JP3564066B2 - キャパシタのノンリニアリティを補償するための方法および回路 - Google Patents
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Description
(発明の背景)
本発明は、主として、スイッチト・キャパシタ回路、特に損失性積分器(lossy integrator)および1ビットDACにおけるノンリニアリティおよび歪みを低減する技術に、また、基準電圧回路においてこの回路内のデータ依存電流に起因するエラーを低減するための技術に関し、さらに詳細には、1ビット・スイッチト・キャパシタDACおよびスイッチト・キャパシタ損失性積分器を含むデジタル−アナログ変換器におけるノンリニアリティおよびエラーを低減することに関するものである。
【0002】
背景として、積分回路のスイッチト・キャパシタ回路において使用されるキャパシタは、これらの両端間の電圧の関数として変化するキャパシタンスを有していることは、良く知られている。ある電圧インターバルにわたるこのような積分回路キャパシタのキャパシタンスの変化速度は、その“キャパシタンスの電圧係数”と呼ばれている。回路動作中のこのようなキャパシタのキャパシタンス変動は、スイッチト・キャパシタを含む回路の動作に、望ましくないノンリニアリティをもたらすことがある。米国特許4,918,454(アーリー外(Early et al))は、デルタ−シグマ・アナログ−デジタル変換器(ADC)におけるおよびCDAC型DACにおけるその問題について記述している。アーリー外は、2つの等しいキャパシタを互いに逆向きで並列に接続して、これら2つのキャパシタのリニアな電圧係数の影響の自動キャンセルを与える、という解決法を提供している。この技術は、それら2つのキャパシタが非常に精密にマッチングされることを必要とし、そしてこれは、集積回路製造プロセスにおいては困難なことが時にある。直列の1ビット・コードが1ビットDACを通過するようになっており、そしてその出力がアナログ・ポストフィルタに接続されるようになったデジタル−アナログ変換器は、良く知られている。“デジタル・オーディオのためのCMOSステレオ16ビットD/A変換器(“A CMOS Stereo 16bit D/A Converter for Digital Audio” by Peter J. A, Naus et al., IEEE Journal of SolidState Circuits, vol. SC22, pp. 390395, June 1987. )”、特にその図6を参照されたい。
【0003】
米国特許4,918,454の図8は、デルタ−シグマADCのアナログ変調器を示しており、これにおいて、サンプリング・キャパシタ106は、その端子が各フェーズ毎に逆転されて、そのサンプリング・キャパシタの電圧係数の影響を時間平均するようにしている。このスイッチト・キャパシタ・サンプリング回路は、“純粋”な、すなわち非損失性(non−lossy)の高利得積分器を含んでいる。米国特許4,918,454の図9は、デルタ−シグマADCのアナログ変調器を示しており、これにおいて、互いに逆向きの(+)端子を有した2つのサンプリング・キャパシタを使用することによって、変換すべきアナログ入力電圧をサンプルするようになっている。米国特許4,918,454の図10a−dは、CDAC型デジタル−アナログ変換器を開示しており、これにおいては、CDAC(キャパシタ型デジタル−アナログ変換器)の出力を、リセット可能な“純粋”な積分器に入力として供給するようになっている。
【0004】
しかし、当業者には分かるように、損失性積分器は、デルタ−シグマ・アナログ−デジタル変換器あるいはCDAC型のデジタル−アナログ変換器においては決して使用されることはないが、それは、これら双方の応用において、その演算増幅器およびフィードバック回路において高いDC利得に対するニーズがあるからであり、この場合における損失性積分器の使用は、その高DC利得に対するニーズを完全に台無しにしてしまうからである。したがって、スイッチト・キャパシタ・フィードバックは、“純粋”な積分器において使用されることは決してない(但し、“純粋”な積分器のフィードバック・キャパシタはリセット可能とすることができる)。
【0005】
1ビットDACにおいては、1ビット・データ入力は、高いまたは低い基準電圧が、1ビットDACの1つのあるいは複数のサンプリング・キャパシタ上にスイッチされたかどうかを判定する。1ビット入力データ・ストリームは、高い周波数のエネルギを大量に含んでいるため、従来、1ビットDACの出力をフィルタに供給して、フィルタ処理プロセスを開始させ、これによって望まない高い周波数ノイズを除去するのが通常である。
【0006】
米国特許4,918,454の図10a−dに示されたCDAC型アナログ−デジタル変換器においては、容量性のCDACアレイ内の電荷は、マルチビット二進重み付け信号にしたがって再分配して、電荷を損失性積分器のスイッチト・フィードバック・キャパシタ上に移すようにしている。当業者には理解されるように、CDAC型のデジタル−アナログ変換器においては、その変換されたアナログ出力は、ほとんど即座に現れるが、このようなデジタル−アナログ変換器のリニアリティは、CDACアレイ内の種々のキャパシタのマッチングによって決まる。これと対照的に、1ビットDAC型のデジタル−アナログ変換器は、本来的にリニアでかつモノトーンであり、そしてその出力は、任意の所望の分解能、すなわち任意の所望のビット数に構成することができる。
【0007】
CDACアレイのキャパシタの容量マッチングを改善するため、高価なトリミング回路技術が要求される。これと対照的に、1ビットDACにおいては、DACのキャパシタ間のどのようなミスマッチも、DCオフセット電圧として現れるが、これは、容易にフィルタで除去でき、したがって1ビット・デジタル−アナログ変換器のリニアリティに影響を与えない。
【0008】
このため、当業者には分かるように、CDAC型のデジタル−アナログ変換器は、アナログ出力が1ビット・デジタル入力を構成するデータの直列ストリングを表す時間平均表現となった1ビットDAC型のデジタル−アナログ変換器とは、全く異なった応用において使用される。
【0009】
スイッチト・キャパシタ積分回路において使用されている“ボトム・プレート・サンプリング(bottom plate sampling)”と一般に呼ぶ標準の技術があり、これにおいては、それらスイッチの積分ノード側上のキャパシタに接続したスイッチは、それらキャパシタの他方のプレートに接続したスイッチより前にスイッチ・オフして、その積分ノード中へのデータ依存電荷注入を低減させるようになっている。この技術は、一般に多くの種々の遅延をさせたクロック信号を必要とし、これは、従来の回路技術を使って当業者が容易に提供することができる。
