JP3567446B2 - 光ファイバ心線接続部の補強器および補強方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ心線の接続技術に関し、特に、心線接続部を有する複数の光ファイバ心線を一括して補強する技術に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
図6は、光ファイバ心線接続部を補強する部材の従来例を示す斜視図である。この補強部材150は、二本の光ファイバ心線1′及び1″を接続してなる光ファイバ心線1の接続部2を包囲するものであり、外チューブである熱収縮性チューブ3の中に、チューブ状の熱溶融性接着剤(以下、「熱溶融性接着チューブ」と呼ぶ。)4、及び弓形の断面を有する柱状の抗張力体5が配置された構造をしている。この補強部材150を用いて光ファイバ心線1の接続部2を補強するためには、まず、接続前の光ファイバ心線1′及び1″の一方を熱収縮性チューブ3及び熱溶融性接着チューブ4に通してから他方と融着等により接続する。次に、接続により得られた一本の光ファイバ心線1に沿って補強部材60をスライドさせて接続部2に運び、図6に示されるように、接続部2が熱溶融性接着チューブ4内に収容されて、このチューブのほぼ中央に位置するようにする。
【0003】
次いで、補強部材150をヒータ等の加熱手段を用いて加熱することにより、熱収縮性チューブ3を熱収縮させ、チューブ内の体積を減らす。同時に、熱溶融性接着チューブ4は溶融して熱収縮性チューブ3の内部(熱収縮性チューブ3と抗張力体5との間隙)を充填し、光ファイバ心線1の外周面を包囲する。この後、補強部材150を冷却すると接着剤が固化し、これによって、接続部2を含む光ファイバ心線1、抗張力体5及び熱収縮性チューブ3が一体化する。以上により、光ファイバ心線1の接続部2の補強が完了する。なお、抗張力体5は、脆性体である光ファイバの曲げによる破壊を防止している。
【0004】
図6の補強部材を用いた補強方法は、光ファイバ心線の一接続部を一補強部材によって補強するものであり、補強対象の光ファイバ心線には、図6のような単心の光ファイバ心線のみならず、複数の光ファイバを一列に配置したテープ状光ファイバ心線等も含まれる。この多心テープ状光ファイバ心線を補強する技術に関しては、特開昭64−32208号公報に開示がある。
【0005】
しかしながら、光ファイバ心線を用いて光ファイバ通信網を構築する場合などでは、光ファイバ心線を複数本同一箇所にて接続・補強してから、全接続部を接続箱に一括して収納する作業が行われている。このとき、上記のように一接続部を一補強部材で補強する方法で複数の光ファイバ心線接続部を補強するためには、多数の補強部を収納する大きな接続箱が必要となり、省スペースの観点から好ましくない。これを改善するため、光ファイバ心線を高密度に収納するように、接続部を有する複数の心線を一つの補強部材の単一の熱溶融性接着チューブ(図の符号4)の中空部に挿入したのでは、接着チューブ内で心線同士がからみ合い、強度劣化や破断のおそれが高まるなど、信頼性を損なう可能性がある。
【0006】
これに対し、図7に示されるように、数本の光ファイバ心線を平行に一列に配置し保持する整列治具6a、bを用いて複数の接続部2を一括して補強する方法も考案されている。この方法では、接続しようとする個々の光ファイバ心線1′、1″をそれぞれ整列治具6a、6bによって一括して固定してから、光ファイバ心線1′及び1″のいずれか一方を補強部材151に通して、この後、他方の光ファイバ心線と接続する。次に、補強部材151をスライドさせて接続部2に運び、全ての接続部2が熱収縮性チューブ3と抗張力体5との間隙7に収容されるようにしてから、間隙7に熱収縮性のチューブ内面に配した接着剤を溶融,充填するか、熱収縮性チューブとは別に接着剤を注入、充填して固化させる。これにより、光ファイバ心線接続部の補強が完了する。なお、このような方式の補強技術は、特開昭63−194208号公報などに開示されている。
【0007】
