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JP3577897B2 - 定着用ベルト及び画像定着装置 - Google Patents
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JP3577897B2 - 定着用ベルト及び画像定着装置 - Google Patents

定着用ベルト及び画像定着装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録シート上の未定着トナー像を加熱加圧定着することによる画像形成、例えば、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を利用した画像形成に用いる定着用ベルト、及び、該定着用ベルトを備えた画像定着装置、特にベルトニップ方式の画像定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来においては、例えば図9に示す画像定着装置1のように、それぞれ軸受により回転自在に保持され、互いに圧接された一対の加熱された加熱定着ロール10及び加圧ロール40間のニップ部に未定着トナー像を担持した記録シートを通過させることにより加熱定着を行う加熱加圧ロール型のものが主流であった。
【0003】
加熱定着ロール10は、例えば、中空のアルミニウム製のコア11の外周面にHTV(High Temperature Vulcanization)シリコーンゴム等による弾性層12が形成され、該弾性層12の表面にはRTV(Room Temperature Vulcanization)シリコーンゴム等による離型層13が形成されてなる。アルミニウム製のコア11内には、熱源としてハロゲンランプ14が挿入されており、加熱定着ロール10の表面には、サーミスタ等の感温素子15が当接されている。
圧力ロール20は、例えば、金属製のコア41の外周面にシリコーンゴム等の弾性層42が形成され、該弾性層42の表面にPFAやPTFE等の離型層42が形成されてなる。
この従来の画像定着装置においては、圧力ロール40を加熱定着ロール10に対して図示しない加圧バネにより所定の押圧力をもって圧接させることにより、記録シートが通過可能なニップ部が形成されている。
【0004】
加熱定着ロール10は、図示しない駆動系により所定の速度で回転駆動され、圧力ロール40は、加熱定着ロール10に従動して回転する。AC電源からの通電によりハロゲンヒーター14が発熱し、加熱定着ロール10が加熱される。加熱定着ロール10の温度は、感温素子15により計測され、図示しない温度制御回路により所定の温度にコントロールされる。
そして、未定着トナー画像を担持した記録シートが搬送され、加熱定着ロール10及び圧力ロール20間のニップ部16に進入する。ニップ部16において未定着トナー画像は、熱及び圧力により溶融して記録シートに加熱定着される。
【0005】
しかしながら、このような従来における加熱加圧ロール型の画像定着装置の場合、加熱定着ロール又は圧力ロールの一方若しくは両方の弾性層を変形させてニップ部を形成しているので、以下のような問題がある。
即ち、ある所定幅以上のニップ部を形成するためには、定着ロール又は圧力ロールの一方若しくは両方の弾性体層を比較的厚くし、また、これらのロール間の押圧力を大きくしなければならない。このことは、定着ロールの弾性体層及びコアの厚肉化、定着ロールの大熱容量化に繋がる。換言すれば、定着ロールを室温から定着可能な温度に上昇させるまでの時間(以下「ウォームアップタイム」と称する)が長くなってしまうという問題がある。
【0006】
そこで、かかる従来における問題を解決するため、本発明の発明者らは、図1に示すような、押圧部材30と無端状の定着用ベルト20とを用いたベルトニップ方式の画像定着装置1を提案している(特開平8−262903号)。
この画像定着装置1においては、加熱定着ロール10は上述した従来における加熱定着ロール10と同様であり、図8に示す従来の加熱加圧ロール型の画像定着装置におけるような加圧ロール40は備えられてなく、代わりに定着用ベルト20が備えられている。定着用ベルト20は、その内側に配置された押圧部材30によって加熱定着ロール10の表面に圧接されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような無端状の定着用ベルトを用い、該定着用ベルトの内周面と押圧部材とを摺動させるベルトニップ方式の画像定着装置は、以下の点で十分ではない。即ち、
(1) 定着用ベルトの内周面と押圧部材との摩擦係数が大きいと、定着ロールの駆動トルクが大きくなる。その結果、薄肉の定着ロールコアのギア受け部に働く応力が大きくなり、ギアやコアの破損を引き起こす。また、当然のことながら、モーターへの負担も大きくなる。
(2) 定着ロールによる定着用ベルトの駆動力に比べて、定着用ベルトと押圧部材との間の摩擦力が無視できない程大きくなると、定着ロールと定着用ベルトとの間でスリップが生ずる。スリップが生ずる条件下で未定着トナー像を担持した記録シートをニップ部に通すと、このスリップが記録シート上の未定着トナー像に画像のずれを引き起こす。
(3) 定着用ベルトと押圧部材との間の摩擦係数を小さくするために潤滑剤を塗布することが考えられる。しかしながら、潤滑剤にグリースなどを使用した場合、グリースが回り込んで定着ロールに付着する、あるいは離型剤に混入し、トナーの離型性を悪化させることが生じ得る。
【0008】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、駆動トルクの経時変化がなく、安定的な走行性能を示し、高品質な画像形成に好適に用いることができる定着用ベルト、及び該定着用ベルトを備え、高品質な画像を安定して得ることができる画像定着装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 無端状の定着用ベルトの内側に配置された押圧部材により前記定着用ベルトが加熱定着ロールに圧接されて形成されるニップ部に、未定着トナー像を保持する記録シートを通過させて前記未定着トナー像を前記記録シート上に加熱加圧定着させる画像形成に用られる定着用ベルトであって、前記押圧部材が接触摺動する面に、珪素化合物を少なくとも含有してなる摺動離型層を有することを特徴とする定着用ベルトである。
<2> 珪素化合物が、シラン化合物、シリコーン樹脂及び分子中に反応基を有する変性シリコーンオイルから選択される少なくとも2種である前記<1>に記載の定着用ベルトである。