【0010】
デルタ−シグマ変調器に基づくDACは、特に混合信号(mixed signal)積分回路において高分解能のデジタル−アナログ変換器を実現する普通の方法である。これらDACは、信号経路においてスイッチト・キャパシタ回路を使用して、低電力で良好にマッチングしたコンポーネントとそして良好なダイナミックレンジを提供することが多い。特に、いわゆる1ビットDACは、その本来的にリニアな構造のため、非常に一般的である。しかし、1ビット・デルタ−シグマDACの信号伝達関数のリニアリティに対する制限の内の1つは、上記フィルタを実施するのに使用するキャパシタのノンリニアリティである。通常は、キャパシタの電圧係数の一次項が支配的であり、そしてこの問題を克服するため多くの方法が提案されており、これには、キャパシタを形成するのに使用する2つのダブルの多結晶シリコン層のドーピングをバランスさせること、完全な差動回路の使用、米国特許4,918,454(アーリー外)に開示されたような異なった向きの並列接続したキャパシタを使用すること、が含まれる。
【0011】
しかし、多結晶シリコン層のドーピング・レベルをバランスさせることは、トランジスタのプロセス処理と両立しないことがあり、この場合、シリサイド層を使用し、抵抗器としての第2の層の使用あるいは単にシリサイド成長を制御する追加のマスクの使用は、コストを上昇させる。完全な差動回路の使用は、より複雑な演算増幅器を必要とし、これには、電力消費およびチップ面積の増加が伴う。電圧係数の影響をキャンセルするために並列の2つの異なった向きのキャパシタを使用することは、それら2つのキャパシタのマッチングにより制限される。
【0012】
スイッチト・キャパシタ回路においては、1つのスイッチト・キャパシタの一方または両方の端子は、基準電圧にスイッチすることができ、これにより、このキャパシタとその基準電圧を発生する基準電圧回路との間の電荷の流れを生じさせる。基準電圧回路の出力インピーダンスを通る電荷のこの流れは、その基準電圧に加わる誤差を生じさせ、そしてこの電荷がデータ依存である場合、基準電圧内のその誤差もまた、データ依存となる。これは、このスイッチト・キャパシタ回路が処理する信号情報を歪ませる。ここには、この問題への解決法に対し、未だ満たされていないニーズがある。
【0013】
(発明の摘要)
したがって、本発明の目的は、スイッチト・キャパシタ回路において、このスイッチト・キャパシタの電圧係数に起因するノンリニアリティ誤差を低減させることである。
【0014】
本発明の別の目的は、スイッチト・キャパシタ回路内の基準電圧回路の内部抵抗を流れるデータ依存電流の影響を回避することである。
本発明の別の目的は、デジタル−アナログ変換器およびこれに関連のポストフィルタ処理回路において、これの中のスイッチト・キャパシタの電圧係数に起因する歪みを低減させることである。
【0015】
本発明の別の目的は、スイッチト・キャパシタの電圧係数に起因する誤差のキャンセルを提供するために逆向きにした対応するプレートを有するように接続したスイッチト・キャパシタを精密にマッチングさせる、というニーズを回避することである。
【0016】
本発明の別の目的は、損失性積分器のサンプリング・フェーズの間に再分配する必要のある電荷量を低減する技術を提供し、これによって、演算増幅器のスリューレート制限により生ずるノンリニアリティを回避し、したがってこの積分器の演算増幅器のスリューレート能力を低減させることである。
【0017】
本発明の別の目的は、スイッチト・キャパシタ型損失性積分器内に含まれる演算増幅器のスリュー能力(slewing capability)を低減させることである。
簡潔に説明すると、本発明の1実施形態によれば、本発明が提供する回路においては、キャパシタ電圧係数を損失性積分器において低減し、これは、逆向きの第1(43)と第2(33)のフィードバック・キャパシタをスイッチト・キャパシタ・フィードバック回路(11A)において逆向きに設け、このフィードバック回路は、その出力と、演算増幅器(3)の反転入力に接続した加算導体(4)とに間に結合する。第1のクロック信号(φ1)の間、第1フィードバック・キャパシタ(43)の端子は、第1(42)と第2(45)のリセット・スイッチを閉じることによって基準電圧に結合し、そして前記第2フィードバック・キャパシタ(33)は、第1(30)と第2(36)のサンプリング・スイッチを閉じることによって、前記加算導体と前記出力導体との間に結合する。次に、第2クロック信号(φ2)の間、前記第2フィードバック・キャパシタ(33)の前記端子を、第3(32)および第4(35)のリセット・スイッチを閉じることによって前記第2フィードバック・キャパシタの前記端子を前記第1基準電圧に結合し、また、前記第1フィードバック・キャパシタ(43)は、第3(40)および第4(46)のサンプリング・スイッチを閉じることによって、前記加算導体と前記出力導体との間に結合する。前記第1および第2のフィードバック・キャパシタの逆向き配置は、前記第1および第2のフィードバック・キャパシタによる前記加算導体への逆極性の電圧係数誤差電荷寄与分の時間平均化をもたらす。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、デジタル−アナログ変換器回路(1A)は、1ビット・スイッチト・キャパシタDAC(2)であって、デジタル入力信号(D)が第1の論理レベルにある場合に、所定の量の電荷を加算導体(4)に供給するか、あるいは前記デジタル入力信号が第2の論理レベルにある場合に、前記所定量の電荷を前記加算導体から引き出すように反復的に動作可能である、前記の1ビット・スイッチト・キャパシタDACと、これと組み合わせて損失性積分器を含む。前記演算増幅器の反転入力は、前記損失性積分器の前記加算ノードに接続する。第5(47)および第6(48)のリセット・スイッチは、前記第1クロック信号(φ1)の第1部分(φ1P)の間、前記第1フィードバック・キャパシタ(43)の前記端子をバッファ形基準電圧(+BVREF)にそれぞれ反復的に結合するために設けることができる。前記第1(42)および第2(45)のリセット・スイッチは、前記第1クロック信号(φ1)の第2の部分(φ1R)の間に、前記第1フィードバック・キャパシタ(43)の前記端子を前記基準電圧に結合する。