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JP3569129B2 - 流量検出装置 - Google Patents
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JP3569129B2 - 流量検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用エンジン等の吸入空気量を検出するのに用いて好適な流量検出装置に関し、特にエッチング処理等の半導体製造技術によって基板上に形成される流量検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用エンジン等では、エンジン本体の燃料室内に噴射すべき燃料の量を演算するために、エンジンの吸気管内に設けた流量検出装置によって吸入空気の流量または流速(以下、流量という)を検出し、この検出結果に基づいてエンジンの吸入空気量を算出するようにしている。
【0003】
そして、この種の従来技術による流量検出装置は、基板と、該基板上に設けられた絶縁膜と、該絶縁膜上に設けられた感温抵抗体とから構成され、例えば特開昭62−44627号公報等に記載されている。
【0004】
この場合、従来技術では、シリコン材料等により形成された基板上に、例えば白金等の感温抵抗材料からなる感温抵抗体がエッチング処理により配線パターンとして形成されている。そして、該感温抵抗体は、その抵抗値を検出するために外部に付設された検出回路に接続されている。
【0005】
また、基板はエンジンの吸気管内に露出した状態で取付けられているから、この状態で基板上の感温抵抗体はエンジン本体側に向けて吸気管内を流れる吸入空気に接触する。そして、エンジンの運転中には、外部の検出回路から感温抵抗体に電流を供給して該感温抵抗体を発熱させ、該感温抵抗体は基板に沿って流れる流体の流量に応じて冷却される。
【0006】
これにより、感温抵抗体の抵抗値は吸入空気の流量に応じて変化するから、前記検出回路では、この抵抗値の変化を電圧信号として検出することにより、この検出結果に基づいてエンジンの吸入空気量を算出するものである。
【0007】
また、一般に、シリコン基板の表面には、酸化シリコン、窒化シリコン等によって絶縁膜が形成され、感温抵抗体の表面には、同じく酸化シリコン、窒化シリコン等によって保護膜が形成されている。そして、感温抵抗体は絶縁膜と保護膜によって挟持された状態で基板上に固定されている。
【0008】
さらに、絶縁膜と感温抵抗体、感温抵抗体と保護膜との接合強度を高めるために、絶縁膜と感温抵抗体との間、感温抵抗体と保護膜との間には、金属酸化物からなる密着層がそれぞれ設けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術による流量検出装置では、エッチング処理、CVD法、RIE法等を用いて基板表面上に、絶縁膜、感温抵抗体、保護膜の順に形成した後で、感温抵抗体の材料となる白金等の温度係数を調整するため、不活性ガス(例えば、アルゴン)、窒素ガス等の雰囲気中で800〜1000℃程度で熱処理を行っていた。
【0010】
しかし、この熱処理工程中に、感温抵抗体の上,下に形成された密着層が、感温抵抗体中に溶け込み、該感温抵抗体の組成が変化してしまうことがある。このため、この感温抵抗体を用いて流量を検出するときには、温度係数の変化から、検出信号がばらついてしまう。
【0011】
さらに、感温抵抗体の温度係数が製品毎に変化してしまい、歩留を悪化させ、生産性を悪化させると共に信頼性を低下させてしまうという問題がある。
【0012】
また、保護膜は白金等により感温抵抗体を基板上に形成した後、CVD法等により形成され、これら基板、感温抵抗体、保護膜等の温度は、400〜800℃程度に暖められている。そして、この高温度時では白金による感温抵抗体と形成された保護膜との間には応力が発生していない。しかし、基板、感温抵抗体、保護膜等を室温に戻すと、白金と保護膜とではその熱膨張率の差により、異なった収縮を起こす。このため、室温では、感温抵抗体と保護膜との間には応力が発生し、保護膜にひび割れ(以下、クラックという)が生じることがある。
