JP3574233B2 - 列車運転時隔制御方法及び装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車群の運転時隔の制御に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
列車の運行制御に当たっては、列車と列車の間隔を時間にしてどの程度開ける必要があるかを考慮する必要がある。この列車同士の時間の間隔は運転時隔と呼ばれ、後続列車が先行列車による速度制限を受けることなく運行するのに必要最小限の運転時隔を最小運転時隔とよんでいる。この最小運転時隔は、例えば、駅部では停車時間に応じた大きな値に設定する必要がある。しかし、駅中間部では先行列車も進行するので、理論的にはそれほど大きな運転時隔をとらなくてもよい。しかし、実際の運行計画を作成するに当たっては、線区全体でスムーズな運行を確保するため、最も長く停車する駅(以下、「最長停車駅」という。)について要求される最小運転時隔以上の運転時隔を線区全体に一律に適用している。
【0003】
ところで、この運行計画を作成する上で基準となる運転時隔(以下、「基準運転時隔」という。)をできるだけ小さくすることができれば、輸送能力をアップすることができる。しかし、基準運転時隔を最長停車駅で要求される最小運転時隔ぎりぎりに設定して運行計画を組むと、当該最長停車駅部での余裕が小さくなり、列車の遅延が発生しやすくなる。そして、この列車の遅延は、拡大しながら後続列車に波及し、「遅延発散現象」というべき現象を生じさせるという問題があった。
【0004】
このため、このような遅延発散現象を回避するため、従来は、運行計画の基準運転時隔に十分な余裕を持たせるようにしており、単位時間当りに運行される列車本数を増大することができず、線区の輸送能力を向上させることができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、線区の輸送能力を高めるべく運行計画を左右する基準運転時隔を短くしても遅延発散現象を回避できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段、発明の実施の形態及び発明の効果】
本発明の列車運転時隔制御方法は、線区に対して定められる所定の運転時隔(基準運転時隔)に基づいて運行計画を設定し、該運行計画に基づいて各列車の位置・速度制御を行うことで前記運転時隔での列車の運行を行うようにした列車運転時隔制御方法において、先行列車に遅延が発生した場合には、後続列車に対する位置・速度制御を、先行列車との運転時隔を増大させるように、局所的に変更することを特徴とする。換言すれば、先行列車に遅延が発生した場合には、先行列車と後続列車との間の地点に対する後続列車の到達時刻を運行計画から意図的に遅延させるように、後続列車の位置・速度制御を運行計画に基づく位置・速度制御とは局所的に異ならしめるのである。
【0007】
ここで、この列車運転時隔制御方法において、先行列車の遅延の程度、後続列車の現在位置について必要となる最小運転時隔及び後続列車の余裕時分を考慮して、前記位置・速度制御の局所的な変更の目標を決定するとよい。後続列車の運転時隔を真に増大させる必要があるときにだけこれを行えば足りるからである。
【0008】
例えば、先行列車が運行計画から見ると多少遅延しているけれども、それほど重大な遅延でないなら、後続列車の運転時隔を増大させないでもよい。また、後続列車の現在位置について必要となる最小運転時隔が非常に短い場合には、後続列車が先行列車によって速度制限を受けるまでかなり余裕があることになるから、運転時隔をそのままにしておいてもよい。あるいは、後続列車が運行計画に対して余裕時分を有するなら、運転時隔を思いきり大きく増大させてもよい。こういった具合いに、先行列車の遅延に対する後続列車の運転時隔の調整は、状況に応じて、ダイナミックに実施すればよいのである。
【0009】
ところで、このような後続列車に対するダイナミックな運転時隔の増大を行わない場合、何等かの異常によって先行列車が停車してしまったようなときに、後続列車が次々と連なって停車してしまい団子状態となってしまう。こうなると、先行列車が再出発したとしても、後続列車はその直前の列車との間に十分な間隔が保てるようになるまで出発・加速をすることができない。一旦停車してしまった列車を再出発させて加速するには時間がかかるため、団子状態の列車群の最後尾の列車を所望の速度まで加速するには非常に長い時間がかかってしまう。これが遅延発散現象である。
【0010】
これに対し、本発明方法によれば、先行列車が駅で必要以上に長時間停車し続けている状態とか、駅中間部で停車してしまったような場合には、後続列車の運転時隔をダイナミックに増大させ、停車中の先行列車の直後に後続列車群の団子ができてしまわないようにするのである。そして、列車群の団子が形成され難くなるので、後続列車群の再加速は走行状態から開始でき、最後尾の列車が所望の速度に復帰するまでの時間はむしろ短くなるのである。そして、このように、遅延の発生時にダイナミックに対応する方法を採用しているので、当該線区の運行計画の基準運転時隔を、例えば最長停車駅での必要最小運転時隔にできるだけ近い値をとってもよくなるのである。この結果、本発明によれば、線区の高密度輸送を可能にし、輸送能力を高めることができるという効果を奏する。
【0011】
こうして運転時隔をダイナミックに制御した後、上記の列車運転時隔制御方法においては、先行列車の遅延回復に伴い、元の運行計画に復帰若しくは近づけるように、後続列車に対する位置・速度制御を、先行列車との運転時隔を短縮するように変更し直すようにしておくと一層よい。
【0012】
