JP3566764B2 - 磁気浮上式クッション体 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ベッドやソファ等にクッション部材として使用される磁気浮上式クッション体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ベッドやソファ等の振動吸収部材としてコイルスプリング等のバネ材を使用したものが一般的であったが、近年構造が簡単で、かつ、振動吸収効率に優れる磁石の反発力を利用したクッション体が開発され実用化に及んでいる。このような、ベッドやソファ用の磁石の反発力を利用したクッション体としては、例えば実公昭59−41727号公報や実開平3−51044号公報等によって開示されたものが知られている。
【0003】
上記実公昭59−41727号公報に開示されたクッション体は、複数個の磁石を、発泡性合成樹脂等からなる弾性部材の中に上下方向に互いに同極を対向させた状態で埋設したものであり、上下の磁石間にも弾性部材が挾持されている。そして、弾性部材の弾性力と磁石の反発力とによってクッション性および振動吸収性が得られるようになっている。
【0004】
また、上記実開平3−51044号公報に開示されたクッション体は、フロア上に載置される板状のベース部材の上面部と、このベース部材の上部に配設される板状の被クッション部材の下面部とに互いに同極が対向するように上下一対の磁石を取り付け、これら磁石の反発力によって被クッション部材を浮上させるように構成されている。ベース部材および被クッション部材のいずれか一方の周縁部に帯状の位置規制部材が上下方向に突出するように設けられ、他方が上記位置規制部材内に嵌め込まれた状態で被クッション部材の水平方向の位置ずれが規制されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記実公昭59−41727号公報に開示されたクッション体にあっては、複数個の磁石が、発泡性合成樹脂等からなる弾性部材の中に上下方向に互いに同極を対向させた状態で埋設され、かつ、上下の磁石間には弾性部材が介在されているため、この弾性部材の介在によって磁石の反発力が減衰し、磁石の反発力によるクッション作用を充分に利用することができないという問題点を有していた。
【0006】
また、上記実開平3−51044号公報に開示されたクッション体は、ベース部材および被クッション部材のいずれか一方が他方の周縁部に設けられた帯状の位置規制部材の内部に嵌め込まれ、この位置規制部材の内周面と、他方の被クッション部材またはベース部材の外周面とが摺接状態になっているため、被クッション部材が振動したとき、被クッション部材またはベース部材の外周面と位置規制部材の内周面とが互いに擦れ合い、この擦れ合いによる摺動抵抗によってクッション性や振動吸収能力が阻害されるとともに、擦れ合いによって異音が発生し、クッション体をベッドやソファに利用する上で快適性が損なわれるという問題点を有していた。
【0007】
そこで、ベース部材と被クッション部材との間にリンク機構を介在させ、このリンク機構によって被クッション部材の水平姿勢を維持した状態でそれを上下動可能に構成することが考えられるが、たとえリンク機構であっても、機構的に摺接部分が必ず存在するため、摺接の摩擦抵抗によるクッション性の阻害は避けることができない。また、このようなリンク機構を採用すると、全体的にクッション体の構造が複雑になり、製造コストが嵩むという問題点が存在する。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構造でありながら、磁石の反発力によるクッション性が阻害されず、かつ、確実に被クッション部材の水平方向の位置ずれを阻止することが可能な磁気浮上式クッション体を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の磁気浮上式クッション体は、ベース部材上面部と、このベース部材の上部に配設される被クッション部材の下面部とに互いに同極を対向させるように磁気浮上用磁石が設けられ、これら磁気浮上用磁石の反発力をクッションとして利用する磁気浮上式クッション体であって、上記被クッション部材の四方の縁部には水平方向に向くように被クッション部材側磁石が設けられ、上記ベース部材には、これら被クッション部材側磁石の磁極面に離間状態で同極の磁極面が対向し、かつ、被クッション部材の水平方向の移動が規制されるようにベース部材側磁石が設けられ、このベース部材側磁石を支持する磁石固定部材と、この磁石固定部材をフロア上に保持する保持部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項2記載の磁気浮上式クッション体は、請求項1記載の磁気浮上式クッション体において、上記ベース部材側磁石と被クッション部材側磁石との間の離間距離が調節可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項3記載の磁気浮上式クッション体は、請求項2記載の磁気浮上式クッション体において、上記磁石固定部材と、上記保持部材との間には磁石固定部材を水平方向に移動させる軸心回りに偏心回転可能な偏心カムが介設されていることを特徴とするものである。