【0013】
また、このクラックは、前述した熱処理工程によっても発生することがある。即ち、この熱処理工程では、基板、感温抵抗体、保護膜等は保護膜を形成するときの成形温度よりも高い温度に暖められ、この高温度時でも感温抵抗体と保護膜との間は応力が発生しないように緩和される。ところが、基板、感温抵抗体、保護膜等をこの高温状態から室温に戻したときには、感温抵抗体と保護膜との熱膨張率の差により、保護膜にクラックが発生してしまう。
【0014】
このように、発生したクラックは、感温抵抗体側への水分等の浸入、機械的損傷、異物の侵入を発生させ、保護膜が有する感温抵抗体の保護機能を低下させてしまうという問題がある。
【0015】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明は感温抵抗体に絶縁膜等を接合するための密着層を廃止することにより、熱処理工程時に感温抵抗体の組成変化をなくすと共に、保護膜のひび割れを防止し、歩留を向上できるようにした流量検出装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明では、基板と、該基板上に設けられた絶縁膜と、該絶縁膜上に設けられた感温抵抗体と、該感温抵抗体の表面を覆って設けられた保護膜とを備えてなる流量検出装置において、前記感温抵抗体は、配線領域と該配線領域に接続され流量を検出するための検出領域とによって構成し、前記感温抵抗体の配線領域には複数個の導通孔を設け、前記保護膜は該各導通孔を通過して前記基板側の絶縁膜と接続する構成としたことを特徴としている。
【0017】
このように構成することにより、保護膜は感温抵抗体に設けられた各導通孔を通過して絶縁膜まで導かれ、感温抵抗体を挟んで絶縁膜と保護膜とを密着性を高めた状態で接続でき、感温抵抗体を基板に固定することができる。
【0018】
しかも、保護膜と絶縁膜とは各導通孔を通して部分的に固定されているから、保護膜と感温抵抗体との熱膨張率の違いによる応力を緩和して保護膜にクラックの発生をなくすことができる。
また、各導通孔を、感温抵抗体のうち電気抵抗に影響しない配線領域に形成したから、保護膜は該各導通孔を通して絶縁膜まで導かれる。これにより、絶縁膜と保護膜との間で配線領域を挟持し、感温抵抗体を基板に固定することができる。
一方、基板に沿って流体が流れるとき、検出領域はこの流体によって冷やされて抵抗値が変化する。このため、検出領域はこの抵抗値の変化を検出信号として配線領域を用いて外部に出力するから、この検出信号によって流体の流量(流速)を検出することができる。しかも、検出領域には導通孔を形成していないから、検出領域を流れる流体の流れが乱れるのを低減し、検出精度を高めることができる。
【0019】
請求項2の発明では、感温抵抗体の配線領域は、基板上に設けられた正側配線領域と、該正側配線領域と隙間をもって前記基板に対向して配設された負側配線領域とからなり、感温抵抗体の検出領域はこれら正側配線領域と負側配線領域との長さ方向一端側に設け、前記各導通孔は前記正側配線領域と負側配線領域とにそれぞれ設けたことにある。
【0020】
このように構成することにより、各導通孔を、感温抵抗体のうち電気抵抗に影響しない正側配線領域と負側配線領域とに形成し、保護膜は該各導通孔を通して絶縁膜まで導かれ、正側配線領域と負側配線領域は絶縁膜と保護膜との間で挟持し、該感温抵抗体を基板に固定することができる。
【0021】
また、基板に沿って流体が流れるとき、検出領域はこの流体によって冷やされて抵抗値が変化し、この抵抗値の変化を検出信号として、各配線領域を用いて外部に出力し、この検出信号によって流体の流量(流速)を検出することができる。しかも、検出領域には導通孔を形成していないから、検出領域を流れる流体の流れが乱れるのを低減し、検出精度を高めることができる。
【0022】
請求項3の発明では、正側配線領域と負側配線領域を、検出領域と基板との接触面積よりも広い接触面積をもって形成したことにある。
【0023】
