JP3571305B2 - カルマンフィルタの誤差推定値を加味した2drmsを出力するgpsレシーバ - Google Patents
カルマンフィルタの誤差推定値を加味した2drmsを出力するgpsレシーバ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、GPS測位解に対する精度評価値としての2DRMSを出力するGPSレシーバ、及びこのGPSレシーバを備えるカーナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーナビゲーション装置を始めとするGPSを測位の手段として使用するナビゲーションシステムでは、GPSレシーバにおける測位解(幾何学的な演算によって算出されたGPSレシーバ自身の位置)の演算過程でカルマンフィルタを用い、或いはアプリケーションプログラムが、GPS測位解に対する精度評価値を利用してGPS測位解を用いることで、ナビゲーションシステムとしての精度を高めることが図られている。
【0003】
GPSレシーバに於いてGPS航法フィルタとして使用されるカルマンフィルタは、GPSの測位結果を1つの動的なシステムとみなし、以前の測位解演算から次の測位解演算へ、システムの状態推定及び誤差共分散行列等の情報を伝達すること、その情報によりシステムの状態を暫定的に推定すること及び測位解と推定値の差を用いて推定値を更新すること、を繰り返し、推定値を定常状態に収束させる。また、GPSレシーバは、GPS測位解の精度を評価するための情報として、GPS測位結果に対する精度評価値を実時間処理でメッセージとしてアプリケーションプログラムに対して出力する。このような精度評価値として、従来、DOPを使用した2DRMSが用いられている。
【0004】
ここで、DOPは、擬似距離(GPSレシーバが測定したGPS衛星とGPSレシーバ間の距離)測定誤差の測位解誤差への拡大係数を表し、瞬時のGPS衛星の幾何学的な配置に依存して変化する。2DRMSは、平均が0である2次元のランダム変数に対して定義される値であり、GPS測位解については、通常、水平方向の誤差の95%範囲を表す指標として使用される。2DRMSは、従来、下記数3のような定義が使用されている。
【数3】
ここで、HDOPはDOPの水平方向成分を表している。また、σUEREは、UEREと呼ばれるものであり、擬似距離測定誤差についての1σ値(標準偏差)を表し、全てのGPS衛星に対して共通の定数である。
【0005】
GPSレシーバは、一定の時間間隔(例えば1秒毎)で測位演算を実行し、GPS測位解と2DRMS値を出力することを繰り返し実行する。この演算過程のフローチャートを図5に示す。GPSレシーバは、始めにカルマンフィルタを用いた測位演算を行う(S501)、次に、S501の測位演算で使用したGPS衛星の配置からHDOPを算出する(S502)。次に、S503で、前記数3の定義に従って2DRMSの算出を行い、GPS測位解と共に2DRMSをGPSレシーバからの出力メッセージとして出力する。
【0006】
カーナビゲーション装置のアプリケーションプログラムは、ジャイロセンサ出力、車速パルス、バック信号等のデッドレコニング用のセンサ出力に基づくDR測位結果と、GPSレシーバから得たGPS測位解との2つの測位結果を得、それぞれの測位結果に基づいて自車位置の推定を行っている。図4は、アプリケーションプログラムに於ける自車位置の出力までの動作フローチャートを示している。なお、図4の処理は、一定時間間隔(例えば1秒毎)で繰り返し実行される。
【0007】
図4に示すように、アプリケーションプログラムは、GPSレシーバが出力するGPS測位解と2DRMSを読み込む(S301)。次に、車速パルスカウント値、ジャイロセンサ出力電圧、バック信号等のデッドレコニング用のセンサからの出力結果を読み込み(S302)、DR測位結果を算出し(S303)、デッドレコニング用の各センサ自体の持つ誤差等をもとにDR測位結果に含まれる誤差を表す精度評価値を算出する(S304)。
【0008】
次の、S305では、GPS測位解についての精度評価値である2DRMSとDR測位結果に対する精度評価値との比較を行い、2DRMSの方が小さく、GPS測位解の方が高精度であると判定された場合には(S305:YES)、GPS測位解をマップマッチングのための自車位置として採用する(S306)。2DRMSの方が大きい場合には、DR測位結果をマップマッチングのための自車位置として採用する(S307)。S308では、S306又はS307で採用された自車位置に基づいてマップマッチグを行い、最終的な演算結果としての自車位置を出力する。
【0009】
