9、チャージ通路20、キャニスタ25、パージ通路27およびいくつかの制御弁を備え、燃料タンク9からの蒸発燃料の排出を制御する。排出抑止系31は、チャージ通路20にあるバイパス弁24を境に、便宜上2つに分けて考えることができ、燃料タンク9を含む側をタンク系、キャニスタ25を含む側をキャニスタ系と呼ぶ。
【0018】
燃料タンク9は、チャージ通路20を介してキャニスタ25に接続され、燃料タンク9からの蒸発燃料が、キャニスタ25に移動できるようになっている。チャージ通路20は、第1の分岐20aおよび第2の分岐20bを持ち、これらはエンジンルーム内に設けられている。内圧センサ11は、チャージ通路20の燃料タンク側に取り付けられており、チャージ通路20内の内圧と大気との差圧を検出する。定常状態においては、チャージ通路20内の圧力が燃料タンク9内の圧力とがほぼ等しいので、内圧センサ11により検出された内圧を、燃料タンク9の圧力(以下、「タンク内圧」という)とみなすことができる。
【0019】
第1の分岐20aには二方向弁23が設けられ、二方向弁23は2つの機械式の弁23aおよび23bを備える。弁23aは、タンク内圧が大気圧より15mmHg程度高くなったときに開く正圧弁であり、これが開弁状態にあると、蒸発燃料がキャニスタ25に流れ、そこで吸着される。弁23bは、タンク内圧がキャニスタ25側の圧力より10mmHgから15mmHg程度低くなったとき開く負圧弁であり、これが開弁状態にあると、キャニスタ25に吸着された蒸発燃料が燃料タンク9に戻る。
【0020】
第2の分岐20bには電磁弁であるバイパス弁24が設けられる。バイパス弁24は、通常は閉弁状態にあり、この発明による排出抑止系31の漏れを検出する際に、ECU5からの制御信号により開閉を制御される。
【0021】
キャニスタ25は、燃料蒸気を吸着する活性炭を内蔵し、通路26aを介して大気に連通する吸気口(図示せず)を持つ。通路26aの途中に、電磁弁であるベントシャット弁26が設けられる。ベントシャット弁26は、通常は開弁状態にあり、この発明による排出抑止系31の漏れを検出する際に、ECU5からの制御信号により開閉を制御される。
【0022】
キャニスタ25は、パージ通路27を介して吸気管2のスロットル弁3の下流側に接続される。パージ通路27の途中には電磁弁であるパージ制御弁30が設けられ、キャニスタ25に吸着された燃料が、パージ制御弁30を介してエンジンの吸気系に適宜パージされる。パージ制御弁30は、ECU5からの制御信号に基づいて、オン−オフデューティ比を変更することにより、流量を連続的に制御する。
【0023】
図2は、エンジンの始動から停止までの1運転サイクルにおける、漏れの有無の判定におけるタンク系の圧力の遷移の例を示したものである。タンク系の漏れの有無の判定プロセスは、4つの段階、すなわち、始動後オープン処理、タンク内圧監視モニター、キャニスターモニターおよびタンク減圧モニターを有する。キャニスタモニターおよびタンク減圧モニターについては、図4および図5を参照して説明するので、ここでは始動後オープン処理およびタンク内圧監視モニターの概要を述べる。
【0024】
始動後オープン処理
始動後オープン処理は、エンジン始動直後に、バイパス弁24を開いて排出抑止系31を大気圧に開放し、この時に、タンク内圧が大気開放前の値から所定値以上変動すれば、タンク系の漏れがなく正常と判定する。
【0025】
図5の流れ図を参照して始動後オープン処理を説明する。エンジンが始動されると、先ずECU5は内圧センサ11の出力を検出して、タンク内圧の初期値P1としてECU5に備えられるRAM93に記憶する。内圧センサ11の出力が安定するまでの所定時間が経過すると(101)、ステップ102において、オープン処理時間を経過したかどうかをタイマーで判定し、オープン処理時間内であればステップ103に移り、それぞれの弁に制御信号を送ることによりバイパス弁24を開き、ベントシャット弁26を開き、パージ制御弁30を閉じて燃料排出抑止系31を大気圧に開放する。
【0026】
次いでステップ104において、現在の内圧センサの出力値P2とタンク内圧の初期値P1との差の絶対値が0.5mm径の穴による漏れ検出用の第1の判定値、たとえば4mmHg以上であるかどうかが判定される。ここで、タンク内圧の初期値P1は、それまでの車の使用状況に応じて正圧であることもあり、負圧であることもあるので、判定にはP1―P2の絶対値を用いる。圧力差の絶対値が第1の判定値以上であれば、0.5mm以上の径の穴による漏れはないと判定し、0.5mmOKフラッグに1を立て(105)、1mmOKフラッグに1を立てて処理を終える。
【0027】
ステップ104において、P1―P2の絶対値が第1の判定値以上でないときは、ステップ107に移り、P1―P2の絶対値が1mm径以上の穴による漏れを検出するための判定値、たとえば2mmHg以上であるかどうかを判定する。判定がイエスであれば1mmOKフラッグに1を立てて(106)処理を終える。この場合、0.5mmOKフラッグがゼロで、1mmOKフラッグが1の状態になり、後の内圧監視モニタープロセスでさらに0.5mm径基準についてのモニターが実施される。内圧監視モニタープロセスで使用するため、オープン処理時のタンク内圧の値P2をRAM93に記憶しておく。