このように構成することにより、感温抵抗体のうち基板に対して広い接触面積を有する正側配線領域と負側配線領域とは、検出領域に比べて電気抵抗が小さくなっているから、配線領域に導通孔を形成しても電気抵抗に影響なく、各配線領域を通して検出領域と外部とを電気的に接続することができる。しかも、接触面積の広い各配線領域は、従来技術では感温抵抗体との密着性が低く、保護膜にクラックが発生し易い部分となる。そこで、この各配線領域に複数個の導通孔を形成し、該各導通孔を通して保護膜を絶縁膜まで導くことにより、正側配線領域と負側配線領域は絶縁膜と保護膜との間で挟持し、感温抵抗体を基板に固定することができる。
【0024】
請求項4の発明では、各導通孔を、正側配線領域と負側配線領域の長さ方向に2個以上、幅方向に2列以上配置して設ける構成としたことにある。
【0025】
このような構成とすることにより、基板から正側配線領域と負側配線領域とが剥離し易い部分を強化して接続することができ、基板に対する感温抵抗体の接合強度を高めることができる。
【0026】
請求項5の発明では、感温抵抗体は、基板上に設けられた第1の感温抵抗体、ヒータ抵抗体、第2の感温抵抗体からなり、ヒータ抵抗体を挟んで幅方向一側に第1の感温抵抗体、幅方向他側に第2の感温抵抗体を並列に配設する構成としたことにある。
【0027】
このように構成することにより、保護膜は各配線領域に設けられた各導通孔を通過して絶縁膜まで導かれ、各配線領域を挟んで絶縁膜と保護膜とを密着性を高めた状態で接続でき、基板に各抵抗体を固定することができる。
【0028】
また、ヒータ抵抗体を挟んで第1の感温抵抗体と第2の感温抵抗体を幅方向に並列に配設することにより、基板に沿って流体が幅方向一側から流れたとき、第1の感温抵抗体が冷やされ、第2の感温抵抗体はヒータ抵抗体の熱を受けて暖められる。そして、第1,第2の感温抵抗体の抵抗値の変化から、流体の流れ方向と流量(流速)を検出することができる。
【0029】
請求項6の発明では、絶縁膜と保護膜を窒化シリコン、酸化シリコンまたは窒化シリコンと酸化シリコンとの多層膜により形成し、感温抵抗体を白金膜により形成したことにある。
【0030】
このように構成することにより、例えば絶縁膜と保護膜とを同じ窒化シリコンによって形成した場合には、保護膜は感温抵抗体に設けられた各導通孔を通過して絶縁膜まで導かれ、感温抵抗体を挟んで絶縁膜と保護膜とを密着性を高めた状態で接続することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る流量検出装置の実施の形態を、図1ないし図11を参照しつつ詳細に説明する。
【0032】
まず、図1ないし図9に基づいて、本発明による第1の実施の形態を述べる。1は被測流体が流れる流路となる筒体で、該筒体1はエンジンの吸気管(図示せず)の途中に接続されている。そして、エンジンの運転時には、前記吸気管を通して外部からエンジン本体の燃焼室内に吸入される吸入空気が筒体1内を矢示A方向に流通する。
【0033】
2は筒体1の外側面に設けられた回路ケーシングで、該回路ケーシング2内には後述する流量検出装置4から出力される検出信号から筒体1内を流れる吸入空気の流量を検出するための検出回路(図示せず)等が収容されている。
【0034】
3は流量検出装置4を支持するため筒体1に設けられた支持体で、該支持体3は基端側が回路ケーシング2に取付けられ、先端側が筒体1内に突出すると共に、この先端側には後述の基板5が取付けられている。また、支持体3には、基板5側と回路ケーシング2内の前記検出回路とを接続するための配線部(図示せず)等が設けられている。
【0035】
4は流量検出装置、5は該流量検出装置4の基台をなす基板で、該基板5は、シリコン板により例えば10×2.5×0.5〔mm〕の板状に形成されている。また、該基板5の表面には後述する絶縁膜6が形成されている。
【0036】
6は基板5の表面に形成された絶縁膜で、該絶縁膜6はシリコン板からなる基板5の表面に熱酸化法、CVD法等の手段により、酸化シリコン(SiO )、窒化シリコン(Si )によって1〔μm〕程度の膜厚をもって形成されている。
【0037】
