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JP3567552B2 - ドラムスティック - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、スネアドラムなどのドラム演奏時に用いられるドラムヘッドの打面を打撃するドラムスティックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スネアドラムなどの演奏時に用いられるこの種のドラムスティックは、ヒッコリー、オーク材等の木材によって製作されていたが、最近では実開昭55−125685号公報に開示されているように繊維強化樹脂製のドラムスティックも普及している。この繊維強化樹脂製ドラムスティックは、スティック形状を有する熱硬化性樹脂発泡体中に、その長手方向に弾性率7ton/mm 以上の強化材を実質的に均一に配列して形成したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のドラムスティックにあっては、以下に述べるような問題があった。木製のスティックは、強度、弾性において限界があり、高帯域までの部分音の発生限界が低く、今日の高音を多用する音楽の傾向の中にあっては、いわゆる「通り」の良い音(歯切れのよい高い音)を出し難い。また、弾性率、弾性限界があまり高くないので、弾性エネルギをため込む量が少なく、結果として軽いスティックでは大きな音が出し難いという難点がある。このため、大きな音を出すには必然的に重いスティックを使用する必要がある。しかし、重くなるとスティックワーク(スティックを操作して打楽器を打撃すること)が緩慢になりシャープな演奏が難しくなるという問題があった。
【0004】
一方、繊維強化樹脂製のスティックは強化材がカーボン繊維あるいはガラス繊維であるため、リムショットにより徐々に素材が破壊されて強化材が露出してくると、ささくれ立って指や手に刺さるおそれがある。また、全体が中実の棒状体であるため、重くて奏者の感覚に合わない。
【0005】
したがって、この発明は上記した従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ささくれの発生を防止するとともに、比重を低く抑えることができ、スティックワークに優れ、シャープな演奏ができるようにしたドラムスティックを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためこの発明は、表層部をアラミド繊維を強化用繊維とする第1の繊維強化樹脂層で形成し、内層部をガラス繊維またはカーボン繊維を強化用繊維とする第2の繊維強化樹脂層によって形成し、先端部分を除く把持部を中空の棒状体に形成したことを特徴とする。
【0007】
本発明において、ドラムスティックは、アラミド繊維を強化用繊維とする第1の繊維強化樹脂層と、ガラス繊維またはカーボン繊維を強化用繊維とする第2の繊維強化樹脂層とによって先端部分を除く把持部が中空の棒状体に形成されているので、重量が軽減される。繊維強化樹脂は、スティックに必要な強度、剛性を確保する。繊維強化樹脂の表層部を形成するアラミド繊維強化樹脂は、ささくれの発生が少ない。内層部を形成するガラスまたはカーボン繊維強化樹脂は、高弾性率で、大きな音、高帯域の音を出し易くする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1はこの発明に係るドラムスティックの一実施の形態を示す断面図である。同図において、ドラムスティック1は、繊維強化樹脂2によって先端部分1aを除く把持部1bの内部が中空の棒状体に形成され、球形のチップ3が一体的に設けられた先端部が最も細く、後端にいたるにしたがい太くなっている。また、ドラムスティック1の後端側開口部は、プラグ4によって閉塞されている。先端部1aを中実に形成した理由は、強度を確保するとともに、スティックの重量バランス(重心位置)をよくするためである。把持部1bを中空形状に形成した理由は、ドラムスティック1の比重を低くして軽量化を図り、奏者の感覚に合わせるためである。具体的には、全体の平均的比重が1.0以下とされる。これ以上であると重くなって奏者の感覚に合わず、スティックワークが緩慢になるために好ましくない。また、あまり低すぎると強度が低下するため好ましくない。下限値としては0.4〜0.5程度で、これは軽めの木製のスティックと同程度となる。
