JP3574469B2 - Coのco2への酸化方法及び燃料電池用の水素含有ガスの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、メタノール、蟻酸又はホルムアルデヒドを不純物として含有するCO含有ガス中のCOをCO2に選択的に酸化する、COのCO2への酸化方法に関する。
【0002】
更に本発明はこの酸化方法を利用した、水素を主成分とするメタノール改質ガスを原料とする燃料電池用の水素含有ガスの製造方法に関する。この方法によればメタノール改質ガスからCOを選択性よく接触酸化除去することが可能となり、CO濃度が十分に低減され、燃料電池用の燃料、特に、少なくとも燃料極(負極)の電極に白金(白金触媒)を用いるタイプの各種のH2燃焼型燃料電池(リン酸型燃料電池、KOH型燃料電池、固体高分子電解質型燃料電池をはじめとする低温作動型燃料電池など)への供給燃料として有利に利用することができる水素含有ガスを効率よく製造する方法に関する。
【0003】
なお、本発明の方法による水素含有ガスの製造工程は、前記改質工程と共に燃料電池発電システムに組み込む形式で好適に利用することができる。
【0004】
【従来の技術】
燃料電池による発電は、低公害でエネルギーロスが少なく、設置場所の選択、増設、操作性等の点でも有利であるなど種々の利点を有することから近年特に注目を集めている。燃料電池には、燃料や電解質の種類あるいは作動温度等によって種々のタイプのものが知られているが、中でも水素を還元剤(活物質)とし、酸素(空気等)を酸化剤とする、いわゆる水素−酸素燃料電池(低温作動型の燃料電池)の開発・実用化が最も進んでおり、今後ますます普及が見込まれている。
【0005】
このような水素−酸素燃料電池にも電解質の種類や電極等の構成によって種々のタイプのものがあり、その代表的なものとして、例えば、リン酸燃料電池、KOH型燃料電池、固体高分子電解質型燃料電池などがある。このような燃料電池、特に低温作動型燃料電池の場合には、電極に白金(白金触媒)が使用されている。ところが、電極に用いている白金(白金触媒)はCOによって被毒されやすいので、燃料中にCOがあるレベル以上含まれていると発電性能が低下したり、濃度によっては全く発電ができなくなってしまうという重大な問題点がある。このCO被毒による触媒活性の劣化は、特に低温ほど著しいので、この問題は、低温作動型の燃料電池の場合に特に深刻となる。
【0006】
したがって、こうした白金系電極触媒を用いる燃料電池の燃料としては純粋な水素が好ましいが、実用的な点からは安価で貯蔵性等に優れたあるいはすでに公共的な供給システムが完備されている各種の燃料[例えば、メタン若しくは天然ガス(LNG)、プロパン、ブタン等の石油ガス(LPG)、ナフサ、灯油、軽油等の各種の炭化水素系燃料あるいはメタノール等のアルコール系燃料、あるいは都市ガス、その他の水素製造用燃料]の水蒸気改質等によって得られる水素含有ガスを用いることが一般的になっており、このような改質設備を組み込んだ燃料電池発電システムの普及が進められている。しかしながら、こうした改質ガス中には、一般に、水素の他にかなりの濃度のCOが含まれているので、このCOを白金系電極触媒に無害なCO2等に転化し、燃料中のCO濃度を低減させる技術の開発が強く望まれている。その際、COの濃度を、通常100ppm以下という低濃度にまで低減することが望ましいとされている。
【0007】
上記の問題を解決するために、燃料ガス(改質ガス等の水素含有ガス)中のCOの濃度を低減させる手段の一つとして、下記の式(1)で表されるシフト反応(水性ガスシフト反応)を利用する技術が提案されている。
【0008】
CO + H2O = CO2 + H2 (1)
しかしながら、このシフト反応のみによる方法では、化学平衡上の制約からCO濃度の低減には限界があり、一般に、CO濃度を1%以下にするのは困難である。
【0009】
そこで、CO濃度をより低濃度まで低減する手段として、改質ガス中に酸素又は酸素を含むガス(空気等)を導入(添加)し、触媒を用いて選択的にCOをCO2に変換する方法(COの選択的酸化除去法)が提案されている。
【0010】
