JP3577296B2 - 多関節ロボットの動作経路設定方法および設定装置 - Google Patents
多関節ロボットの動作経路設定方法および設定装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多関節ロボットの動作経路設定方法および設定装置に関し、特に、多関節ロボットの先端部に設けられたエンドエフェクタが、所定の出発点から到達点へ動作するための経路を設定するための多関節ロボットの動作経路設定方法および設定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、製造ラインに設置された多関節ロボットを直接操作させて作業姿勢のティーチングを行おうとすると、多関節ロボットの操作を熟知したオペレータが製造ラインの現場で作業を行わなければならないため、その分作業が非効率的となってしまう。また、その作業は、製造ラインを停止された状態で行う必要があるために当該製造ラインの稼動率も低下してしまう。
【0003】
そこで、近時前記ティーチング作業の効率化を図るため、あるいは、前記製造ラインの稼動率を向上させるために、オフラインによるティーチング(オフラインティーチング)が行われている。すなわち、コンピュータ上に多関節ロボット並びに作業対象物であるワークおよび周辺構造物のモデルを構築し、このモデルを用いてティーチングデータを作成した後、前記ティーチングデータを現場の多関節ロボットに供給するようにすれば、ティーチングデータの作成中に製造ラインを停止させる必要がない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来技術によるオフラインティーチングは、必ずしも広範に利用されてはいない。
【0005】
なぜならば、多関節ロボットは様々な周辺構造物、ワーク等との干渉(接触等)を回避する必要があることは当然であるが、周辺構造物の種類が多い場合やワークの形状が複雑である場合にはそれらの障害物を回避する動作経路を設定することは困難であるからである。
【0006】
より具体的には、多関節ロボットのとりうる姿勢全てについて干渉の調査を行う総当たり法は、計算量が膨大になり実用的でなく、また、所謂、数理計画などの最適化手法は解法が存在しないことがある。またさらに、乱数を利用した確率的手法では、解が収束する保証がないことおよび計算の再現性がないことが問題である。
【0007】
これらの問題を解決するためにいくつかの手法が提案されている。
【0008】
例えば、出発点と到達点とを含む平面を利用する手法(特許第2875498号公報参照)がある。この手法では、規定した平面上において障害物の断面を適当に拡大した進入禁止領域を規定し、この進入禁止領域の頂点を通る動作経路を設定して干渉を回避する。しかしながら、この手法においては、進入禁止領域との干渉をその都度検証して動作経路を設定するために、検証作業が繁雑になるとともに動作経路が複雑になる。さらに、動作経路が適正であっても、多関節ロボットが実際にその動作経路上を動作することができるのか否かを各軸の動作範囲等の観点から検証することができない。
【0009】
また、他の手法として、例えば生産現場において障害物の位置や形状を専用のコントローラで入力指示して動作経路を設定する手法(特開平9−81228号公報参照)がある。しかしながら、この手法においては、生産現場にて実機を動作させながら教示させるので、自動で動作経路を設定することはできない。
【0010】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、多関節ロボットの動作経路を、ワークや障害物の形状に影響を受ける複雑な演算をすることなく、かつ、自動的に効率よく設定することを可能にする多関節ロボットの動作経路設定方法および設定装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る多関節ロボットの動作経路設定方法は、エンドエフェクタを出発点から到達点へ動作させる多関節ロボットの動作経路設定方法において、前記出発点と前記到達点とを結ぶ経路を想定し、前記エンドエフェクタを前記経路上に動作させることが可能であるか否かを調査する第1のステップと、前記第1のステップで、前記経路上を動作させることが不可能である場合に、前記出発点または前記到達点から前記エンドエフェクタを前記出発点または前記到達点における前記エンドエフェクタの姿勢を基準とした所定の方向へ規定距離だけ動作する待避経路を設定する第2のステップとを有することを特徴とする。