なお、より具体的には、上述した様な本発明の列車運転時隔制御方法において、後続列車の速度低下または駅停車時間の延長により前記運転時隔の増大を図り、後続列車の惰行運転区間において力行運転を行わせることで前記運転時隔の短縮を図るようにするとよい。
【0013】
これら本発明の方法を実施するには、線区に対して定められる所定の運転時隔(基準運転時隔)に基づいて運行計画を設定し、該運行計画に基づいて各列車の位置・速度制御を行うことで前記運転時隔での列車の運行を行うようにした列車運転時隔制御装置において、線区内における列車の遅延に関する情報を取得する遅延情報取得手段と、該遅延を起こしている列車と後続列車との運転時隔を、前記遅延に関する情報に応じて増大するように、新たな運転時隔の目標値を与える遅延時目標値付与手段と、該与えられた新たな運転時隔の目標値に従って、前記後続列車に対する位置・速度制御の条件を局所的に異なった条件に変更する遅延時制御条件変更手段とを備えることを特徴とする列車運転時隔制御装置を用いるとよい。
【0014】
遅延の情報は、各列車の位置・速度情報を時間軸に沿って解析することにより検知するようにしてもよい。例えば、先行列車が駅で停車し始めたことを位置・速度情報から識別し、その状態が予定の停車時間を越えて継続しているときに遅延が発生していると検知したり、本来停車するはずのない駅中間部において速度0の列車があるとき、これを遅延として検知したりすればよいのである。また、こうした列車の停車に限らず、位置・速度情報と運行計画とを比較して走行中の列車の遅延を検知するようにしてもよい。そして、停車してしまったような遅延であるのか、走行速度が低下しているような遅延であるのかといったことにより、その遅延の程度をも情報として取得するようにしてもよい。
【0015】
この列車運転時隔制御装置によれば、先行列車の遅延に応じて後続列車に対しする運転時隔の目標値をダイナミックに変更する。そして、この目標値の変更に合わせて、後続列車の速度を低下させたり、後続列車の駅停車時間を長引かせるなどして、運転時隔の増大を図ることになる。
【0016】
従って、この列車運転時隔制御装置においても、前記遅延時目標値付与手段は、先行列車の遅延の程度、後続列車の現在位置について必要となる最小運転時隔及び現在の余裕時分に基づいて前記新たな目標値を決定するようにするとよく、また、先行列車の遅延が回復するに伴い、前記後続列車に対して、先行列車との運転時隔を短縮するように新たな運転時隔の目標値を与える回復時目標値付与手段と、該与えられた新たな運転時隔の目標値に従って、前記後続列車に対する位置・速度制御の条件を変更し直す回復時制御条件変更手段とを備えるようにするとよい。
【0017】
そして、より具体的には、線区に対して定められた所定の運転時隔に基づいて設定された運行計画に従い、線区内の各列車に対する位置・速度制御条件を決定する位置・速度制御条件決定手段と、線区内の各列車の位置・速度情報を取得する位置・速度情報取得手段と、該取得した各列車の位置・速度情報と前記運行計画とを照合し、線区内の列車に遅延が発生したか否かを判別する遅延判別手段と、遅延の発生が判別された場合、遅延を起こした列車の位置・速度情報に基づいて遅延発生場所及び遅延の程度を含む遅延情報を求める遅延情報演算手段と、前記遅延を起こした列車に後続する列車の位置・速度情報に基づいて、当該後続列車の現在位置について必要な最小運転時隔と、当該後続列車の運行計画上の余裕時分とを含む後続列車の情報を求める後続列車情報演算手段と、該後続列車の情報と、前記遅延情報との関係から、先行列車に対して当該後続列車がとるべき運転時隔の目標値を増大させる遅延時目標値演算手段と、前記遅延を起こした列車の位置・速度情報から、遅延の回復状態を判別する遅延回復状態判別手段と、該遅延の回復状態に応じて、前記遅延時目標値演算手段が求めた運転時隔の目標値を短縮させる回復時目標値演算手段と、前記遅延時目標値演算手段または回復時目標値演算手段の求めた運転時隔の目標値に従って、前記後続列車に対する位置・速度制御の条件を局所的に異なった条件に変更する制御条件変更手段とを備えたことを特徴とする列車運転時隔制御装置を用いるとよい。
【0018】
なお、位置・速度情報取得手段としては、例えば、各列車に速度発電機を装備しておき、これからの速度信号を取得し、速度を積分して走行距離を求め、キロ程(東京駅を0キロとした距離)に換算して位置を取得するといった構成を採用することができる。また、地上側に位置検出装置を設置しておき、各列車の位置を常時検出しておき単位時間当りの位置の変化から速度を求めるようにしてもよい。もちろん、これに限らず、様々な位置・速度情報取得手段を採用できる。
【0019】
この具体的な列車運転時隔制御装置によれば、線区内において何等遅延の発生もない正常な運行が維持されている場合には、基準運転時隔を維持するように各列車の位置・速度制御がなされる。そして、いずれかの列車に遅延が発生すると、当該列車の位置・速度情報に前述したような異常、繰り返すと、駅中間部で速度0の状態、運行計画に比べて極端に遅い速度、長時間に渡る停車、…などが発見でき、これよりに遅延の発生場所と遅延の程度とを検知することができるでのある。そして、遅延発生場所から、後続列車を特定し、この後続列車の位置・速度情報から当該後続列車が現在どの位置をどのような速度で走行(あるいは停車)しているかを検知する。こうして、後続列車の現在位置や走行状態が判明することにより、後続列車についての現在の必要最小時隔や運行計画に対する余裕時分等を求めることができる。
【0020】
こうして遅延に関する情報と後続列車に関する情報とが整えば、これらを比較して、後続列車が先行列車による速度制限を受けて停車してしまわないように遅延させる条件を求めることができる。これにより、運転時隔を増大させる目標値が求められるのである。