例えば、特開平3−276577号公報には、改質装置と燃料電池の間に酸素導入装置とCO酸化装置を設置するということが記載されている。しかし、該公報には、COの選択的酸化方法、すなわち、酸化を実際にどのような条件(触媒、反応条件等)で行えばよいのかなどについての明確な説明はないし、その具体的な実施例(COの濃度はどの程度低減でき、その際に水素の酸化による消費はどの程度抑えられるのかといったデータなど)も示されていない。したがって、該公報は、単に、COを酸化により除去するという概念を示しているにすぎず、燃料電池用燃料にふさわしい水素含有ガスの製造技術(COの選択的除去技術)を具体的に提示しているものではない。なぜなら、通常の酸化触媒では、COを酸化しようとすると水素も酸化されてしまい、また、触媒を選定しても反応条件が不適当であれば、COを選択的にかつ低濃度まで酸化することができないからである。
【0011】
また、上記水蒸気改質等によって得られる水素含有ガスにCO以外にも不純物が存在した場合、不純物の種類によりCOの選択酸化を阻害する場合がある。例えば、水素含有ガスとしてメタノール改質ガスを用いた場合、CO酸化器への供給ガス中に未改質のメタノールの蒸気が含まれることがあり、そのような場合にはCO濃度を十分に低減することができなくなる。メタノール改質の際に副生物として生じる蟻酸、ホルムアルデヒドについても同様に、これらが供給ガス中に存在するとCO濃度を十分に低減することができなくなる。これは、これらの不純物がCOの選択酸化に用いられる触媒の活性点をふさぐため、COの酸化反応が阻害されるためと推測される。
【0012】
特開平2−153801号公報には、COの酸化除去反応を、Au触媒を用いて、反応温度200℃以下の条件で行うという技術が記載されているが、不純物の存在下で反応させることについての記載はない。
【0013】
また、特開平5−201702号公報にはRh、Ruからなる触媒を用いて、反応温度120℃以下、フィードガスの酸素/CO比を小さくして一酸化炭素の酸化反応を行なうことが記載されているが、入口ガスの不純物に関する記載はない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、メタノール、蟻酸、ホルムアルデヒド等の不純物を含有するCO含有ガス中のCOをCO2に選択性よく接触酸化し、ガス中のCO濃度を100ppm以下という低濃度にまで低減することが可能なCOのCO2への酸化方法を提供するとともに、この酸化方法を利用して、燃料極(負極)の電極に白金(白金触媒)を用いるタイプのH2燃焼型燃料電池(リン酸型燃料電池、KOH型燃料電池、固体高分子電解質型燃料電池をはじめとする低温作動型燃料電池など)の燃料として用いたときに該白金電極触媒の被毒及び劣化を抑制して燃料電池の発電性能を著しく向上することができる、水素含有量が高くCO濃度が十分に低減された燃料電池用の水素含有ガスを効率よく製造する方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成すべく、CO以外にも不純物を含有するCO含有ガス中のCOを選択的(優先的)に酸化し、CO濃度を十分な低濃度にまで低減するには、酸化反応をどのような条件で行い、また、どのような触媒を用いればよいのかと言う点に着目し鋭意研究を重ねた。その結果、CO含有ガス中の特定な不純物の量を制御することにより、不純物が存在してもCOを選択的に効率よくCO2に酸化することができてCO濃度を100ppm以下という著しく低濃度にまで容易に低減することができることを見出し、これらの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、メタノール改質反応によって得られた水素を主成分とするCO含有ガスと酸素含有ガスとの混合ガスであって、メタノール、蟻酸及びホルムアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の不純物を合計0.5体積%以下含有する混合ガスを、貴金属触媒と接触させてCOをCO2に選択的に酸化することを特徴とするCOのCO2への酸化方法を提供するものである。
