JP3582325B2 - 水田作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、田植機等の水田作業機に設けられる線引きマーカの制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は長方形に区画された圃場に田植機で苗植付を行う場合における作業順序の一例を表している。まず、出入口を通って道路から圃場内に田植機1を乗り入れ、畦際を圃場の奥まで空走行で移動する。そして、道路と平行に機体を進行させながら苗を植え付け、圃場の端に到達したなら機体を180度旋回させ、今度は逆向きに走行しながら苗を植え付ける。このように圃場の端と端を往復しての苗植付Aを道路側の畦際まで行う。次いで、圃場端部の機体旋回部分、いわゆる枕地B1,B2に苗を植え付ける。片側の枕地B1に苗を植え付けたなら、往復植付時に1行程分だけ苗を植え残してあった部分A′に苗を植え付けながら反対側の枕地B2へ移動し、その枕地に苗を植え付けながら出入口まで戻り、道路へ脱出する。このような順序で苗を植え付けると、空走行する区間が少なく効率的に苗植付作業を行える。
【0003】
田植機1は、上記往復して苗植付を行うときに次行程で機体の左右中心が通る位置を表土面に線引きする線引きマーカ80,80を備えている。この線引きマーカは機体の左右両側に起立・転倒切替可能に設けられており、次行程側の線引きマーカをその先端部が表土面に接するように転倒させ、その転倒した線引きマーカの先端部で表土面を引っ掻いて線を引くようになっている。次行程で苗植付作業を行う時に、この線引き跡を機体の左右中心が通るように機体を進行させると、各行程の苗植付条が平行に仕上がる。
【0004】
また、前記植え残し部分A′を作るには、図9に示すように、左右両側の線引きマーカ80,80を転倒させ、片方の線引きマーカで次行程の線引きを行いながら、もう一方の線引きマーカの先端を前行程で付けられた線引き跡に沿わせて機体を進行させる。この場合、オペレータがハンドル操作を行いながら線引きマーカを容易に目視できるように、線引きマーカを走行車体の座席より前側の位置に設けておく必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
線引きマーカが走行車体に設けられていると、耕盤の凹凸等により機体が左右に傾斜した場合、転倒している線引きマーカの先端が表土面から浮き上がってしまい、線が引かれないことがある。或は逆に、線引きマーカの先端が表土に強く押し付けられることにより、線引きマーカに表土中の夾雑物が引っ掛かり、表土面に明瞭に線が引かれないということもある。本発明は、このような事態を防止し、機体が左右に傾斜しても、常に線引きマーカで正確に線が引かれるようにすることを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成とした。すなわち、本発明にかかる水田作業機は、機体を進行させながら圃場に農作業を行う水田作業機において、機体の進行に伴って次行程で機体が通る位置を表示するため表土面に線引きする線引きマーカを機体に設けるとともに、該線引きマーカを表土面に対して上下調節する上下調節手段と、機体の左右傾斜を検出する検出手段と、前記線引きマーカの表土面に対する高さが一定になるように、前記検出手段の検出結果に応じて前記上下調節手段を作動させる制御手段とを設けたことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、好ましい実施の形態として図面に表されている田植機について説明するが、施肥機や薬剤散布機等の他の水田作業機についても本発明が適用できる。
【0008】
図1〜図7に図示する田植機1は、乗用走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して8条植えの苗植付部4を昇降可能に装着すると共に、苗植付部4側に肥料吐出口を設けた施肥装置5の本体部が乗用走行車体2の後部に装着してあり、全体で8条植え乗用施肥田植機として構成されている。
【0009】
