JP3564591B2 - 埃検出装置および埃検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は埃検出装置および埃検出方法に関し、さらに詳細にいえば、埃粒子に起因する散乱光を受光して埃の濃度を検出する埃検出装置および埃検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、空気中の埃の濃度を検出する埃検出装置として、埃粒子に起因する散乱光を受光して埃の濃度を検出する埃検出装置が提案されている。この埃検出装置は、いわゆるパーティクルカウンタと、光電式塵埃センサとに大別される。ここで、パーティクルカウンタは、埃検出のための空間に同時には2個以上の粒子が存在しないようにしておき、この状態で散乱反射光を受光し、図13に示すように、散乱反射光の強度から粒径を、散乱反射光の検出回数から粒子の個数を求めるものである(「空気調和と冷凍」、1985年、第10号、64〜66頁参照)。これに対して、光電式塵埃センサは、埃検出のための空間に同時に2個以上の粒子が存在することを許容するものであり、散乱反射光を受光することにより、図14に示すように、複数の粒子を群として一括に把握することができる(特開昭63−32687号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記パーティクルカウンタは、2個以上の粒子が同時には存在しないようにするために埃検出のための空間を小さくしたり、微弱な散乱反射光を正確に計測したりする必要があるので、光源としてレーザ光源を採用することが必要になるだけでなく、光学系の精度を著しく高める必要があり、全体として著しく高価なものになってしまい、適用可能な範囲が大幅に狭められてしまうという不都合がある。
【0004】
前記光電式塵埃センサは、強力な発塵行為(例えば、布団の上げおろしなど)が行われた場合に、大量の埃が浮遊することに起因して、埃検出のための空間内にある程度の量の埃が常時存在することに起因して比較的大きな散乱反射光強度が得られるのであるから、パーティクルカウンタにおける上記の不都合を解消させることができる。しかし、強力な発塵行為が行われず、その結果、埃が微量である場合には、埃検出のための空間を時折埃の粒子が通過する程度になることがあり、このような場合には、常時一定の散乱反射光強度が得られるのではなく、粒子が通過した時にのみ散乱反射光が得られることになるので、埃検出出力(ゼロレベルに対するレベルの変動幅が塵埃量に対応する)を、ゼロレベル(埃がないとされる状態に対応する値)に対して明確に差を持つレベルに維持することが著しく困難である。したがって、微量の埃の検出(例えば、埃検出装置の近傍で居住者が動いた場合の発塵などの検出)を行うことが著しく困難になってしまうという不都合がある。
【0005】
【発明の目的】
この発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、特別な光源、高精度の光学系などを用いることなく、微量な埃をも含めて埃の総量のほぼ正確な検出を達成でき、全体として安価にできる埃検出装置および埃検出方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の埃検出装置は、埃粒子に起因する散乱光を受光して埃の濃度を検出するものであって、所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力を保持する埃検出出力保持手段と、所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力同士の差の絶対値を累積加算して、予め設定した所定期間毎の累積値を得、評価値として出力する評価手段と、評価値を入力として埃の濃度を出力する濃度検出手段とを含むものである。
【0007】
請求項2の埃検出装置は、濃度検出手段として、所定期間毎に得られる、予め設定した所定個数の累積値を入力として、所定個数の累積値が得られた期間における平均的な埃の濃度を出力するものを採用している。
【0008】
