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JP3586648B2 - 塩素系廃プラスチックの油化方法 - Google Patents
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Description

技術分野
本発明は、超臨界水を用いた塩素系廃プラスチックの油化方法に関する。
背景技術
従来、廃プラスチックを再利用するための方法として、超臨界水によって廃プラスチックを分解して、有用な油状物を回収することが試みられている。
しかし、廃プラスチックが塩素系のプラスチックである場合、超臨界水による油化の際に、廃プラスチックから塩素イオンが脱離する。この塩素イオンは、油化装置の材料であるステンレス系金属の激しい腐食の原因となる。すなわち、超臨界水による油化は、高温かつ高圧下で行われるため、塩素イオンによる孔食や、隙間腐食や、応力腐食割れ等が、ステンレス系金属に生じる。なお、腐食の程度は、ステンレス鋼の成分組成や、脱離した塩素イオンの濃度によって異なる。
一方、油化装置の材料として、特殊な化学組成からなる腐食に強いニッケル系合金を用いることが検討されている。しかし、ニッケル系合金は高価であり、装置の建設コストが非常に高くなる。
そこで、例えば、廃プラスチックを脱塩素装置内で300〜350℃で熱分解し、塩素を除去した後、該廃プラスチックを、ニッケル系合金よりも安価なステンレス鋼製の油化装置内に導入し、超臨界水によって油化する方法が開発されている。しかし、この場合、直接油化する場合と比べて、工程が複雑になり、また、装置を構成する機器の数が多くなる。このため、油化設備全体の建設コストが、非常に高くなる。
発明の開示
本発明は、このような実状に鑑み、安価なステンレス系金属を用いた装置に適用可能であり、かつ、機器の数が少なくてすむ塩素系廃プラスチックの油化方法を提供することを目的とする。
本発明の塩素系廃プラスチックの油化方法は、溶存酸素濃度が0.5mg/リットル以下に調整された、塩素系プラスチックを含む廃プラスチックとアルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を含む水溶液またはこれらを複数種類含む水溶液との混合物を加熱し、超臨界条件への移行過程及び/または超臨界条件下で該廃プラスチック中の塩素を脱離し、該廃プラスチックを分解することを特徴とする。
また、本発明の別の形態に係る塩素系廃プラスチックの油化方法は、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を含む水溶液またはこれらを複数種類含む水溶液を加熱し、超臨界条件への移行過程及び/または超臨界条件下の該水溶液に、塩素系プラスチックを含む溶融した廃プラスチックを混入し、該水溶液の溶存酸素濃度は該廃プラスチックの混入前にまたは混入時に0.5mg/リットル以下に調整されてなり、該水溶液に混入された該廃プラスチック中の塩素を脱離し、該廃プラスチックを分解することを特徴とする。
また、本発明に係る塩素系廃プラスチックの油化方法では、廃プラスチック中から脱離させた塩素を、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩で中和させることができる。
また、本発明に係る塩素系廃プラスチックの油化方法では、溶存酸素濃度を調整する手段として、窒素ガスの吹き込みまたは脱酸素剤を添加することとできる。
また、本発明に係る塩素系廃プラスチックの油化方法では、脱酸素剤として亜硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムまたはヒドラジンを採用することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1例に係る塩素系廃プラスチックの処理方法を示すフロー図である。
図2は、本発明の第2例に係る塩素系廃プラスチックの処理方法を示すフロー図である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の油化方法の処理対象となる塩素系廃プラスチックは、塩素を含有するプラスチックであれば任意であり、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等を挙げることができる。また、塩素系以外の廃プラスチック、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等との混合物でもよい。
処理に際し事前に、塩素系廃プラスチックは、粉砕して粉体とする。粉体の大きさは、同体積の球としたときに直径2mm以下になる程度とするのが好ましい。粉体が大きすぎると、水溶液と混合して油化装置に供給する際に、円滑な供給を行えなくなるおそれがあり、また、油化処理の効率も悪くなる。
次に、粉砕された廃プラスチックは、0.5mg/リットル以下の溶存酸素濃度を有し、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を含む水溶液と混合される。