このように、2DRMSは、デッドレコニング用のセンサ出力に含まれる誤差の影響を取り除き、マップマッチング結果等の最終的なアプリケーション出力としての自車位置の精度を高めるための、重要な指標として用いられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記数3で示す従来の定義による2DRMSは、2DRMSを算出するためのHDOPが測位演算に使用しているGPS衛星の瞬間的な配置に依存する係数である為、2DRMSが時間軸で不連続な値をとる場合があり、特に、移動体に於けるGPS受信に於いては、受信可能なGPS衛星の配置は時々刻々と変化し、従来の方法で算出した2DRMSは、時間軸での相関が薄いものとなる。
【0011】
このような、従来の2DRMSの性質は次のような問題を生ずる。自車がトンネル等を走行し長い間GPS測位不可能な状態(非測位)が続いた後、改めてGPS測位が開始された状況を想定した場合、2DRMSと、GPS測位解に含まれる実際の測位誤差とは、図6に示すような関係になる。
【0012】
図6は、非測位の状態から測位の状態に移る時間の経過と共に、GPS測位解に含まれる実際の測位誤差と2DRMSがどのように推移するかを概念的に表したグラフである。非測位の状態が続いた後の最初の測位に於いて(時刻t0)、GPSレシーバのカルマンフィルタは、過去の測位解が得られないため、十分な推定値の精度を得ることができず、GPS測位解に含まれる実際の測位誤差が大きめの値となる。その後、カルマンフィルタが速やかに収束し、推定値の精度が高まり、実際の測位誤差の値はカルマンフィルタの収束と共に低下する。
【0013】
一方、2DRMSは、瞬時のGPS衛星の配置に依存するため、図6に示すように、非測位後の測位開始とともに小さな値をとる。ここで、アプリケーションプログラムが、図6に示す時刻t0〜t1間で図4に示したステップS305で示す判定の為の精度評価値として2DRMSを使用した場合、時刻t0〜t1間では2DRMSが実際の測位誤差よりも小さい値となっている為、S305における判定の際に、GPS測位解については実際の測位誤差よりも小さい精度評価値を使用して比較を行うことになる。このため、GPS測位解よりもDR測位結果の精度が良いにもかかわらず、GPS測位解を誤って自車位置として採用し、その結果、ナビゲーション装置の表示画面上で自車の位置が飛ぶ所謂位置飛び等を生ずる場合があった。
【0014】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、実際の測位誤差を反映した2DRMSを算出する方法を提供し、また、この2DRMSを出力することのできるGPSレシーバを提供し、更に、この2DRMSを使用することでアプリケーションプログラムでの自車位置推定の精度を向上させたカーナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
以上で述べた従来の2DRMSの問題点は、従来の2DRMSがGPS測位解の測位時における瞬間的な誤差を表し、動的システムとみなされる測位データの過去のシステム状態が反映されていないことに起因する。そこで、本発明の請求項1に記載のGPSレシーバは、カルマンフィルタを用いて測位計算を行うGPSレシーバであり、カルマンフィルタの収束状況を測位時における誤差の推定値に反映させる。
【0016】
GPS測位解の算出にカルマンフィルタを用いるGPSレシーバに於いては、HDOPのみでなく、カルマンフィルタの推定値の算出過程で求められる誤差共分散行列の対角要素から、公知の方法によって算出される水平方向の推定誤差(σH_Kalman)を使用し、精度評価値としての2DRMSを、前記数1の定義によって算出することができる。前記数1は、従来の前記数3の2DRMSと、σH_KalmanとのRSS(Root Sum Square)値となっている。この2DRMSによって、GPS測位解の誤差についての過去の状態を、現在の精度評価値としての2DRMSに反映させることができる。すなわち、カルマンフィルタの発散/収束と共に、2DRMSも増減し、実際の測位誤差と相関の高い精度評価値としての2DRMSが得られる。
【0017】
本発明の請求項3に記載のGPSレシーバは、GPS測位解の算出にカルマンフィルタを用い、測位演算過程で算出されるHDOP及びσH_Kalmanの各指標によって、GPS測位解の精度評価値としての2DRMSを、前記数1の定義にしたがって算出し出力する。カーナビゲーション装置をこのGPSレシーバを用いて構成することにより、アプリケーションプログラムは、GPS測位解に含まれる実際の測位誤差を的確に反映した2DRMSを用いて、GPS測位解の精度評価を行うことができる。
【0018】
