JP3586903B2 - コンタクトレンズ用洗浄保存液 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、コンタクトレンズに付着したタンパク質、脂質、ムチン、多糖類等の汚染物の除去に有効なコンタクトレンズ用洗浄保存液に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンタクトレンズを長期間使用する場合、タンパク質、脂質、多糖類、無機性物質等が強固に沈着することにより、コンタクトレンズに曇りが発生したり、装用感が低下する等の問題が生じる。そこでこれらの汚染物を洗浄するために、界面活性剤、酵素、研磨剤等を使用したタンパク除去剤が一般に使用されている。また目への安全性を考慮すると、このようなコンタクトレンズのケアは毎日確実に行う必要があり、そこで最近では、該コンタクトレンズのケアを行い易いように、携帯性及び安全性に優れ、また簡便且つ効率良く洗浄ができ、更にコンタクトレンズの保存も同時にできる洗浄保存液が求められている。このようなコンタクトレンズの洗浄剤として酵素を使用することは、安全性が高く、また洗浄操作も簡単なので通常良く用いられている。例えば特開平6−102474号公報には、タンパク分解酵素、脂肪分解酵素、多糖分解酵素等をタブレット上に賦形した洗浄剤が記載されている。また、特開平6−095043号公報には、グリセロール中に、セリンプロテアーゼ、陰イオン性界面活性剤等を配合した洗浄剤が記載されている。更に、特公平5−33768号公報には、タンパク分解酵素をポリエチレングリコールに分散させてなる洗浄剤を用いてレンズをこすり洗いすることを特徴とする洗浄方法が記載されている。
【0003】
しかしながら、これらの洗浄剤ではほとんどの剤形がタブレットのため、これを溶解させるための容器が別途必要となり簡便ではなく、またタブレットがかさばり、割れやすいことから可搬性、携帯性等に劣るという問題点がある。一方、剤形がタブレットではなく水溶液である洗浄剤では、酵素の長期安定性が悪く洗浄効果が経時的に低下してくるという問題点がある。
【0004】
また特開平1−153088号公報には、無水マレイン酸とポリエチレングリコールモノアリルエーテルとの共重合体で修飾された酵素が高活性を保持しながら安定性をも有することが提案されている。この酵素の用途としては、バイオリアクター等として使用できることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、長期にわたり洗浄効果を維持し、可搬性、携帯性等に優れ、また取り扱いの簡便なコンタクトレンズ用洗浄保存液を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記一般式化2で表わされるタンパク修飾剤(以下タンパク修飾剤Aと称す)で修飾された酵素を含有することを特徴とするコンタクトレンズ用洗浄保存液が提供される。
【0007】
【化2】
【0008】
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明のコンタクトレンズ用洗浄保存液は、前記一般式化2で表わされるタンパク修飾剤Aで修飾された酵素を含有する。
【0009】
前記タンパク修飾剤Aにおいて、nは1〜1000、好ましくは10〜300、更に好ましくは20〜120の正数であり、nが1000を超える場合には製造が困難である。前記タンパク修飾剤Aの重合度は式中mで示されるとおり1〜1000、好ましくは2〜500である。前記重合度が1000を超えると製造が困難である。また前記タンパク修飾剤Aの分子量は、好ましくは500〜1000000、好ましくは1000〜100000、更に好ましくは5000〜50000である。
【0010】
前記タンパク修飾剤Aにおいて、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、具体的には、例えばオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシトリメチレン基、オキシ−1−エチルエチレン基、オキシ−1,2−ジメチルエチレン基、オキシテトラメチレン基等を挙げることができる。この際(OA)n のnが2以上の場合、各OAは同一若しくは異なる基のどちらであっても良い。nが2以上でOAとして異なる基を有する場合、(OA)n の結合はランダム又はブロックのどちらであっても良い。前記タンパク修飾剤Aに親水性を付与する場合の(OA)n としては、オキシエチレン基単位単独で構成されるものが好ましく、特にnが5以上のものが好ましい。また種類の異なるOAにより(OA)n が構成される場合に親水性を付与するには、オキシエチレン基を(OA)n 中に、好ましくは20モル%以上、更に好ましくは50モル%以上存在させるのが望ましい。一方タンパク修飾剤Aに親油性を付与する場合、(OA)n 中にオキシエチレン基以外のオキシアルキレン基のモル数を多くすれば良い。
【0011】
前記タンパク修飾剤Aにおいて、−CH2−CR1(CH2(OA)nOR2)−を構成する具体的な化合物としては、例えば下記構造式で表わされる化合物等を挙げることができる。 CH2=CHCH2(OCH2CH2)nOH、CH2=CHCH2(OCH2CH2)nOCH3
