以下、本発明の第1の適用分野における実施例を図面に沿って詳細に説明する。
図1は非線形光学効果による位相共役光の発生原理の説明図である。非線形光学媒質を用いて位相共役光を発生させる場合、パラメトリック光増幅(光パラメトリックプロセス)又は4光波混合によるのが望ましい。パラメトリック光増幅器は2次の非線形光学効果を用いるのに対し、4光波混合は3次の非線形光学効果を用いる点で異なるが、物理的には全く同じ現象である。
いま、図1に示されるように、高強度の励起光EP(周波数ωP)が非線形光学媒質NOMに入射している状態で、周波数ωSの信号光ESと周波数ωIのアイドラ光EIとが非線形光学媒質NOMに入射すると、2次又は3次の非線形光学プロセスにより、周波数ωSの信号光ES′と周波数ωIのアイドラ光EI′とが非線形光学媒質NOMから出力される。このとき、エネルギー保存則により以下の関係が成り立つ。
特に、4光波混合における信号光、励起光及びアイドラ光の周波数配置を図2に示す。Ωは信号光と励起光の離調周波数である。周波数軸上において、信号光及びアイドラ光は励起光を中心として対称の位置にあることがわかる。
図1の原理における非線形光学効果の相互作用長をLとすれば、生成方程式は以下のように与えられる。
となる。n及びχ
(3)はそれぞれ非線形媒質NOMの屈折率及び3次の非線形光学定数を表す。また、<χ
(3)>は非線形光学定数χ
(3)の非線形媒質NOMにおける偏波状態についての平均を表す。(3), (4)式より、信号光及びアイドラ光に対する利得G
S及びG
Iは、
で与えられることがわかる。通常、ω
I/ω
S≒1であるから、非線形光学効果による位相共役光の発生においては、信号の増幅が実現されることがわかる。また、この場合における利得は、励起光の強度に依存するので、本発明の位相共役光発生装置において光変調を行って、位相共役光発生装置から出力される光に新たな情報を載せることができる。
図1の原理に基づいて発生する出力アイドラ光EI′は入力信号光ESに対する位相共役光になっている。このことは、(3), (4)式において、入力アイドラ光がない場合(EI=0)を考えてみれば明らかである(EI′はESの複素共役に相当)。
次に、この位相共役光の大きな特徴である時間反転の性質について説明する。いま、+z方向に進行する入力プローブ光(変調されていない入力信号光に相当)が平面波として次の式で表されるものとする。
ここで、A
S(r)は電場の複素振幅、rは空間座標ベクトル、ω
Sはプローブ光の周波数、tは時間、k
Sは波数ベクトルを表し、c.c.はその直前の項の複素共役をとることを意味する。但し、波数ベクトルの大きさk
Sは、光路の屈折率をn、真空中の光速をcとすると、k
S=ω
Sn/cで与えられる。このとき、(9) 式で表される光の位相共役光は、次の(10), (11)式で表される。
ここで、(10)式は+z方向の進行波である透過型位相共役光を表し、(11)式は−z方向の進行波である反射型位相共役光を表す。(9),(11)式より
明らかなように、反射型位相共役光については、
が成り立ち、位相共役光が時間反転の性質を持つことがわかる。また、(9),(10)式から、透過型位相共役光については、横方向の空間座標成分について時間反転の性質を持つことがわかる。この時間反転の性質を用いることによって、光伝送路で受ける線形の位相歪み(例えば波長分散の影響)や偏波変動等の位相揺らぎを補償可能である。
図3は本発明の位相共役光発生装置の基本構成を示すブロック図である。1は非線形光学媒質、2は励起光源、3は信号光入力ポート、4は信号光/励起光供給手段、5は信号光出力ポート、6は位相共役光出力ポート、7は信号光/位相共役光抽出手段をそれぞれ表している。
励起光源2は励起光を出力する。信号光/励起光供給手段4は、信号光入力ポート3に供給された入力信号光を励起光源2からの励起光とともに非線形光学媒質1に供給する。信号光/位相共役光抽出手段7は、非線形光学媒質1に供給された入力信号光と励起光との相互作用により発生した出力信号光及び位相共役光を抽出してそれぞれ信号光出力ポート5及び位相共役光出力ポート6から出力する。
この構成によると、信号光と励起光を非線形光学媒質1に入射させて位相共役光を発生させることができる。また、発生した位相共役光を位相共役光出力ポート6から取り出すことができるので、この装置を種々の光システムに適用可能である。
図4は本発明の第1実施例を示す位相共役光発生装置のブロック図である。この実施例では、図3の信号光/励起光供給手段4は、少なくとも3つのポートを有する光カプラ11を含む。光カプラ11はポート11A,11B及び11Cを有し、ポート11A及び11Bに供給された光をポート11Cから出力するように機能する。光カプラ11のポート11Aは信号光入力ポート3に接続され、ポート11Bは励起光源2に接続され、ポート11Cは非線形光学媒質1の第1端に接続される。尚、本願明細書において「接続」という語は、動作的な接続を意味し、光学的に直接接続される場合を含み、さらに、光フィルタ、光アイソレータ及び光増幅器等の光デバイスを介して接続される場合を含む。光カプラ11としては、ファイバ融着型のもの、ハーフミラー、偏光ビームスプリッタ、光合波器等を使用可能である。また、非線形光学媒質1としては、光ファイバ、半導体レーザ、半導体光増幅器、その他2次又は3次の非線形光学効果を呈する光学結晶等を採用可能である。
この実施例のように光カプラ11を用いて信号光及び励起光を非線形光学媒質1に供給すると、信号光及び励起光は非線形光学媒質1の第1端から同一光路で非線形光学媒質1に入射するので、非線形光学媒質1内においては信号光及び励起光が同一方向に伝搬し、例えば非線形光学媒質1が3次の非線形光学効果を呈する場合に、片方向励起型の4光波混合を生じさせて、位相共役光を非線形光学媒質1の第2端から取り出すことができる。
励起光源2から供給される励起光の強度が十分に高い場合、前述したように、非線形光学媒質1においては利得が生じ、増幅された信号光及び位相共役光が非線形光学媒質1から出力される。これら信号光及び位相共役光を分離して取り出すために、この実施例では、図3の信号光/位相共役光抽出手段7は、光デバイダ12と光フィルタ13及び14とを含む。光デバイダ12はポート12A,12B及び12Cを有し、ポート12Aに供給された光を2分岐してそれぞれポート12B及び12Cから出力するように機能する。光デバイダ12のポート12Aは非線形光学媒質1の第2端に接続される。光デバイダ12としては、例えば、ファイバ融着型のもの、ハーフミラー、偏光ビームスプリッタ、光分波器等が使用される。光フィルタ13は光デバイダ12のポート12Bと信号光出力ポート5の間の光路に挿入され、その通過帯域は出力信号光の周波数を包含する。光フィルタ14は光デバイダ12のポート12Cと位相共役光出力ポート6の間の光路に挿入され、その通過帯域は位相共役光の周波数を包含する。
励起光の周波数と信号光の周波数を僅かに異ならせて非線形光学媒質1において非縮退型の4光波混合を生じさせる場合には、このようにして出力信号光及び位相共役光を光学的に分離することができる。励起光源2として例えばレーザダイオードが用いられている場合、その駆動電流に情報信号を重畳して励起光の振幅変調又は強度変調を行うことによって、非線形光学媒質1における利得を変調して、その結果変調された出力信号光及び位相共役光を得ることができる。
図5は本発明の第2及び第3実施例を説明するための位相共役光発生装置の主要部のブロック図である。これらの実施例は、周波数が等しい2つの励起光をそれぞれ非線形光学媒質1に互いに逆向きに入射させ、双方向励起型の4光波混合を生じさせている点で特徴付けられる。図3の励起光源2に対応して2つの励起光源21及び22が設けられている。励起光源21及び22からの励起光を非線形光学媒質1にそれぞれ互いに逆向きで入射させるために、図3の信号光/励起光供給手段4は、2つの光カプラ23及び24を含む。光カプラ23はポート23A,23B及び23Cを有し、ポート23A及び23Bに供給された光をポート23Cから出力し、ポート23Cに供給された光をポート23Aから出力するように機能する。光カプラ23のポート23Bは励起光源21に接続され、ポート23Cは非線形光学媒質1の第1端に接続される。光カプラ24はポート24A,24B及び24Cを有し、ポート24Aに供給された光をポート24Cから出力し、ポート24Bに供給された光をポート24Aから出力するように機能する。光カプラ24のポート24Aは非線形光学媒質1の第2端に接続され、ポート24Bは励起光源22に接続される。図示された例では、独立した2つの励起光源21及び22を用いているが、出力強度が高い1つの励起光源からの励起光を2分岐してそれぞれ光カプラ23のポート23Bと光カプラ24のポート24Bに供給するようにしてもよい。この場合、2つの励起光の周波数を一致させるための制御が不要になる。
図6は本発明の第2実施例を示す位相共役光発生装置のブロック図である。この実施例は、図5の主要部の非線形光学媒質1において双方向励起型の4光波混合により後方向に発生した位相共役光を取り出すのに適している。非線形光学媒質1内を伝搬する信号光と逆向きに発生した位相共役光を取り出すために、この実施例では、図3の信号光/位相共役光抽出手段7は、光デバイダ31と光フィルタ32及び33とを含む。光デバイダ31はポート31A,31B及び31Cを有し、ポート31Aに供給された光をポート31Cから出力し、ポート31Cに供給された光をポート31Bから出力するように機能する。光フィルタ32は光カプラ24のポート24Cと信号光出力ポート5の間の光路に挿入され、その通過帯域は出力信号光の周波数を包含する。光フィルタ33は光デバイダ31のポート31Bと位相共役光出力ポート6の間の光路に挿入され、その通過帯域は位相共役光の周波数を包含する。