7は基板5の裏面側からエッチング処理等を施すことにより形成された凹窪部で、該凹窪部7は裏面側から絶縁膜6の位置まで達し、該凹窪部6の底部に対応した基板5の表面側には、後述するヒータ抵抗体8のヒータ領域12、上流側抵抗体14の検出領域18、下流側抵抗体20の検出領域24がそれぞれ配設され、この部分の大きさは、例えば1〜2×0.5〔mm〕程度となっている。
【0038】
8は基板5の幅方向中間部に配置して設けられたヒータ抵抗体で、該ヒータ抵抗体8は、白金等の感温抵抗材料によって0.5〔μm〕程度の膜厚をもって形成されている。また、ヒータ抵抗体8は、図4に示すように、基板5上に設けられた台形状の正側配線領域9と、該正側配線領域9と隙間10をもって前記基板5に対向して配設された台形状の負側配線領域11と、これら正側配線領域9と負側配線領域11との長さ方向一端側に設けられた検出領域としてのヒータ領域12と、前記正側配線領域9,負側配線領域11の長さ方向他端側に設けられた端子領域13,13とによって構成されている。また、正側配線領域9と負側配線領域11は、検出領域12と基板5との接触面積よりも広い接触面積をもって形成されている。
【0039】
そして、各端子領域13は、図2、図3に示すように、後述する保護膜27を正方形状に開口することにより形成された電極パッドとして形成されている。そして、各端子領域13には、ボンディングワイヤが接続され、該ボンディングワイヤを用いて外部の検出回路(いずれも図示せず)に接続されている。
【0040】
14は基板5の幅方向一側に配置して設けられた第1の感温抵抗体としての上流側抵抗体で、該上流側抵抗体14は、ヒータ抵抗体8と同じ白金材料によって形成され、該上流側抵抗体14は、略台形状の正側配線領域15と、該正側配線領域15と隙間16をもって前記基板5に対向して配設された略台形状の負側配線領域17と、配線領域15,17の長さ方向一端側に設けられた略U字状の検出領域18と、前記配線領域15,17の長さ方向他端側に設けられた端子領域19,19とによって構成されている。そして、配線領域15,17は、検出領域18と基板5との接触面積よりも広い接触面積をもって形成されている。
【0041】
20は基板5の幅方向他側に配置して設けられた第2の感温抵抗体としての下流側抵抗体で、該下流側抵抗体20は、ヒータ抵抗体8、上流側抵抗体14と同じ白金材料によって形成され、該下流側抵抗体20は、略台形状の正側配線領域21と、該正側配線領域21と隙間22をもって前記基板5に対向して配設された略台形状の負側配線領域23と、配線領域21,23の長さ方向一端側に設けられた略U字状の検出領域24と、前記配線領域21,23の長さ方向他端側に設けられた端子領域25,25とによって構成されている。そして、配線領域21,23は、検出領域24と基板5との接触面積よりも広い接触面積をもって形成されている。
【0042】
また、ヒータ抵抗体8のうち基板5に対して広い接触面積を有する正側配線領域9と負側配線領域11は、ヒータ領域12に比べて電気抵抗は小さくなっているから、該配線領域9,11はヒータ領域12と外部とを接続するための接続部材として構成されている。さらに、上流側抵抗体14の配線領域15,17、下流側抵抗体20の配線領域21,23も、検出領域18,24に比べて電気抵抗が小さくなっているから、これら配線領域15,17,21,23は検出領域18,24と外部とを接続するための接続部材として構成されている。
【0043】
26,26,…は抵抗体8,14,20の厚さ方向に穿設された長方形状、楕円形状等の導通孔で、該各導通孔26は、図4に示すように、ヒータ抵抗体8の配線領域9,11、上流側抵抗体14の配線領域15,17、下流側抵抗体20の配線領域21,23に位置して穿設されている。また、該各導通孔26は、配線領域9,11,15,17,21,23に対してそれぞれ例えば長さ方向に4個、幅方向に3列配置して設けられている。
【0044】
27は抵抗体8,14,20と絶縁膜6の表面を覆うように設けられた保護膜で、該保護膜27は、絶縁膜6と同様にCVD法等により酸化シリコン(SiO )、窒化シリコン(Si )から形成され、該保護膜27は抵抗体8,14,20の保護を図るものである。なお、ヒータ抵抗体8の配線領域9,11、上流側抵抗体14の配線領域15,17、下流側抵抗体20の配線領域21,23の表面に形成された保護膜27には、各導通孔26に対応する部分が凹陥部27A,27A,…となっている。