請求項3の埃検出装置は、濃度検出手段として、埃検出部の煙検出感度に比例する値をも入力として平均的な埃の濃度を得るものを採用している。
請求項4の埃検出装置は、評価手段から出力される評価値を予め設定した所定の閾値と比較し、所定の閾値よりも大きい評価値のみを埃検出のための評価値として採用する比較手段をさらに含むものである。
【0009】
請求項5の埃検出装置は、所定期間毎に得られる、予め設定した所定個数の評価値のうち、所定の閾値よりも大きい評価値の個数が予め設定した所定の数よりも少ないか否かを判定する個数判定手段と、所定の閾値よりも大きい評価値の個数が予め設定した所定の数よりも少ないことに応答して、濃度検出手段による埃の濃度の出力を禁止し、所定の閾値よりも大きい評価値の個数が予め設定した所定の数以上であることに応答して、濃度検出手段による埃の濃度の出力を行わせる濃度検出制御手段とをさらに含むものである。
【0010】
請求項6の埃検出装置は、所定の閾値として、埃検出部の煙検出感度に比例する値を採用するものである。
請求項7の埃検出方法は、埃粒子に起因する散乱光を受光して埃の濃度を検出する埃検出方法であって、所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力を保持し、所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力同士の差の絶対値を累積加算して、予め設定した所定期間毎の累積値を得、評価値として出力し、評価値を入力として埃の濃度を出力する方法である。
【0011】
【作用】
請求項1の埃検出装置であれば、埃粒子に起因する散乱光を受光して埃の濃度を検出するに当たって、埃検出出力保持手段によって、所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力を保持し、評価手段によって、所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力同士の差の絶対値を累積加算して、予め設定した所定期間毎の累積値を得、評価値として出力し、濃度検出手段によって、評価値を入力として埃の濃度を出力することができる。したがって、特別の光源、高精度の光学系等を採用することなく、微量の埃をも考慮した埃の検出を達成することができる。
【0012】
さらに詳細に説明すると、一般のハウスダストにおいては、埃全体に対する各粒径の分布は一定であると仮定できる(アレルギー源としての性質を有するハウスダストを含む埃を検出対象とすべく粒径を例えば2μm以上に限定すれば、各粒径の分布は一定であると仮定できる)ので、検出空間を通過する粒子の粒径が大きいほど、また通過する個数が多いほど、埃の全体量が多いことの確率が高くなる。このため、埃の全体量を評価する場合には、粒径や個数を適宜重み付けして評価することが重要になる。また、埃検出装置は、検出空間における埃粒子の通過に伴う散乱光強度の変化を出力するため、その出力はパルス状になり、前記粒径はパルスの高さに、個数はパルスの頻度に概ね対応する。
【0013】
そして、前記累積値は、パルスの高さと頻度とを反映する値であり、換言すれば、粒子の粒径や個数を反映する値である。また、例えば、1個の大径粒子が通過する場合と、ある程度の数が密集して小径粒子が通過する場合とで散乱光強度が同等となると、両者を識別することができなくなってしまう。また、時系列で考えると、所定時間内に大径粒子が少数通過した場合と小径粒子が多数通過した場合とで累積値が同等となり、この場合には両者を識別することができなくなってしまう。しかし、この埃検出装置では、粒径と個数との双方を評価するようにしているのであるから、上述のような識別を行うことに大きな意義はなく、両者を対等に評価しても全く不都合はない。
【0014】
なお、粒径が2μm以上ではあるが著しく微少な粒子の場合、散乱光強度も著しく弱いため、埃を検出するための空間をこのような粒子が通過しても、検出することは殆ど不可能になってしまう。しかし、上述したように、埃全体に対する各粒径の分布は一定であるから、このような微少な粒子を検出できなくても、検出可能な範囲の粒子のみから埃の全体量を推定することができ、測定上は何ら支障をきたさないのである。この結果、上述のように、特別の光源、高精度の光学系等を採用することなく、微量の埃をも考慮した埃の検出を達成することができるのである。