第7(38)および第8(39)のリセット・スイッチは、前記第2クロック信号(φ2)の第1の部分(φ2P)の間に、前記第2フィードバック・キャパシタ(33)の前記端子を前記バッファ形基準電圧(+BVREF)に反復的に結合するために設けることができ、前記第3(32)および第4(35)のリセット・スイッチは、前記第1クロック信号(φ2)の第2の部分(φ2R)の間に、前記第2フィードバック・キャパシタ(33)の前記端子を前記基準電圧に結合する。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、損失性積分器は、演算増幅器(3)であって、加算導体(4)に結合した反転入力(−)と、第1の基準電圧(+VREF)を受けるように結合した非反転入力(+)と、該演算増幅器の前記反転入力(−)と出力導体(5)との間に結合した積分用キャパシタ(CINT)と、を有する、前記の演算増幅器と、該演算増幅器の前記出力導体(5)と前記反転入力(−)との間に結合したスイッチト・キャパシタ・フィードバック回路(11B)とを含む。該スイッチト・キャパシタ・フィードバック回路は、第1(43)および第2(33)のフィードバック・キャパシタと、第1のクロック信号(φ1)の間に前記第1フィードバック・キャパシタ(43)を前記加算導体と前記出力導体との間に結合する第1(43)および第2(33)のサンプリング・スイッチと、第2のクロック信号(φ1)の間に前記第1フィードバック・キャパシタ(43)の前記端子を第1基準電圧(+VREF)にそれぞれ結合する第1(42)および第2(45)のリセット・スイッチと、前記第2クロック信号(φ1)の間に、前記第2フィードバック・キャパシタ(33)を前記加算導体と前記出力導体との間に結合する第3(30)および第4(36)のサンプリング・スイッチと、前記第1クロック信号(φ2)の間に、前記第2フィードバック・キャパシタ(33)の前記端子を前記第1基準電圧(+VREF)に結合する第3(32)および第4(35)のリセット・スイッチと、を含む。補正キャパシタ(54)と、スイッチング回路は、前記第1クロック信号の間に前記補正キャパシタを前記出力導体に結合して補正電荷を前記補正キャパシタに蓄積する。前記補正電荷は、前記第2クロック信号の間に前記加算導体に結合して、前記第1フィードバック・キャパシタから前記加算ノードに先に結合された電圧係数誤差電荷をキャンセルする。
【0020】
別の実施形態においては、損失性積分器は、前記加算導体(4)に結合した反転入力(−)と、第1の基準電圧を受けるように結合した非反転入力(+)とを有する演算増幅器(3)と、該演算増幅器の前記反転入力(−)と出力導体(5)との間に結合した積分用キャパシタと、前記演算増幅器の前記出力導体と前記反転入力(−)との間に結合したスイッチト・キャパシタ・フィードバック回路と、を含み、前記スイッチト・キャパシタ・フィードバック回路は、第1(+)の端子および第2(−)の端子を有するフィードバック・キャパシタ(7)と、第3(60)および第4(61)の端子を有する伝達回路であって、前記第3(60)および第4(61)の端子との前記第1(+)および第2(−)の端子の接続を反復的に逆転させるよう動作する、前記の伝達回路と、第1のクロック信号(φ2)の間に、前記伝達回路を、前記加算導体と前記出力導体との間に結合するサンプリング・スイッチ回路と、第2のクロック信号(φ1)の間に、前記第1フィードバック・キャパシタ(43)の前記端子を第1の基準電圧(+VREF)に結合する第1(42)および第2(45)のリセット・スイッチと、を含む。
【0021】
別の実施形態においては、スイッチト・キャパシタ回路は、第1(C43)および第2(C33)のキャパシタと、第1のクロック信号(φ2)の間に前記第1キャパシタ(C43)を第1の導体(4)と第2の導体(5)との間に結合する第1(40)および第2(46)のサンプリング・スイッチと、第2のクロック信号(φ1)の間に前記第1キャパシタ(C43)の前記端子を基準電圧に反復的に結合する第1(42)および第2(45)のリセット・スイッチと、を含む。第3(30)および第4(36)のサンプリング・スイッチは、前記第2クロック信号(φ1)の間に、前記第2キャパシタ(C33)を前記第1導体と前記第2導体との間に結合し、第3(32)および第4(35)のリセット・スイッチは、前記第1クロック信号(φ2)の間に、前記第2キャパシタ(C33)の前記端子を前記基準電圧に結合する。スイッチング回路は、前記第1クロック信号(φ2)の間に前記補正キャパシタを前記第2導体(5)に結合して補正電荷を前記補正キャパシタに蓄積し、次に、前記第1クロック信号(φ2)の間に前記補正キャパシタを前記第1導体に供給して、前記第1キャパシタから前記第1導体(4)に先に結合された電圧係数誤差電荷をキャンセルする。
【0022】
別の実施形態においては、スイッチト・キャパシタ回路は、第1のスイッチ(27Aまたは46)により第1の電圧を導く第1の導体(4または5)に結合した第1の端子(25Aまたは49)と、第2のスイッチ(21Aまたは40)により第2の電圧を導く第2の導体(20または4)に結合した第2の端子(22Aまたは41)とを有する第1のキャパシタ(23Aまたは43)を含み、前記第1および第2のスイッチの内の少なくとも1つが、前記第1キャパシタに関連したデータ依存量の電荷を発生するよう動作する。第3のスイッチ(27Bまたは48)は、前記第1端子(25Aまたは49)をバッファ形基準電圧(+BVREF)を導く第3の導体に結合し、該第3スイッチ(27Bまたは48)は、第1のインターバル(D・φ2またはφ1P)の間にターンオンされて、前記第1端子(25Aまたは49)上に前記バッファ形基準電圧(+BVREF)を発生する。第4のスイッチ(26Aまたは45)は、前記バッファ形基準電圧(+BVREF)とは分離しかつこれと実質的に等しい静かな基準電圧(+VREF)を導く第4の導体に対し、前記第1端子を結合し、該第4スイッチ(26Aまたは45)は、前記第1インターバルに続きかつそれと非オーバーラップの第2のインターバル(φ1またはφ1R)の間にターンオンされて、前記第1キャパシタと前記静かな基準電圧(+VREF)を発生する回路との間にデータ依存電荷の流れを生じさせずに、前記第1端子(25Aまたは49)上に前記静かな基準電圧(VREF)を発生する。
【0023】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
図1を参照すると、1ビット・デジタル−アナログ変換器1Aは、1ビットDAC2を含み、これにおいては、φ1の間、サンプリング・キャパシタ23Aを+VREFにプリチャージし、かつサンプリング・キャパシタ23Bをゼロにプリチャージする。1ビット離散時間データ信号Dは、入力として受ける。Dとその補数D*(*は反転を示す)とは、クロック信号φ2で論理的AND演算して、Dが“1”であるか“0”であるかに依存して、サンプリング・キャパシタ23Aに蓄積された電荷の加算導体4中への転送か、あるいはその等価の電荷のサンプリング・キャパシタ23Bを介しての加算導体4からの引き出しのいずれかを実施させる。加算導体4は、高利得演算増幅器3とそのフィードバック回路によって仮想の+VREFレベルに維持する。