<3> シラン化合物が、フッ素含有シラン化合物、イソシアネートシラン化合物、アルコキシシラン化合物及びシランカップリング剤から選択される少なくとも1種である前記<2>に記載の定着用ベルトである。
<4> 変性シリコーンオイルが、シラノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル及びアミノ変性シリコーンオイルから選択される少なくとも1種である前記<2>に記載の定着用ベルトである。
【0010】
<5> 回転可能に配置された加熱定着ロールと、前記加熱定着ロールに接触したまま従動走行可能に配置された無端状の定着用ベルトと、前記定着用ベルトの内側に配置され、かつ前記定着用ベルトと前記加熱定着ロールとの間に、未定着トナー像を保持する記録シートが通過可能なニップ部が形成されるように前記定着用ベルトを介して前記加熱定着ロールを押圧する押圧部材とを備えてなる画像定着装置において、前記定着用ベルトが、前記<1>から<4>のいずれかに記載の定着用ベルトであることを特徴とする画像定着装置である。
<6> 押圧部材と、定着用ベルトにおける摺動離型層との間に、潤滑油を介在させた前記<5>に記載の画像定着装置である。
<7> 押圧部材の表面が、ガラス繊維を編んでなり、かつフッ素樹脂を含浸してなるシートで被覆された前記<5>又は<6>に記載の画像定着装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の定着用ベルト及び画像定着装置について詳細に説明する。
(定着用ベルト)
前記定着用ベルトは無端状の形態を有し、エンドレスベルトとも称される。前記定着用ベルトは、例えば、無端状の基材層と該基材層の内表面上に形成される摺動離型層とを少なくとも有している限り、その大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、帯状かつ無端状のものが一般的である。
【0012】
前記基材層の材質としては、例えば、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性等に優れる点で熱硬化性ポリイミドが好ましい。
前記基材層の厚みとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、通常、10〜1000μm程度である。
【0013】
前記摺動離型層の材質としては、例えば、フッ素系樹脂、フッ素ゴム、珪素化合物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも珪素化合物が好ましい。
【0014】
前記フッ素樹脂としては、例えば、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)などが挙げられる。
【0015】
前記フッ素ゴムとしては、例えば、フッ化ビニリデン系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、フルオロフォスファゼン系ゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系ゴムなどが挙げられる。
【0016】
前記珪素化合物としては、例えば、シリコーンゴム、シラン化合物、シリコーン樹脂、分子中に反応基を有する変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
これらの珪素化合物の中でも、シラン化合物、シリコーン樹脂及び分子中に反応基を有する変性シリコーンオイルが好ましく、これらから選択された少なくとも2種を用いるのが特に好ましい。この場合、少なくともシラン化合物を用いるのが、前記基材層との接着性及び離型性の確保の点で好ましく、これらの好ましい組合せの具体例としては、後述の実施例で採用した組合せ等が挙げられる。
【0017】
前記シリコーンゴムとしては、例えば、ポリジメチルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴムなどが挙げられる。
【0018】
前記シラン化合物としては、例えば、フッ素含有シラン化合物、イソシアネートシラン化合物、アルコキシシラン化合物、シランカップリング剤、これらの加水分解物又はその部分縮合物などが挙げられる。これらの中でも、フッ素含有シラン化合物、イソシアネートシラン化合物、アルコキシシラン化合物及びシランカップリング剤から選択される少なくとも1種を用いるのが特に好ましい。
【0019】
前記フッ素含有シラン化合物としては、例えば、CF(CHSi(OCH、C13Si(OCH、C15CONH(CHSi(OC、C17Si(OCH、C17SiCH(OCH、C17Si(ON=C(CH) (C))、C19Si(OCH、C19Si(NCO)、(NCO)SiC12Si(NCO)、C19Si(C) (OCH、(CHO)SiC16Si(OCH、(CHO) (CH)SiC18Si(CH) (OCHなどが挙げられる。
【0020】
前記イソシアネートシラン化合物としては、例えば、(CHSiNCO、(CHSi(NCO)、CHSi(NCO)、ビニルシリルトリイソシアネート、CSi(NCO)、Si(NCO)、COSi(NCO)、C17Si(NCO)、C1837Si(NCO)、(NCO)SiC(NCO)などが挙げられる。
【0021】
前記アルコキシシラン化合物としては、例えば、Si(OCH、CHSi(OCH、HSi(OCH、(CHSi(OCH、CHSiH(OCH、CSi(OCH、Si(OC、CHSi(OC、(CHSi(OC、HSi(OC、CSi(OC、(CHCHCHSi(OCH、CH(CH11Si(OC、CH(CH15Si(OC、CH(CH17Si(OCなどが挙げられる。
【0022】
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類などが挙げられる。
【0023】
前記シリコーン樹脂は、分子中に2官能性単位、3官能性単位又は4官能性単位を多く含む高分子量のポリシロキサンであり、例えば、シリコーンレジン及びその溶液であるシリコーンワニスなどが挙げられる。これらの中でも、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シリコーンポリエステルワニス、シリコーンアクリル樹脂などが好ましい。
【0024】