【0012】
これにより、エンドエフェクタを基準とした所定の方向に規定距離だけ移動させるという規定動作を適用させるので、多関節ロボットの動作経路を、ワークや障害物の形状に影響を受ける複雑な演算をすることなく、かつ、自動的に効率よく設定することができる。
【0013】
ここで、多関節ロボットおよびエンドエフェクタはコンピュータによるプログラム処理でモデルとして構成された仮想のものである。
【0014】
また、前記第2のステップで、前記経路上を動作させることが不可能である場合に、前記エンドエフェクタを空間上の定点の方向へ規定距離だけ動作する待避経路を設定する第3のステップを有するとよい。
【0015】
これにより、エンドエフェクタを定点の方向に規定距離だけ移動させるという規定動作を適用させるので、多関節ロボットの動作経路を、ワークや障害物の形状に影響を受ける複雑な演算をすることなく、かつ、自動的に効率よく設定することができる。
【0016】
さらに、前記定点は、前記多関節ロボットの元軸の中心点であってもよい。
【0017】
さらにまた、前記第3のステップの後に、前記待避経路の終点を新たな出発点または到達点として規定し、前記第1のステップおよび第3のステップを再度実行するようにしてもよい。
【0018】
前記終点が、前記多関節ロボットにとって到達不可能な点または干渉を発生する点であるとき、前記規定距離を修正した前記待避経路を再設定するようにしてもよい。
【0019】
また、本発明に係る多関節ロボットの動作経路設定装置は、エンドエフェクタを出発点から到達点へ動作させる多関節ロボットの動作経路設定装置において、前記出発点と前記到達点とを結ぶ経路を想定し、前記エンドエフェクタを前記経路上に動作させることが可能であるか否かを調査する経路調査部と、前記経路調査部で、前記経路上を動作させることが不可能であると判断された場合に、前記出発点または前記到達点から前記エンドエフェクタを前記出発点または前記到達点における前記エンドエフェクタの姿勢を基準とした所定の方向へ規定距離だけ動作する待避経路を設定する経路設定部とを有することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る多関節ロボットの動作経路設定方法および設定装置の実施の形態例を図1〜図10を参照しながら説明する。
【0021】
本実施の形態における多関節ロボットの動作経路設定方法および設定装置は、基本的には、多関節ロボットの先端部に設けられたエンドエフェクタを、出発点から規定方向へ規定距離だけ移動するテンプレート動作を組み合わせながら動作させ、障害物を回避しながら到達点へ移動させる動作経路を設定するものである。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態において使用するオフラインティーチング装置(動作経路設定装置)10は多関節ロボット50の動作のティーチングを行うものであり、作成されたティーチングデータに基づき作業対象物に対して所望の作業を行うロボット装置12と連係されている。
【0023】
ロボット装置12は、多関節ロボット50と、前記ティーチングデータに基づいて前記多関節ロボット50の動作制御を行うロボット制御部22とを備える。
【0024】
図2に示すように、オフラインティーチング装置10を構成する制御部14は、オフラインティーチング装置10の全体の制御を行う制御手段としてのCPU(コンピュータ)26と、記憶部であるROM28およびRAM29と、ハードディスク34に対してデータのアクセスを行うハードディスクドライブ(HDD)39と、モニタ16の画面上における描画制御を行う描画制御回路30と、入力装置としてのキーボード18およびマウス20が接続されるインタフェース回路32と、外部記録媒体36a(例えば、フレキシブルディスクやコンパクトディスク等)を制御する記録媒体ドライブ36と、ティーチングデータを作成するデータ作成回路38と、ティーチングデータに基づきモニタ16の画面上でシミュレーションを行うシミュレーション回路40とを有する。このシミュレーション回路40は、3次元CADをベースにしており前記モデルを作成し、また該モデル相互の干渉を調査する機能等を有する。