【0028】
内圧監視モニター
次に図6を参照して内圧監視モニター処理を説明する。内圧監視モニターの目的は、内圧センサ11の出力レベルを連続的にチェックし、そのレベルが大気圧付近に集中する場合は、漏れがある、正圧または負圧に大きく変動する場合は漏れがないと判定することにある。
【0029】
一連の内圧監視モニタープロセスの完了時に1にセットされる完了フラッグが1でないとき(201)、図6のプロセスが始められる。後に図7を参照して説明する処理において1にセットされるバイパス弁許可フラッグが1になっている状態では(202)、処理は図7に進み、1になっていなければステップ203以下のプロセスに進む。
【0030】
今回検出したタンク内圧と前回検出しRAM93に記憶されたタンク内圧との差の絶対値が所定値以上であるかどうかを比較することによって、タンク内圧が急激に変化したかどうかを判定する(203)。タンク内圧の急変は、たとえば車の急発進などにより燃料液面が揺れ、燃料がタンク壁面に触れて急激に気化するときに生じる。このような状態は、ベーパーの漏れ検出を行うのに適さないので、処理を抜ける。
【0031】
タンク内圧の急変がないと判定されると、ステップ204に移り、燃料消費量が所定値以上であるかどうかを判定し、所定値以上でありかつ計測ダウンカウンタがゼロになっていれば、後に説明するバイパス弁オープン判定処理に入る(206)。これは、図6のステップ207以下のプロセスを所定回数実行しても1mmOKフラッグに1が立たない、すなわち1mm径基準をクリアできない状態を意味する。
【0032】
ステップ204における燃料消費量の算出は、プロセスのバックグラウンドで演算されている値を用いる。すなわち、CPU91は、バックグラウンドで所定期間における燃料噴射弁6の開弁時間の和に所定の係数をかけてこの所定期間における燃料消費量に変換し、これをRAM93に記憶し、所定期間ごとに書き替えている。
【0033】
ステップ204において燃料消費量が所定値より小さいとき、またはステップ205においてカウンタ値がゼロでない、すなわち予定のモニター反復回数に達していないときは、ステップ207に移り1mmOKフラッグが1になっているかどうか点検する。この1mmOKフラッグは図4の始動直後のタンク内圧モニターで1mm径基準をクリアするとき、または後述するステップ210、212においてセットされる。
【0034】
1mmOKフラッグが1にセットされていなければ、ステップ208に進み、センサー11が現在示すタンク内圧またはセンサー11の出力を所定回サンプリングした平均値(この明細書で、単に現在のタンク内圧というときは、処理の性質に応じて1回の測定値であってもよく、複数回サンプリングした値の平均値であってもよい。)がRAM93に記憶されているそれまでのタンク内圧の最大値より大きければ、RAM93の最大値を現在のタンク内圧で書き換え、現在のタンク内圧がRAM93に記憶されているそれまでのタンク内圧の最小値より小さければRAM93に記憶されている最小値を現在のタンク内圧で書き替える。
【0035】
こうして更新された最大値および最小値の差、すなわちタンク内圧の変動幅が所定値以上であれば(209)、1mm径以上の穴による漏れはないと判定し、1mmOKフラッグを1にセットする(210)。ここで判定に用いる所定値は、始動時のエンジン水温(TW)をパラメータとしてROM92に格納されているマップから読み出した値を使用する。
【0036】
タンク内圧の変動幅が所定値より小さいときは、ステップ211に移り、図5を参照して説明した始動直後のタンク内圧モニターにおいて大気開放して測定しRAM93に記憶したタンク内圧P2と、内圧センサ11から得られる現在のタンク内圧P3との差が1mm径以上の穴による漏れを検出するための判定値、たとえば2mmHg以上であれば(211)、タンク系が負圧を保持する機能をもっており1mm径基準による漏れはないと判定して1mmOKフラッグを1にセットする(212)。
【0037】
ステップ207で1mmOKフラッグが立っているとき、ステップ210もしくはステップ212で1mmOKフラッグが立ったとき、またはステップ211でP2―P3が1mm判定値より小さいときは、ステップ213に移り、P2―P3が0.5mm径基準の判定値、たとえば5mmHg以上であるかどうかが判定される。この判定値以上であれば、タンク系は大きな負圧を保持する機能を持っており0.5mm基準の漏れがないと一応判断することができる。
【0038】
