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JP3580738B2 - エコーキャンセラの制御装置 - Google Patents
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JP3580738B2 - エコーキャンセラの制御装置 - Google Patents

エコーキャンセラの制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音声通信を行うシステムにおいて、通話回線からのエコーを消去するためのエコーキャンセラを制御するエコーキャンセラの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は通話回線のエコー発生箇所について説明するための図である。
【0003】
図3において、1は電話機の通話制御を行う本体装置、2は電話機、3は壁、柱等の反射物である。また、11は本体装置1のエコーキャンセラ(反響消去装置)、12は本体装置1の2W/4W変換トランス部(2線4線変換ハイブリッド回路)、13は電話機2の2W/4W変換トランス部、14は送受話器(ハンドセット)である。
【0004】
2W/4W変換トランス部12,13は、2線式(2W)から4線式(4W)への変換、または4線式から2線式への変換のためのインタフェースとして用いられる。2W部分は双方向音声信号が流れており、それを送信音声信号と受信音声信号に分離する。また、構造上、4W側からの送信信号の一部が受信側に戻ってくる。これがインピーダンス不整合を原因とするハイブリッドエコーである。
【0005】
電話機2の送受話器14部分では、内部空洞及び筐体を経由して送信音声の一部が受信音声側に戻り、音響エコーとなる。
【0006】
壁、柱等の反射物3では、受話器から出た音声が反射し送話器に入り、音響エコーとなる。この現象は、ハンズフリー電話装置で、スピーカから音量を上げて放音された音声が感度の良いマイクで拾われることにより顕著に発生する。
【0007】
このようなエコーを除去し通話品質の向上を図るために、適応フィルタと減算器からなるエコーキャンセラが良く用いられている。エコーキャンセラは、反響路のインパルス応答の推定値を内部に持ち受信信号との畳込み演算によりエコーを推定して擬似エコーを発生し、それを送信信号から差し引くことによりエコーを消去する装置である。反響路のインパルス応答は時間と共に変化するため、通常は適応的にインパルス応答を推定する適応形エコーキャンセラが用いられる。
【0008】
エコーキャンセラ11は、単にエコーを消去するだけでなく、常に最適な状態で動作できるように種々の機能を備えている。例えば、学習機能を持ったエコーキャンセラでは、機能パラメータを自動変更し、現在の音声経路に最も合った値になるように適応動作を行っている。電源投入直後及びリセット直後は、各パラメータはデフォルト値となる。このデフォルト値は、例えば可変範囲の中間値に設定されどのような線路状態にも短い時間で最適な状態に達するようになっている。
【0009】
しかし、通話を終了して新たな通話を行った場合、以前の学習効果が残っているため、急に新たな線路状態になった時に、学習機能が十分に働かない、またはパラメータが現状の線路状態にマッチせず状態が安定するのに多くの時間を費やしてしまうという欠点があった。例えば、パラメータの値可変範囲が1〜10であり、リセット後はパラメータが中間値である5から始まるものとすると、通常は、パラメータが1または10のどちらに行っても「4」または「5」の変化で到達する。しかし、以前の学習効果により前状態が「1」となっている場合には、現状態が「10」であるべき時、「9」の変化時間がかかることになる。また、状態が安定するのに時間を要するだけではなく、音声信号は連続変化が基本であるから上記前状態「1」から現状態「10」への変化時間のように極端な時間変化がある場合には、「9」の変化はありえない信号としてパラメータから外されパラメータ適応動作に支障をきたす場合があった。
【0010】
上記問題を解決するため、図4に示すように通信状態を監視してエコーキャンセラをリセットすることが行われている。
【0011】
図4は従来のエコーキャンセラの制御装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
図4において、20は通話回線からのエコーを消去するためのエコーキャンセラを制御するエコーキャンセラの制御装置であり、21はエコーキャンセラ、22は通信状態監視部、23はエコーキャンセラリセット制御部である。
【0013】
また、通信状態監視部22には、通話制御を行う本体装置(PBX(Private Branch Exchange)、電話機、アダプタ等の通話制御を行っている装置)からの呼制御情報(以下、呼情報という)が入力される。
