JP3569044B2 - 流体機械 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、車両のスーパーチャージャに用いられる流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
公開実用 昭和63−198401号公報に図5のようなロータ201が記載され、特開平4−311694号広報に図6のようなスクリュー式コンプレッサ203が記載されている。
【0003】
図5のロータ201はスクリュー式コンプレッサ用の雄型スクリューロータであり、ロータ本体205にロータ軸207を固定して構成されている。又、図6のスクリュー式コンプレッサ203は、互いに噛み合った雄型と雌型のスクリューロータ209、211を備えており、各ロータ209、211はそれぞれロータ本体213、215にロータ軸217、219を固定して構成されている。
【0004】
従来用いられていたスクリュー式コンプレッサの雄型スクリューロータは歯厚が厚いから、中実であると慣性モーメントが大きい。ロータの慣性モーメントが大きいスクリュー式コンプレッサをスーパーチャージャに用いると、エンジンの駆動エネルギー損失が大きく、加速時のレスポンスが悪くなると共に、エンジンとの断続をするクラッチを大型にする必要がある。
【0005】
そこで、各ロータ201、209はそれぞれロータ本体205、213の歯すじ221、223に中空部225、227を設けて軽量化し、慣性モーメントを小さくしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
歯すじ部に中空部を持たない中実構造のロータにおいて、ロータ本体が鋳造加工される場合、ロータ軸はロータ本体の鋳造時に鋳ぐるみで固定する。又、ロータ本体を切削加工する場合は、完成品のロータより大径の丸棒に軸孔を設け、この軸孔にロータ軸を固定した後、丸棒の外周にロータの歯すじを加工する。これらの中実ロータは、いずれもロータ本体の回転中心とロータ軸との芯ずれが少ない。
【0007】
一方、ロータ201、209のような中空ロータの場合は、ロータ本体に軸孔を加工し、この軸孔にロータ軸を固定する。
【0008】
軸孔を加工するに当たっては、ロータ本体にチャックするための適当な箇所が必要であるが、中空ロータでは各歯すじの中空部、又はロータ本体の外周をチャックする他にチャックできる箇所がない。しかし、ロータ201の中空部225にはチャックすべき箇所がなく、ロータ209の場合、中空部227の内周部229は曲面状であってチャックするための正確な面が用意されている訳ではなく、このような曲面状の内周部229をチャックして軸孔を加工すると、ロータ本体とロータ軸との芯ずれが生じやすい。
【0009】
又、中空ロータの外周をチャックすると、中空の歯すじがチャック時のクランプ力によって変形し、この変形による軸孔の芯ずれが生じる。更に、チャック時の中空ロータが歯すじの成形加工前であれば、変形による芯ずれの他に、この歯すじの成形加工による軸孔の芯ずれが付加されて、大きな芯ずれが生じる。
【0010】
又、ロータ本体を鋳造加工し、中空部を中子で形成する場合、この中子と軸孔との芯ずれは、回転バランスを大きく崩し、従って、バランス修正に大きなコストが掛かる。
【0011】
そこで、この発明は、ロータ本体を中空構造にし慣性モーメントを小さくしながら、ロータ本体とロータ軸との芯合わせを精密に行える流体機械の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の流体機械は、開口を有する中空部が歯すじ部に設けられたロータ本体の軸孔にロータ軸を固定してなる中空ロータを備え、前記開口の内周側に機械加工時にチャックするための直線部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
このように、請求項1の流体機械は、中空部の開口内周側にチャック用の直線部を形成したから、これらの直線部をチャックしてロータ軸用の孔を加工すれば、ロータ本体とロータ軸との芯合わせを精密に行える。又、歯すじ部(歯型)の成形加工は、軸孔の加工と同時に行うか、あるいは、こうして加工された軸孔にロータ軸を固定したあと、このロータ軸を基準にして行えば、芯ずれのない、回転バランスの整った中空ロータが得られる。