【0025】
ハードディスク34には、多関節ロボット50の動作経路を設定する機能をもつ動作経路設定プログラム35、動作経路を設定するための条件である条件データ37および図示しないOS等が格納されている。
【0026】
動作経路設定プログラム35は、任意の2点とを結ぶ経路上でガンユニット(エンドエフェクタ)68(図3参照)を動作させることが可能であるか否かを調査する経路調査部35aと、後述する第1および第2テンプレート動作を設定して適用する経路設定部35bとを有する。
【0027】
図3に示すように、多関節ロボット50は、取付台である第1ベース54に対して、先端側に向かって順に、第2ベース56、第1リンク58、第2リンク60、第3リンク62、第4リンク64およびガン着脱部66が接続されている。先端のガン着脱部66にはガンユニット68が接続されている。
【0028】
第2ベース56は鉛直軸である軸J1を中心にして第1ベース54に対して旋回可能に軸支されている。第1リンク58の基端部は水平軸である軸J2により第2ベース56に俯仰可能に軸支されている。また、第2リンク60の基端部は水平軸である軸J3により第1リンク58の先端部に揺動可能に軸支されている。そして、第3リンク62は第2リンク60の先端側に軸J4を共通の回転中心軸として接続されている。さらに、第4リンク64の基端部は軸J4に対して直角方向の軸J5により第3リンク62の先端部に揺動可能に軸支されている。ガン着脱部66は第4リンク64の先端側に軸J6を共通の回転中心軸として接続されている。
【0029】
ガン着脱部66に接続されたガンユニット68はいわゆるC型溶接ガンであり、アーチ状のアーム74の両端部には、軸J6上に沿って開閉する一対の電極70、72を有する。この電極70、72は閉状態では軸J6上の溶接作業点(以下、TCP(Tool Center Point)という。)でワーク80に接触する。
【0030】
TCPから本体側の電極72の軸心に一致する方向をベクトルZrとし、ベクトルZrに直交しガンユニット68の外側に向く方向をベクトルXrとする。また、ベクトルXr、ベクトルZrに互いに直交する方向をベクトルYrとする。
【0031】
軸J1〜J6の駆動機構並びに電極70、72の開閉機構は、それぞれ図示しないアクチュエータにより駆動され、TCPは軸J1〜J6のそれぞれの回転角θ1〜θ6の値および多関節ロボット50の各部寸法により決定される。
【0032】
また、ガンユニット68はC型溶接ガンに限らず、例えば図4に示すX型溶接ガン(共通の支軸に軸支された開閉する一対のガンアームを備える溶接ガン)68aであってもよい。
【0033】
多関節ロボット50に関する座標計算および制御上の基準点として、軸J1と軸J2とが交差する点を原点(元軸の中心点)Oとして規定し、この原点Oを基準として、鉛直上向き方向を高さZ、回転角θ1がθ1=0であるときの軸J2の方向を奥行Y、高さZと奥行Yに垂直な方向を幅Xとして表す。この高さZ、幅Xおよび奥行Yにより3次元直交座標を示すものとする。
【0034】
次に、このように構成されるオフラインティーチング装置10、および動作経路設定プログラム35を用いて、多関節ロボット50の動作経路を設定する手順について図5〜図10を参照しながら説明する。
【0035】
以下の説明では、図5に示すように、薄板であるワーク80のある出発点P1から到達点P2へガンユニット68を動作させる例について説明する。出発点P1および到達点P2は、溶接を行う空間上の3次元直交座標値(X、Y、Z)と、ガンユニット68の姿勢を示すTCPの3つのパラメータの合計6つの値からなる。出発点P1と到達点P2との間には障害物82が存在するものとする。また、出発点P1および到達点P2に対して、ガンユニット68が到達可能であることは予め検証されており、出発点P1および到達点P2を溶接する際のガンユニット68の姿勢、つまりベクトルXr、ベクトルYrおよびベクトルZrの値も決定されているものとする。
【0036】
なお、出発点P1および到達点P2は溶接ポイント以外であってもよく、例えば予めワーク80の突起部等を回避した位置を求めておき、その点を出発点P1および到達点P2としてもよい。