ここで、溶存酸素濃度の調整は、混合液の生成後に行ってもよい。すなわち、粉砕された廃プラスチックを、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を含む水溶液と混合して、混合液を生成させた後、該混合液中の溶存酸素濃度が0.5mg/リットル以下となるように混合液を処理してもよい。
上記水溶液または混合液中の溶存酸素濃度を、0.5mg/リットル以下とする手段としては、例えば、窒素ガスの吹き込みや、脱酸素剤の添加を挙げることができる。脱酸素剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、ヒドラジン等を挙げることができる。これらの脱酸素剤は、単独で用いても、あるいは2種以上を併用してもよい。
溶存酸素濃度を0.5mg/リットル以下とすることによって、超臨界条件下での腐食反応(カソード反応)を抑制することができる。
塩素系廃プラスチックと混合する水溶液は、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩から選ばれる一種以上を含有する。これらの具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。
これらの炭酸塩または水酸化物の添加量は、後述する亜臨界部及び超臨界部における脱塩素量の合計量の当量以上であり、好ましくは1.1〜1.2当量である。
ここで、これらの塩等を用いる理由を説明すると、次の通りである。
塩素系廃プラスチックを300℃以上に加熱すると、脱塩素する。脱塩素された塩素は、水に溶解して塩酸となり、特殊な金属材料を除き、金属材料を激しく腐食する。このような塩酸による腐食を防止するため、例えば、水酸化ナトリウムで中和することが考えられる。しかし、水酸化ナトリウムを用いた場合、残留する水酸化ナトリウムによって、激しい腐食と応力腐食割れが短期間に発生する。本発明では、アルカリ金属の水酸化物を用いずに、炭酸ナトリウム等を用いることによって、腐食を防止することができる。
本明細書中において、亜臨界条件とは、250〜350℃の温度、及び25〜30MPaの圧力の条件をいう。また油化装置内の亜臨界条件下の部分を、亜臨界部という。また、同様に、本明細書中において、超臨界条件とは、350〜550℃の温度、及び25〜30MPaの圧力の条件をいう。また、油化装置内の超臨界条件下の部分を、超臨界部と呼ぶ。
調整された混合液中の塩素系廃プラスチックは、亜臨界条件下で脱塩素され、脱離された塩素(塩酸)は、直ちに混合液中の塩または水酸化物によって中和される。したがって、後の超臨界条件下での処理の際に、混合液中に塩酸が存在することがなく、塩酸による装置の内壁の腐食が生じない。また、亜臨界条件下で中和に用いられなかった塩等が、混合液中に多く残留したまま、超臨界部に入ったとしても、アルカリ金属の水酸化物を用いていないため、超臨界条件下の混合液は、強アルカリ性にはならず、腐食を生じさせない。
亜臨界条件下で塩素を脱離された混合液は、次に、超臨界条件下で混合液中の廃プラスチックが、油分、ガス分に分解される。得られた油分及びガス分は、燃料等に用いることができる。
超臨界条件下でも、廃プラスチック中に残留する塩素が脱離する。脱離した塩素(塩酸)は、直ちに混合液中の塩または水酸化物によって中和される。
なお、上記説明では、廃プラスチックと該水溶液との混合液を亜臨界条件から超臨界条件へと移行させているが、該水溶液を亜臨界条件あるいは超臨界条件としてから該廃プラスチックを該水溶液の中に混入しても良い。
また、熱可塑性プラスチックは、熱を加え溶融したものを該水溶液に混入しても良い。混入は、該水溶液が超臨界条件へ移行する過程であっても良いし、超臨界条件下の水溶液に混入しても良い。
以下、本発明の実施の形態の各例を図面に基づいて説明する。
第1例
図1において、廃プラスチックは、混合器1に供給されて、タンク2から供給される水溶液と混合して、スラリーとなる。ここで、タンク2から供給される水溶液は、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を含むと共に、窒素ガス(N2)や脱酸素剤等によって、溶存酸素濃度が0.5mg/リットル以下に調整されている。
ここで、窒素ガスや脱酸素剤等による溶存酸素濃度の調整は、混合器1またはその後流側で行ってもよい。
混合器1中のスラリーは、スラリー供給機3によって、油化装置4に導かれる。油化装置4内において、まず、予熱部4aでスラリーが予熱された後、亜臨界部4bで、スラリー中の廃プラスチックに含まれる塩素が脱離する。脱離した塩素は、スラリー中の炭酸塩または水酸化物によって中和される。その後、スラリーは、超臨界部4cに移動し、スラリー中の廃プラスチックが分解される。
分解後、スラリーは、油化装置から排出され、油水分離器5によって油分と水分とに分離される。分離された水分の一部は、系外に排水され、残部は、タンク2に供給される。タンク2では、油化装置4からの水分の他、系外からの補給水と本例では炭酸ナトリウムが供給される。これによって、混合器1へ送られる水溶液の量と炭酸ナトリウムの濃度が一定に保たれる。
第2例