また、請求項4に記載のカーナビゲーション装置は、請求項3に記載のGPSレシーバを備えて構成される。アプリケーションプログラムは、該GPSレシーバが出力する2DRMSに基づいてGPS測位解の精度を評価できるので、最終的なアプリケーション出力としての自車位置推定の精度が高められる。
【0019】
また、請求項5に記載のDR機能付きGPSレシーバは、GPS測位機能とDR測位機能を統合して測位解を算出し、該測位解の算出にカルマンフィルタを用い、測位演算過程で算出される、HDOP及びσH_Kalmanの各指標を出力するDR機能付きGPSレシーバにおいて、該各指標を用いて、該測位解の精度評価値としての2DRMSを前記数1の定義によって算出し出力する。カーナビゲーション装置をこのDR機能付きGPSレシーバを用いて構成することにより、アプリケーションプログラムは、DR機能付きGPSレシーバが出力する、測位結果の実際の測位誤差を的確に反映した2DRMSを用いて、GPS測位解の精度評価を行うことができる。
【0020】
なお、このDR機能付きGPSレシーバは、GPS信号の遮蔽によりGPS測位ができない状況になった場合であっても、GPS測位が不可となる直前のHDOP(LastHDOP)を用いて、測位解の精度評価値としての2DRMSを前記数2の定義によって算出することで、測位解に含まれる実際の測位誤差を的確に反映した2DRMSを出力し続けることができる(請求項6)。
【0021】
また、このDR機能付きGPSレシーバを用いてカーナビゲーション装置を構成することで、アプリケーションプログラムは、GPS信号が遮蔽されてDR機能のみによって測位演算が行われている状況であっても2DRMSを得て、測位解の精度評価を行うことができる(請求項7)。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態である、カーナビゲーション装置10を示している。なお、図1は、カーナビゲーション装置として必要な機能のうち、主にGPS測位及びデッドレコニングに係わる部分についてのブロック図である。図1において、GPSレシーバ11は、GPSアンテナ8で捕らえられたGPS信号を局部発信機13の発振周波数と混合して中間周波数にダウンコンバートするRF部12と、RF部12からの信号に対して同期及び復調してGPSメッセージを取得し、更に、カルマンフィルタを用いて測位演算を実行する演算部14によって構成される。
【0023】
図2にGPSレシーバ11に於ける演算処理の過程を示す。GPSレシーバ11は一定の時間間隔(例えば1秒間隔で)図2の演算処理を繰り返し実行する。図2の演算処理が開始されると、演算部14は、始めにカルマンフィルタを使用した測位演算を行う(S201)。次に、公知の方法によって、HDOPとσH_Kalmanの算出を行う(S202、S203)。なお、S203に於けるHDOPの算出では、S201の測位演算で使用したGPS衛星の配置が用いられる。更に、σH_Kalman、HDOP及び定数であるσUEREを用いて、前記数1の定義、
に従って2DRMSが算出され(S204)、この2DRMSはGPS測位解と共にNAVI_CPU1に対して出力される(S205)。
【0024】
ジャイロセンサ3は、自車の旋回方向の角速度に応じた直流電圧を出力する。ジャイロセンサ3の出力信号は、フィルタ/AD変換部4で、ノイズを除去されると共にアナログからデジタルに変換されてNAVI_CPU1に対して出力される。車速パルス信号5は、車速に応じた周波数のパルスであり、フィルタ/カウンタ部6でノイズを除去されると共に、パルス数をカウントされたカウント値としてNAVI_CPU1に対して出力される。バック信号7は、自動車が前進しているかバックしているかを示す信号である。ジャイロセンサ3の出力信号、車速パルス5及びバック信号7は、NAVI_CPU1がデッドレコニングを実行するために使用される。
【0025】
NAVI_CPU1は、前述の図4と同じアプリケーションプログラムを実行すると共に、経路探索などのカーナビゲーション装置として必要な全ての機能を実行するためのCPUである。なお、マップマッチングは、NAVI_CPU1が図示しないデジタル地図から地図データを読み込むことにより実行される。
【0026】
NAVI_CPU1は、図4で示したステップS305における判断で、GPS測位解の精度評価値としてGPSレシーバ11から受け取った2DRMS値を使用する。したがって、NAVI_CPU1は、従来の2DRMSよりもGPS測位解の実際の測位誤差を反映した2DRMS値を用いて、DR測位結果の誤差評価値との比較を行うので、最終的な自車位置の出力における(S309)精度が、従来の2DRMS値を使用する場合に比較して高められる。
