JP3575735B2 - 非水系の再充電可能なリチウム電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は非水系の再充電可能なリチウム電池、およびその安全性の改善方法に関する。特に、本発明は、リチウムイオン電池の過充電後にさらなる酷使に対するリチウムイオン電池の安全対策として重合性モノマー添加剤を使用することに関する。
【0002】
【従来の技術】
かってない程エネルギー密度の高い再充電可能な電池が求められている結果、再充電可能なリチウム電池に関する研究や開発が盛んになっている。リチウムを使用すると、高エネルギー密度、高電池電圧、また長い貯蔵寿命が得られるが、安全性の問題(即ち、火災)が生じる。というのは、リチウムは反応性の高い元素であるためである。このように安全性に問題があるため、多くの再充電可能なリチウム電池は、その電気化学的作用及び/又はサイズが一般的な使用には向いていない。一般的にいって、リチウム金属単体からなる、あるいはリチウム合金からなる負極を利用する電気化学作用の電池が一般に利用できるのは、極めて小形のもの(例えば、大きさがコイン程度の電池)か一次電池(すなわち、再充電できない電池)である。しかし、このような電気化学作用をもつ大形の再充電可能な電池は、安全面がそれ程重視されてない、軍事用途やある主の遠隔地での給電用途には使用できる。
【0003】
最近、リチウムイオン形または「ロッキングチェア形」として知られている再充電可能なリチウム電池が市販されるようになってきている。これら電池は、多くの消費者エレクトロニクス用途にとって好適な再充電可能な電力源になっている。現在利用できる従来形の再充電可能な電池(即ち、Ni−Cd電池、Ni−MH電池、または鉛酸電池)の中でも、これら電池は最大のエネルギー密度(Wh/L)をもっている。さらに、リチウムイオン形電池の動作電圧は十分高く、多くのエレクトロニクス用途では、1個の電池で十分その役割を果たすことができる。
【0004】
リチウムイオン形電池の場合、活性正極および負極に対して2種類の異なる挿入化合物を使用する。LiCoO2/黒鉛前駆体炭素の電気化学作用に基づく3.6V(平均)のリチウム電池は現在市販されている。また、これ以外にも、LiNiO2 やLiMn2O4を始めとする多数のリチウム遷移金属酸化物化合物も正極材料として使用するのに好適である。また、コークスや純粋な黒鉛を始めとする広範囲にわたる炭素質系化合物も負極材料として使用するのに好適である。上記電池製品では、LiBF4塩やLiPF6塩、およびエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネートやエチルメチルカーボネートなどの溶剤混合物からなる非水系電解質を使用している。同様に、これら電池に使用する塩及び/又は溶剤については数多くの選択肢が存在していることが知られている。
【0005】
リチウムイオン形電池は、ある種の酷使、特に再充電時に通常の動作電圧を上回るような過充電酷使には弱い。過充電時、正極から過剰なリチウムが抽出され、これに対応して負極ではリチウムの過剰な挿入、場合によってはめっきが生じる。この結果、両電極の熱安定性が劣化する。負極は反応性リチウムでドーピングまたはめっきされると安定性が低下する傾向があり、一方正極の場合は、分解して、酸素を発生する傾向が強くなる(J.R.Dahn et al.,Solid State Ionics,69(3−4),pp265−270,1994を参照)。また、過充電の結果、電池の加熱が生じることもある。というのは、入力したエネルギーの多くは蓄積されるというよりは、放散されるからである。熱安定性の低下が電池の加熱とともに生じると、過充電時に危険な熱的暴走が生じ、火災が発生する恐れがある。
【0006】
一般に、個々のリチウムイオン形電池の集成体からなる電池充電装置及び/又は電池パックは過充電を防止する適当な電気回路を備えている。ところが、回路の万一の故障に対処するため、多くのメーカーは、過充電酷使に対する保護レベルを上げる手段として別に安全装置を個々の電池自体に組み込んでいる。例えば、それぞれ米国特許明細書第4943497号や1993年6月25日に出願され、1994年2月11日に公開されたカナダ特許出願第2,099,657号明細書に記載されているように、ソニー社やMoli Energy(1990)Limited社が現在製造している製品は、過充電酷使時に電池の内圧がある所定の値を越えたときに作動する切断装置を内部に組み込んである。また、過充電時にある所定の電圧を超えたときに十分な気体を発生して、切断装置を作動させるために、各種の気体発生剤(例えば、正極化合物及び/又は他の電池添加剤)も使用することができる。
【0007】
別な代替方法では、内部固体容積を実質的に大きくして、特定の過充電状態になった時に切断装置を液圧により作動させるようにしている(これについては、1993年4月8日に出願され、1994年10月9日に公開されたカナダ特許出願第2,093,763号明細書に開示がある)。
【0008】
他の過充電安全装置をリチウム電池それ自体に組み込んで、充電電流及び/又は電圧を制限することも可能である。一部の製造業者では、正の温度係数のサーミスタ(PTC)を組み込んで、過充電酷使時の充電電流を部分的に制限している。この装置の場合、電池の加熱とPTCのIR加熱との組み合わせを使用して、PTCを作動することによって、抵抗を大きくし、充電電流を制限している。原則的には、個々の電池それ自体のヘッダーに過充電保護用電気回路を組み込むことも考慮の対象とすることができる。