【0015】
請求項2の埃検出装置であれば、濃度検出手段として、所定期間毎に得られる、予め設定した所定個数の累積値を入力として、所定個数の累積値が得られた期間における平均的な埃の濃度を出力するものを採用しているので、埃の検出精度を高めることができる。
さらに詳細に説明する。
【0016】
埃の粒子は、その挙動が煙のような拡散運動とならないために、その濃度は不均一性が高くなってしまう。このため、ごく短時間に検出空間を通過する粒子のみから埃の全体量を推定すると、大きな誤差が含まれる可能性がある。しかし、十分に長い時間内に検出空間を通過する全ての粒子に関しては、その粒径分布が埃全体の粒径分布に一致し、また、粒子数が埃の全体量を反映することは、確率論的にも明らかである。このように、請求項2の埃検出装置では、平均的な埃の濃度を出力するのであるから、埃検出精度の向上を達成することができる。
【0017】
請求項3の埃検出装置であれば、濃度検出手段として、埃検出部の煙検出感度に比例する値をも入力として平均的な埃を得るものを採用しているので、検出感度特性のばらつきの影響を抑制し、正確な埃の検出を行うことができるほか、請求項2と同様の作用を達成することができる。
請求項4の埃検出装置であれば、評価手段から出力される評価値を予め設定した所定の閾値と比較し、所定の閾値よりも大きい評価値のみを埃検出のための評価値として採用する比較手段をさらに含んでいるので、ノイズ成分の影響を排除することができるほか、請求項1から請求項3の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0018】
請求項5の埃検出装置であれば、所定期間毎に得られる、予め設定した所定個数の評価値のうち、所定の閾値よりも大きい評価値の個数が予め設定した所定の数よりも少ないか否かを判定する個数判定手段と、所定の閾値よりも大きい評価値の個数が予め設定した所定の数よりも少ないことに応答して、濃度検出手段による埃の濃度の出力を禁止し、所定の閾値よりも大きい評価値の個数が予め設定した所定の数以上であることに応答して、濃度検出手段による埃の濃度の出力を行わせる濃度検出制御手段とをさらに含んでいるので、概ね清浄な環境下において突発的に大粒径の粒子が通過したような場合に、埃が多い状態であるとの検出(誤検出)を行ってしまうという不都合の発生を未然に防止することができるほか、請求項1から請求項4の何れかと同様の作用を達成することができる。
【0019】
請求項6の埃検出装置であれば、所定の閾値として、埃検出部の煙検出感度に比例する値を採用しているので、検出感度特性のばらつきの影響を抑制し、正確な埃の検出を行うことができるほか、請求項4または請求項5と同様の作用を達成することができる。
請求項7の埃検出方法であれば、埃粒子に起因する散乱光を受光して埃の濃度を検出する埃検出方法であって、所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力を保持し、所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力同士の差の絶対値を累積加算して、予め設定した所定期間毎の累積値を得、評価値として出力し、評価値を入力として埃の濃度を出力するのであるから、特別の光源、高精度の光学系等を採用することなく、微量の埃をも考慮した埃の検出を達成することができる。
【0020】
【発明の実施の態様】
以下、添付図面を参照して、この発明の実施の態様を詳細に説明する。
図1はこの発明の埃検出装置に含まれる埃センサの一例の内部機構を示す平面図、図2は概略正面図である。
この埃センサは、発光ダイオードなどからなる発光部1aおよびフォトダイオードなどからなる受光部1bが搭載された基板1と、暗箱(ケース体)2とから構成されている。ここで、基板1としては、例えば、ガラスエポキシからなるプリント配線基板が例示でき、暗箱2としては、例えば、アクリルニトリルブタジエンスチレン共重合体(以下、ABSと略称する)を用いて成形された箱体が例示できる。
【0021】