【0037】
まず、図6のステップS1において、オフラインティーチング装置10の操作者は、所定の操作方法により、動作経路設定プログラム35を起動させる。オフラインティーチング装置10に組み込まれているOSはハードディスク34に格納されている動作経路設定プログラム35をRAM29にロードして実行する。次のステップS2以降の処理は、この動作経路設定プログラム35により実行される。
【0038】
ステップS2において、動作経路設定プログラム35は、動作経路を設定する条件である条件データ37をハードディスク34から読み出してRAM29に記憶する。さらに、条件データ37から、動作経路を設定しようとする出発点P1、到達点P2、ワーク80の形状および障害物82等の位置および形状を認識する。
【0039】
次に、ステップS3において、出発点P1と到達点P2との間を結んだ動作経路(経路)100を想定し、ガンユニット68をこの動作経路100上に動作させたときの、姿勢成立の可否および干渉の有無について調査を行う。
【0040】
この動作経路100は、図5に示すように直線状としてもよいし、多関節ロボット50の動作が容易な任意の曲線としてもよい。なお、後述する動作経路102、104、110および112についても同様である。
【0041】
具体的には、動作経路100を微小長さに分割した分割点を想定する。そして、この各分割点にガンユニット68を配置したときの多関節ロボット50の姿勢、つまり回転角θ1〜θ6を求める。この回転角θ1〜θ6の演算方法は分割点の空間上の位置座標(X、Y、Z)、およびガンユニット68の姿勢を表すベクトルXr、ベクトルYr、ベクトルZrで規定される合計6つの値と多関節ロボット50の各部の寸法等から周知の行列演算手法(以下、逆演算という。)を適用すればよい。
【0042】
出発点P1および到達点P2におけるガンユニット68の姿勢が異なる場合は、各分割点では直線補完的にガンユニット68の姿勢を示すベクトルXr、ベクトルYrおよびベクトルZrを規定すればよい。また、この調査では電極70、72は開状態として扱い、電極70、72がワーク80と干渉することがないようにする。
【0043】
各分割点毎に多関節ロボット50の姿勢が成立するならば、実際に出発点P1から到達点P2への動作が保証される。
【0044】
次に、ステップS4において、各分割点において逆演算の解が正常に求まったか、つまり前記TCPが分割点に到達可能であるかを判断する。解が求まらなかったり、求まっていてもその角度値が軸J1〜J6の回転稼動範囲外であったり、また、求まった姿勢において多関節ロボット50が障害物82等と干渉していればステップS5へ移り、それ以外の場合、つまり解が正常に求まるならばステップS29において終了処理を行う。
【0045】
干渉の有無については、シミュレーション回路40が有する干渉に関する機能を用いればよい。
【0046】
図7のステップS5において、障害物82を回避し、または姿勢を成立させるために、ガンユニット68を出発点P1から第1のテンプレート動作を適用して第1中継点Q1(新たな出発点)を設定する。
【0047】
ここで、テンプレートとは、多関節ロボット50に実行させる規定の動作を表すもので、第1のテンプレートは、図9に示すように、ガンユニット68のTCPを基準として、規定方向に規定距離だけ動作した第1中継点Q1を想定して、出発点P1と第1中継点Q1を結ぶ動作経路(待避経路)102へガンユニット68を移動する動作である。第1中継点Q1は、出発点P1の位置を移動させただけのものであり、出発点P1が有するガンユニット68の向き、つまりTCPの向きは不変であるものとする。
【0048】
一般に溶接作業を適正に行うために、ベクトルZrはワーク80に対して垂直となるように設定されていることから、規定方向は、ガンユニット68の引き抜き方向、つまりベクトルXrの逆方向とすると好適である。また、規定距離は、ガンユニット68のサイズにより、ワーク80から十分離脱できる距離を予め規定しておけばよい。一般的なサイズのガンユニットでは100mmが好適である。
【0049】
第1のテンプレートは、一般的なワークである薄板に対して有効な待避方法であり、ワークの形状に影響を受けることなく、予め決められた簡便な待避方法によって動作経路を設定することができる。
【0050】