【0014】
こうして、ロータを中空構造にし、軽量化し慣性モーメントを小さくしながら、ロータ本体とロータ軸との芯ずれのない、回転バランスのよい中空ロータが得られる。従って、ロータのバランス修正は不要であるか、あるいは、必要であっても極めて僅かな修正量と修正コストですむ。
【0015】
請求項2の流体機械は、請求項1の流体機械において、中空ロータをスクリュー状の歯すじ部を有するスクリューロータにしたものであり、請求項1の流体機械と同様に、ロータ本体とロータ軸との芯ずれがなく、回転バランスのよい中空ロータが得られる。
【0016】
これに加えて、一般に、繭型断面のロータを用いるルーツ式の流体機械より高速回転で用いられ、回転バランスの崩れによる振動などの悪影響が大きく出易いスクリュー式の流体機械において、回転バランスの整った中空ロータが得られる本発明の効果は大きい。
【0017】
請求項3の流体機械は、請求項1又は2の流体機械において、中空ロータを鋳造加工し、内周側に直線部を有する中子を使って中空部と開口と直線部とを形成したものである。回転方向等間隔に設けられた歯すじ部に配置される中子(中空部)はロータ本体上で回転バランスの取れた位置にあり、これらの中空部に形成された直線部を加工時のチャック箇所にするから請求項1又は2の流体機械と同様に、ロータ本体とロータ軸との芯ずれのない、回転バランスのよい中空ロータが得られる。
【0018】
これに加えて、鋳造加工によれば形状の複雑な中空ロータでも加工が容易であり、他の加工方法に較べて中空ロータを低コストで製造できる。又、中子(中空部)の位置とロータ軸との芯ずれが回転バランスを大きく悪化させる鋳造の中空ロータにおいて、回転バランスのよい中空ロータが得られ、バランス修正コストが大幅に低減する本発明の効果は特に大きい。
【0019】
又、チャック用の直線部は中子の直線部によって中空部の軸方向全体に形成されるから、必要に応じてロータ本体の端部を切断しても、直線部とロータ軸との芯が狂うことはない。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1乃至4により、本発明の一実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、2、3の特徴を備えており、図1はこの実施形態を用いたスーパーチャージャ1を示している。左右の方向は図1、2での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0021】
図1のように、スーパーチャージャ1は、入力プーリ3、増速ギヤ組5、タイミングギヤ組7、スクリュー式コンプレッサ9(実施形態の流体機械)などから構成されている。
【0022】
入力プーリ3はベアリング11によりコンプレッサケーシング13に支承されていると共に、入力軸15にスプライン連結され、ボルト17とワッシャ19とで固定されている。入力プーリ3はベルトを介してクランクシャフト側のプーリに連結されている。このクランクシャフト側プーリには電磁クラッチが配置されており、エンジンとスーパーチャージャ1との断続を行う。入力プーリ3はエンジンの駆動力によりこの電磁クラッチを介して回転駆動される。
【0023】
入力軸15はボールベアリング21によりケーシング13の内部に支承されており、入力軸15に装着されたカラー23とケーシング13との間にはシール25が配置され、オイル洩れを防止している。
【0024】
増速ギヤ組5は互いに噛み合った大径と小径の増速ギヤ27、29から構成され、タイミングギヤ組7は互いに噛み合った大径と小径のタイミングギヤ31、33から構成されている。又、エアコンプレッサ9は雄型と雌型のスクリューロータ35、37を備えている。
【0025】
大径の増速ギヤ27は入力軸15の右端部に一体形成されており、小径の増速ギヤ29は、大径のタイミングギヤ31と共に、雌型スクリューロータ37のロータ軸39にキー41で連結され、ナット43で脱落が防止されている。又、小径のタイミングギヤ33は、テーパリング固定機構45を介して雄型スクリューロータ35(中空ロータ)のロータ軸47に連結されている。
【0026】