【0009】
これらの付加的な、あるいは予備的な安全装置は、過充電の電気的酷使により生じる危険な問題を解消する限りでは、有効な装置といえるが、過充電電池の場合、充電状態は通常より高くなっている。従って、電池構成体の熱的安定性が正常時より低く、正常時より危険な状態になっている。このような過充電状態にある電池は、次の機械的な酷使(例えば、破壊)や熱的酷使(例えば、オーブン加熱)に非常に弱い。大多数の電池の場合、過充電酷使が生じたならば、手作業で単に放電することによって安全な放電状態にしてから廃棄するようにしているが、この放電を自動化することが好ましい。
【0010】
ところが、内部電気的切断装置が作動状態にある電池は、外部から放電して、エネルギーを取り去り、充電状態を低くすることができない。このような切断状態にある電池は、異常な程危険な状態にあり、廃棄したり、あるいは突き固めるさいに別な問題を発生する。不幸なことだが、いったん切断すると、このような電池は残存容量がなくなっている(すなわち、完全に電池が作動しない状態になっている)はずと考えられている。この時点で、軽率な消費者ならば、電池を解体したり、あるいは機械的に乱暴に扱う誘惑に負ける恐れが通常よりも大きくなるが、不幸な結果になることがある。即ち、このような過充電状態にある電池を自動的に、かつ内部的に放電する手段が強く求められている。
【0011】
電池を自動的に放電するいくつかの手段は公知であり、既に提案されている。電気化学作用の水系電池の場合、充電の最後で再結合反応が生じる。この再結合反応が有効に作用して、充電が継続している間電池を連続放電する。同じような目的をもつ電気化学作用の非水系電池についても、添加剤(化学的シャトル)が開示されている。再結合反応および化学的シャトルは、通常の最大動作充電電圧を越えない限りにおいてという前提でのみ、電池を自動放電するものとみなすことができる。
【0012】
過充電電池に内部短絡を発生する手段も公知である。電気化学的腐食反応を利用して、正極電位に維持される金属部品(例えば、正極集電体)や他の添加剤を急激に腐食することができる。この場合、腐食した成分が正極から移動して、負極をめっきする結果、導電性デンドライトが生成する。腐食およびめっきが続くと、正極と負極との間に導電性デンドライトの架橋が形成し、このデンドライトの架橋によって電池を電気的に短絡できる。デンドライトの架橋が形成するまでは、腐食反応において電池容量がほとんど消費されないことが多い。従って、最大動作電圧以上で腐食が開始し、そして過充電が安全を脅かす前にかなりの腐食が生じる場合には、上記目的に正極金属部品やその他の添加剤が好適に使用することができる。低電圧(例えば、約2ボルト)の非水系電池については、容易に利用できる材料の選択肢が数多く存在する。例えば、1980年代にMoli Energy Ltd が製造していたリチウム負極/二硫化モリブデン正極電池の場合、負極電位にあるステンレス鋼及び/又はニッケル金属部品が腐食し、デンドライトの架橋を形成し、電池を内部的に短絡することによって、充電状態を制限するとともに、過充電酷使時に電池を保護するようになっていた。しかし、より高い電圧(例えば、約4ボルト)の非水系電池にはそれ程多くの選択肢は存在しない。現在利用されている電池金属材料の多くは、電池の正常な動作を確保するために、あまりにも低い電位で腐食する。一方、あまりにも低い電位では腐食しない特殊材料は、過充電保護が必要な場合には十分に腐食しない。このように、通常の材料や特殊材料のいずれもより高い電圧の非水系電池に簡単には利用できない。
【0013】
過充電電池に内部短絡を発生する機械的手段も検討されている。例えば、提案されている一つの選択肢は、作動時に切断を行なう代わりに、短絡接続を行なう機構を組み込んだ点を除けば、上記電気的切断装置と同じである。しかし、この選択肢は機械的に複雑であり、コストや信頼性に問題がある。
理想をいえば、過充電時に内部短絡を行なう手段は信頼性が高く、コストが低くなければならない。また、最適には、徐々にか段階的に程度の低い短絡を発生し、場合に応じて電池内部全体に配分して、短絡を通じて放散されるパワーおよび熱が突然大きくならないように、あるいは局部化(即ち、スポット加熱の発生)しないようにする。これら後者の条件はいずれもそれ自体が危険である。
【0014】
本出願人が1995年11月17日に出願したカナダ特許出願第2,163,187号明細書(特開平9−171840号公報)には、過充電時に内部電気的切断装置を作動する目的で、リチウム電池に気体発生剤などの重合性モノマー添加剤を使用することが開示されている。
この明細書には、導電性ポリマーを生成するある種のモノマー気体発生剤は内部短絡を発生し、過充電酷使後に電池を放電する作用を併せもつことも開示されている。実施例によれば、この作用は、実際には、ビフェニル添加剤を配合した電池により得られる。ビフェニルの重合体は導電性である。
【0015】
また、本出願人が1995年8月23日に出願したカナダ特許出願第2,156,800号明細書(特開平9−106835号公報)には、過充電の間、再充電可能なリチウム電池を保護する目的で、重合性モノマー添加剤を使用することが開示されている。ここでは、液体電解質に少量の重合性添加剤を混合する。過充電酷使時、電池の最大動作電圧を超える電圧で芳香族添加剤が重合することによって、内部抵抗を大きくして、十分な保護を与える。