しかし、後述のOK判定のキャンセル処理に関連して説明するように、特別な要因で漏れの有無とは関係なくタンク内圧が負圧になることがあるので、ステップ214のキャンセル処理のサブルーチンに入って、このような特別な要因があるかどうかが判断される。このサブルーチンで特別な要因がないと判定されると(すなわち、ステップ213の判定結果をキャンセルしないとされると)、0.5mmOKフラッグを立て(215)、回数カウンタがゼロに達していなければ(216)、回数カウンタを1減らして(217)プロセスを抜け、回数カウンタがゼロに達していればそのままプロセスを抜ける。
【0039】
内圧監視モニタープロセスを実行するプログラムは、図6の実施例においては、予め設定された時間間隔、たとえば80ミリ秒ごとに呼び出され回数カウンタがゼロになるまで(205)繰り返される。回数カウンタがゼロになると、図7に詳細を示すバイパス弁オープン判定処理(206)に移る。バイパス弁オープン処理においてステップ312または313で内圧監視モニター完了フラッグが立てられる。このフラッグが立てられると、図5のプロセスは、ステップ201でこのフラッグを検出して処理を抜ける。
【0040】
バイパス弁オープン処理
次に図7を参照してバイパス弁オープン処理を説明する。図6のプロセスにおいて、回数カウンタの値がゼロになったとき(205)、この処理に入る。また、図6のプロセスにおいて、バイパス弁許可フラッグが立っていることが検出されるとき(202)は、図7のステップ304から入る。図6のステップ208で更新されたタンク内圧の最大値が、図5の始動直後タンク内圧モニター処理で検出され、RAM93に記憶された、システムを大気圧開放したときに測定されたタンク内圧P2より所定値以上大きいかどうかが判定され(301)、大きいときはタンク系が始動時以後、正圧を保持する機能を持っていたことになるので、内圧監視モニター完了フラッグを立てて(313)、処理を終了する。
【0041】
ステップ301の判定で用いられる所定値は、始動時のエンジン水温(TW)をパラメータとする値で、ECU5のROMにテーブルの形で格納されている。すなわち、ステップ301では、エンジンの水温に応じた所定値をROMから読み出し、(タンク内圧の最大値―P2)がこの所定値以上かどうか比較する。
【0042】
ステップ301での比較の結果がノーのときは、バイパス弁を開く許可フラッグを立て(302)、図7に示す処理に費やす予め決められた時間をタンク系判定タイマーにセットする(303)。こうしてセットされたタイマー値は当初ゼロではないのでステップ304を経てステップ305に進み、パージ制御弁30を閉じる。ステップ306は、パージ制御弁の閉弁が安定するのを待つステップで、当初は遅延タイマーがゼロに達していないから、ステップ308に進み、バックグラウンドで算出されている現在のタンク内圧の平均値P4をRAM93に記憶する。
【0043】
図7の処理ルーチンも図6の処理ルーチンと同様に所定の時間間隔、たとえば80ミリ秒ごとに呼び出される。したがって、ステップ308を経てプロセスを抜けた後、再びこの処理に入り、遅延タイマー306がゼロになっていれば、ECU5が制御信号を送ってバイパス弁およびベントシャット弁を開きタンク系を大気圧に開放する(307)。ステップ309において、大気開放後の現在のタンク内圧P5が大気開放前のタンク内圧P4から所定値以上増したかどうかを判定し、増していればタンク系は負圧を維持する機能を持っていたことになるので、1mm径以上の穴による漏れはなかったと判定し、1mmOKフラッグを立て(310)、内圧監視モニター完了フラッグを立てて処理を抜ける(312)。
【0044】
ステップ309の判定で負圧から大気圧に向かっての変動が所定値に達しないときは、ステップ311に移り、P4―P5が所定値以上であるかどうか、すなわち大気解放後のタンク内圧P5が大気開放前のタンク内圧P4から所定値以上小さくなったか(正圧から大気圧に向かって大きく変動したか)を判断する。ここでの所定値は、ステップ309で用いた値とは異なる値であってよく、典型的にはECU5のROMに格納されているエンジン始動時の水温(TW)をパラメータとするテーブルから読み出した値を用いる。
【0045】
圧力の変動が大きければ、タンク系は圧力を維持する機能を持っていたことになるが、正圧からの変動は微小な穴による漏れの有無を検出するのに適さないので、OKフラッグを立てることなく完了フラッグを立てて(312)処理を抜ける。ステップ311で圧力の変動が大きくないと判定されるときは、さらに判定処理を繰り返すため、完了フラッグを立てることなく処理を抜ける。
【0046】
判定処理を繰り返し、タンク系判定タイマーがゼロになると(304)、ステップ314においてステップ311と同様の判定を行い、正圧から大気圧に向かっての変動が大きければ完了フラッグを立てて処理を終了し、変動が大きくなければFSDフラッグを立てた(315)うえで完了フラッグを立てて処理を終了する。FSDフラッグは、他の多くのフラッグとともに故障診断の際に利用される。
【0047】
したがって、1回の運転サイクル(エンジンの始動から停止まで)においては、一連の内圧監視モニターが完了した後に再度同じ内圧監視モニターが繰り返されることはない。しかし、これをどのような頻度で実行するかは設計事項であり、必要に応じて変更することができる。