【0027】
図3は、図6と同じ状況で、本実施形態のカーナビゲーション装置10を使用した場合の、実際の測位誤差と2DRMSの推移を概念的に示したグラフである。図3に示すように、この場合の2DRMSは、実際の測位誤差と同様に、非測位状態が続いた後の最初の測位開始時(時刻t0)から高い値を示す。これは、非測位の状態が連続することによりカルマンフィルタの収束状況が悪化し、その状況がσH_Kalmanによって2DRMSに反映されることによる。したがって、時刻t0からの測位の開始によって、カルマンフィルタが収束するとともに2DRMSも低い値に収束する。
【0028】
すなわち、前記数1による2DRMSは、図6で示した従来の2DRMSのように、実際の測位誤差よりも2DRMSが小さな値となる状況(図6の時刻t0〜t1の状態)が発生しない。したがって、アプリケーションプログラムが、ステップS305の判断を行う場面に於いて、GPS測位解よりもDR測位結果の精度が良いにもかかわらず、GPS測位解を誤って自車位置として採用すことがなくなり、その結果、所謂位置飛び等が防止される。
【0029】
図7は、本発明の第2の実施形態である、カーナビゲーション装置20を示している。なお、図7に於いて図1のカーナビゲーション装置10と機能が同一である部分については同じ符号を用いている。また、図7のGPSレシーバ21に於いて、GPS信号を受信及び復調してGPSメッセージを抽出し、GPS測位解を算出する機能に関しては図1のGPSレシーバ11と同一である。
【0030】
GPSレシーバ21の演算部22は、ジャイロセンサ、車速パルス信号及びバック信号のデッドレコニング用のセンサ入力を有し、公知の方法により、GPS測位とDR測位とを統合した測位結果を算出する。この統合した測位結果は、例えば、GPS測位演算に使用するカルマンフィルタへ、デッドレコニング用センサの出力から求まる速度や角速度をも入力して、一つの測位解を算出することで求められる。演算部22は、この統合された測位結果を、最終的な測位解としてNAVI_CPU25に対して出力する。
【0031】
なお、演算部22は、トンネルやビルによってGPS信号が遮蔽されてGPS信号が受信されないと判断した場合に、デッドレコニングのみによって測位演算を行う。以下の説明では、演算部22がGPS測位とDR測位を統合して測位を行っている状態を(GPS+DR)測位、GPS信号の遮蔽によりDRによる測位のみを行っている状態をDR単独測位とよぶ。
【0032】
(GPS+DR)測位時、演算部22は、公知の方法によって、σH_KalmanとHDOPの算出を行い、前記数1の定義による2DRMSを測位解と共にNAVI_CPU25に対して出力する。なお、このとき演算部22によって算出されるσH_Kalmanは、GPS測位解のみでなくDR測位結果をも含めた測位結果に対する推定誤差値であるという特徴を持っている。
【0033】
一方、DR単独測位時、GPS信号ができずHDOPが得られない状況に於いては、演算部22は、GPS信号が受信できなくなる直前のHDOP(Last
HDOP)を使用して、前記数2の定義、
によって2DRMSを算出する。時間の経過にしたがって、(GPS+DR)測位、DR単独測位、(GPS+DR)測位と推移していく状況に於いて、GPSレシーバ21が算出する、2DRMSについての各パラメータσH_Kalman,HDOPの変化と、2DRMSの変化との関係を示す概念図を図8(a)〜図8(c)に示す。なお、図8(a)がσH_Kalmanの変化を示し、図8(b)がHDOPの変化を示し、そして図8(c)がこれらのσH_Kalman及びHDOPを用いて算出される2DRMSの変化を示している。
【0034】
図8(a)に示すように、時刻T1までの(GPS+DR)測位の状況では、時間の経過と共に、σH_Kalmanが減少し、その結果2DRMS値も減少していく。
【0035】
時刻T1後のDR単独測位の状況に入ると、GPS測位解が得られないことから、デッドレコニング用のセンサの持つ誤差がカルマンフィルタに蓄積するため、σH_Kalmanが徐々に増加し(図8(a)参照)、それにしたがって2DRMSも徐々に増加する(図8(c)参照)。なお、DR単独測位のとき、HDOPとしては時刻T1直前におけるHDOP(LastHDOP)が使用される。すなわち、図8(b)に示すように、DR単独測位の間、HDOP(LastHDOP)の値は、時刻T1直前の値のままで維持される。
【0036】
時刻T2後、再び、(GPS+DR)測位が開始されると、GPS測位解が得られることによりσH_Kalmanが減少し始め(図8(a)参照)、それにしたがって2DRMSも減少する(図8(c)参照)。なお、図8(b)は、時刻T2後GPS衛星の幾何学的配置にしたがって算出されたHDOPが、LastHDOPよりも若干大きめの値をとった場合の例である。