図2に本発明に係る塩素系廃プラスチックの油化方法の実施の形態について別の例を示す。図2において、図1と同様の要素には同符号を付して、重複する説明を省略する。
熱可塑性プラスチックは、駆動手段としてモータを備えたメルター21により溶融され、油化装置の超臨界条件下への移行過程あるいは超臨界条件下の溶存酸素濃度が0.5mg/リットル以下に調整されている水溶液に混入される。
実施例
実施例1〜6
表1に示す組成を有する粉体とした廃プラスチックを、図1に示す装置によって油化した。
ここで、タンク2中の水溶液は、窒素ガスの吹き込みおよび亜硫酸ナトリウムの添加によって、溶存酸素濃度が0.1〜0.5mg/リットルとなるように調整した。また、タンク2中に、廃プラスチック中に含まれる塩素量の1.1〜1.2当量の炭酸ナトリウム等を、連続的に供給した。
油化装置4としては、反応管を3分割した電気炉を用いた。該反応管としては、内径5mm、外径10mm、長さ60mのSUS316製のもので、予め、廃プラスチックの油化条件まで加熱した状態で、1%の炭酸ナトリウム水溶液を50時間循環させて防食処理したものを用いた。このように反応管の内面に防食皮膜を形成させることによって、中和によって生じる塩化ナトリウム等による腐食により効果的に防止することができる。
油化装置内の温度は、予熱部で20〜250℃、亜臨界部で250〜350℃、超臨界部で350〜550℃とし、圧力は、250〜300kgf/cm(25〜30MPa)となるように調整した。
表1に示す実施例1、2の条件で各々の廃プラスチックを処理したところ、いずれにおいても、2,000時間の運転後、反応管の内面及び各機器において、腐食は全く観察されなかった。結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0003586648
以上、本発明を発明の実施の形態および実施例について説明したが、これらは本発明の理解を容易にする目的で提供されており、本発明の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載された発明の当業者にとって自明な変更・修飾・付加は、全て本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記の図による実施の形態の説明では、混合液を流動しやすいスラリー状とし、連続的に処理しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
さらに例えば、廃プラスチックと該水溶液の混合液を容器に入れ加熱し、超臨界条件に移行させるバッチ処理などでもよい。
産業上の利用可能性
本発明の塩素系廃プラスチックの油化方法によれば、従来技術に比べて、処理方法及び装置を大幅に簡素化することができ、また、安価な装置を用いても、その内部で腐食が生じない。
1998年7月8日に出願された日本国特願平10−192859号の特許請求の範囲、明細書、図面、要約の記載の全てを本明細書の記載の一部としてここに引用する。

Claims (5)

  1. (補正後)溶存酸素濃度が0.5mg/リットル以下に調整された、塩素系プラスチックを含む廃プラスチックとアルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を含む水溶液またはこれらを複数種類含む水溶液との混合物を加熱し、超臨界条件への移行過程及び/または超臨界条件下で該廃プラスチック中の塩素を脱離し、該廃プラスチックを分解することを特徴とするステンレス系金属製油化装置を用いた塩素系廃プラスチックの油化方法。
  2. (補正後)アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を含む水溶液またはこれらを複数種類含む水溶液を加熱し、超臨界条件への移行過程及び/または超臨界条件下の該水溶液に、塩素系プラスチックを含む溶融した廃プラスチックを混入し、該水溶液の溶存酸素濃度は該廃プラスチックの混入前にまたは混入時に0.5mg/リットル以下に調整されてなり、該水溶液に混入された該廃プラスチック中の塩素を脱離し、該廃プラスチックを分解することを特徴とするステンレス系金属製油化装置を用いた塩素系廃プラスチックの油化方法。
  3. 廃プラスチック中から脱離させた塩素を、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩で中和させることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の塩素系廃プラスチックの油化方法。
  4. 溶存酸素濃度を調整する手段が、窒素ガスの吹き込みまたは脱酸素剤を添加することであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の塩素系廃プラスチックの油化方法。
  5. 脱酸素剤が亜硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムまたはヒドラジンであることを特徴とする請求項4に記載の塩素系廃プラスチックの油化方法。
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