JP3584923B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱延鋼板の製造方法に関するものであり、より詳細には仕上圧延における圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱間圧延ラインで熱延鋼板を製造する際、仕上圧延機出側温度(以下FDTと略す)は熱延鋼板の材質特性を決めるうえで重要な要素の一つである。そのため、仕上圧延中は、所定のFDTが得られるよう、仕上圧延機スタンド間に設けられた鋼板を冷却するための冷却水(以下、スタンド間冷却と呼ぶ)の流量または噴射ヘッダー数、および圧延速度を制御している。
【0003】
被圧延材の全長で所定のFDTを確保するため、まず被圧延材先端部で、目標とするFDTを確保するための初期値の設定が行われる。例えば、材料諸元として鋼種、板厚、板幅、目標FDTを用意しておき、粗出側温度または仕上入側温度の実測結果により、スタンド間冷却の噴射水量または噴射するヘッダー数や位置、および仕上圧延機の初期通板速度(ベース速度)を決定する。
【0004】
そして、被圧延材先端部が仕上圧延機最終スタンドを通過後、圧延速度の加速を行い、同時にスタンド間冷却の噴射水量(噴射ヘッダー数)も増加して、全長で目標とするFDTを確保する。このようなスタンド間冷却の流量制御方法として、特開平6−527号公報には、先端部の通板時には冷却水を止めておき、先端部が巻取機に巻付き後に水量を漸増する方法が記載されている。
【0005】
ところで、圧延にともなってワークロールの温度は上昇する。そこで、圧延中はワークロールへ冷却水(以下、ワークロール冷却と呼ぶ)を噴射している。ワークロール冷却は、従来は圧延材料待機中のアイドル時には水量を絞り、被圧延材先端の圧延機への噛み込みと同時に定常量まで流量増加していた。それに対し、特開昭60−115313号公報には、被圧延材先端の噛み込み後所定時間経過した後に流量増加する方法が記載されている。また、特開昭61−159210号公報には、ワークロール冷却水量を圧延ロールの熱負荷に応じて流量を制御する方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記仕上圧延機のベース速度には、安定通板性の問題から上限値が存在することが知られている。前記の先端通板時の初期値設定を行う際にこの上限に掛かると、圧延速度を抑える、つまり圧延時間を必要以上に長くとることになり、被圧延材先端部が冷えて目標とするFDTが確保できなくなる。特に、近年その比率が増加している薄物材料の場合に、その傾向が顕著である。このような場合には、一般には、スタンド間冷却の冷却水量を減少あるいは停止する対策が取られる。
【0007】
しかし、特に最近、製品の表面性状に対する要求が厳しく、スタンド間冷却を停止できない場合が発生している。つまり、仕上圧延中に鋼板表面に2次スケールが生成されると、これを起因とするスケール性欠陥が発生する。そのため、スタンド間での2次スケール生成を抑制する目的から、特に鋼板表面が高温である仕上前段スタンドではスタンド間冷却を止められない場合がある。したがって、特に薄物かつ高表面品質材においては、被圧延材先端部の目標FDTを確保することが非常に困難となってきた。
【0008】
ところで、ワークロール冷却の冷却水量を減少すると、結果として被圧延材の温度を上昇することができる。特開平60−115313号公報に記載の方法はこれを利用したものである。しかし、この方法は、被圧延材の先端部温度低下によるワークロール表面の当て疵およびそれに伴う製品表面のトップマークの発生防止を目的とするものであり、単に被圧延材先端部の温度低下を低減すればよく、したがって冷却水量も単純に通常の半分程度に設定しているのみである。よって、冷却水量の減少により被圧延材の温度がどの程度上昇するか、あるいはFDTにどの程度影響するかなどは全く考慮されていない。
【0009】
また、特開昭61−159210号公報に記載の方法は、冷却水供給装置の電力原単位低減を目的とするもので、ロールの熱負荷により最低限必要なロール冷却水量を定め、圧延速度変化に比例した流量でワークロール冷却を制御している。つまり、スタンド間冷却については全く考慮されていない。逆に、特開平6−527号公報に記載の方法は、スタンド間冷却の冷却水噴射開始の際にゆるやかに水量を変化させることを目的とするもので、被圧延材の温度変化やワークロール冷却水量については全く考慮されていない。
