JP3583709B2 - 半導体レーザモジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として光通信に用いられる半導体レーザモジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インターネットの急速な普及に代表されるように、近年、加入者系やデータ通信分野においてトラヒックが急激に増大している。それに対応するため、これらの分野に光ファイバを用いた光通信方式が採用され始めている。現在、加入者系では155Mb/s、データ通信市場では1Gb/s程度までの高速光通信が実用化され、将来的には10Gb/s程度の高速光通信方式が必要になると予想されている。
【0003】
こうした要求に対応するため、発明者らは特願2000−000828において、10Gb/s以上の高速変調が可能で、低コストな半導体レーザモジュールを提案した。
【0004】
前記モジュールは、1)底面部に露出した金属部材を有している、2)モジュールの底面から水平にピンが取り出されている、3)信号線のピンと隣り合うピンとがコプレーナ線路構造となるように設定してある、ことを特徴とするものである。
【0005】
そして、1)の構成により、かかる金属材料を通して半導体レーザダイオードでの発熱を放熱でき、電気的にもグランド(接地)電位を安定化できるので電気的特性も良くなる、また、2)の構成により、表面実装が可能となり、モジュールの実装が簡便になる、さらに、3)の構成により、信号線のピン幅、隣のピンとのピン間隔を調整することによってプリント基板に対し任意の特性インピーダンスを有する高周波伝送線路を構成でき、10Gb/s以上の高速信号に対しても、反射特性、透過特性に優れた配線をすることが可能となる、という効果があった。
【0006】
特願2000−000828にかかる半導体レーザモジュールの光軸を含む断面図を図7に示す。同図において、1はパッケージケース、3はパッケージケース1を構成するフレーム部、4は同様にパッケージケース1を構成する金属ベース、5はキャップ、6はシールリング、7はレンズ、8はレンズホルダ、9は光アイソレータ、10はスライドリング、11はフェルール、12はセラミックキャピラリ、13は光ファイバ、14は金属サブキャリア、19はテラス面、20はヒートシンク、21はレーザダイオードチップ、22はフォトダイオード用サブキャリア、23はフォトダイオードである。
【0007】
また、図8はパッケージ内部の構造及び高周波信号の伝送路が分かるようにキャップ5をはずし、パッケージケース1の一部を切り欠いた状態で示した斜視図である。ここでは本来搭載されるべきモニタ用のフォトダイオードやモジュール内部の温度をモニタするためのサーミスタは省略して示している。ここで、24はアルミナ等の誘電体上に高周波信号を伝送するためのメタライズパタンを施した配線板、25は薄膜抵抗、101〜108はピン、109はテラス面からパッケージ底面までを貫通するビアホールである。
【0008】
図7から分かるように、パッケージの底面は金属ベース4からなっており、その上に金属サブキャリア14、ヒートシンク20を介してレーザダイオードチップ21が搭載されている。
【0009】
実装の手順は、図6のa)に示すように、まずレーザダイオードチップ21をヒートシンク20にハンダにより搭載し(1)、次にこれらを金属ブロックからなる金属サブキャリア14にハンダにより固定する(2)。さらにこれらを金属ベース4にハンダにより固定する(3)。この固定の際に、後に述べるように第1回目の調芯を行う。
【0010】
次に、レーザダイオードチップ21に高周波信号を入力するための配線板24を、図8から分かるように、金属サブキャリア14とパッケージのテラス面19とが橋渡しで接続されるように銀ペーストで搭載する(4)。次に、図8から分かるように、配線板24とビアホールパタン部、並びにレーザダイオードチップ21と配線板24をそれぞれリボンワイヤ110,111で接続する。
【0011】