図7は本発明の第3実施例を示す位相共役光発生装置のブロック図である。この実施例は、図5の主要部の非線形光学媒質1において双方向励起型の4光波混合により前方向及び後方向にそれぞれ発生した位相共役光を取り出すのに適している。前方向及び後方向にそれぞれ発生した位相共役光を取り出すために、この実施例では、図3の位相共役光出力ポート6に対応して位相共役光出力ポート6A及び6Bが設けられており、信号光/位相共役光抽出手段7は、光デバイダ31及び41と光フィルタ33,42及び43とを含む。光デバイダ31及び光フィルタ33は、図6の第2実施例におけるのと同じように後方向に発生した位相共役光を抽出するためのもので、光フィルタ33には位相共役光出力ポート6Bが接続される。光デバイダ41と光フィルタ42及び43は前方向に発生した位相共役光を取り出すためのものである。光デバイダ41はポート41A,41B及び41Cを有し、ポート41Aに供給された光を2分岐してそれぞれポート41B及び41Cから出力する。光デバイダ41のポート41Aは光カプラ24のポート24Cに接続される。光フィルタ42は光デバイダ41のポート41Bと信号光出力ポート5の間の光路に挿入され、その通過帯域は出力信号光の周波数を包含する。光フィルタ43は光デバイダ41のポート41Cと位相共役光出力ポート6Aの間の光路に挿入され、その通過帯域は位相共役光の周波数を包含する。
図8は本発明の第4実施例を示す位相共役光発生装置のブロック図である。この実施例は、図3の基本構成に対比して、入力データに基づき励起光を変調する変調手段51をさらに備えている点で特徴付けられる。変調手段51が励起光の強度又は振幅を変調する場合、それに伴って非線形光学媒質1における利得が変化するので、信号光出力ポート5から出力される信号光と位相共役光出力ポート6から出力される位相共役光の双方について変調を行うことができる。また、変調手段51が励起光の周波数を変調する場合には、信号光の周波数と励起光の周波数の差が励起光の周波数と位相共役光の周波数の差に等しいという関係から、位相共役光についての周波数変調が可能になる。尚、変調手段51が励起光の強度を変調する場合には、変調度を小さくして変調成分を出力信号光及び/又は位相共役光に重畳するようにしても良いし、変調度を大きくして、位相共役光をオン・オフ変調するようにしてもよい。変調手段51を図6の第2実施例又は図7の第3実施例に適用して励起光源の強度変調を行う場合には、変調手段51により励起光源21及び22のいずれか一方から出力される励起光が変調されるようにすればよい。尚、以上の位相共役光発生装置の実施例では、必要に応じて励起光、出力信号光、位相共役光について光増幅を行うようにしても良い。
図9A,図9B及び図9Cは本発明の第5実施例を示す中継光伝送システムのブロック図である。これらのシステムは、それぞれ、送信局61と、受信局62と、送信局61及び受信局62間に敷設された光伝送路63と、光伝送路63の途中に挿入された中継局64とを備えている。
図9Aに示された例では、中継局64は位相共役光発生装置65を含み、この位相共役光発生装置65は、送信局61から光伝送路63を介して信号光入力ポート3に供給された光を入力信号光として受け、この入力信号光に基づいて発生した位相共役光を、位相共役光出力ポート6から光伝送路63を介して受信局62に向けて送出する。位相共役光発生装置65は例えば図3に示された基本構成を有する。この構成によると、光伝送路63の途中に位相共役光発生装置65を設けているので、光伝送路63において生じた波長分散等を補償することができ、長距離の光伝送が可能になる。また、位相共役光発生装置65で位相共役光に対する利得が生じるようにしておくことによって、光伝送路63で減衰した信号光強度を補償することができる。
図9Bに示された例では、中継局64は、位相共役光発生装置65に加えて、入力データに基づき励起光を変調する変調手段66をさらに含む。この入力データは例えば中継局64の監視データを含む。この構成によると、監視データ等の中継局64に固有の情報を受信局62に伝送することができる。尚、位相共役光発生装置65の信号光出力ポート5からの出力信号光が受信局62に伝送されるようにし、位相共役光出力ポート6から出力された変調された位相共役光が送信局61に伝送されるように構成を変更しても良い。
図9Cに示された例では、送信局61が送出する光は伝送データにより変調されており、中継局64は、位相共役光発生装置65に加えて、復調手段67を含む。復調手段67は、位相共役光発生装置65の信号光出力ポート5から出力される出力信号光を受け、送信局61における伝送データに対応した復調データを再生する。送信局61における変調方式は、例えば、コヒーレントな光若しくはコヒーレントでない光に対する強度変調又はコヒーレントな光に対する振幅変調若しくは角度変調である。受信局62における検波方式としては、送信局61における変調方式が強度変調である場合には、フォトダイオード等の受光器を用いた直接検波が適しており、送信局61における変調方式がコヒーレント光に対する振幅変調又は角度変調である場合には、フォトダイオード等の受光器の受光面上に受信光とローカル光とを同一光路で入射させるようにしたヘテロダイン検波又はホモダイン検波が適している。この構成によると、送信局61から受信局62に伝送される伝送データを中継局64でモニタすることができる。
図9A,図9B及び図9Cのシステムは周波数分割多重伝送にも適用可能である。この場合、中継局64は各周波数毎の励起光源を有していることが望ましいが、周波数分割多重間隔が密である場合には、1つの励起光源を用いて全てのチャネルの位相共役光を発生させることもできる。
図10は本発明の第6実施例を示す中継光伝送システムのブロック図である。この実施例は、図9A,図9B又は図9Cに示されたシステムと対比して、送信局61と受信局62の間にN台(Nは1より大きい自然数)の中継局64(#1〜#N)が挿入されている点で特徴付けられる。送信局61の側から数えて1番目の中継局64(#1)が有する位相共役光発生装置65の信号光入力ポート3は送信局61に接続される。また、中継局64(#1〜#N)のうち送信局61の側から数えてn番目(nは1よりも大きく且つ(N+1)よりも小さい自然数)の中継局が有する位相共役光発生装置65の信号光入力ポート3は、(n−1)番目の中継局が有する位相共役光発生装置65の位相共役光出力ポート6に接続される。さらに、受信局62の側から数えて1番目の中継局64(#N)が有する位相共役光発生装置65の位相共役光出力ポート6は受信局62に接続される。この実施例によると、図9A,図9B及び図9Cのいずれかの実施例に比べてさらに長距離の光伝送が可能になる。
図11は本発明の第7実施例を示す双方向中継光伝送システムのブロック図である。このシステムは、光送信機71及び光受信機72を有する送受信局73と、光送信機74及び光受信機75を有するもう一つの送受信局76と、送受信局73及び76間に敷設された上り光伝送路77及び下り光伝送路78と、上り及び下り光伝送路77及び78の途中に挿入された中継局79とを備えている。中継局79は、双方向伝送に適用するように変更を加えられた位相共役光発生装置65′を含む。位相共役光発生装置65′は、第1及び第2の励起光をそれぞれ出力する図示しない第1及び第2の励起光源を有しており、発生した位相共役光は位相共役光出力ポート6A及び6Bから出力する。
図12は図11のシステムにおける各光の周波数配置の説明図である。ωP1は第1の励起光、ωS1は光送信機71から上り光伝送路77を介して位相共役光発生装置65′の信号光入力ポート3に供給される第1の信号光、ωI1は第1の励起光と第1の信号光に基づき位相共役光発生装置65′において発生する第1の位相共役光、ωP2は第2の励起光、ωS2は光送信機74から下り光伝送路78を介して位相共役光発生装置65′の信号光出力ポート5に供給される第2の信号光、ωI2は第2の励起光と第2の信号光に基づき位相共役光発生装置65′において発生する第2の位相共役光の周波数をそれぞれ表している。第1の励起光と第2の励起光は例えば互いに異なる周波数を有しており、第1及び第2の信号光の周波数はそれぞれ第1及び第2の励起光の周波数と僅かに異なるように設定される。第1及び第2の位相共役光は、それぞれ、第1及び第2の励起光を中心として第1及び第2の信号光に対して対称の周波数軸上の位置に出現する。尚、第1及び第2の信号光が、これらが混信しない程度にわずかに異なる周波数を有している場合には、第1及び第2の信号光が利得帯域に入るような単一周波数(帯域)の第1及び第2の励起光を用いてもよい。
位相共役光発生装置65′は、信号光入力ポート3に供給された第1の信号光と第1の励起光に基づき第1の位相共役光を発生し、この第1の位相共役光は、位相共役光出力ポート6Aから上り光伝送路77を介して光受信機75に伝送される。また、位相共役光発生装置65′は、光送信機74から信号光出力ポート5に供給された第2の信号光と第2の励起光に基づいて第2の位相共役光を発生させ、この第2の位相共役光は位相共役光出力ポート6Bから下り光伝送路78を介して光受信機72に伝送される。尚、位相共役光発生装置65′は、図7の第3実施例に準じて構成することができる。図7の第3実施例では、信号光出力ポート5は出力信号光を送出するためのものであるが、図11の第7実施例では、この信号光出力ポート5を下り方向のための入力ポートとして用いている。また、図9A〜図9Cの第5実施例に周波数分割多重を適用可能であるのと同様に、図11の第7実施例にも周波数分割多重を適用可能である。
図13は本発明の第8実施例を示す双方向中継光伝送システムのブロック図である。この実施例は、図11の第7実施例と対比して、送受信局73及び76間にN台(Nは1より大きい自然数)の中継局79(#1〜#N)を設けている点で特徴付けられる。各中継局79(#1〜#N)はそれぞれ図11の位相共役光発生装置65′を有している。送受信局73の側から数えて1番目の中継局79(#1)が有する位相共役光発生装置65′の信号光入力ポート3及び位相共役光出力ポート6Bは、それぞれ光送信機71及び光受信機72に接続される。また、中継局79(#1〜#N)のうち送受信局73の側から数えてn番目
(nは1より大きく且つ(N+1)より小さい自然数)の中継局が有する位相共役光発生装置65′の信号光入力ポート3及び位相共役光出力ポート6Bは、(n−1)番目の中継局が有する位相共役光発生装置65′のそれぞれ位相共役光出力ポート6A及び信号光出力ポート5に接続される。さらに、送受信局76の側から数えて1番目の中継局79(#N)が有する位相共役光発生装置65′の信号光出力ポート5及び位相共役光出力ポート6Aはそれぞれ光送信機74及び光受信機75に接続される。この実施例において、各位相共役光発生装置65′における第1の励起光を同一周波数にし、各位相共役光発生装置65′における第2の励起光を同一周波数にするためには、信号光と位相共役光の周波数配置関係を交互に逆転させれば良い。例えば、中継局79(#1)が有する位相共役光発生装置65′における周波数配置が図2のように設定されている場合には、中継局79(#2)が有する位相共役光発生装置65′における周波数配置が、ωS=ωP−Ω,ωI=ωP+Ωとなるようにすれば良い。