【0024】
アナログ−デジタル変換器1Aの1ビットDAC2は、導体20上の基準電圧+VREFを受け、そしてこの導体は、スイッチ21Aにより導体22Aに接続している。導体22Aは、サンプリング・キャパシタ23Aの一方のプレートに接続し、また、スイッチ24Aによってグランドに接続している。サンプリング・キャパシタ23Aの他方のプレートは、導体25Aに接続している。導体25Aは、スイッチ26Aによって+VREFに、そしてスイッチ27Bによってバッファ形基準電圧+BVREFに接続している。導体25Aは、スイッチ27Aにより加算導体4に接続し、そしてこの導体は、演算増幅器3の(−)入力に接続している。また、導体20上の+VREFは、スイッチ21Bにより導体22Bに接続している。導体22Bは、サンプリング・キャパシタ23Bの一方のプレートに接続し、そしてまた、スイッチ24Bによってグランドに接続している。サンプリング・キャパシタ23Bの他方のプレートは、導体25Bに接続している。(1ビットDAC2のサンプリング・キャパシタ23Aおよび23Bの代表的な値は、3.3ピコファラッドである)。導体25Bは、スイッチ26Bにより+VREFに、スイッチ27Dにより+BVREFに、そしてスイッチ27Cにより加算導体4に接続している。スイッチ21B,24A,26Aおよび26Bは、φ1で作動する。スイッチ21Aおよび24Bは、φ2で作動する。スイッチ27Aおよび27Dは、D・φ2、すなわちDとφ2の論理的ANDで作動する。スイッチ27Bおよび27Cは、D*・φ2、すなわちD*およびφ2の論理的ANDによって作動する。
【0025】
演算増幅器3は、積分用キャパシタ37(キャパシタンスCINTを有する)を備え、これは、加算導体4と出力導体5とスイッチト・キャパシタ型フィードバック回路11Aとの間に接続している。加算導体4は、演算増幅器3の反転入力に接続し、その非反転入力は、基準電圧+VREFに接続している。演算増幅器3と積分用キャパシタ37とスイッチト・キャパシタ型フィードバック回路11Aの組合せは、損失性積分器を構成し、これは、ローパス・フィルタとして機能することができる。
【0026】
スイッチト・キャパシタ型フィードバック回路11Aは、2つの互いに逆向きのフィードバック・キャパシタ33および43を備え、この各々は、キャパシタンスCを有する。(積分用キャパシタ37の代表的な値CINTは、100ピコファラッドであり、フィードバック・キャパシタ33および43の代表的な値は、2.5ピコファラッドである)。フィードバック・キャパシタ43は、その(+)端子が、導体49によってクロック信号φ2で作動されるスイッチ46に接続している。スイッチ46は、φ2の間、導体49をVOUTに接続する。スイッチ45は、φ1Rの間、導体49を+VREFに接続し、そしてスイッチ48は、φ1Pの間、導体49を+BVREFに接続する。フィードバック・キャパシタ43の他方の端子は、導体41によりスイッチ40,42および47に接続する。後述するように、スイッチ40は、φ2の間、導体41を加算導体4に接続し、スイッチ42は、φ1Rの間、導体41を+VREFに接続し、そしてスイッチ47は、φ1Pの間、導体41を+BVREFに接続する。
【0027】
同様に、フィードバック・キャパシタ33は、その(+)端子が、導体31によって、スイッチ30,32および38に接続している。キャパシタ33は、キャパシタ43の方向とは逆方向に配置している。後述するように、スイッチ30は、φ1の間、導体31を加算導体4に接続し、スイッチ32は、φ2Rの間、導体31を+VREFに接続し、そしてスイッチ38は、φ2Pの間、導体31を+BVREFに接続する。フィードバック・キャパシタ33の他方の端子は、導体34によってスイッチ35,36および39に接続する。スイッチ36は、φ1の間、導体34をVOUTに接続する。スイッチ35は、φ2Rの間、導体34を+VREFに接続し、そしてスイッチ39は、φ2Pの間、導体34を+BVREFに接続する。
【0028】
図1の回路においては、デジタル−アナログ変換器1Aは、離散時間からの1ビット・データ入力Dを、導体5上のアナログの連続時間信号VOUTに変換する。このため、1ビットDAC2は、加算導体4との間で、ある固定の量の電荷を“ダンプ”するかあるいは“引き出し”をするかのいずれかを行い、これは、1ビット・データ信号Dが論理“1”であるかあるいは“0”であるかに依存する。
【0029】
この動作を実現するため、1ビットDAC2のサンプリング・キャパシタ23Aおよび23Bは、φ1の間リセットするが、このφ1は、“リセット”フェーズあるいは“プリチャージ”フェーズと考えることができる。(図5のタイミング図を参照されたい)。詳細には、スイッチ24Aおよび26Aは、φ1の間閉じて、サンプリング・キャパシタ23Aをリセットする、すなわち導体22Aをグランドにセットしかつ導体25Aを+VREFにセットすることによって+VREFにプリチャージする。これと同時に、スイッチ21Bおよび26Bを閉じて、導体22Bを+VREFにまた導体25Bを+VREFに接続し、これによって、サンプリング・キャパシタ23Bをゼロ・ボルトに“リセット”する。(φ1の間、1ビットDAC2内の他方のスイッチは、開いている)。
【0030】
φ1の間、スイッチ30および36を閉じて、フィードバック・キャパシタ33を、VOUTと加算導体4上の+VREFレベルとの間に接続する。損失性積分器のフィードバック回路11Aのスイッチ32、35,38,39,40,46は、開いている。1ビットDAC2のスイッチ27Aおよび27Cは、φ1の間開いているため、演算増幅器3は、キャパシタ33が初期のゼロ・ボルトから+VREF−VOUTボルトにチャージされるとき、加算導体4を+VREFボルトの仮想レベルに維持するのに十分な程VOUTを変化させる。VOUTのこの変化の間、キャパシタ33の電圧係数は、VOUTに対応する誤差を生じさせる。
【0031】
この間、スイッチ47および48は、φ1Pの短い持続期間の間閉じる一方、スイッチ42および45は、開いたままである。これは、キャパシタ43の両方の端子を、バッファ形基準電圧レベル+BVREFに放電させる。スイッチ42および45は、(スイッチ47および48が開いた後)φ1Rの間閉じて、キャパシタ43の両方の端子を、精密で低ノイズすなわち“静かな”基準電圧+VREFにセットする。φ1Pの間、キャパシタ43を放電させるのに必要なデータ依存(すなわちVOUTに依存)電流は、+BVREFを発生するバッファ形基準電圧回路内へ流れる。φ1Rの間、“静かな”基準+VREF中へ流れる電流は、+VREFと+BVREFとの間の差にのみ依存し、したがってデータに依存しない。