【0012】
【作用】
上記請求項1記載の磁気浮上式クッション体によれば、ベース部材上面部と、このベース部材の上部に配設される被クッション部材の下面部とに互いに同極を対向させるように磁気浮上用磁石が設けられているため、これら上下の磁気浮上用磁石の相互の反発力によって被クッション部材はベース部材上に磁気浮上し、かつ、上記反発力による弾性機能によって被クッション部材の上下方向の振動は吸収される。
【0013】
また、被クッション部材の四方の縁部には水平方向に向くように被クッション部材側磁石が設けられ、上記ベース部材には、これら被クッション部材側磁石の磁極面に離間状態で同極の磁極面が対向し、かつ、被クッション部材の水平方向の移動が規制されるようにベース部材側磁石が設けられているため、これら磁石の反発力によってベース部材側磁石と、ベース部材側磁石に取り囲まれた被クッション部材側磁石とは互いに当接せず、被クッション部材はベース部材上にいずれの部材にも接触しない状態で浮上した状態になる。従って上下の磁気浮上用磁石の相互の反発力による被クッション部材のクッション機能および振動吸収機能は従来のような機器の摺接に起因した摩擦抵抗によって弱められることはない。
【0014】
そして、ベース部材上に浮上した被クッション部材は、ベース部材側磁石と被クッション部材側磁石との反発力によって水平方向にもクッション機能が付与されているため、被クッション部材の横方向の振動も吸収される。
【0015】
上記請求項2記載の磁気浮上式クッション体によれば、ベース部材側磁石の被クッション部材側磁石に対する離間距離が調節可能に構成されているため、上記離間距離を調節して変更することによってベース部材側磁石と被クッション部材側磁石との間の反発力の強さを変更することが可能であり、この反発力の変更によって被クッション体の水平方向の振動吸収能力を調節することが可能になる。
【0016】
本発明の請求項3記載の磁気浮上式クッション体によれば、磁石固定部材と、上記保持部材との間には磁石固定部材を水平方向に移動させる軸心回りに偏心回転可能な偏心カムが介設されているため、偏心カムを偏心軸回りに回転させることにより、ベース部材側磁石の被クッション部材側磁石に対する離間距離を容易に調節することができる。
【0017】
【実施例】
図1は、本発明に係る磁気浮上式クッション体の一例を示す斜視図であり、図2はそのA線視図である。また図3は、磁石の配置を説明するための平面視の説明図である。本実施例においては、磁気浮上式クッション体が、救急車両に備え付けで搭載される防振ベッドに適用された例を挙げている。
【0018】
これらの図に示すように、クッション体としての防振ベッド1は、ベース部材としての車体のフロアFと、このフロアF上に配置された被クッション部材としてのベッド本体2と、このベッド本体2をフロアF上に浮上させる磁気浮上手段3と、浮上状態のベッド本体2の水平方向の位置ずれを磁気の反発力によって阻止する位置ずれ阻止手段4とから基本構成されている。
【0019】
上記ベッド本体2は、その表面にストレッチャSの車輪S1を案内する前後方向に延びる車幅方向一対の案内溝21が設けられており、この案内溝21に車輪S1を嵌め込んでストレッチャSを長手方向に移動させることにより、図2に示すように、ストレッチャSは横ずれが防止された状態でベッド本体2上に載置される。
【0020】
このようなベッド本体2の底面には、図2および図3に示すように、ベッド本体2の縁部よりも内方に位置した平面視が長方形状の支持枠体22が設けられており、この支持枠体22によってベッド本体2の剛性が向上されるようになっている。
【0021】
上記磁気浮上手段3は、図1および図3に示すように、ベッド本体2の下部のフロアF上に前後方向に亘って並設された3組の下部磁気浮上用磁石31と、ベッド本体2の裏面の支持枠体22に囲繞された部分に上記下部磁気浮上用磁石31に対向して設けられた3組の上部磁気浮上用磁石32とから構成されている。
【0022】
上記各磁気浮上用磁石31,32は、磁石を保護するための互いの対向面が開口した、箱形の磁石収納容器33内に収納された状態でフロアF上および支持枠体22内に取り付けられている。そして、下部および上部磁気浮上用磁石31,32の互いの対向面は、磁極が同極になるように設定されており、これら同極の磁極による反発力でベッド本体2はフロアF上に浮上するようになっている。