図14は本発明の第9実施例を示す光分配システムのブロック図である。このシステムは位相共役光発生装置65を複数備えており、これら複数の位相共役光発生装置65のうちの上位のものの信号光出力ポート5及び位相共役光出力ポート6はそれぞれすぐ下位のものの信号光入力ポート3に接続される。この実施例においては、位相共役光発生装置65を1台通過する毎のSN比の劣化は最小で3dB(量子雑音の付加)で済む。一方、従来の光分配システムにおいては、一つの光分配部が少なくとも1台の1:1光カプラと光増幅器とを有しているので、分配による損失を0dBに抑えるためには、一つの光分配部で最小でも6dBのSN比の劣化があった。従って、この実施例によると、極めて低雑音で且つ分配による損失のない光分配が可能になる。尚、位相共役光発生装置65のポート5及び6からそれぞれ出力される信号光及び位相共役光に対する利得は、(7), (8)式に示されたように互いに異なるが、G≫1,ωI/ωS≒1の条件の下で位相共役光発生装置65を動作させることによって、この利得差を無視することができる。
図15は本発明の第10実施例を示す光スイッチングシステムのブロック図である。この実施例は、図3の基本構成に対比して、励起光源2をオン・オフするスイッチング手段81をさらに備えている点で特徴付けられる。励起光源2のオン状態においては、非線形光学媒質1において位相共役光が発生するように励起光の強度が制御され、励起光源2のオフ状態においては、非線形光学媒質1で位相共役光が発生しないように励起光の強度が制御される。この実施例によると、スイッチング手段81の動作により位相共役光が発生する状態と発生しない状態とを択一的に切り換えることが可能になる。
図16は本発明の第11実施例を示す光選択システムのブロック図である。この実施例は、図3の基本構成に対比して、励起光源2から出力される励起光の周波数を掃引する掃引手段91をさらに備えている点と、信号光入力ポート3に周波数分割多重された複数の信号光が供給される点とで特徴付けられる。周波数分割多重された複数の信号光を供給するために、この実施例では、周波数が互いに異なる信号光を出力する複数の光源92(#1,#2,…)が用いられており、これらの光源92(#1,#2,…)からの信号光はマルチプレクサ等の多重化手段93で多重化されて信号光入力ポート3に供給される。この実施例において、励起光の周波数を掃引手段91により変化させると、それに伴って、位相共役光を発生する利得帯域も周波数軸上で掃引される。従って、複数の信号光のうち利得帯域にある信号光を択一的に選択して、その信号光に対応する位相共役光を発生させることができるので、周波数分割多重システムにおけるチャネル選択を容易に行うことができる。
図17は本発明の第12実施例を示す光アンド回路システムのブロック図である。この実施例では、図6の第2実施例における励起光源21及び22と光カプラ23及び24と光デバイダ31と光フィルタ33とが用いられ、さらに励起光制御手段101が設けられている。励起光制御手段101は、励起光源21から光カプラ23のポート23Bに供給される励起光の強度を入力論理データQ1のハイ及びローに従って変化させる駆動回路102と、励起光源22から光カプラ24のポート24Bに供給される励起光の強度を入力論理データQ2のハイ及びローに従って変化させる駆動回路103とを含む。信号光入力ポート3には光源104からの例えば変調されていない信号光が供給される。そして、入力論理データQ1及びQ2がともにハイのときにのみ位相共役光出力ポート6から位相共役光が出力されるように信号光及び励起光の強度を調整しておく。このときの入力論理データQ1及びQ2とこれらに対する位相共役光の論理レベルX1との関係を表に示す。
表から明らかなように、この実施例によると、2つの入力論理データに対する位相共役光の強度レベルがアンド回路の出力として得られていることがわかる。尚、2つの論理データは電気信号であっても良いし光信号であっても良い。また、この実施例においては、非線形光学媒質1における非線形光学効果自体の応答時間はピコ秒程度であるので、極めて高速な演算の実現が可能になる。
ところで、光の波動性を積極的に利用した光計測や光通信に用いられる光を振動電場と考えると、この振動電場の振幅や位相は種々の原因で揺らいでいる。取り分け、場の量子論的揺らぎは避けることができないものである。従って、このような揺らぎが光計測における精度や光通信における受信感度を究極的に律することになる。場のある量の揺らぎはその量と特定の関係にあるもう1つの量との間の不確定性関係で律せられている。即ち、これら2つの量の揺らぎの大きさの積は所定値以下にはならない。しかし、一方の量の揺らぎが大きくなることを許容すれば、他方の量の揺らぎを小さくすることができる可能性は残されている。このような考えに基づいて、揺らぎの少ない場を作ろうという試みがなされている。こうして作られた場はスクイズド状態と称され、この状態における光はスクイズド光と称される。
本発明の位相共役光発生装置を用いてスクイズド状態を生成することができる。即ち、励起光の強度が高い場合、出力信号光と位相共役光についての量子論的取り扱いが可能になり、出力信号光及び位相共役光が互いにパラメトリックな量子相関を有することを用いてスクイズド状態の生成が可能になり、光計測における測定精度や光通信における感度を高めることができる。
以上説明したように、本発明の第1の適用態様によると、種々の光システムに適用可能な新規な構成を有する位相共役光発生装置の提供が可能になるという効果が生じる。また、この位相共役光発生装置を備えた種々の有用な光システムを提供することができるようになるという効果が生じる。
次に本発明の第2の適用分野について説明する。本発明の以下の実施例は、位相共役光を用いた光通信システムに関する。
本発明の第2の適用分野における目的は、多機能性を有する位相共役光発生手段を用い、これを光通信システムに適用することである。
具体的には、本発明の以下の実施例の目的は、光伝送路での位相揺らぎを補償した光通信システムを提供することにある。
本発明によると、主局と従局の間に光伝送路を設けてなる光通信システムであって、上記主局は位相共役光発生手段及び第1の変調手段を有し、上記従局はプローブ光発生手段及び第1の復調手段を有し、上記プローブ光発生手段はプローブ光を上記光伝送路の第1端に供給し、上記位相共役光発生手段は上記光伝送路の第2端から出力した上記プローブ光に対する位相共役光を発生して該位相共役光を上記光伝送路の第2端に供給し、上記第1の変調手段は第1の入力データに従って上記位相共役光を変調し、上記第1の復調手段は上記光伝送路の第1端から出力した上記位相共役光に基づいて上記第1の入力データを復調するシステムが提供される。
このシステムにおいては、光伝送路を介して従局から伝送されたプローブ光に対する位相共役光を主局で発生させ、この位相共役光を例えばデータ信号により変調して光伝送路を介して従局に伝送するようにしているので、位相共役光における時間反転の性質により、光伝送路での位相揺らぎが補償される。
以下、本発明の第2の適用分野における実施例を添付図面に従って詳細に説明する。
図18は本発明の光通信システムの基本構成を示すブロック図である。このシステムは、主局201と従局202を光伝送路203により接続して構成される。主局201は位相共役光発生手段204及び(第1の)変調手段205を有する。従局202はプローブ光発生手段206及び(第1の)復調手段207を有する。プローブ光発生手段206は、変調された或いは変調されていないプローブ光を光伝送路203の第1端に供給する。位相共役光発生手段204は、光伝送路203の第2端から出力したプローブ光を受け、そのプローブ光に対する位相共役光を発生して、この位相共役光を光伝送路203の第2端に供給する。変調手段205は、入力データに従って位相共役光を変調する。復調手段207は、光伝送路203の第1端から出力した位相共役光に基づいて入力データを復調する。変調手段205は、位相共役光発生手段204に動作的に接続されて位相共役光を内部変調するように構成されていても良いし、位相共役光発生手段204とは独立して位相共役光発生手段204から光伝送路203の第2端に供給される位相共役光を外部変調するように構成されていても良い。
図19は図18の主局201の具体的構成例を示すブロック図である。位相共役光発生手段204は、非線形光学媒質211と、励起光を発生する励起光発生手段212と、プローブ光/励起光供給手段213とを含む。プローブ光/励起光供給手段213は、励起光発生手段212から供給された励起光を、図18の従局202から光伝送路203を介して供給されたプローブ光とともに非線形光学媒質211に供給する。非線形光学媒質211内で発生した位相共役光は、プローブ光の供給経路と同じ経路を逆向きに経て或いはプローブ光の供給経路とは異なる経路を経て図18の光伝送路203に供給される。
図19のように構成された位相共役光発生手段204が用いられている場合、位相共役光を変調する変調手段205は、入力データに従って励起光を変調する励起光変調手段214を含むことができる。励起光変調手段214は、励起光発生手段212の光源を直接変調し、或いは励起光発生手段212からプローブ光/励起光供給手段213を介して非線形光学媒質211に供給される励起光を間接変調する。非線形光学媒質211を用いて位相共役光を発生させる場合、パラメトリック光増幅(光パラメトリックプロセス)又は4光波混合によるのが望ましい。パラメトリック光増幅は2次の非線形光学効果を用いるのに対し、4光波混合は3次の非線形光学効果を用いる。4光波混合により位相共役光を発生させる場合、励起光として同一周波数の第1及び第2の励起光を用い、これら第1及び第2の励起光を非線形光学媒質に互いに逆向きに供給するのが望ましい。このような双方向励起型の4光波混合による場合には、効率的に位相共役光を発生させることができる。勿論一つの励起光源を用いて4光波混合を発生させても良い。