その後、図7から分かるように、フォトダイオード用サブキャリア22に搭載したフォトダイオード23を金属サブキャリア14にハンダにより固定し、さらにアイソレータ9及びフェルール11が一体化された光ファイバ13と、スライドリング10とをYAG溶接により固定することにより、モジュールが完成する。即ち、レーザダイオードチップ21からの出射ビームが、パッケージケース1に固定されたレンズ7により集光される位置に光ファイバ13の端面が来るようにスライドリング10に対してフェルール11をYAG溶接によって固定し、かつスライドリング10をレンズホルダ8にYAG溶接によって固定し(第2回目の調芯)、モジュールが完成する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記特願2000−00828に示した例では、レーザダイオードの出射面の高さは、金属ベース4、金属サブキャリア14、ヒートシンク20及びレーザダイオードチップ21の厚さの和と、これらを接続するために用いるハンダの盛り量とで決まる。従って、それぞれの部品に製造誤差が生じた場合やハンダの量がばらついた場合、それらが出射面の高さのばらつき、ひいては半導体レーザモジュールの光出力のばらつきとして現れてくる。特に、金属ベース4に金属サブキャリア14を固定する際に用いるハンダの量が多いため、出射面の高さのばらつきの大きな要因となっていた。
【0013】
このため、金属サブキャリア14を金属ベース4にハンダ固定する際に第1回目の調芯を行い、パッケージに固定されたレンズに対して光結合が最適となる位置に固定する必要があった。即ち、レーザダイオードチップ21に直流電流を流して発光させ(アクティブアライメント)、レンズの対向する位置に仮置きした光ファイバへの入力強度が最大となるように、金属サブキャリア14を押しつける強度を調整し、ハンダのはみ出しによる高さの微調整をしながら固定する必要があった。
【0014】
さらに光ファイバ13を固定する際にも、同様にレーザダイオードチップ21を発光させながら、フェルール11及びスライドリング10を溶接する必要があるため、実装時間がかかるという問題があった。
【0015】
また、従来のモジュールでは、金属サブキャリア14及び配線板24を介して高周波信号をピン107から入力しないとレーザダイオードチップ21の高周波特性が測定できない。従って、その段階で不良と判定された場合、ヒートシンク、金属サブキャリア及びパッケージケースが無駄となるため、コストダメージが大きかった。
【0016】
このような状況を鑑み、本発明では、実装時間を短縮でき、また、レーザダイオードチップが不良の場合でもコストダメージの小さい半導体レーザモジュールを実現することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体レーザモジュールは、レーザダイオードチップを収納するパッケージケースに、少なくとも前記レーザダイオードチップに電気信号を入力するためのピンと、前記レーザダイオードチップに光結合する光ファイバと、前記レーザダイオードチップと前記光ファイバとを光結合するための光学系とが取り付けられてなる半導体レーザモジュールにおいて、前記パッケージケースはレーザダイオードチップを搭載する金属製のベース部と、該ベース部の周囲に立設されてレーザダイオードチップの周辺部を包囲するフレーム部とで構成され、前記レーザダイオードチップは非金属のヒートシンクを介して前記ベース部に固定され、前記ベース部の前記レーザダイオードチップの搭載部の高さは該搭載部に前記レーザダイオードチップとともに搭載されるヒートシンクの上面の高さが前記フレーム部に設けられたテラス面と略同一の高さになるように設定され、前記ヒートシンクの大きさは前記搭載部からはみ出さない大きさに設定され、前記フレーム部の内側面には前記テラス面に連続するパタンが設けられ、さらに前記ベース部の側面と前記フレーム部の内側面とが接触していることを特徴とする。
【0018】
前記ベース部を構成する金属は熱伝導性の良いCuWまたはCuMoであることが好ましく、また、前記フレーム部は低コスト化に有利なセラミックで形成されていることが望ましい。
【0019】
また、前記ヒートシンクは誘電体、特に熱伝導率の大きい窒化アルミニウムを主成分とするセラミックであって、前記ベース部と導通するための接地電極用貫通穴及び前記レーザダイオードチップへ高周波信号を入力するためのパタンを有していることが望ましい。
【0020】