【0045】
ここで、図6に示すように、各導通孔26によって、保護膜27を形成するとき、該保護膜27は各導通孔26を通過して基板5側の絶縁膜6に導かれ、保護膜27にはこの部分が凹陥部27Aとなる。また、各導通孔26を通して保護膜27を絶縁膜6に接続することにより、抵抗体8,14,20は保護膜27と絶縁膜6との間に密着性を高めて固定されている。
【0046】
本実施の形態による流量検出装置4は、上述の如き構成を有するもので、次に吸入空気の流量検出動作について説明する。
【0047】
ここで、基板5上には、上流側抵抗体14、ヒータ抵抗体8、下流側抵抗体20を並列に配設しているから、図1,図2に示すように、吸入空気が基板5に沿って矢示A方向から流通する場合には、基板5上の上流側に位置した上流側抵抗体14の検出領域18がこの空気によって冷やされ、下流側に位置した下流側抵抗体20の検出領域24はヒータ領域12からの熱を受ける。この結果、上流側抵抗体14と下流側抵抗体20から出力される検出信号に差が発生し、この差を回路ケーシング2内の検出回路に出力し、該検出回路では、吸入空気の流れ方向と流速を算出することができる。しかも、ヒータ領域12、検出領域18,24には導通孔26が形成されていないから、ヒータ領域12、検出領域18,24を流れる空気の流れが乱れるのを低減し、検出領域18,24での検出精度を高めることができる。
【0048】
次に、図7ないし図9を参照しつつ、本実施の形態による流量検出装置4を製造する製造工程について説明する。なお、図7ないし図9は、図6と同様の要部を拡大した断面を示しているから、下流側抵抗体20等は図示されていないが、他の上流側抵抗体14、ヒータ抵抗体8と同時に製造されているものとする。
【0049】
まず、図7に示す絶縁膜形成工程では、予め用意したシリコン材料からなる基板5上に熱酸化法、CVD法等の手段により、酸化シリコン、窒化シリコン等の絶縁膜6を形成する。
【0050】
次に、図8に示す感温抵抗体形成工程では、CVD法、スパッタリング法等を用いて絶縁膜6上にヒータ抵抗体8、上流側抵抗体14、下流側抵抗体20を製造する。このとき、ヒータ抵抗体8の配線領域9,11、上流側抵抗体14の配線領域15,17、下流側抵抗体20の配線領域21,23には、それぞれ複数個の導通孔26が形成される。
【0051】
さらに、図9に示す保護膜形成工程では、前記感温抵抗体形成工程で形成されえた抵抗体8,14,20の表面に、CVD法等によって酸化シリコン、窒化シリコン等の保護膜27を形成する。このとき、保護膜27のうち各導通孔26に対応した部分は、該導通孔26を通して絶縁膜6に接続され、配線領域9,11,15,17,21,23は保護膜27と絶縁膜6との間に密着性を高めた状態で接合される。この後、基板5を不活性ガス(例えば、アルゴン)、窒素ガス等の雰囲気中で800〜1000℃程度で熱処理を施す。
【0052】
かくして、本実施の形態による流量検出装置4では、抵抗体8,14,20の正側配線領域9,15,21と負側配線領域11,17,23に、それぞれ複数個の導通孔26を設け、保護膜27を該各導通孔26を通過させて基板5側の絶縁膜6に接続する構成としたから、従来、抵抗体と絶縁膜、抵抗体と保護膜とを接合するために必要であった金属酸化層からなる密着層を廃止することができる。これにより、熱処理工程時に密着層が感温抵抗体内に溶け込んで、感温抵抗体の組成を変えてしまう等の不具合をなくすことができる。この結果、ヒータ抵抗体8、上流側抵抗体14、下流側抵抗体20は、その温度係数によるばらつきをなくすことができ、流量検出装置4の検出感度を高めることができる。
【0053】
さらに、上述した如く、保護膜27を抵抗体8,14,20の表面に形成するとき、保護膜27を各導通孔26を通過させて絶縁膜6に接続するようにしたから、密着層を廃止しても、抵抗体8,14,20を基板5に対して固定することができる。そして、密着層を廃止することにより、製品毎に感温抵抗体の温度係数がばらつくのを規制し、流量検出装置の歩留りを高め、生産性を向上させることができる。