【0010】
このように、従来の技術には、スタンド間冷却の冷却水量とワークロール冷却の冷却水量の両方を考慮し、ベース速度と合わせてどのように初期設定し、また圧延速度の加速後にこれら両方の冷却水量をどのように制御するべきかを記載したものはない。
【0011】
本発明の目的は、熱延鋼板製造における仕上圧延を行う際、仕上スタンド間冷却の冷却水量およびワークロール冷却の冷却水量を適切に制御することにより、特に被圧延材先端部において目標FDTを確保することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
被圧延材先端部で目標とするFDTを確保するためには、スタンド間冷却の冷却水量もワークロール冷却の冷却水量も少ないほどよいが、スケール性欠陥やワークロール肌荒れを防止するためにはある一定の水量が必要である。また、被圧延材先端部通板後の圧延速度の加速時には冷却能力を増加しなければならないが、スタンド間冷却とワークロール冷却の冷却水量をどのように増量すべきかが重要である。
【0013】
このため、本発明では、安定通板を行うためのベース速度の上限値と、スケール性欠陥を防止するために最低限必要なスタンド間冷却の冷却水量とをあらかじめ定めておき、ベース速度とスタンド間冷却の冷却水量の初期値を決定する際、仕上圧延機ベース速度の上限値およびスタンド間冷却の冷却水量の下限値としても被圧延材先端部の目標FDTが確保できない場合には、ワークロール冷却の冷却水量を適量減少させることにより、目標とするFDTを確保する。
【0014】
また、被圧延材先端部の通板後、圧延速度を加速する際には、ワークロールの肌荒れを防止する目的から、まずワークロール冷却の冷却水を増量し、定常圧延中の流量まで達した後、引き続きスタンド間冷却の冷却水量を増量するとよい。
【0015】
さらに、ワークロール冷却の冷却水量が定常圧延中よりも少ない場合には、圧延潤滑剤の供給も同等には必要ないことから、ワークロール冷却の冷却水量を減量した際には、定常圧延中よりも圧延潤滑剤を低濃度としたり低流量とすることが可能である。
【0016】
したがって、本発明の熱延鋼板の製造方法は、以下のような特徴を有する。
【0017】
(1)圧延機のスタンド間で被圧延材を冷却するスタンド間冷却手段と、圧延機に組み込まれたワークロール表面を冷却するワークロール冷却手段とを備えた仕上圧延機による熱延鋼板の製造方法において、仕上圧延機へ被圧延材の先端部を通板する通板速度および前記スタンド間冷却手段の冷却水量の初期値を設定する際、被圧延材先端部の目標仕上出側温度を確保するべく計算された前記通板速度および前記スタンド間冷却手段の冷却水量の初期値が、あらかじめ定められた通板速度の上限値およびスタンド間冷却手段の冷却水量の下限値の範囲内でない場合には、前記通板速度の上限値およびスタンド間冷却手段の冷却水量の下限値をそれぞれの初期値に設定し、さらに前記ワークロール冷却手段の冷却水量の初期値を定常圧延中の冷却水量よりも減量することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
【0018】
(2)被圧延材の先端部の通板後、仕上圧延機の圧延速度を加速する際に、ワークロール冷却手段の冷却水量を定常圧延中の値まで増量し、その後にスタンド間冷却手段の冷却水量を増量することを特徴とする(1)に記載の熱延鋼板の製造方法。
【0019】
(3)仕上圧延機に圧延潤滑剤の供給手段を設けるとともに、ワークロール冷却手段の冷却水量が定常圧延中の流量よりも少ない場合には、定常圧延中よりも低濃度および/または低流量の圧延潤滑剤を供給することを特徴とする(1)または(2)に記載の熱延鋼板の製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1および図2は本発明の一実施形態を示すもので、図1は仕上圧延機と冷却水系統の概略を示す説明図、図2は仕上圧延機第nスタンドにおけるスタンド間冷却手段とワークロール冷却手段の配置の一例を示す説明図である。
【0021】
図1に示すように、仕上圧延機は7スタンドから構成されている。各スタンド間の鋼板面には、スタンド間冷却流量制御部8からの指令により、それぞれ個別に流量制御されたスタンド間冷却手段から冷却水が噴射される。また、各スタンドのワークロールには、ワークロール冷却流量制御部9からの指令により流量制御されたワークロール冷却手段から冷却水が噴射される。さらに、各スタンドのワークロールには、圧延潤滑制御部10で濃度や流量が調整された圧延潤滑剤が噴射される。