【0018】
1.メタノールの改質工程
本発明の方法をメタノール改質によって得られた水素を主成分とする改質ガスに適用した場合、改質ガス(水素を主成分としかつCOを含有する燃料ガス)に含まれるCOが貴金属触媒を用いる酸化反応により選択的に酸化され、CO濃度が十分に低減された水素含有ガスが製造される。該改質ガスを得るための改質工程は、以下に示すように、従来の燃料電池システムにおいて実施あるいは提案されている方法など任意の方法によって行うことができる。したがって、予め改質装置を備えた燃料電池システムにおいては、それをそのまま利用して同様にして改質ガスを調製してもよい。
【0019】
前記改質反応としては、水蒸気改質反応(スチームリホーミング)が最も一般的であるが、より一般の改質反応、例えば、熱分解等の熱改質反応、接触分解やシフト反応等の各種接触改質反応、部分酸化改質なども適宜適用することができる。その際、異なる種類の改質反応を適宜組み合わせて利用してもよい。例えば、水蒸気改質反応は一般に吸熱反応であるので、この吸熱分を補うべく水蒸気改質反応と部分酸化を組み合わせもよいし、水蒸気改質反応等によって生成(副生)するCOをシフト反応を利用してH2Oと反応させその一部を予めCO2とH2に転化するなど各種の組み合わせが可能である。
【0020】
こうした改質反応は、一般に、水素の収率ができるだけ大きくなるように、触媒あるいは反応条件等を選定するが、COの副生を完全に抑制することは困難であり、たとえシフト反応を利用しても改質ガス中のCO濃度の低減には限界がある。
【0021】
実際、メタノールの炭化水素の水蒸気改質反応については、水素の得率及びCOの副生の抑制のために、次の(2)式:
CH3OH + H2O → 3H2 + CO2 (2)
で表される反応ができるだけ選択性よく起こるように諸条件を選定するのが好ましい。
【0022】
更に、COを前記(1)式で表されるシフト反応を利用して変性改質しても、このシフト反応は平衡反応であるのでかなりの濃度のCOが残存することになる。したがって、こうした反応による改質ガス中には、多量の水素の他にCO2や未反応の水蒸気等と若干のCOが含まれることになる。
【0023】
前記改質反応に有効な触媒としては、反応の種類あるいは反応条件等に応じて多種多様なものが知られており、それらのうちのいくつかを具体的に例示すると、メタノールの水蒸気改質に有効な触媒としては、例えば、Cu−ZnO系触媒、Cu−Cr2O3系触媒、担持Ni系触媒、Cu−Ni−ZnO系触媒、Cu−Ni−MgO系触媒、Pd−ZnO系触媒などを挙げることができ、また、接触改質反応や部分酸化に有効な触媒としては、例えば、担持Pt系触媒、担持Ni系触媒などを挙げることができる。もちろん、本発明の方法において前記改質反応に使用可能な触媒は、上記例示のものに限定されるものではなく、反応の種類あるいは反応条件等に応じて適当なものを適宜選定して用いればよい。すなわち、本発明の方法においても、改質反応用触媒としては前記例示のものを含めて公知の各種の水蒸気改質触媒や接触改質触媒等の多種多様な触媒が適用可能である。
【0024】
改質装置としても特に制限はなく、従来の燃料電池システム等に常用されるものなど任意の形式のものが適用可能であるが、水蒸気改質反応や分解反応等の多くの改質反応は吸熱反応であるので、一般に、熱供給性のよい反応装置若しくは反応器(熱交換器型の反応装置など)が好適に使用される。そのような反応装置としては、例えば、多管型反応器、プレートフィン型反応器などがあり、熱供給の方式としては、例えば、バーナー等による加熱、熱媒による方法、部分酸化を利用する触媒燃焼による加熱などがあるが、これらに限定されるものではない。改質反応の反応条件は、改質反応、触媒、反応装置の種類あるいは反応方式等の他の条件によって異なるので適宜定めればよい。いずれにしても、メタノールの転化率を十分に(好ましくは100%あるいは100%近くまで)大きくし、かつ、水素の得率ができるだけ大きくなるように諸条件を選定するのが望ましい。
【0025】
このようにして、水素含有量が多く、かつ、炭化水素やアルコール等の水素以外の燃料成分が十分に低減された所望の改質ガスを得る。