次に、図7のステップS6において、第1中継点Q1における多関節ロボット50の姿勢成立の可否と、周辺の障害物82等との干渉の有無をステップS3と同様に調査する。
【0051】
次に、ステップS7において、ステップS6の調査の結果、第1中継点Q1における多関節ロボット50の姿勢が成立し、しかも干渉がないと判断できればステップS12へ移り、それ以外の場合にはステップS8に移る。
【0052】
ステップS8においては、第1中継点Q1で適切な姿勢を得るために、ガンユニット68を、ベクトルXr、YrまたはZrを中心にして所定角度だけ回転させた姿勢を想定する。この回転処理は、次の判断処理であるステップS9とともに行い、ベクトルXr、Yr、Zrの全てについて、順に回転させるものとする。
【0053】
次に、ステップS9において、所定角度ずつ回転した積算角度が360°に達したか否かを確認し、360°未満であればステップS6へ移り多関節ロボット50の姿勢判断を行う。
【0054】
ベクトルXr、ベクトルYrおよびベクトルZrのそれぞれについて360°回転させても、第1中継点Q1では適正な姿勢が得られない場合には、ステップS10において、この第1中継点Q1を出発点P1の方向へ所定距離だけ戻した位置に再設定する。すなわち、第1中継点Q1が出発点P1から100mmの距離に設定されていたならば、出発点P1の方向へ10mmだけ戻して90mmの位置に再設定する。
【0055】
次に、ステップS11において、第1中継点Q1を戻す距離の積算値を確認して、当初の点である出発点P1まで戻ってしまったときは、処理を中断し再計画を行うものとする。出発点P1まで戻っていないとき、つまり、第1中継点Q1が出発点P1から10〜90mmの範囲にあればステップS6へ移り、多関節ロボット50の姿勢判断を行う。
【0056】
一方、ステップS12(前記ステップS7で多関節ロボット50の姿勢が成立し、しかも干渉がないと判断された場合)において、第1中継点Q1と出発点P1との間を結んだ動作経路102(図5参照)を想定し、ガンユニット68をこの動作経路102上に動作させたときにおける姿勢成立の可否および干渉の有無についての調査を、ステップS3と同様の処理によって行う。
【0057】
次に、ステップS13において、ステップS4と同様の判断を行い、動作経路102上の分割点で多関節ロボット50の姿勢が成立し、動作可能であると判断されたとき、次のステップS14に移る。動作不能であると判断されたときは、ステップS10へ戻り、第1中継点Q1の位置をさらに変更する。
【0058】
ステップS14では、出発点P1および到達点P2について2つの第1中継点Q1および第1中継点Q2(新たな到達点)を設定したことを確認し、次のステップS15へ移る。到達点P2に対応した第1中継点Q2が未設定であれば、図7のステップS5へ戻る。
【0059】
次に、ステップS15において、2つの第1中継点Q1およびQ2を結んだ動作経路104を想定し、ガンユニット68をこの動作経路104上に動作させたときにおける姿勢成立の可否および干渉の有無についての調査を、ステップS3と同様の処理によって行う。
【0060】
次に、ステップS16において、ステップS4と同様の判断を行い、動作経路104上の分割点で多関節ロボット50の姿勢が成立し、動作可能と判断されたときは、図6のステップS29において動作経路の終了処理を行う。動作不能と判断されたときは、次のステップS17へ移る。
【0061】
図8のステップS17において、障害物82を回避するために、ガンユニット68を第1中継点Q1から第2のテンプレート動作を適用して第2中継点R1を設定する。
【0062】
第2のテンプレートは、図9に示すように、第1中継点Q1と所定の定点106とを結ぶ線108を想定し、この線108上に第1中継点Q1から規定距離だけ移動した点を第2中継点R1とするものである。
【0063】
第2中継点R1は、第1中継点Q1を空間上の位置だけ移動させたものであり、第1中継点Q1が有するガンユニット68の向き、つまりTCPの向きは不変であるものとする。
【0064】