前記シリコーンワニスとしては、例えば、シリコーンアルキドワニス、シリコーンエポキシワニス、シリコーンポリエステルワニスなどが挙げられ、その他、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂等と反応させた変性ワニスなどが挙げられる。前記変性ワニスとしては、例えば、ポリエステル変成シリコーン樹脂、ウレタン変成シリコーン樹脂、アクリル変成シリコーン樹脂、ポリイミド変成シリコーン樹脂、オレフィン変成シリコーン樹脂、エーテル変成シリコーン樹脂、アルコール変成シリコーン樹脂、フッ素変成シリコーン樹脂、アミノ変成シリコーン樹脂、メルカプト変成シリコーン樹脂、カルボキシ変成シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0025】
また、本発明においては、前記シリコーン樹脂として、硬化性シリコーン樹脂を用いることもできる。
前記硬化性シリコーン樹脂としては、3官能以上のクロロシラン、これと1官能又は2官能のクロロシランとの混合物、などを加水分解したシラノールを縮合することによりポロシロキサンを合成し、触媒として有機酸金属塩やアミン類等を用いて更に縮合反応(硬化反応)を進めることにより得ることができる。これらの外、末端に反応性を有するポリジオルガノシロキサンを反応させたもの、ケイ素原子に結合したビニル基を有し、その反応性を利用して重付加反応によって硬化するものなどが挙げられる。
【0026】
前記硬化性シリコーン樹脂は、湿度、熱、光、電子線等のエネルギー線で硬化するシリコーン樹脂である。前記硬化性シリコーン樹脂は、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−プロピレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル樹脂等の非シリコーン化合物を含有してもよい。また、前記硬化性シリコーン樹脂は、前記非シリコーン化合物のモノマーをラジカル重合開始剤やイオン重合開始剤等と共に、上述のシリコーン樹脂又はそのモノマーと共存した状態で硬化反応を行って得たものでもよい。前記硬化性シリコーン樹脂における前記非シリコーン化合物の含有量としては、摺動離型性の点で上述のシリコーン樹脂に対して50wt%以下が好ましい。
【0027】
前記分子中に反応基を有する変性シリコーンオイルとしては、例えば、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイルなどが挙げられる。これらの中でも、シラノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルが好ましく、これらから選択される少なくとも1種を用いるのが特に好ましい。
【0028】
前記摺動離型層は、前記摺動離型層の素材の外、前記摺動離型層の離型性、耐久性を損なわない範囲において、アルミニウム化合物、チタニウム化合物、ジルコニウム化合物、フッ素化合物などが含まれていてもよい。
なお、本発明においては、これら化合物を前記摺動離型層を形成する前に前記基材層の内表面を処理するための前処理剤として用いてもよい。
前記摺動離型層には、前記押圧部材と摺動する際に生じる静電気による不必要な帯電が発生しないようにするため、酸化第二錫やITO等の金属酸化物などの導電剤や、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等の界面活性剤など、更に目的に応じて適宜選択したその他の成分を混合してもよい。
以上の各成分を少なくとも1種用いることにより、前記押圧部材に対する摺動性、耐摩耗性に優れる摺動離型層を形成することができる。
【0029】
前記アルミニウム化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウム−tert−ブチレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、ジ−n−ブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−n−ブトキサイドメチルアセトアセテート、アルミニウムジイソブトキサイドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジ−sec−ブトキサイドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−iso−プロポキサイドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムジ−iso−プロポキサイドモノアセチルアセトネート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドアシレート化合物などが挙げられる。
【0030】
前記チタニウム化合物としては、テトラ−iso−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−iso−ブチルチタネート、テトラ−sec−ブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラ−n−ペンチルチタネート、テトラ−iso−ペンチルチタネート、テトラ−n−ヘキシルチタネート、テトラ−n−ヘプチルチタネート、テトラ−n−オクチルチタネート、テトラ−iso−オクチルチタネート、テトラ−n−ノニルチタネートなどが挙げられる。
【0031】
前記ジルコニウム化合物としては、テトラメチルジルコネート、テトラエチルジルコネート、テトラ−iso−プロピルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラ−n−ブチルジルコネート、テトラ−iso−ブチルジルコネート、テトラ−tert−ブチルジルコネート、ジ−iso−プロポキシチタン−ビス(アセチルアセトネート)、ジ−n−ブトキシチタン−ビス(アセチルアセトネート)、テトラオクチレングリコールチタネート、テトラキスアセチルアセトンジルコネートなどが挙げられる。
【0032】
前記フッ素化合物としては、フルオロオレフィン系樹脂、ビニルエーテル類、パーフルオロポリエーテルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フルオロオレフィン系樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロプロピルビニルエーテルなどが挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、例えば、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等に硬化剤を導入して得た共重合体などが挙げられる。
