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JP3570646B2 - カム部材の研削方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工中の研削負荷の変動を低減し、加工精度を向上させるカム部材の研削方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カムシャフト等に設けられるカム部材の外周面を研削する場合、例えば、カムシャフトを回転駆動源に連結して該回転駆動源を付勢し、回転するカム部材の外周面に円形の砥石を回転させながら押圧して研削している。この場合、カムシャフトを角速度一定で回転させて研削すると、カム部材の外周形状が円形ではないため、砥石とカム部材の外周面との相対速度が部位によって異なり、負荷変動による研削むらが生じる。従って、従来、カム部材の周速度が略一定となるように回転制御し、且つ、その速度を低速にすることで負荷変動を抑制するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術に係る研削方法では、製造時間がかかり、生産効率が低くなるという問題があった。
【0004】
また、特開平4−171109号公報には、カムシャフトの回転速度とカッタの切込み量をNCプログラムにより同期制御し、前記カムシャフトを分割した1ブロック毎の単位時間当たりの研削量がカムシャフトの全周にわたってほぼ同一となるように回転速度を制御する方法が開示されている。しかしながら、この方法では制御が煩雑となり、NCプログラムを組むことが極めて困難となる欠点があった。
【0005】
さらに、特開昭63−109970号公報には、加工段階に応じて加工物の回転速度を自動切替し、且つ常時研削量をほぼ均等化するように制御するカム研削盤が開示されているが、前記と同様に、制御が複雑となる問題があった。
【0006】
本発明は前記の課題を解決すべくなされたものであって、研削装置のコストが高騰することなく、また、容易に制御することができ、研削負荷の変動を低減させて加工精度を向上させるとともに生産効率を向上させることが可能なカム部材の研削方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、回転するカム部材の外周表面を研削工具により研削する方法において、
前記カム部材の外周表面を複数の領域に分割し、前記研削工具による前記カム部材の単位回転角度当たりの研削量が変動する領域に対して、前記研削工具による前記カム部材の単位時間当たりの研削量の変動を抑制すべく、前記領域における前記カム部材の回転速度の最小値に対する最大値の比を、前記領域における前記カム部材の単位回転角度当たりの研削量の最小値に対する最大値の比に等しく設定するとともに、前記カム部材の回転速度を余弦特性に従って制御することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、研削工具による研削量が少ない領域に対してカム部材の回転速度を速く設定し、研削量が多い領域に対しては、回転速度を前記研削量の増加に従って徐々に減少させるように余弦特性を設定する。
【0010】
また、この場合、前記研削量が変動する領域における前記カム部材の回転速度の最大値と最小値の比は、前記領域におけるカム部材の単位回転角度当たりの研削量の最大値と最小値の比に等しく設定すると、単位時間当たりの研削量の変動を抑制することができ、好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1において、参照符号10は、第1の実施の形態が適用されるカム部材を示す。このカム部材10は点Aを中心に回動自在に構成され、図示しない回転駆動源により矢印B方向に回転する。
【0012】
前記カム部材10の外周は一方に突出した略楕円形状に形成され、点Cから点Cまでは点Aを中心とした円弧に、点Cから点Cまでは直線状に形成される。そして、点Cから点Cを経て点Cまでは所定の曲線状に形成され、点Cから点Cまでは再び直線状に形成され、点Cから点Cまでは前記点Cから点Cまでの円弧と同径、同心の円弧に形成される。点Cは点Aから最も離間した頂点を形成している。直線ACに対する各点C〜Cのカム角度を夫々αC0〜αC5とする。なお、
αC0=0[rad]
αC3=π[rad]
とし、図上、カム角度αC0〜αC5の対応関係を直線AC〜AC上に記すものとする。
【0013】