さらに、前記レーザダイオードチップを前記光ファイバの光軸方向より高周波信号を入力するためのピン側に寄せて搭載するとともに、前記光ファイバをその斜めに研磨された端面が前記ベース部の上面と直交しかつ高周波信号を入力するためのピンの反対側に向くように配置することが望ましい。
【0021】
ここで、前記光学系は、これを構成するレンズが、前記フレーム部の一部に設けられた開口部にハンダまたは金属のレンズホルダにより固定されているか、もしくは前記ベース部に形成されたV字型またはU字型の溝に固定されているのが好ましい。
【0022】
本発明によれば、レーザダイオードの出射面の高さは、ベース部、ヒートシンク及びレーザダイオードチップの厚さの和と、これらを接続するために用いるハンダの盛り量とで決まるが、従来例で述べた金属サブキャリアとこれを金属ベースに固定するのに必要な多量のハンダが不要となるので、従来例で必須であったアクティブアライメントによる第1回目の調芯工程を簡略化することが可能となるという利点が生じる。
【0023】
即ち、上述した多量のハンダが不要となることにより、出射面の高さのばらつきを従来例に比べて大幅に低減することができるため、第1回目の調芯工程を画像認識処理技術によるパッシブアライメントだけで済ませ、高さのばらつきを第2回目の調芯により補償することにより、実装時簡を短縮することが可能となる。
【0024】
また、ベース部のチップ搭載部の高さを、レーザダイオードチップとともに搭載されるヒートシンクの上面の高さがフレーム部に設けられたテラス面と略同一の高さになるように設定し、ヒートシンクの大きさを搭載部からはみ出さない大きさに設定することにより、レーザダイオードチップとパタンとを接続するリボンワイヤを短くでき、高周波特性の劣化を低減でき、また、フレーム部の内側面にテラス面に連続するパタンを設けてベース部の側面とフレーム部の内側面とを接触させたことにより、電気力線の接地電位部へのなめらかな終端が可能となる。
【0025】
また、ヒートシンクに、ベース部と導通するための接地電極用貫通穴及び高周波信号を入力するためのパタンを設けたことにより、レーザダイオードチップの高周波特性を、パッケージケースに搭載する前の、ヒートシンクに搭載した段階で評価できるので、従来例のように、チップが不良であってもパッケージケースを無駄にすることが無くなり、コストダメージの小さい半導体レーザモジュールが実現できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態により詳細に説明する。
【0027】
図1ないし図3は本発明の半導体レーザモジュールの第1の実施の形態を示しており、図1は光軸を含む断面図、図2はキャップを取り外した状態の平面図、図3は図2のX−X’線平面図である。この実施の形態は、レーザダイオードチップで発光した光を変調して光ファイバに伝送する半導体レーザモジュールの例を示している。なお、図中、従来例と同一構成部分は同一符号をもって表している。
【0028】
パッケージケース1aは金属製のベース部2とその周辺部に沿って枠状に設けられたフレーム部3とから成っている。ベース部2は、熱伝導性の良いCuWまたはCuMo等で形成され、フレーム部3はアルミナ(Al2O3)などのセラミックで構成されている。
【0029】
また、前記フレーム部3の一つの側面には、予めレンズホルダ8に固定されたレンズ7が、フレーム部3の開口部(くり抜き部分)に装着されている。かかるレンズホルダ8は円筒状の金属筒であって、筒内にはレンズが内挿され、固定されている。さらに、前記フレーム部3の上面には、シールリング6がメタライズ膜によって形成されており、キャップ5をシーム溶接することにより、パッケージケース1a内が気密封止される。
【0030】
一方、前記ベース部2は、図1から分かるように凸型形状をしており、かかる凸部(レーザダイオードチップの搭載部)にヒートシンク20aが搭載され、さらにヒートシンク20a上にレーザダイオードチップ21、サーミスタ26が搭載される。ここで、ヒートシンク20aは、レーザダイオードチップ21で発生する熱を効率良くベース部2に逃がすためのもので、熱伝導率の大きい窒化アルミニウム(AlN)の誘電体等が用いられる。
【0031】
さらにヒートシンク20aの上面には、レーザダイオードチップ21に高周波信号を伝送するための電極パタンと、サーミスタ搭載用の電極パタンとが設けられている。
【0032】