このテーパリング固定機構45は、各スクリューロータ35、37が互いに接触しない状態で、タイミングギヤ33をタイミングギヤ31に噛み合わせた後、ナット49を締め付けてロックし、各スクリューロータ35、37の回転方向の位置決めを行う。
【0027】
各スクリューロータ35、37のロータ軸47、39は、左端部をボールベアリング51によって、右端部をカラー53とローラベアリング55とによって、それぞれケーシング13に支承されている。又、ロータ軸39、47の左端部に装着されたカラー57とケーシング13との間にはシール59が配置され、右端部のカラー53とケーシング13との間にはシール61が配置され、それぞれエア洩れを防止している。
【0028】
プーリ3から入力したエンジンの駆動力は、増速ギヤ組5で増速され、タイミングギヤ組7を介してスクリューロータ35、37を回転駆動する。駆動されたコンプレッサ9は吸入口63から吸入した吸気をスクリューロータ35、37間で軸方向左方に圧送し、吐出口65から吐き出して、エンジンに供給する。
【0029】
スクリューロータ35は、ロータ本体67の軸孔69にロータ軸47を固定して構成されており、スクリューロータ37も同様にロータ本体71の軸孔にロータ軸39を固定して構成されている。
【0030】
図3、4に示したように、雄型スクリューロータ35のロータ本体67はスクリュー状の3本の歯すじ部73を備えている。又、雌型スクリューロータ37のロータ本体71はスクリュー状の4本の歯すじ部を備えている。これらのロータ本体67、71はアルミニューム合金製の鋳物である。
【0031】
雄型スクリューロータ35の各歯すじ部73には中空部75が形成されている。図1、2のように中空部75の左側には壁部77が設けられ、右側には開口79が設けられている。各開口79には、図3、4に示したように、直線部81と、リブ83と、バランサー部85とが形成されている。このような中空部75や開口79などは内周側に直線部を有する中子を用いて鋳造時に形成されている。
【0032】
左側の壁部77は中空部75を閉塞し、コンプレッサ9の吐出側と吸入側間の圧洩れを防止している。又、リブ83は開口79を補強し、遠心力による歯すじ部73の膨らみと、この膨らみによるスクリューロータ35、37同志の接触やスクリューロータ35とケーシング13との接触を防止する。更に、バランサー部85は回転時に左側の壁部77とのバランスを取り、振動を防止している。
【0033】
直線部81は各歯すじ部73の内周側に形成されており、切削加工機のチャック用に設けられたものである。図3のように、各歯すじ部73は互いに120°の角度で等間隔に配置されており、各中空部75はロータ本体67上で回転バランスの取れた位置にある。従って、図4の矢印87のように、ロータ本体67を回転させると、120°の角度で配置された板状の3個のチャック工具89によって、各歯すじ部73の直線部81をそれぞれ均一な当たりでチャックすることができる。
【0034】
ロータ本体67の軸孔69と歯すじ部73の加工は、このように直線部81をチャックした状態で行われる。従って、歯すじ部73(歯形及び中空部75)と軸孔69との芯合わせが精密に行われるから、ロータ軸47を軸孔69に固定するだけで基本的にスクリューロータ35の回転バランスが整う。
【0035】
こうして、スーパーチャージャ1が構成されている。
【0036】
スーパーチャージャ1は、スクリューロータ35のアンバランスがないことにより、振動が低減され、各ベアリング51、55の耐久性が大きく向上し、スクリューロータ35、37同志の接触及びスクリューロータ35とケーシング13との接触が防止され、機能と性能とが正常に保たれる。
【0037】
又、中空構造のスクリューロータ35は軽量で慣性モーメントが極めて小さく、上記のように回転バランスがよいから、スーパーチャージャ1を搭載した車両は、エンジンの燃費と加速時のレスポンスなどが向上すると共に、急激な加減速の際(スーパーチャージャ1の起動時と停止時)のスクリューロータ35、37の接触が防止される。又、エンジンとスーパーチャージャ1とを断続する電磁クラッチを小型にできる。
【0038】
上記のように、スクリューロータ35は切削加工時に直線部81をチャックすることにより、基本的に回転バランスが整っているから、バランスの修正は不要であるか、あるいは、必要であっても極めて僅かな修正量と修正コストですむ。