【0026】
本発明による酸化反応は不純物としてメタノール、蟻酸又はホルムアルデヒドを含有する条件下でも有効に行われるので、上記改質反応において未改質物として残留するメタノール、副生物として生じる蟻酸やホルムアルデヒドを含有するメタノール改質ガスのCO除去に特に有効である。
【0027】
2.COの選択的酸化除去工程
本発明の方法においては、上記のようにして得たメタノール改質ガスに酸素含有ガスを混合し、その混合ガスを貴金属触媒に接触させ、改質ガス中のCOを選択的(優先的)に酸化するが、その際、混合ガス中のメタノール、蟻酸及びホルムアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の不純物の合計濃度が3体積%以下である条件下で行うことが肝要である。特に、メタノールの濃度が3体積%以下の濃度で行うことが好ましい。上記不純物の濃度が3体積%を超えると、CO選択酸化反応の選択性が悪化するため、CO濃度を十分に低減することができなくなる。不純物濃度は好ましくは1体積%以下、更に好ましくは0.5体積%以下になるようすることが好ましい。
【0028】
混合ガス中の不純物濃度を所定の範囲にするにはCOシフト反応の反応条件を最適化することにより、あるいは、改質ガス又は改質ガスと酸素含有ガスとの混合ガスを冷却し、不純物を凝縮除去することなどにより行われる。
【0029】
前記改質ガスに添加混合する前記酸素含有ガスとしては、通常、純酸素(O2)、空気あるいは酸素富化空気が好適に使用される。該酸素含有ガスの添加量は、これを混合後の混合ガス(前記酸化反応に供する供給ガス)における酸素(O2)濃度が、COを完全にCO2に酸化するのに十分な濃度となるように選定すればよいのであるが、通常は酸素/COモル比が0.5〜5程度、好ましくは、1〜3になるように調整するのが適当である。このモル比0.5未満であるとCOの除去率が不十分となることがあり、一方、5より高いとCOの除去率をより一層向上させることはできるが、一般に、水素の消費量が多くなるので好ましくない。
【0030】
なお、CO濃度が高いガスがCO選択酸化反応に供されると、CO濃度を十分に低減するためには、酸素含有ガスの量を多くする必要がある。COを選択的に酸化させるといっても水素も多少燃焼されるため、酸素含有ガスの量が増えると、混合後の気体が爆発範囲内に入るので危険性が増すことになる。したがって、CO酸化反応器の入口における混合ガスのCO濃度が、通常2体積%以下、好ましくは1.5体積%以下、更に好ましくは1体積%以下となるようにするのが適当である。
【0031】
以上のようにして改質ガスと酸素含有ガスとを混合した混合ガスを貴金属含有触媒に接触させ所定の酸化反応(COの選択的酸化除去反応)を行う。この接触酸化反応は、通常、2〜10kg/cm2G、好ましくは2〜5kg/cm2Gの圧力範囲で行う。ここで、もし、反応圧力が2kg/cm2G未満であると、COを十分な低濃度にまで選択性よく酸化(除去)することができないことがある。すなわち、そのような低圧での反応では、水素の消費を十分に抑制した上でCOの濃度を100ppm以下という十分な低濃度にまで低減することが困難となる。一方、反応圧をあまり高く設定しようとすると、昇圧のための動力をその分大きくする必要があるので経済的に不利になるし、特に、10kg/cm2Gを越えると高圧ガス取締法の規制を受けるし、また、爆発限界が広がるので安全性が低下するという問題も生じる。
【0032】
前記酸化反応は、通常、0〜200℃、好ましくは、40〜100℃の温度で好適に行うことができる。この反応温度が0℃未満では反応速度が遅くなるので実用的なSV(空間速度)の範囲ではCOの除去率(転化率)が不十分となりやすい。一方、反応温度が200℃を超えるとCO酸化の選択性が不十分となり、水素が優先的に酸化されやすくなりCOの除去率が低下するなどの支障を生じやすい。
【0033】