【0048】
キャニスターモニター
図3は、図2のキャニスタモニターの部分を詳細に示す図である。キャニスタモニターは、大気開放、減圧、内定安定待ち、リークチェックおよび圧力復帰モードを含む。実線40は、内圧センサ11で示される値を示し、この値に基づいて、キャニスタ25に漏れがあるかどうかを判定する。実線41は、キャニスタ25に漏れがない場合のキャニスタ実内圧の変化を示し、点線42は、キャニスタ25に漏れがある場合の内圧安定待ちモードにおけるキャニスタ実内圧の変化を示す。
【0049】
図3に示される各モードの圧力の変化について説明する。最初に、キャニスタモニターが実行されていない通常モードにおいては、バイパス弁24は閉じられ、ベントシャット弁26およびパージ制御弁30は開いている。燃料タンク9からのベーパは、キャニスタ25に一時蓄えられ、パージ通路30を介して適宜エンジン1の吸気系にパージされる。
【0050】
キャニスタの漏れの有無の判定を開始する時に、排出抑止系31を大気圧にするため、バイパス弁24を開き、パージ制御弁30を閉じ、ベントシャット弁26は開いたままにして、大気開放モードにする。排出抑止系31を大気圧にするのは、その後に安定した減圧を行うためである。タンク内圧およびキャニスタ実内圧は、実線40および41に示されるように、大気圧に変化する。大気開放モードに要する時間は、例えば10秒から15秒である。
【0051】
大気開放モードで内圧センサ11の出力値が大気圧になった時、ベントシャット弁26を閉じ、パージ制御弁30を開いて、減圧モードに移行する。ベントシャット弁26を閉じることで排出抑止系31は大気から切り離され、パージ制御弁30を開くことで、エンジンの負圧を利用して、キャニスタを所定の圧力まで減圧する。ここで、所定圧力は、例えば−40〜−60mmHgである。内圧センサ11は、チャージ通路20に取り付けられており、キャニスタ系の負圧の状態を反映した値を示すが、燃料タンク9は容量が非常に大きいので、内圧センサ11が示すほどには負圧状態にされていない。減圧モードに要する時間は、例えば1秒から11秒である。
【0052】
所定の圧力まで減圧した時、バイパス弁24およびパージ制御弁30を閉じて、内圧安定待ちモードに移行する。バイパス弁24を閉じることで、キャニスタ系およびタンク系が切り離される。ここで、キャニスタ25に漏れがなければ、実線41に示すように、キャニスタ実内圧は負圧状態のままであり、キャニスタ25に漏れがあれば、点線42に示すように、キャニスタ実内圧が大気圧に向けて復圧する。0.5mm径については、キャニスタに穴があったとしても負圧から大気圧付近まで復圧するのに時間がかかるので、内圧安定待ちモードに要する時間は、1mm径に比べて長い時間(例えば、40秒)に設定される。
【0053】
内圧安定待ちモードにおいて、実線40に示すようにタンク内圧が短い時間で大気圧に向けて復圧するのは、上記に述べたように、減圧モードで燃料タンク9はほとんど負圧にされていないため、バイパス弁24を閉じると、センサ11は、キャニスタ系の負圧の影響を受けずに、実際の燃料タンク9の内圧を検出するからである。
【0054】
次に、バイパス弁24を開いて、リークチェックモードに移行する。キャニスタ系に漏れがなければ、キャニスタ系が負圧に保持されていたため、キャニスタ系の圧力と、タンク系の圧力との差圧から、タンク内圧は負圧へと大きく変動する。したがって、変動量が所定値以上であれば、キャニスタ系に漏れがなく正常と判定する。キャニスタ系に漏れがあるならば、内圧安定待ちモードの間にキャニスタおよびタンク内圧がほぼ同じになるため、タンク内圧の変動が小さい。この状態を検出すると、キャニスタ系に漏れがあるとして、異常と判定する。リークチェックモードに要する時間は、例えば3秒である。
【0055】
次に、ベントシャット弁26を開いて、圧力復帰モードへ移行し、排出抑止系31を大気圧にする。
【0056】
タンク減圧モニター
図4は、図2のタンク減圧モニターの部分を詳細に示す図である。タンク減圧モニターは、内圧監視モニター後に実施され、始動後オープン処理および内圧監視モニターで検出されなかった漏れを検出することができる。例えば、始動後オープン処理または内圧監視モニターで1mm径以上の穴による漏れについてだけ正常判定とされた場合には、このタンク減圧モニターを実行して、0.5mm径の穴による漏れの有無について判定することができる。また、始動後オープン処理および内圧監視モニターで1mm径基準および0.5mm径基準のどちらについても漏れがなく正常と判定されれば、タンク減圧モニターを実施しないこともできる。
【0057】
タンク減圧モニターは、大気開放、補正チェック、減圧、タンクリークチェックおよびベーパチェック(圧力復帰)モードを含む。実線45は、内圧センサ11の示す圧力値を示したものである。キャニスタモニターと同様に、通常モードは、バイパス弁24のみ閉じられ、ベントシャット弁26およびパージ制御弁30は開いている。