暗箱2は全体が直方体状の箱体であり、その内部に上方に延びる壁部材を形成することにより、発光部収容空間2a、受光部収容空間2bを形成しているとともに、発光部収容空間2a、受光部収容空間2bにそれぞれレンズ系2c,2dを設けている。そして、両レンズ系2c,2dの光軸が所定の角度をなすように両レンズ系2c,2dが配置されている。また、レンズ系2cの光軸上であって、発光部収容空間2aの内奥部に発光部1aを侵入させるための穴が形成されている。なお、レンズ系2cは省略することが可能である。
【0022】
そして、発光部収容空間2aと受光部収容空間2bとの中間部に、発光部1aからレンズ系2cを通して出射される光が直接レンズ系2dを通して受光部1bに導かれることを防止する遮光部材2eが設けられている。また、ノイズ光として作用する可能性がある光がレンズ系2dを通して受光部1bに導かれることを防止するノイズ光遮光部材2fが発光部収容空間2a、受光部収容空間2b、遮光部材2eとほぼ正対する位置に設けられている。ノイズ光遮光部材2fは複数個設けられており、互いに隣り合うノイズ光遮光部材2fによってノイズ光減衰室を構成している。このノイズ光減衰室に導入された光はこの室の吸光度が高い内壁面で複数回反射させられることにより、その強度が十分に減衰させられる。また、発光部1aからの直接光が照射されるノイズ光遮光部材2fの所定位置に直接光を通過させるための穴2jが形成されているとともに、このノイズ光遮光部材2fと、受光部収容空間2bを規定する板部材と、暗箱2の外壁部材とで光トラップ2kを構成している。さらに、遮光部材2eの先端に近接する所定位置に流体導入用の開口2iが設けられている。もちろん、基板1の対応箇所にも流体導入用の開口(図示せず)が設けられている。
【0023】
図3はこの発明の埃検出装置の一実施態様を示すブロック図である。
この埃検出装置は、所定のサンプリング時間(例えば、0.01秒)毎に埃センサ11からの埃検出出力を取り込んで一時的に、かつ時系列的に所定個数(例えば、100個)だけ保持する埃検出出力保持部12と、埃検出出力保持部12により時系列的に保持されている所定個数の埃検出出力に基づいて、時系列的に隣り合う埃検出出力どうしの差の絶対値を算出する差算出部13と、差算出部13により算出された差の絶対値を累積的に加算して累積値を得る累積値算出部(評価手段)14と、累積値算出部14により算出された累積値を入力として埃の濃度等を出力する埃検出部15とを有している。ただし、差算出部13、累積値算出部14の処理は、埃検出出力保持部12に所定個数の埃検出出力が保持される毎に行ってもよいが、前記所定のサンプリング時間毎に行ってもよい。もちろん、後者の場合には、埃検出出力保持部12に必要最小限の埃検出出力(2個の埃検出出力)を保持するだけで足りる。
【0024】
前記埃検出部15は、大粒径の埃粒子に対して小粒径の埃粒子が含まれていると経験的に知見できる累積値と埃の全体量との相関を考慮して埃の濃度等を出力するものである。
上記の構成の埃検出装置の作用は次のとおりである。
所定のサンプリング時間毎に時系列的に取り込まれた埃検出出力どうしの差を累積的に加算して累積値を得れば、この累積値は、埃検出出力(パルス出力)の出現頻度と高さとの双方を反映した値になる。すなわち、パルス出力が高いほど、またパルス出力が多く出現するほど累積値が大きくなる。したがって、累積値を得ることにより、埃検出出力を評価して評価値を出力したことになる。そして、この累積値を入力として、埃検出部15によって埃の濃度等を出力することができる。埃検出部15は、差の累積値に基づいて埃の濃度等を出力するのであるから、微量のハウスダストでもほぼ正確に検出することができる。さらに、光学系が汚れた場合には、全体的に埃センサからの埃検出出力のレベルが変動することになるが、この実施態様を採用した場合には、差に基づく処理を行っているのであるから、埃検出出力のレベルの変動の影響を排除して正確に埃の濃度等を検出することができる。すなわち、汚れ等の経年変化に強くなる。さらにまた、煙草の煙のように緩慢な濃度変動を示す粒子との識別を達成することが可能であり、煙草の煙などによる誤検出を防止することができる。
【0025】