【0014】
以上の構成において、通信状態監視部22は、本体装置が管理している呼状態に基づいて、新たな通話が開始された時にその情報を受信し、エコーキャンセラリセット制御部23に通知する。エコーキャンセラリセット制御部23では、通信状態監視部22からの呼情報を基にエコーキャンセラ21をリセットするようにする。リセットにより各種係数が初期値に戻り、収束時間(各種係数が適応状態になるまでの追従時間)が短縮される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のエコーキャンセラの制御装置にあっては、線路の接続形態によっては上述した問題が解決されない現象が発生していた。
【0016】
図5はエコーキャンセラを具備している装置から通話を行っている端末までの接続経路を示す図であり、図5(a)〜(g)はその接続パターン1〜7を示す。ここで本装置とは、前記図4の制御装置20(または図3の本体装置1)のようにエコーキャンセラを具備している装置である。公衆網は、実際には公衆網設備の交換機である。また、電話機が端末となる。図5のハッチングされた矢印で示される接続部には2線/4線変換が存在し、エコーが発生する可能性がある。図5のハッチングされていない矢印で示される接続部は、4線接続されているためエコーは発生しない。
【0017】
接続パターン1、接続パターン2及び接続パターン4に関しては、本装置で電話機の応答が検出できるので、電話機の応答検出によって通信状態を監視でき、このことから通話路が確定する。よって、新たな通話が開始された時にエコーキャンセラリセット制御部23が、エコーキャンセラ21をリセットすることにより上記問題を解決することができた。
【0018】
ところが、接続パターン3、接続パターン5、接続パターン6及び接続パターン7に関しては、本装置と電話機の途中にあるPBXまたは公衆網から信号が出力され、一度本装置から該当応答装置まで通話路が形成され、その後電話機まで通話路が変更される。この場合には、本装置では最初の応答しか検出できないので、その時点でエコーキャンセラをリセットするしかない。このため、その後の通話路変更時に上述した問題が発生していた。
【0019】
本発明は、通話路の変化を検出して通話路変化に即したリセット信号を生成することができ、網の接続構成に影響されず、安定したエコーキャンセル状態を実現できるエコーキャンセラの制御装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエコーキャンセラの制御装置は、エコーを消去するためのエコーキャンセラと、通話制御を行う装置が管理している呼状態に基づいて、新たな通話が開始されたことを監視する通信状態監視手段と、通信状態監視手段からの情報に基づいてエコーキャンセラをリセットするためのリセット信号を発生するリセット信号発生手段と、回線の信号周波数を監視し、周波数情報を生成する周波数監視手段と、前記リセット信号発生手段からのリセット信号又は前記周波数監視手段からの情報に基づいてエコーキャンセラを制御する制御手段と、回線の信号レベルを監視し、レベル情報を生成するレベル監視手段とを備え、 前記制御手段が、周波数が所定の変動幅以上変動し、その後信号レベルが所定の期間略一定の値を保ったときにエコーキャンセラのリセットを行うことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
図1は本発明の実施形態に係るエコーキャンセラの制御装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の説明にあたり前記図4と同一構成部分には同一符号を付している。
【0027】
図1において、30は通話回線のエコーを消去するためのエコーキャンセラを制御するエコーキャンセラの制御装置であり、エコーキャンセラの制御装置30は、エコーキャンセラ21、通信状態監視部22(通信状態監視手段)、エコーキャンセラリセット制御部23(リセット信号発生手段)、リセット情報統合制御部31(制御手段)、レベル監視部32(レベル監視手段)、及び周波数監視部33(周波数監視手段)から構成される。また、34は通話回線である。
【0028】
エコーキャンセラ21は、反響路のインパルス応答の推定値を内部に持ち受信信号との畳込み演算によりエコーを推定し、それを送信信号から差し引くことによりエコーを消去する装置であり、専用LSI、またはDSP(digital signal processor)を利用して実現される。DSPは乗算機能を主体とした演算器をもち、ファームウェアによって演算機能やデータ転送を制御して信号処理する。
【0029】