また、複数の接続部を、仕切を設けた立体的な補強箱に配置し、接着剤を注入する方法が特開昭56−142506号に開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの方法では、整列治具を各光ファイバ心線に取り付けたり、接着剤を注入するという作業を含むため、作業の熟練が必要であり、また、補強に要する工程数も増えるため、作業能率が悪いという問題点がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、複数の光ファイバ心線の接続部を一括して補強するための補強部材であって、大きなスペースをとらず、簡便な操作で容易に心線接続部を補強することのできる補強部材を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、複数の心線接続部を一括して補強する際に使用する補強器であって、心線接続部の補強を好適に行うことを可能にする装置を提供することをも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る光ファイバ心線接続部補強部材は、(a)光ファイバ心線の接続部を保護するための熱収縮性チューブと、(b)この熱収縮性チューブ内に収容され、熱収縮性チューブの軸にほぼ沿って熱収縮性チューブの内面と間隔をあけながら延びる抗張力体と、(c)熱収縮性チューブ内に収容され、加熱による溶融後に熱収縮性チューブ及び抗張力体間を充填し、光ファイバ心線、熱収縮性チューブ及び抗張力体を一体化する熱溶融性接着剤と、を備えており、上記の熱収縮性チューブ内に、光ファイバ心線をガイドしてこの補強部材を貫通させる心線ガイド部が別個に複数設けられていることを特徴としている。
【0012】
ここで、上記の熱溶融性接着剤は、熱収縮性チューブと抗張力体との間に挿入され、熱収縮性チューブの軸にほぼ沿って延びるチューブ状接着剤であっても良く、上記の心線ガイド部は、このチューブ状接着剤の中空部であっても良い。
【0013】
また、上記の抗張力体は、熱収縮性チューブの内径にほぼ等しい横幅を有する平板であり、上記のチューブ状接着剤は、この平板抗張力体の上面と熱収縮性チューブの内面との間、及びこの平板抗張力体の下面と熱収縮性チューブの内面との間に挿入されていても良い。
【0014】
本発明に係る補強部材によれば、各心線ガイド部に一本ずつ光ファイバ心線を通して各心線が有する接続部を補強することで、複数の接続部を単一の補強部材によって一括して補強することができる。抗張力体の形状や大きさを調節することにより、単一の接続部を補強するタイプの従来の補強部材を用いる場合に比べて、一心線あたりに要する補強部材の断面積を低減することができるので、これによって、補強後の光ファイバ心線をより高密度に収納することが可能となる。また、各光ファイバ心線を収容するガイド部は、それぞれ別個に設けられているので、単一のチューブ内に複数の心線を収容するタイプの従来の補強部材と異なり、光ファイバ心線同士がからみ合うことがない。
【0015】
次に、本発明に係る光ファイバ心線接続部補強器の第一の態様は、接続部を含む光ファイバ心線を複数収容してこれらの接続部を補強する補強部材を加熱することによりこれらの接続部を補強する補強器であって、各光ファイバ心線を個別に把持して引っ張る心線引張部を備えることを特徴としている。
【0016】
ここで、上記の心線引張部は、各光ファイバ心線を個別に把持する複数のクランプと、これらのクランプを所定方向に沿って移動させることによりこれらのクランプの各々が各光ファイバ心線を引っ張るようにするクランプ移動機構と、を備えるものであっても良い。
【0017】
本発明に係る補強器の第一の態様によれば、各光ファイバ心線を個別に把持して引っ張るため、一部の光ファイバ心線にのみ緩みが生じている場合でも、各光ファイバ心線を一括把持して引っ張るときのように、緩みのない光ファイバ心線に引張応力が集中するようなことはない。従って、この補強器によれば、光ファイバ心線の緩みを好適に除去することができ、この後、補強部材を加熱することで、光ファイバ心線接続部を好適に補強することができる。