【0021】
また、この後も、遅延を起こしている列車の位置・速度情報をチェックすることで、遅延が回復し始めたか否かや、どの程度回復したのかといったことを容易に知ることができる。そして、遅延回復に伴い、後続列車の運転時隔を増大させておく必要がなくなるので、今度は、逆に、後続列車の運転時隔を、可能な範囲内で短縮し、これまでの線区全体の遅延を解消するための運転時隔の目標値を求めるのである。
【0022】
そして、これら遅延の発生から回復を通じて求められる運転時隔の目標値に従い、後続列車の位置・速度制御の条件を、本来の運行計画とは異なる条件へと一時的にダイナミックに変更するのである。
ここでの位置・速度制御の条件の変更の仕方は、前に述べたように、後続列車の速度低下または駅停車時間の延長により前記運転時隔の増大を図り、後続列車の惰行運転区間において力行運転を行わせることで前記運転時隔の短縮を図るように位置・速度制御の条件を決定すればよい。
【0023】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
実施例は、電気鉄道における地上制御方式のATO(automatic train operation)システムに係り、図1に示す様に、各列車TR0,TR1,…とATOコンピュータ10との間での情報を伝送するための地上車上間情報伝送装置20が軌道RLに沿って設置されている。この地上車上間情報伝送装置20を介して、ATOコンピュータ10は、各列車TR0,TR1,…の位置・速度情報Q1を入力し、各列車TR0,TR1,…に対しての速度制御指令Q0を出力する。なお、地上車上間情報伝送装置20は、例えば軌道RLに沿って敷設される誘導線や、列車無線などによって構成することができる。
【0024】
ATOコンピュータ10は概念的にいうと、図2に示す様に、各列車からの位置・速度情報Q1を入力し、情報の統合を行う情報統合部11と、この情報統合部11において統合された情報に基づいて、運転時隔制御のための条件を論理的に決定する時隔制御決定論理部13と、こうして決定された運転時隔制御の条件に従って、各列車に対する速度制御指令Q0を出力する列車制御部15とを備えている。なお、こうした運転時隔制御以外にも、ATOコンピュータ10は、情報統合部11で統合した情報に基づいて、各列車に対する速度制限等のATOシステムにおいて通常行われている各種制御をも行っていることはもちろんであるが、それらの制御については一般的なシステムと同様であるので、説明は省略する。
【0025】
時隔制御決定論理部13には、当該線区に対する最小運転時隔に基づいて、正常運転時の各列車の位置・速度制御条件が、時間軸に対して登録された運行ダイヤグラムが記憶されている。この運行ダイヤグラムは、最小運転時隔で次々と列車を運行することができるように決定されている。
【0026】
時隔制御決定論理部13は、情報統合部11から入力される各列車の位置・速度情報に基づいて、次のような論理により、運転時隔制御の条件を決定する。
図3に示す様に、まず、位置・速度情報と運行ダイヤグラムとを比較し、遅延を起こしている列車があるか否かを判定する(S10)。具体的には、現在時刻における各列車の位置・速度が、これに対応する運行ダイヤグラム上の位置・速度に対して、所定以上に遅延方向にずれている場合に遅延発生と判定する。例えば、現在時刻における列車の位置はあっているのであるが、速度が所定以上に遅くなってしまっている場合とか、運行ダイヤグラムに対して、位置の方が所定以上にずれている場合など、位置又は速度のいずれかが正常な状態で予測される条件から所定以上にずれている列車を遅延と判定することができる。
【0027】
遅延発生と判定された場合には、遅延の発生している場所と、遅延の程度とを算出する(S20)。遅延の程度は、例えば、運行ダイヤグラムに対する遅延時分として算出することができる。
遅延の発生場所と遅延の程度が算出できたら、当該遅延を起こしている列車とその直後に後続する列車との間に確保すべき運転時隔の新たな目標値を設定する(S30)。この新たな目標値は、前記算出した遅延時分に、遅延発生場所近傍についてだけ着目した場合の最小運転時隔を加え、後続列車が運行ダイヤグラムに対して余裕時分を有する場合には、これをも加えた値とする。なお、余裕時分がマイナスの場合には、これを加算しない。
【0028】
この遅延発生場所近傍についてだけ着目した最小運転時隔は、例えば、次の様に決定することができる。まず、遅延列車が現在の速度で走行しているとき、後続列車が運行ダイヤグラム通りに進んで来たときに速度制限により非常ブレーキを作動させてしまう地点を特定する。そして、当該地点と遅延列車の現在位置との間を、遅延列車の現在の速度で走行した場合に必要な運転時間を局所的な最小運転時隔として決定する。
【0029】
こうして後続列車の新たな運転時隔目標が設定されたら、この新たな運転時隔目標と本来の線区全体に定められている最小運転時隔との差を求め(S40)、この差に対応して、後続列車の現在位置から遅延列車の現在位置までの間の各地点に対して本来の運行ダイヤグラムにて予定されていた到達時刻よりも遅い到達時刻となる様に、後続列車に運行ダイヤグラムを局所的に変更する(S50)。そして、この局所的に変更された運行ダイヤグラムに基づいて、後続列車の位置・速度制御条件を決定し直す(S60)。
【0030】
この場合、例えば、図4に示す様に、後続列車の速度を低下せしめて、本来予定されていた時刻t1における運行ダイヤグラム上の位置・速度ポイントを図示点線の如くに遅延させるように、位置・速度制御ポイントを局所的に変更するのである。あるいは、遅延を起こしている先行列車と後続列車との間に停車駅が存在する場合には、当該停車駅での出発時刻を遅らせるように運行ダイヤグラムを局所的に変更してやるのである。