図20は、同一周波数の第1及び第2の励起光を3次の非線形光学効果を呈する非線形光学媒質に互いに逆向きに供給して4光波混合を生じさせる場合における位相共役光の発生原理の説明図である。3次の非線形光学効果を呈する非線形光学媒質NOMに第1及び第2の励起光EP1及びEP2を互いに反対の向きで入射させている状態で、非線形光学媒質NOMに入力信号光(プローブ光に相当)を供給すると、3次の非線形光学プロセス(具体的には第1及び第2の励起光のいずれか一方と入力信号光とにより形成される空間回折格子による第1及び第2の励起光のいずれか他方の回折)により、周波数ωS、波数kSの入力信号光ESから、周波数ωS、波数kSの出力信号光ES′と周波数ωI、波数kIの出力アイドラ光EI′とが生成される。出力アイドラ光EI′が入力信号光ESの位相共役光に相当するものであることは後述する。特に、互いに反対の向きで供給された第1及び第2の励起光が同じ周波数(ωP)である場合には、波数についてkI=−kSとなるから、アイドラ光は入力信号光の入射方向と反対方向に出力され、これにより反射型の位相共役光発生装置(位相共役ミラー)が実現される。このとき、エネルギー保存則により次の関係が成り立つ。
図21は、4光波混合における信号光、励起光及びアイドラ光の周波数配置を説明するための図である。Ωは信号光と励起光の離調周波数を表す。周波数軸上において、信号光及びアイドラ光は励起光を中心として対称の位置にあることが分かる。
図20の原理における非線形光学効果の相互作用長をLとすれば、生成方程式は以下のように与えられる。
となる。n及びχ
(3)はそれぞれ非線形媒質NOMの屈折率及び3次の非線形光学定数を表す。また、<χ
(3)>は非線形光学定数χ
(3)の全ての偏波状態についての平均を表す。
(14),(15) 式より、信号光及びアイドラ光に対するそれぞれの利得GS及びGIは、
で与えられることがわかる。通常、ω
I/ω
S≒1であるから、非線形光学効果による位相共役光の発生においては、信号の増幅が実現されることがわかる。また、この場合における利得は、励起光の強度に依存するので、励起光の強度を変調することで、アイドラ光について強度変調を行うことができる。図20の原理に基づいて発生する出力アイドラ光E
I′は入力信号光E
Sに対する位相共役光になっている。このことは、(14),(15) 式において、入力アイドラ光がない場合(E
I=0)を考えてみれば明らかである(E
I′はE
Sの複素共役に相当)。
次に、この位相共役光の大きな特徴である時間反転の性質について説明する。いま、+z方向に進行する入力信号光(変調されていない入力プローブ光に相当)が平面波として次の式で表されるものとする。
ここで、A
S(r)は電場の複素振幅、rは空間座標ベクトル、ω
Sはプローブ光の周波数、tは時間、k
Sは波数ベクトルを表し、c.c.はその直前の項の複素共役をとることを意味する。但し、波数ベクトルの大きさk
Sは、光路の屈折率をn、真空中の光速をcとすると、k
S=ω
Sn/cで与えられる。このとき、(20)式で表される光の位相共役光は、次の(21)式で表される。
(21)式は−z方向の進行波である反射型の位相共役光を表している。(21)式より明らかなように、反射型の位相共役光については、
が成り立ち、位相共役光が時間反転の性質を持つことがわかる。この時間反転の性質を用いることによって、光伝送路で受ける定常的な位相歪み(例えば波長分散の影響)や偏波変動等の位相揺らぎを補償可能である。
図22は図18及び図19の主局204の実施例を示すブロック図である。この実施例では、図19の非線形光学媒質211として光ファイバ221が用いられている。光ファイバ221は望ましくは石英系のシングルモードファイバである。また、図19の励起光発生手段212に対応して2つのレーザダイオード222及び223が用いられている。レーザダイオード222及び223はそれぞれ第1及び第2の励起光を出力し、これらの周波数は等しい。非線形光学媒質211としては、光ファイバ221の他にBaTiO3等の光誘起屈折率(フォトリフラクティブ)効果媒質、各種の有機化合物、各種半導体、特に進行波型の半導体光増幅器やファブリペロ型の半導体光増幅器を用いることもできる。また、LiNbO3等による光導波構造も採用可能である。いずれにしても、これらの媒質の主にFWMを用いることにより位相共役光の発生が可能であり、位相共役光の発生効率が高い非線形光学媒質を用いてその光路長を短くすることが、位相整合を容易にして広帯域化を図る上で有効である。レーザダイオード222及び223からの第1及び第2の励起光を非線形光学媒質としての光ファイバ221にそれぞれ互いに逆向きで入射させるために、図19のプローブ光/励起光供給手段213は、2つの光カプラ224及び225を含む。光カプラ224はポート224A,224B及び224Cを有し、少なくとも、ポート224Aに供給された光をポート224Bから出力しポート224Bに供給された光をポート224Cから出力するように機能する。光カプラ224のポート224Aはレーザダイオード222に接続され、ポート224Bは光ファイバ221の第1端に接続され、ポート224Cは信号光出力用のポート226に接続される。光カプラ225はポート225A,225B及び225Cを有し、少なくとも、ポート225Aに供給された光をポート225Bから出力しポート225Bに供給された光をポート225Cから出力しポート225Cに供給された光をポート225Bから出力するように機能する。光カプラ225のポート225Aはレーザダイオード223に接続され、ポート225Bは光ファイバ221の第2端に接続され、ポート225Cはプローブ光入力及び位相共役光出力のためのポート227に接続される。光カプラ224及び225としては、例えば、ファイバ融着型のもの、ハーフミラー、光合波器、偏光ビームスプリッタ等が使用される。
この実施例では、図19の励起光変調手段214は、レーザダイオード222及び223の駆動制御回路228を含む。駆動制御回路228は、光ファイバ221に供給される第1及び第2の励起光によって入力プローブ光に対する位相共役光が発生するようにレーザダイオード222及び223に駆動電流を供給し、また、レーザダイオード222及び/又は223に供給する駆動電流を入力データに従って変化させる。位相共役光について強度変調又は振幅変調を行う場合には、駆動制御回路228は、入力データに従って第1及び第2の励起光の少なくともいずれか一方の強度又は振幅が変調されるように、レーザダイオード222及び223に与える駆動電流を制御する。また、位相共役光について周波数変調を行う場合には、駆動制御回路228は、入力データに従って第1及び第2の励起光の周波数が変調されるように、レーザダイオード222及び223に与える駆動電流を制御する。レーザダイオード222及び223から光ファイバ221にそれぞれ供給される第1及び第2の励起光が周波数変調されると、信号光の周波数と励起光の周波数の差が励起光の周波数と位相共役光の周波数の差に等しいという関係(図21参照)から、位相共役光が周波数変調される。
この実施例によると、レーザダイオード222及び223からの第1及び第2の励起光を非線形光学媒質としての光ファイバ221にそれぞれ互いに逆向きに供給することができるので、双方向励起型の4光波混合を生じさせて、入力プローブ光に対する位相共役光を効率的に発生させることができる。また、ポート227から入力プローブ光の供給経路と同一の経路で位相共役光を取り出すことができるので、ポート227を図18の光伝送路203に接続することによって、図18のシステムを容易に実現することができる。尚、図22のポート226は、ポート227に供給されるプローブ光が後述のように変調されている場合に、復調のために用いることができる。
図23A及び23Bは、図22の駆動制御回路228が位相共役光を強度変調すべくレーザダイオード23に与える駆動電流を変化させて第2の励起光を強度変調する場合についての位相共役光及び第2の励起光の波形を説明するための図である。図23Aにおいて、下段は第2の励起光EP2の波形を表し、上段は位相共役光EI′の波形を表している。第2の励起光EP2はアナログ信号(この例では正弦波信号)により強度変調されており、第2の励起光EP2が信号利得G=1を満足する値EP2 (0)よりも高い値のときにのみ位相共役光が出力される。従って、位相共役光EI′の波形は、正弦波信号を半波整流した波形と等価になる。図23Bは第2の励起光がデジタル信号により強度変調されている場合についてを図23Aに準じて表示した位相共役光及び第2の励起光の波形図である。この例においても、第2の励起光EP2がしきい値EP2 (0)よりも高い値のときにのみ位相共役光が出力される。尚、第2の励起光の強度又は振幅を常にしきい値EP2 (0)よりも高い領域で変化させる場合にも、本発明を実施可能である。
図24は本発明の光通信システムの他の基本構成を示すブロック図である。この基本構成は、図18の基本構成と対比して、主局201の第1の変調手段205が第1の入力データに従って位相共役光を変調している点と、従局202が第2の入力データに従ってプローブ光を変調する第2の変調手段231をさらに有している点と、主局201が位相共役光発生手段204の出力光に基づいて第2の入力データを復調する第2の復調手段32をさらに有する点とで特徴付けられる。この構成によると、従局202から主局201に向かう方向にはプローブ光に伝送データをのせ、主局201から従局202に向かう方向については位相共役光に伝送データをのせることができるので、双方向伝送が可能になるとともに、主局201から従局202に向かう方向について光伝送路での位相揺らぎを補償することができる。
第2の変調手段231がプローブ光の周波数又は位相を変調する場合には、第1の変調手段205における位相共役光に対する変調方式としては、強度変調又は振幅変調を採用可能である。こうすることで、第1及び第2の復調手段207及び232がそれぞれ容易に第1及び第2の入力データを復調することができる。また、第2の変調手段231がプローブ光の強度又は振幅を比較的低い変調度で変調し、第1の変調手段205が位相共役光の強度又は振幅を比較的高い変調度で変調するようにしても、或いはその逆でも良好に復調を行うことができる。尚、図24の第2の復調手段232は、例えば図22のポート226に接続され、図22の光ファイバ221内で増幅された信号光(増幅された変調プローブ光に相当)に基づいて、第2の入力データを復調する。