【0023】
上記位置ずれ阻止手段4は、ベッド本体2の縁部の中央部に対応するようにフロアF上に立設された車長方向一対、および、車幅方向一対の第1磁石(ベース部材側磁石)41と、これらの第1磁石41に対応するようにベッド本体2の裏面に設けられた第2磁石(被クッション部材側磁石)42とから構成されている。そして、上記第1磁石41と第2磁石42とは互いに同極が対向するように位置設定されている。
【0024】
図4は、図1のB−B線断面図であり、上記第1磁石41および第2磁石42の装着状態を例示している。この図に示すように、第1磁石41はフロアF上に設けられた磁石支持手段5によって支持されている。この磁石支持手段5は、断面がL字形状の磁石固定部材51と、この磁石固定部材51をフロアF上に保持する保持部材52とによって構成されている。
【0025】
そして、上記磁石固定部材51は、フロアF上に載置された状態で上方に延びる垂直部51aと、フロアF上に密着される水平部51bとから構成されている。上記垂直部51aの上部には開口部が上記第2磁石42に向かった箱状の磁石収納部53が設けられており、この磁石収納部53内に第1磁石41が磁極面を上記開口から露出させた状態で収納されている。
【0026】
上記保持部材52は、フロアF上に密着状態で固定される固定部52aと、この固定部52aの磁石固定部材51側に延設された挾持部52bとから構成されている。この挾持部52bとフロアFとの間には、磁石固定部材51の水平部51bの厚み分の隙間が形成されている。この挾持部52bとフロアF面とで上記水平部51bが挾持され、この挾持状態で固定部52aがフロアFにボルト止めされて磁石固定部材51がフロアF上に固定されている。
【0027】
そして、上記保持部材52の挾持部52bには、挿通孔52cが穿設されてい62るとともに、この磁石固定部材51の水平部51bには上記挿通孔52cに対応し、かつ挿通孔52cよりも大径の装着孔51cが穿設されている。さらにフロアFには、上記挿通孔52cに対応した同心の貫通孔F1が穿設されており、これら挿通孔52c、装着孔51cおよび貫通孔F1に垂直ロッド6が貫設されている。
【0028】
上記垂直ロッド6の下端部には抜け止め用の頭部61が設けられているとともに、上部には雄ネジが螺設され、この雄ネジにナット63が螺着されるようになっている。また、垂直ロッド6の上記装着孔51cに対応した部分には、装着孔51cの径よりも若干小径の円形カム62が偏心状態で設けられている。そして、垂直ロッド6を自軸心回りに回転させることにより、円形カム62の偏心回転によって水平部51bが水平方向に移動するようになっている。
【0029】
このような垂直ロッド6の上部には同ロッド6の軸心回りに共回りするようにダイヤル67が外嵌されており、このダイヤル67の回転操作を行うことによって円形カム62を偏心回転させ、水平部51bを水平方向に移動させることができるようになっている。
【0030】
そして、ダイヤル67と挾持部52bとの間にはダイヤル67と共回りする節度バネ68が介在されているとともに、挾持部52bの上面には挿通孔52cの周りに放射状に多数の節度溝が設けられている。上記節度バネ68の先端には、下方に膨出した凸部が設けられており、上記節度溝にこの凸部が嵌まり込むことによって、垂直ロッド6の設定された回転位置が安定して維持されるとともに、ダイヤル67の回転操作を行ったときには上記凸部が節度バネ68の付勢力に抗して変形し、節度溝から外れるとともに、つぎの節度溝に嵌まり込む手応えによって節度感が得られるようになっている。
【0031】
一方、上記第2磁石42は、ベッド本体2の支持枠体22の外壁面に固定された箱状の磁石収納部43内に、その磁極面を外方に露出させた状態で収納固定されている。そして、上記第1磁石41の磁極面と第2磁石42の磁極面とは、水平方向に距離dの間隔で互いに同極同士が対向され、第1磁石41と第2磁石42との反発力によって距離dが維持された状態になっている。
【0032】
本発明の防振ベッド1は以上のように構成されているので、ベッド本体2は、下部磁気浮上用磁石31と上部磁気浮上用磁石32との間の相互の反発力によって磁気浮上した状態になっており、ベッド本体2の振動は上記磁気の反発力がクッションの役割を果たして有効に吸収される。
【0033】