【0016】
上記のカナダ特許出願第2,163,187号明細書および同2,156,800号明細書のいずれにも、電池に内部切断装置を組み込んであるかどうかに関係なく、一般的に、過充電酷使後に、電池自体を自動的に放電するようにすることが有利であることは直接的に開示されていない。また、重合した時に導電性重合体を生成するモノマー添加剤が気体発生剤であるか、あるいは電池の内部抵抗をかなり大きくするかに関係なく、モノマー添加剤を使用することが有利であることについても、直接的な開示はない。
【0017】
基本的に、電気化学的に重合して、導電性ポリマーを生成できるいくつかの芳香族化合物が、サイクル寿命を延長するために、電解質溶剤混合物に、塩及び/又はある種の再充電可能な非水系リチウム電池の電解質溶剤添加剤として既に使用されている。特開昭61−230276号公報では、フラン(芳香族複素環)溶剤添加剤からなる電解質を使用する実験室試験用電池が、めっきしたリチウム金属についてはサイクル効率を改善することが確認されている。また、特開昭61−147475号公報には、負極をポリアセチレンとし、正極をTiS2とし、チオフェン溶剤添加剤からなる電解質を使用した電池が、添加剤を使用しない以外は同様な電池と比較した場合、サイクル特性においてすぐれていることが示されている。しかし、これら公報には、添加剤の電気化学的重合性から得られる潜在的な安全面における作用についてはなにも開示がない。また、これら公報における実際の実施態様が、過充電酷使時に現実に安全面における作用をもつかどうかが、(即ち過充電時に生じる他の作用が重合性を阻止するのか、及び/又は重合の結果として内部短絡が生じないのかが)明確ではない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は非水系の再充電可能なリチウム電池において、過充電酷使後に、充電された電池容量を内部で放電し、電池を安全なものとすることを課題とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、再充電可能な非水系リチウム電池の過充電酷使後に、この電池を自動的に内部放電する方法および実施態様の両者に関するものである。(この場合、過充電酷使とは、通常の最大動作充電電圧を超える電圧まで電池を充電した場合に生じるものと考える)。重合すると、導電性重合体を生成するモノマー添加剤を非水系電解質に配合する。過充電酷使時に、このモノマー添加剤が重合することによって、電池に内部短絡を発生し、これを放電する。
【0020】
本発明は、過充電保護手段を個々に追加する必要のある電池に、またはその必要のない電池のいずれに対しても有効である。例えば、低電圧電池の場合、電気的過充電酷使に対する安全を保障する追加的な手段は必要ないかもしれないが、このような低電圧電池でも、過充電後には、次の熱的酷使において安全を脅かす恐れがある。このため、本発明は、これら低電圧電池をより低い充電状態に放電して、次の熱的酷使における安全性を高くする場合にも有効である。
【0021】
同様に、本発明は、充電電流または電圧を制限するために、正の温度係数を有するサーミスタ(PTC)やその他の電気回路手段を備えた電池にも有効である。このような電池の場合、例えば、制御された速度で手作業により放電して、安全性を必要に応じて高くすることができる。しかし、安全面からみた場合、放電を確実に行なうためには、この放電を自動的かつ内部的に行なうのが好ましい。ビフェニルなどの本発明のある種の添加剤の場合、過充電状態のPTCを備えた電池を自動的に放電できるだけでなく、(前記カナダ特許出願第2,156,800号明細書に開示されているように)内部インピーダンスを大きくすることによって過充電時にPTCの作用を高めることもできる。
【0022】
本発明は、所定の内部圧力で作動する内部電気的切断装置を備えた再充電可能なリチウム電池に適用するのが好ましい。前記カナダ特許出願第2,163,187号と同様に、モノマー添加剤は活性化気体発生剤として作用するとともに、重合した時に内部短絡を発生するモノマーとして作用する。しかしながら、本発明のモノマー添加剤は圧力活性化気体の一次源である必要はなく、気体発生剤である必要はない。このような実施態様の場合には、電気的切断装置を作動する他の手段を本発明のモノマー添加剤と組み合わせて使用するのが望ましい。部分的な過充電後に、(即ち、電気的切断装置の作動前に過充電が停止した後に)本発明の添加剤によって内部短絡を発生できるため、過充電電池を放電でき、また過充電酷使が生じていることが切断装置の作動によってわかった場合にも過充電電池を安全なものにすることができる。
【0023】
一般に、本発明の再充電可能な非水系電池電池はリチウム挿入化合物正極、リチウム化合物負極(例えば、リチウム金属、リチウム合金あるいはリチウム挿入化合物)、および非水系電解質(例えば、液状電解質であるが、高分子電解質や可塑化高分子電解質も使用可能である)で構成するものである。リチウムイオン電池の場合、リチウム挿入化合物としては、LixCoO2が使用でき、またLixNiO2 及びLixMn2O4からなる群から選択したものも使用できる。リチウム化合物負極には、炭素質系挿入化合物が使用できる。液体電解質溶剤としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネートやエチルメチルカーボネートなどの有機炭酸塩が使用できる。液体電解質溶質としては、LiPF6やLiBF4などのリチウム塩が使用できる。特に、本発明は最大動作充電電圧が4ボルトを超える電池に好適である。