第2のテンプレートは、すでにワーク80から離脱しているガンユニット68について、干渉する障害物82がない方向へ動作させるために、障害物82の存在する可能性の低いフリースペースとして、原点Oの方向へ動作させるものである。つまり、一般的に原点Oの近辺ほど、多関節ロボット50の動作を阻害するような障害物82は存在しないものであり、この方向へ向かって動作させることで障害物82を回避できる可能性が高くなり好適である。また規定距離は100mmが好適である。
【0065】
定点106としては原点O以外にも、障害物82が存在しない場所あるいは動作しやすい場所があれば、その場所を定点106としてもよい。例えば、多関節ロボット50の動作範囲を空間上で表現したとき、その中心位置では最も動作の自由度が大きいと考えられるので、その位置を定点106としてもよい。
【0066】
次に、ステップS18において、第2中継点R1における多関節ロボット50の姿勢成立の可否と、周辺の障害物82等との干渉の有無をステップS3と同様に調査する。
【0067】
次に、ステップS19において、ステップS18での調査の結果、第2中継点R1における多関節ロボット50の姿勢が成立し、しかも干渉がないと判断できればステップS24へ移り、それ以外の場合にはステップS20に移る。
【0068】
ステップS20においては、第2中継点R1で適切な姿勢を得るために、ステップS8と同様に、ガンユニット68を、ベクトルXr、YrまたはZrを中心にして所定角度だけ回転させた姿勢を想定する。
【0069】
次に、ステップS21において、所定角度ずつ回転した積算角度が360°に達したか否かを確認し、360°未満であればステップS6へ移り、多関節ロボット50の姿勢判断を行う。
【0070】
ベクトルXr、ベクトルYrおよびベクトルZrのそれぞれについて360°回転させても、第2中継点R1では適正な姿勢が得られない場合には、ステップS22において、この第2中継点R1を定点106の方向へ所定距離だけ移動した位置に再設定する。すなわち、第2中継点R1が第1中継点Q1から100mmの距離に設定されていたならば、さらに100mmだけ定点106の方向へ移動し200mmの位置に再設定する。
【0071】
次に、ステップS23において、第2中継点R1を移動する距離の積算値を確認して、定点106まで達しているときは、処理を中断して再計画を行う。定点106まで達していないときは、ステップS18へ移り、多関節ロボット50の姿勢判断を行う。
【0072】
ステップS24(前記ステップS19で多関節ロボット50の姿勢が成立し、しかも干渉がないと判断された場合)において、第1中継点Q1と第2中継点R1を結んだ動作経路110を想定し、ガンユニット68をこの動作経路110上に動作させたときにおける姿勢成立の可否および干渉の有無についての調査を、ステップS3と同様の処理によって行う。
【0073】
次に、ステップS25において、ステップS4と同様の判断を行う。動作経路110上の分割点で多関節ロボット50の姿勢が成立し、動作可能であると判断すれば、次のステップS26に移り、動作不能であると判断すれば、ステップS22へ戻り、第1中継点Q1の位置をさらに変更する。
【0074】
ステップS26では、第1中継点Q1およびQ2について2つの第2中継点R1およびR2を設定したことを確認し、次のステップS27へ移る。第1中継点Q2に対応した第2中継点R2が未設定であれば、ステップS17へ戻る。
【0075】
次に、ステップS27において、2つの第2中継点R1およびR2を結んだ動作経路112を想定し、この動作経路112上の動作について、ステップS3と同様の調査を行う。
【0076】
次に、ステップS28において、ステップS4と同様の判断を行い、動作経路112上の分割点で多関節ロボット50の姿勢が成立し、動作可能と判断できれば動作経路の終了処理を行う。障害物82の干渉などにより、動作不能と判断されたときはステップS22へ戻り、2つの第2中継点R1、R2をさらに移動させ、動作経路が成立するまで処理を繰り返せばよい。
【0077】
出発点P1から到達点P2への動作経路の設定が終了した後、図6のステップS29において終了処理を行う。この終了処理としては、例えば設定された動作経路を図10に示すパステーブル120に記録することが挙げられる。このパステーブル120は、設定した動作経路である出発点P1、第1中継点Q1、第2中継点R1、第2中継点R2、第1中継点Q2および到達点P2を動作順に記録する表であり、各点における位置座標(X、Y、Z)とTCPを示すベクトルXr、ベクトルYr、ベクトルZrの値および多関節ロボット50の各軸の回転角θ1〜θ6の値が記録される。