【0031】
こうして遅延列車に後続する列車を故意に遅らせたら、前記遅延を起こしている列車が回復運転を開始したか否かを、やはり、位置・速度情報に基づいて判定する(S70)。今度の判定は、位置・速度情報の時間的な変化を捉え、先行列車が加速を始めた様な場合に遅延回復運転が開始されたと判定する。遅延回復運転が開始されるまでは、S10以下の処理を繰り返す。遅延回復運転が開始されたら、次の処理へ移行する。
【0032】
次の処理では、まず、後続列車に対する回復運転条件を決定する(S80)。回復運転に当たっては、先行列車との間に後続列車が惰行運転を行う区間がある場合には、当該区間に対する位置・速度制御条件を「惰行運転」から「力行運転」に変更する。また、間に停車駅がある場合には、当該駅における停車時間を最短時間まで短縮するようにする。こうして、後続列車については、線区内において本来予定されていた走行条件を変更して、遅延回復を図るのである。
【0033】
後続列車に対する遅延回復運転が開始されたら、後続列車と先行列車との運転時隔が最小運転時隔まで短縮されたか否かを判定する(S90)。短縮されたと判定された場合には、線区に対して本来予定されていたような位置・速度制御の条件に従って後続列車の運行を行うように、本ルーチンを抜ける。
【0034】
以上説明した実施例によれば、ある列車に遅延が発生した場合、これに後続する列車が近づき過ぎない様に、予め速度を低下させたり、駅での停車時間を長くする。この結果、遅延列車に後続列車が近づき過ぎてしまうことがない。従って、後続列車は先行列車に対して十分な間隔をもっているので、先行列車の遅延回復運転の開始に合わせて、後続列車にも直ちに遅延回復運転を開始させることができる。
【0035】
こうしたダイナミックな運転時隔制御を行わない場合、先行列車の遅延により、次々と後続列車が速度制限を受けて非常停車してしまう。そして、各列車が近づき過ぎているため、先行列車が遅延回復運転を開始しても、後続列車が直ちに遅延回復運転を行うことができない。この結果、後続列車の遅延が次々と後ろの列車へと波及し、遅延を発散させてしまう。
【0036】
このため、こうしたダイナミックな運転時隔制御を行わない場合には、遅延の発散を防止するため、元々の運転時隔に十分大きめの余裕を見込める様に運行ダイヤグラムを組むこととなり、結局、高密度化に限界が生じていたのである。
これに対し、上述の実施例では、遅延の後方への発散減少を防止できるので、元々の運行ダイヤグラム作成時の最小運転時隔をぎりぎりに設定することも可能になる。この結果、より高密度の列車運行を可能ならしめるのである。
【0037】
以上、本発明の一実施例を説明したが、他の態様にて本発明を実施してもよく、そうした態様も本発明の要旨を逸脱しない限りは本発明の技術的範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のシステムの全体構成図である。
【図2】実施例のシステムのATOコンピュータの要部の構成図である。
【図3】実施例におけるメインルーチンのフローチャートである。
【図4】実施例における後続列車の遅延方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
10・・・ATOコンピュータ、11・・・情報統合部、13・・・出発手順決定論理部、15・・・出発制御部、20・・・地上車上間情報伝送装置、TR0〜TR3・・・列車。
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車群の運転時隔の制御に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
列車の運行制御に当たっては、列車と列車の間隔を時間にしてどの程度開ける必要があるかを考慮する必要がある。この列車同士の時間の間隔は運転時隔と呼ばれ、後続列車が先行列車による速度制限を受けることなく運行するのに必要最小限の運転時隔を最小運転時隔とよんでいる。この最小運転時隔は、例えば、駅部では停車時間に応じた大きな値に設定する必要がある。しかし、駅中間部では先行列車も進行するので、理論的にはそれほど大きな運転時隔をとらなくてもよい。しかし、実際の運行計画を作成するに当たっては、線区全体でスムーズな運行を確保するため、最も長く停車する駅(以下、「最長停車駅」という。)について要求される最小運転時隔以上の運転時隔を線区全体に一律に適用している。
【0003】
ところで、この運行計画を作成する上で基準となる運転時隔(以下、「基準運転時隔」という。)をできるだけ小さくすることができれば、輸送能力をアップすることができる。しかし、基準運転時隔を最長停車駅で要求される最小運転時隔ぎりぎりに設定して運行計画を組むと、当該最長停車駅部での余裕が小さくなり、列車の遅延が発生しやすくなる。そして、この列車の遅延は、拡大しながら後続列車に波及し、「遅延発散現象」というべき現象を生じさせるという問題があった。
【0004】
このため、このような遅延発散現象を回避するため、従来は、運行計画の基準運転時隔に十分な余裕を持たせるようにしており、単位時間当りに運行される列車本数を増大することができず、線区の輸送能力を向上させることができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、線区の輸送能力を高めるべく運行計画を左右する基準運転時隔を短くしても遅延発散現象を回避できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段、発明の実施の形態及び発明の効果】