前記パーフルオロポリエーテルとしては、例えば、X−CF(OC(OCHOCF−Xで表され、Xが、OCN−C(CH)NHCO−で表わされるイソシアネート変性物、−COHで表わされるカルボキシル基変性物、−CHOH、−CF−CH((OCHCHOH等で表わされるアルコール変性物、−COOR(Rはアルキル基、アリール基等)で表わされるエステル変性物などが挙げられる。
【0033】
前記摺動離型層の厚みとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、通常、0.001〜20μm程度である。
【0034】
前記摺動離型層は、例えば、以下のようにして前記基材層の内表面上に形成することができる。即ち、
まず、前記摺動離型層の素材、好ましくは前記珪素化合物、より好ましくは前記シラン化合物、前記シリコーン樹脂及び前記変性シリコーンオイルから選択された少なくとも2種を溶剤に溶解した液状組成物を、前記基材層の内表面上に塗布し、乾燥させる。すると、前記液状組成物に含まれる前記珪素化合物が相互に作用し反応する。その結果、前記基材層の内表面上に硬化膜が形成される。この硬化膜が前記摺動離型層である。この摺動離型層は、前記基材層の内表面上の活性基とも反応して該基材層の内表面上に強固に結合している。また、この摺動離型層においては、前記摺動離型層の素材として選択した各化合物が分子間で絡み合っているため、該摺動離型層は耐久性に優れる。
【0035】
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の溶剤の中から適宜選択することができ、例えば、酢酸エチル、トルエン、ベンゼン、キシレン、イソプロピルアルコール、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)などが挙げられる。
前記溶剤に前記珪素化合物を溶解させる順序、量等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜決定することができるが、例えば、前記珪素化合物として、前記シラン化合物、前記シリコーン樹脂及び前記変性シリコーンオイルから選択された少なくとも2種を用いる場合には、前記液状組成物における、前記シラン化合物の量としては0.5〜90重量%程度が好ましく、前記シリコーン樹脂の量としては0.1〜99重量%程度が好ましく、前記変性シリコーンオイルの量としては0.5〜90重量%程度が好ましい。
【0036】
前記塗布の方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バーコーティング、ニーダーコーティング、スピンコーティング、ディップコーティングなどが挙げられ、これらの中でもディップコーティングが好適に挙げられる。
【0037】
前記乾燥の方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、風乾、加熱による乾燥などが挙げられ、これらの中でも加熱による乾燥が好ましい。
前記加熱による乾燥の場合、前記液状組成物における各成分がそれぞれ良く反応し、前記摺動離型層を効率的に形成することができる。前記加熱は、オーブン等の通常使用される加熱手段を使用することができる。前記加熱の温度としては、特に制限はなく適宜決定できるが、通常、100〜120℃程度であり、前記加熱の時間としては、特に制限はなく適宜決定できるが、通常、10秒〜30分程度である。
【0038】
なお、本発明の定着用ベルトにおいては、前記定着用ベルトの前記基材層の外表面、即ち前記摺動離型層が形成されていない側の基材層の表面に、離型性に富む表面層が形成されていてもよい。
前記表面層が形成されていると、該定着用ベルトはトナー像に対する離型性に富み、離型剤が不要になる点で有利である。
【0039】
前記離型層の材質としては、例えば、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等のシリコーンゴム、フッ化ビニリデン系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、フルオロホスファゼン系ゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系ゴム等のフッ素ゴム、などが挙げられる。
【0040】
前記表面層の厚みとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、通常、10〜100μm程度である。
【0041】
本発明の定着用ベルトは、その内側に配置された押圧部材により該定着用ベルトが加熱定着ロールに圧接されて形成されるニップ部に、未定着トナー像を保持する記録シートを通過させて前記未定着トナー像を前記記録シート上に加熱加圧定着させる画像形成に好適に用られ、以下の本発明の画像定着装置に特に好適に使用することができる。
【0042】
(画像定着装置)
本発明の画像定着装置は、上述した本発明の定着用ベルトを備えており、本発明の目的を達成し得る限り、他の構成としては特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記本発明の定着用ベルト、加熱定着ロールと、押圧部材とを少なくとも備えてなり、必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば離型剤供給手段等を備えていてもよい。
【0043】
前記加熱定着ロールとしては、その形状、構造、大きさ等につき特に制限はなく、目的に応じてそれ自体公知のものの中から適宜選択して使用することができる。前記加熱定着ロールは、一般には、円筒状のコアと、その表面に形成された弾性層とを有し、コアの内部に加熱源を備えてなる。
【0044】
前記コアの材質としては、機械的強度に優れ、伝熱性が良好である材質ならば特に制限はないが、例えば、アルミ、SUS、鉄、銅等の金属、合金、セラミックス、FRMなどが挙げられる。
【0045】
前記弾性層の材質としては、該弾性層として公知の材質のものの中から適宜選択できるが、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。本発明においては、これらの材質の中でも、表面張力が小さく、弾性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。該シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。
【0046】
前記弾性層の厚みとしては、通常、3mm以下であり、好ましくは0.5〜1.5mmである。