図4はこの発明の埃検出装置の他の実施態様を示すブロック図である。
この埃検出装置は、差算出部13により算出された差の絶対値が埃検出装置の分解能以下であるか否かを判定する判定部16と、差算出部13により算出された差の絶対値が埃検出装置の分解能以下であることを示す判定部16の判定結果に応答して、差算出部13により算出された差の絶対値を0に補正する差補正部17とをさらに含むとともに、累積値算出部14として、差算出部13により算出された差の絶対値および差補正部17により補正された値(0)を累積的に加算して累積値を得るものを採用した点において図3の埃検出装置と異なるのみであり、他の構成要素は図3の埃検出装置と同様である。
【0026】
この埃検出装置を採用した場合には、著しく小さい差の絶対値が得られるはずであるにも拘らず、分解能に相当する値として採用され、しかもこの値が累積加算されることに起因する誤差の発生を未然に防止することができる。
さらに詳細に説明する。
時系列的に隣り合う埃検出出力が殆ど同じであっても、分解能により定まる境界値の上と下とである場合には、両埃検出出力の差の絶対値は分解能と等しくなり、実際の差の絶対値よりも大きくなってしまう。そして、このように実際の差の絶対値よりも大きい差の数が増加すると、累積値の増加が無視し得なくなってしまう(例えば、累積値を所定の閾値と比較する場合などに、閾値を越えるべきでない累積値が閾値を越えてしまう)。この不都合は、埃の量が多い場合には、もともと差の絶対値が分解能よりも著しく多いことが殆どであるから、特には問題にはならないのである。しかし、埃の量が少ない場合には、実際の差の絶対値が分解能よりも小さいことが殆どであるから、この不都合は到底無視し得ないことになる。
【0027】
図4の埃検出装置は、埃の量が多い場合における累積値を多少小さくしてしまうという不都合を有しているが、埃の量が少ない場合における累積値の増加を大幅に抑制し、埃の量が少ない場合における埃の検出精度を高めることができる。以上の説明から明らかなように、図4の埃検出装置は、十分な分解能を得ることができるようなマイコン(例えば、16ビット、32ビットなどのマイコン)を採用した場合には、差の絶対値の増加が少ないので実用上顕著な効果を奏することはできないが、十分な分解能を得ることができないようなマイコン(例えば、4ビット、8ビットなどのマイコン)を採用した場合には、実用上顕著な効果を奏する。
【0028】
図5はこの発明の埃検出装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。この埃検出装置は、所定のサンプリング時間(例えば、0.01秒)毎に埃センサ11からの埃検出出力を取り込んで一時的に、かつ時系列的に所定個数(例えば、100個)だけ保持する埃検出出力保持部12と、埃検出出力保持部12により時系列的に保持されている所定個数の埃検出出力に基づいて、時系列的に隣り合う埃検出出力どうしの差の絶対値を算出する差算出部13と、差算出部13により算出された差を、図6に示すように、複数個にランク分けするとともに、各ランク毎に該当する差の数を計数する区分計数部18と、区分計数部18により計数された各ランク毎の差の数を入力として埃の濃度等を出力する埃検出部19とを有している。ただし、差算出部13、区分計数部18の処理は、埃検出出力保持部12に所定個数の埃検出出力が保持される毎に行ってもよいが、前記所定のサンプリング時間毎に行ってもよい。もちろん、後者の場合には、埃検出出力保持部12に必要最小限の埃検出出力(2個の埃検出出力)を保持するだけで足りる。
【0029】
この埃検出部19は、例えば、それぞれのランクの中間値に該当する差の数を乗算して、全てを加算することにより、埃の濃度等を反映する値を出力するものである。
したがって、この実施態様を採用した場合にも、埃の濃度等を正確に出力することができる。また、ランク分けされた差の総和に基づいて埃の濃度等を出力するのであるから、微量のハウスダストでも検出することができる。さらに、光学系が汚れた場合には、全体的に埃センサからの埃検出出力のレベルが変動することになるが、この実施態様を採用した場合には、差に基づく処理を行っているのであるから、埃検出出力のレベルの変動の影響を排除して正確に埃の濃度等を検出することができる。すなわち、汚れ等の経年変化に強くなる。さらにまた、煙草の煙のように緩慢な濃度変動を示す粒子との識別を達成することが可能であり、煙草の煙などによる誤検出を防止することができる。