【0032】
本発明の1実施形態によれば、φ1Pの間に種々のキャパシタを最初にバッファ形基準電圧+BVREFに接続しそして次にφ1Rの間に静かな基準電圧+VREFに接続することは、“静かな”基準電圧+VREFを発生する基準電圧回路の有限の出力インピーダンスを通るデータ依存電流の流れに起因する、+VREFにおけるどのようなデータ依存変化も回避する。ここで、+BVREFを発生するバッファ形基準電圧回路は、特に正確であることは必要でない。実際、これは、静かな基準電圧回路が発生する+VREFの値のわずか3〜4ミリボルトの範囲内とする必要があるだけである。+VREFと+BVREFとの間のどのようなこのミスマッチも、単に、容易にフィルタにより除去できるオフセットを生じさせ、したがって出力電圧VOUTにおけるどのようなノンリニアリティも発生しない。
【0033】
φ1の間における図1のアナログ−デジタル変換器1Aの動作をまとめると、サンプリング・キャパシタ23Aおよび23Bは、+VREFおよびゼロにそれぞれプリチャージまたはリセットする一方で、キャパシタ43を、ゼロにリセットし、またキャパシタ33をVOUTと加算導体4上の+VREF電圧との間に接続して、φ1フェーズの終わりに積分用キャパシタ37に蓄積されていた電圧に比例する電荷を除去する。
【0034】
φ2の間、スイッチ21Aおよび24Bを閉じ、また、スイッチ30,36,42,45,47,48を開く。したがって、導体22Aは、+VREFボルトに接続して、導体25Aを、+VREFから+2VREFボルトに増加させる。導体22Bは、グランドに接続して、導体25Bを+VREFボルトからゼロ・ボルトに減少させる。
【0035】
Dが“1”の場合、スイッチ27Aを閉じ、そしてサンプリング・キャパシタ23A上の電荷を、加算導体4中へ“ダンプ”し、スイッチ26A,26B,27B,27Cを開く。スイッチ27Dを閉じ、したがって導体25Bを+BVREFにチャージする。
【0036】
Dが“0”の場合、スイッチ27Cを閉じ、スイッチ27Dを開き、これによって、“電荷パケット”を、加算導体4からサンプリング・キャパシタ23B内へ移らせる。スイッチ27Aは開き、スイッチ27Bは閉じて、導体25Aをバッファ形基準電圧+BVREFに放電させる。
【0037】
ここで理解されたいことは、電荷を蓄積したキャパシタを、Dが“1”であるか“0”であるかにしたがって基準電圧回路に放電させる場合、これが、基準電圧回路中へのデータ依存電流の流れをもたらし、そしてこれが、その基準電圧におけるデータ依存変動を生じさせることである。基準電圧におけるこのデータ依存変動は、発生中の出力信号における歪みを生じさせることがある。
【0038】
本発明によれば、この問題は、スイッチト・キャパシタを、バッファ形基準電圧+BVREFを発生する低出力インピーダンス回路(図6に示す)中へ放電させることにより回避する。これは、データ依存電流が静かな基準電圧+VREFを発生する回路の有限インピーダンスを流れるのを回避できる。
【0039】
φ2の間においては、損失性積分器12のスイッチ40および46を閉じ、これにより、φ2フェーズの終わりに積分用キャパシタ37に蓄積された電圧に比例する電荷を除去する。演算増幅器3は、加算導体4をその仮想の+VREFレベルに維持するの必要なだけVOUTを変化させる。各クロック・サイクルの間におけるVOUTのこの変化が小さい場合、そしてキャパシタ43がキャパシタ33と極性が逆であるため、キャパシタ43の電圧係数は、VOUTのその結果の値に対し、キャパシタ33の電圧係数がその前にφ1フェーズの間にVOUTの値に影響を与えた量と等しい量であるがそれとは逆極性で、影響を与える。この結果、キャパシタ33および43の電圧係数に起因するVOUTにおける誤差がキャンセルされる。
【0040】
クロック・フェーズφ2Pおよびφ2Rと、スイッチ37,35,38,39は、前述のものと同様の方法で動作することによって、φ2の間にキャパシタ33をリセットすることにより生じるデータ依存電流が、+VREF源に流れ込むのを阻止する。
【0041】
φ2の間におけるこの動作をまとめると、サンプリング・キャパシタ23Aおよび23Bの電荷パケットを、加算導体4に分配するかあるいはそれから引き出し、キャパシタ33をリセットし、そしてキャパシタ43は、φ2フェーズの終わりに積分用キャパシタ37の両端間に発生された電圧をサンプルする。
【0042】
理解されるべきであるが、1ビットDAC2のサンプリング・キャパシタ23Aおよび23Bの両方は、クロック・サイクル毎にリセットして、そのようなキャパシタを充電することに関連する時定数に起因した誤差を回避するようにすべきことである。しかし、クロック・サイクル毎のサンプリング・キャパシタの充電および放電は、基準電圧中へのデータ依存電流の上述の流れをもたらす。本発明によれば、+BVREFを発生する図6のバッファ形基準電圧回路と、これに関連のクロック信号φ1Rおよびφ1Pを提供し、これにおいて、基準電圧+VREFに充電すべき全てのキャパシタを、最初にバッファ形基準電圧+BVREFに充電することによって、静かな基準電圧+VREFにおけるデータ依存変動を回避する。
【0043】
図6は、上述の基準電圧回路の1実施形態を示しており、これは、導体20に“静かな”基準電圧+VREFを発生し、また導体19に+BVREFを発生する。適当な基準電圧回路13は、内部抵抗rsを有し、この両端間には、電流が導体20へあるいはこれから流れるときに誤差電圧が発生する。この誤差電圧は、基準電圧回路13が発生する電圧に加わって、+VREFの値における誤差を生じさせる。
【0044】
+VREFにおけるこの誤差を回避するため、低出力インピーダンスを有するバッファ回路18を設け、その出力は導体19に接続し、その入力は導体20に接続している。最初にプリチャージあるいはリセットしているキャパシタは、導体19に接続して、そのデータ依存電荷パケットがバッファ18の出力を通してのみ流れる。したがって、このデータ依存電荷パケットのどれも、そのキャパシタとの間でrsを通して流れず、したがって+VREFにおける上述の誤差が回避される。次に、このキャパシタを導体20に接続して、それに+VREFの正確な値をセットする。このときrsを通して流れるどのような電荷も、微少であって、+BVREFと+VREFとの間の任意のわずかであるが一定の差(3−4ミリボルト)によって決まる。バッファ18の1つの実現例は、単に、図6に示したように演算増幅器を電圧フォロワ構成で接続して使用することである。代替例として、図7は、開ループ・バッファ回路の回路図を示しており、これは、図6に示した閉ループ電圧フォロワ法よりも電力消費が少ないが、通常より高いオフセット電圧を有することになる。