【0024】
本発明の電池では、最大動作電圧を超える電池電圧で重合することによって、導電性ポリマーを生成し、電池に内部短絡を発生するモノマー添加剤を電解質に混合する。モノマー添加剤の量については、生成したポリマーが実際に正極および負極両者を架橋して、電池を短絡するのに十分でなければならない。電解質とモノマー添加剤との混合物においてモノマー添加剤の量が5重量%未満であれば十分である。
モノマー添加剤としては、芳香族添加剤が使用できる。ビフェニルが、動作電圧が4ボルト範囲にあるリチウムイオン形電池に特に好適な添加剤である。ビフェニルは、電解質混合物中に約2〜3重量%の量で配合すれば効果がある。
【0025】
芳香族複素環式化合物も添加剤として好適である。例えば、ピロール、N−メチルピロール、チオフェンなどが重合すると、ある種の電池に内部短絡を発生する。このように広くいえば、これら添加剤は潜在的に好適な添加剤であるが、好ましい対象電池は最大動作充電電圧が約4ボルト未満の電池である。フラン、インドール、3−クロロチオフェンなどの添加剤は、動作充電電圧がより高い電池を対象とする潜在的に好適な添加剤である。これら化合物中の異なる化学基を置換しても、生成するポリマーの重合電位及び/又は導電性に若干の影響がでるだけと考えられる。即ち、これら置換化合物も好適な及び/又は好ましい添加剤である。
【0026】
ある電池を対象として所期の結果を得る方法では、最大動作充電電圧を超える電池電圧で導電性ポリマーを重合により生成するモノマー添加剤を選択し、過充電酷使時に重合添加剤が内部短絡を発生することによって、安全な充電状態まで電池を自動放電するのに十分な量のモノマー添加剤を電解質と混合する。あまりにも速すぎる放電速度やあまりにも遅すぎる放電速度のいずれも望ましくなく、また添加剤には他の目的がないので、発生した内部短絡によって約24時間以内で安全な充電状態に電池を放電できる限り、最少量の添加剤を使用するのが好ましい。(もちろん、ビフェニルなどの添加剤には別な有効な作用がある。例えば、前記2件のカナダ特許出願第2,156,800号および第2,163,189号明細書に記載されているように、切断装置を作動したり、電池インピーダンスを大きくする作用をもつ)。
【0027】
【発明の実施の形態】
なんらかのエネルギー保存装置の場合、事故を最小限に抑えるために、その使用時期の最後で、廃棄に先立ち、あるいは場合によって電池を酷使するなんらかの処理に先立ち、エネルギーを取り去っておくのが理想である。再充電可能な非水系電池、特に一般消費者向けの電池も例外ではない。一般に利用されている非水系電気化学装置の大半は過剰充電に対して保護が必要である。というのは、このような過剰充電が生じると、通常は、電池にエネルギーが完全充填された時に望ましくない反応生成物や副生熱が生じるからである。これら電池は過充電自体に対しては十分に保護されているが、その後再度酷使(「積み重ね」酷使として知られている)されると、安全を潜在的に脅かすものとなる。
【0028】
安全を確保するために、一般の人々の自発的行動に頼ることは好ましくない。電池パックについては、一般の人々が解体することによって外部保護装置を取り外したりすることがある。同時に、あるいは、警告書にもかかわらず、またそのように扱った際の危険が周知されているにもかかわらず、個々の電池が酷使されることがある。寿命が若干残っている電池よりも動作不能電池のほうが、一般の人々によってなんの注意もなく扱われる恐れが強い。この点で、動作不能電池自体を過充電後に安全な放電速度で自動放電できるならば、消費者に頼る必要を望ましくは回避できる。
【0029】
リチウムイオン形電池は、一般に、充電状態が増大するに従って、熱的酷使に対する安定性が低くなる傾向がある。ある種の市販リチウムイオン形電池の場合、一つは電池を比較的安全な充電状態に熱的に制限する目的で、上限電圧が指定されている。他の形式の電池と比較した場合、基本的に、このようなリチウムイオン形電池が過充電状態になると、電池内部圧力の増大による圧力開放や火災が発生する恐れが強い。このため、例えば、リチウムイオン形電池及び/又は電池パックには、過充電を防止するために、信頼性のある外部回路を設ける。ところが、この外部回路はユーザーがその気になれば外すことができるものであり、信頼性の最も高い回路ですら、破損率は小さいが限界はある。従って、市販のリチウムイオン形電池には、専ら内部過充電保護装置が設けられている。これら装置は、例え外部装置が外されたり、あるいは破損した場合でも保護を与えるのに有効である。
【0030】
リチウムイオン形電池の場合、内部過充電保護装置がいったん作動したならば、使用不能状態になるのが好ましい。放電されるまで、過充電電池は次の熱的または機械的酷使に対して安全を潜在的に脅かすものであり続ける。不幸にも、その後の放電を行なうためには、ユーザーが適宜介入する必要がたびたび生じる。場合にもよるが、ユーザーが電池を外部的に放電できないことすらある。これは内部の電気的切断装置が作動した場合にもあてはまる。切断装置が作動した電池は、ユーザーにとっては、「死んだ」状態の電池であり、外部からは放電できない電池である。
【0031】