前記弾性層を前記コアの表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、それ自体公知のコーティング法などが採用できる。前記コーティング法としては、例えば、ニーダーコーティング、バーコーティング、カーテンコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等が挙げられる。本発明においては、これらの中でもディップコーティングが好適に採用できる。
【0047】
本発明においては、前記弾性層の表面に離型層が形成されていてもよい。前記離型層が形成されていると、トナー像のオフセットを好適に防止でき、安定した状態で画像定着装置を運転することができる点で有利である。
前記離型層の材質としては、トナー像に対し適度な離型性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの材質の中でもフッ素ゴムが好適に挙げられる。
前記フッ素ゴムとしては、例えば、フッ化ビニリデン系ゴム、フルオロシリコーン系ゴム、テトラフルオロエチレン・プロピレン系ゴム、フルオロフォスファゼン系ゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系(パーフルオロ系)ゴムなどが挙げられる。
【0048】
前記離型層の厚みとしては、通常、10〜100μmであり、好ましくは20〜30μmである。
前記離型層を前記コアの表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、上述したコーティング法などが挙げられる。本発明においては、これらの中でもディップコーティングが好適に採用できる。
【0049】
前記加熱源としては、前記コアの内部に収容することができる形状、構造のものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、ハロゲンヒーターなどが挙げられる。
前記加熱源により加熱された加熱定着ロールの表面温度は、例えば、該加熱定着ロールに設けた感温素子により計測し、制御手段によりその温度を一定に制御することができる。
前記感温素子としては、特に制限はなく、例えば、サーミスター、温度センサーなどが挙げられる。前記制御手段としては、特に制限はなく、例えば、温度コントローラー、コンピューターなどが挙げられる。
【0050】
前記押圧部材は、前記本発明の定着用ベルトの内側に配置され、かつ該定着用ベルトと前記加熱定着ロールとの間に、未定着トナー像を保持する記録シートが通過可能なニップ部が形成されるように、該定着用ベルトを介して前記加熱定着ロールを押圧する。
前記押圧部材としては、前記定着用ベルトの内側に配置されて該定着用ベルトを介して前記加熱定着ロールを押圧し、該定着用ベルトと前記加熱定着ロールとの間に、未定着トナー像を保持する記録シートが通過可能なニップ部が形成することができる機能を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のものの中から選択でき、例えば押圧パッドなどが好適に挙げられる。
【0051】
前記押圧部材の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記押圧部材は、単一の部材からなる構造であってもよいし、異なる機能を有する複数の部材からなる構造であってもよい。
本発明においては、前記押圧部材の表面が、繊維を編んでなり、かつ前記フッ素樹脂を含浸させてなるシート等で被覆された態様が好ましい。この場合、該押圧部材は離型性、耐久性に優れ、オフセットを防止しつつ、長期間安定に画像の加熱定着を行うことができる点で有利である。なお、前記繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられ、中でも耐摩耗性の点でガラス繊維が好ましい。
【0052】
ここで、押圧部材の一例について図1及び図2を参照しながら説明すると、この押圧部材30は、支持体31と、支持体31上に配置された弾性体32と、弾性体32における定着用ベルト20の内周面との接触面に張られた低摩擦フィルム33と、定着用ベルト20がスムーズに回転するように設けられたベルト走行ガイド34とを有してなる。なお、ベルト走行ガイド34の表面には定着用ベルトの回転方向のリブが設けられており、定着用ベルト20の内周面との接触面積を少なくしている。ベルト走行ガイド34の両端には、定着用ベルト20の寄りを規制する鍔(つば)状の部材(図示しない)が設けられている。
弾性体32の材質としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。低摩擦フィルム33としては、例えば、テフロン樹脂等のフッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シートなどが挙げられる。
【0053】
押圧部材30は、定着用ベルト20を介して、例えば圧縮コイルスプリング等の付勢部材により加熱定着ロール10を一定の荷重で押圧している。換言すれば、押圧部材30は、定着用ベルト20を介して、例えば圧縮コイルスプリング等の付勢部材により加熱定着ロール10に一定の荷重で押圧されている。
加熱定着ロール10への定着用ベルト20の巻き付け角度としては、約25〜40°であり、この時ニップ16の幅は、約6〜10mmとなる。
加熱定着ロール10の駆動源であるモーターを駆動すると、加熱定着ロール10が回転駆動する。この加熱定着ロール10の回転駆動に従動して薄膜状の定着用ベルト20が一定の速度で回転する。
【0054】
本発明においては、前記押圧部材の表面と、前記定着用ベルトの内面との間に潤滑剤を介在させるのが好ましい。
前記潤滑剤としては、変性シリコーンオイルが特に好適に挙げられる。前記潤滑剤としての変性シリコーンオイルを、前記押圧部材の表面と前記定着用ベルトの内面との間に付与する方法としては、特に制限はなく、それ自体公知の方法、装置を用いて手動で又は自動的に行うことができる。
【0055】
本発明においては、前記変性シリコーンオイルを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。後者の場合、同種の変性シリコーンオイルを併用するのが好ましく、より好ましくは、常温における粘度が50〜300csである低粘度成分20〜80重量部と、常温における粘度が300〜100,000csである高粘度成分80〜20重量部との混合物である変性シリコーンオイルが好ましい。このような混合物の変性シリコーンオイルを用いると、起動トルクと駆動トルクとを低い範囲に一定に制御できる点で有利である。