図25は図18又は図24のシステムに適用可能な従局の第1実施例を示すブロック図である。この実施例では、位相共役光が強度変調されている場合に、直接検波により伝送データを復調する。光カプラ241はポート241A,241B及び241Cを有し、ポート241Aに供給された光をポート241Bから出力しポート241Cに供給された光をポート241Aから出力するように機能する。光カプラ241としては例えば光サーキュレータを用いることができる。光カプラ241のポート241Aは図18又は図24の光伝送路203に接続され、ポート241Bはフォトダイオード等の受光器242に接続され、ポート241Cはプローブ光の光源としてのレーザダイオード244に接続される。
強度変調された位相共役光が光カプラ241のポート241A及び241Bをこの順に経て受光器242に供給されると、受光器242の出力電気信号は伝送されてきた位相共役光の強度変化に対応して変化する。従って、識別器等を用いて通常通り構成される復調回路243により受光器242の出力電気信号を処理することで、伝送データを再生することができる。プローブ光の光源としてのレーザダイオード244は駆動回路245により駆動される。この実施例の従局を図18のシステムに適用する場合には、駆動回路245はレーザダイオード244を定常駆動し、レーザダイオード244からは一定のプローブ光が出力され、このプローブ光は光カプラ241のポート241C及び241Aをこの順に経て図18の光伝送路203に送出される。一方、この実施例の従局が図24のシステムに適用される場合には、レーザダイオード244から変調されたプローブ光が出力されるように、駆動回路245がレーザダイオード244を駆動する。コヒーレントな位相共役光に対して振幅変調、位相変調又は周波数変調が行われている場合には、従局では、ローカル光を用いてヘテロダイン検波により伝送データを再生することができる。この場合、従局に伝送された位相共役光をローカル光と共に受光器の受光面に入射させて、ヘテロダイン検波を行うことができる。
図26は図18又は図24のシステムに適用可能な従局の第2実施例を示すブロック図である。この実施例は、従局でヘテロダイン検波を行う場合に、一つの光源からのプローブ光を2分岐し、その一方をローカル光として用いている点で特徴付けられる。図18又は図24の光伝送路203により伝送された位相共役光は、光カプラ241のポート241A及び241Bをこの順に経てさらにハーフミラー251を透過してフォトダイオード等の受光器252に入射する。レーザダイオード253から出力されたプローブ光は、ハーフミラー254で分岐され、分岐プローブ光の一方は光カプラ241のポート241C及び241Aをこの順に経て光伝送路に送出される。分岐プローブ光の他方は、ハーフミラー254で反射してローカル光としてさらにハーフミラー251で反射し、位相共役光と同一光路で受光器252の受光面に入射する。
この場合、ローカル光源と信号光源を共通化できる上、ローカル光源は受信機の近傍に設置されるので、高い光パワーレベルでのローカル光の受光が可能であり、従って、高い受信感度の確保も容易である。位相共役光及びローカル光が受光器252の受光面に同一光路で入射すると、位相共役光の周波数とローカル光の周波数の差に相当する周波数を有する中間周波信号が、受光器252の出力として得られる。従って、フィルタ検波方式或いは同期検波方式により通常通り構成される復調回路256を用いて、受光器252から供給される中間周波信号に基づいて伝送データを復調することができる。尚、図26において、符号255はレーザダイオード253の駆動回路を表しており、この駆動回路255は図25の駆動回路245に対応している。
図27は図26の受光器252から出力される中間周波信号のスペクトルの説明図である。図21で説明したように、非線形光学媒質を用いて4光波混合により位相共役光を発生させる場合、プローブ光と励起光の離調周波数をΩとすると、励起光と位相共役光の離調周波数もΩとなり、その結果、プローブ光の周波数と位相共役光の周波数の差は2Ωとなる。従って、図26の実施例において、分岐プローブ光をローカル光として用いた場合には、中間周波信号の中心周波数は2Ωとなる。
ところで、図26の実施例のように、ヘテロダイン検波を行う場合には、受光器252に入射する位相共役光及びローカル光の偏光面を一致させておくことが、中間周波信号の出力レベルを安定化する上で要求される。レーザダイオード253の出力光は通常直線偏光に近い偏光状態を有しているので、レーザダイオード253からハーフミラー254及び251を介して受光器252に供給されるローカル光は一定の偏光面を有する直線偏光と見なすことができる。一方、光伝送路としてよく用いられるシングルモードファイバの伝搬モードには、偏光面が互いに直交する2つの偏光モードが存在し、これら2つの偏光モードは各種の外乱の影響により結合して、結果として、シングルモードファイバの第1端に供給される光の偏光状態はそのファイバの第2端から出力される光の偏光状態に一致しない。従って、図26の光カプラ241のポート241Aに接続される光伝送路としてシングルモードファイバが用いられている場合には、光カプラ241のポート241Bからハーフミラー251を介して受光器252に供給される位相共役光の偏光状態は、環境変化等によって時間とともに変動する。このような偏光状態の変動があると、受光器252から出力される中間周波信号のレベルが変動し、最悪の場合位相共役光とローカル光が干渉せずに受信不能状態となる。
このような問題に対処するために、従来のコヒーレント光通信システムでは、受光器に供給される信号光(図26の実施例における位相共役光に相当)及び/又はローカル光について、これらの偏光状態が一致するような偏光制御を行っていた。偏光制御に代えて、光伝送路としての偏波保持ファイバの使用或いは偏波ダイバーシティ方式の適用によっても上述の問題に対処することができるが、いずれにしても、システムの構成が複雑になるという欠点がある。
図28は偏光制御その他の対策を行うことなしに中間周波信号の高いレベルを維持することができる実施例を示す光通信システムのブロック図である。従局202としては例えば図26に示されたものが用いられる。主局201と従局202を接続する光伝送路203は、この実施例ではシングルモードファイバ261である。主局201は2つの位相共役光発生装置262及び263と偏光ビームスプリッタ264とを有している。位相共役光発生装置262及び263は、供給された直線偏光のプローブ光に対して同じ偏光面を有する直線偏光の位相共役光を発生してこの位相共役光をプローブ光供給経路と逆向きに送出する。偏光ビームスプリッタ264はポート264A,264B及び264Cを有し、ポート264Aに供給された光を直交2偏光成分に分離してそれぞれポート264B及び264Cから出力しポート264B及び264Cにそれぞれ供給された直交2偏光成分をポート264Aから出力するように機能する。偏光ビームスプリッタ264のポート264Aはシングルモードファイバ261に接続され、ポート264B及び264Cは、定偏波ファイバ等の偏光状態保持機能を有する伝送路を介してそれぞれ位相共役光発生装置262及び263に接続される。
シングルモードファイバ261により従局202から主局201に送られたプローブ光は、偏光ビームスプリッタ264で偏光面が互いに直交する2つの偏光成分に偏光分離される。プローブ光のこれら2偏光成分はその偏光状態を保ったままそれぞれ位相共役光発生装置262及び263に供給され、ここでそれぞれ対応した偏光面を有する位相共役光が発生する。位相共役光発生装置262及び263から出力した位相共役光は、偏光ビームスプリッタ264で偏光合成され、シングルモードファイバ261により従局202に伝送される。位相共役光発生装置262及び263から送出される位相共役光の2偏光成分は、プローブ光の偏光状態の変動を正確にさかのぼって従局202に伝送されるので、シングルモードファイバ261における偏光状態の変動の周期が主局201及び従局202間の光の往復時間に比べて十分に大きい場合には、シングルモードファイバ261の出力端における位相共役光の偏光状態は、プローブ光としてシングルモードファイバ261に供給された状態に戻り、従って、常に最適な偏光状態でのヘテロダイン検波が可能になる。このように本実施例によると、偏光制御や偏波ダイバーシティ方式の適用が不要になるので、簡単且つ高性能なシステムの提供が可能になる。尚、位相共役光発生装置262及び偏光ビームスプリッタ264間の光路長と位相共役光発生装置263及び偏光ビームスプリッタ264間の光路長の差は、光源のコヒーレント長よりも短く設定されることが望ましい。
主局201は、一つの位相共役光発生装置262のみを有するように構成されても良い。この場合、図28の主局201の構成要素のうち位相共役光発生装置263及び偏光ビームスプリッタ264が省略され、位相共役光発生装置262は偏波能動制御器を介してシングルモード光ファイバ261に接続される。そして、シングルモードファイバ261から主局201に入力する任意の偏波状態の光を偏波能動制御器により位相共役光発生装置262で発生させる位相共役光の偏波状態(通常は直線偏波)と同じ状態に変換して位相共役光発生装置262に入力する。こうすると、発生した位相共役光は偏波能動制御器で再びシングルモードファイバ261から出力された際の偏波状態に変換される。従って、この位相共役光がシングルモードファイバ261を逆方向に伝搬して従局202に戻った際には、最初の偏波状態と等しくなるのである。
図18又は図24のシステムにおいて、プローブ光発生手段206から光伝送路203に供給されるプローブ光が周波数分割多重された複数のプローブ光である場合には、周波数分割多重数と同数の位相共役光発生手段204を用いるか、或いは、周波数分割多重された複数のプローブ光に対して位相共役光をそれぞれ発生し得る広帯域の位相共役光発生手段204を用いることで、周波数分割多重光伝送が可能になる。