【0039】
これに加えて、スクリューロータ35のように、中子で中空部75を形成する鋳造の中空ロータでは、中子の位置とロータ軸47との芯ずれが回転バランスに大きく影響するが、本発明によれば、これらの芯ずれが防止されることにより、バランス修正コストが大幅に低減される。
【0040】
更に、鋳造加工によれば形状の複雑な中空のスクリューロータ35でも加工が容易であり、他の加工方法に較べて安価に製造できる。
【0041】
チャック用の直線部81は中子の直線部によって中空部75の軸方向全体に形成されるから、必要に応じてロータ本体67の端部を切断しても、直線部81とロータ軸47との芯が狂うことはない。
【0042】
又、一般に、繭型断面のロータを用いるルーツ式の流体機械より高速回転で用いられ、アンバランスによる振動などが大きく出やすいスクリュー式コンプレッサ9でも、本発明によれば、回転バランスのよいスクリューロータ35が得られて有利である。
【0043】
こうして、中空構造にしながら、芯ずれのないスクリューロータ35が得られる。
【0044】
なお、本発明において、中空ロータは、鋳造加工の他に引き抜きや押し出しのような塑性加工で製造してもよい。
【0045】
又、本発明の流体機械は、繭型断面の中空ロータを用いるルーツ式の流体機械でもよい。
【0046】
【発明の効果】
請求項1の流体機械は、ロータ本体に軸孔加工や歯型成形などを行うに当たって、中空部の開口に形成した直線部をチャックするから、ロータ本体とロータ軸との芯合わせを精密に行うことができ、回転バランスのよい中空ロータが得られる。
【0047】
このように、ロータを中空構造にし軽量化し慣性モーメントを小さくしながら、ロータ本体とロータ軸との芯ずれのない中空ロータが得られる。従って、ロータのバランス修正は不要であるか、あるいは、必要であっても極めて僅かな修正量と修正コストで行える。
【0048】
請求項2の流体機械は、請求項1の流体機械において中空のスクリューロータを用いたものであり、請求項1の流体機械と同様な効果を得ると共に、一般に高速回転で用いられ、回転バランスの崩れによる悪影響が出易いスクリュー式の流体機械において、基本的に回転バランスのよい中空ロータが得られる本発明の効果は大きい。
【0049】
請求項3の流体機械は、請求項1又は2の流体機械において、中空ロータを鋳造加工すると共に、中空部と開口と直線部とを中子で成形したものであり、請求項1又は2の流体機械と同様な効果を得ると共に、鋳造加工によれば形状の複雑な中空ロータでも加工が容易であり、他の加工方法に較べて中空ロータを低コストで製造できる。又、中子(中空部)の位置とロータ軸との芯ずれが回転バランスを大きく悪化させる鋳造の中空ロータにおいて、芯ずれを防止し回転バランスの整った中空ロータが得られる本発明の効果は特に大きいと共に、バランス修正コストを大幅に低減することができる。
【0050】
又、チャック用の直線部は中子の直線部によって中空部の軸方向全体に形成されるから、必要に応じてロータ本体の端部を切断しても、直線部とロータ軸との芯が狂うことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図3のA−A断面図であり、雄型スクリューロータ35を示す。
【図3】図2のB矢視図であり、雄型スクリューロータ35の端部を示す。
【図4】端部をチャックした雄型スクリューロータ35を示す斜視図である。
【図5】従来例のスクリューロータを示す側面図である。
【図6】他の従来例のスクリュー式コンプレッサを示す断面図である。
【符号の説明】
9 スクリュー式コンプレッサ(流体機械)
35 雄型スクリューロータ(中空ロータ)
47 ロータ軸
67 ロータ本体
69 軸孔
73 歯すじ部
75 中空部
79 開口
81 直線部
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、車両のスーパーチャージャに用いられる流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
公開実用 昭和63−198401号公報に図5のようなロータ201が記載され、特開平4−311694号広報に図6のようなスクリュー式コンプレッサ203が記載されている。