かかる高周波信号伝送用のパタンとしては、例えば接地(グランド)電極付きコプレーナ(共平面)伝送線路が用いられ、特性インピーダンスが50Ωとなるよう設計される。レーザダイオードチップ21の抵抗は5Ω程度であるので、45Ωの薄膜抵抗をコプレーナ線路(線状電極パタン)に直列に設けておけば、モジュールの外から入力される50Ω系の高周波信号に対してインピーダンス整合させることができる。
【0033】
レーザダイオードチップ21はその下側電極を介して、接地電極付きコプレーナ線路を構成する前記線状電極パタンを囲む電極パタン(接地電極)上に搭載される。また、ヒートシンク20aの下面には全面に亘って接地電極が設けられており、該接地電極と前記線状電極パタンを囲む接地電極パタンとは貫通穴(ビアホール)(図示せず)によって接続されている。
【0034】
このようにすると、ヒートシンク20aをベース部2にハンダ固定した際に、ベース部2の大きい金属部材を介して安定な接地電位を与えることができるため、電気的特性がよくなる外、レーザダイオードチップ21の発熱を効率良く放熱できるようになる。
【0035】
一方、レーザダイオードチップ21に対してレンズ7と反対側のベース部2上にフォトダイオード用サブキャリア22aが搭載され、このサブキャリア22a上に、レーザダイオードチップ21から出力されるモニタ光を受光するためのフォトダイオード23が搭載されている。また、レーザダイオードチップ21にバイアス電流を印加する際のチョーク用コイルとして用いるためのチップインダクタ27がテラス面19に搭載されている。
【0036】
ここで、パッケージケース1aの高さは5mm前後であり、また光ファイバ13はパッケージのほぼ中央の高さの位置に取り付けられるので、レーザダイオードチップ21と光ファイバ13とが光結合する出射面の高さはモジュール底面から約2.5mmの位置にある。レーザダイオードチップ21は約0.1mmの厚さがあり、ヒートシンク20aは0.2mmの厚さであるので、ベース部2の厚さは2.2mm前後である。従って、ヒートシンク20aはベース部2に比べて十分薄いと見なし得る。
【0037】
次に、実装手順を示すことにより、本発明の進歩性を述べる。
【0038】
図6のb)は本発明にかかる半導体レーザモジュールの実装のうち、レーザダイオードチップ21をパッケージケース1aに搭載するまでの手順を示したものである。
【0039】
まず、レーザダイオードチップ21をヒートシンク20aにハンダにより搭載する(1)。次に、これらをベース部2にハンダにより固定すれば良い(2)。図6のa)に示した従来例の場合と比較すれば明らかなように、本発明によれば、部品点数の削減とともに実装工程数が低減され、実装時間を短縮できる利点がある。
【0040】
さらに、既に述べたように、従来例で使っていた金属サブキャリアが不要となり、従って、これを金属ベースに固定するための多量のハンダが不要となったことにより、レーザダイオードチップ21の出射面の高さのばらつきが大幅に低減できるため、レーザダイオードチップ21の出射面の高さをレンズ7に対して最適位置に調整するための工程が、水平面内方向のアライメントを取るだけで済むようになるのが極めて大きな利点である。
【0041】
即ち、従来例では前述したアクティブアライメントが必要であったのに対し、本発明では、レーザダイオードチップ21の搭載されたヒートシンク20aを固定する際、レーザダイオードチップへの電流注入を行うことなく(パッシブアライメント)、パッケージケース1aの上方からベース部2付近をビデオカメラ等を用いて撮影し、周知の画像認識処理技術を用いてレンズ7の焦点位置にレーザダイオードチップ21が来るようにヒートシンク20aもしくはパッケージケース1aを移動させ、ハンダにより固定すれば十分である。
【0042】
かかるパッシブアライメントによる搭載精度は±3μm程度であるが、この程度の搭載ずれは、光ファイバ13をパッケージケース1aに固定する第2の調芯工程で十分補償し得る。従って、本発明によれば、従来例に比べて実装時間を大幅に短縮できる。
【0043】
また、レーザダイオードチップ21をヒートシンク20aに搭載し、リボンワイヤ111でレーザダイオードチップ21とヒートシンク20a上のコプレーナ線路とを接続した段階でプローブを用いることにより、レーザダイオードチップ21の高周波特性を評価できることも本発明の極めて大きな利点の一つである。この段階でチップの良否判定ができれば、パッケージケースを無駄することがなくなるので、コストダメージを低減することが可能となる。