そして、ベッド本体2がフロアF上に浮上した状態で、ベッド本体2を四方から取り囲むように設けられた第1磁石41と第2磁石42との間の相互の反発力によって、ベッド本体2は四方から押圧されているため、ベッド本体2はいずれの部材にも接触することなく完全にフロアF上に磁気浮上した状態になっている。従って、他の部材との間の摺動抵抗に起因した除振性能の低下が起こらず、極めて良好な除振機能を発揮することが可能になる。
【0034】
以上の実施例においては、本発明の磁気浮上式クッション体について、それが車両用の防振ベッドに適用された例に基づいて説明したが、本発明の磁気浮上式クッション体は、車両用の防振ベッドに利用されることに限定されるものではなく、通常の家具用のベッドやソファ等に適用することも可能である。
【0035】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の磁気浮上式クッション体によれば、ベース部材上面部と、このベース部材の上部に配設される被クッション部材の下面部とに互いに同極を対向させるように磁気浮上用磁石が設けられているため、これら上下の磁気浮上用磁石の相互の反発力によって被クッション部材はベース部材上に浮上し、かつ、上記反発力による弾性機能によって被クッション部材の上下方向の振動は吸収される。
【0036】
また、上記被クッション部材の四方の縁部には水平方向に向くように被クッション部材側磁石が設けられ、上記ベース部材には、これら被クッション部材側磁石の磁極面に離間状態で同極の磁極面が対向し、かつ、被クッション部材の水平方向の移動が規制されるようにベース部材側磁石が設けられているため、これら磁石の反発力によってベース部材側磁石と、ベース部材側磁石に囲繞された被クッション部材側磁石とは互いに当接せず、被クッション部材はベース部材上にいずれの部材にも接触しない状態で浮上した状態になる。従って上下の磁気浮上用磁石の相互の反発力による被クッション部材のクッション機能は従来のように摩擦抵抗によって弱められることはなく、常に確実に振動が吸収され、クッション体の適用されたベッドやソファの使用をより快適なものにする上で好都合である。
【0037】
そして、ベース部材上に浮上した被クッション部材は、ベース部材側磁石と被クッション部材側磁石との反発力によって水平方向にもクッション機能が付与されているため、被クッション部材の横方向の振動も確実に吸収され、クッション体の適用されたベッドやソファの使用がより快適なものにする上で有効である。
【0038】
本発明の請求項2記載の磁気浮上式クッション体によれば、ベース部材側磁石の被クッション部材側磁石に対する離間距離が調節可能に構成されているため、上記離間距離を調節して変更することによってベース部材側磁石と被クッション部材側磁石との間の反発力の強さを変更することが可能であり、この反発力の変更によって被クッション体の水平方向の振動吸収能力を調節することが可能になる。
【0039】
本発明の請求項3記載の磁気浮上式クッション体によれば、磁石固定部材と、上記保持部材との間には磁石固定部材を水平方向に移動させる軸心回りに偏心回転可能な偏心カムが介設されているため、偏心カムを偏心軸回りに回転させることにより、ベース部材側磁石の被クッション部材側磁石に対する離間距離を容易に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気浮上式クッション体の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA線視図である。
【図3】磁石の配置を説明するための平面視の説明図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【符号の説明】
1 防振ベッド
2 ベッド本体
21 案内溝
22 支持枠体
3 磁気浮上手段
31 下部磁気浮上用磁石
32 上部磁気浮上用磁石
33 磁石収納容器
4 位置ずれ阻止手段
41 第1磁石(ベース部材側磁石)
42 第2磁石(被クッション部材側磁石)
43 磁石収納部
5 磁石支持手段
51 磁石固定部材
51a 垂直部
51b 水平部
51c 装着孔
52 保持部材
52a 固定部
52b 挾持部
52c 挿通孔
6 垂直ロッド
61 頭部
62 円形カム
63 ナット
67 ダイヤル
68 節度バネ
F フロア
F1 貫通孔
【産業上の利用分野】
本発明は、ベッドやソファ等にクッション部材として使用される磁気浮上式クッション体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ベッドやソファ等の振動吸収部材としてコイルスプリング等のバネ材を使用したものが一般的であったが、近年構造が簡単で、かつ、振動吸収効率に優れる磁石の反発力を利用したクッション体が開発され実用化に及んでいる。このような、ベッドやソファ用の磁石の反発力を利用したクッション体としては、例えば実公昭59−41727号公報や実開平3−51044号公報等によって開示されたものが知られている。