【0054】
一方、本実施の形態では、抵抗体8,14,20のうち、基板5との接触面積の広い配線領域9,11,15,17,21,23に複数個の導通孔26を形成しているから、該配線領域9,11,15,17,21,23を絶縁膜6と保護膜27との間に固定することにより、ヒータ領域12、検出領域18,24等も基板5に固定することができる。
【0055】
しかも、保護膜27は各導通孔26を通して絶縁膜6に部分的に固定されているから、保護膜27と抵抗体8,14,20との熱膨張率の違いによる応力を緩和することができ、従来、保護膜に発生していたクラックの発生を防止し、保護膜27による各抵抗体8,14,20の保護を確実に行うことができる。これにより、流量検出装置4は、その寿命を延ばし、信頼性を高めることができる。
【0056】
次に、本発明による第2の実施の形態を図10に基づいて説明するに、本実施の形態では、基板上に形成した感温抵抗体を1個とし、正側配線領域と負側配線領域に形成される導通孔は、正側配線領域と負側配線領域のうち外周側に形成したことにある。なお、本実施の形態では前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0057】
31は本実施の形態に用いられる流量検出装置、32は該流量検出装置31の基台をなすシリコン板により形成された基板で、該基板32の表面には絶縁膜33が酸化膜、窒化膜等よって形成されている。また、基板32の裏面側にはエッチング処理等によって凹窪部34が形成されている。
【0058】
35は基板32に設けられた感温抵抗体で、該感温抵抗体35は、白金等の感温抵抗材料によって膜状に形成され、略台形状の正側配線領域36と、該正側配線領域36と隙間37をもって前記基板32に対向して配設された略台形状の負側配線領域38と、配線領域36,38の長さ方向一端側に設けられた略U字状の検出領域39と、前記配線領域36,38の長さ方向他端側に設けられた端子領域40,40とによって構成されている。そして、配線領域36,38は、検出領域39と基板32との接触面積よりも広い接触面積で形成されている。
【0059】
41,41,…は感温抵抗体35の正側配線領域36と負側配線領域38に形成された長方形状、楕円形状等の導通孔で、該各導通孔41は配線領域36,38のうち、幅方向に2列にして形成されている。
【0060】
42は感温抵抗体35の表面を覆うように設けられた保護膜で、該保護膜42は、絶縁膜33と同様にCVD法等によって酸化膜、窒化膜等よって形成され、感温抵抗体35の保護を図るものである。ここで、保護膜42は該各導通孔41を通過して基板32側の絶縁膜33に導かれるところが、保護膜42の表面には凹陥部42Aとして形成されている。
【0061】
このように構成される本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態と同様に、感温抵抗体35を挟んで絶縁膜33と保護膜42とを接続することにより、該感温抵抗体35を基板32に固定することができる。
【0062】
なお、前記各実施の形態では、正側配線領域9,15,21,36を吸入空気の流れに対して上流側に配設し、負側配線領域11,17,23,38を下流側に配設する構成としたが、本発明はこれに限らず、負側配線領域11,17,23,38を上流側に配設し、正側配線領域9,15,21,36を下流側に配設する構成としてもよい。
【0063】
また、第2の実施の形態では、各導通孔41を正側配線領域36と負側配線領域38の幅方向に2列にして形成した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図11の変形例に示すように、配線領域36,38の幅方向中間にも導通孔41′を形成してもよいことは勿論である。
【0064】
また、実施の形態では、流量検出装置を自動車用エンジン等の吸入空気量の計測に用いる場合を例に挙げて述べたが、これに限らず、任意の気体の流量または流速を検出する場合に適用していもよい。