また、触媒上で水分が凝縮するとCO酸化の選択率が低下する。これは凝縮水分が触媒の活性点を塞ぐためと推測される。酸化反応中にも、水素の燃焼により水が生成するので、水蒸気の濃度は増加し、水分が凝縮する場合がある。そこで、反応器の入口の水蒸気をその温度での飽和濃度以下に保ったり、反応器の入口温度より出口温度が高くなるようにして、触媒上で水分の凝縮が起こらないようにすることが好ましい。また、先に記載したように、CO含有ガス、あるいはCO含有ガスと酸素含有ガスとの混合ガスを冷却することによっても、上記不純物と水分との両方を凝縮除去することができる。供給改質ガス中の水分は10体積%以下にすることが好ましい。
【0034】
また、前記酸化反応は、通常、GHSV(供給ガスの標準状態における供給体積速度及び使用する酸化触媒層の見かけの体積基準の空間速度)を1000〜50000h−1の範囲に選定して行うのが好適である。ここで、GHSVを小さくするということは、単位時間あたりの供給ガス量を少なくするかあるいは触媒量を多くするということであるので、このGHSVをあまり小さい値に設定すると単位時間あたりのガス処理量(燃料電池への水素含有ガスの供給量)が不十分となったり、あるいは、触媒量が過剰となって反応装置が必要以上に大きくなる。こうした点から、一般に、GHSVを1000h−1より小さくすると実用上不利となる。一方、GHSVをあまり大きくするとCOの除去率が不十分となる。
【0035】
前記酸化反応に用いる反応装置としては、特に制限はなく、上記の反応条件を満たせるものであれば各種の形式のものが適用可能であるが、この酸化反応は発熱反応であるので温度制御を容易にするために反応熱の除去性のよい反応装置若しくは反応器を用いることが望ましい。具体的には例えば、多管型、あるいは、プレートフィン型等の熱交換型の反応器が好適に使用される。
【0036】
次に、本発明の方法において用いる貴金属触媒としては、特に限定はなく、好ましくはPt、Au、Rh及びRuから選ばれる少なくとも1種の貴金属を含有する触媒が好適に用いられる。これらの中でも特に金含有触媒が好適に用いられる。金と金属酸化物の混合物、あるいは、適当な金属酸化物に金を固定化若しくは担持したもの(以下、この形態のものを金固定化金属酸化物と呼び、この金の固定化若しくは担持に用いる金属酸化物を金固定化用金属酸化物と呼ぶ。)、更には、金と金属酸化物の混合物及び/又は前記金固定化金属酸化物を更に別の担体に担持したものなど各種の形態の触媒として使用することができる。 こうした金含有触媒における金は、超微粒子状(高分散状態)であることが好ましく、特に、その粒径が10nm以下の状態、更には、粒径が1〜5nmの状態で担持(固定化)あるいは含有されていることが好ましい。ここで、粒径が10nmを超えるような大きな金粒子は一般に所定の酸化反応に対して十分な触媒活性を示さないので、そのような大きな金粒子のみを含有するものは触媒活性が不十分となるし、そのような大きな金粒子を多く含有する触媒は例え触媒活性を満足したとしても高価な金が無駄になり触媒コストが大きくなる。
【0037】
前記金固定化用金属酸化物あるいは金(超微粒子等)との混合物若しくは組成物として用いる前記金属酸化物としては、前記所定の反応条件においてそれ自体では水素の酸化に不活性であるかあるいは活性をもっていてもあまり極端な活性を示さないものが好適に使用され、具体的には例えば、酸化鉄、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化ランタン等の単一金属の酸化物、あるいは、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛、ニッケル、マグネシウム、スズ、チタン、アルミニウム、ベリリウム、ジルコニウム、ケイ素、ランタン等の金属元素2種以上からなる複合酸化物などを挙げることができる。なかでも、酸化鉄が好適に用いられ、特にAu/Fe2O3触媒が好適である。また、これら単一金属の酸化物及び複合酸化物は、必要に応じて、混合したり複合物として用いてもよい。
【0038】
本発明においては、前記各種の形態の金含有触媒の中でも、前記したような金固定化金属酸化物からなる触媒(すなわち、金固定化金属酸化物触媒あるいはこれを更に後述する他の適当な担体若しくは支持体に担持した触媒)が好適に使用される。なぜなら、金を金属酸化物上に固定化(担持)したものは、金と金属酸化物を混合して調製したものと比較して、金を金属酸化物表面に超微粒子状に分散性よく担持しやすく、金の有効表面積が大きくなるし、また、金粒子と金属酸化物との接触面積も大きくなるので、優れた触媒性能を発揮するからである。