【0030】
図7はこの発明の埃検出装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。この埃検出装置は、累積値算出部14により算出された累積値を予め設定された所定の閾値と比較し、閾値を越える累積値を検出したことを示す比較結果信号を出力する比較部20をさらに有している点、および埃出力部15を省略した点において図3の埃検出装置と異なるだけであり、他の構成要素は図3の埃検出装置と同様である。
【0031】
この埃検出装置を採用した場合には、閾値を越える累積値が検出されたか否かに対応する比較結果信号を出力することができる。したがって、この比較結果信号を空気清浄機の運転制御信号として用いることにより、埃の濃度などの大小に対応させて空気清浄機の運転、停止を制御することができる。もちろん、この閾値は、1つだけ設定していてもよいが、空気清浄機の運転を複数段階に制御する場合には、閾値を2つ以上設定すればよい。
【0032】
図8は、埃検出結果および空気清浄機の運転のシミュレーションを行った結果を示す図である。なお、図8において、縦軸は空気10リットル中の粒子数(20〜30μmの粒子の数)を示し、横軸は経過時間(秒)を示し、黒の菱形はパーティクルカウンタで計測した粒子数を示し、細い実線は累積値を示し、太い実線は空気清浄機の風量(大、小、ゼロ)を示している。
【0033】
図8から明らかなように、累積値は粒子数と良好な相関を示していることが分かる。そして、粒子数に応じて空気清浄機の風量を適正に制御できていることが分かる。
図9はこの発明の埃検出装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
この埃検出装置は、累積値算出部14により算出された累積値から予め設定された所定のオフセット値を減算して埃検出部15に供給する減算部21をさらに有している点において図3の埃検出装置と異なるだけであり、他の構成要素は図3の埃検出装置と同様である。ここで、オフセット値としては、例えば、埃が存在しない状態において測定された埃検出出力どうしの差の累積値を採用すればよく、埃の濃度等を正確に反映する累積値を得ることができる。
【0034】
この埃検出装置を採用した場合には、埃の濃度等の検出精度を高めることができるほか、図3の埃検出装置と同様の作用を達成することができる。
図10はこの発明の埃検出装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
この埃検出装置は、累積値算出部14により算出された所定数の累積値を予め設定された所定の閾値と比較し、閾値を越える累積値の数を計数する比較計数部22と、閾値を越える累積値の個数と予め設定された数とを比較する比較部23と、閾値を越える累積値の個数が予め設定された数を越えることを示す比較部23からの比較結果に応答して、累積値を埃検出部15に供給し、閾値を越える累積値の個数が予め設定された数以下であることを示す比較部23からの比較結果に応答して、累積値の埃検出部15への供給を禁止する累積値供給制御部24とをさらに有している点において図3の埃検出装置と異なるだけであり、他の構成要素は図3の埃検出装置と同様である。なお、ここで、予め設定された数としては、例えば、累積値の所定数が5である場合に、1もしくは2に設定することが好ましい。また、累積値の所定数が任意の数である場合には、この数の1/2以下にすればよい。
【0035】
この埃検出装置を採用した場合には、概ね清浄な環境下において突発的に大きな埃粒子が通過したような場合に、実際には埃が少ないにも拘らず埃が多いと判定されてしまうという不都合が発生することを未然に防止することができるほか、図3の埃検出装置と同様の作用を達成することができる。