【0065】
さらに、各実施の形態では、絶縁膜6(33)、保護膜27(42)を酸化シリコン、窒化シリコンによって形成した場合について述べたが、これに限らず、絶縁膜と保護膜に窒化シリコンと酸化シリコンとを交互に多層に形成した多層膜に代えて用いてもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1の本発明によれば、感温抵抗体の配線領域に複数個の導通孔を設け、保護膜を該各導通孔を通過させて基板側の絶縁膜と接続する構成としたから、感温抵抗体を挟んで絶縁膜と保護膜とを密着性を高めた状態で接続でき、感温抵抗体を基板に固定することができる。そして、従来必要であった密着層を廃止でき、熱処理工程時に感温抵抗体の組成変化をなくし、流量検出装置の検出感度を高めることができる。さらに、製品毎に感温抵抗体の温度係数がばらつくのを規制でき、製品の歩留りを高め、生産性を向上させることができる。
【0067】
しかも、保護膜は絶縁膜に各導通孔を通して部分的に固定されているから、熱膨張率の違いにより、保護膜と感温抵抗体との間に発生する応力を緩和し、保護膜にクラックが発生するのを防止し、保護膜の信頼性を高め、流量検出装置の寿命を延ばすことができる。
また、各導通孔を感温抵抗体のうち電気抵抗に影響しない配線領域に形成したから、該各導通孔を通して保護膜を絶縁膜に接続し、絶縁膜と保護膜との間で配線領域を挟持することができ、感温抵抗体を基板に固定することができる。一方、検出領域には導通孔を形成していないから、検出領域を流れる流体の流れが乱れるのを低減し、検出精度を高めることができる。
【0068】
請求項2の発明では、感温抵抗体の配線領域を、正側配線領域と、該正側配線領域に隙間をもって対向した負側配線領域とによって構成し、感温抵抗体の検出領域をこれら正側配線領域と負側配線領域との長さ方向一端側に設け、各導通孔を感温抵抗体のうち電気抵抗に影響しない正側配線領域と負側配線領域とに形成したから、保護膜は該各導通孔を通して絶縁膜まで導かれ、正側配線領域と負側配線領域は絶縁膜と保護膜との間に挟持され、該感温抵抗体を基板に固定することができる。
【0069】
また、基板に沿って流体が流れるとき、検出領域はこの流体によって冷やされて抵抗値が変化し、この抵抗値の変化を検出信号として、各配線領域を用いて外部に出力し、この検出信号によって流体の流量(流速)を検出することができる。
【0070】
請求項3の発明では、正側配線領域と負側配線領域を、検出領域と基板との接触面積よりも広い接触面積をもって形成し、接触面積の広い各配線領域は、従来技術では感温抵抗体との密着性が低く、保護膜にクラックが発生し易い部分となるから、この各配線領域に複数個の導通孔を形成し、該各導通孔を通して保護膜を絶縁膜に部分的に固定することができる。これにより、保護膜と絶縁膜との間に感温抵抗体を固定し、保護膜は絶縁膜に各導通孔を通して部分的に固定されているから、熱膨張率の違いにより、保護膜と感温抵抗体との間に発生する応力を緩和し、クラックの発生を防止し、保護膜の信頼性を高め、流量検出装置の寿命を延ばすことができる。
【0071】
請求項4の発明では、各導通孔を、正側配線領域と負側配線領域の長さ方向に2個以上、幅方向に2列以上配置して設ける構成としたから、基板から正側配線領域と負側配線領域とが剥離し易い部分を強化して接続することができ、基板に対する感温抵抗体の接合強度を高めることができる。
【0072】
請求項5の発明では、感温抵抗体は、基板上に設けられた第1の感温抵抗体、ヒータ抵抗体、第2の感温抵抗体からなり、ヒータ抵抗体を挟んで幅方向一側に第1の感温抵抗体、幅方向他側に第2の感温抵抗体を並列に配設する構成としたから、基板に沿って流体が幅方向一側から流れたとき、第1の感温抵抗体が冷やされ、第2の感温抵抗体はヒータ抵抗体の熱を受けて暖められる。そして、第1,第2の感温抵抗体の抵抗値の変化から、流体の流れ方向と流量(流速)を検出することができる。
【0073】