【0003】
図5のロータ201はスクリュー式コンプレッサ用の雄型スクリューロータであり、ロータ本体205にロータ軸207を固定して構成されている。又、図6のスクリュー式コンプレッサ203は、互いに噛み合った雄型と雌型のスクリューロータ209、211を備えており、各ロータ209、211はそれぞれロータ本体213、215にロータ軸217、219を固定して構成されている。
【0004】
従来用いられていたスクリュー式コンプレッサの雄型スクリューロータは歯厚が厚いから、中実であると慣性モーメントが大きい。ロータの慣性モーメントが大きいスクリュー式コンプレッサをスーパーチャージャに用いると、エンジンの駆動エネルギー損失が大きく、加速時のレスポンスが悪くなると共に、エンジンとの断続をするクラッチを大型にする必要がある。
【0005】
そこで、各ロータ201、209はそれぞれロータ本体205、213の歯すじ221、223に中空部225、227を設けて軽量化し、慣性モーメントを小さくしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
歯すじ部に中空部を持たない中実構造のロータにおいて、ロータ本体が鋳造加工される場合、ロータ軸はロータ本体の鋳造時に鋳ぐるみで固定する。又、ロータ本体を切削加工する場合は、完成品のロータより大径の丸棒に軸孔を設け、この軸孔にロータ軸を固定した後、丸棒の外周にロータの歯すじを加工する。これらの中実ロータは、いずれもロータ本体の回転中心とロータ軸との芯ずれが少ない。
【0007】
一方、ロータ201、209のような中空ロータの場合は、ロータ本体に軸孔を加工し、この軸孔にロータ軸を固定する。
【0008】
軸孔を加工するに当たっては、ロータ本体にチャックするための適当な箇所が必要であるが、中空ロータでは各歯すじの中空部、又はロータ本体の外周をチャックする他にチャックできる箇所がない。しかし、ロータ201の中空部225にはチャックすべき箇所がなく、ロータ209の場合、中空部227の内周部229は曲面状であってチャックするための正確な面が用意されている訳ではなく、このような曲面状の内周部229をチャックして軸孔を加工すると、ロータ本体とロータ軸との芯ずれが生じやすい。
【0009】
又、中空ロータの外周をチャックすると、中空の歯すじがチャック時のクランプ力によって変形し、この変形による軸孔の芯ずれが生じる。更に、チャック時の中空ロータが歯すじの成形加工前であれば、変形による芯ずれの他に、この歯すじの成形加工による軸孔の芯ずれが付加されて、大きな芯ずれが生じる。
【0010】
又、ロータ本体を鋳造加工し、中空部を中子で形成する場合、この中子と軸孔との芯ずれは、回転バランスを大きく崩し、従って、バランス修正に大きなコストが掛かる。
【0011】
そこで、この発明は、ロータ本体を中空構造にし慣性モーメントを小さくしながら、ロータ本体とロータ軸との芯合わせを精密に行える流体機械の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の流体機械は、開口を有する中空部が歯すじ部に設けられたロータ本体の軸孔にロータ軸を固定してなる中空ロータを備え、前記開口の内周側に機械加工時にチャックするための直線部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
このように、請求項1の流体機械は、中空部の開口内周側にチャック用の直線部を形成したから、これらの直線部をチャックしてロータ軸用の孔を加工すれば、ロータ本体とロータ軸との芯合わせを精密に行える。又、歯すじ部(歯型)の成形加工は、軸孔の加工と同時に行うか、あるいは、こうして加工された軸孔にロータ軸を固定したあと、このロータ軸を基準にして行えば、芯ずれのない、回転バランスの整った中空ロータが得られる。
【0014】
こうして、ロータを中空構造にし、軽量化し慣性モーメントを小さくしながら、ロータ本体とロータ軸との芯ずれのない、回転バランスのよい中空ロータが得られる。従って、ロータのバランス修正は不要であるか、あるいは、必要であっても極めて僅かな修正量と修正コストですむ。
【0015】