【0058】
補正チェックモードに先だって、バイパス弁24を開き、パージ制御弁30を閉じて、大気開放モードに移行する。タンク内圧は、実線45に示すように、大気圧へと変化する。大気開放モードに要する時間は、例えば15秒である。
【0059】
タンク内圧が大気圧になった時、バイパス弁24を閉じ、ベントシャット弁26を開き、パージ制御弁30を閉じて、補正チェックモードに移行する。燃料タンク9ではベーパが発生しており、この量に依存してタンク内圧が上昇する。したがって、この圧力上昇分を、後のタンク系の漏れの判定の際に考慮する必要がある。補正チェックモードでは、補正値として、大気圧から正圧に上昇する単位時間あたりの圧力変動量を測定する。補正チェックモードに要する時間は、例えば30秒である。
【0060】
次に、バイパス弁24を開き、ベントシャット弁26を閉じて、減圧モードに移行し、パージ制御弁を制御しながら、タンク内圧を所定の圧力、例えば−15mmHgにまで安定的に減圧する。内圧センサ11は、すぐに負圧状態になる細いチャージ通路20に設けられており、それに対して燃料タンク9は容量が大きいため、センサ11が負圧を示す時でも、タンク9が負圧でない場合が生じる。したがって、安定した負圧状態にするため、オープン減圧をした後に、フィードバック減圧を行う。
【0061】
この減圧により、内圧センサ11により示される圧力および実際のタンク内圧の差圧がほぼゼロになる。減圧モードに要する時間は、例えば30秒〜40秒である。
【0062】
タンク系が所定の負圧状態になった後、すべての弁24、26および30を閉じ、タンクリークチェックモードに移行する。タンク系に漏れがなければ、負圧はほぼ保持されたままとなり、復帰する圧力量(これは、ベーパの影響による)が小さい。タンク系に漏れがあれば、実線45に示すように、復帰する圧力量が大きい。0.5mmという非常に小さい穴を検出する必要があるので、タンクリークチェックモードに要する時間は、例えば30秒である。
【0063】
次に、バイパス弁24およびベントシャット弁26を開き、ベーパチェックモード(圧力復帰モード)に移行し、タンク系を大気圧に戻す。ここで、正圧から大気圧に向けてタンク内圧が変動した場合には、タンクリークチェックの間にベーパの発生等により正圧にまで変動しており、タンクリークチェック中に正確な圧力変動量が算出されていないことを示すので、漏れの有無の判定を禁止する。反対に、実線45または点線46に示すように、負圧から大気圧に変動した場合には、リークチェック中の単位時間あたりの圧力変動量から、補正チェック中の単位時間あたりの圧力変動量に係数を掛けた値を引いた値に基づいて、タンク系の漏れの有無を判断する。ベーパチェックモードに要する時間は、たとえば3秒である。
【0064】
タンク減圧モニター成立条件判断
検出するリーク穴径が0.5mm程度の微小な穴になってくると、諸々の運転状態が漏れの有無の判定に影響を及ぼすようになる。検出の精度を向上させるためには誤判定を導く要因があるときは、漏れの有無の判定を禁止するようにし、信頼性の高い判定結果が得られる運転状態で漏れの有無の検出を行う必要がある。
【0065】
このような誤判定を導く要因の一つとして、この発明の発明者は、タンク減圧モニター前または補正モード中にタンク内圧が負圧方向に変化する状態があることを見いだした。このようなタンク内圧の変化は、たとえば車の雨天走行時に燃料タンクが濡れて温度が低下するようなときに観測される。
【0066】
図8は、このような要因があるとき前述のタンク減圧モニターを今回の運転サイクル(エンジン始動から停止まで)の間禁止する処理を説明するための流れ図である。先ず、ステップ401において内圧監視モニターの終了を示すフラッグが1かどうかを判断し、1であれば、すなわち内圧監視モニターが終了していればステップ402に進む。内圧監視モニター終了フラッグが立っていないとき、すなわち内圧監視モニターが終了していないときはモニター条件成立フラッグをゼロにして、タンク減圧モニターを禁止する(412)。
【0067】
ステップ402でタンク減圧モニターフラッグが1かどうか判断する。最初は1でないので、ステップ403に進み、現在のタンク内圧がRAM93に記憶されているタンク内圧P4より大きいかどうか比較し、大きければRAM93に記憶されているタンク内圧P4を現在のタンク内圧で更新する。
【0068】
現在のタンク内圧がP4より大きくないとき、すなわち等しいかP4より小さい(P4より負圧方向に変化している)ときは、P4を更新することなくステップ405に進む。ここで、P4―タンク内圧が所定値(たとえば3mmHg)以上であれば、すなわちタンク内圧がRAM93に記憶されているタンク内圧P4から3mmHg以上負圧方向に変化しているときは、前述の理由でタンク減圧モニターを禁止するためモニター条件成立フラッグをゼロにセットする(412)。
【0069】