【0045】
図7を参照すると、開ループ・バッファ回路68は、NチャンネルのMOSFET72および73と、PチャンネルのMOSFET74とを使用することによって、Pチャンネル電流源トランジスタ75および76に対しカレントミラー・バイアス電圧を提供する。トランジスタ75は、定電流を、差動増幅器を形成する差動接続されたPチャンネル入力トランジスタ69および70に供給する。導体20上の+VREFは、PチャンネルMOSFET70のゲートおよびドレイン上に再現し、そして次に、PチャンネルMOSFET71のゲートへとレベルをシフトダウンする。PチャンネルMOSFET80は、次にその電圧を、導体19に対しレベルをシフトアップさせる。+BVREFは、+VREFの複製として導体19上に発生する。PチャンネルMOSFET71,76,78およびNチャンネルMOSFET77とは、その互いの接続によって、NチャンネルMOSFET79および77並びにPチャンネルMOSFET80をバイアスして、低出力インピーダンスをもつ開ループ出力段を提供し、これにおいて、静止動作電圧+BVREFを+VREFの複製(3−4ミリボルト内)としている。
【0046】
スイッチト・キャパシタ回路の当業者には理解されるように、図1においては、フィードバック回路11A内の種々のスイッチに対し示した記号は簡単化してある。現在好ましい実施形態においては、これらスイッチは、CMOSスイッチで実現している。CMOSスイッチのトランジスタのあるものは、図5に示した非オーバーラップ式のクロック信号φ1およびφ2を受ける。CMOSスイッチの各々における他のトランジスタは、φ1Pおよびφ1Rのような補助クロック信号を受け、そしてこれらは、φ1からしかもこれに対し遅延させて得られ、またφ2からしかもこれに対し遅延させて得られ、これによって、(1)当業者が“ボトム・プレート・サンプリング”と呼ぶものを実現すること、および(2)データ依存“トーン”あるいは誤差が、静かな基準電圧+VREFに重畳されるのを回避すること、の両方を行うようにする。
【0047】
図面には示していないが、周知のチョッパ安定化技術を利用して、図1の基本回路内の演算増幅器3に関連したオフセット電圧を低減させることができる。チョッパ安定化を使用する場合、これは、使用しなければならないCMOSスイッチ回路の数とその複雑さとを増し、また、使用しなければならないφ1およびφ2から得る補助クロック信号の数も増加させる。このような追加の補助クロック信号、チョッパ安定化クロック信号、およびCMOSスイッチ回路の詳細は、開示しないが、それは、これらが、本発明を十分に説明ししかも本発明を当業者が実施できるようにするには不要であるからである。
【0048】
“スター接続”として知られた技術を使用し、これにより、別個の基準電圧導体を利用して、図1のデジタル−アナログ変換器1Aの種々の部分に+VREFを印加することにより、それらの共通のインピーダンスに起因する望ましくないクロストークを阻止する。
【0049】
図2Aは、本発明の代替の実施形態を示しており、これにおいて、アナログ−デジタル変換器1Bは、図1の実施形態と同じ1ビットDAC2を備えている。しかし、スイッチト・キャパシタ型フィードバック回路11Bは、図1のスイッチト・キャパシタ型フィードバック回路11Aとは異なっていて、スイッチト・フィードバック・キャパシタ43の(+)端子を、依然として図1におけるのと同じように逆向きで配置しているが、これらは、異なった方法で動作させる。その代わり、図2Aの回路における基本的アプローチは、φ2の間におけるフィードバック・キャパシタ43の電圧係数に起因する電圧係数誤差を“受け入れる”ことであり、そしてある量の電荷を発生して、これが、加算導体4に集積されたときに、フィードバック・キャパシタ43の電圧係数に起因するその誤差をキャンセルする。追加の補正キャパシタ54は、加算導体4と導体55との間に接続し、その(+)端子は導体55に接続している。導体55は、スイッチ57により+VREFに接続し、そしてスイッチ56によりVOUTに接続する。スイッチ56は、φ2で作動し、スイッチ57はφ1で作動する。(簡単のため、バッファ形基準電圧+BVREFおよびこれに関連の図1の補助クロック信号φ1P,φ1R,φ2P,φ2Rは、図2A、図2B、図3Aには示していない)。キャパシタ33,43,54の各々に対するキャパシタンスの代表値は、2.5ピコファラッドである。
【0050】
図2Aのこの回路においては、キャパシタ43がリセットされており、かつキャパシタ33が積分用キャパシタ37の両端間の電圧すなわち加算導体4とVOUTとの間の差を“サンプリング”しているφ1の間、スイッチ56を開き、スイッチ57を閉じ、これによって、キャパシタ54をリセットする。φ2の間、キャパシタ54は、加算導体4上の仮想+VREFレベルとVOUTとの間の差に充電する。この次のφ1パルスの間におけるスイッチ57の続く閉成は、キャパシタ54上の小量の補正電荷を加算導体4に移す。
【0051】
以下の式は、どのようにして図2Aの補正キャパシタ54がこの結果を実現するかを示している。
φ2の間、以下の離散時間式は、損失性積分器のフィードバック部分に対し書くことができる。
【0052】
【数1】
【0053】
ここで、nはサンプル数であり、αは、キャパシタンスの比例のリニア電圧係数である。
φ1の間、以下の式を書くことができる。
【0054】
【数2】
【0055】
これから、以下の式が書ける。
【0056】
【数3】
【0057】
VOUT(n+1)≒VOUT(n+1/2)、C43=C33とセットすると、αVOUT項のキャンセルをもたらして、以下が生じる。
【0058】
【数4】
【0059】
C54はこの式には現れないため、C54のサイズおよび向きは、重要ではない。しかし、C54がC33とC43に等しい場合、φ1の間においてVOUTにほとんど変化はない。この理由は、φ1の間は、VOUTにおける変化のみが、電圧係数に対する補正に起因するからである。この結果、演算増幅器3がVOUTのこのわずかな変化からセトリングするのに非常に小さな時間しか必要でない。このため、φ1は、φ2よりもはるかに短いものとすることができ、このことは、例えば、φ2フェーズの間にチョッパ安定化またはセトリングに対しもっと多くの時間を許容するのに有利となる。
【0060】