本発明の列車運転時隔制御方法は、線区に対して定められる所定の運転時隔(基準運転時隔)に基づいて運行計画を設定し、該運行計画に基づいて各列車の位置・速度制御を行うことで前記運転時隔での列車の運行を行うようにした列車運転時隔制御方法において、先行列車に遅延が発生した場合には、後続列車に対する位置・速度制御を、先行列車との運転時隔を増大させるように、局所的に変更することを特徴とする。換言すれば、先行列車に遅延が発生した場合には、先行列車と後続列車との間の地点に対する後続列車の到達時刻を運行計画から意図的に遅延させるように、後続列車の位置・速度制御を運行計画に基づく位置・速度制御とは局所的に異ならしめるのである。
【0007】
ここで、この列車運転時隔制御方法において、先行列車の遅延の程度、後続列車の現在位置について必要となる最小運転時隔及び後続列車の余裕時分を考慮して、前記位置・速度制御の局所的な変更の目標を決定するとよい。後続列車の運転時隔を真に増大させる必要があるときにだけこれを行えば足りるからである。
【0008】
例えば、先行列車が運行計画から見ると多少遅延しているけれども、それほど重大な遅延でないなら、後続列車の運転時隔を増大させないでもよい。また、後続列車の現在位置について必要となる最小運転時隔が非常に短い場合には、後続列車が先行列車によって速度制限を受けるまでかなり余裕があることになるから、運転時隔をそのままにしておいてもよい。あるいは、後続列車が運行計画に対して余裕時分を有するなら、運転時隔を思いきり大きく増大させてもよい。こういった具合いに、先行列車の遅延に対する後続列車の運転時隔の調整は、状況に応じて、ダイナミックに実施すればよいのである。
【0009】
ところで、このような後続列車に対するダイナミックな運転時隔の増大を行わない場合、何等かの異常によって先行列車が停車してしまったようなときに、後続列車が次々と連なって停車してしまい団子状態となってしまう。こうなると、先行列車が再出発したとしても、後続列車はその直前の列車との間に十分な間隔が保てるようになるまで出発・加速をすることができない。一旦停車してしまった列車を再出発させて加速するには時間がかかるため、団子状態の列車群の最後尾の列車を所望の速度まで加速するには非常に長い時間がかかってしまう。これが遅延発散現象である。
【0010】
これに対し、本発明方法によれば、先行列車が駅で必要以上に長時間停車し続けている状態とか、駅中間部で停車してしまったような場合には、後続列車の運転時隔をダイナミックに増大させ、停車中の先行列車の直後に後続列車群の団子ができてしまわないようにするのである。そして、列車群の団子が形成され難くなるので、後続列車群の再加速は走行状態から開始でき、最後尾の列車が所望の速度に復帰するまでの時間はむしろ短くなるのである。そして、このように、遅延の発生時にダイナミックに対応する方法を採用しているので、当該線区の運行計画の基準運転時隔を、例えば最長停車駅での必要最小運転時隔にできるだけ近い値をとってもよくなるのである。この結果、本発明によれば、線区の高密度輸送を可能にし、輸送能力を高めることができるという効果を奏する。
【0011】
こうして運転時隔をダイナミックに制御した後、上記の列車運転時隔制御方法においては、先行列車の遅延回復に伴い、元の運行計画に復帰若しくは近づけるように、後続列車に対する位置・速度制御を、先行列車との運転時隔を短縮するように変更し直すようにしておくと一層よい。
【0012】
なお、より具体的には、上述した様な本発明の列車運転時隔制御方法において、後続列車の速度低下または駅停車時間の延長により前記運転時隔の増大を図り、後続列車の惰行運転区間において力行運転を行わせることで前記運転時隔の短縮を図るようにするとよい。
【0013】
これら本発明の方法を実施するには、線区に対して定められる所定の運転時隔(基準運転時隔)に基づいて運行計画を設定し、該運行計画に基づいて各列車の位置・速度制御を行うことで前記運転時隔での列車の運行を行うようにした列車運転時隔制御装置において、線区内における列車の遅延に関する情報を取得する遅延情報取得手段と、該遅延を起こしている列車と後続列車との運転時隔を、前記遅延に関する情報に応じて増大するように、新たな運転時隔の目標値を与える遅延時目標値付与手段と、該与えられた新たな運転時隔の目標値に従って、前記後続列車に対する位置・速度制御の条件を局所的に異なった条件に変更する遅延時制御条件変更手段とを備えることを特徴とする列車運転時隔制御装置を用いるとよい。
【0014】
遅延の情報は、各列車の位置・速度情報を時間軸に沿って解析することにより検知するようにしてもよい。例えば、先行列車が駅で停車し始めたことを位置・速度情報から識別し、その状態が予定の停車時間を越えて継続しているときに遅延が発生していると検知したり、本来停車するはずのない駅中間部において速度0の列車があるとき、これを遅延として検知したりすればよいのである。また、こうした列車の停車に限らず、位置・速度情報と運行計画とを比較して走行中の列車の遅延を検知するようにしてもよい。そして、停車してしまったような遅延であるのか、走行速度が低下しているような遅延であるのかといったことにより、その遅延の程度をも情報として取得するようにしてもよい。
【0015】
この列車運転時隔制御装置によれば、先行列車の遅延に応じて後続列車に対しする運転時隔の目標値をダイナミックに変更する。そして、この目標値の変更に合わせて、後続列車の速度を低下させたり、後続列車の駅停車時間を長引かせるなどして、運転時隔の増大を図ることになる。
【0016】