本発明はこの問題に取り組むために、非水系電池の過充電後に電池を自動放電する手段を提供するものである。これは、電池の非水系電解質に好適な重合性モノマー添加剤を少量配合することによって実現する。このモノマー添加剤については、ある適当な電圧で重合して、導電性ポリマーになるものを選択すればよい。換言すれば、電池の正常動作時に(即ち、正常な動作電圧範囲では)、有意な重合が起きないモノマーを選択すればよい。モノマー添加剤は、過充電酷使時に、重合電圧に達すると、重合を開始する。最終的に、十分な導電性ポリマーが生成して、電池電極間に導電性の架橋を形成することによって、電池に内部短絡を発生し、電池を放電する。安全面からみた場合、電池が望ましくない充電状態に達する前に、導電性の架橋が形成しているのが好ましい。こうしておけば、内部放電の開始がない限り、電池が部分的に上記の望ましくない状態に過充電されることはありえない。
【0032】
従って、モノマー添加剤は、有効であるためには、いくつかの条件を同時に満足する必要がある。即ち、電気化学的に重合して、むしろ特定の電圧で導電性ポリマーの架橋を形成できなければならない。また、この点を除いて、添加剤の配合が電池性能に悪影響を与えてはならない。原則的には、多くのモノマーを使用することができるが、芳香族モノマーが特に好適である。というのは、重合電位がこの用途に適する範囲にあるうえに、重合反応により導電性ポリマーが生成するからである。さらに、芳香族化合物には、少量でも、リチウム電池の化学作用に適合性を示すことが多いという利点もある。
【0033】
1979年に Willard Grant Press社から発行された、R.J.Fessenden et al.を著者とする “Organic Chemistry ” で議論されているように、用語“芳香族”とは、π電子の非局在化によって実質的に安定化される環式化合物を指すものである。このような化合物は環構造か平面構造をもち、環の各原子は環の平面に対して直交するp軌道をもつ(sp2 混成状態)。また、環系には4n+2個のπ電子(nは整数である)が存在しなければならない(ヒュッケル則)。用語「複素環式」とは、(The Condensed Chemical Dictionary,第9版,G.G.Hawley,Van Nostrand Reinhold,1977年参照)、通常は5員か6員の閉環構造を指すものである。この場合、環中の一つかそれ以上の原子は炭素以外の元素(例えば、硫黄、酸素や窒素)である。
【0034】
一般的な芳香族化合物は、本発明が対象とする用途における電圧範囲で電気化学的にきわめて容易に重合できる環構造をもつ。多くの芳香族複素環式化合物の場合、その環構造に異種原子が存在すると、これに隣接する炭素原子が電子に富んだ状態になるため、簡単に開環が生じ、これらの位置で重合が生じる。他の不飽和環式化合物の場合、これ程簡単には電気化学重合しない。
【0035】
導電性ポリマーを生成する芳香族化合物としては、例えば、ビフェニル、ピロール、インドール、チオフェン、フランやこれらの誘導体などが使用できる。(Electrochemistry in Organic Synthesis,J.Volke&F.Liska,Springer−Verlag、1994から再録した)表1に、いくつかのモノマーの飽和甘汞電極に対する酸化電位と形成したポリマーフィルムの導電性を示す。
【0036】
【表1】
化合物 酸化電位(V対SCE) 導電率(Scm−1)
ピロール +0.8 30−100
インドール +0.8 5×10−3−10−2
チオフェン +0.9 10−100
フラン +1.85 10−80
【0037】
なお、重合電位は、ある程度は、電極および電気化学的装置(電池)に使用する他の電解質成分に依存するものである。文献に記載されている値は、本発明が対象とする用途において候補となり得る化合物を示唆するものであるが、実際の電池環境ではいくぶん異なった形で重合が進行する。即ち、電池最大動作充電電圧を超えるが、実際の電池条件下では電池が安全を比較的脅かすものになる過充電電圧を下回る電圧で重合する化合物が好適である。なお、重合については、必要になる時点までに充分なポリマーにより充分な架橋を形成するのに充分な重合速度が必要である。
【0038】
重合体に必要な導電性は、ある程度は、重合体の形態および電池の電気化学作用および電池設計に依存するものである。緻密なポリマーの導電性の架橋は繊維性の強い架橋よりも抵抗が低いと考えられる。セパレータが厚く、及び/又は電極面積が小さい電池の場合、セパレータが薄く、及び/又は電極面積が大きい電池よりも導電性の高いポリマーが必要である。というのは、抵抗の高いポリマーの場合、同じ実抵抗を得るために、架橋体を短くし、横断面積を大きくできるからである。最後に、必要な内部抵抗は特定の電池電圧、容量、および充電状態に対する安全基準を依存するものである。
【0039】
一般的にいって、本発明の目的からは、所期の内部短絡を得る最少量のモノマー添加剤を使用すればよい。添加剤は、まず第1にリチウムに対して、そして電極に対して比較的不活性でなければならないが(即ち、リチウムと反応したり、電極に挿入することはあってはならないが)、不活性であっても添加剤を過剰な量で使用すると、(例えば電池インピーダンスの増加によって)電池性能特性に悪影響を与えることがある。代表例の挙げれば、本発明においては、電解質に数重量%か数容量%で添加剤が存在すればそれで充分である。実際に使用可能な必要量は、同様に、一部は電池の電気化学作用および電池設計、そして一部はモノマー特性に依存するものである。