【0018】
次に、本発明に係る光ファイバ心線接続部補強器の第二の態様は、接続部を含む光ファイバ心線を複数収容してこれらの接続部を補強する補強部材を加熱することによりこれらの接続部を補強する光ファイバ心線接続部の補強器であって、この補強部材を加熱する手段が、自身の一端から他端に延びる溝であって補強部材が埋設されうる溝を有し、この溝の内面を通じて熱を放射する放熱部を備えていることを特徴としている。
【0019】
ここで、上記の溝は、略U字形又は略V字形の断面を有するものであっても良い。
【0020】
本発明に係る補強器の第二の態様によれば、上記の溝に補強部材を埋設して加熱を行うことにより、平坦な上面を介して放熱する従来の補強器よりも均一に補強部材の加熱を行うことができ、これによって、好適な接続部の補強が可能になる。この補強器は、複数の光ファイバ心線が補強部材の軸に対して対称に配置されている場合などに、特に有用である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致していない。
【0022】
図1(a)は、本発明に係る光ファイバ心線接続部補強部材の好適な実施形態を示す全体斜視図であり、この補強部材には符号50が付されている。補強部材50は、光ファイバ心線接続部を覆うための熱収縮性チューブ3を備えており、この熱収縮性チューブ3の中空部には、チューブ3の軸に沿って延びる平板状の抗張力体8が収容されている。この抗張力体8は、熱収縮性チューブ3の内径にほぼ等しい横幅を有しており、チューブ3と中心軸をほぼ一致させながらチューブ3内に挿入されている。
【0023】
熱収縮性チューブ3の内面上部と抗張力体8の上面との間には、熱収縮性チューブ3の軸に沿って延びるチューブ状の熱溶融性接着剤(接着チューブ)4aが挿入されており、補強すべき接続部を有する光ファイバ心線をこのチューブの中空部に挿入できるようになっている。この熱溶融性接着チューブ4aは、ほぼ楕円形の断面を有しており、その短軸が抗張力体8の上面とほぼ直交するように配置されている。また、この楕円断面は、接着チューブ4aを挿入したときにチューブ4aが抗張力体8と熱収縮性チューブ3との間で保持されうるような長さの短径を有している。従って、接着チューブ4aは、抗張力体8と熱収縮性チューブ3との間に挿入することで、緩く保持されるようになっている。
【0024】
抗張力体8の下面と熱収縮性チューブ3の内面下部との間には、上記の接着チューブ4aと同様の接着チューブ(チューブ状熱溶融性接着剤)4bが、抗張力体8を挟んで接着チューブ4aとほぼ対称に挿入されている。
【0025】
このように、本実施形態の補強部材50は、2本の熱溶融性接着チューブ4a、4bを備えており、この各々に、補強すべき接続部を有する光ファイバ心線を挿入することができるようになっている。従って、補強部材50によれば、単一の補強部材によって、複数の光ファイバ心線接続部を一括して補強することができる。単一の補強部材で単一の接続部を補強する従来の方法(図6)では、一つの補強部材に一本の心線を挿入しては次の補強部材を用意して次の心線を挿入するという作業が行われるが、本実施形態の補強部材50を使用すると、新たな補強部材を用意する頻度を減らすことができるので、その分だけ補強作業時間を短縮することができる。また、熱収縮性チューブ及び抗張力体を、複数の心線で共有するような構造をしているため、部品を節約できるという利点もある。抗張力体8の横幅や厚さを調節すれば、補強部材50の断面積を従来の補強部材の2倍よりも小さくすることができるので、従来の補強部材を用いて単一の心線接続部を単一の補強部材で補強する場合よりも、一心線あたりに必要な補強部材の断面積が少なくてすみ、光ファイバ心線接続部を高密度に収納することができる。
【0026】