通信状態監視部22は、図示しない本体装置(PBX、電話機、アダプタ等の通話制御を行っている装置)からの呼情報を受信し、本体装置が管理している呼状態に基づき、新たな通話が開始された時にその情報を受信し、エコーキャンセラリセット制御部23に通知する。
【0030】
エコーキャンセラリセット制御部23は、通信状態監視部22からの情報を基にエコーキャンセラ21に合ったリセット信号を作成する。
【0031】
リセット情報統合制御部31は、マイクロコンピュータ等により構成され、レベル監視部32及び周波数監視部33からの情報とエコーキャンセラリセット制御部23からのリセット信号を基に総合的に判断し、最適なタイミングでリセット信号を作成してエコーキャンセラ21に送出する。
【0032】
レベル監視部32は、回線からの信号レベルを監視し、レベル(LV)情報を生成してリセット情報統合制御部31に出力する。
【0033】
周波数監視部33は、回線からの信号周波数を監視し、周波数(FQ)情報を生成してリセット情報統合制御部31に出力する。
【0034】
以下、上述のように構成されたエコーキャンセラの制御装置30の動作を説明する。
【0035】
まず、各信号(呼制御トーン、通話中のPB(push button)信号音、音声信号)の特徴について、レベルや周波数との関連について簡単に説明する。
【0036】
呼制御トーンは、通話状態を制御/表示するために出す信号音であり、ダイヤル入力可能状態を示すダイヤルトーン(DT)、相手呼び出し中状態を示すリングバックトーン(RBT:呼出中音)及び相手通話中(ビジー)状態を示すビジートーン(BT)がある。通話中に割り込み(キャッチホン、転送電話等)を示す割り込み音は、決められた周波数が一定のレベルで出力される。
【0037】
通話中のPB信号音は、通話中状態より、番号情報(FAXサービス、音声メールサービス等)を入力するために送出する信号である。PB信号は、4種類の高周波数群(1209,1336,1447,1633Hz)と4種類の低周波数群(697,770,852,941Hz)から高、低2周波の組合わせでダイヤル数字を表している。周波数は、組合わせにより変更されるがレベルは一定である。
【0038】
音声信号は、通話者の声を信号にしたものである。周波数は連続的に変化し、レベルも連続的に変化する。通話経路が変更された場合には、経路による信号ロスの差によりレベルが変動することがある。
【0039】
通常の音声信号は、連続変化であるので、レベルや周波数が大きく変わることはない。レベルや周波数が大きく変化した場合は、接続経路が変わったと判断してよい。このことを、前記図5(c)の通話路の接続パターン3の場合を例に採り説明する。
【0040】
図5(c)において、本装置より電話機を呼び出した場合、始めにPBXが本装置に応答し、本装置とPBX間に通話路が形成される。この時、PBXからは内線端末を呼び出しているRBT(呼出中音)が本装置に送られてくる。従来例では、この時点で通話路が確定したものとして、リセットを行っていた。次に、電話機が応答すると、PBXが「PBX内部トーン装置と本装置間の通話路」を「電話機と本装置間の通話路」に変更する。通常のRBT信号は、周波数「400Hz+20Hz変調」、レベル「−5dBm〜−10dBm」の断続音であり、電話機との通話状態の音声信号である、周波数「300Hz〜3.4kHz」、レベル「−15dBm〜−25dBm」(話者による差異あり)とは範囲が異なる。よって、周波数またはレベルの変動を検出するようにすれば、通話路の変更を判断することができる。
【0041】
上記基本的な考え方に従ってエコーキャンセラの制御装置30の具体的な動作を説明する。動作の説明は、接続状態が一番複雑である前記図5(g)に示す接続パターン7を用いて説明する。
【0042】
図5(g)において、41は本装置、42はPBX、43は公衆網、44はPBX、45は電話機である。上記本装置41は、本実施形態に係るエコーキャンセラの制御装置30(図1)を具備し、PBX、電話機、アダプタ等の通話制御を行っている装置である。
(1)まず、本装置41より電話機45に向かって発呼する。
(2)これを受けてPBX42が応答し、本装置41とPBX42の通話路が形成される。通信状態監視部22では、本体装置が管理している呼状態に基づき、通話開始情報(呼情報)を受信し、この呼情報がエコーキャンセラリセット制御部23に送られる。エコーキャンセラリセット制御部23では、受信した呼情報を基にエコーキャンセラ21に合ったリセット信号を作成する。作成されたリセット信号は、リセット情報統合制御部31を介してエコーキャンセラ21に送出され、エコーキャンセラリセット(初期化)が行われる。なお、ここまでの動作は、従来例と同様の動作である。