既にタンク減圧モニターを許可するフラッグが1のときは、ステップ403から405をスキップし、RAM93に記憶されているP4を現在のタンク内圧で更新した後(406)、ステップ407の基本運動条件判断のサブルーチンに入る。基本運動条件判断サブルーチンでは、スロットルの開度、エンジン回転数、車速がそれぞれ予め決められた範囲内にあるか、燃料タンクを減圧するに適さない高負荷の運転状態かどうか、空燃比の制御がリミットに張り付いた状態にないかどうかなど、車の基本的な運転状態がタンク減圧モニターに適した状態にあるかどうかを点検する。これらの点検が減圧モニターに不適当と判定されるとタンク減圧モニターは許可されない。これらの点検および判定処理は従来技術であるので、ここでは詳細の説明を省略する。
【0070】
次にステップ408で大気開放モードでのタンク内圧が1mmHg前後の予め決められた値以下かどうかを点検し、この条件が満足されないとき、すなわち大気開放モードでのタンク内圧が所定値より大きいときは、ベーパーの発生が特別大きくタンク減圧モニターには適さないと判定し、モニター条件成立フラッグをゼロにセットする(412)。
【0071】
ステップ408の条件が満足されると、ステップ409に進み、タンク減圧モニターへの頻繁な出入りを防ぐため、予め決められた時間の経過を待ち(409)、モニター条件成立フラッグを1にセットし(410)、タンク減圧モニター許可フラッグを1にセットして(411)、処理を抜ける。図8の処理は、一定の時間間隔、たとえば80ミリ秒ごとに呼び出される。
【0072】
補正チェックモード
図9は、補正チェックモードにおいて補正値を算出する流れ図であり、ステップ801で、大気開放モードのプロセス完了時に設定される補正チェック許可フラグが1ならばステップ802に進み、補正チェックのプロセスを開始する。ステップ802で、バイパス弁24およびパージ制御弁30を閉じ、ベントシャット弁26を開く。
【0073】
ステップ803に進み、タンク内圧読み込みタイマーがゼロでなければステップ804に進み、内圧センサ11の出力を検出して、この処理におけるタンク内圧の初期値PTRとしてRAM93に記憶する。タンク内圧読み込みタイマーを設けたのは、バイパス弁24を開いた状態から閉じるとタンク内圧が変動するため、所定時間経過して圧力がある程度落ち着いた時のタンク内圧を読み込むためである。
【0074】
ステップ803でタンク内圧読み込みタイマーがゼロであれば、すなわち所定時間経過したならば、ステップ805に進み、補正チェックモードタイマーがゼロかどうか判断する。補正チェックタイマーは、補正値算出に必要な時間が経過したかどうかを判断するためのものであり、上記のタンク内圧読み込みタイマーより大きい値に設定される。補正チェックタイマーがゼロであれば、ステップ806に進む。
【0075】
ステップ806では、現在のタンク内圧と、ステップ804で保管されたタンク内圧の初期値PTRとを比較し、タンク内圧が負圧側へ所定値(たとえば3mmHg)以上変動しているかどうかを判断する。負圧側へ変動していれば、燃料タンク内の温度が低下することにより気化燃料が液化している状態であり、適切な補正値を得ることができない。したがって、ステップ810に進み、タンク減圧モニター完了フラグに1を設定し、今回の運転サイクルにおけるタンク減圧モニターを禁止する。
【0076】
ステップ806で負圧側への変動がなければ、ステップ807に進み、単位時間あたりのタンク内圧の変動量を示す補正値RVARを、以下の式に従って算出する。
【0077】
【数1】
補正値RVAR =(タンク内圧−PTR)/ 補正チェックタイマー経過時間
【0078】
ステップ808に進み、算出された補正値RVARが所定値以上であれば、ベーパが大量に発生して、二方向弁23の正圧側コントロール圧にタンク内圧がはりついている可能性があり、そのような状態で算出された値は適切な補正値でないので、ステップ810に進み、タンク減圧モニター完了フラグに1を設定してタンク減圧モニターを禁止する。補正値RVARが所定値より小さければ、ステップ809に進み、補正許可フラグにゼロを設定し、次の減圧モードを実行するため減圧許可フラグに1を設定する。得られた補正値RVARは、RAM93に保管され、ベーパチェックモードで使用される。
【0079】
タンクリークチェックモード
図10は、タンクリークチェックモードにおいて燃料タンクを負圧にしたときの単位時間あたりの圧力変動量を算出する流れ図であり、ステップ901で、減圧モードのプロセス完了時に1に設定されるタンクリークチェック許可フラグが1ならば、ステップ902に進み、タンクリークチェックのプロセスを開始する。
【0080】
ステップ902では、バイパス弁24、ベントシャット弁26およびパージ制御弁30をすべて閉じる。ステップ903に進み、タンク内圧読み込みタイマーがゼロかどうか判断する。タンク内圧読み込みタイマーがゼロでなければ、ステップ904に進み、内圧センサ11により検出された値を、タンク内圧の初期値P13としてRAM93に保管する。タンク内圧読み込みタイマーを設けたのは、補正チェックモードの場合と同様に、所定時間経過させて圧力をある程度落ち着かせてからタンク内圧を読み込むためである。