請求項6の発明では、絶縁膜と保護膜を窒化シリコン、酸化シリコンまたは窒化シリコンと酸化シリコンとの多層膜により形成し、感温抵抗体を白金により形成したから、例えば絶縁膜と保護膜とを同じ窒化シリコンによって形成した場合には、保護膜は白金によって形成された感温抵抗体に設けられた各導通孔を通過して絶縁膜まで導かれ、感温抵抗体を挟んで絶縁膜と保護膜とを密着性を高めた状態で接続することができる。しかも、感温抵抗体を白金により形成しているから、流体によって感温抵抗体が冷やされたときに抵抗値が変化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に用いる流量検出装置を筒体内に配設した状態を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る流量検出装置を示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係る流量検出装置を示す平面図である。
【図4】基板上に形成した感温抵抗体を示す斜視図である。
【図5】図3中の矢示V−V方向からみた検出領域の要部拡大断面図である。
【図6】図3中の矢示VI−VI方向からみた抵抗体、絶縁膜、保護膜の接続状態を示す要部拡大断面図である。
【図7】基板の表面に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程を示す断面図である。
【図8】絶縁膜形成工程で形成した絶縁膜上に感温抵抗体を形成する感温抵抗体形成工程を示す断面図である。
【図9】感温抵抗体形成工程で形成した感温抵抗体上に保護膜を形成する保護膜形成工程を示す断面図である。
【図10】第2の実施の形態による流量検出装置を示す平面図である。
【図11】第2の実施の形態による流量検出装置の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
4,31 流量検出装置
5,32 基板
6,33 絶縁膜
8 ヒータ抵抗体
9,15,21,36 正側配線領域
10,16,22,37 隙間
11,17,23,38 負側配線領域
12 ヒータ領域(検出領域)
13,19,25,40 端子領域
14 上流側抵抗体(第1の感温抵抗体)
18,24,39 検出領域
20 下流側抵抗体(第2の感温抵抗体)
26,41,41′ 導通孔
27,42 保護膜
35 感温抵抗体

Claims (6)

  1. 基板と、該基板上に設けられた絶縁膜と、該絶縁膜上に設けられた感温抵抗体と、該感温抵抗体の表面を覆って設けられた保護膜とを備えてなる流量検出装置において、
    前記感温抵抗体は、配線領域と該配線領域に接続され流量を検出するための検出領域とによって構成し、
    前記感温抵抗体の配線領域には複数個の導通孔を設け、前記保護膜は該各導通孔を通過して前記基板側の絶縁膜と接続する構成としたことを特徴とする流量検出装置。
  2. 前記感温抵抗体の配線領域は、前記基板上に設けられた正側配線領域と、該正側配線領域と隙間をもって前記基板に対向して配設された負側配線領域とからなり、前記感温抵抗体の検出領域はこれら正側配線領域と負側配線領域との長さ方向一端側に設け、前記各導通孔は前記正側配線領域と負側配線領域とにそれぞれ設けてなる請求項1記載の流量検出装置。
  3. 前記正側配線領域と負側配線領域は、検出領域と基板との接触面積よりも広い接触面積をもって形成してなる請求項2記載の流量検出装置。
  4. 前記各導通孔は、正側配線領域と負側配線領域の長さ方向に2個以上、幅方向に2列以上配置して設ける構成としてなる請求項2または3記載の流量検出装置。
  5. 前記感温抵抗体は、基板上に設けられた第1の感温抵抗体、ヒータ抵抗体、第2の感温抵抗体からなり、ヒータ抵抗体を挟んで幅方向一側に第1の感温抵抗体を配設し、幅方向他側に第2の感温抵抗体を配設する構成としてなる請求項2,3または4記載の流量検出装置。
  6. 前記絶縁膜と保護膜は、窒化シリコン、酸化シリコンまたは窒化シリコンと酸化シリコンとの多層膜により形成し、前記感温抵抗体は、白金により形成してなる請求項1,2,3,4または5記載の流量検出装置。
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