(3)次に、PBX42から相手先ダイヤル入力を促すDT(ダイヤルトーン)またはガイダンスが、本装置41に向かって送出される。本装置41では、初めの無音状態より、トーンまたはガイダンス信号受信状態となるので、リセット情報統合制御部31で、周波数監視部33からのFQ変動情報及びレベル監視部32からのLV変動情報を基に通話路が変更されたかどうかの判断をし、通話路が変更されたと判断したときに、リセット信号を作成してエコーキャンセラ21に送出する。エコーキャンセラ21は、このリセット信号によりリセットされる。なお、リセット情報統合制御部31による統合制御の詳細については後述する。
(4)本装置41からの相手先情報送出後、PBX42は公衆網43経由でPBX44を呼び出す。この時、PBX42は「本装置41−PBX42間通話路」を「本装置41−公衆網43間通話路」に変更する。そして、公衆網43の交換機よりRBT(呼出中音)が本装置41に送られてくる。
【0043】
本装置41内部では、受信される信号が「DT→無音→RBT」と変化し、この変化をレベル監視部32及び周波数監視部33がそれぞれ検出し、上記(3)の処理と同様の処理が行われる。
(5)PBX44と電話機45がDIL(ダイレクト・インライン:公衆網から直接PBXの内線を呼ぶことができるサービス)登録の場合には、その後電話機45の応答により、本装置41と電話機45の通話状態になる。この時、通話路は、「本装置41−公衆網43間通話路」から「本装置41−電話機45間通話路」に変更される。本装置41内部では、受信される信号が「RBT→音声信号」と変化し、この変化をレベル監視部32及び周波数監視部33がそれぞれ検出し、上記(3)の処理と同様の処理が行われる。
(6)PBX44と電話機45がDID(ダイレクト・インダイヤル:公衆網から直接PBXの内線を呼ぶことができるサービス)登録の場合には、PBX44が応答した時点で、一時通話状態になり通話路が「本装置41−公衆網43間通話路」から「本装置41−PBX44間通話路」に変更される。
【0044】
PBX44からは、相手先内線番号のダイヤル入力を促すDT(ダイヤルトーン)またはガイダンスが本装置41に向かって送出される。DID登録は、公衆網から直接PBXの内線を呼ぶことができる点では上記(5)のDIL登録と同じであるが、PBX44がDTまたはガイダンスにより応答して一時通話状態となる点が異なる。
【0045】
本装置41内部では、受信される信号が「RBT→DT/ガイダンス」と変化し、この変化をレベル監視部32及び周波数監視部33がそれぞれ検出し、上記(3)の処理と同様の処理が行われる。
(7)その後、電話機45の応答により、本装置41と電話機45の通話状態になる。この時、通話路は、「本装置41−PBX44間通話路」から「本装置41−電話機45間通話路」に変更される。
【0046】
本装置41内部では、受信される信号が「RBT→音声信号」と変化し、この変化をレベル監視部32及び周波数監視部33がそれぞれ検出し、上記(3)の処理と同様の処理が行われる。
【0047】
図2はリセット情報統合制御部31の統合制御を示すフローチャートである。本実施形態では、リセット情報統合制御部31を、図2に示す動作を所定時間毎に実行するプログラムされたコンピュータにより構成されたものとしているが、代わりに論理回路により構成してもよい。
【0048】
まず、ステップST1で初期リセット、または本フローによるリセットから所定時間内か否かを判別し、所定時間を経過したときはステップST2で通話開始から所定時間内か否かを判別する。このように、リセット直後、または通話開始直後は、状態が不安定であるため上記所定時間を経過するまでは以下の動作を開始しない。
【0049】
ここで、上記通話開始は、通信状態監視部22からの通話開始情報(呼情報)を基に判断する。通話開始後は通話中状態となり、その後、通話終了情報(呼終了)があってもリセットがあるまでは通話中状態を維持する。通話中状態にあるときには、レベル監視部32が回線の信号レベルの変動を検出し、周波数監視部33が回線の信号周波数を検出する。
【0050】
ステップST3では、レベル監視部32からのLV変動情報を基に信号レベルが所定の変動幅以上変動し、その状態が所定の時間以上継続したか否かを判別する。上記信号レベルが所定の時間以上継続したときは、通話路の変更等、通話状態の大幅な変化があり直ちにリセットの必要があると判断してステップST4でリセット信号を作成してエコーキャンセラ21に送出する。エコーキャンセラ21は、このリセット信号によりリセットされる。
【0051】
上記ステップST3で上記信号レベルが所定の時間以上継続しなかったときは、ステップST5で周波数監視部33からのFQ変動情報を基に周波数が所定の変動幅以上変動し、その状態が所定の時間以上継続したか否かを判別する。上記周波数変動が所定の時間以上継続しなかったときはリセットの必要がないと判断して本フローを終え通話中状態を継続する。