【0040】
用途に応じて添加剤を選択する際には、従って、いくつかの基準を満足する必要がある。これら基準を満足する許容範囲は比較的広いが、所定の電池用途に対して候補となる特定の添加剤の適合性を知るために、発明には直接関係のない実験をいくつか行なう必要がある。これら実験には、候補となる添加剤を異なる量で含有する試作電池の過充電試験がある。表面的には使用可能な量の添加剤を選択するさいに、あるいは選択した後に、性能に対する悪影響を完全に試験するために、試作電池についてある種の性能試験を行なう必要がある。このような試作電池は当業者の範囲および能力範囲にあり、別に発明性を必要としない。
【0041】
発明者等は、消費者エレクトロニクスを対象として市販されているリチウムイオン形電池製品に特に好適な添加剤はビフェニルであることを見いだした。これら電池は、例えば、セパレータが薄く(約25μm)、電極表面積が大きい(約数百cm2 )である。電池容量については、1Ahかそれ以上であるのが普通である。また、正常な最大動作充電電圧は約4.2Vである。この4.2Vと約5Vとの間で、電池の危険性が比較的強くなる。Cレート以上で放電が生じると、数%のビフェニルが充分に重合して、導電性の架橋を形成し、24時間以内で電池を安全な充電状態まで放電する。カナダ特許出願第2,156,800号明細書に開示されているように、このような電池環境においては、ビフェニル添加剤はLi/Li+ に対して4.70Vで重合すると考えられ、少量の使用では、電池性能に有意味な悪影響を与えない。同明細書では、3−クロロチオフェンやフランなどの他の潜在的に好適な添加剤も使用可能であるとされている。
【0042】
後述する実施例によって、他の添加剤も、より低い動作充電電圧(即ち、4.2V未満)をもつ非水系電池に好適であることが判明した。これら添加剤には、N−メチルピロールがあり、電圧がより低い電池により好適であると考えられる。というのは、代表的な電池ではあまりにも低い電圧で内部短絡が発生するからである。
上記添加剤と密接な関係がある他の添加剤(即ち、置換化合物やその誘導体)も同様ではあるがわずかに異なる特性を示し、それ故ある種の用途における好ましい選択肢であると考えられる。
【0043】
添加剤の存在を別にすれば、本発明電池の構成は従来電池と同様である。一般的には、電池組み立て時のある好適な時点で、使用可能量の添加剤をバルク電解質に単に混合するだけでよい。いうまでもなく、バルク電解質や添加剤の特性(例えば、蒸気圧、毒性など)の違いに応じて多少の操作上の変更が必要である。市販されている非水系の再充電可能なリチウム電池は各種の形状(即ち、角柱状電池や小形のコイン形電池)をもち、多くの異なる成分を使用することができる。(例えば、このような添加剤は恐らく高分子系電解質においてあまり移動しないが、固体高分子電解質からなる電池も、このような添加剤を配合することによって同様な特性を実現する)。リチウムイオン形電池製品の好ましい構成については、図1に従来の螺旋状電池として横断面図を示す。正極箔1、負極箔2、およびセパレータとして作用する、2枚の微孔性ポリオレフィンシート3を螺旋巻きにしてジェリーロール4を作製する。
【0044】
正極箔は、薄いアルミニウム箔に、リチウム化遷移金属酸化物などの適当な粉末状(粒度が例えば約10μm)正極材料、所望ならば他の粉末状正極材料、結合剤、および導電性希釈剤からなる混合物を塗布して作製する。塗布方法の代表例では、まず、適当な液体担体に結合剤を溶解してから、この溶液に加えて他の粉末状固体成分を使用して、スラリーを作製する。次に、基体箔に均一にスラリーを塗布する。その後、担体溶剤を蒸発除去する。多くの場合、このようにしてアルミニウム箔基体の両側を塗布処理してから、正極箔をカレンダー処理する。
【0045】
負極箔の場合は、正極材料の代わりに粉末状(粒度が例えば約10μm)の炭素質系挿入化合物を使用し、そして通常はアルミニウムの代わりに薄い銅箔を使用する以外は、上記と同様にして作製する。また、負極箔の幅を正極箔の幅よりわずかに広くして、負極箔が常に正極箔に確実に対向するようにする。
【0046】
ジェリーロール4を通常の電池缶10に挿入する。ヘッダー11およびガスケット12を使用して、電池15を密封する。ヘッダー11の外面を正端子として、そして電槽10の外面を負端子として使用する。正極タブ6および負極タブ7を適当に接続して、内部電極と外部端子を接続する。適当な絶縁片8および9を挿入して、内部短絡の可能性を未然に防止することができる。ヘッダー11を電池缶10にクリンプして、電池を密封する前に、電解質5を加えて、ジェリーロール4の微孔空間を充填する。本発明の電池の場合、使用可能量のモノマー添加剤をさらに電解質5に配合する。
例えば、圧力動作式内部電気的切断装置、正の熱係数サーミスタ(PTC)や過充電保護装置などの一つかそれ以上の装置を設けて、電池を過充電による電気的酷使から保護する。また、別な理由から、安全装置をヘッダーに組み込んでもよい。通常、電池に過剰な圧力が蓄積した場合に破裂する安全口を組み込んでおいても良い。
【0047】