図29は本発明を光分配系に適用した実施例を示す光通信システムのブロック図である。この系での第1の実施例は、それぞれが主局201に対応する複数の加入者271と、従局202に対応する分配局272とを光マルチ/デマルチプレクサ273を介して接続している場合である。分配局272からの単一周波数の或いは周波数分割多重されたプローブ光は、光マルチ/デマルチプレクサ273で分配されて、各加入者271に供給される。各加入者271では、各分配プローブ光に基づき伝送データが再生され、一方、各加入者271からのリクエスト信号等の伝送データは位相共役光により分配局72に伝送される。この実施例では、各加入者271では出力信号光及び位相共役光についての増幅を行わせることができるので、光マルチ/デマルチプレクサ273における分配損失を補償することができ、簡単な構成の光加入者システムを実現することができる。各加入者271は例えば図19の主局の具体的構成例を有しており、この場合、各励起光発生手段212が発生する各励起光の周波数を異ならせておくことによって、分配局272の側で例えばいずれの加入者からのリクエスト信号であるかを検出することが容易になる。
この系での第2の実施例は、主局に対応する分配局272と従局に対応する複数の加入者271を光マルチ/デマルチプレクサ273を介して接続している場合である。各加入者271の各々に割り当てられた周波数のプローブ光或いは共通の光源から分配されたプローブ光は、光マルチ/デマルチプレクサ273で合成されて、分配局272に供給される。分配局272は、プローブ光を位相共役光に変換し、この位相共役光に伝送データを載せた後、再び各加入者271に伝送する。位相共役光の生成においては、各加入者の各々に別々の周波数のプローブ光が割り当てられている場合には、加入者の数と同数の位相共役光発生手段を用いるか、或いは、複数のプローブ光に対して位相共役光を発生し得る広帯域の位相共役光発生手段が用いられる。また、各加入者からのプローブ光には各加入者からのリクエスト信号を載せておくことも可能である。
以上説明したように、本発明の第2の適用態様によると、多機能性を有する位相共役光発生手段を用いてこれを光通信システムに適用することができるので、所定の機能を簡単な構成で実現することができるようになるという効果が生じる。また、本発明によると、光伝送路での位相揺らぎを補償した光通信システムの提供が可能になるという効果が生じる。
続いて、本発明の第3の適用分野について説明する。本発明の以下の実施例は、種々の光システムに適用可能な光変調器に関する。
従来、光変調器としては、電気信号により光デバイスを変調するものが知られている。例えば、レーザダイオードの注入電流の変調による振幅変調や周波数(位相)変調、LiNbO3光導波路のバイアス電圧の変調による強度変調や位相変調等が盛んに行われている。光システムの高速化に際し、従来の光変調器の性能は限界に近づきつつある。その一方で、光システムのさらなる高速化への期待もある。また、光増幅中継が盛んになるにつれ、伝送速度に依存しない光中継器が求められるようになってきている。こうした要求に応えるためには、電気的な処理を介さない光による光変調器(所謂全光変調器)の開発が要求される。
本発明の第3の適用分野における目的は、このような光変調器を提供することにある。
図30は本発明の光変調器の基本構成を示すブロック図である。この光変調器は、プローブ光源301と、励起光源302と、非線形光学媒質303と、プローブ光源301からのプローブ光を励起光源302からの励起光とともに非線形光学媒質303に供給するプローブ光/励起光供給手段304と、励起光源302に動作的に接続されて励起光を情報信号により変調する変調手段305とを備える。そして、非線形光学媒質303から変調された位相共役光が出力される。
非線形光学媒質を用いた4光波混合(FWM)による位相共役光の発生及びその性質については、例えば第2の適用分野において(13)式乃至(22)式により説明したので、ここでは出力アイドラ光(位相共役光)がどのように変調されるかについて、振幅(強度)変調、周波数変調、位相変調を例にとり説明する。いま、FWMにおける入力信号光(プローブ光)ES(ωS,t)、励起光EP(ωP,t)及び出力アイドラ光EI′(ωP,t)がそれぞれ次のように表されるものとする。AS(ωS,t),AP(ωP,t)及びAI(ωI,t)はそれぞれプローブ光、励起光及び出力アイドラ光の振幅、ωS,ωP及びωIはそれぞれプローブ光、励起光及び出力アイドラ光の周波数、tは時間、φS(t),φP(t)及びφI(t)はそれぞれプローブ光、励起光及び出力アイドラ光の位相を表している。
ここで、入力アイドラ光がない場合(E
I=0)を考えると、(13)式乃至(16)式より以下の関係が得られる。
(1)振幅(強度)変調
(26)式より、励起光の振幅A
P(ω
P,t)を変化させると、その絶対値の二乗に比例して出力アイドラ光(位相共役光)の振幅A
I(ω
I,t)が変化することがわかる。即ち、(29)式及び(30)式で表されるように励起光に振幅(強度)変調をかけると、(31)式で与えられるように出力アイドラ光が振幅(強度)変調されるものである。
このとき、励起光E
P(ω
P,t)の消光比をγとすると、得られるアイドラ光E
I′(ω
P,t)の消光比はγ
2となる。例えば、γ=−15dBとすると、γ
2=−30dBとなるから、大幅な消光比の改善が可能になる。
アイドラ光EI′(ωP,t)は、励起光EP(ωP,t)が信号利得G=1を満足する値EP (0)よりも高い値のときにのみ出力される。この様子を図31Aに示す。ここでは、励起光を正弦波で変調している。励起光をデジタル信号によりオン−オフ変調する場合には、図31Bに示すような波形になる。ところで、特にデジタル変調の場合に励起光のパルス形状は実際には図31Cに示すように矩形からなまった形状であり、アイドラ光の振幅が励起光の振幅の二乗に比例することを考慮すると、アイドラ光のパルス幅は励起光のパルス幅に比べて狭くなることがわかる。この様子を図31Cに示す。従って、このような性質を用いて、任意のデューティ比及び形状を有するRZパルスを生成することが可能になる。
(2)周波数変調
励起光に(32)式で表されるような周波数変調をかけるとすると、出力アイドラ光は(33)式で与えられるように周波数変調される。
この場合、出力アイドラ光に対する変調度が励起光に対するそれの二倍になるため、出力アイドラ光に変調度mの周波数変調を与えるために必要な励起光の変調度はその半分のm/2でよいことになる。
(3)位相変調
励起光に(34)式で示されるように位相変調をかけるとすると、出力アイドラ光は(35)式で与えられるように位相変調される。
この場合にも、周波数変調の場合と同様に、アイドラ光に対する変調度は励起光に対するそれの二倍になるため、アイドラ光に変調度mの周波数変調を与えるための励起光の変調度はその半分のm/2でよいことになる。(33)式及び(34)式より、出力アイドラ光の位相雑音は励起光の位相雑音の二倍と信号光の位相雑音との和になる。従って、光周波数変調或いは光位相変調を行う場合には、用いる光源の位相雑音が極力小さいことが望ましい。即ち、プローブ光源及び励起光源としてはコヒーレント光源を用いるのが望ましい。
図30において、FWMによりアイドラ光を生成するための非線形媒質303の具体例としては、TiBaO3やLiNbO3等の結晶媒質、各種の有機媒質、各種の半導体(例えば半導体光増幅器)、さらには光ファイバ等があげられる。いずれの場合にも、対向励起配置にすれば位相共役鏡(PCM)型光変調器を構成することができ、前方励起配置にすれば透過型の位相共役器型光変調器を構成することができる。本発明を光ファイバ通信に適用する場合には、光伝送路との整合性から、非線形光学媒質としては光ファイバが適している。以下、非線形光学媒質として光ファイバを用いたいくつかの例を説明する。
図32は本発明の光変調器の第1実施例を示すブロック図である。図30の非線形光学媒質303、励起光源302、プローブ光/励起光供給手段304、プローブ光源301及び変調手段305にそれぞれ対応する光ファイバ321、励起LD(レーザダイオード)322、光カプラ323、プローブLD324及び変調回路325が用いられる。非線形光学媒質としての光ファイバ321は望ましくはシングルモードファイバである。この場合において、プローブ光の波長と励起光の波長をわずかに異ならせて非縮退型のFWMを生じさせるときには、光ファイバ321の零分散を与える波長が励起光の波長(励起LD322の発振波長)に一致するようにしておく。光カプラ323は4つのポート323A,323B,323C及び323Dを有している。ポート323AにはプローブLD324が接続され、ポート323Bには励起LD322が接続され、ポート323Cには光ファイバ321の第1端が接続され、ポート323Dはデッドエンドにされる。光カプラ323は、少なくとも、ポート323A及び323Bに供給された光をポート323Cから出力するように機能し、この光カプラ323としては、例えば、ファイバ融着型のもの、ハーフミラー、光合波器、偏光ビームスプリッタ等が使用される。
この構成によると、光カプラ323のポート323Aに供給されたプローブ光とポート323Bに供給された励起光とを共に非線形光学媒質である光ファイバ321に導波させることができるので、FWMにより透過型の位相共役光(アイドラ光)を発生することができる。そして、励起LD322に接続されている変調回路325によって励起光が変調されているので、前述した原理に従って光ファイバ321の第2端からは変調されたアイドラ光を出力させることができる。この変調されたアイドラ光は例えば図示しない光ファイバからなる光伝送路に送出される。
非線形光学媒質として光ファイバを用いる場合、光ファイバ内でFWMを効率よく生じさせるためには、プローブ光とアイドラ光の位相整合をとることが望ましい。そのための有効な方法としては、励起光とプローブ光の波長を一致させた縮退FWMを用いる方法や、励起光の波長を光ファイバの零分散波長に一致させる方法等がある。特に、後者の方法を採用する場合には、プローブ光とアイドラ光が互いに複素共役の関係を保ちつつこれらの位相速度を等しくすることができ(2次分散までの近似において)、結果として理想的な位相整合が可能になる。
ところで、光ファイバ内のFWMにより光変調を行う場合には、変調効率を大きくするために励起光の強度を大きくすると誘導ブリルアン散乱(SBS)により励起光が光ファイバ内で反射されてしまい、それにより変換効率が飽和してしまう。特に、振幅(強度)変調や変調をかけない場合(CW)には、シングルモードファイバにおいては約+7〜8dBm程度の入力パワーでSBSがおきる。このようなSBSの影響を排除した実施例を次に説明する。