【0003】
上記実公昭59−41727号公報に開示されたクッション体は、複数個の磁石を、発泡性合成樹脂等からなる弾性部材の中に上下方向に互いに同極を対向させた状態で埋設したものであり、上下の磁石間にも弾性部材が挾持されている。そして、弾性部材の弾性力と磁石の反発力とによってクッション性および振動吸収性が得られるようになっている。
【0004】
また、上記実開平3−51044号公報に開示されたクッション体は、フロア上に載置される板状のベース部材の上面部と、このベース部材の上部に配設される板状の被クッション部材の下面部とに互いに同極が対向するように上下一対の磁石を取り付け、これら磁石の反発力によって被クッション部材を浮上させるように構成されている。ベース部材および被クッション部材のいずれか一方の周縁部に帯状の位置規制部材が上下方向に突出するように設けられ、他方が上記位置規制部材内に嵌め込まれた状態で被クッション部材の水平方向の位置ずれが規制されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記実公昭59−41727号公報に開示されたクッション体にあっては、複数個の磁石が、発泡性合成樹脂等からなる弾性部材の中に上下方向に互いに同極を対向させた状態で埋設され、かつ、上下の磁石間には弾性部材が介在されているため、この弾性部材の介在によって磁石の反発力が減衰し、磁石の反発力によるクッション作用を充分に利用することができないという問題点を有していた。
【0006】
また、上記実開平3−51044号公報に開示されたクッション体は、ベース部材および被クッション部材のいずれか一方が他方の周縁部に設けられた帯状の位置規制部材の内部に嵌め込まれ、この位置規制部材の内周面と、他方の被クッション部材またはベース部材の外周面とが摺接状態になっているため、被クッション部材が振動したとき、被クッション部材またはベース部材の外周面と位置規制部材の内周面とが互いに擦れ合い、この擦れ合いによる摺動抵抗によってクッション性や振動吸収能力が阻害されるとともに、擦れ合いによって異音が発生し、クッション体をベッドやソファに利用する上で快適性が損なわれるという問題点を有していた。
【0007】
そこで、ベース部材と被クッション部材との間にリンク機構を介在させ、このリンク機構によって被クッション部材の水平姿勢を維持した状態でそれを上下動可能に構成することが考えられるが、たとえリンク機構であっても、機構的に摺接部分が必ず存在するため、摺接の摩擦抵抗によるクッション性の阻害は避けることができない。また、このようなリンク機構を採用すると、全体的にクッション体の構造が複雑になり、製造コストが嵩むという問題点が存在する。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構造でありながら、磁石の反発力によるクッション性が阻害されず、かつ、確実に被クッション部材の水平方向の位置ずれを阻止することが可能な磁気浮上式クッション体を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の磁気浮上式クッション体は、ベース部材上面部と、このベース部材の上部に配設される被クッション部材の下面部とに互いに同極を対向させるように磁気浮上用磁石が設けられ、これら磁気浮上用磁石の反発力をクッションとして利用する磁気浮上式クッション体であって、上記被クッション部材の四方の縁部には水平方向に向くように被クッション部材側磁石が設けられ、上記ベース部材には、これら被クッション部材側磁石の磁極面に離間状態で同極の磁極面が対向し、かつ、被クッション部材の水平方向の移動が規制されるようにベース部材側磁石が設けられ、このベース部材側磁石を支持する磁石固定部材と、この磁石固定部材をフロア上に保持する保持部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項2記載の磁気浮上式クッション体は、請求項1記載の磁気浮上式クッション体において、上記ベース部材側磁石と被クッション部材側磁石との間の離間距離が調節可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項3記載の磁気浮上式クッション体は、請求項2記載の磁気浮上式クッション体において、上記磁石固定部材と、上記保持部材との間には磁石固定部材を水平方向に移動させる軸心回りに偏心回転可能な偏心カムが介設されていることを特徴とするものである。
【0012】
【作用】