【0039】
このような金固定化金属酸化物触媒の調製法若しくは金を金属酸化物上に超微粒子状に固定化する手法としては、各種の方法が知られており、具体的には例えば、(1)共沈法(特公平3−12934号公報に記載の方法等)、(2)均一析出沈殿法(特開昭62−155937号公報に記載の方法等)、(3)滴下中和沈殿法(特開昭63−252908号公報に記載の方法等)、(4)pH制御中和性沈殿法(特開昭63−252908号公報に記載の方法等)、(5)カルボン酸金属塩添加法(特開平2−252610号公報に記載の方法等)、(6)還元剤添加法(特開昭63−252908号公報に記載の方法等)、(7)析出沈殿法(特開平3−97623号公報に記載の方法等)、(8)含浸法などがある。
【0040】
本発明の方法において前記酸化反応に用いる前記各種の金固定化金属酸化物からなる触媒は、これらの公知の方法を含め多種多様な方法によって好適に調製することができる。すなわち、前記各種の金固定化金属酸化物は、予め、金固定化用金属酸化物を調製若しくは用意し、この金属酸化物(触媒担体)に、所定の金化合物(例えば、塩化金酸等)を金原料として用いて、金超微粒子を固定化(担持)する方式、あるいは、所定の金化合物と所定の金固定化用金属酸化物の原料となる適当な金属化合物を調製原料として用いて共沈法等によって金超微粒子が固定化(担持含有)された金属酸化物を得る方式、あるいはこれらの組み合わせによる方式の様々な方法によって調製することができる。
【0041】
なお、触媒調製原料として用いる金原料は、通常、塩化金酸が最も広く用いらるが、これに限定されるものではなく、場合に応じて、塩化金等のハロゲン化金、酸化金、水酸化金、シアン化金錯体等の各種の金化合物や金コロイド等が適宜使用される。また、前記金固定化用金属酸化物の原料としては、例えば、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩等の所定の金属の各種化合物を使用することができる。これらの調製原料は、調製方式等に応じて適宜選定される。
【0042】
前記触媒調製の際に使用する金固定化用金属酸化物(触媒担体)の形状としては、特に制限はなく、例えば、粉末状、ゲル状、ゾル状等の特定の形状に成形していないものやあるいはビーズ状、ペレット状、顆粒状など予め所望の形状に成形したものなど各種の形状若しくは形態のものとして使用することができる。
【0043】
なお、上記の触媒調製においては、上記共沈法等によって析出させた金固定化金属酸化物(沈殿物等)や金固定化用金属酸化物担体に担持固定化して得た金固定化金属酸化物(担持物等)に対して、通常、洗浄、乾燥、焼成等の後処理を施し、また、必要に応じて適宜成形し、所望の形状の触媒を得るが、こうした、洗浄、乾燥、焼成等の後処理は、公知の方法等の常法に従って行うことができる。その際の焼成温度は、通常、200〜600℃程度、好ましくは、300〜400℃の範囲に選定するのが適当である。
【0044】
こうして得られた金固定化金属酸化物触媒等の金含有触媒における金の含有量は、金と金属酸化物(金固定化用金属酸化物)の合計量に対して、通常、0.1〜30重量%、好ましくは、0.3〜1.0重量%の範囲に選定するのが適当である。この金の含有量があまり少ないと、COの酸化活性が不十分となり、一方、あまり高担持率にすると金の使用量が必要以上に過剰になり触媒コストが大きくなるし、また、金が凝集しやすくなって超微粒子状に安定に固定化しにくくなるといったの支障を生じることがある。
【0045】
以上のようにして、所望の各種の金固定化用金属酸化物を好適に得ることができる。こうして得た触媒は、本発明における前記酸化反応用触媒として好適に使用することができるが、前記したように、この金固定化金属酸化物を必要に応じて更に別の適当な担体(若しくは支持体)に担持して用いてもよい。より実用的な点からは、このように金固定化金属酸化物を適当な形状を有し、かつ構造安定化性に優れた担体や支持体に担持して用いる方式が広く利用される。