走行車体2は、機体の前部にミッションケース10が配設されており、その左右側方に設けた前輪ファイナルケース11,11から外向きに突出する前輪車軸に前輪12,12が取り付けられている。また、ミッションケース10の背面部から後方に延びるメインフレーム14の後端部に、前後方向のローリング軸15によって左右の後輪ギヤケース16,16がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケースの外側部から横向きに突出する後輪車軸に主後輪17,17及び補助後輪18,18が取り付けられている。
【0010】
メインフレーム14の上にエンジン20が搭載され、該エンジンの上方を覆うエンジンカバー21の上に座席22が設置されている。座席22の前方には、前輪12,12を操向操作するハンドル23が設けられている。また、座席22とハンドル23の周辺部には、各種レバー、ペダル類、内部に後記コントローラ97を内蔵した制御ボックス25等が設けられている。26はメインステップ、27は補助ステップで、これらステップの上をオペレータが移動できるようになっている。なお、メインステップ26及び補助ステップ27,27の後部は、主後輪17,17及び補助後輪18,18と干渉しないように高くなっている。また、28は、機体左右側からステップ上に乗り降りするときに使用する足掛けである。
【0011】
昇降リンク装置3は、メインフレーム14の後端部に固定して設けたリンクベース30に回動自在に取り付けられた上リンク31及び下リンク32,32を備え、これら上下リンクの後端部に縦リンク33が連結されている。そして、縦リンク33の下端部から後方に突出する軸受部に苗植付部側に固着した連結軸34が回転自在に挿入連結されている。メインフレーム14に固着の支持部材に基部が枢支された昇降油圧シリンダ36のピストンロッドが上リンク31と一体に設けたスイングアーム37の下端部に連結されており、この昇降油圧シリンダ36を伸縮させると、昇降リンク装置3が昇降作動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0012】
苗植付部4は、植付伝動軸40を介して走行車体側の動力が伝達される伝動ケース41aと、左右並列に配置した4個の植付伝動フレーム41b,…と、伝動ケース41aと植付伝動フレーム41b,…を連結する連結パイプ41c,…とで苗植付部フレーム41を構成し、この苗植付部フレーム41の上側に苗載台42が設けられ、また各植付伝動フレーム41b,…の後端部左右両側に計8組の植付装置43,…が設けられている。
【0013】
苗載台42は、植付伝動フレーム41b,…に固定した支持レール45と、左右両端の植付伝動フレーム41b,41bに基部が固着された苗載台支持フレーム46の上部に取り付けたローラ47,…とによって左右に摺動自在に支持されており、伝動ケース41a内の横送り機構によって左右に往復動するようになっている。この左右往復動により、台上の最下段に位置する苗が支持レール45と一体の苗受枠に形成された苗取出口45a,…に一株づつ供給される。その苗取出口45a,…に供給された苗を植付装置43,…が圃場に植付ける。苗載台42が左右行程の端部まで移動して最下段の苗が全て植付けられると、苗送りベルト48,…が作動して、台上の苗を1段分だけ下方へ移送する。
【0014】
伝動ケース41aに入力された動力は、連結パイプ41c,…と植付伝動フレーム41b,…内の伝動手段によって植付装置43,…へ伝達される。この伝動経路中には、植付装置43,…の作動及び停止を隣接する2条づつの単位で切り替えるクラッチ50,…が設けられている。このクラッチ50,…は、畦際での作業時に「切」に操作されることが多いことから、通常「畦クラッチ」と呼んでいる。畦クラッチ50,…の入・切操作は、苗載台支持フレーム46の上部に設けた畦クラッチレバー51,…で行う。
【0015】
苗植付部4の下部には、センタフロート53,53とサイドフロート54,54の計4個の整地用フロートが設けられている。これらフロートを圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロートが泥面を整地しつつ滑走する。そして、その整地跡に苗が植えられる。
【0016】
苗植付部4は、前記連結軸34を中心にローリング自在になっている。そして、前記縦リンク33にはローリング中心軸60を支点にして回動自在にローリングアーム61が設けられおり、そのローリングアーム61と苗載台フレーム46とがローリングスプリング62,62で結ばれ、苗植付部4が弾力的に左右中立位置に保持されている。また、苗載台42とローリングアーム61とがバランススプリング63,63で結ばれ、苗植付部4が左右傾斜した場合でも苗載台42の左右のバランスが保たれるようにしている。ローリングアーム61の下部には扇形ギヤ65が形成され、該扇形ギヤにピニオン66が噛合している。ローリングモータ67でピニオン66を回転させると、ローリングアーム61が回動し、ローリングスプリング62,62を介して苗植付部4の左右傾斜が調節される。