【0078】
また、パステーブル120に記録された動作経路は、前記データ作成回路38により、実際の多関節ロボット50を動作させるためのプログラムデータに変換された後、ロボット制御部22に転送される。
【0079】
パステーブル120は、RAM29やハードディスク34内に記録されるが、必要に応じてモニタ16の画面に表示されまたは印刷され得る。
【0080】
なお、上述の説明においては、動作経路104は、第1中継点Q1およびQ2を結ぶ経路としたが、出発点P1側だけに第1のテンプレートを適用して第1中継点Q1を求めて、到達点P2についてはそのまま適用し、第1中継点Q1と到達点P2とを結ぶ経路を想定するようにしてもよい。
【0081】
また、動作経路112についても同様に、例えば、第2中継点R1と第1中継点Q1とを結ぶ経路を想定するようにしてもよい。
【0082】
出発点P1から待避するための待避経路としての動作経路102および110は、到達点P2以外の他の点へ動作させる際に流用してもよい。
【0083】
さらに、第1のテンプレートで当初適用する規定距離は100mmとしたが、10mmから開始して、20mm、30mmと距離を伸ばす形態にしてもよい。
【0084】
ワーク80や、障害物82等の状況により第1および第2のテンプレートを適用する順序は逆であってもよい。
【0085】
設定されたパステーブル120は、出発点P1から到達点P2へ至る動作経路を示すものであるが、この動作経路は可逆性があり、到達点P2から出発点P1へ動作する経路に利用してもよく、また全動作経路を利用しなくとも、途中までの経路を利用するようにしてもよい。
【0086】
さらにまた、本実施の形態は溶接用のロボット以外であっても、例えば、組み立て用ロボットや塗装用ロボット等にも適用可能であり、多関節ロボット50は、7軸構造やリンク機構、伸縮機構等を有する構造であってもよい。
【0087】
このように、本実施の形態によれば、まず、出発点P1と到達点P2とを結ぶ動作経路100を想定し、ガンユニット68を動作経路100上に動作させることが可能であるかを調査するので、この動作経路100上をガンユニット68が動作可能であるならば、動作の中継点等を設けることなく極めて簡便に動作経路を設定することができる。この動作経路100上の動作が不能であるときでも、出発点P1または到達点P2から規定方向であるベクトルXrの逆方向へ規定距離だけ動作する第1のテンプレートを適用するので、複雑な演算を行うことなく、またワーク80の形状に影響されることなく、自動的に効率よく第1中継点Q1およびQ2を設定することができる。
【0088】
第1のテンプレートは、ワーク80に対して最も待避しやすいと考えられる方向に設定した規定方向に向かい、ガンユニット68のサイズに応じて十分にワーク80から待避できる規定距離だけ動作するので、簡便な方法でありながらワーク80から安全に待避できる可能性が高い。しかも、ステップS6等において、その安全性の検証を行っているので、実際に多関節ロボット50を動作させたときには干渉等のおそれがない。
【0089】
また、本実施の形態によれば、待避経路上に設定する第1中継点Q1、Q2または第2中継点R1、R2が、多関節ロボット50にとって到達不可能な点または干渉を発生する点であるとき、第1および第2のテンプレートの規定距離を修正して第1中継点Q1、Q2または第2中継点R1、R2の位置を再設定するので、好適な待避位置を設定することができる。
【0090】
また、第2のテンプレートでは、規定方向を多関節ロボット50の座標計算上の原点Oへ向かう方向としているので、障害物82と干渉するおそれが低い。
【0091】
さらに、本実施の形態によれば、第1のテンプレートと第2のテンプレートとを組み合わせて適用し、まずは第1のテンプレートでワーク80から待避し、次いで第2のテンプレートで他の障害物82等から待避するようにし、さらにその後安全性の検証を行うので、複雑な演算を行うことなく、かつ、自動的に効率よく待避および移動の経路を設定することができる。
【0092】