前記カム部材10の外周に当接して中心点Eを中心とする円形の砥石12が設けられ、該砥石12は矢印D方向に一定の回転速度で回転している。前記砥石12は、図2に示すように、カム部材10の外周から切込量tが常に一定となるように、図示しないNC制御装置によって制御される。
【0014】
ここで、前記カム部材10が回転して、図3に示すように、該カム部材10の外周の線C上で、点Cを除く任意の点Cが砥石12に当接しているとき、点Cはカム部材10の中心点Aと砥石12の中心点Eとを結ぶ直線上にはない。このため、直線ACに対する点Cのカム角度αC6と、直線ACに対する直線AEの角度、すなわちカム部材10の回転角度θC6とは異なっている。そして、カム部材10の切削制御は、NC制御装置により前記回転角度θC6に従って行われる。
【0015】
次に、カム部材10の任意の回転角度θにおける研削量について、図2を参照して説明する。
【0016】
図2中、カム部材10を、実線で示す砥石12が所定の回転角度θで研削しているとき、該砥石12とカム部材10とは円弧ghで当接している。また、カム部材10が前記回転角度θから単位角度θだけ回転したときには、図2中、点線で示すように、該砥石12とカム部材10とは円弧g′h′で当接している。従って、前記円弧ghと円弧g′h′で囲まれる部位14は、カム部材10が所定の回転角度θから単位角度θだけ回転したときに砥石12によって研削される範囲を示す。よって、この部位14の面積は、所定の回転角度θにおけるカム部材10の単位角度θ当たりの研削量に対応する。
【0017】
図4Aに、回転角度θに対する単位角度当たりの研削量i(θ)のグラフを示す。砥石12がカム部材10の外周の直線C間、直線C間の所定部位を研削しているとき、直線C間の点Jおよび直線C間の点Jで研削量i(θ)が極大値iJ1、iJ2をとる。また、砥石12が円弧Cと直線Cの境界近傍、および、直線Cと円弧Cの境界近傍を研削する際、僅かに研削量i(θ)が増加する。
【0018】
そこで、前記カム部材10の回転角度θを点C〜点C、点C〜点J、点J〜点C、点C〜点J、点J〜点C、点C〜点Cの6つの領域16a〜16fに分割し、各領域16a〜16fに対してカム部材10の回転速度を設定する。
【0019】
まず、図4Bに示すように、砥石12が領域16aを研削しているときのカム部材10の回転速度f(θ)を、
(θ)=1
とする。なお、回転速度1は、正規化された速度であり、実際の系では、これを常数倍して設定するものとする。ここで、単位時間当たりの研削量k(図2中、各円弧ghとg′h′で囲まれる範囲の面積に対応)は、ほぼ単位角度当たりの研削量とカム部材10の回転速度との積で表すことができる。このため、図4Cに示すように、領域16aにおける単位時間当たりの研削量k(θ)は、このときの単位角度当たりの研削量i(θ)を
i(θ)=i
とすると、
k(θ)=f(θ)×i(θ)=i
となる。
【0020】
砥石12が領域16bを研削しているときのカム部材10の回転速度f(θ)は次の式で表される。
【0021】
(θ)=(1/2iJ1)[iJ1+i+(iJ1−i)×cos{(θ−θC1)(π/(θJ1−θC1))}]
この式によれば、図4Bに示すように、砥石12のカム部材10に対する回転角度θが領域16aから領域16bにかかる瞬間、すなわち、θ=θC1のときの回転速度f(θC1)は、領域16aにおける回転速度f(θ)=1から連続的に変化し、回転角度θが進むにつれて余弦曲線に沿って回転速度f(θ)が低下する。すなわち、回転角度θ=θC1のとき、領域16bにおける回転速度f(θ)の最大値は、
(θ)=1
である。そして、領域16bから領域16cにかかる瞬間、すなわち、θ=θJ 1 のとき、カム部材10の回転は最も遅くなる。このときの回転速度f(θJ1)は、
(θJ1)=i/iJ1
となり、この値は、領域16bにおける回転速度f(θ)の最小値である。この領域16bにおける回転速度f(θ)の最大値と最小値の比は、
(θJ1)/f(θC1)=i/iJ1
となり、この値は、この領域16bの研削量i(θ)の最大値iJ1と最小値iの比i/iJ1とに等しい。このときの回転角度θJ1における単位時間当たりの研削量k(θJ1)は、
k(θJ1)=f(θJ1)×iJ1=i
となり、領域16aにおける単位時間当たりの研削量iと一致する。
【0022】
同様に、前記領域16c〜16eにおいて、カム部材10の回転角度θに対する回転速度f(θ)、f(θ)、f(θ)は次の式で表される。