【0022】
図2は、前記スタンド間冷却手段とワークロール冷却手段の詳細を示したものである。各スタンドは、ワークロール1nおよびバックアップロール2nを備えている。そして、圧延機の入側および出側には、ワークロール1nの表面へ向けて冷却水を噴射するためのワークロール冷却ヘッダー4nおよび該ヘッダーの長手方向に所定の間隔で配置された冷却水噴射ノズルが設置されており、これが前記ワークロール冷却手段を構成している。このワークロール冷却水噴射ノズルからの冷却水の噴射は、ワークロール冷却水量制御部9からの指令により、ワークロール冷却用電動ブースターポンプ7を制御することにより行われる。また、圧延機入側の前記ワークロール冷却ヘッダー4nよりも被圧延材に近い位置には、圧延潤滑剤を噴射するための圧延潤滑剤ヘッダー5nおよび該ヘッダーの長手方向に所定の間隔で配置された圧延潤滑剤供給ノズルが設置されている。この圧延潤滑剤供給ノズルから噴射される圧延潤滑剤は、圧延潤滑制御部10で濃度や流量が調整されている。
【0023】
さらに、第(n−1)スタンドと第nスタンドの間には、被圧延材へ向けて冷却水を噴射するためのスタンド間冷却ヘッダー3nおよび該ヘッダーの長手方向に所定の間隔で配置された冷却水噴射ノズルが設置されており、これが前記スタンド間冷却手段を構成している。このスタンド間冷却水噴射ノズルからの冷却水の噴射は、スタンド間冷却水量制御部8からの指令により、各スタンド毎に設置されているスタンド間冷却用流量調節弁6nが開閉動作を行うことにより行われる。ここで、各スタンド間冷却用流量調節弁6nはオンオフ弁とし、仕上圧延機全体としてのスタンド間冷却水量を、冷却水を噴射するスタンド間の数(ヘッダーの数)により調節する方法であってもよい。この場合、一般には被圧延材が高温である前段スタンドが優先して噴射される。
【0024】
なお、図2に示したヘッダーの個数や、各ヘッダーから噴射される冷却水量の流量調整は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、スタンド間冷却ヘッダー3nは1つのスタンド間に複数並べて設置してもよいし、後段スタンドには設置しない場合もある。圧延潤滑剤ヘッダー5nについても必ずしも全スタンドに設置しなくてよい。また、ワークロール冷却は、電動ブースターポンプ7にかえて、流量調節弁を設置してもよいし、さらに各スタンド毎に流量調節弁を設置して流量調整を行ってもよい。
【0025】
次に、本発明による被圧延材の仕上圧延方法について説明する。最初に、仕上圧延機へ被圧延材の先端部を通板する際のベース速度、スタンド間冷却およびワークロール冷却の初期値の設定について説明する。
【0026】
まず、被圧延材先端部を安定的に通板させるためには、圧延速度の上限値が存在する。したがって、鋼種やサイズ毎にベース速度の上限値を定めたテーブルをあらかじめ用意しておく。また、スタンド間冷却は、全て停止とする場合もあるが、表面高品質材などではスケール性欠陥を抑制するため、前段スタンドのスタンド間冷却を停止できない場合がある。したがって、品種や鋼種、サイズ毎に、スタンド間冷却の冷却水量の下限値やスタンド間冷却を停止できないスタンドを定めたテーブルをあらかじめ用意しておく。
【0027】
図3は、被圧延材の先端部を通板する際のベース速度、スタンド間冷却およびワークロール冷却の初期値の設定フローの概略を示したものである。まず、被圧延材の諸元(鋼種、サイズ、目標FDTなど)から、目標FDTを確保するためのベース速度およびスタンド間冷却水量を計算する。次に、あらかじめ用意しておいたベース速度上限値およびスタンド間冷却水量下限値を定めたテーブルを参照し、前記のベース速度およびスタンド間冷却水量の計算結果がこれらの上限値および下限値の範囲内であるかを判定する。これらが範囲内であれば計算結果をそのまま初期値として設定し、ワークロール冷却水量を定常量として設定計算を終了する。一方、これらが範囲内にない場合には、これらの上限値および下限値をそれぞれの初期値として設定し、次に目標FDTを確保するためのワークロール冷却水量を計算し、これをワークロール冷却水量の初期値として設定する。なお、上記の計算に用いるモデル式としては、従来より様々なものが提案されており、これらを任意に選択して用いればよい。
【0028】