【0052】
一方、上記ステップST5で上記周波数変動が所定の時間以上継続したときはステップST6に進み、ステップST6でレベル監視部32からのLV変動情報を基に一定期間以上レベル変動がないか否かを判別する。一定期間レベル変動がないときはエコーキャンセラ21をリセットできる条件下にあると判断してステップST4でリセットを行う。レベルに変動があるときはリセットできる条件下にないと判断して本フローを終了する。
【0053】
すなわち、周波数の変動幅が所定値以上のときはステップST6で一定期間レベル変動がないことを確認した上で一定期間レベル変動がないときにリセットを行う。これは、周波数に変動があり、かつ一定期間レベルが固定している場合は、例えば音声信号に呼制御トーンが入った場合であるためで、この場合学習効果の継続性が期待できないので速やかにリセットを行って、新たな学習を開始する。一方、周波数に上記各変動があってもそれだけではリセットを行わず、一定期間レベル変動がないときに初めてリセットを行う。これは、周波数が変動して、かつレベルも変動するのが人の音声であるという事実に基づき、このような周波数とレベルが共に変動する場合(例えば、話者の声色が変わった場合)には、リセットを行わないようにして学習結果を保存し学習を継続する。
【0054】
以上説明したように、実施形態に係るエコーキャンセラの制御装置30は、エコーを消去するためのエコーキャンセラ21と、通話制御を行う装置が管理している呼状態に基づいて、新たな通話が開始されたことを監視する通信状態監視部22と、呼情報を基にエコーキャンセラをリセットするエコーキャンセラリセット制御部23と、通話回線の信号レベルを監視し、レベル情報を生成するレベル監視部32と、通話回線の信号周波数を監視し、周波数情報を生成する周波数監視部33と、レベル監視部32及び周波数監視部33からの情報とエコーキャンセラリセット制御部23からのリセット信号を基に総合的に判断し、最適なタイミングでリセット信号を作成してエコーキャンセラ21を制御するリセット情報統合制御部31とを備えて構成したので、本体装置からの呼情報だけでは分からなかった通話路の変化を検出することができ、通話路の変化後のエコーキャンセル状態安定化の遅れを防止することができる。
【0055】
具体的には、以下のような効果(1)〜(6)を得ることができる。
(1)本体装置の呼制御回路では判別できなかった通話路の変化を検出することができる。
(2)通話路変化に即応したエコーキャンセラリセット信号を生成することができる。
(3)網の接続構成に影響されず、安定したエコーキャンセル状態を提供できる。
(4)受話器を床に落下し過大音量の信号が入った場合等のように、不慮の状態変化があった場合、この変化を検出してエコーキャンセラのリセットを行うことができる。すなわち、突発的な状態変化を検出して、直ちにエコーキャンセラをリセットできるので、影響を最小限に抑えることができる。
(5)通話状態における相手先の転送動作のように、本来、本装置側では通話路構成の状況が把握できないような場合でも、転送中のレベル/周波数変化を検出することにより、通話路の状況を検知することができる。
(6)通話路構成や接続パターン等の網構成、または使用場所による制限がないので、システム設計をより簡単に行うことができる。
【0056】
ここで、本実施形態では、レベル監視部32及び周波数監視部33からの情報を基に、最適なタイミングでリセット信号を作成してエコーキャンセラ21を制御するようにしているが、必要に応じてレベル監視部32または周波数監視部33の何れか一方のみを設ける構成であってもよい。このように、何れか一方のみを設ける構成とすれば、コスト低減を図ることができる。
【0057】
回線の信号レベルの変動を監視する方法と、回線の信号周波数の変動を監視する方法には、通話状態の検出内容に違いがある。普通に話しているときは、レベル及び周波数も連続的に変化するため両者に違いはない。
【0058】
しかし、通話経路が変更された場合、例えば、経路が、オペレータから転送先の相手に切り替わった場合、音声の周波数は変わらないが信号レベルが大きく変動することがある。回線の信号レベルを監視するレベル監視部32は、このような音声信号の変化を適切に検出することができる。
【0059】
これに対し、通話中に同じレベルで違う周波数の音が割り込む場合、例えば内線の呼び出し音に割り込み音が入る場合、レベルは変わらないが周波数が別の周波数に変化する。回線の信号周波数を監視する周波数監視部33は、このような周波数の変化を検出することができる。
【0060】
本実施形態では、レベル監視部32と周波数監視部33とを両方設置しているので、上記何れの場合でも通話状態の変動を適切に検出してリセットをかけることが可能になる。
【0061】