【0023】
(θ)=(1/2iJ1)[iJ1+i−(iJ1−i)×cos{(θ−θJ1)(π/(θC3−θJ1))}]
(θ)=(1/2iJ2)[iJ2+i +(iJ2−i)×cos{(θ−θC3)(π/(θJ2−θC3))}]
(θ)=(1/2iJ2)[iJ2+i −(iJ2−i)×cos{(θ−θJ2)(π/(θC5−θJ2))}]
また、領域16fにおけるカム部材10の回転速度f(θ)は、領域16aにおける回転速度f(θ)と同様に、
(θ)=1
である。夫々の式は、図4Bより明らかなように、各領域16a〜16fの境界で回転速度が連続的に変化している。そして、領域16d、16eにおいて、単位角度当たりの研削量i(θ)が最大となる回転角度θJ2における回転速度f(θJ2)、f(θJ2)は、領域16d、16eにおける回転速度f(θ)、f(θ)の最小値となり、夫々の領域16d、16eの回転速度f(θ)、f(θ)の最大値と最小値の比は、領域16aと同様に、夫々の領域16d、16eにおける研削量の最大値iJ2と最小値iの比i/iJ2に等しい。このため、回転角度θJ2における単位時間当たりの研削量k(θJ2)は、
k(θJ2)=iJ2×i/iJ2=i
となり、前述の回転角度θJ1における単位時間当たりの研削量k(θJ1)と同様に、領域16aにおける単位時間当たりの研削量iと一致する。
【0024】
このため、単位時間あたりの研削量k(θ)は、図4Cに示すように、領域16aと領域16bとの境界近傍、および、領域16eと領域16fとの境界近傍で僅かに増加するが、それ以外では研削量iを超えることはなく、また、研削する部位によって大幅に変化することはないため、砥石12の負荷変動が抑制され、回転速度が安定し、良好な研削面を得ることができる。また、回転速度f(θ)は余弦曲線に従って変化するように制御されているため、研削量等をフィードバックする等の複雑な処理が不要である。
【0025】
次に、第2の実施の形態に係るカム部材の研削方法について説明する。
【0026】
なお、以下、第1の実施の形態と異なる箇所について詳細に説明し、図中、第1の実施の形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0027】
第2の実施の形態に係る研削方法に使用されるカム部材10の外周は、図5に示すように、各点C、Cから夫々点C側に所定角度mだけ変位した位置に点L、Lが設定され、点C〜点L、点L〜点J、点J〜点J、点J〜点L、点L〜点Cの5つの領域20a〜20eに分割される。
【0028】
次いで、第2の実施の形態に係るカム部材10の回転速度f(θ)について説明する。
【0029】
砥石12が領域20aを研削しているときのカム部材10の回転速度を、図6Bに示すように、
(θ)=1
とする。このときの単位時間あたりの研削量k(θ)は、第1の実施の形態と同様に、
k(θ)=i
となる。
【0030】
カム部材10が回転して、砥石12が領域20bを研削しているとき、カム部材10の回転速度は、次のように表される。
【0031】
(θ)=(1/2iJ1)[iJ1+i+(iJ1−i)×cos{(θ−θL1)(π/(θJ1−θL1))}]
この式によれば、砥石12のカム部材10に対する回転角度θが領域20aから領域20bに係る瞬間、すなわち、θ=θL1のときの回転速度f(θL1)は、領域16aにおける回転速度f(θ)=1から連続的に変化し、回転角度θが進むにつれて余弦曲線に従って回転速度f(θ)が低下する。そして、領域20bから領域20cにかかる瞬間、すなわち、θ=θJ1のとき、カム部材10の回転は最も遅くなる。このときの回転速度f(θJ1)は
(θJ1)=i/iJ1
となる。この値は、領域20bにおける回転速度f(θ)の最小値である。この領域20bにおける回転速度f(θ)の最大値と最小値に比は、
(θJ1)/f(θL1)=i/iJ1
となり、この値は、この領域20bの研削量i(θ)の最大値iJ1と最小値iの比i/iJ1とに等しい。このときの回転角度θJ1における単位時間当たりの研削量k(θJ1)は、
k(θJ1)=f(θJ1)×iJ1=i
となり、領域20aにおける単位時間当たりの研削量iと一致する。
【0032】
領域20cでは、図6Bに示すように、一定の回転速度、
(θ)=i/iJ1
を維持している。回転角度θJ2における単位角度あたりの研削量i(θJ2)は、
i(θJ2)=iJ2
であるので、この回転角度θJ2における単位時間あたりの研削量k(θJ2)は、