また、補強部材50では、心線を収容する接着チューブが各心線ごとに用意されており、一つの接着チューブに一本の光ファイバ心線を挿入するようになっているので、複数の心線を単一の接着チューブ内に収容する方式に比べて、熱収縮性チューブ3の収縮時に心線同士がからみ、強度劣化や破断を起こすという危険を少なくすることができる。
【0027】
さらに、補強部材50によれば、整列治具を用いる必要がなく、接着剤を熱収縮性チューブ3内に注入する作業も必要ないので、補強作業が簡便である。このため、複数の心線接続部を一度に一括して補強できるという上述の利点と相まって、補強作業の効率性を高め、作業時間を短縮することができる。
【0028】
なお、図1(a)の補強部材は、二本の光ファイバ心線の接続部を一括補強するものであったが、抗張力体の形状や接着チューブの配置を調節することで、より多数の光ファイバ心線接続部を一括補強することも可能である。例えば、図1(b)のように、熱収縮性チューブ3内に断面が正方形の柱状抗張力体9を挿入し、この抗張力体9の各側面と熱収縮性チューブ3の内面との間に接着チューブ4a〜4dを挿入すれば、四本の光ファイバ心線の接続部を一括補強することができる。
【0029】
また、本実施形態では、チューブ状に加工した熱溶融性接着剤の中空部を、光ファイバ心線を挿入して熱収縮性チューブを貫通させるための心線ガイド部として用いているが、光ファイバ心線をガイドして熱収縮性チューブを貫通させるものであれば、他の形態のものであっても良い。例えば、図2のように、板状の熱溶融性接着剤34a、bの表面に、熱収縮性チューブ3の軸方向に延び、矩形状の断面を有する溝36a、bを設け、これを心線ガイド部としても良い。なお、図2において、符号30a、bは、テープ状光ファイバ心線を表している。また、熱溶融性接着剤に心線ガイド部を設ける代わりに、抗張力体に心線ガイド部(溝など)を設けることも可能である。
【0030】
次に、図3〜図5を参照しながら、本発明に係る補強部材を用いて光ファイバ心線接続部を補強する方法を説明する。ここで、図3(a)は、補強部材16を加熱して心線接続部を補強する補強器60を示す部分切り欠き概略平面図であり、図3(b)は、同じ補強器60を示す部分切り欠き概略分解側面図である。図3(b)に示されるように、以下では、補強すべき接続部を有する光ファイバ心線が4心のテープ状光ファイバ心線30a、30bである場合を取り上げて、補強方法を説明する。ここで用いる補強部材16は、上記の補強部材50とほぼ同様の構造を有しているが、補強部材に挿入されるものがテープ状光ファイバ心線であることから、接着チューブの中空部の大きさがテープ状光ファイバ心線用に調節されている。なお、これらの図では、簡単のため、補強部材16中の抗張力体及び熱溶融性接着チューブが省略されている。また、図3(a)では、図3(b)に示されている箱形の風防38が省略されている。
【0031】
図示の補強器60は、箱形の匡体62の上面に設置されたヒータ17と、匡体62に取り付けられた固定クランプ64と、匡体62から突出した可動クランプ70a及び70bと、匡体62内に設置され、この可動クランプ70a、70bを匡体62の平坦な上面とほぼ平行に移動させる可動機構部74とを備えている。このヒータ17の上部にはヒータ17の縦方向に延びる溝18が設けられており、補強部材16は、この溝18に埋設されるようになっている。ヒータ17の周囲には、ヒータ17を包囲して外気と遮断することで、ヒータ17による加熱効率を高める透明な風防38が設置されている。固定クランプ64は、接続済みの2本のテープ状光ファイバ心線30a、30bを同一箇所で一括して挟持するようになっている。これに対し、可動クランプ70a、bは、それぞれ別個にテープ状光ファイバ心線30a、bを挟持するようになっている。この可動クランプ70a、bは、クランプ部71a、bと、このクランプ部71a、bの下部に取り付けられ、匡体62の上面とほぼ垂直に延びるクランプアーム72a、bとを備えている。これらのクランプアーム72a、bは、それぞれ、匡体62の内部で、バネ79a、bを介して可動板76に連結されている。また、可動板76は、連結バー77、78を介して可動板75に連結されている。