請求項2の流体機械は、請求項1の流体機械において、中空ロータをスクリュー状の歯すじ部を有するスクリューロータにしたものであり、請求項1の流体機械と同様に、ロータ本体とロータ軸との芯ずれがなく、回転バランスのよい中空ロータが得られる。
【0016】
これに加えて、一般に、繭型断面のロータを用いるルーツ式の流体機械より高速回転で用いられ、回転バランスの崩れによる振動などの悪影響が大きく出易いスクリュー式の流体機械において、回転バランスの整った中空ロータが得られる本発明の効果は大きい。
【0017】
請求項3の流体機械は、請求項1又は2の流体機械において、中空ロータを鋳造加工し、内周側に直線部を有する中子を使って中空部と開口と直線部とを形成したものである。回転方向等間隔に設けられた歯すじ部に配置される中子(中空部)はロータ本体上で回転バランスの取れた位置にあり、これらの中空部に形成された直線部を加工時のチャック箇所にするから請求項1又は2の流体機械と同様に、ロータ本体とロータ軸との芯ずれのない、回転バランスのよい中空ロータが得られる。
【0018】
これに加えて、鋳造加工によれば形状の複雑な中空ロータでも加工が容易であり、他の加工方法に較べて中空ロータを低コストで製造できる。又、中子(中空部)の位置とロータ軸との芯ずれが回転バランスを大きく悪化させる鋳造の中空ロータにおいて、回転バランスのよい中空ロータが得られ、バランス修正コストが大幅に低減する本発明の効果は特に大きい。
【0019】
又、チャック用の直線部は中子の直線部によって中空部の軸方向全体に形成されるから、必要に応じてロータ本体の端部を切断しても、直線部とロータ軸との芯が狂うことはない。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1乃至4により、本発明の一実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、2、3の特徴を備えており、図1はこの実施形態を用いたスーパーチャージャ1を示している。左右の方向は図1、2での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0021】
図1のように、スーパーチャージャ1は、入力プーリ3、増速ギヤ組5、タイミングギヤ組7、スクリュー式コンプレッサ9(実施形態の流体機械)などから構成されている。
【0022】
入力プーリ3はベアリング11によりコンプレッサケーシング13に支承されていると共に、入力軸15にスプライン連結され、ボルト17とワッシャ19とで固定されている。入力プーリ3はベルトを介してクランクシャフト側のプーリに連結されている。このクランクシャフト側プーリには電磁クラッチが配置されており、エンジンとスーパーチャージャ1との断続を行う。入力プーリ3はエンジンの駆動力によりこの電磁クラッチを介して回転駆動される。
【0023】
入力軸15はボールベアリング21によりケーシング13の内部に支承されており、入力軸15に装着されたカラー23とケーシング13との間にはシール25が配置され、オイル洩れを防止している。
【0024】
増速ギヤ組5は互いに噛み合った大径と小径の増速ギヤ27、29から構成され、タイミングギヤ組7は互いに噛み合った大径と小径のタイミングギヤ31、33から構成されている。又、エアコンプレッサ9は雄型と雌型のスクリューロータ35、37を備えている。
【0025】
大径の増速ギヤ27は入力軸15の右端部に一体形成されており、小径の増速ギヤ29は、大径のタイミングギヤ31と共に、雌型スクリューロータ37のロータ軸39にキー41で連結され、ナット43で脱落が防止されている。又、小径のタイミングギヤ33は、テーパリング固定機構45を介して雄型スクリューロータ35(中空ロータ)のロータ軸47に連結されている。
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このテーパリング固定機構45は、各スクリューロータ35、37が互いに接触しない状態で、タイミングギヤ33をタイミングギヤ31に噛み合わせた後、ナット49を締め付けてロックし、各スクリューロータ35、37の回転方向の位置決めを行う。
【0027】