図33は本発明の光変調器の第2実施例を示すブロック図である。この実施例では、比較的低い周波数ω′の発振器327により周波数変調されている励起LD322からの励起光を光変調器326を介して光カプラ323のポート323Bに入力している。光変調器326は、情報信号が入力する変調回路325により駆動されて、通過する励起光を振幅(強度)変調する。こうすると、光ファイバ321内における励起光の単位周波数当たりのパワー密度を低下させてSBSを抑圧することができる。光変調器326により励起光を間接変調することに代えて、励起光を直接変調する場合には、周波数ω′の低周波信号を情報信号に重畳して励起LD322に供給すれば良い。尚、発振器326の周波数ω′は変調回路325に供給される情報信号に影響を及ぼさないために十分に低速であることが望ましい。この実施例では、変調された位相共役光を得るに際して励起光の低速な周波数変調を行っているが、前述した実施例のように変調されていない位相共役光を得る場合においても、励起光を周波数変調することによりSBSを抑圧することができる。
図34は本発明の光変調器の第3実施例を示すブロック図である。この実施例は、図32の第1実施例と対比して、光ファイバ321内で発生した位相共役光(出力アイドラ光)を、光バンドパスフィルタ331及び光増幅器332をこの順に介して図示しない光伝送路に送出している点で特徴付けられる。光増幅器332は例えば線形光増幅器である。光増幅器332の一つの構成例は、Er(エルビウム)等の希土類元素がドープされたドープファイバと、ポンプ光を出力するポンプ光源と、このポンプ光を増幅すべき光(ここでは出力アイドラ光)とともにドープファイバに供給する手段とを含む。光バンドパスフィルタ331は、プローブLD324及び励起LD322からの光や雑音光等の不所望な光を除去するためのものであり、これにより変調された出力アイドラ光のみをこの光変調器から出力することができる。また、このような不要な光を除去することによって、例えば、励起LD322からの励起光によって光増幅器332の動作が飽和することが回避され、光ファイバ321内で生じた出力アイドラ光を十分に増幅することができる。また、一般に励起LD322からの励起光の強度はプローブ光及び出力アイドラ光の強度に比べて極めて高いので、光バンドパスフィルタ331を用いて励起光等の不要な光を除去することによって、高強度な励起光が後段の光伝送路内でさらに非線形光学効果を生じさせる恐れがない。さらに、光バンドパスフィルタ331で不要な光を除去することによって、変調された出力アイドラ光に基づき受信側で復調信号を再生するに際して、励起光の存在による復調の困難を排除することができる。尚、励起LD322から供給される励起光の強度が十分に高い場合には、光ファイバ321に供給されたプローブ光の強度よりも光ファイバ321内で発生する出力アイドラ光の強度が高くなることがあるので、このような増幅作用が生じている場合には、光増幅器322は用いなくてもよい。
図35は本発明の光変調器の第4実施例を示すブロック図である。この実施例は、図32の第1実施例に対比して、励起LD322と光カプラ323のポート323Bとの間に偏光スクランブラ341を設けている点で特徴付けられる。一般にシングルモードファイバの伝搬モードには、偏光面が互いに直交する2つの偏光モードが存在し、各種の外乱の影響によりこれら2つの偏光モードが結合して、結果としてシングルモードファイバの第1端に供給される光の偏光状態はこのシングルモードファイバの第2端から出力される光の偏光状態に一致しない。従って、本発明の光変調器を光中継器に内蔵させる場合等のように、プローブLD324からのプローブ光が比較的長いシングルモードファイバを介して光カプラ323に供給されているような場合には、非線形光学媒質としての光ファイバ321に供給されるプローブ光の偏光状態は、環境変化等によって時間とともに変動する。一方、前述した出力アイドラ光(位相共役光)の発生原理から明らかなように、プローブ光から位相共役光への変換効率は、非線形光学媒質に供給されるプローブ光の偏光状態と励起光の偏光状態との関係に依存する。図35の第4実施例によると、励起LD322からの励起光を偏光スクランブラ341を介してプローブ光と合流させるようにしているので、供給されるプローブ光の偏光状態が時間とともに変動する場合でも、プローブ光から位相共役光への変換効率を一定にして光変調器の動作を安定にすることができる。
偏光スクランブラ341は、1/2波長板及び1/4波長板等を用いて通常通り構成され、例えば、励起LD322から供給される励起光がほぼ直線偏光である場合にその偏光面を回転するように機能する。供給されるプローブ光の偏光状態の環境条件の変化等に起因する変動は比較的ゆっくりであるので、偏光スクランブラ341の動作周波数(例えば偏光面の回転周期の逆数)を1〜100KHz程度に設定しておくことによって、十分に偏光依存性を排除することができる。この例では、励起LD322から供給される励起光に対して偏光スクランブラ341を作用させているが、偏光スクランブラをプローブ光に対して作用させるようにしてもよい。
図36は本発明の光変調器の第5実施例を示すブロック図である。この実施例では、プローブLD324から供給されたプローブ光を偏光面が互いに直交する第1及び第2偏光成分に分離する偏光ビームスプリッタ351と、偏光ビームスプリッタ351からの第1及び第2偏光成分に基づいてそれぞれ位相共役光(出力アイドラ光)を発生させる位相共役光発生器352及び353と、位相共役光発生器352及び353からの各位相共役光を合流させる偏光合成器354とが用いられる。偏光合成器354は例えば偏光ビームスプリッタであり、偏光合成器354で合成された位相共役光は図示しない光伝送路に送出される。位相共役光発生器352及び353としては、例えば、図32の第1実施例の構成からプローブLD324及び変調回路325を除いたものを用いることができる。位相共役光発生器352及び353における励起光を変調するために、変調回路325′が設けられている。
この実施例によると、各位相共役光発生器352及び353に供給されるプローブ光の第1及び第2偏光成分はともに直線偏光であるから、位相共役光発生器352及び353において、供給されたプローブ光(第1又は第2偏光成分)の偏光状態を励起光の偏光状態に一致させるのが容易であり、偏光依存性を排除することができる。つまり、プローブLD324から供給されるプローブ光の偏光状態の変動にかかわらず、位相共役光の発生効率を一定にすることができるのである。この実施例では、偏光ビームスプリッタ351から位相共役光発生器352を経て偏光合成器354に至る光路の光路長と偏光ビームスプリッタ351から位相共役光発生器353を経て偏光合成器354に至る光路の光路長との差を信号の1タイムスロットTにおける光の進行距離に比べて十分小さくすることが望ましい。例えば、変調回路325′に供給される情報信号が10Gb/sのNRZ信号である場合には、その1タイムスロットTにおける光の進行距離は約2mmとなるから、光路長差はその1/10に相当する0.2mm程度以下に抑えることが望ましい。
図37は本発明の光変調器の第6実施例を示す図である。プローブ光/励起光供給手段としては光カプラ323が用いられ、非線形光学媒質としては偏波保持ファイバ355が用いられている。プローブLD324からのプローブ光と励起LD322からの励起光は、光カプラ323で合流されて偏波保持ファイバ355に入力する。励起光は予め定められた偏波面を有する実質的な直線偏光であり、この予め定められた偏波面が偏波保持ファイバ355の主軸に対してほぼ45°傾斜するように励起LD322の配置等が設定される。こうしておくと、励起光パワーの偏波保持ファイバ内での直交2偏波成分を等しく一定に保つことができるので、任意の偏光状態のプローブ光に対して出力アイドラ光の生成効率を安定に保つことができる。
図37の実施例では、非線形光学媒質として使用される偏波保持ファイバ355の長さが長くなるのに従って、偏波保持ファイバ355の2つの主軸方向の偏波に対する屈折率のわずかな違いによる位相ずれが生じる可能性があるので、励起光パワーを高くするか或いは偏波保持ファイバ355の非線形定数を大きくすることによって、短い偏波保持ファイバ355で足りるようにすることが望ましい。この直交2偏波成分間の位相ずれの程度は、偏波保持ファイバ355の材料や構造により決定される。標準的なファイバにおいては、10mの長さに対して17psのずれが発生する。従って、ビットレートが60Gb/s程度の信号に対して1ビットの偏波分散となって現れる。この場合、実際に伝送可能な信号の伝送速度は10Gb/s程度になる。偏波保持ファイバ355の長さが長くなればさらに伝送可能な信号の伝送速度は低下する。次に、非線形光学媒質としての偏波保持ファイバの長さを短くすることなしに高ビットレートの信号に対応可能な実施例を説明する。
図38は本発明の光変調器の第7実施例を示すブロック図である。この実施例は、図37の実施例と対比して、非線形光学媒質がほぼ同じ長さの2本の偏波保持ファイバ355A及び355Bからなる点で特徴付けられる。偏波保持ファイバ355A及び355Bはこれらの主軸同士が互いに直交するように接続される。励起光は予め定められた偏波面を有する実質的な直線偏光である。光カプラ323で合流したプローブ光と励起光は、偏波保持ファイバ355Aの第1端に供給される。ここで、励起光の偏波面が偏波保持ファイバ355Aの主軸に対してほぼ45°傾斜するように、励起LD322の配置等が設定される。偏波保持ファイバ355Aの第2端は偏波保持ファイバ355Bの第1端に接続されている。偏波保持ファイバ355Bの第2端からは、偏波保持ファイバ355A及び355B内で生じた変調された位相共役光が出力する。この実施例では、ほぼ同じ特性を有する偏波保持ファイバ355A及び355Bの長さを等しく設定しているので、偏波保持ファイバ355Aで生じた直交2偏波成分間の位相ずれは偏波保持ファイバ355Bにおいて生じる直交2偏波成分間の位相ずれと相殺され、偏波保持ファイバ355A及び355Bの総長が長い場合でも、これによって信号の伝送速度が制限されることがない。