【0032】
図示しないモータ等の駆動装置によって可動板75が矢印80の方向に動かされると、可動板75に連結された可動板76も矢印80の方向に移動し、これに伴ってバネ79a、bが矢印80の方向に伸びる。このバネの伸びにより、可動板76の移動量、すなわちバネの伸び量に応じた引張応力が、クランプアーム72a、b及びクランプ部71a、bを介してテープ状光ファイバ心線30a、bの各接続部2a、bに加えられるようになる。
【0033】
この補強器60では、各テープ状光ファイバ心線30a、bは、対応するクランプ70a、bによって個別にクランプされており、それぞれのクランプアーム72a、bに取り付けられた別個のバネ79a、bを介して引張応力が付与される。このため、両テープ状光ファイバ心線を一括把持して引っ張る場合と異なり、一方のテープ状光ファイバ心線のみが緩んでいた場合にも、他方のテープ状光ファイバ心線に応力が集中することはない。また、各テープ状光ファイバ心線を個別に把持して引っ張ることで、接続部を引っ張りスクリーニングする場合に破断時の判別がしやすいという利点も生まれる。
【0034】
なお、上記の可動機構部74では、可動板75と各クランプアーム72a、bとの間にバネを取り付けても良く、この場合は、バネを縮ませることによって接続部2a、bに応力が付与される。
【0035】
次に、図4は、図3(a)のA−A線に沿ったヒータ17、並びに補強部材16及びテープ状光ファイバ心線30a、30bの断面を示す図である。ヒータ17は、V字形の断面を有する溝であってヒータ17の縦方向に沿って延びる溝18を備えている。心線接続部2a、bを包囲するように補強部材16が装着されたテープ状光ファイバ心線30a、bは、補強部材16がこのV溝18に埋設されるようにして補強器60にセットされる。
【0036】
接続部2a、bを補強する際には、V溝18の側壁から熱が放射され、これによって、補強部材16が加熱される。このように、本実施形態の補強器60は、補強部材16の下方及び両側方を覆う放熱部によって加熱を行うので、平坦な放熱面上に補強部材を載置して加熱する通常のヒータ27(図4(c))よりも効率良く、また、ほぼ均一に加熱を行うことができる。また、V溝の開口部からチューブ状接着剤4a、bの溶け具合を観察することもできる。
【0037】
上記のヒータ17では、V溝18内に補強部材16を埋設して加熱するようになっていたが、このV溝18の代わりに、図4(b)に示すように、断面が略U字形の溝(U溝)19を縦方向に沿って形成し、このU溝19の内面を通して補強部材を加熱するようにしても良い。より一般的に言えば、補強部材を埋設することができるような凹状の放熱部であってその内面から熱を放射して補強部材を加熱することができるようなものを有する加熱手段を補強器が備えていれば、均一で効率の良い加熱を行うことができ、好適である。
【0038】
次に、図5(a)〜(d)を参照しながら、テープ状光ファイバ心線30a、bの接続部の一括補強に先立って、これらのテープ状光ファイバ心線を補強器60にセットする手順を説明する。このセット作業は、テープ状光ファイバ心線の接続作業と並行して行うことができる。
【0039】
二本のテープ状光ファイバ心線30a、bを補強器60にセットするためには、まず、各テープ状光ファイバ心線をそれぞれ補強部材16の熱溶融性接着チューブ4a、4bに挿入し、補強部材16を貫通させる。次に、テープ状光ファイバ心線30a、bのいずれか(ここでは、30aとする)の一端を、接続すべき他のテープ状光ファイバ心線と融着等の方法によって接続する。接続を終えたテープ状光ファイバ心線30aは、補強器60に仮置きされる(図5(a))。このとき、テープ状光ファイバ心線30aは補強器60の固定クランプ64及び可動クランプ70aによって二箇所で挟持され、これらの挟持箇所間に位置する部分は、ヒータ17のV溝18に収容される。一方、テープ状光ファイバ心線30b、及びこのテープ状光ファイバ心線30bと接続すべき相手方のテープ状光ファイバ心線30b′は、いずれのクランプによっても挟持されていない。