【0037】
図9は、図8と同一の状況における、GPSレシーバ21が出力する測位結果に含まれる実際の測位誤差と、GPSレシーバ21が出力する2DRMSとの関係を示す概念図である。図9に示されるように、GPSレシーバ21が出力する2DRMSは、(GPS+DR)測位時のみでなく、GPS測位のできない状況であるDR単独測位の状況に於いても、GPSレシーバ21の測位結果に含まれる実際の測位誤差を的確に反映した指標として出力される。
【0038】
図10は、GPSレシーバ21の演算部22に於ける、測位演算のフローチャートである。なお、図10に示す演算処理は、一定間隔(例えば1秒毎)で実行される。演算処理が開始されると、始めにカルマンフィルタを使用した測位演算が行われる(S801)、次に、公知の方法によって、σH_KalmanとHDOPの算出を行う(S802)。なお、S802に於けるHDOPの算出では、S801の測位演算で使用したGPS衛星の配置が用いられる。次に、S803では、GPS信号が受信不可となることによって、DR単独測位の状況になっているか否かが判断される(S803)。(GPS+DR)測位である場合には、変数LastHDOPがS802で求めたHDOPで置き換えられる(S804)。
【0039】
S803に於いて、DR単独測位であると判断された場合には、S804の処理は行われない。次のS805では、2DRMSが前記数2の定義に従って算出され、S801で得られた測位結果と共にNAVI_CPU1に対して出力される。以上の処理により、(GPS+DR)測位に於いては2DRMSの算出にHDOPが使用されるとともに、DR単独測位となっている状況では、2DRMSの算出に、DR単独測位となる直前のHDOP(LastHDOP)が使用される。
【0040】
図7のNAVI_CPU25は、GPSレシーバ21から測位解ともに、測位解の精度評価値である2DRMSを受け取る。また、NAVI_CPU25は、図示しない地図データベースから地図データを受け取って、マップマッチングを実行すると共に、経路探索などのカーナビゲーション装置として必要な全ての機能を実行する。NAVI_CPU25における、アプリケーションプログラム実行の1例について以下説明する。
【0041】
AとBの二股に分岐する道路に自車がさしかかり、実際は自車がAの道路を進んだにもかかわらず、マップマッチングの結果はBの道路を選択した場合を仮定する。この場合、GPSレシーバ21の測位解は、Aの道路に近い位置を示し、したがって、時間の経過と共にGPSレシーバ21が出力する測位解は、Bの道路から徐々に遠ざかっていく。このとき、マップマッチグの結果と、GPSレシーバ21による測位結果とのどちらを最終的な自車位置として採用するか判定するための指標として2DRMSを使用する。
【0042】
この場合、GPSレシーバ21による測位解と、マップマッチングの結果による位置の差が2DRMS以内であれば、その差は誤差範囲内であるとしてマップマッチング結果をそのまま採用し、その差が2DRMSを超えた場合は、マップマッチングの結果は誤りであるとしてGPSレシーバ21による測位解を採用する。なお、GPSレシーバ21による2DRMSは、前述のように実際の測位誤差を的確に反映した指標となっているので、上記のようなマップマッチングによる誤りの影響を確実且つ迅速に取り除き、最終的な自車位置算出結果としてのアプリケーション出力の精度を高めることが可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、動的システムとみなされるGPS測位データの過去のシステム状態を現在の測位誤差の推定に反映させることができ、その結果、アプリケーションプログラムに於いて測位解の精度評価をより適切に行うことができ、最終的な自車位置算出結果としてのアプリケーション出力の精度を高めることが可能となる。
【0044】
また、GPS測位解の算出にカルマンフィルタを用いるGPSレシーバにおいて、測位演算過程で得られるHDOP,σH_Kalman用いて、前記数1の定義で2DRMSを算出することで、GPS測位解の誤差についての過去の状態を、現在の精度評価値としての2DRMSに反映させることができる。すなわち、カルマンフィルタの発散/収束と共に、2DRMSも増減し、実際の測位誤差と相関の高い精度評価値としての2DRMSが得られる。また、このような2DRMSを出力するGPSレシーバを用いたカーナビゲーション装置のアプリケーションプログラムは、GPS測位解の精度を評価する場面に於いて、実際の測位誤差が的確に反映された精度評価値としての2DRMSを用いることができるので、最終的な自車位置算出結果としてのアプリケーション出力の精度を高めることができる。