【0044】
レーザダイオードチップ21をパッケージケース1aに搭載した後は、サーミスタ26をヒートシンク20aに搭載し、チップインダクタ27をテラス面19に搭載し、さらにフォトダイオード23を搭載したフォトダイオード用サブキャリア22aを搭載する。
【0045】
その後、所要のリボンワイヤによる電気的接続を行い、キャップ5をシーム溶接し、光ファイバを固定する。なお、フォトダイオード23の固定方法、並びにスライドリング10及びアイソレータ9と一体となった光ファイバ13をYAG溶接により固定する方法は従来例の場合と同様である。
【0046】
ここで、図3から分かるように、高周波信号は、ピン107からパッケージケース1aのフレーム部3の内部に設けられた特性インピーダンス50Ωのビアホール109を通り、テラス面19に到達した後、テラス面19に設けられた特性インピーダンス50Ωのコプレーナ線路に伝送され、さらにリボンワイヤ110、ヒートシンク20a上のコプレーナ線路、リボンワイヤ111を介してレーザダイオードチップ21に入力される。
【0047】
リボンワイヤの所では、インピーダンス整合条件がくずれるので、ワイヤの長さは極力短いのが望ましい。ヒートシンク20aの厚さは0.2mm程度であるので、テラス面19とヒートシンク20aの上面とがほぼ同一の高さとなるようにベース部2の厚さHを設定し、さらにヒートシンク20aの大きさをベース部2からはみ出さない、言い換えればテラス面19に乗り上げないように設定しておけば、リボンワイヤ110を短くできるため、高周波特性の劣化を低減することができる。
【0048】
また、この時、リボンワイヤ110のところで電気力線が滑らかに接地電位部に終端されるために、ベース部2の側面とフレーム部3の内側面30とを物理的に接触させ、かつ電気的に導通させることが極めて望ましい。このためには、例えばフレーム部3の内側面30にテラス面19に連続するメタライズパタンを設けてやれば良い。
【0049】
次に、請求項6に記載した発明について説明する。
【0050】
本モジュールでは、レーザダイオードの出射面の高さは、ベース部2、ヒートシンク20a及びレーザダイオードチップ21の高さの和で決まるため、それぞれに製造誤差が生じた場合、それらが出射面の高さのばらつきとして現れてくる。
【0051】
一方、こうした半導体レーザモジュールでは、光ファイバ端面の反射戻り光を低減させるため、ファイバ端面を8度程度斜めに加工するのが一般的である。この場合、光ファイバへの結合効率が最大となるための光の入射方向はスネルの法則で決まり、光軸方向に対し約3.6度ずれた方向である。
【0052】
ここで、もしモジュールの高さ方向においてファイバ端面が傾くように光ファイバ13を配置すると、レーザダイオードチップ21の出射面の高さのばらつきに加え、ファイバ端面の斜め研磨角度のばらつきがモジュールの結合効率のばらつきに影響するため、モジュールの製造歩留まりを悪化させてしまう。
【0053】
そこで本発明では、モジュールの水平(幅)方向においてファイバ端面が傾くように、言い換えればファイバ端面がベース部2の上面と直交するように光ファイバ13を配置することにより、かかるモジュールの製造歩留り低下を抑制することを提案する。
【0054】
さらにこの場合、ファイバ端面の向きとして2通りの向きがあり、これらに対応してレーザダイオードチップ21の最適搭載位置も2通りあるが、ファイバ端面を高周波信号を入力するピン107の反対側に向くように配置し、これに合わせてレンズ7及びレーザダイオードチップ21を光ファイバの光軸方向より高周波信号を入力するピン107側に寄せて搭載すると、他方の場合より高周波信号伝送用の線路長を短くできるので、レーザダイオードチップ21に入力される信号の波形劣化を低減することができる。
【0055】
図4及び図5は本発明の第2の実施の形態を示すもので、図4は光軸を含む断面図、図5はベース部の拡大斜視図である。なお、図中、第1の実施の形態と同一構成部分は同一符号をもって表している。
【0056】