次に、このようにして定めた各初期値により、被圧延材の先端部を仕上圧延機へ通板する。そして、一般には、被圧延材先端部が仕上圧延機の最終スタンドを通過後、または被圧延材先端部がコイラーへ巻き付き後、圧延速度を加速する。その際、先端通板時にワークロール冷却水量を定常量噴射している場合には、スタンド間冷却水量を徐々に増量すればよい。一方、先端通板時にワークロール冷却水量を定常量よりも減少させていた場合には、ワークロール冷却とスタンド間冷却をどのように増量するかが問題となる。本発明では、このような場合、ワークロールの肌荒れ防止の目的から、まず、ワークロール冷却水量を徐々に増量し、これが定常量に達した時点で、次にスタンド間冷却水量を増量する。
【0029】
なお、上記の圧延速度加速後の各冷却水量の増量は、一気に増量するとFDTが低下しすぎるため、徐々に増量する。圧延速度の加速レートに合わせて増量するのが好ましいが、急激な増量にさえならなければ、冷却水のポンプ能力によって決まる成り行きの増量カーブで増量するなどの方法であっても実際上は問題がない。
【0030】
以上の方法により、被圧延材の先端部および先端部通板後の圧延速度加速後においても、FDTを確保することができるとともに、高表面品質材の表面性状が確保され、ワークロール表面の肌荒れ発生も抑制できる。
【0031】
ところで、本発明では圧延潤滑を行っているが、ワークロール冷却水量が少ない場合には、圧延潤滑剤の供給も少なくてよい。したがって、ワークロール冷却水量を定常量よりも減量している場合には、圧延潤滑制御部10により圧延潤滑剤の濃度および/または流量の調整を行い、これを圧延潤滑ヘッダーより噴射する。例えば、ワークロール冷却水量の増減に比例して圧延潤滑剤の濃度または流量を増減する。こうすることにより、圧延潤滑剤の原単位が向上する。
【0032】
【実施例】
図1および図2に示す仕上圧延機および周辺設備を用いて、高表面品質が要求される熱延鋼板の製造を行った。なお、各スタンド間にはスタンド間冷却ヘッダー3nが上下各1列設置されており、仕上圧延機全体のスタンド間冷却流量は、各スタンド間冷却用流量調節弁6nをオンオフ弁として、噴射するスタンド間冷却ヘッダーの列数により制御した。
【0033】
被圧延材として、板厚1.9mm、板幅900mmの軟鋼材を用いた。この材料の目標FDTは880℃であり±10℃が合格範囲である。また、あらかじめ定めたこの材料のベース速度の上限値は700mpmである。さらに、この材料は高表面品質材であるためにスタンド間冷却を全て停止とすることはできず、あらかじめ定めたスタンド間冷却水量の下限値は、上下各1列(第1スタンドと第2スタンド間)である。
【0034】
まず、図3のフローに従い、初期値の設定を行った。その結果、被圧延材先端部でFDTを確保するためのベース速度およびスタンド間冷却水量は、ベース速度の上限値およびスタンド間冷却の下限値の範囲を超えた。そこで、ベース速度を上限値の700mpmとし、またスタンド間冷却をこの被圧延材の使用下限である上下各1列(第1スタンドと第2スタンド間)として、FDTを確保するためのワークロール冷却水量を計算した。その結果、通常時には設備能力の90%の出力で噴射しているのに対し、同60%へ減量する必要があるとの結果が得られた。
(実施例1)
上記で計算した初期値を用い、熱延鋼板の製造を行った。その際のワークロール冷却およびスタンド間冷却の条件を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
ここで、▲1▼は、ワークロール冷却およびスタンド間冷却ともに定常値とした比較例1である。▲2▼は、スタンド間冷却のみ上下各1列へ減少し、加速後もそのまま上下各1列とした比較例2である。▲3▼は、前記▲2▼に加え、ワークロール冷却を先端部通板時は60%出力とし、圧延速度の加速後90%出力まで増量した本発明例1である。そして▲4▼は、前記▲3▼のワークロール冷却を増量後、さらにスタンド間冷却を上下各1列から定常時の上下各3列へ増加した本発明例2である。
【0037】
図4は、それぞれの条件で仕上圧延を行ったFDTの結果を示す温度チャートである。縦軸がFDT、横軸は被圧延材の長手方向を示しており、右側が先端部、左側が後端部である。
【0038】
本実施例のベース速度およびスタンド間冷却の初期値計算では、前述のように、初期値計算でベース速度およびスタンド間冷却ともに上限および下限値としても、FDTが確保できないという計算結果が得られている。したがって、先端部では比較例の▲1▼および▲2▼は目標FDTの下限値870℃を確保できていない。一方、スタンド間冷却を下限値の上下各1列とし、かつワークロール冷却を先端通板時に60%出力とした本発明例の▲3▼および▲4▼では、先端部のFDTは870℃を確保できた。