上記請求項1記載の磁気浮上式クッション体によれば、ベース部材上面部と、このベース部材の上部に配設される被クッション部材の下面部とに互いに同極を対向させるように磁気浮上用磁石が設けられているため、これら上下の磁気浮上用磁石の相互の反発力によって被クッション部材はベース部材上に磁気浮上し、かつ、上記反発力による弾性機能によって被クッション部材の上下方向の振動は吸収される。
【0013】
また、被クッション部材の四方の縁部には水平方向に向くように被クッション部材側磁石が設けられ、上記ベース部材には、これら被クッション部材側磁石の磁極面に離間状態で同極の磁極面が対向し、かつ、被クッション部材の水平方向の移動が規制されるようにベース部材側磁石が設けられているため、これら磁石の反発力によってベース部材側磁石と、ベース部材側磁石に取り囲まれた被クッション部材側磁石とは互いに当接せず、被クッション部材はベース部材上にいずれの部材にも接触しない状態で浮上した状態になる。従って上下の磁気浮上用磁石の相互の反発力による被クッション部材のクッション機能および振動吸収機能は従来のような機器の摺接に起因した摩擦抵抗によって弱められることはない。
【0014】
そして、ベース部材上に浮上した被クッション部材は、ベース部材側磁石と被クッション部材側磁石との反発力によって水平方向にもクッション機能が付与されているため、被クッション部材の横方向の振動も吸収される。
【0015】
上記請求項2記載の磁気浮上式クッション体によれば、ベース部材側磁石の被クッション部材側磁石に対する離間距離が調節可能に構成されているため、上記離間距離を調節して変更することによってベース部材側磁石と被クッション部材側磁石との間の反発力の強さを変更することが可能であり、この反発力の変更によって被クッション体の水平方向の振動吸収能力を調節することが可能になる。
【0016】
本発明の請求項3記載の磁気浮上式クッション体によれば、磁石固定部材と、上記保持部材との間には磁石固定部材を水平方向に移動させる軸心回りに偏心回転可能な偏心カムが介設されているため、偏心カムを偏心軸回りに回転させることにより、ベース部材側磁石の被クッション部材側磁石に対する離間距離を容易に調節することができる。
【0017】
【実施例】
図1は、本発明に係る磁気浮上式クッション体の一例を示す斜視図であり、図2はそのA線視図である。また図3は、磁石の配置を説明するための平面視の説明図である。本実施例においては、磁気浮上式クッション体が、救急車両に備え付けで搭載される防振ベッドに適用された例を挙げている。
【0018】
これらの図に示すように、クッション体としての防振ベッド1は、ベース部材としての車体のフロアFと、このフロアF上に配置された被クッション部材としてのベッド本体2と、このベッド本体2をフロアF上に浮上させる磁気浮上手段3と、浮上状態のベッド本体2の水平方向の位置ずれを磁気の反発力によって阻止する位置ずれ阻止手段4とから基本構成されている。
【0019】
上記ベッド本体2は、その表面にストレッチャSの車輪S1を案内する前後方向に延びる車幅方向一対の案内溝21が設けられており、この案内溝21に車輪S1を嵌め込んでストレッチャSを長手方向に移動させることにより、図2に示すように、ストレッチャSは横ずれが防止された状態でベッド本体2上に載置される。
【0020】
このようなベッド本体2の底面には、図2および図3に示すように、ベッド本体2の縁部よりも内方に位置した平面視が長方形状の支持枠体22が設けられており、この支持枠体22によってベッド本体2の剛性が向上されるようになっている。
【0021】
上記磁気浮上手段3は、図1および図3に示すように、ベッド本体2の下部のフロアF上に前後方向に亘って並設された3組の下部磁気浮上用磁石31と、ベッド本体2の裏面の支持枠体22に囲繞された部分に上記下部磁気浮上用磁石31に対向して設けられた3組の上部磁気浮上用磁石32とから構成されている。
【0022】
上記各磁気浮上用磁石31,32は、磁石を保護するための互いの対向面が開口した、箱形の磁石収納容器33内に収納された状態でフロアF上および支持枠体22内に取り付けられている。そして、下部および上部磁気浮上用磁石31,32の互いの対向面は、磁極が同極になるように設定されており、これら同極の磁極による反発力でベッド本体2はフロアF上に浮上するようになっている。
【0023】
上記位置ずれ阻止手段4は、ベッド本体2の縁部の中央部に対応するようにフロアF上に立設された車長方向一対、および、車幅方向一対の第1磁石(ベース部材側磁石)41と、これらの第1磁石41に対応するようにベッド本体2の裏面に設けられた第2磁石(被クッション部材側磁石)42とから構成されている。そして、上記第1磁石41と第2磁石42とは互いに同極が対向するように位置設定されている。
【0024】