前記変性シリコーンオイルとしては、例えば、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイルなどが挙げられる。これらの中でも、画像定着装置の起動トルク及び駆動トルクを効果的に所望の低い範囲に維持でき、取扱性に優れる等の点でアミノ変性シリコーンオイルが好ましい。
【0056】
前記離型剤供給手段としては、前記加熱定着ロール表面に離型剤を供給する機能を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のものの中から選択することができる。
本発明においては、前記離型剤として、前記変性シリコーンオイルを選択するのが好ましく、前記潤滑剤としての変性シリコーンオイルと同種の変性シリコーンオイルを選択するのがより好ましい。このように前記潤滑剤としての変性シリコーンオイルと同種の変性シリコーンオイルを選択した場合、該離型剤と該潤滑油とが互いに混ざり合っても離型性が低下することがない点で有利である。
更に、本発明では、その常温における粘度が潤滑剤としての変性シリコーンオイルの常温における粘度よりも小さい変性シリコーンオイルを前記離型剤として選択するのが特に好ましい。この場合、前記定着用ベルトのスリップが発生し難くくできる点で有利である。
【0057】
本発明の画像定着装置においては、前記加熱定着ロールが回転可能に配置される。前記定着用ベルトが、前記加熱定着ロールにその外周面の一部が接触したまま従動走行可能に配置される。前記押圧部材が、前記定着用ベルトの内側に配置され、かつ前記定着用ベルトと前記加熱定着ロールとの間に、未定着トナー像を保持する記録シートが通過可能なニップ部が形成されるように、前記定着用ベルトを介して前記加熱定着ロールを押圧する。そして、前記押圧部材と前記定着用ベルトとの間には、潤滑剤として変性シリコーンオイルが介在されている。
【0058】
したがって、前記加熱定着ロールが回転駆動すると、該加熱定着ロールの回転駆動に従動して前記定着用ベルトも回転する。このとき、前記加熱定着ロールと前記定着用ベルトとの間に形成されたニップ部の入口に、未定着トナー像を保持する記録シートが存在すると、該記録シートが前記ニップ部に取り込まれ、該ニップ部を通過する。該ニップ部においては、前記加熱定着ロールと、前記押圧部材により前記加熱定着ロール側に押圧された定着用ベルトとにより、前記記録シートがプレスされ、加熱される。その結果、該記録シート上のトナー像が該記録シート上に加熱定着される。
【0059】
このとき、本発明においては、前記定着用ベルトの内表面に前記摺動離型層が形成されているため、該定着用ベルトの内周面と前記押圧部材との摩擦力に起因する加熱定着ロールの起動トルク・駆動トルクが効果的に低減され、該定着用ベルトの回転駆動が円滑な状態のまま維持される。その結果、高品質な画像の加熱定着を円滑に繰り返し行うことができる。
【0060】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
以下、図1及び図2を参照して本発明の実施例を説明する。図1及び図2に示す画像定着装置1は、加熱定着ロール10と、薄膜状でかつ無端状の定着用ベルト20と、押圧部材30とを備えている。
定着用ベルト20は、その内側に配置された押圧部材30により加熱定着ロール10に押圧されて、該定着用ベルト20に圧接されており、加熱定着ロール10と定着用ベルト20との間に記録シートが通過可能なニップ部16が形成されている。
【0062】
加熱定着ロール10は、外径30mm、肉厚0.35mm、長さ360mmの円筒状で鉄製のコア11の外周面に、弾性層12としてシリコーンHTVゴム(ゴム硬度45度:JIS−A)を500μmの厚みに被覆され、該弾性層12の表面に離型層13としてフッ素ゴムが30μmの厚みにディップコートされてなり、鏡面状態に近い表面に仕上げられている。
コア11の内部には、加熱源として600wのハロゲンランプ14が配設されている。加熱定着ロール10の表面温度は、該加熱定着ロール10の表面に当接した状態で配置された感温素子15の温度センサーと、図示しない温度コントローラーとにより150℃に制御された。また、離型剤として粘度300CSのアミノ変性シリコーンオイルがオイル供給システム(図示しない)により均一に加熱定着ロール10の離型層13の表面に供給された。
【0063】
定着用ベルト20は、周長94mm、厚み75μm、長さ320mmの熱硬化性ポリイミドを基材層21とし、該基材層21における、外表面(外周面)には、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)を30μmの厚みにコーティングしてなる表面層22が形成されており、内表面(内周面、押圧部材30との摺動面)には、以下のような、珪素化合物を含む摺動離型層(図示せず)が形成されている。
即ち、まず、前記シラン化合物としてテトライソシアネートシラン20部、前記シリコーン樹脂としてシリコーンレジン(YSR3022:東芝シリコーン社製)2部、前記変性シリコーンオイルとしてアミノ変性シリコーンオイル(TSF4702:東芝シリコーン社製)18部を、酢酸エチル300部に攪拌し、混合乃至溶解させることにより液状組成物を調製した。この液状組成物を予め基材層21における、プライマー処理を施した内表面にディップコートし、風乾後、120℃で3分間オーブンで加熱乾燥することにより、基材層21上に摺動離型層を形成した。該摺動離型層の厚みは、0.1μmであった。
【0064】
押圧部材30は、支持体31と、支持体31の上に配置された弾性体32と、弾性体32の定着用ベルト20との接触面に張られた低摩擦フィルム22と、定着用ベルト20がスムーズに回転するように設けられたベルト走行ガイド34とから構成されている。
弾性体32は、幅10mm、肉厚5mm、長さ320mmのシリコーンゴムであり、その表面に配置された低摩擦フィルム33は、テフロン樹脂を含浸させたガラス繊維シートである。ベルト走行ガイド34の表面には、ベルト回転方向のリブが設けられており、定着用ベルト20の内周面との接触面積を少なくしている。ベルト走行ガイド34の両端には、定着用ベルト20の寄りを規制する鍔(つば)状の部材(図示しない)が設けられている。
支持体31は、耐熱性であり、弾性体32を固定する機能を有する。該支持体31は、薄膜状であり、かつ無端状の定着用ベルト20を介して圧縮コイルスプリング(図示しない)により加熱定着ロール10を30kgの荷重で押圧している。
【0065】
加熱定着ロール10への定着用ベルト20の巻き付け角度は、約40°であり、この時ニップ部16の幅は、約10mmであった。モーターからの駆動力が加熱定着ロール10に伝達され、加熱定着ロール10及び定着用ベルト20は、160mm/secの速度で回転した。