また、図1に示した電池では、カナダ特許出願第2,099,657号明細書に示されているのと同様な内部電気的切断装置をヘッダー11に組み込む。この切断装置は、Li2CO3などの気体発生剤によって作動できる。この気体発生剤は、(上記カナダ特許出願第2,163,187号明細書に示されているように)、内部短絡を発生する重合性添加剤としても使用できるが、これは必ずしも必要ではない。あるいは、内部短絡を発生する、過充電時に気体を発生しない重合性添加剤を使用したり、切断装置を作動するために別な手段(例えば、上記カナダ特許出願第2,093,763号明細書に開示されている手段)を使用することも好ましい。2重結合の破断によって重合するモノマー添加剤は気体状副産物を発生することがないので、このような場合に好適である。
【0048】
以下、例示のみを目的として説明を続けるが、どのような意味でも本発明を制限するものではない。理論の制限を受けるものではないが、添加剤の重合は正極で生じ、正極表面にポリマーを生成するものと考えられる。電解質に入った添加剤は、正極に向かって移動を続け、正極に接触して重合し、最終的にセパレータを介して負極に接触する析出物が成長する。このようにして、導電性の架橋が形成できる。代表的なリチウムイオン形電池の場合、電極はいずれも薄く、低容量の微孔性セパレータに物理的に接触している。従って、比較的少量のモノマーでも所期の内部短絡を実現できると考えられる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例によって本発明のいくつかの態様を説明するが、これら実施例はどのような意味においても本発明を制限するものではない。
既に説明し、かつ全体を図1に示すように、18650サイズ(直径が18mmで、高さが65mm)の円筒形電池を作製した。正極1は幅が約5.4cmで、長さが約49.5cmの薄いアルミニウム箔の両側にLiCoO2 粉末、炭素質系導電性希釈剤及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)結合剤からなる混合物を均一に塗布して作製した。塗布量は約47mg/cm2であった。負極2については、長さが正極と同じであるが、幅が3mm広い薄い銅箔に、球状黒鉛粉末、カーボンブラックSuperS(Ensagri社の商標)およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)結合剤(球状黒鉛粉末に対してそれぞれ約2重量%および約10重量%の量で使用)からなる混合物を均一に塗布して作製した。塗布量は約23mg/cm2 であった。微孔性ポリプロピレン膜を使用してセパレータ3を作製した。電解質5として、EC/PC/DEC容量比が30/20/50のエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびジエチルカーボネート(DEC)からなる溶剤混合物に溶解したリチウム塩の溶液を使用した。各電池にほぼ5mlの電解質を使用した。
【0050】
参考例1
1.5MのLiBF4 を使用し、上記のようにして18650型の電池を2個組み立てた。ただし、第1の比較用電池には添加剤を使用せず、第2の本発明電池には電解質に2重量%のビフェニル添加剤を配合した。(なお、ビフェニルは室温で固体であるため、便宜上容量ではなく、重量で定量化する)。これら電池には、上記カナダ特許出願第2,099,657号明細書に記載されているように、圧力開放口および内部電気的切断装置を設けた。充電、放電、次に4.1ボルトの正常最大動作電圧まで再充電することによって電池をまず21℃で状態調節した。
【0051】
10ボルトの供給能力を持つ給電装置を使用して、21℃の周囲温度で上記2個の電池を過充電酷使試験した。それぞれ3A及び3.6Aで電池を12分間(内部電気的切断装置が作動することなく電池の充電状態を有意に高くできるのに充分な時間)部分的に過充電した。次に、電池を約19時間モニターした。この間、第1の電池の電圧は約4.5ボルトで安定していた。第2の電池の電圧は連続的に降下し、19時間後に約4.05ボルトになった。各電池につき爪貫入試験を行なったところ、内部短絡が生じた。第1の比較用電池は圧力開放口が動作して爆発し、発炎した。
本実施例は、ビフェニル添加剤を配合した電池は、比較用電池と比較した場合、最初に僅かに高く過充電状態にあったにもかかわらず、それ自体が充分に放電したので、後の機械的酷使時における安全性が著しく高かったことを示す。
【0052】
参考例2
a)2.5重量%のビフェニル添加剤を配合した1MのLiPF6 電解質溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして10個の18650型電池を組み立て、状態調節した。内部電気的切断装置が作動するまで、21℃、3.6Aで電池を過充電した。(本実施例では、ビフェニルは気体発生剤としても作用し、上記カナダ特許第2,163,187号明細書に記載されているように、切断装置を作動した)。電池を24時間保存してから、爪貫入試験を行なった。電池の圧力開放口の開放もなく、燃焼もなかった。爪貫入試験中に電池に記録された最高表面温度は33℃であった。
【0053】
b)添加剤および内部切断装置のいずれも使用しなかった点を除いて、a)と同様にして3個の18650型電池を組み立て、状態調節した。ただし、これら電池のヘッダーにはPTC装置を組み込み、充電電流を制限することによって、過充電酷使に対して電池を保護した。PTCが作動するまで(即ち、PTCが充分に加熱して、抵抗が急激かつ著しく上昇するまで)、21℃、3.6Aでこれら電池を過充電した。圧力開放口の開放もなく、燃焼もなかった。次に、電池を24時間開路状態で保存してから、爪貫入試験した。これら3つの電池のうち一つが電池漏れが激しく、発炎した。
【0054】