なお、上記の各実施態様において、何れの閾値についても、予め設定した固定値を採用する代わりに、埃センサ11の煙検出感度に比例する値を採用することが好ましく、埃センサ11の埃検出特性のばらつきの影響を抑制して、正確な埃検出結果を得ることができる。
【0036】
さらに詳細に説明する。
埃に対する埃センサの感度が分かれば、感度に応じた閾値を設定することができるが、個々の埃センサの感度もしくはその相関を正確に測定するためには、全ての埃センサに対して全く同じ形状の埃粒子を、広い埃検出領域の中の常に同じ場所に固定し、もしくは通過させる必要があり、このような条件設定を比較的低コストで実現することは殆ど不可能である。しかし、以下のようにすれば、埃センサの感度を正確に検出することができる。
【0037】
先ず、1つの埃センサを用いて煙草等の煙に対する煙感度D(V/mg/m3)を測定する。具体的には、線香の煙などが導入され、ファンで塵埃濃度が一様にされ、かつ粉塵計が収容された高塵埃環境において塵埃濃度と埃センサの塵埃検出出力とを得るとともに、線香の煙等が導入されず、しかも空気清浄機によって塵埃の量が低減され、かつファンで塵埃濃度が一様にされ、かつ粉塵計が収容された低塵埃環境において塵埃濃度と埃センサの塵埃検出出力とを得、埃センサの塵埃検出出力が塵埃濃度の増加に伴って直線的に増加するという特性を考慮して、埃センサの感度を算出する。ただし、線香の煙などの導入、非導入と、空気清浄機の運転、停止を制御することによって高塵埃環境、低塵埃環境を得るようにしてもよい。次いで、この埃センサとパーティクルカウンタとを用い、埃センサを通過した空気がそのままパーティクルカウンタに導かれるように両者を位置決めし(図11参照)、埃センサからの埃検出出力とパーティクルカウンタから出力される粒径および粒径毎の埃粒子数とに基づいて、粒径、粒子数と埃検出出力(例えば、差の累積値)との相関を得る。ただし、粒径が予め設定された範囲内になるように設定しておけば、粒子数と埃検出出力との相関が得られる。ここで、粒径範囲を限定しているのは、埃の粒径分布が一様であることによる。したがって、このようにして得られた相関、実際の環境においてパーティクルカウンタを用いて測定したデータなどに基づいて、検出したい粒子数に相当する累積値Sが得られるので、前記埃センサの閾値VbをVb=Sとすればよい。
【0038】
また、他の埃センサが煙感度D’(V/mg/m3)である場合には、その埃センサの閾値Vb’をVb’=S×D’/Dとすればよい。
図12はこのようにして2つの埃センサの閾値を設定した状態を示す図である。
図12中(A)においては、煙感度がVaの埃センサの閾値がSpa,Swaとして設定されているのに対し、図12中(B)においては、埃センサの煙感度が1.5Vaであることに伴って、閾値がSpb(=1.5Spa),Swb(=1.5Swa)に設定されている。もちろん、埃センサの埃検出出力も、図12中(A)および図12中(B)に示すように、煙感度の大小に応じて増減する。したがって、煙感度の大小に応じて埃検出出力が増減した場合であっても、埃検出出力の増減に対応して閾値が設定されていることに起因して、正確な埃の濃度等の検出を達成することができる。
【0039】
【発明の効果】
請求項1の発明は、特別の光源、高精度の光学系等を採用することなく、微量の埃をも考慮した埃の検出を達成することができるという特有の効果を奏する。
請求項2の発明は、埃の検出精度を高めることができるほか、請求項1と同様の効果を奏する。
【0040】
請求項3の発明は、検出感度特性のばらつきの影響を抑制し、正確な埃の検出を行うことができるほか、請求項2と同様の効果を奏する。
請求項4の発明は、ノイズ成分の影響を排除することができるほか、請求項1から請求項3の何れかと同様の効果を奏する。
請求項5の発明は、概ね清浄な環境下において突発的に大粒径の粒子が通過したような場合に、埃が多い状態であるとの検出(誤検出)を行ってしまうという不都合の発生を未然に防止することができるほか、請求項1から請求項4の何れかと同様の効果を奏する。
【0041】
請求項6の発明は、検出感度特性のばらつきの影響を抑制し、正確な埃の検出を行うことができるほか、請求項4または請求項5と同様の効果を奏する。