各スクリューロータ35、37のロータ軸47、39は、左端部をボールベアリング51によって、右端部をカラー53とローラベアリング55とによって、それぞれケーシング13に支承されている。又、ロータ軸39、47の左端部に装着されたカラー57とケーシング13との間にはシール59が配置され、右端部のカラー53とケーシング13との間にはシール61が配置され、それぞれエア洩れを防止している。
【0028】
プーリ3から入力したエンジンの駆動力は、増速ギヤ組5で増速され、タイミングギヤ組7を介してスクリューロータ35、37を回転駆動する。駆動されたコンプレッサ9は吸入口63から吸入した吸気をスクリューロータ35、37間で軸方向左方に圧送し、吐出口65から吐き出して、エンジンに供給する。
【0029】
スクリューロータ35は、ロータ本体67の軸孔69にロータ軸47を固定して構成されており、スクリューロータ37も同様にロータ本体71の軸孔にロータ軸39を固定して構成されている。
【0030】
図3、4に示したように、雄型スクリューロータ35のロータ本体67はスクリュー状の3本の歯すじ部73を備えている。又、雌型スクリューロータ37のロータ本体71はスクリュー状の4本の歯すじ部を備えている。これらのロータ本体67、71はアルミニューム合金製の鋳物である。
【0031】
雄型スクリューロータ35の各歯すじ部73には中空部75が形成されている。図1、2のように中空部75の左側には壁部77が設けられ、右側には開口79が設けられている。各開口79には、図3、4に示したように、直線部81と、リブ83と、バランサー部85とが形成されている。このような中空部75や開口79などは内周側に直線部を有する中子を用いて鋳造時に形成されている。
【0032】
左側の壁部77は中空部75を閉塞し、コンプレッサ9の吐出側と吸入側間の圧洩れを防止している。又、リブ83は開口79を補強し、遠心力による歯すじ部73の膨らみと、この膨らみによるスクリューロータ35、37同志の接触やスクリューロータ35とケーシング13との接触を防止する。更に、バランサー部85は回転時に左側の壁部77とのバランスを取り、振動を防止している。
【0033】
直線部81は各歯すじ部73の内周側に形成されており、切削加工機のチャック用に設けられたものである。図3のように、各歯すじ部73は互いに120°の角度で等間隔に配置されており、各中空部75はロータ本体67上で回転バランスの取れた位置にある。従って、図4の矢印87のように、ロータ本体67を回転させると、120°の角度で配置された板状の3個のチャック工具89によって、各歯すじ部73の直線部81をそれぞれ均一な当たりでチャックすることができる。
【0034】
ロータ本体67の軸孔69と歯すじ部73の加工は、このように直線部81をチャックした状態で行われる。従って、歯すじ部73(歯形及び中空部75)と軸孔69との芯合わせが精密に行われるから、ロータ軸47を軸孔69に固定するだけで基本的にスクリューロータ35の回転バランスが整う。
【0035】
こうして、スーパーチャージャ1が構成されている。
【0036】
スーパーチャージャ1は、スクリューロータ35のアンバランスがないことにより、振動が低減され、各ベアリング51、55の耐久性が大きく向上し、スクリューロータ35、37同志の接触及びスクリューロータ35とケーシング13との接触が防止され、機能と性能とが正常に保たれる。
【0037】
又、中空構造のスクリューロータ35は軽量で慣性モーメントが極めて小さく、上記のように回転バランスがよいから、スーパーチャージャ1を搭載した車両は、エンジンの燃費と加速時のレスポンスなどが向上すると共に、急激な加減速の際(スーパーチャージャ1の起動時と停止時)のスクリューロータ35、37の接触が防止される。又、エンジンとスーパーチャージャ1とを断続する電磁クラッチを小型にできる。
【0038】
上記のように、スクリューロータ35は切削加工時に直線部81をチャックすることにより、基本的に回転バランスが整っているから、バランスの修正は不要であるか、あるいは、必要であっても極めて僅かな修正量と修正コストですむ。
【0039】
これに加えて、スクリューロータ35のように、中子で中空部75を形成する鋳造の中空ロータでは、中子の位置とロータ軸47との芯ずれが回転バランスに大きく影響するが、本発明によれば、これらの芯ずれが防止されることにより、バランス修正コストが大幅に低減される。
【0040】