【0081】
ステップ903でタンク内圧読み込みタイマーがゼロならば、ステップ905に進み、復圧履歴監視タイマーがゼロかどうか判断し、ゼロであれば復圧履歴監視(ステップ906から908)を行う。復圧履歴監視は、タンクリークチェックモード中に所定時間ごとに実行され、その度にステップ908でタンク内圧を読み込んで時系列にRAM93に保管し(すなわち、前回のタンク内圧をP14(n)、前々回のタンク内圧をP14(n−1)...と保管する)、圧力変動量を監視する。
【0082】
ステップ906では、現在のタンク内圧P14と、前回のタンク内圧P14(n)との差の絶対値が予め決められた値以上ならば、液面の揺れなどによる圧力の急変と判断し、適切な圧力変動量を算出できないので、タンク減圧モニターを中断し、圧力を復帰させて通常モードに移行する。ここで禁止でなく中断とするのは、今回のタンクリークチェックでは急激な圧力変動量があったけれども、次回のタンクリークチェックでは、そのような圧力変化が起きないことがあるからである。
【0083】
ステップ907に進み、現在のタンク内圧P14および前回のタンク内圧P14(n)の差P14−P14(n)(これを、△Pxとする)と、前回のタンク内圧P14(n)および前々回のタンク内圧P14(n−1)の差P14(n)−P14(n−1)(これを、△Pyとする)を算出し、△Pxと△Pyとの差の絶対値|△Px−△Py|が予め決められた値以上ならば、燃料タンクが満タン時のカットオフ弁作動中と判断し、このような状態では適切な圧力変動量を算出できないので、ステップ915に進み、タンク減圧モニター完了フラグに1を設定して、この運転サイクルのタンク減圧モニターを禁止する。
【0084】
復圧履歴監視を終えた後、ステップ909に進み、タンクリークチェックタイマーがゼロかどうか判断する。ゼロであれば、ステップ910に進み、現在のタンク内圧P14およびステップ904で記憶されたタンク内圧の初期値P13に基づいて、以下の式に従い、タンクリークチェックモードの単位時間あたりの圧力変動量LVARを算出する。算出されたLVARは、RAM93に記憶され、ベーパチェックモードで使用される。
【0085】
【数2】
単位時間あたりの圧力変動量LVAR =(P14−P13)/ タンクリークチェックタイマー経過時間
【0086】
ステップ911に進み、内圧センサ11により検出された圧力値を、タンクリークチェック終了時のタンク内圧P15として、RAM93に記憶する。これは、後のベーパチェックモードで使用するためである。ステップ912に進み、タンクリークチェック許可フラグにゼロを設定し、次のベーパチェックモードを実行するため、ベーパチェック許可フラグに1を設定する。
【0087】
ステップ909でタンクリークチェックタイマーがゼロでなければ、ステップ916に進み、現在のタンク内圧P14が、大気圧近傍の所定範囲内にあるかどうか判断する。所定範囲内にあるならばステップ917に進み、現在のタンク内圧P4と、前回のタンク内圧P14(n)との差の絶対値|P14−P14(n)|が、予め決められた値以上かどうか判断する。この値より小さければ、圧力がほぼ落ち着いてきており、タンクリークチェックタイマーによる時間経過を待つ必要がないので、ステップ910に進み、単位時間あたりの圧力変動量を算出する。この場合の算出は、以下の式に従う。
【0088】
【数3】
Figure 0003561651
【0089】
ベーパチェックモード
図11は、ベーパチェックモードにおいて、タンクリークチェックモード終了時のタンク内圧の状況を判断し、タンク系の漏れの有無を判定する流れ図であり、ステップ1001で、タンクリークチェックのプロセス終了時に設定されるベーパチェック許可フラグが1ならば、ステップ1002に進み、ベーパチェックのプロセスを開始する。
【0090】
ステップ1002で、補正チェック燃料消費量RGASと、タンクリークチェック燃料消費量LGASとの差の絶対値が、所定値以上かどうか判断する。所定値以上ならば、両モードの運転状態が大きく異なるため正確な判定を行うことができないと判断し、ステップ1010に進み、タンク減圧モニター完了フラグに1を設定し、この運転サイクルのタンク減圧モニターを禁止する。これにより、タンク系の漏れの有無の判定は行われない。この所定値は、微小な穴による漏れ検出に対し、補正チェックモードとリークチェックモードとで運転状態が異なることによる影響を示すデータを実験およびシミュレーションで蓄積し、その結果に基づいて決定する。
【0091】
ステップ1002で、RGASとLGASとの差の絶対値がこうして決められた値より小さければ、ステップ1003に進み、バイパス弁24およびベントシャット弁26を開き、パージ制御弁30を閉じて、タンク系を大気圧に開放する。ステップ1004に進み、現在のタンク内圧と、タンクリークチェックのステップ911(図10)で保管されたタンクリークチェック終了時のタンク内圧P5とを比較して、タンク内圧が正圧から大気圧に向けて低下したかどうか判断する。すなわち、タンク内圧が正圧になっていたかどうか判定する。