従って、この列車運転時隔制御装置においても、前記遅延時目標値付与手段は、先行列車の遅延の程度、後続列車の現在位置について必要となる最小運転時隔及び現在の余裕時分に基づいて前記新たな目標値を決定するようにするとよく、また、先行列車の遅延が回復するに伴い、前記後続列車に対して、先行列車との運転時隔を短縮するように新たな運転時隔の目標値を与える回復時目標値付与手段と、該与えられた新たな運転時隔の目標値に従って、前記後続列車に対する位置・速度制御の条件を変更し直す回復時制御条件変更手段とを備えるようにするとよい。
【0017】
そして、より具体的には、線区に対して定められた所定の運転時隔に基づいて設定された運行計画に従い、線区内の各列車に対する位置・速度制御条件を決定する位置・速度制御条件決定手段と、線区内の各列車の位置・速度情報を取得する位置・速度情報取得手段と、該取得した各列車の位置・速度情報と前記運行計画とを照合し、線区内の列車に遅延が発生したか否かを判別する遅延判別手段と、遅延の発生が判別された場合、遅延を起こした列車の位置・速度情報に基づいて遅延発生場所及び遅延の程度を含む遅延情報を求める遅延情報演算手段と、前記遅延を起こした列車に後続する列車の位置・速度情報に基づいて、当該後続列車の現在位置について必要な最小運転時隔と、当該後続列車の運行計画上の余裕時分とを含む後続列車の情報を求める後続列車情報演算手段と、該後続列車の情報と、前記遅延情報との関係から、先行列車に対して当該後続列車がとるべき運転時隔の目標値を増大させる遅延時目標値演算手段と、前記遅延を起こした列車の位置・速度情報から、遅延の回復状態を判別する遅延回復状態判別手段と、該遅延の回復状態に応じて、前記遅延時目標値演算手段が求めた運転時隔の目標値を短縮させる回復時目標値演算手段と、前記遅延時目標値演算手段または回復時目標値演算手段の求めた運転時隔の目標値に従って、前記後続列車に対する位置・速度制御の条件を局所的に異なった条件に変更する制御条件変更手段とを備えたことを特徴とする列車運転時隔制御装置を用いるとよい。
【0018】
なお、位置・速度情報取得手段としては、例えば、各列車に速度発電機を装備しておき、これからの速度信号を取得し、速度を積分して走行距離を求め、キロ程(東京駅を0キロとした距離)に換算して位置を取得するといった構成を採用することができる。また、地上側に位置検出装置を設置しておき、各列車の位置を常時検出しておき単位時間当りの位置の変化から速度を求めるようにしてもよい。もちろん、これに限らず、様々な位置・速度情報取得手段を採用できる。
【0019】
この具体的な列車運転時隔制御装置によれば、線区内において何等遅延の発生もない正常な運行が維持されている場合には、基準運転時隔を維持するように各列車の位置・速度制御がなされる。そして、いずれかの列車に遅延が発生すると、当該列車の位置・速度情報に前述したような異常、繰り返すと、駅中間部で速度0の状態、運行計画に比べて極端に遅い速度、長時間に渡る停車、…などが発見でき、これよりに遅延の発生場所と遅延の程度とを検知することができるでのある。そして、遅延発生場所から、後続列車を特定し、この後続列車の位置・速度情報から当該後続列車が現在どの位置をどのような速度で走行(あるいは停車)しているかを検知する。こうして、後続列車の現在位置や走行状態が判明することにより、後続列車についての現在の必要最小時隔や運行計画に対する余裕時分等を求めることができる。
【0020】
こうして遅延に関する情報と後続列車に関する情報とが整えば、これらを比較して、後続列車が先行列車による速度制限を受けて停車してしまわないように遅延させる条件を求めることができる。これにより、運転時隔を増大させる目標値が求められるのである。
【0021】
また、この後も、遅延を起こしている列車の位置・速度情報をチェックすることで、遅延が回復し始めたか否かや、どの程度回復したのかといったことを容易に知ることができる。そして、遅延回復に伴い、後続列車の運転時隔を増大させておく必要がなくなるので、今度は、逆に、後続列車の運転時隔を、可能な範囲内で短縮し、これまでの線区全体の遅延を解消するための運転時隔の目標値を求めるのである。
【0022】
そして、これら遅延の発生から回復を通じて求められる運転時隔の目標値に従い、後続列車の位置・速度制御の条件を、本来の運行計画とは異なる条件へと一時的にダイナミックに変更するのである。
ここでの位置・速度制御の条件の変更の仕方は、前に述べたように、後続列車の速度低下または駅停車時間の延長により前記運転時隔の増大を図り、後続列車の惰行運転区間において力行運転を行わせることで前記運転時隔の短縮を図るように位置・速度制御の条件を決定すればよい。
【0023】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
実施例は、電気鉄道における地上制御方式のATO(automatic train operation)システムに係り、図1に示す様に、各列車TR0,TR1,…とATOコンピュータ10との間での情報を伝送するための地上車上間情報伝送装置20が軌道RLに沿って設置されている。この地上車上間情報伝送装置20を介して、ATOコンピュータ10は、各列車TR0,TR1,…の位置・速度情報Q1を入力し、各列車TR0,TR1,…に対しての速度制御指令Q0を出力する。なお、地上車上間情報伝送装置20は、例えば軌道RLに沿って敷設される誘導線や、列車無線などによって構成することができる。
【0024】