更に、鋳造加工によれば形状の複雑な中空のスクリューロータ35でも加工が容易であり、他の加工方法に較べて安価に製造できる。
【0041】
チャック用の直線部81は中子の直線部によって中空部75の軸方向全体に形成されるから、必要に応じてロータ本体67の端部を切断しても、直線部81とロータ軸47との芯が狂うことはない。
【0042】
又、一般に、繭型断面のロータを用いるルーツ式の流体機械より高速回転で用いられ、アンバランスによる振動などが大きく出やすいスクリュー式コンプレッサ9でも、本発明によれば、回転バランスのよいスクリューロータ35が得られて有利である。
【0043】
こうして、中空構造にしながら、芯ずれのないスクリューロータ35が得られる。
【0044】
なお、本発明において、中空ロータは、鋳造加工の他に引き抜きや押し出しのような塑性加工で製造してもよい。
【0045】
又、本発明の流体機械は、繭型断面の中空ロータを用いるルーツ式の流体機械でもよい。
【0046】
【発明の効果】
請求項1の流体機械は、ロータ本体に軸孔加工や歯型成形などを行うに当たって、中空部の開口に形成した直線部をチャックするから、ロータ本体とロータ軸との芯合わせを精密に行うことができ、回転バランスのよい中空ロータが得られる。
【0047】
このように、ロータを中空構造にし軽量化し慣性モーメントを小さくしながら、ロータ本体とロータ軸との芯ずれのない中空ロータが得られる。従って、ロータのバランス修正は不要であるか、あるいは、必要であっても極めて僅かな修正量と修正コストで行える。
【0048】
請求項2の流体機械は、請求項1の流体機械において中空のスクリューロータを用いたものであり、請求項1の流体機械と同様な効果を得ると共に、一般に高速回転で用いられ、回転バランスの崩れによる悪影響が出易いスクリュー式の流体機械において、基本的に回転バランスのよい中空ロータが得られる本発明の効果は大きい。
【0049】
請求項3の流体機械は、請求項1又は2の流体機械において、中空ロータを鋳造加工すると共に、中空部と開口と直線部とを中子で成形したものであり、請求項1又は2の流体機械と同様な効果を得ると共に、鋳造加工によれば形状の複雑な中空ロータでも加工が容易であり、他の加工方法に較べて中空ロータを低コストで製造できる。又、中子(中空部)の位置とロータ軸との芯ずれが回転バランスを大きく悪化させる鋳造の中空ロータにおいて、芯ずれを防止し回転バランスの整った中空ロータが得られる本発明の効果は特に大きいと共に、バランス修正コストを大幅に低減することができる。
【0050】
又、チャック用の直線部は中子の直線部によって中空部の軸方向全体に形成されるから、必要に応じてロータ本体の端部を切断しても、直線部とロータ軸との芯が狂うことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図3のA−A断面図であり、雄型スクリューロータ35を示す。
【図3】図2のB矢視図であり、雄型スクリューロータ35の端部を示す。
【図4】端部をチャックした雄型スクリューロータ35を示す斜視図である。
【図5】従来例のスクリューロータを示す側面図である。
【図6】他の従来例のスクリュー式コンプレッサを示す断面図である。
【符号の説明】
9 スクリュー式コンプレッサ(流体機械)
35 雄型スクリューロータ(中空ロータ)
47 ロータ軸
67 ロータ本体
69 軸孔
73 歯すじ部
75 中空部
79 開口
81 直線部
Claims (3)
- 開口を有する中空部が歯すじ部に設けられたロータ本体の軸孔にロータ軸を固定してなる中空ロータを備え、前記開口の内周側に機械加工時にチャックするための直線部が形成されていることを特徴とする流体機械。
- 中空ロータが、スクリュー状の歯すじ部を有するスクリューロータである請求項1の流体機械。
- 中空ロータが鋳造加工され、内周側に直線部を有する中子によって中空部と開口と直線部とが形成された請求項1又は2の流体機械。
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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1995
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