本実施の形態では、レンズ7がベース部2aに形成されたV字型またはU字型の溝201に直接固定されているのが特徴である。即ち、第1の実施の形態では、レンズ7はレンズホルダ8を介して、フレーム部3のくり抜き部分に固定されているのに対し、第2の実施の形態では図5に示した構造のベース部2aを用い、U字型の溝201にレンズ7をUV接着剤等により固定する構造であるのが特徴である。
【0057】
第1の実施の形態の構造では、レーザダイオードチップ21が、金属からなるベース部2に搭載され、レンズ7がセラミックからなるフレーム部3に装着されているので、半導体レーザモジュールの周囲温度が変化した場合に、金属とセラミックとの熱膨張係数の差に起因して、レーザダイオードチップ21とレンズ7の高さ方向の位置が微妙にずれる。このため、結合効率が変化し、光出力特性に温度依存性をもたらす原因となる。
【0058】
一方、図4、図5に示した構造とすれば、レーザダイオードチップ21とレンズ7とが同一のベース部2aに固定されているので、熱膨張係数の違いに起因した周囲温度の違いによる結合効率の変化を小さくすることが可能となる。
【0059】
さらに第1の実施の形態では、従来例で必要であった金属サブキャリアを無くし、高さ方向の搭載精度を向上させることによってパッシブアライメントを可能としたものの、パッケージケース1aを製造する際に、ベース部2の高さHとレンズ7の高さ方向のばらつきをある既定値以内に収める必要がある。
【0060】
これに対し第2の実施の形態で示した構造では、レンズ7がパッケージケース1bには直接固定されないので、パッケージケース1bの製造時へのかかる要求条件が不要となり、パッケージケース1bの製造歩留りが向上するという利点を有する。
【0061】
第2の実施の形態では、レンズホルダ8が不要なので、スライドリング10をパッケージケースにYAG溶接にて固定するために、金属リング31をパッケージケース1bのフレーム部3aに予めハンダ固定しておく必要がある。それ以外の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0062】
以上2つの実施の形態で説明した半導体レーザモジュールは、ピン107を通して入力される信号がビアホール109、テラス面19上のコプレーナ線路、ヒートシンク20a上のコプレーナ線路を介してレーザダイオードチップ21に入力されると、レーザダイオードチップ21からは入力される電流強度に応じた発光強度が得られ、光強度変調されたレーザ光を発光する。
【0063】
発光したレーザ光は、レンズ7により光ファイバ13の端面に集光され、光ファイバ内に導入され、伝送される。また、レーザダイオードチップ21の反対側から出射されるモニタ光はフォトダイオード23により検出され、フォトダイオード23の検出出力を利用したフィードバック制御により前記レーザダイオードチップ21の発光基準レベルの調整が行われる。
【0064】
さらに前記レーザダイオードチップ21の発光動作に伴って生じる発熱に起因したパッケージケース1a,1b内での温度上昇がサーミスタ26により検出され、その検出出力を利用して、レーザダイオードチップ21での過熱を防止する温度制御回路を構成することが可能となる。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、第1回目の調芯工程をパッシブアライメントにより実現でき、実装時間を短縮することが可能となる。また、レーザダイオードチップとパタンとを接続するリボンワイヤを短くでき、電気力線の接地電位部へのなめらかな終端が可能となるので、電気的特性の向上を図ることができる。また、レーザダイオードチップの高周波特性をヒートシンクに搭載した段階で評価できるので、コストダメージの小さい半導体レーザモジュールを実現できる。従って、半導体レーザモジュールを安価に提供することが可能となり、将来の高速光通信方式を実現していく上で極めて有効である。
【0066】
なお、上記実施の形態では、特願2000−000828にかかるモジュール構成に基づいて本発明にかかるモジュールを示したが、本発明は上記実施の形態に限るものではない。即ち、例えばモジュールの底面から水平にピンが取り出されている必要はなく、従来のmini−DIL型モジュールのように、底面に垂直にピンが取り出されていても良い。要するに、本発明は、実施の形態に記した内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体レーザモジュールの第1の実施の形態を示す断面図