ATOコンピュータ10は概念的にいうと、図2に示す様に、各列車からの位置・速度情報Q1を入力し、情報の統合を行う情報統合部11と、この情報統合部11において統合された情報に基づいて、運転時隔制御のための条件を論理的に決定する時隔制御決定論理部13と、こうして決定された運転時隔制御の条件に従って、各列車に対する速度制御指令Q0を出力する列車制御部15とを備えている。なお、こうした運転時隔制御以外にも、ATOコンピュータ10は、情報統合部11で統合した情報に基づいて、各列車に対する速度制限等のATOシステムにおいて通常行われている各種制御をも行っていることはもちろんであるが、それらの制御については一般的なシステムと同様であるので、説明は省略する。
【0025】
時隔制御決定論理部13には、当該線区に対する最小運転時隔に基づいて、正常運転時の各列車の位置・速度制御条件が、時間軸に対して登録された運行ダイヤグラムが記憶されている。この運行ダイヤグラムは、最小運転時隔で次々と列車を運行することができるように決定されている。
【0026】
時隔制御決定論理部13は、情報統合部11から入力される各列車の位置・速度情報に基づいて、次のような論理により、運転時隔制御の条件を決定する。
図3に示す様に、まず、位置・速度情報と運行ダイヤグラムとを比較し、遅延を起こしている列車があるか否かを判定する(S10)。具体的には、現在時刻における各列車の位置・速度が、これに対応する運行ダイヤグラム上の位置・速度に対して、所定以上に遅延方向にずれている場合に遅延発生と判定する。例えば、現在時刻における列車の位置はあっているのであるが、速度が所定以上に遅くなってしまっている場合とか、運行ダイヤグラムに対して、位置の方が所定以上にずれている場合など、位置又は速度のいずれかが正常な状態で予測される条件から所定以上にずれている列車を遅延と判定することができる。
【0027】
遅延発生と判定された場合には、遅延の発生している場所と、遅延の程度とを算出する(S20)。遅延の程度は、例えば、運行ダイヤグラムに対する遅延時分として算出することができる。
遅延の発生場所と遅延の程度が算出できたら、当該遅延を起こしている列車とその直後に後続する列車との間に確保すべき運転時隔の新たな目標値を設定する(S30)。この新たな目標値は、前記算出した遅延時分に、遅延発生場所近傍についてだけ着目した場合の最小運転時隔を加え、後続列車が運行ダイヤグラムに対して余裕時分を有する場合には、これをも加えた値とする。なお、余裕時分がマイナスの場合には、これを加算しない。
【0028】
この遅延発生場所近傍についてだけ着目した最小運転時隔は、例えば、次の様に決定することができる。まず、遅延列車が現在の速度で走行しているとき、後続列車が運行ダイヤグラム通りに進んで来たときに速度制限により非常ブレーキを作動させてしまう地点を特定する。そして、当該地点と遅延列車の現在位置との間を、遅延列車の現在の速度で走行した場合に必要な運転時間を局所的な最小運転時隔として決定する。
【0029】
こうして後続列車の新たな運転時隔目標が設定されたら、この新たな運転時隔目標と本来の線区全体に定められている最小運転時隔との差を求め(S40)、この差に対応して、後続列車の現在位置から遅延列車の現在位置までの間の各地点に対して本来の運行ダイヤグラムにて予定されていた到達時刻よりも遅い到達時刻となる様に、後続列車に運行ダイヤグラムを局所的に変更する(S50)。そして、この局所的に変更された運行ダイヤグラムに基づいて、後続列車の位置・速度制御条件を決定し直す(S60)。
【0030】
この場合、例えば、図4に示す様に、後続列車の速度を低下せしめて、本来予定されていた時刻t1における運行ダイヤグラム上の位置・速度ポイントを図示点線の如くに遅延させるように、位置・速度制御ポイントを局所的に変更するのである。あるいは、遅延を起こしている先行列車と後続列車との間に停車駅が存在する場合には、当該停車駅での出発時刻を遅らせるように運行ダイヤグラムを局所的に変更してやるのである。
【0031】
こうして遅延列車に後続する列車を故意に遅らせたら、前記遅延を起こしている列車が回復運転を開始したか否かを、やはり、位置・速度情報に基づいて判定する(S70)。今度の判定は、位置・速度情報の時間的な変化を捉え、先行列車が加速を始めた様な場合に遅延回復運転が開始されたと判定する。遅延回復運転が開始されるまでは、S10以下の処理を繰り返す。遅延回復運転が開始されたら、次の処理へ移行する。
【0032】
次の処理では、まず、後続列車に対する回復運転条件を決定する(S80)。回復運転に当たっては、先行列車との間に後続列車が惰行運転を行う区間がある場合には、当該区間に対する位置・速度制御条件を「惰行運転」から「力行運転」に変更する。また、間に停車駅がある場合には、当該駅における停車時間を最短時間まで短縮するようにする。こうして、後続列車については、線区内において本来予定されていた走行条件を変更して、遅延回復を図るのである。
【0033】
後続列車に対する遅延回復運転が開始されたら、後続列車と先行列車との運転時隔が最小運転時隔まで短縮されたか否かを判定する(S90)。短縮されたと判定された場合には、線区に対して本来予定されていたような位置・速度制御の条件に従って後続列車の運行を行うように、本ルーチンを抜ける。
【0034】
以上説明した実施例によれば、ある列車に遅延が発生した場合、これに後続する列車が近づき過ぎない様に、予め速度を低下させたり、駅での停車時間を長くする。この結果、遅延列車に後続列車が近づき過ぎてしまうことがない。従って、後続列車は先行列車に対して十分な間隔をもっているので、先行列車の遅延回復運転の開始に合わせて、後続列車にも直ちに遅延回復運転を開始させることができる。
【0035】
こうしたダイナミックな運転時隔制御を行わない場合、先行列車の遅延により、次々と後続列車が速度制限を受けて非常停車してしまう。そして、各列車が近づき過ぎているため、先行列車が遅延回復運転を開始しても、後続列車が直ちに遅延回復運転を行うことができない。この結果、後続列車の遅延が次々と後ろの列車へと波及し、遅延を発散させてしまう。