k(θJ2)=f(θJ2)×iJ2=i×iJ2/iJ1
である。図6Aから諒解されるように、iJ2はiJ1より僅かに小さいため、研削量k(θJ2)もiより僅かに小さい値になる。
【0033】
そして、領域20dでは、
(θ)=(1/2iJ2)[iJ2+i+(iJ2−i)×cos{(θ−θL2)(π/(θJ2−θL2))}]
であり、領域20cから連続して回転速度f(θ)が余弦曲線に従って変化し、回転角度θL2における回転速度f(θL2)=1となる。
【0034】
領域20eにおける回転速度f(θ)は、回転角度θL2における回転速度
f(θ)=1
を維持しており、単位時間あたりの研削量k(θ)も、
k(θ)=i
である。
【0035】
図6Cに、回転角度θに対する単位時間当たりの研削量k(θ)のグラフを示す。このグラフからわかる通り、研削量kはiを超えることはなく、単位時間あたりの研削量kも大きく変動することがない。また、余弦曲線に従った制御が必要な範囲も少なく、カムシャフトの回転速度の制御は一層容易となる。
【0036】
なお、上述した実施の形態では、単位角度当たりの研削量が大きく変動する部位におけるカム部材の回転速度を余弦曲線に従った特性に置き換えることにより、負荷変動を抑えるようしている。この場合、研削量が大きく変動する部位近傍において前記回転速度を滑らかに変化させればよく、従って、正弦曲線や他の曲線に従った特性を適用することもできる。
【0037】
また、例えば、第1の実施の形態における各領域16b〜16eをさらに夫々2つずつの領域に分割し、夫々の領域について余弦曲線による制御を行う等、領域を細分化して余弦曲線や他の曲線の特性を適応させることにより、砥石の負荷変動を一層抑制した研削加工を行うことができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明に係るカム部材の研削方法によれば、以下のような効果ならびに利点が得られる。
【0039】
複雑な制御を行うことなく砥石の負荷変動を抑制することができるため、カム部材を安定して回転させ、加工精度を向上させることができる。また、負荷変動が増大する部位においてのみ回転速度を低下させるように制御するため、全体的な製造時間を短くすることが可能となり、生産効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るカム部材の研削方法で使用されるカム部材と砥石を示す概略平面図である。
【図2】図1のカム部材と砥石を示す一部拡大平面図である。
【図3】図1のカム部材と砥石を示し、カム部材が所定角度回転した状態の概略平面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るカム部材の研削方法を説明するグラフを示し、
図4Aは、カム部材の回転角度に対する単位角度当たりの研削量のグラフ、
図4Bは、カム部材の回転角度に対する回転速度のグラフ、
図4Cは、カム部材の回転角度に対する単位時間当たりの研削量のグラフである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るカム部材の研削方法で使用されるカム部材と砥石を示す概略平面図である。
【図6】第2の実施の形態に係るカム部材の研削方法を説明するグラフを示し、
図6Aは、カム部材の回転角度に対する単位角度当たりの研削量のグラフ、
図6Bは、カム部材の回転角度に対する回転速度のグラフ、
図6Cは、カム部材の回転角度に対する単位時間当たりの研削量のグラフである。
【符号の説明】
10…カム部材 12…砥石
16a〜16f、20a〜20e…領域 θ…回転角度
f(θ)…回転速度 i(θ)…単位角度当たりの研削量
k(θ)…単位時間当たりの研削量

Claims (1)

  1. 回転するカム部材の外周表面を研削工具により研削する方法において、
    前記カム部材の外周表面を複数の領域に分割し、前記研削工具による前記カム部材の単位回転角度当たりの研削量が変動する領域に対して、前記研削工具による前記カム部材の単位時間当たりの研削量の変動を抑制すべく、前記領域における前記カム部材の回転速度の最小値に対する最大値の比を、前記領域における前記カム部材の単位回転角度当たりの研削量の最小値に対する最大値の比に等しく設定するとともに、前記カム部材の回転速度を余弦特性に従って制御することを特徴とするカム部材の研削方法。
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