【0040】
次に、テープ状光ファイバ心線30bと30b′を接続した後(以下では、接続後のテープ状光ファイバ心線を符号30bで表す)、図5(b)に示されるように、一本となったテープ状光ファイバ心線30bを固定クランプ64及び可動クランプ70bによって挟持する。このとき、テープ状光ファイバ心線30bの接続部2bは、テープ状光ファイバ心線30aの接続部2aとそろえた状態でヒータ17のV溝18内に収容される。次いで、補強器60の各クランプとは別個に用意された外部クランプ90によって、テープ状光ファイバ心線30a、bを、補強器60の外側で一括して挟持する。これによって、テープ状光ファイバ心線30a、bは、補強部材16の両側で一括保持されることになる。
【0041】
補強器60を用いて接続部2a、bの補強をする際には、図5(c)のように、テープ状光ファイバ心線30a、bのうち可動クランプ70a、bによる挟持箇所の外側の部位24a、bを手で押さえながら、補強器60の各クランプをはずし、補強部材16をテープ状光ファイバ心線に沿ってスライドさせて接続部2a、bまで移動させる。これによって、各テープ状光ファイバ心線の接続部2a、bを補強部材16に収容したら、図5(d)のように、各テープファイバ心線の部位24a、bを手で把持しながら、各テープ状光ファイバ心線30a、bを、固定クランプ64及び可動クランプ70a、bによって挟持させ、この後、外部クランプ90の挟持を解除する。これにより、図2に示すように、各テープ状光ファイバ心線30a、bを、各接続部2a、bが補強部材16内でそろった状態で補強器60にセットすることができる。
【0042】
次に、ヒータ17による加熱の前に、補強器60を用いてテープ状光ファイバ心線30a、bの引っ張りスクリーニング試験を行う。これは、不良なテープ状光ファイバ心線を補強する無駄を避けるためである。具体的には、可動機構部74によって各クランプ部71a、bを図3(b)の矢印の方向に移動させることで、各テープ状光ファイバ心線を引っ張り、これによって、両テープ状光ファイバ心線のスクリーニング試験を行う。
【0043】
スクリーニング試験で不良が発見されなかった場合には、上述のヒータ17によって補強部材16を加熱し、各テープ状光ファイバ心線の接続部2a、bを一括して補強する。すなわち、補強部材16を加熱することで、熱収縮性チューブ3が熱収縮し、かつ、接着チューブ4a、bが溶融する。加熱後、テープ状光ファイバ心線30a、bを冷却することで、熱収縮性チューブ3、抗張力体8、及びテープ状光ファイバ心線の接続部2a、bが接着剤によって一体化する。熱収縮性チューブ3が接続部2a、bを包囲し、接着剤が接続部2a、bを熱収縮性チューブ3内にしっかりと固定し、抗張力体8がテープファイバ30a、bの曲げによる破壊を防止することで、接続部2a、bが補強される。この点は、従来と同様である。
【0044】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した通り、本発明に係る補強部材によれば、複数の接続部を単一の補強部材によって一括して補強し、補強後の光ファイバ心線をより高密度に収納することができるので、光通信網の拡大にあたって特に有用である。また、各光ファイバ心線を収容するガイド部が別個に設けられているので、心線同士がからみ合うことがなく、強度劣化や破断を起こすという危険をなくして、信頼性の高い補強を行うことができる。さらに、本発明の補強部材によれば、整列治具を用いる必要がなく、接着剤を注入する作業も必要ないので、補強作業が簡便であり、作業時間を短縮することができる。
【0045】
次に、本発明に係る光ファイバ心線接続部補強器のうち、各光ファイバ心線を個別に把持して引っ張る心線引張部を備えるものによれば、一部の光ファイバ心線にのみ緩みが生じている場合でも緩みのない光ファイバ心線に引張応力が集中するようなことはなく、心線の緩みを好適に除去して心線接続部を好適に補強することができる。
【0046】