【図2】図1のモジュールのキャップを取り外した状態の平面図
【図3】図2のX−X’線平面図
【図4】本発明の半導体レーザモジュールの第2の実施の形態を示す断面図
【図5】図4のモジュールのベース部の拡大斜視図
【図6】本発明及び従来のモジュールにおけるレーザダイオードチップの実装手順を示す説明図
【図7】従来の半導体レーザモジュールの一例を示す断面図
【図8】図7に示したモジュールの一部省略斜視図
【符号の説明】
1,1a,1b:パッケージケース、2,2a:ベース部、3,3a:フレーム部、5:キャップ、6:シールリング、7:レンズ、8:レンズホルダ、9:光アイソレータ、10:スライドリング、11:フェルール、12:セラミックキャピラリ、13:光ファイバ、19:テラス部、20a:ヒートシンク、21:レーザダイオードチップ、22,22a:フォトダイオード用サブキャリア、23:フォトダイオード、26:サーミスタ、27:チップインダクタ、30:フレーム部の内側面、31:金属リング、101〜108:ピン、109:ビアホール、110,111:リボンワイヤ、201:溝。
Claims (8)
- レーザダイオードチップを収納するパッケージケースに、少なくとも前記レーザダイオードチップに電気信号を入力するためのピンと、前記レーザダイオードチップに光結合する光ファイバと、前記レーザダイオードチップと前記光ファイバとを光結合するための光学系とが取り付けられてなる半導体レーザモジュールにおいて、
前記パッケージケースはレーザダイオードチップを搭載する金属製のベース部と、該ベース部の周囲に立設されてレーザダイオードチップの周辺部を包囲するフレーム部とで構成され、
前記レーザダイオードチップは非金属のヒートシンクを介して前記ベース部に固定され、
前記ベース部の前記レーザダイオードチップの搭載部の高さは該搭載部に前記レーザダイオードチップとともに搭載されるヒートシンクの上面の高さが前記フレーム部に設けられたテラス面と略同一の高さになるように設定され、
前記ヒートシンクの大きさは前記搭載部からはみ出さない大きさに設定され、
前記フレーム部の内側面には前記テラス面に連続するパタンが設けられ、
さらに前記ベース部の側面と前記フレーム部の内側面とが接触している
ことを特徴とする半導体レーザモジュール。 - 前記ベース部を構成する金属はCuWまたはCuMoであることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザモジュール。
- 前記フレーム部はセラミックで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザモジュール。
- 前記ヒートシンクは誘電体であって、前記ベース部と導通するための接地電極用貫通穴及び前記レーザダイオードチップへ高周波信号を入力するためのパタンを有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体レーザモジュール。
- 前記誘電体は窒化アルミニウムを主成分とするセラミックであることを特徴とする請求項4に記載の半導体レーザモジュール。
- 前記レーザダイオードチップを前記光ファイバの光軸方向より高周波信号を入力するためのピン側に寄せて搭載するとともに、前記光ファイバをその斜めに研磨された端面が前記ベース部の上面と直交しかつ高周波信号を入力するためのピンの反対側に向くように配置したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の半導体レーザモジュール。
- 前記光学系を構成するレンズが、前記フレーム部の一部に設けられた開口部にハンダまたは金属のレンズホルダにより固定されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体レーザモジュール。
- 前記光学系を構成するレンズが、前記ベース部に形成されたV字型またはU字型の溝に固定されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体レーザモジュール。
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