請求項7の発明は、特別の光源、高精度の光学系等を採用することなく、微量の埃をも考慮した埃の検出を達成することができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の埃検出装置に含まれる埃センサの一例の内部機構を示す平面図である。
【図2】同上の概略正面図である。
【図3】この発明の埃検出装置の一実施態様を示すブロック図である。
【図4】この発明の埃検出装置の他の実施態様を示すブロック図である。
【図5】この発明の埃検出装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【図6】区分計数部の動作を説明する図である。
【図7】この発明の埃検出装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【図8】埃検出結果および空気清浄機の運転のシミュレーションを行った結果を示す図である。
【図9】この発明の埃検出装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【図10】この発明の埃検出装置のさらに他の実施態様を示すブロック図である。
【図11】埃センサとパーティクルカウンタとの関係を示す概略斜視図である。
【図12】煙感度が互いに異なる2つの埃センサの閾値を設定した状態を示す図である。
【図13】パーティクルカウンタによる埃検出原理を説明する概略図である。
【図14】塵埃センサによる埃検出原理を説明する概略図である。
【符号の説明】
12 埃検出出力保持部 13 差算出部
14 累積値算出部 15 埃検出部
20,23 比較部 24 累積値供給制御部
Claims (7)
- 埃粒子に起因する散乱光を受光して埃の濃度を検出する埃検出装置であって、
所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力を保持する埃検出出力保持手段(12)と、所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力同士の差の絶対値を累積加算して、予め設定した所定期間毎の累積値を得、評価値として出力する評価手段(13)(14)と、評価値を入力として埃の濃度を出力する濃度検出手段(15)とを含むことを特徴とする埃検出装置。 - 濃度検出手段(15)は、所定期間毎に得られる、予め設定した所定個数の累積値を入力として、所定個数の累積値が得られた期間における平均的な埃の濃度を出力するものである請求項1に記載の埃検出装置。
- 濃度検出手段(15)は、埃検出部の煙検出感度に比例する値をも入力として平均的な埃の濃度を得るものである請求項2に記載の埃検出装置。
- 評価手段(13)から出力される評価値を予め設定した所定の閾値と比較し、所定の閾値よりも大きい評価値のみを埃検出のための評価値として採用する比較手段(16)(17)をさらに含む請求項1から請求項3の何れかに記載の埃検出装置。
- 所定期間毎に得られる、予め設定した所定個数の評価値のうち、所定の閾値よりも大きい評価値の個数が予め設定した所定の数よりも少ないか否かを判定する個数判定手段(23)と、所定の閾値よりも大きい評価値の個数が予め設定した所定の数よりも少ないことに応答して、濃度検出手段(15)による埃の濃度の出力を禁止し、所定の閾値よりも大きい評価値の個数が予め設定した所定の数以上であることに応答して、濃度検出手段(15)による埃の濃度の出力を行わせる濃度検出制御手段(24)とをさらに含む請求項1から請求項4の何れかに記載の埃検出装置。
- 所定の閾値は、埃検出部の煙検出感度に比例する値である請求項4または請求項5に記載の埃検出装置。
- 埃粒子に起因する散乱光を受光して埃の濃度を検出する埃検出方法であって、
所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力を保持し、所定のサンプリング周期毎に得られる埃検出出力同士の差の絶対値を累積加算して、予め設定した所定期間毎の累積値を得、評価値として出力し、評価値を入力として埃の濃度を出力することを特徴とする埃検出方法。
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