【0046】
そのような担体(若しくは支持体)としては、多種多様な金属酸化物系担体や金属系担体、あるいはそれらの複合体が好適に利用される。該金属酸化物系担体の材質としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、シリカアルミナ、シリカマグネシア、アルミナチタニア、コーディエライト、ムライト、ゼオライト等の単独酸化物系のものあるいは複合酸化物系のものを例示することができる。また、金属系担体としては、例えば、ステンレススチール、鉄、鉛、銅、アルミニウム系の単独金属系のものや合金系のものを例示することができる。これらの担体(若しくは支持体)形状及びサイズとしては、特に制限はなく、例えば、粉末状、球状、粒状、ハニカム状、発泡体状、繊維状、布状、板状、リング状など、一般に使用するされている各種の形状及び構造のものが利用可能である。
【0047】
なお、こうした担体や支持体に担持された金固定化金属酸化物触媒は、各種の方法によって得ることができ、例えば、上記の触媒調製の際に、金固定化用金属酸化物を予め別の適当な担体に担持したものを担体として用いて得ることもできるし、あるいは、前もって調製した金固定化金属酸化物あるいは調製段階にあるその前駆体を前記所定の担体若しくは支持体に、例えば、沈着法、ウオッシュコート法、スプレーコート法等の種々の担持方式によって担持することによっても好適に得ることができる。
【0048】
各種の貴金属触媒の中でも、以上のようにして調製した超微粒子状の金を含有する触媒、特に金固定化金属酸化物からなる触媒が、前記の反応条件下でCOを選択的に効率よく酸化するという効果の原理(触媒機能の詳細)については、現時点ではまだ十分に解明されていないが、粒径10nm以下という金超微粒子にCOが選択的に活性化吸着され、吸着したCOが金超微粒子と金属酸化物の接合面(境界部)あるいは金属酸化物表面にスピルオーバーすることによってCOが上記のような低温で選択的よくCO2へ酸化されるという機構を推定することができる。
【0049】
以上のようにして、水素含有量が多くかつCO濃度が100ppm以下というように十分に低濃度まで低減された所望の燃料電池用の水素含有ガスを効率よくかつ容易に得ることができる。
【0050】
こうして本発明の方法によって製造された水素含有ガスは、上記したようにCO濃度が十分に低いので燃料電池の白金電極触媒の被毒及び劣化を十分に低減することができ、その寿命及び発電効率・発電性能を大幅に向上することができる。また、排ガス中のCO濃度も十分に低いので公害防止の点でも有利である。しかも、水素含有量が多いので発電性に優れている。したがって、この水素含有ガスは、各種のH2燃焼型燃料電池の燃料として好適に使用することができ、特に、少なくとも燃料極(負極)の電極に白金(白金触媒)を用いるタイプの各種のH2燃焼型燃料電池(リン酸型燃料電池、KOH型燃料電池、固体高分子電解質型燃料電池をはじめとする低温作動型燃料電池など)への供給燃料として有利に利用することができる。
【0051】
なお、従来の燃料電池システムの改質装置(改質装置の後に変性装置がある場合、その変性装置も改質装置の一部とみなしている)と燃料電池の間に、本発明の方法に従った装置を組み込むことによって、従来よりもずっと優れた燃料電池システムを構成することが可能となる。
【0052】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0053】
実施例1
粒径3mmのアルミナペレット100gを硝酸第二鉄0.5M水溶液で含浸したものを400℃で5時間焼成して得たFe2O3担持アルミナを塩化金酸を1.1g溶かしたpH10の炭酸カリウム水溶液300mlに浸漬した。この水溶液にホルマリン3.7%水溶液20mlを50分間で徐々に滴下した。得られたペレットを水洗、真空乾燥後、空気中で400℃で焼成して金含有触媒(Au/Fe2O3触媒)を得た。焼成後の触媒中の金含有量は0.5重量%であり、これは触媒1リットル当たり4gに相当した。