図4は、図1のB−B線断面図であり、上記第1磁石41および第2磁石42の装着状態を例示している。この図に示すように、第1磁石41はフロアF上に設けられた磁石支持手段5によって支持されている。この磁石支持手段5は、断面がL字形状の磁石固定部材51と、この磁石固定部材51をフロアF上に保持する保持部材52とによって構成されている。
【0025】
そして、上記磁石固定部材51は、フロアF上に載置された状態で上方に延びる垂直部51aと、フロアF上に密着される水平部51bとから構成されている。上記垂直部51aの上部には開口部が上記第2磁石42に向かった箱状の磁石収納部53が設けられており、この磁石収納部53内に第1磁石41が磁極面を上記開口から露出させた状態で収納されている。
【0026】
上記保持部材52は、フロアF上に密着状態で固定される固定部52aと、この固定部52aの磁石固定部材51側に延設された挾持部52bとから構成されている。この挾持部52bとフロアFとの間には、磁石固定部材51の水平部51bの厚み分の隙間が形成されている。この挾持部52bとフロアF面とで上記水平部51bが挾持され、この挾持状態で固定部52aがフロアFにボルト止めされて磁石固定部材51がフロアF上に固定されている。
【0027】
そして、上記保持部材52の挾持部52bには、挿通孔52cが穿設されてい62るとともに、この磁石固定部材51の水平部51bには上記挿通孔52cに対応し、かつ挿通孔52cよりも大径の装着孔51cが穿設されている。さらにフロアFには、上記挿通孔52cに対応した同心の貫通孔F1が穿設されており、これら挿通孔52c、装着孔51cおよび貫通孔F1に垂直ロッド6が貫設されている。
【0028】
上記垂直ロッド6の下端部には抜け止め用の頭部61が設けられているとともに、上部には雄ネジが螺設され、この雄ネジにナット63が螺着されるようになっている。また、垂直ロッド6の上記装着孔51cに対応した部分には、装着孔51cの径よりも若干小径の円形カム62が偏心状態で設けられている。そして、垂直ロッド6を自軸心回りに回転させることにより、円形カム62の偏心回転によって水平部51bが水平方向に移動するようになっている。
【0029】
このような垂直ロッド6の上部には同ロッド6の軸心回りに共回りするようにダイヤル67が外嵌されており、このダイヤル67の回転操作を行うことによって円形カム62を偏心回転させ、水平部51bを水平方向に移動させることができるようになっている。
【0030】
そして、ダイヤル67と挾持部52bとの間にはダイヤル67と共回りする節度バネ68が介在されているとともに、挾持部52bの上面には挿通孔52cの周りに放射状に多数の節度溝が設けられている。上記節度バネ68の先端には、下方に膨出した凸部が設けられており、上記節度溝にこの凸部が嵌まり込むことによって、垂直ロッド6の設定された回転位置が安定して維持されるとともに、ダイヤル67の回転操作を行ったときには上記凸部が節度バネ68の付勢力に抗して変形し、節度溝から外れるとともに、つぎの節度溝に嵌まり込む手応えによって節度感が得られるようになっている。
【0031】
一方、上記第2磁石42は、ベッド本体2の支持枠体22の外壁面に固定された箱状の磁石収納部43内に、その磁極面を外方に露出させた状態で収納固定されている。そして、上記第1磁石41の磁極面と第2磁石42の磁極面とは、水平方向に距離dの間隔で互いに同極同士が対向され、第1磁石41と第2磁石42との反発力によって距離dが維持された状態になっている。
【0032】
本発明の防振ベッド1は以上のように構成されているので、ベッド本体2は、下部磁気浮上用磁石31と上部磁気浮上用磁石32との間の相互の反発力によって磁気浮上した状態になっており、ベッド本体2の振動は上記磁気の反発力がクッションの役割を果たして有効に吸収される。
【0033】
そして、ベッド本体2がフロアF上に浮上した状態で、ベッド本体2を四方から取り囲むように設けられた第1磁石41と第2磁石42との間の相互の反発力によって、ベッド本体2は四方から押圧されているため、ベッド本体2はいずれの部材にも接触することなく完全にフロアF上に磁気浮上した状態になっている。従って、他の部材との間の摺動抵抗に起因した除振性能の低下が起こらず、極めて良好な除振機能を発揮することが可能になる。
【0034】
以上の実施例においては、本発明の磁気浮上式クッション体について、それが車両用の防振ベッドに適用された例に基づいて説明したが、本発明の磁気浮上式クッション体は、車両用の防振ベッドに利用されることに限定されるものではなく、通常の家具用のベッドやソファ等に適用することも可能である。