c)添加剤を配合しない、1.5MのLiBF4電解質溶液を使用した点を除いて、上記と同様にして、6個の18650型電池を組み立て、状態調節した。上記カナダ特許出願第2,093,763号明細書に記載されているように、ある特定の過充電状態における内部固体容量の増加により内部電気的切断装置が液圧作動するように、各電池を構成した。内部電気的切断装置が作動するまで、21℃、3.6Aでこれら電池を過充電した。電池漏れもなく、燃焼もなかった。次に、電池を24時間保存してから、爪貫入試験した。これら6個の電池のうち5個が電池漏れが激しく、発炎した。
本実施例は、過充電後24時間以内に、添加剤を配合し、切断装置を備えた電池の場合、切断装置またはPTCのいずれかを備えるが、添加剤は配合していない比較用電池に比べて、次の機械的酷使における安全性が著しく高くなったことを示す。
【0055】
参考例3
5重量%のビフェニル添加剤を電解質に配合した以外は、実施例1と同様にして18650型の電池を組み立てた。次に、電池を4.1ボルトに充電してから、60℃で1週間保存した。その後、2.5ボルトまで1Aの定電流で放電し、4.1ボルトまで電流を制限した状態で、定電圧充電するサイクルで、電池を21℃においてサイクル試験した。20サイクル毎に、大きさが順次小さくなる一連の放電電流を段階的に印加して、容量損失がより低い放電速度で回復するかどうかを調べた。図2に、この電池の容量対サイクル寿命データを示す。 本実施例は、ビフェニル添加剤が5重量%以下ならば、依然としてすぐれたサイクル特性が得られることを示す。
【0056】
実施例1
性能の点から潜在的に候補となる添加剤を選別するために、参考例1と同様な一連の18650型電池を作製した。即ち、以下の添加剤(容量%)を配合した電池を作製し、電気的に状態調節した。すなわち、0.5%ピロール、0.42%N−メチルピロールである。
これらのピロール添加剤を配合した電池は状態調節時に相当大きい内部短絡を発生したので、充分に充電できなかった。即ち、内部短絡には60mA以上の充電電流を要した。短絡は約3.5ボルトで開始し、電池電圧は約3.7ボルトを越えなかった。N−メチルピロール添加剤を配合した電池については、4.1ボルトに充電した後に、開路状態でモニターした。24時間で、電圧降下は大きく、約3.9ボルトまで降下した。内部短絡は約3.5ボルト以上で発生すると考えられる。
これら添加剤は、上記実施例の高電圧電池には向かないと考えられるが(なぜなら、内部短絡が正常な動作電圧範囲で発生するからである)、にもかかわらず、これらは動作充電電圧がより低い非水系電池には好適に使用できる添加剤である。
【0057】
以上の説明から、当業者にとっては明らかなように、本発明の精神または範囲から逸脱せずに、本発明を実施する際には、多くの変更や改変が可能である。即ち、本発明の範囲は、特許請求の範囲に定義されている実体に従って解釈すべきである。
【0058】
【発明の効果】
再充電可能なリチウム電池において、過充電時において、最大動作電圧以上の電圧において重合して導電性の物質を生成するモノマーを電解質中に添加したので、過充電において最大動作電圧を超えた後は、内部で自動的に放電することとなり、過充電によって蓄積したエネルギーを安全に開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、円筒形の螺旋形リチウムイオン電池の好適な実施態様を示す横断面図である。
【図2】図2は、実施例3の電池に関する容量対サイクル数データを示すグラフである。
【符号の説明】
1…正極箔、2…負極箔、3…セパレータ、4…ジェリーロール、5…電解質、6…正極タブ、7…負極タブ、8,9…絶縁片、10…電池缶、11…ヘッダー、12…ガスケット、15…電池
Claims (4)
- 最大動作電圧を超える電池電圧で重合して、導電性ポリマーを生成することによって、過充電酷使時に内部短絡を発生する芳香族モノマー添加剤を非水系電解液中に添加するとともに、所定の内圧で作動する内部電気的切断装置と、過充電時にこの切断装置を作動させる気体および圧力を発生する、前記モノマー添加剤以外の気体発生剤とを添加した再充電可能なリチウム電池において、前記芳香族モノマー添加剤がピロールまたはN−メチルピロールのいずれかから選択されたものであることを特徴とする非水系の再充電可能なリチウム電池。
- 気体発生剤がLi2CO3であることを特徴とする請求項1に記載の非水系の再充電可能なリチウム電池。
- 電解質と芳香族モノマー添加剤との混合物が5重量%未満の芳香族モノマー添加剤を有することを特徴とする請求項1に記載の非水系の再充電可能なリチウム電池。
- a)重合して、最大動作電圧を超える電池電圧で導電性ポリマーを形成する芳香族モノマー添加剤を選択し、そして
b)過充電時に重合した添加剤が内部短絡を発生することによって、安全な充電状態まで電池を放電するのに充分な量の上記芳香族モノマー添加剤を電解質と混合し、
c)さらに、過充電時に気体および圧力を発生する前記芳香族モノマー以外の気体発生剤が、所定の内圧で内部電気的切断装置を作動させて、過充電状態の非水系の再充電可能リチウム電池を安全にする方法において、芳香族モノマー添加剤としてピロールまたはN−メチルピロールのいずれかを用いたことを特徴とする過充電状態の非水系の再充電可能リチウム電池を安全にする方法。
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