また、本発明に係る光ファイバ心線接続部補強器のうち、補強部材を埋設することのできる溝の内面を通じて補強部材を加熱するものによれば、この溝に補強部材を埋設して加熱を行うことにより、従来よりも均一に補強部材の加熱を行うことができ、心線接続部を好適に補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバ心線接続部補強部材の好適な実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る補強部材の他の実施形態を示す断面図である。
【図3】図3(a)は、補強部材16を加熱して心線接続部を補強する補強器70を示す部分切り欠き概略平面図であり、図3(b)は、同じ補強器70を示す部分切り欠き概略分解側面図である。
【図4】図3(a)のA−A線に沿ったヒータ17、並びに補強部材16及びテープファイバ30a、bの断面を示す図である。
【図5】図5(a)〜(d)は、二本のテープ状光ファイバ心線30a、30bの接続部を一括補強するに先だって、これらのテープ状光ファイバ心線を補強器55にセットする手順を説明する概略図である。
【図6】従来の補強部材の一例を示す斜視図である。
【図7】従来の補強部材の他の例を示す部分切り欠き斜視図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ心線、2…心線接続部、3…熱収縮性チューブ、4a、b…熱溶融性接着チューブ、8及び9…抗張力体、50…補強部材。
Claims (4)
- 接続部を含むテープ状光ファイバ心線の前記接続部を収容する補強部材を加熱することにより前記接続部を補強する光ファイバ心線接続部の補強器であって、
前記テープ状光ファイバ心線が縦向きになるように前記補強部材を埋設することのできる溝を有し、前記溝の内面を通じて前記テープ状光ファイバ心線の両側方から熱を放射する放熱部を備え、
前記溝には、接続部を含むテープ状光ファイバ心線を複数収容してこれらの接続部を補強する補強部材を、前記各テープ状光ファイバ心線が縦向きになるように埋設することができ、
前記各テープ状光ファイバ心線を個別に把持して引っ張る心線引張部をさらに備えることを特徴とする光ファイバ心線接続部の補強器。 - 前記溝は、略U字形又は略V字形の断面を有することを特徴とする請求項1記載の補強器。
- 前記心線引張部は、前記各テープ状光ファイバ心線を個別に把持する複数のクランプと、これらのクランプを所定方向に沿って移動させることによりこれらのクランプが個別に前記各テープ状光ファイバ心線を引っ張るようにするクランプ移動機構と、を備えることを特徴とする請求項1または2記載の補強器。
- 各々が接続部を含む第1および第2のテープ状光ファイバ心線の前記接続部を補強部材を用いて一括して補強する方法であって、
前記補強部材は、熱収縮性チューブと、前記熱収縮性チューブ内に収容され、前記熱収縮性チューブの軸にほぼ沿って前記熱収縮性チューブの内面と間隔をあけながら延びる平板状の抗張力体と、前記熱収縮性チューブの内面と前記抗張力体の上面との間に挿入され、前記熱収縮性チューブの軸にほぼ沿って延びる第1のチューブ状熱溶融性接着剤と、前記熱収縮性チューブの内面と前記抗張力体の下面との間に挿入され、前記熱収縮性チューブの軸にほぼ沿って延びる第2のチューブ状熱溶融性接着剤とを備えており、
前記第1および第2テープ状光ファイバ心線の接続部をそれぞれ前記第1および第2チューブ状熱溶融性接着剤に収容するとともに、前記第1および第2テープ状光ファイバ心線が縦向きになるように前記補強部材を溝に埋設する工程と、
前記溝の内面を通じて前記テープ状光ファイバ心線の両側方から熱を放射することにより前記第1および第2チューブ状熱溶融性接着剤を溶融させて、前記第1および第2テープ状光ファイバ心線の接続部、前記熱収縮性チューブならびに前記抗張力体を一体化する工程と
を備える光ファイバ心線接続部の補強方法。
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