また、本実施形態では、レベル変動と周波数変動とを検出して単にリセットをかけるのではなく、図2で説明したようにリセット情報統合制御部31の統合制御によって、レベル変動処理と周波数変動処理とを組み合わせることにより最適なリセットを行うことができる。例えば、図2の例では、レベルの変動幅が所定値以上のときは、通話状態の大幅な変化があったとして直ちにリセットを行う一方で、周波数に変動があっても一定期間レベル変動がないときに初めてリセットを行うようにする。これによって学習機能をできるだけ活かしながら適切なタイミングでリセットを行うことが可能になる。なお、図2の統合制御は、一例であり、どのような制御方法でもよい。
【0062】
また、本実施形態に係るエコーキャンセラの制御装置を、例えばハンズフリー電話装置に適用することもできるが、勿論これには限定されず、エコーキャンセラの制御装置であれば全ての装置に適用可能である。
【0063】
また、本実施形態では、回線からのレベル/周波数が、あらかじめ設定された変動幅を超え、その状態が所定時間以上継続した時、レベル/周波数情報を生成するようにしているが、ネットワークの状況により上記変動幅の設定値を変えたり、上記継続時間を可変にしたりしてもよい。
【0064】
さらに、上記制御装置を構成する各回路部等の種類、数及び接続方法などは前述した実施形態に限られない。
【0065】
【発明の効果】
本発明に係るエコーキャンセラの制御装置では、エコーを消去するためのエコーキャンセラと、通話制御を行う装置が管理している呼状態に基づいて、新たな通話が開始されたことを監視する通信状態監視手段と、通信状態監視手段からの情報に基づいて前記エコーキャンセラをリセットするためのリセット信号を発生するリセット信号発生手段と、回線の信号周波数を監視し、周波数情報を生成する周波数監視手段と、リセット信号発生手段からのリセット信号又は周波数監視手段からの情報に基づいてエコーキャンセラを制御する制御手段と、回線の信号レベルを監視し、レベル情報を生成するレベル監視手段とを備えて構成したので、通話中に割り込みがあった場合に通話状態の変化を検出して通話状態の変化に即したリセット信号を生成することができ、網の接続構成に影響されず、安定したエコーキャンセル状態を実現することができる。
【0066】
本発明に係るエコーキャンセラの制御装置では、回線の信号周波数を監視し、周波数情報を生成する周波数監視手段と、リセット信号発生手段からのリセット信号又は周波数監視手段からの情報に基づいてエコーキャンセラを制御する制御手段とを備えて構成したので、通話中に割り込みがあった場合に通話状態の変化を検出して通話状態の変化に即したリセット信号を生成することができ、網の接続構成に影響されず、安定したエコーキャンセル状態を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施形態に係るエコーキャンセラの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記エコーキャンセラの制御装置のリセット情報統合制御部の統合制御を示すフローチャートである。
【図3】従来の通話回線のエコー発生箇所について説明するための図である。
【図4】従来のエコーキャンセラの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】従来の通話路の接続パターンを示す図である。
【符号の説明】
21 エコーキャンセラ、22 通信状態監視部(通信状態監視手段)、23エコーキャンセラリセット制御部(リセット信号発生手段)、30 エコーキャンセラの制御装置、31 リセット情報統合制御部(制御手段)、32 レベル監視部(レベル監視手段)、33 周波数監視部(周波数監視手段)、34 通話回線

Claims (1)

  1. エコーを消去するためのエコーキャンセラと、
    通話制御を行う装置が管理している呼状態に基づいて、新たな通話が開始されたことを監視する通信状態監視手段と、
    前記通信状態監視手段からの情報に基づいて前記エコーキャンセラをリセットするためのリセット信号を発生するリセット信号発生手段と、
    回線の信号周波数を監視し、周波数情報を生成する周波数監視手段と、
    前記リセット信号発生手段からのリセット信号又は前記周波数監視手段からの情報に基づいてエコーキャンセラを制御する制御手段と、
    回線の信号レベルを監視し、レベル情報を生成するレベル監視手段と
    を備え、
    前記制御手段は、前記周波数が所定の変動幅以上変動し、その後前記信号レベルが所定の期間略一定の値を保ったときに前記エコーキャンセラのリセットを行う
    ことを特徴とするエコーキャンセラの制御装置。
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