【0054】
上記で得た金含有触媒(Au/Fe2O3)(触媒A)16〜32メッシュに粉砕したもの1ccを管型反応器に充填し、その触媒層に、下記の組成の水素含有ガスと酸素含有ガスとを下記の割合で混合した混合ガスであって、表1記載の不純物を含有する混合ガスを流通し、反応温度:50℃、圧力:3.5kg/cm2G、GHSV:10000h−1の条件下で所定の酸化反応を行った。
【0055】
供給ガス組成(体積%)
水素含有ガス組成 CO:0.6%、CO2:25%、水:0.7%、H2:balance
酸素含有ガス 空気(供給量:O2/COモル比=3)
【0056】
【表1】
表1のように、不純物濃度が充分に低いガスが供給された場合、出口CO濃度を効率よく低減できることがわかる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の酸化方法によれば、メタノール、蟻酸、ホルムアルデヒド等の不純物を含有するCO含有ガス中のCOをCO2に選択性よく接触酸化し、ガス中のCO濃度を100ppm以下という低濃度にまで低減することが可能であり、本発明の方法を適用して得られた燃料電池用水素含有ガスは、CO濃度が十分に低いので燃料電池の白金系電極触媒の被毒や劣化の抑制に有利であり発電性能(効率及び寿命)を著しく向上することができ、各種の低温作動型の燃料電池(リン酸型燃料電池、KOH型燃料電池、固体高分子電解質型燃料電池など)の燃料として有利に使用することができ、従来の燃料電池システムの性能等を大幅に改善することができる。
【0058】
また、本発明の製造方法を適用した燃料電池システムはCO酸化反応器を小さくすることができ、システムの小型化に寄与するとともに、COの選択性が上がるため、水素の無駄な消費を減らし、効率を向上することができる。
Claims (6)
- メタノール改質反応によって得られた水素を主成分とするCO含有ガスと酸素含有ガスとの混合ガスであって、メタノール、蟻酸及びホルムアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の不純物を合計0.5体積%以下含有する混合ガスを、貴金属触媒と接触させてCOをCO2に選択的に酸化することを特徴とするCOのCO2への酸化方法。
- 不純物がメタノールである請求項1記載のCOのCO2への酸化方法。
- 貴金属触媒が金又はルテニウムを含む触媒である請求項1又は2記載のCOのCO2への酸化方法。
- メタノール改質反応によって得られたCO含有改質ガスであって水素を主成分とするCO含有改質ガスと酸素含有ガスとの混合ガスであって、メタノール、蟻酸及びホルムアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の不純物を合計0.5体積%以下含有する混合ガスを、金又はルテニウムを含む触媒と接触させてCOをCO2に選択的に酸化し、COを選択的に酸化除去することを特徴とする燃料電池用の水素含有ガスの製造方法。
- メタノール改質反応によって得られたCO含有改質ガスであって水素を主成分とし、かつ、メタノール、蟻酸及びホルムアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の不純物を含有するCO含有改質ガスを冷却して該不純物濃度を合計0.5体積%以下とし、次いで酸素含有ガスと混合して得られる混合ガスを金又はルテニウムを含む触媒と接触させる請求項4記載の燃料電池用の水素含有ガスの製造方法。
- メタノール改質反応によって得られたCO含有改質ガスであって水素を主成分とし、かつ、メタノール、蟻酸及びホルムアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の不純物を含有するCO含有改質ガスを、酸素含有ガスと混合し、得られた混合ガスを冷却することにより該混合ガス中の該不純物濃度を合計0.5体積%以下とし、次いで該混合ガスを金又はルテニウムを含む触媒と接触させる請求項4記載の燃料電池用の水素含有ガスの製造方法。
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