この発明に係る多関節ロボットの動作経路設定方法および設定装置は、上述の実施の形態例に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る多関節ロボットの動作経路設定方法および設定装置によれば、ワークや障害物の形状に影響を受ける複雑な演算をすることなく、かつ、自動的に効率よく多関節ロボットの動作経路を設定することができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態で使用するオフラインティーチング装置およびロボット装置を示す説明図である。
【図2】オフラインティーチング装置の構成を示すブロック図である。
【図3】多関節ロボットの構成を示す説明図である。
【図4】X型溶接ガンを示す説明図である。
【図5】出発点から到達点への動作経路を示す説明図である。
【図6】本実施の形態における多関節ロボットの動作経路設定方法を示すフローチャート(その1)である。
【図7】本実施の形態における多関節ロボットの動作経路設定方法を示すフローチャート(その2)である。
【図8】本実施の形態における多関節ロボットの動作経路設定方法を示すフローチャート(その3)である。
【図9】第1および第2のテンプレートの動作を示す説明図である。
【図10】パステーブルを示す説明図である。
【符号の説明】
10…オフラインティーチング装置 12…ロボット装置
14…制御部 22…ロボット制御部
26…CPU 29…RAM
34…ハードディスク 35…動作経路設定プログラム
38…データ作成回路 40…シミュレーション回路
50…多関節ロボット 68…ガンユニット
70、72…電極 80…ワーク
100、102、104、110、112…動作経路
106…定点 120…パステーブル
O…原点 P1…出発点
P2…到達点 Q1、Q2…第1中継点
R1、R2…第2中継点 Xr、Yr、Zr…ベクトル
Claims (6)
- エンドエフェクタを出発点から到達点へ動作させる多関節ロボットの動作経路設定方法において、
前記出発点と前記到達点とを結ぶ経路を想定し、前記エンドエフェクタを前記経路上に動作させることが可能であるか否かを調査する第1のステップと、
前記第1のステップで、前記経路上を動作させることが不可能である場合に、前記出発点または前記到達点から前記エンドエフェクタを前記出発点または前記到達点における前記エンドエフェクタの姿勢を基準とした所定の方向へ規定距離だけ動作する待避経路を設定する第2のステップと
を有することを特徴とする多関節ロボットの動作経路設定方法。 - 請求項1記載の多関節ロボットの動作経路設定方法において、
前記第2のステップで、前記経路上を動作させることが不可能である場合に、前記エンドエフェクタを空間上の定点の方向へ規定距離だけ動作する待避経路を設定する第3のステップ
を有することを特徴とする多関節ロボットの動作経路設定方法。 - 請求項2記載の多関節ロボットの動作経路設定方法において、
前記定点は、前記多関節ロボットの元軸の中心点であることを特徴とする多関節ロボットの動作経路設定方法。 - 請求項2記載の多関節ロボットの動作経路設定方法において、
前記待避経路の終点を新たな出発点または到達点として規定し、前記第1のステップおよび第3のステップを再度実行することを特徴とする多関節ロボットの動作経路設定方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多関節ロボットの動作経路設定方法において、
前記終点が、前記多関節ロボットにとって到達不可能な点または干渉を発生する点であるとき、前記規定距離を修正した前記待避経路を再設定することを特徴とする多関節ロボットの動作経路設定方法。 - エンドエフェクタを出発点から到達点へ動作させる多関節ロボットの動作経路設定装置において、
前記出発点と前記到達点とを結ぶ経路を想定し、前記エンドエフェクタを前記経路上に動作させることが可能であるか否かを調査する経路調査部と、
前記経路調査部で、前記経路上を動作させることが不可能であると判断された場合に、前記出発点または前記到達点から前記エンドエフェクタを前記出発点または前記到達点における前記エンドエフェクタの姿勢を基準とした所定の方向へ規定距離だけ動作する待避経路を設定する経路設定部と
を有することを特徴とする多関節ロボットの動作経路設定装置。
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