【0017】
なお、苗載台42の左右外側1条分づつが上側に折り畳めると共に、支持レール45の左右端部が上側に折り曲げられるように構成されており、運搬時や格納時に苗植付部4の左右幅を縮小させることができる。
【0018】
施肥装置5は、走行車体1の後部上側に肥料タンク70,70と肥料繰出器71,…を設けると共に、各フロート53,53,54,54の左右両側に作溝具72,…と施肥ガイド73,…を設け、各条の肥料繰出器71,…と施肥ガイド73,…をフレキシブルな施肥ホース74,…で結んであり、肥料ホッパ70,70内の肥料を肥料繰出器71,…によって一定量づつ施肥ホース74,…内に繰り出し、その肥料をブロア75で発生させた圧風によって施肥ガイド73,…へ搬送し、作溝具72,…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥用の溝に落とし込むようになっている。
【0019】
走行車体2の左右両側には、次行程で機体の左右中心が通る位置を表土面に線引きする線引きマーカ80,80が設けられている。この線引きマーカ80は、前後方向の回動軸81を支点にして回動自在なマーカアーム82の先端部に線引き作用部83を直角に取り付けてなり、線引き作用部83の先端が接地するように転倒した作用位置と、マーカアーム82がほぼ垂直に起立した非作用位置と、該非作用位置よりも内側に位置する収納位置とに回動させられるようになっている。84は線引きマーカを回動させる回動用モータで、その出力軸に取り付けたピニオン84aとマーカアーム82の基部に取り付けた扇形ギヤ84bとが噛み合っている。また、線引き作用部83はその軸心方向に摺動自在にマーカアーム82に取り付けられており、作用位置における線引き作用部83の先端部の位置を上下調節できるようになっている。85は線引き作用部を上下動させる上下動用モータで、その出力軸に取り付けたプーリ85aに巻き掛けたワイヤ85bの端部が線引き作用部83に止着されている。また、86は線引き作用部83を先端がマーカアーム82に対し突出する側に付勢するスプリング86である。
【0020】
線引きマーカ80を作用位置に転倒させた状態で機体を進行させると、その線引き作用部83が表土面を引っ掻いて線を引く。次行程では、この線引き跡とセンターマスコット87が視覚上で合致するようにハンドル操作を行いながら機体を進行させる。
【0021】
線引きマーカ80,80を支持する支持部材88,88は、メインステップ26及び補助ステップ27,27を支えるステー89に水平面内で回動自在に取り付けられている。このため、運搬時や格納時には、支持部材88,88ごと線引きマーカ80,80を後方に回動させて、走行車体2の左右幅を縮小させることができる。
【0022】
線引きマーカの作動を制御する線引きマーカ制御装置は図7に示すように構成されている。すなわち、自動制御と手動制御を切り替える自動・手動切替スイッチ91、手動制御のための手動レバー92、苗植付部昇降用のフィンガアップレバー93、線引きマーカの位置を検出するマーカ角度センサ94L,94R、機体の左右傾斜を検出する検出手段である左右傾斜センサ95、畦クラッチ50,…の入・切状態を検出する畦クラッチセンサ96,…が制御手段であるコントローラ97の入力側に接続され、コントローラ97の出力側にリレー回路98L,98Rを介して回動用モータ84L,84R及び上下動用モータ85L,85Rが接続されている。コントローラ97は下記の各制御を行う。
【0023】
自動・手動切替スイッチ91が「手動」である時は、手動レバー92の操作位置に基づいて回動用モータ84L,84Rに出力信号が出される。手動レバー92は中立を起点にして十字に操作するようになっており、左右いずれかに操作するとその側の線引きマーカ80のみが作用位置に転倒し、後方に操作すると左右両方の線引きマーカ80,80が作用位置に転倒し、前方に操作すると左右両方の線引きマーカ80,80が収納位置へ回動するように回動用モータ84L,84Rが駆動する。
【0024】