【0009】
繊維強化樹脂2は、表層部を形成する第1の繊維強化樹脂層5と、内層部を形成する第2の繊維強化樹脂層6の2層で構成されている。第1の繊維強化樹脂層5の材質としては、塑性、損失性の高いアラミド繊維を強化用繊維とする繊維強化樹脂が用いられる。第2の繊維強化樹脂層6の材質としては、高弾性率のガラス繊維またはカーボン繊維を強化用繊維とする繊維強化樹脂が用いられる。表層部をアラミド繊維強化樹脂層5で形成した理由は、ささくれの発生が少ないからである。一方、内層部を弾性率の高いカーボン繊維強化樹脂層6で形成した理由は、ドラムスティックとしての強度、剛性を確保するためである。この場合、表層部をカーボン繊維強化樹脂で形成すると、素材が破壊したとき、ささくれが発生するので好ましくない。
【0010】
このような第1、第2の繊維強化樹脂層5,6の強化材として用いられるアラミド、カーボンの繊維は、ドラムスティックの軸線方向に配向されていて、その直交する方向に束ねるための横糸を適宜織り込むものとする。また、これらの強化用繊維は、クロスとして使用されてもよく、その両方法の混合された構成のものであってもよい。第1,第2の繊維強化樹脂層5,6のマトリックス材料としては、特に指定されるものではなく、一般的な繊維強化樹脂に使用される熱硬化性合成樹脂、例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が用いられる。また、熱可遡性合成樹脂を用いることも可能である。
【0011】
チップ3としては、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール等の合成樹脂によって形成される。プラグ4としては、ゴム、合成樹脂、アラミド繊維強化樹脂、カーボン繊維強化樹脂など何でもよい。プラグ4の長さ、重さを変えると、スティックの重量バランスを調節することができる。
なお、このようなドラムスティック1の外形状は従来のドラムスティックと同様である。
【0012】
次に、上記構造からなるドラムスティックの製造方法を図2(a)〜(g)に基づいて説明する。
先ず、治具としての2本のマンドレル(鉄製の心棒)8A,8B、引き抜き形成されたカーボン繊維強化樹脂製の棒状体10およびプラグ4、カーボン繊維強化樹脂のプリプレグシート11および幅が広いカーボン繊維強化樹脂のプリプレグシート12を用意する。マンドレル8Aの外径は棒状体10の外径と略等しい。マンドレル8Bの外径はプラグ4の外径と略等しい。棒状体10は、スティック1の中実な先端部1aを形成するためのもので、その外径はプラグ4の外径より小さい。
【0013】
次に、(a)図に示すように、各マンドレル8A,8Bにカーボン繊維強化樹脂のプリプレグシート11とカーボン繊維強化樹脂のプリプレグシート12をそれぞれ巻き付ける。プリプレグシート11は、外径がプラグ4の外径と略等しくなるまで巻回される。また、プリプレグシート11,12は、繊維方向がドラムスティック1の軸線方向と一致するように巻き付けられる。
次に、プリプレグシート11,12にシュリンクテープを巻き付けて圧締めし、炉の中に入れて一定時間加熱硬化させ内層管11’,12’を形成する。この加熱硬化によって形成された内層管11’,12’を炉より取り出してマンドレル8A,8Bから抜き取る。
この場合、2本のマンドレル8A,8Bを用いたが、(b)図に示すように1本の段付マンドレル8を用意し、この段付マンドレル8にプリプレグシート11,12を巻き付けてもよい。その場合は後述する接着剤によるプリプレグシート11,12の接着工程が不要である。
【0014】
次に、(c)図に示すように、マンドレル8A,8B(または8)から抜き取った内層管11’,12’を接着剤によって同軸に接着するとともに各内層管11’,12’の端部に棒状体10とプラグ4をそれぞれ嵌挿して接着剤により接着する。これらの棒状体10と内層管11’,12’は、ドラムスティックの内層部を形成するものである。
次に、(d)図に示すように2つの内層管11’,12’の先端部分を機械加工によってテーパ状に仕上げる。その後、内層管12’の外周にアラミド繊維強化樹脂のプリプレグシート13を巻き付ける(e)。さらに、この巻き付けられたプリプレグシート13の先端部を、V字状の切欠き溝14の形成によって舌片状に分割する。そして、この舌片部15を前記棒状体10および内層管11’,12’の表面に接着する(f)。切欠き溝14を形成する理由は、ドラムスティックの先端部の外径を小さくするためである。