【0066】
押圧部材30の外表面には、低摩擦シート33として中興化成工業(株)社製のテフロンを含浸させたガラス繊維シート(FGF−400−4)が被覆されている。
【0067】
ここで、定着用ベルト20における前記摺動離型層の形成前後における駆動トルク(潤滑剤なし)を比較した結果を表1に示す。
表1に示す通り、前記摺動離型層の形成前では、駆動トルクが8〜9kg・cm程度であったが、前記摺動離型層の形成後では、駆動トルクが4kg・cm程度まで低減させることができた。
【0068】
【表1】
Figure 0003577897
【0069】
また、定着用ベルト20の内表面(圧力部材30との摺動面)に前記摺動離型層を形成せず、内表面が基材層21の素材であるポリイミドである場合に、加熱定着ロール10及び定着用ベルト20を連続的に駆動し、その駆動トルクを測定した。その結果を図3に示した。
図3において、実線は、加熱定着ロール10を150℃に加熱した場合、破線は、室温25℃の場合をそれぞれ意味する。
なお、図3において、前記駆動トルクは、動摩擦係数と一定の相関関係があり、即ち駆動トルク1kg・cm=動摩擦力(係数)0.022、という相関関係があるので、前記駆動トルクは、定着用ベルト20の内表面と押圧部材30の低摩擦シート33の表面との間の摺動抵抗を意味していると考えられる。
図3によると、初期的(時間0Hour)には、150℃/25℃のトルクがそれぞれ3.1kg・cm/4.6kg・cmであったものが、約80時間動作させることにより4.2kg・cm/7.8kg・cmまで増大した。
【0070】
これに対して、定着用ベルト20の内表面に前記摺動離型層を形成した場合に、加熱定着ロール10及び定着用ベルト20を連続的に駆動し、その駆動トルクを測定した。その結果を図4に示した。
図4においては、図3と同様に、実線は、加熱定着ロール10を150℃に加熱した場合、破線は、室温25℃の場合をそれぞれ意味する。
図4によると、初期的には、150℃/25℃のトルクが2.5kg・cm/3.5kg・cmと改善されているが、100時間の動作後においても3.2kg・cm/4.4kg・cmであり、改善効果が大きく、しかも経時的な変化が小さかった。
【0071】
実施例1においては、押圧部材30の外表面と定着用ベルト20の内表面との間には、潤滑剤としてアミノ変性シリコーンオイルが介在されており、また、加熱定着ロール10の表面に、トナーの離型性を向上させるために、離型剤として、前記潤滑剤と同じアミノ変性シリコーンオイルを供給している。
実施例1においては、用いる潤滑剤が加熱定着ロール10に供給する離型剤と同種のオイルであるので、該離型剤と該潤滑剤とが混ざったとしても離型不良の問題は生じない。
【0072】
ところで、前記離型剤としてのアミノ変性シリコーンオイル量が多くなると、加熱定着ロール10と定着用ベルト20の外周面との摩擦力が小さくなり、スリップが起こり易くなる。
ここで、加熱定着ロール10の表面に付与された離型剤としてのアミノ変性シリコーンオイル量と、トルクを変えた場合の定着用ベルトの速度との関係を調べたことろ、図5に示すような結果が得られた。加熱定着ロール10は、160mm/sの速度で回転させた。
加熱定着ロール10と定着用ベルト20との間でスリップが生じ始める領域を太線で示した。
【0073】
実施例1においては、加熱定着ロール10が150℃の時の駆動トルクは、経時的にも2.5〜3.2kg・cm程度であり、離型剤としてのアミノ変性シリコーンオイルの量は、1〜5μl/A4紙であるから、150℃においては、定着用ベルト20のスリップは生じることはなく、定着動作時に画像のずれが発生することはなかった。
【0074】
(実施例2)
実施例1の液状組成物において、前記珪素化合物を、シラン化合物としてメチルシリルトリイソシアネート40部、シラノール変性シリコーンオイルとしてα,ω−ジハイドロキシポリジメチルシロキサンオイル8部に代え、酢酸エチルを330部に代えた外は、実施例1と同様にして定着用ベルト及び該定着用ベルトを備えた画像定着装置を得た。該画像定着装置を用い、実施例1と同様の評価を行った。その結果、図6に示す通り、実施例1とほぼ同等の結果が得られた。
【0075】
(実施例3)
実施例1の液状組成物において、前記珪素化合物を、シラン化合物としてメチルトリメトキシシラン10部、テトライソシアネートシラン20部、シランカップリング剤としてγ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン10部、シリコーンレジン(TSR144:東芝シリコーン社製)2部、カルボキシ変性シリコーンオイル(X−22−3710:信越化学社製)20部に代え、酢酸エチルを360部に代えた外は、実施例1と同様にして定着用ベルト及び該定着用ベルトを備えた画像定着装置を得た。該画像定着装置を用い、実施例1と同様の評価を行った。その結果、図7に示す通り、実施例1とほぼ同等の結果が得られた。
【0076】
(実施例4)
実施例1の液状組成物において、前記珪素化合物を、フッ素含有シラン化合物としてC19Si(NCO)10部、メチルシリルトリイソシアネー
ト10部、シランカップリング剤としてトリメトキシビニルシラン10部、シリコーンレジン(TSR144:東芝シリコーン社製)2部、シラノール変性シリコーンオイル(YF3800:東芝シリコーン社製)20部に代え、酢酸エチルを400部に代えた外は、実施例1と同様にして定着用ベルト及び該定着用ベルトを備えた画像定着装置を得た。該画像定着装置を用い、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例1とほぼ同等の結果が得られた。
【0077】
(実施例5)
実施例1の液状組成物において、前記珪素化合物を、テトライソシアネートシラン20部、高潤滑性UVハードコート剤(XF−003:ナトコペイント社製)10部、アミノ変性シリコーンオイル(TSF5702:東芝シリコーン社製)20部に代え、酢酸エチルを400部に代え、基材層21上に摺動離型層を形成した後に定着ベルトの内表面に、紫外線照射装置で120W/cmの照射強度で約1分間光照射した外は、実施例1と同様にして定着用ベルト及び該定着用ベルトを備えた画像定着装置を得た。該画像定着装置を用い、実施例1と同様の評価を行った。その結果、図8に示す通り、実施例1とほぼ同等の結果が得られた。
【0078】
(実施例6)