左右片側の線引きマーカ80が作用位置に転倒した状態で自動・手動切替スイッチ91が「自動」になっている時は、圃場端部での機体旋回時にフィンガアップレバー93を「苗植付部上げ」に操作すると、転倒していた線引きマーカ80が非作用位置に起立し、旋回を終了してフィンガアップレバー93を「苗植付部下げ」に操作すると、前行程と逆側の線引きマーカ80が作用位置に転倒するように回動用モータ84L,84Rが駆動する。これにより、図8におけるAの範囲で往復して苗植付を行うとき、次行程における機体の左右中心位置を表土面に線引きするように、線引きマーカ80,80の起立及び転倒が自動的に行われる。なお、フィンガアップレバー93で苗植付部4を非作業位置に上昇させると苗植付部4と施肥装置5の駆動が停止し、フィンガアップレバー93で苗植付部4を作業位置に下降させると苗植付部4と施肥装置5が駆動する。
【0025】
上記自動制御時には、左右傾斜センサ95の検出結果に応じて、作用位置にある線引きマーカ80の線引き作用部83の先端部が常に表土面に接するように上下動用モータ85L或は85Rを駆動する。これにより、図4に示すように片方の車輪(前輪)12が表土面の凹部に落ち込んで機体が左右に傾斜した場合でも、線引き作用部83の先端部が表土面から浮き上がったり、逆に線引き作用部83が表土に強く押し付けられたりすることがなく、常に適正な位置に保たれる。
【0026】
この線引きマーカ制御装置では、上下動用モータ85L,85Rを線引き作用部の上下調節手段としているが、回動用モータ84L,84Rを上下調節手段とし、図5に示すように、回動用モータ84L,84Rで線引きマーカ80を全体を回動させることにより、線引き作用部83の先端部が常に表土面に接するように制御してもよい。
【0027】
また、畦クラッチセンサ96,…の検出結果より、いずれかの畦クラッチ50が「切」になっていることが判明した時には、非作用側の線引きマーカ80を収納位置まで回動させるように回動用モータ84L,84Rが駆動する。畦クラッチ50が「切」になっている時は、畦際で苗植付けを行っている場合であり、畦のすぐ横に障害物がある可能性があるので、非作用側の線引きマーカ80がこの障害物に当たることを防止するために上記のように制御するのである。
【0028】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明にかかる水田作業機は、機体が左右に傾斜すると、それに応じて線引きマーカが表土面に対して昇降し、線引きマーカの線引き作用部が表土面に対し常に適正な高さに保持されるので、線引きマーカが表土から浮き上がって線を引かなかったり、或は逆に、線引きマーカが表土に強く押し付けられることがなく、常に正確に線が引かれるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の側面図である。
【図2】田植機の平面図である。
【図3】機体が水平な状態を表す田植機の正面図である。
【図4】機体が左右に傾斜した状態を表す田植機の正面図である。
【図5】機体が左右に傾斜した状態を表す図4と異なる構成の田植機の正面図である。
【図6】苗植付部の正面図である。
【図7】線引きマーカ制御装置のブロック図である。
【図8】苗植付の作業順序を表す図である。
【図9】苗植付作業中の一状態を表す図である。
【符号の説明】
1 田植機(水田作業機)
2 走行車体
3 昇降リンク装置
4 苗植付部
5 施肥装置
80 線引きマーカ
82 マーカアーム
83 線引き作用部
84 回動用モータ
85 上下動用モータ(上下調節手段)
91 自動・手動切替スイッチ
92 手動レバー
93 フィンガアップレバー
94 マーカ角度センサ
95 左右傾斜センサ(左右傾斜検出手段)
96 畦クラッチセンサ
97 コントローラ(制御手段)
Claims (1)
- 機体を進行させながら圃場に農作業を行う水田作業機において、機体の進行に伴って次行程で機体が通る位置を表示するため表土面に線引きする線引きマーカを機体に設けるとともに、該線引きマーカを表土面に対して上下調節する上下調節手段と、機体の左右傾斜を検出する検出手段と、前記線引きマーカの表土面に対する高さが一定になるように、前記検出手段の検出結果に応じて前記上下調節手段を作動させる制御手段とを設けたことを特徴とする水田作業機。
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