さらに、(g)図に示すようにプリプレグシート13をシュリンクテープ16によって覆い、炉に入れて一定時間加熱することによりプリプレグシート13を硬化させる。
【0015】
硬化後、炉から取り出してシュリンクテープ16を剥し、旋盤加工によって所望のスティック形状に仕上げる。しかる後、棒状体10の先端部に図1に示したチップ3を圧入して接着剤により固着し、スティックの表面全体を塗装することにより、ドラムスティック1が完成する。
【0016】
このような構造からなるドラムスティック1にあっては、把持部1bの内部が中空で、全体の平均的比重が1.0以下であるため、軽くて奏者の感覚にマッチさせることができる。したがって、スティックワークに優れ、シャープな演奏を可能にする。また、繊維強化樹脂2を2層で形成し、内層側をカーボン繊維強化樹脂層6とし、表層側をアラミド繊維強化樹脂層5としているので、リムショット等によって表層部が破壊されても、カーボン繊維強化樹脂層6がささくれて表面に現れることがなく、長期にわたって安心して使用することができる。
また、内層部を形成するカーボン繊維強化樹脂層6は、高強度であるため、スティックとしての強度、剛性を確保し、しかも高弾性であるため、大きな音を出し易い。
【0017】
図3は本発明の他の実施の形態を示す断面図である。この実施の形態においては、アラミド繊維強化樹脂によってチップ3と第1の繊維強化樹脂層5を形成し、カーボン(またはガラス)繊維強化樹脂によって第2の繊維強化樹脂層6を形成している。その他の構成は上記した実施の形態と同様である。
【0018】
このようなスティックの製作に際しては、直径がφ3mm程度のマンドレルにカーボン(またはガラス)繊維強化樹脂プリプレグを薄く(厚さ0.5mm〜1mm程度)巻き付けて、その上へスティック外径になるまでアラミド繊維強化樹脂プリプレグを巻き付ける。さらにその上にシュリンクテープを巻き付けて加熱炉へ入れ、加熱硬化させる。硬化後、炉から取り出してテープとマンドレルを外し、切削によって外形を整える。その後、既に引き抜きによって製作されているカーボン(またはガラス)繊維強化樹脂製の棒状体10とプラグ4を両端に嵌挿して接着剤によって固定すればよい。
【0019】
このようなスティックにおいても、比重を1.0以下とすることができる。また、棒状体10とプラグ4の外径を等しくするとともに、カーボン(またはガラス)繊維強化樹脂プリプレグとアラミド繊維強化樹脂プリプレグの幅を等しくしているので、幅の異なる2枚のプリプレグシート11,12を用いた図2に示した製作方法に比べて製作が容易である。また、シュリンクシートを巻き、加熱硬化させる工程も一回で済むので製作が容易である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係るドラムスティックは、アラミド繊維を強化用繊維とする第1の繊維強化樹脂層と、ガラス繊維またはカーボン繊維を強化用繊維とする第2の繊維強化樹脂層とによって中空の棒状体に形成したので、軽くて奏者の感覚に合ったスティックを提供することができる。したがって、スティックワークに優れ、シャープな演奏を可能にする。また、繊維強化樹脂の内層側を形成するガラスまたはカーボン繊維強化樹脂層を表層部を形成するアラミド繊維強化樹脂層によって覆っているので、リムショット等によって表層部が破壊されても、ガラスまたはカーボン繊維強化樹脂層がささくれて表面に現れることがなく、長期にわたって安心して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るドラムスティックの一実施の形態を示す断面図である。
【図2】(a)〜(g)は同スティックの製造方法を説明するための図である。
【図3】この発明の他の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…ドラムスティック、2…繊維強化樹脂、3…チップ、4…プラグ、5…第1の繊維強化樹脂層、6…第2の繊維強化樹脂層、10…棒状体。

Claims (1)

  1. 表層部をアラミド繊維を強化用繊維とする第1の繊維強化樹脂層で形成し、内層部をガラス繊維またはカーボン繊維を強化用繊維とする第2の繊維強化樹脂層によって形成し、先端部分を除く把持部を中空の棒状体に形成したことを特徴とするドラムスティック。
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