図39は本発明の光変調器の第8実施例を示すブロック図である。励起光源として励起LD322が用いられ、非線形光学媒質として光ファイバ321が用いられている点は前述の図32乃至図35の実施例と同じである。この実施例では、プローブ光及び励起光を光ファイバ321に双方向に導波させるために、プローブ光/励起光供給手段は、光カプラ361と偏光ビームスプリッタ362とを含む。光カプラ361はポート361A,361B及び361Cを有し、ポート361A及び361Bに供給された光をポート361Cから出力する。ポート361AにはプローブLD324が接続され、ポート361Bには励起LD322が接続される。偏光ビームスプリッタ362はポート362A,362B,362C及び362Dを有し、ポート362A及び362Bに供給された光を直交2偏光成分に偏光分離し、これらの2偏光成分をそれぞれポート362C及び362Dから出力する。また、偏光ビームスプリッタ362は、ポート362C及び362Dに供給された光を直交2偏光成分に偏光分離し、これらの2偏光成分をそれぞれポート362A及び362Bから出力する。ポート362Aには光カプラ361のポート361Cが接続され、ポート362Bには図示しない光伝送路が接続され、ポート362C及び362D間には光ファイバ321が接続される。光ファイバ321の途中には、1/4波長板及び1/2波長板等を用いて通常通り構成される偏光制御器363が設けられており、この偏光制御器363は光ファイバ321に供給された光の偏光状態と光ファイバ321から出力する光の偏光状態とが一致するような制御を行う。
光カプラ361に供給されたプローブ光は励起LD322からの励起光と合流され、これらプローブ光及び励起光は、偏光ビームスプリッタ362で第1偏光成分とこの第1偏光成分の偏光面に直交する偏光面を有する第2偏光成分とに分離される。第1及び第2偏光成分は、それぞれ光ファイバ321を互いに逆方向に伝搬して、さらにもう一度偏光ビームスプリッタ362を通過するときに偏光合成されてポート362Bから出力される。励起LD322から出力される励起光の偏光面は、偏光ビームスプリッタ362で分離される第1及び第2偏光成分への、励起LD322からの励起光の分配比が1:1になるように、設定される。即ち、偏光ビームスプリッタ362のポート362Aに供給される励起光の偏光面は、第1及び第2偏光成分の偏光面に対してそれぞれほぼ45°傾斜するように、励起LD322が設定される。こうしておくと、光ファイバ321に互いに逆方向に導波されるプローブ光の直交2偏光成分に対して、励起光の直交2偏光成分がそれぞれ一致した偏光面でもって作用するので、光ファイバ321内で互いに逆方向に発生した位相共役光を偏光ビームスプリッタ362で合成してポート362Bから出力したときに、供給されたプローブ光の偏光状態の変動にかかわらず一定の変換効率で位相共役光を得ることができる。
図40は本発明の光変調器の第9実施例を示すブロック図である。この実施例は、図39の実施例と対比して、非線形光学媒質として偏波保持ファイバ321′を用いている点で特徴付けられる。偏波保持ファイバ321′は、偏波保持ファイバ321′に供給された光の偏光状態が偏波保持ファイバ321′から出力される光の偏光状態に一致するように、偏光ビームスプリッタ362に接続される。この場合、偏波保持ファイバ321′の主軸は、偏光ビームスプリッタ362で偏光分離される直線偏光の偏光面に平行である。この実施例によると、図39の偏波制御器363が不要になるので、装置の構成を簡単にすることができる。
図41は本発明の光変調器の第10実施例を示すブロック図である。非線形光学媒質としての光ファイバ321と、励起LD322と、プローブLD324と、偏光ビームスプリッタ362と、偏光制御器363とが用いられている点は、図39の実施例と同じである。この実施例では、位相共役光の発生に際して消費されずに残った励起光を発生した位相共役光と分離するために、プローブ光/励起光供給手段は、光カプラ371と1/2波長板373と偏光ビームスプリッタ362とを含む。また、励起光を供給するポートと位相共役光を取り出すポートとを分離するために、プローブ光/励起光供給手段はさらに光サーキュレータ372を含む。光サーキュレータ372は3つのポート372A,372B及び372Cを有し、ポート372Aに供給された光をポート372Bから出力し、ポート372Bに供給された光をポート372Cから出力し、ポート372Cに供給された光をポート372Aから出力するように機能する。ポート372AにはプローブLD324が接続され、ポート372Cは図示しない光伝送路に接続される。光カプラ371は4つのポート371A,371B,371C及び371Dを有し、ポート371A及び371Bに供給された光を等分配してポート371C及び371Dから出力し、ポート371C及び371Dに供給された光を等分配してポート371A及び371Bから出力する。光カプラ371としては、例えばハーフミラーやファイバ融着型のものが用いられる。ポート371Aには励起LD322が接続され、ポート371Bにはサーキュレータ372のポート372Bが接続され、ポート371Dは偏光ビームスプリッタ362のポート362Bに接続される。1/2波長板373は光カプラ371のポート371Cと偏光ビームスプリッタ362のポート362Aの間の光路に挿入され、この1/2波長板373は供給された光の偏光面を90°回転させる。この実施例では、光カプラ371のポート371Aに供給される励起光の偏光状態と、プローブLD324から光サーキュレータ372を介して光カプラ371のポート371Bに供給されるプローブ光の偏光状態とが一致するようにされている。
いま、これらの励起光及びプローブ光がそれぞれ紙面に垂直な偏光面を有する直線偏光であるとしてこの実施例における動作を説明する。光カプラ371のポート371A及び371Bにそれぞれ供給された励起光及びプローブ光は、等分配されてポート371C及び371Dから出力する。ポート371Cから出力されたプローブ光及び励起光は、1/2波長板373で偏光面を90°回転させられ、紙面に平行な偏光面を有する直線偏光として偏光ビームスプリッタ362のポート362Aに供給される。ポート362Aに供給されたプローブ光及び励起光は、ポート362Dから光ファイバ321に供給され、光ファイバ321内で図の反時計回りに伝搬するときに同方向に位相共役光が発生する。この位相共役光と残留した励起光は、ポート362Cから偏光ビームスプリッタ362に供給されポート362Bから出力する。一方、光カプラ371のポート371Dから偏光ビームスプリッタ362のポート362Bに供給されたプローブ光及び励起光は、紙面に垂直な偏光面を有しているので、これらプローブ光及び励起光は、ポート362Dから光ファイバ321に供給され、光ファイバ321内で図中の反時計回りに伝搬するときに位相共役光が発生する。この位相共役光と残留した励起光は、ポート362Cから偏光ビームスプリッタ362に供給され、ポート362Aから出力される。ポート362Aから1/2波長板373に供給された位相共役光及び励起光は、偏光面を90°回転させられて紙面に平行な直線偏光として光カプラ371のポート371Cに供給される。1/2波長板373からポート371Cに供給される励起光及び位相共役光と偏光ビームスプリッタ362のポート362Bから光カプラ371のポート371Dに供給される励起光及び位相共役光とは、ともに紙面に平行な偏光面を有しており、且つ、これらが経てきた光路の長さは完全に一致する。従って、光カプラ371においてポート371C及び371Dに供給された励起光及び位相共役光のうち、励起光は主としてポート371Aから出力され、位相共役光は主としてポート371Bから出力される。光カプラ371のポート371Bから出力された光は、光サーキュレータ372を介して図示しない光伝送路に送出される。
本実施例によると、非線形光学媒質としての光ファイバ321内での位相共役光の発生に際して残留した励起光と発生した位相共役光とを、光フィルタ(例えば図34の光バンドパスフィルタ331)を用いることなしに分離することができる。位相共役光の発生に際して用いられる励起光の強度はプローブ光及び発生した位相共役光の強度に比べて極めて高いので、このような高強度の励起光を位相共役光と分離する上で、図41の実施例は有用である。
以上説明した実施例では、プローブ光は1つであるが、周波数分割多重された複数のプローブ光に対しても本発明を適用可能である。
図42は本発明の光変調器の第11実施例を示すブロック図である。シングルモードファイバSMF−1からのプローブ光は、光カプラ382の第1ポートに入力する。光ファイバ382の第2ポートには、情報信号源384により変調される励起光源386からの励起光が、偏波制御器388を介して供給される。光カプラ382で加え合わされたプローブ光及び励起光が非線形光学媒質390に入力すると、ここで位相共役光が発生し、この位相共役光は光カプラ392で2分岐される。分岐された一方の位相共役光は、シングルモードファイバSMF−2に送出され、分岐された他方の位相共役光は光フィルタ394を通って受光器396で電気信号に変換される。比較器398は、受光器396の出力レベルが最大になるように、励起光の偏波状態と励起光源386の発振波長とを制御する。励起光の波長は、励起光源386として使用されるレーザダイオードの温度やバイアス電流により制御される。
この実施例によると、励起光の偏光状態をプローブ光の偏光状態に合わせて能動的に制御するようにしているので、プローブ光の偏光状態にかかわらず安定した変換効率で位相共役光を発生させることができる。
以上説明した本発明の光変調器の実施例では、プローブ光源を非線形光学媒質の比較的近くに設置してこの光変調器を送信局に適用しているが、この光変調器は中継局にも適用可能である。即ち、送信局から送られてきたプローブ光を中継局で励起光(変調されている)とともに非線形光学媒質に入力することで、非線形光学媒質において生じる位相共役光に情報の書き込みを行うことができるのである。
以上のように、本発明により位相共役光学を光システムに適用することによって、従来の光技術では得られなかった新しい機能の達成や光システムの特性の改善が可能になる。本発明により得られる他の効果については以上説明したとおりであるのでその説明を省略する。