図2Bは、図2Aの実施形態に対する変更例を示しており、これにおいて、フィードバック回路11Cのキャパシタ54は、導体55と導体65との間に接続している。導体65は、スイッチ66により+VREFに、そしてスイッチ64により加算導体4に接続している。
【0061】
図2Bに示した回路は、図2Aの回路と同様に動作するが、但し、補正キャパシタ54は、φ1とφ2の間の非オーバーラップ・インターバルの間、加算導体4とVOUTから完全に分離し、これは、ある種の構成および応用においては有利となることがある。
【0062】
以下の式は、どのようにして図2Bの補正キャパシタ54がキャパシタ43の電圧係数の影響のキャンセルをもたらすかを示す。
φ2の間、以下の離散時間式を書くことができる。
【0063】
【数5】
【0064】
φ1の間、以下の式が書ける。
【0065】
【数6】
【0066】
項を再配列すると、以下となる。
【0067】
【数7】
【0068】
CINTVOUT(n+1/2)に代入すると、以下となる。
【0069】
【数8】
【0070】
項をまとめると、以下となる。
【0071】
【数9】
【0072】
C43/2をC54およびC33と等しくセットし、VOUT(n+1/2)をVOUT(n+1)にほぼ等しくした場合、式9の電圧係数項のキャンセルが、以下の通り実現される。
【0073】
【数10】
【0074】
図3Aは、本発明の代替の実施形態を示しており、これにおいて、たった1つのフィードバック・キャパシタ7のみを損失性積分器フィードバック回路11Dにおいて使用している。これは、その端子接続が、1つ置きのサンプル時にその電圧係数の影響のキャンセルをもたらすような方法で逆転するように動作させる。図3Cは、どのようにしてスイッチを使用して、1つ置きのサイクルの間にフィードバック・キャパシタ7の2つの端子の接続の逆転を実現できるかについて示している。その結果生じる出力信号は、フィルタ処理をすることによって、フィルタした出力信号における逆極性の誤差を時間平均する。もし、フィードバック・キャパシタ7の両端間の電圧が、DACサンプリング周波数と比べゆっくり変化する場合、フィードバック・キャパシタ7の電圧係数のノンリニアの影響を、有効にキャンセルする。
【0075】
図3Aのデジタル−アナログ変換器1Dは、1ビットDAC2を含み、これの出力は、導体4で演算増幅器3の反転入力に接続している。演算増幅器3の非反転入力は、+VREFに接続している。演算増幅器3の出力VOUTは、導体5に発生する。しかし、スイッチト・フィードバック・キャパシタ回路11Dは、たった1つのスイッチト・キャパシタ7を含み、これは、図3Aに示した簡略図におけるスイッチ6および8によって、導体4と5との間に逆転可能に結合する。スイッチ6および8は、図3Bのタイミング図に示すように、φ2が“活性”あるいは“1”レベルにあるときに閉じる。スイッチト・キャパシタ7は、CINTが100ピコファラッドである集積回路においては、5ピコファラッドのキャパシタンスをもたせることができる。図1に示した通り、積分用キャパシタ37および導体4と5との間に結合したスイッチト・キャパシタ・フィードバック回路11Dを有する演算増幅器3は、ローパス・フィルタとして使用する損失性積分器を構成する。
【0076】
フィードバック・キャパシタ7は、(+)で識別した第1端子と、(−)で識別した第2端子とを有する。スイッチ9および10は、φ1の間閉じるが、これらは、スイッチ9および10が閉じた時に、キャパシタ7に蓄積されたどのような電圧も+VREFに放電させる。(簡単のため、図1のバッファ形基準電圧+BVREFおよびこれに関連のスイッチ、並びに補助クロック信号は、図3Aおよび図3Cから省略している)。
【0077】
上述の回路の構造は、図3Aに2度示しており、関連するタイミング図に示すように、1度は“フェーズA”の間に、そして後続のサイクル“フェーズB”において1度である。図3Bのタイミング図は、フェーズAとフェーズBとの間の関係を示し、また非オーバーラップのクロック信号φ1とφ2との間の関係を示している。
【0078】
フェーズAおよびフェーズB間の回路構造間のわずかな相違は、導体4および導体5へのキャパシタ7の(+)端子と(−)端子の物理的接続を逆転することである。フェーズAとフェーズB間の遷移中におけるキャパシタ7の(+)端子および(−)端子の接続方向を逆転させるスイッチング回路は、図3Cに示している。
【0079】
フェーズA中の図3A内のフィードバック・キャパシタ7のキャパシタンスは、以下の式で与えられる。
【0080】
【数11】
【0081】
ここで、VAは、フェーズAの終わりにおけるVOUTの値である。
キャパシタ7のキャパシタンスは、その端子接続がフェーズBの間に逆転されているときは、以下の式で与えられる。
【0082】
【数12】
【0083】
ここで、VBはフェーズBの終わりにおけるVOUTの値である。
量αは、キャパシタ7の前述のリニア電圧係数であり、C0は、フィードバック・キャパシタ7の公称のキャパシタンスである。出力電圧VOUTの値は、フィードバック・キャパシタC7の電圧係数項αに起因してVOUTと共に変化する成分を含む。
【0084】
ここで、VOUTが、フィードバック・キャパシタ7のスイッチング周波数と比べゆっくり変化するとすると、分かるように、VOUTを受けるように接続する後続のフィルタは、サンプル・フェーズAおよびサンプル・フェーズB中のフィードバック・キャパシタC7のわずかに異なった値から生ずるVOUT内のわずかな変動を時間平均することができる。
【0085】
上述のデジタル−アナログ回路は、集積回路キャパシタの電圧係数により生ずるノンリニアリティをキャンセルできる一方で、米国特許4,918,454の技術が必要とする極めて精密なキャパシタ・マッチングに対するニーズを回避できる、という主要な利点を有している。最初に+BVREFへそして次に+VREFへのスイッチト・キャパシタの2ステップのリセット処理は、“静かな”基準電圧+VREFにおけるデータ依存変動を防止し、そしてこれによってこの回路内に発生されるアナログ信号における歪みを回避する。1ビットDAC2により導体4上に発生されるこの信号は、本来的に大量の高い周波数のノイズを含んでいるため、演算増幅器3とそのフィードバック回路11Aと積分用キャパシタ37とを備えた損失性積分器の使用は、ローパス・フィルタを提供し、これが、プレフィルタした連続時間の出力電圧VOUTを発生する。次に、VOUTは、後続のポストフィルタ(図示せず)によりさらにより一層容易にフィルタすることができる。さらに、上述の損失性積分器のサンプリング・フェーズの間において分配する必要のある電荷量は、低減される。これは、演算増幅器のスリューレート要件を低減させる。
【0086】