【0045】
更に、DR機能付きのGPSレシーバに於いては、トンネル等のGPS測位ができない状況であっても、GPS測位不可となる直前のHDOPであるLastHDOPを用いることで、前記数2の定義によって2DRMSを算出することが可能となる。このDR機能付きGPSレシーバを用いたカーナビゲーション装置のアプリケーションプログラムは、GPS測位が可能である状況にあるか否かにかかわらず、常に実際の測位誤差が的確に反映された2DRMSを得ることができ、この2DRMSを用いて測位解に対する精度評価を行うことで、最終的な自車位置算出結果としてのアプリケーション出力の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態であるカーナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】第1の実施形態に於けるGPSレシーバの演算処理を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態に於けるGPSレシーバが算出する2DRMSと実際の測位誤差との関係を概念的に示したグラフである。
【図4】従来のアプリケーションプログラムの動作を示すフローチャートである。
【図5】従来のGPSレシーバの演算処理を示すフローチャートである。
【図6】従来のGPSレシーバが算出する2DRMSと、実際の測位誤差との関係を概念的に示したグラフである。
【図7】本発明の第2の実施形態であるカーナビゲーション装置のブロック図である。
【図8】第2の実施形態におけるDR機能付きGPSレシーバが算出するσH_Kalman,HDOPの変化と、それらを用いて算出される2DRMSの変化との関係を示す概念図である。
【図9】第2の実施形態に於けるDR機能付きGPSレシーバが算出する2DRMSと実際の測位誤差との関係を概念的に示すグラフである。
【図10】第2の実施形態に於けるDR機能付きGPSレシーバの演算処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 NAVI_CPU
3 ジャイロセンサ
5 車速パルス信号
7 バック信号
8 GPSアンテナ
10 カーナビゲーション装置
11 GPSレシーバ
12 RF部
13 局部発信機
14 演算部
21 GPSレシーバ
Claims (7)
- カルマンフィルタを用いて測位計算を行うGPSレシーバであり、カルマンフィルタの収束状況を測位時における誤差の推定値に反映させること、を特徴とするGPSレシーバ。
- GPS測位解の算出にカルマンフィルタを用い、測位演算過程で算出される、HDOP(DOP(dilution of Precision)の水平方向成分)、及びカルマンフィルタの推定値の算出過程で算出される誤差共分散行列の対角要素から算出される水平(緯度、経度)方向の推定誤差(以下、この推定誤差をσH_Kalmanと呼ぶ)の各指標を出力可能なGPSレシーバにおいて、
該各指標を用いて、GPS測位解の精度評価値としての2DRMS(distanceroot mean square)を、下記数1の定義によって算出すること、を特徴とするGPS測位解に対する精度評価値の算出方法。
ただし、σUERE(UERE(user equivalent range error))は定数。 - GPS測位解の算出にカルマンフィルタを用い、測位演算過程で算出される、HDOP及びσH_Kalmanの各指標を出力可能なGPSレシーバにおいて、
該各指標を用いて、GPS測位解の精度評価値としての2DRMSを、前記数1の定義によって算出し出力すること、を特徴とするGPSレシーバ。 - 請求項3に記載のGPSレシーバを備え、
該GPSレシーバが出力する2DRMSに基づいて自車位置を判定すること、を特徴とするカーナビゲーション装置。 - GPS測位機能とデッドレコニング(DR)測位機能を統合して測位解を算出し、該測位解の算出にカルマンフィルタを用い、測位演算過程で算出される、HDOP及びσH_Kalmanの各指標を出力するDR機能付きGPSレシーバにおいて、
該各指標を用いて、該測位解の精度評価値としての2DRMSを前記数1の定義によって算出し出力すること、を特徴とするDR機能付きGPSレシーバ。 - 請求項6に記載のDR機能付きGPSレシーバを備え、
該DR機能付きGPSレシーバが出力する2DRMSに基づいて自車位置を判定すること、を特徴とするカーナビゲーション装置。
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