【0036】
このため、こうしたダイナミックな運転時隔制御を行わない場合には、遅延の発散を防止するため、元々の運転時隔に十分大きめの余裕を見込める様に運行ダイヤグラムを組むこととなり、結局、高密度化に限界が生じていたのである。
これに対し、上述の実施例では、遅延の後方への発散減少を防止できるので、元々の運行ダイヤグラム作成時の最小運転時隔をぎりぎりに設定することも可能になる。この結果、より高密度の列車運行を可能ならしめるのである。
【0037】
以上、本発明の一実施例を説明したが、他の態様にて本発明を実施してもよく、そうした態様も本発明の要旨を逸脱しない限りは本発明の技術的範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のシステムの全体構成図である。
【図2】実施例のシステムのATOコンピュータの要部の構成図である。
【図3】実施例におけるメインルーチンのフローチャートである。
【図4】実施例における後続列車の遅延方法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
10・・・ATOコンピュータ、11・・・情報統合部、13・・・出発手順決定論理部、15・・・出発制御部、20・・・地上車上間情報伝送装置、TR0〜TR3・・・列車。
Claims (8)
- 線区に対して定められる所定の運転時隔に基づいて運行計画を設定し、該運行計画に基づいて各列車の位置・速度制御を行うことで前記運転時隔での列車の運行を行うようにした列車運転時隔制御方法において、
先行列車に遅延が発生した場合には、後続列車に対する位置・速度制御を、先行列車との運転時隔を増大させるように、局所的に変更することを特徴とする列車運転時隔制御方法。 - 請求項1記載の列車運転時隔制御方法において、先行列車の遅延の程度、後続列車の現在位置について必要となる最小運転時隔及び後続列車の余裕時分を考慮して、前記位置・速度制御の局所的な変更の目標を決定することを特徴とする列車運転時隔制御方法。
- 請求項1又は2記載の列車運転時隔制御方法において、先行列車の遅延回復に伴い、元の運行計画に復帰若しくは近づけるように、後続列車に対する位置・速度制御を、先行列車との運転時隔を短縮するように変更し直すことを特徴とする列車運転時隔制御方法。
- 請求項3記載の列車運転時隔制御方法において、後続列車の速度低下または駅停車時間の延長により前記運転時隔の増大を図り、後続列車の惰行運転区間において力行運転を行わせることで前記運転時隔の短縮を図ることを特徴とする列車運転時隔制御方法。
- 線区に対して定められる所定の運転時隔に基づいて運行計画を設定し、該運行計画に基づいて各列車の位置・速度制御を行うことで前記運転時隔での列車の運行を行うようにした列車運転時隔制御装置において、
線区内における列車の遅延に関する情報を取得する遅延情報取得手段と、
該遅延を起こしている列車と後続列車との運転時隔を、前記遅延に関する情報に応じて増大するように、新たな運転時隔の目標値を与える遅延時目標値付与手段と、
該与えられた新たな運転時隔の目標値に従って、前記後続列車に対する位置・速度制御の条件を局所的に異なった条件に変更する遅延時制御条件変更手段と
を備えることを特徴とする列車運転時隔制御装置。 - 請求項5記載の列車運転時隔制御装置において、前記遅延時目標値付与手段は、先行列車の遅延の程度、後続列車の現在位置について必要となる最小運転時隔及び現在の余裕時分に基づいて前記新たな目標値を決定することを特徴とする列車運転時隔制御装置。
- 請求項5又は6記載の列車運転時隔制御装置において、
先行列車の遅延が回復するに伴い、前記後続列車に対して、先行列車との運転時隔を短縮するように新たな運転時隔の目標値を与える回復時目標値付与手段と、
該与えられた新たな運転時隔の目標値に従って、前記後続列車に対する位置・速度制御の条件を変更し直す回復時制御条件変更手段と
を備えることを特徴とする列車運転時隔制御装置。 - 線区に対して定められた所定の運転時隔に基づいて設定された運行計画に従い、線区内の各列車に対する位置・速度制御条件を決定する位置・速度制御条件決定手段と、
線区内の各列車の位置・速度情報を取得する位置・速度情報取得手段と、
該取得した各列車の位置・速度情報と前記運行計画とを照合し、線区内の列車に遅延が発生したか否かを判別する遅延判別手段と、
遅延の発生が判別された場合、遅延を起こした列車の位置・速度情報に基づいて遅延発生場所及び遅延の程度を含む遅延情報を求める遅延情報演算手段と、
前記遅延を起こした列車に後続する列車の位置・速度情報に基づいて、当該後続列車の現在位置について必要な最小運転時隔と、当該後続列車の運行計画上の余裕時分とを含む後続列車の情報を求める後続列車情報演算手段と、
該後続列車の情報と、前記遅延情報との関係から、先行列車に対して当該後続列車がとるべき運転時隔の目標値を増大させる遅延時目標値演算手段と、
前記遅延を起こした列車の位置・速度情報から、遅延の回復状態を判別する遅延回復状態判別手段と、
該遅延の回復状態に応じて、前記遅延時目標値演算手段が求めた運転時隔の目標値を短縮させる回復時目標値演算手段と、
前記遅延時目標値演算手段または回復時目標値演算手段の求めた運転時隔の目標値に従って、前記後続列車に対する位置・速度制御の条件を局所的に異なった条件に変更する制御条件変更手段と
を備えたことを特徴とする列車運転時隔制御装置。
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