以上、本発明について、いくつかの特定の実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、本発明の真の要旨および範囲から逸脱せずに、本発明の上記実施形態に対し種々の変更を行うことができる。したがって、特許請求の範囲に記載したものと非実質的にしか異なっていないあるいは実質的に同一の機能を実質的に同一の方法で同じ結果を実現するあらゆる要素またはステップは、本発明の範囲内のものである、ということを意図している。例えば、損失性積分器のフィードバック・ループ内において利用した電圧係数誤差の平均またはキャンセルの技術は、図8および図9に示したようなサンプリング回路において発生される電圧係数誤差を平均化あるいはキャンセルするのにも利用することができる。
【0087】
図1,図2A,図2B,図3Aに示したキャパシタの電圧係数の影響を低減させるこの技術は、完全に差動の損失性積分器にも等しく適用可能であり、これにおいては、演算増幅器3は第2の出力を有し、フィードバック回路11Aは、ディスパッチしてその第2出力と(+)入力との間に結合し、この場合には、図1のスイッチ27Bおよび27Dは、+BVREFまたは+VREFにではなく、演算増幅器の(+)入力に接続することになる。この配置は、演算増幅器のスリューレート要件を低減し、かつキャパシタンス電圧係数の影響の優れたキャンセルという上述の利点を提供する。既知のチョッパ安定化技術を図1に示したシングルエンデッド回路と共に使用することに関する前述のことは、シングルエンデッドの実現例に対してと同じように完全に差動の実現例に対しても等しく適用可能である。さらにまた、バッファ形基準電圧、関連のスイッチ、および補助クロック信号φ1P,φ1R等の使用もまた、シングルエンデッドの損失性積分器に対してと同じように、完全に差動のものに対しても容易に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の1実施形態の補償回路を含む、1ビットDAC型のデジタル−アナログ変換器の回路図。
【図2】図2Aは、本発明の代替の実施形態の回路図。
図2Bは、図2の実施形態の変更例の回路図。
【図3】図3Aは、本発明の別の代替の実施形態の構造と動作の両方を示す回路図。
図3Bは、図3Aの動作を説明するのに役に立つタイミング図。
図3Cは、図3Aの実施形態のより詳細な回路図。
【図4】図4は、図1、図2A、図2B、図3A、図3Cの1ビットDACのMOSFET実現例の回路図。
【図5】図5は、図1のデジタル−アナログ変換器を構成する1ビットDACおよびフィルタの動作を説明するのに役立つ簡単化したタイミング図。
【図6】図6は、+VREFを発生する“静かな”基準電圧源と、+BVREFを発生するバッファ形基準電圧源とを示す回路図。
【図7】図7は、図6内のユニティゲイン・バッファとして使用できる開ループ・バッファ回路の回路図。
【図8】図8は、図2Aに示したスイッチト・キャパシタ・フィードバック回路が、どのようにしてスイッチト・キャパシタ・サンプリング回路において使用できるかを示す回路図。
【図9】図9は、図2Bに示したスイッチト・キャパシタ・フィードバック回路が、どのようにしてスイッチト・キャパシタ・サンプリング回路において使用できるかを示す回路図。
Claims (4)
- 損失性積分器であって、 (a)演算増幅器であって、加算導体に結合した反転入力と、第1の基準電圧を受けるように結合した非反転入力と、該演算増幅器の前記反転入力と出力導体との間に結合した積分用キャパシタと、を有する前記の演算増幅器と、
(b)該演算増幅器の前記出力導体と前記反転入力との間に結合したスイッチト・キャパシタ・フィードバック回路であって、該スイッチト・キャパシタ・フィードバック回路が、
i.第1および第2のフィードバック・キャパシタと、
ii.第1のクロック信号の間に前記第1フィードバック・キャパシタを前記加算導体と前記出力導体との間に結合する第1および第2のサンプリング・スイッチと、第2のクロック信号の間に前記第1フィードバック・キャパシタの端子を前記第1基準電圧にそれぞれ結合する第1および第2のリセット・スイッチと、
iii.前記第2クロック信号の間に、前記第2フィードバック・キャパシタを前記加算導体と前記出力導体との間に結合する第3および第4のサンプリング・スイッチと、前記第1クロック信号の間に、前記第2フィードバック・キャパシタの端子を前記第1基準電圧に結合する第3および第4のリセット・スイッチと、
を含み、
前記第1および第2のフィードバック・キャパシタの向きが、逆になって、前記第1および第2のフィードバック・キャパシタから前記加算導体への電圧係数誤差電荷寄与分のキャンセルを実施するようになった、前記のスイッチト・キャパシタ・フィードバック回路と、
から成る損失性積分器。 - 請求項1記載の損失性積分器であって、
(a)前記第1基準電圧を発生する第1の回路と、バッファ形基準電圧を発生する第2の回路と、
(b)前記第2クロック信号の第1の部分の間に、前記第1フィードバック・キャパシタの前記端子を前記バッファ形基準電圧にそれぞれ結合する第5および第6のリセット・スイッチと、前記第2クロック信号の第2の部分の間に、前記第1フィードバック・キャパシタの前記端子を前記第1基準電圧に結合する前記第1および第2のリセット・スイッチと、
(c)前記第1クロック信号の第1の部分の間に、前記第2フィードバック・キャパシタの前記端子を前記バッファ形基準電圧にそれぞれ結合する第7および第8のリセット・スイッチと、前記第1クロック信号の第2の部分の間に、前記第2フィードバック・キャパシタの前記端子を前記第1基準電圧に結合する前記第3および第4のリセット・スイッチと、
を含むこと、を特徴とする損失性積分器。 - 請求項2記載の損失性積分器において、前記第2クロック信号の前記第1および第2の部分は、非オーバーラップであり、前記第1クロック信号の前記第1および第2の部分は、非オーバーラップであること、を特徴とする損失性積分器。
- 請求項3記載の損失性積分器において、第1の補助クロック信号は、前記第2クロック信号の前記第1部分の間、前記第5リセット・スイッチおよび前記第6リセット・スイッチを閉じ、第2の補助クロック信号は、前記第2クロック信号の前記第2部分の間、前記第1および第2のリセット・スイッチを閉じ、第3の補助クロック信号は、前記第1クロック信号の前記第1部分の間、前記第7リセット・スイッチと前記第8リセット・スイッチとを閉じ、そして第4の補助クロック信号は、前記第1クロック信号の前記第2部分の間、前記第3および第4のリセット・スイッチを閉じること、を特徴とする損失性積分器。
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