実施例1の液状組成物において、前記珪素化合物を、メチルシリルトリイソシアネート10部、シランカップリング剤としてトリメトキシビニルシラン10部、シリコーンハードコート剤(UVHC8553:東芝シリコーン社製)5部、シラノール変性シリコーンオイル(YF3800:東芝シリコーン社製)20部に代え、酢酸エチルを400部に代え、基材層21上に摺動離型層を形成した後に定着ベルトの内表面に、紫外線照射装置で120W/cmの照射強度で約1分間光照射した外は、実施例1と同様にして定着用ベルト及び該定着用ベルトを備えた画像定着装置を得た。該画像定着装置を用い、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例1とほぼ同等の結果が得られた。
【0079】
(実施例7)
実施例1の液状組成物において、前記珪素化合物を、テトライソシアネートシラン20部、硬化型シリコーン樹脂(PHC587:東芝シリコーン社製)10部、シラノール変性シリコーンオイル(YF3800:東芝シリコーン社製)20部に代え、これに更にポリエステル樹脂(ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物及びコハク酸誘導体からなるポリエステル樹脂10部を添加し、酢酸エチルを400部に代え、加熱乾燥の温度を130℃に変えた外は、実施例1と同様にして定着用ベルト及び該定着用ベルトを備えた画像定着装置を得た。該画像定着装置を用い、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例1とほぼ同等の結果が得られた。
【0080】
(実施例8)
実施例1の液状組成物において、前記珪素化合物を、テトライソシアネートシラン20部硬化型シリコーン樹脂(XS66−B0705:東芝シリコーン社製)5部、アミノ変性シリコーンオイル(TSF5702:東芝シリコーン社製)20部に代え、酢酸エチルを400部に代え、加熱乾燥の温度を130℃に変えた外は、実施例1と同様にして定着用ベルト及び該定着用ベルトを備えた画像定着装置を得た。該画像定着装置を用い、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例1とほぼ同等の結果が得られた。
【0081】
【発明の効果】
本発明によると、前記従来における諸問題を解決することができる。また、本発明によると、駆動トルクの経時変化がなく、安定的な走行性能を示し、高品質な画像形成に好適に用いることができる定着用ベルトを提供することができる。また、本発明によると、前記定着用ベルトを備え、高品質な画像を安定して得ることができる画像定着装置を提供することができる。
より具体的には、本発明によると、定着用ベルトの内周面と押圧部材との摩擦力に起因する加熱定着ロールの起動トルク・駆動トルクを効果的に低減し、加熱定着ロールのコア特にギア部分に負荷される応力を効果的に小さくし、コアの破損等を防止し得る定着用ベルト及び該定着用ベルトを備えた画像定着装置を提供することができる。また、本発明によると、モーター自身のトルクを低減し、運転コストの削減を図ることが可能な定着用ベルト及び該定着用ベルトを備えた画像定着装置を提供することができる。更に、本発明によると、定着用ベルトの内周面と押圧部材との摩擦力を小さくし、該定着用ベルトのスリップを防止し、未定着トナー画像を保持する記録シートをニップ部に通した場合に、画像のずれや乱れを招くことなく、画像定着を円滑に行うことができる定着用ベルト及び該定着用ベルトを備えた画像定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の画像定着装置の一実施例を説明するための断面概略説明図である。
【図2】図2は、本発明の画像定着装置の一実施例を説明するための斜視概略説明図である。
【図3】図3は、所定の温度における、加熱定着ロールのトルクと回転時間との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、所定の温度における、加熱定着ロールのトルクと回転時間との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、加熱定着ロールを一定の速度で回転させた場合において定着用ベルトのスリップについてみた、加熱定着ロールのトルクとアミノ変性シリコーンオイルの量との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、所定の温度における、加熱定着ロールのトルクと回転時間との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、所定の温度における、加熱定着ロールのトルクと回転時間との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、所定の温度における、加熱定着ロールのトルクと回転時間との関係を示すグラフである。
【図9】図9は、従来の加熱加圧ロール型の画像定着装置の一例を示す断面概略説明図である。
【符号の説明】
1 画像定着装置
10 加熱定着ロール
11 コア
12 弾性層
13 離型層
14 ハロゲンランプ
15 感温素子
16 ニップ部
20 定着用ベルト
21 基材層
22 表面層
30 押圧部材
31 支持体
32 弾性体
33 低摩擦フィルム
34 ベルト走行ガイド
40 加圧ロール
41 コア
42 弾性層

Claims (4)

  1. 無端状の定着用ベルトの内側に配置された押圧部材により前記定着用ベルトが加熱定着ロールに圧接されて形成されるニップ部に、未定着トナー像を保持する記録シートを通過させて前記未定着トナー像を前記記録シート上に加熱加圧定着させる画像形成に用られる定着用ベルトであって、前記押圧部材が接触摺動する面に、シラン化合物及び分子中に反応基を有する変性シリコーンオイルを少なくとも含有してなる摺動離型層を有することを特徴とする定着用ベルト。
  2. 回転可能に配置された加熱定着ロールと、前記加熱定着ロールに接触したまま従動走行可能に配置された無端状の定着用ベルトと、前記定着用ベルトの内側に配置され、かつ前記定着用ベルトと前記加熱定着ロールとの間に、未定着トナー像を保持する記録シートが通過可能なニップ部が形成されるように前記定着用ベルトを介して前記加熱定着ロールを押圧する押圧部材とを備えてなる画像定着装置において、前記定着用ベルトが、請求項1に記載の定着用ベルトであることを特徴とする画像定着装置。
  3. 押圧部材と、定着用ベルトにおける摺動離型層との間に、潤滑油を介在させた請求項2に記載の画像定着装置。
  4. 押圧部材の表面が、ガラス繊維を編んでなり、かつフッ素樹脂を含浸してなるシートで被覆された請求項2又は3に記載の画像定着装置。
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