【0092】
正圧から大気圧に向けてタンク内圧が変化することは、ベーパが大量に発生してタンクリークチェックモード終了時にタンク内圧が正圧にまで変動していたことを示し、判定を正確に行うことができないので、ステップ1010に進み、タンク減圧モニター完了フラグに1を設定してモニターを禁止し、タンク系の漏れの有無の判定を行わない。正圧から大気圧に所定値以上低下したのでなければ、ステップ1005に進み、判定を行うための最終計測値を、以下の式に従って算出する。
【0093】
【数4】
最終計測値=LVAR−(補正係数*RVAR)
【0094】
ここで、LVARはステップ910(図10)で得られたタンクリークチェック中の単位時間あたりの圧力変動量であり、RVARはステップ807(図9)で得られた補正チェック中の単位時間あたりの圧力変動量である。補正係数は、補正チェックモードにおける大気圧からの圧力上昇量と、タンクリークチェックモードにおける負圧からの圧力上昇量とは条件が異なるので、それを補正するための係数であり、例えば1.5〜2.0である。
【0095】
ステップ1006に進み、算出された最終計測値が判定値1(たとえば、8mmHg)以上ならば、タンクリークチェックモードの圧力上昇はタンク系の漏れによるものと考えられるので、ステップ1008に進み、タンク系に漏れがあり異常と判定し、OKフラグに「0」を設定する。算出された最終計測値が判定値1より小さければ、ステップ1007に進む。ステップ1007において、算出された最終計測値が判定値2(たとえば、3mmHg)以下ならば、タンクリークチェックモードの圧力上昇はベーパの発生によるものと考えられるので、ステップ1009に進み、タンク系に漏れがなく正常と判定し、OKフラグに「1」を設定する。
【0096】
ステップ1007で、最終計測値が判定値2より大きければ、すなわち、最終計測値が判定値2より大きく判定値1より小さい場合には、漏れのある(NG)/なし(OK)を正確に判定することができないので、ステップ1010に進み、タンク減圧モニター許可フラグに1を設定し、タンク減圧モニターを禁止する。これらの関係を以下の表に示す。
【0097】
【表1】
Figure 0003561651
【0098】
【発明の効果】
この発明によれば、タンク系の漏れの有無の判定の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による蒸発燃料処理装置を示す図。
【図2】この発明による蒸発燃料処理装置の排出抑止系の漏れの有無を判定する際の圧力の変化を示す図。
【図3】図2におけるキャニスタモニターの部分であって、キャニスタ系の漏れの有無を判定する際のタンク内圧およびキャニスタ実内圧の変化を示す図。
【図4】図2におけるタンク減圧モニターの部分であって、タンク系の漏れを判定する際のタンク内圧の変化を示す図。
【図5】エンジン始動直後のタンク内圧モニター処理を示す流れ図。
【図6】内圧監視モニター処理を示す流れ図。
【図7】バイパス弁オープン判定処理を示す流れ図。
【図8】タンク減圧モニター成立条件判断処理を示す流れ図。
【図9】補正チェックモードの処理を示す流れ図。
【図10】タンクリークチェックモードの処理を示す流れ図。
【図11】ベーパチェックモードの処理を示す流れ図。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関)
2 吸気管
5 電子制御ユニット(制御手段)
6 燃料噴射弁
9 燃料タンク
11 内圧センサ
20 チャージ通路
24 バイパス弁
25 キャニスタ
26 ベントシャット弁
27 パージ通路
30 パージ制御弁

Claims (1)

  1. 燃料タンク、内部を大気に開放する開放口を有し、前記燃料タンク内に発生した蒸発燃料を吸着するキャニスタ、前記燃料タンクと前記キャニスタを連通するチャージ通路、前記キャニスタと内燃機関の吸気管を連通するパージ通路、前記チャージ通路に設けられた圧力調整弁、前記圧力調整弁をバイパスする通路に設けられたバイパス弁、前記パージ通路に設けられたパージ制御弁、前記開放口を開閉可能なベントシャット弁、前記燃料タンクの内圧を検出するための内圧センサ、および前記バイパス弁、パージ弁、ベントシャット弁を制御することにより前記燃料タンクを大気圧に開放しまたは負圧に制御することができ、該燃料タンクを負圧にした後の負圧の変化度合いに基づいて漏れの有無を検出する制御手段を備える蒸発燃料処理装置において、
    前記制御手段は、前記バイパス弁を閉弁している時前記燃料タンクの内圧が負圧方向に変化することに応答して、前記漏れの有無の検出を禁止することを特徴とする内燃機関の蒸発燃料処理装置。
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