【0035】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の磁気浮上式クッション体によれば、ベース部材上面部と、このベース部材の上部に配設される被クッション部材の下面部とに互いに同極を対向させるように磁気浮上用磁石が設けられているため、これら上下の磁気浮上用磁石の相互の反発力によって被クッション部材はベース部材上に浮上し、かつ、上記反発力による弾性機能によって被クッション部材の上下方向の振動は吸収される。
【0036】
また、上記被クッション部材の四方の縁部には水平方向に向くように被クッション部材側磁石が設けられ、上記ベース部材には、これら被クッション部材側磁石の磁極面に離間状態で同極の磁極面が対向し、かつ、被クッション部材の水平方向の移動が規制されるようにベース部材側磁石が設けられているため、これら磁石の反発力によってベース部材側磁石と、ベース部材側磁石に囲繞された被クッション部材側磁石とは互いに当接せず、被クッション部材はベース部材上にいずれの部材にも接触しない状態で浮上した状態になる。従って上下の磁気浮上用磁石の相互の反発力による被クッション部材のクッション機能は従来のように摩擦抵抗によって弱められることはなく、常に確実に振動が吸収され、クッション体の適用されたベッドやソファの使用をより快適なものにする上で好都合である。
【0037】
そして、ベース部材上に浮上した被クッション部材は、ベース部材側磁石と被クッション部材側磁石との反発力によって水平方向にもクッション機能が付与されているため、被クッション部材の横方向の振動も確実に吸収され、クッション体の適用されたベッドやソファの使用がより快適なものにする上で有効である。
【0038】
本発明の請求項2記載の磁気浮上式クッション体によれば、ベース部材側磁石の被クッション部材側磁石に対する離間距離が調節可能に構成されているため、上記離間距離を調節して変更することによってベース部材側磁石と被クッション部材側磁石との間の反発力の強さを変更することが可能であり、この反発力の変更によって被クッション体の水平方向の振動吸収能力を調節することが可能になる。
【0039】
本発明の請求項3記載の磁気浮上式クッション体によれば、磁石固定部材と、上記保持部材との間には磁石固定部材を水平方向に移動させる軸心回りに偏心回転可能な偏心カムが介設されているため、偏心カムを偏心軸回りに回転させることにより、ベース部材側磁石の被クッション部材側磁石に対する離間距離を容易に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気浮上式クッション体の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA線視図である。
【図3】磁石の配置を説明するための平面視の説明図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【符号の説明】
1 防振ベッド
2 ベッド本体
21 案内溝
22 支持枠体
3 磁気浮上手段
31 下部磁気浮上用磁石
32 上部磁気浮上用磁石
33 磁石収納容器
4 位置ずれ阻止手段
41 第1磁石(ベース部材側磁石)
42 第2磁石(被クッション部材側磁石)
43 磁石収納部
5 磁石支持手段
51 磁石固定部材
51a 垂直部
51b 水平部
51c 装着孔
52 保持部材
52a 固定部
52b 挾持部
52c 挿通孔
6 垂直ロッド
61 頭部
62 円形カム
63 ナット
67 ダイヤル
68 節度バネ
F フロア
F1 貫通孔
Claims (3)
- ベース部材上面部と、このベース部材の上部に配設される被クッション部材の下面部とに互いに同極を対向させるように磁気浮上用磁石が設けられ、これら磁気浮上用磁石の反発力をクッションとして利用する磁気浮上式クッション体であって、上記被クッション部材の四方の縁部には水平方向に向くように被クッション部材側磁石が設けられ、上記ベース部材には、これら被クッション部材側磁石の磁極面に離間状態で同極の磁極面が対向し、かつ、被クッション部材の水平方向の移動が規制されるようにベース部材側磁石が設けられ、このベース部材側磁石を支持する磁石固定部材と、この磁石固定部材をフロア上に保持する保持部材とを備えていることを特徴とする磁気浮上式クッション体。
- 上記ベース部材側磁石と被クッション部材側磁石との間の離間距離が調節可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気浮上式クッション体。
- 上記磁石固定部材と、上記保持部材との間には磁石固定部材を水平方向に移動させる軸心回りに偏心回転可能な偏心カムが介設されていることを特徴とする請求項2記載の磁気浮上式クッション体。
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