【0039】
次に、先端部の通板後、圧延速度を加速するにしたがい、FDTも上昇する。スタンド間冷却を上下各1列のままとした▲2▼および▲3▼の場合には、後端部で目標FDTの上限値890℃を超えた。一方、圧延速度を加速後、ワークロール冷却を60%出力から90%出力へ増量し、スタンド間冷却を上下各1列から上下各3列へ増量した▲4▼では、後端部のFDTを890℃以下に抑えることができた。
(実施例2)
上記実施例1における本発明例2(表1の▲4▼)の条件による仕上圧延により、熱延鋼板の製造を1サイクル(約2000t)継続して行った。ここで、本発明例2ではワークロール冷却を増量した後にスタンド間冷却を増量したが、比較例3として、スタンド間冷却を増量した後にワークロール冷却を増量した場合についても、同様に実施した。他の条件は本発明例2と同様である。ここで、いずれの場合も、ワークロール冷却を60%出力とした場合には、供給する圧延潤滑の濃度を定常時の67%へ低下した。
【0040】
その結果、本発明例2の場合には、圧延後のワークロールの肌荒れは全く問題がなかった。一方、比較例3の場合には、第2および第3スタンドのワークロールにやや肌荒れが見られた。また、圧延潤滑剤の使用量は、比較例3の場合を100%とすると、本発明例2では84%となり、圧延潤滑剤の原単位が向上した。
【0041】
以上のように、スタンド間冷却よりもワークロール冷却から先に増量した場合の方が、良好な結果が得られた。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱延鋼板製造における仕上圧延を行う際、仕上スタンド間冷却の冷却水量およびワークロール冷却の冷却水量を適切に制御することにより、被圧延材の全長、特に被圧延材先端部において目標FDTを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に供する仕上圧延機と冷却水系統の一例を示す説明図
【図2】本発明の実施に供する仕上圧延機の第nスタンドにおけるスタンド間冷却手段とワークロール冷却手段の配置の一例を示す説明図
【図3】被圧延材先端通板時の初期値の設定フローの概略を示す説明図
【図4】実施例におけるFDTの結果の温度チャート
【符号の説明】
1n ワークロール
2n バックアップロール
3n スタンド間冷却ヘッダー
4n ワークロール冷却ヘッダー
5n 圧延潤滑ヘッダー
6n スタンド間冷却用流量調節弁
7 ワークロール冷却用電動ブースターポンプ
8 スタンド間冷却水量制御部
9 ワークロール冷却水量制御部
10 圧延潤滑制御部
Claims (3)
- 圧延機のスタンド間で被圧延材を冷却するスタンド間冷却手段と、圧延機に組み込まれたワークロール表面を冷却するワークロール冷却手段とを備えた仕上圧延機による熱延鋼板の製造方法において、仕上圧延機へ被圧延材の先端部を通板する通板速度および前記スタンド間冷却手段の冷却水量の初期値を設定する際、被圧延材先端部の目標仕上出側温度を確保するべく計算された前記通板速度および前記スタンド間冷却手段の冷却水量の初期値が、あらかじめ定められた通板速度の上限値およびスタンド間冷却手段の冷却水量の下限値の範囲内でない場合には、前記通板速度の上限値およびスタンド間冷却手段の冷却水量の下限値をそれぞれの初期値に設定し、さらに前記ワークロール冷却手段の冷却水量の初期値を定常圧延中の冷却水量よりも減量することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
- 被圧延材の先端部の通板後、仕上圧延機の圧延速度を加速する際に、ワークロール冷却手段の冷却水量を定常圧延中の値まで増量し、その後にスタンド間冷却手段の冷却水量を増量することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法。
- 仕上圧延機に圧延潤滑剤の供給手段を設けるとともに、ワークロール冷却手段の冷却水量が定常圧延中の流量よりも少ない場合には、定常圧延中よりも低濃度および/または低流量の圧延潤滑剤を供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱延鋼板の製造方法。
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