CH2=CHCH2[(OCH2CH2)n1(OCH(CH3)CH2n2]OC3H7、
CH2=CHCH2[(OCH2CH2)n1(OCH(CH3)CH2n2]OC3H7
CH2=CHCH2[(OCH2CH2)n1(OCH2CH2CH2CH2n2]OC12H25
CH2=C(CH3)CH2(OCH2CH2)nOH(但し[ ]内はランダム又はブロック共重合体を表し、n=1〜1000、n1+n2=1〜1000である)。
【0012】
前記タンパク修飾剤Aを調製するには、例えば原料成分としてα−アリル−ω−メトキシ−ポリオキシアルキレンと無水マレイン酸とを、好ましくはモル比で1:1〜1.5仕込み、無溶媒あるいはトルエン、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素等の有機溶媒の存在下、重合開始剤を用いて重合させることにより得ることができる。前記原料成分において(OA)n に相当するポリオキシアルキレンを形成する化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。また重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルオキシジカーボネート、ターシャリブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ターシャリブチルペルオキシピバレート、ターシャリブチルペルオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、ターシャリブチルペルオキシアセテート、ターシャリペルオキシオクトエイト、ターシャリブチルペルオキシベンゾエイト等の有機過酸化物若しくはアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物等を挙げることができる。重合開始剤の添加量は、前記原料成分との合計量に対して好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。また重合は、好ましくは0〜150℃、更に好ましくは30〜100℃で、好ましくは1〜200時間、更に好ましくは6〜24時間重合させる方法等により行うことができる。重合後、得られた共重合体中の溶媒を留去し、そのままあるいは再沈殿、ゲル濾過、イオン交換樹脂処理等の精製処理等により目的のタンパク修飾剤Aを得ることができる。
【0013】
本発明においては、前記タンパク修飾剤Aで修飾された酵素を必須成分として用いるが、酵素としては、例えばタンパク質分解酵素、脂肪分解酵素、糖分解酵素等を挙げることができる。この際これらの酵素は、植物由来、微生物由来、動物由来等のいかなる由来のものであっても良い。前記タンパク質分解酵素としては、例えば植物由来のパパインあるいはプロメライン;微生物由来の放線菌ストレプトミセス、商品名「アクチナーゼ」(科研製薬(株)製)、商品名「ビオプラーゼ」(ナガセ生化学工業(株)製)、商品名「プロテアーゼアマノ」(天野製薬(株)製);動物由来の豚膵臓由来の商品名「膵臓性消化酵素TA」(天野製薬(株)製)等の他、複合酵素としてパンクレアチン等を挙げることができる。また前記脂肪分解酵素としては、例えばリパーゼ<サイケン>(長瀬産業(株)製、商品名)、ビオブラーゼ3LAP(長瀬産業(株)製、商品名)、ビオブラーゼASP(長瀬産業(株)製、商品名)等のリパーゼ類を挙げることができる。更に前記糖分解酵素としては、例えばビオテックスLS、ビオテックスPN−2、スピターゼPN−4、ビオタミラーゼ、ビオタミラーゼS、ビオタミラーゼA−1000、ビオタミラーゼクリーンW等のα−アミラーゼ、あるいはマルトチーム206、β−アミラーゼ#1500等のβ−アミラーゼ等が挙げられる。
【0014】
前記タンパク修飾剤Aで前記酵素を修飾するには、例えば前記タンパク修飾剤Aと前記酵素とを溶媒中にて混合撹拌して反応させる方法等により容易に行うことができる。前記酵素と前記タンパク修飾剤Aとの反応時の仕込み割合は特に限定されないが、重量比で好ましくは1:0.1〜100、特に好ましくは1:0.5〜30、更に好ましくは1:1〜5である。また前記溶媒としては、例えば生理食塩水;燐酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液等の好ましくはpH2〜11、更に好ましくはpH6〜10の緩衝液;アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エタノール、メタノール等の有機溶媒またはこれらの混合物等を挙げることができる。また反応温度は、好ましくは−10〜100℃、更に好ましくは0〜50℃である。更に反応時間は、好ましくは10分〜30時間、更に好ましくは30分〜24時間である。また反応終了後得られるタンパク修飾剤Aで修飾された酵素は、ゲル濾過、限外濾過、透析等の方法により精製することができる。
【0015】
本発明のコンタクトレンズ用洗浄保存液は、前記タンパク修飾剤Aで修飾された酵素を、また必要に応じて洗浄や保存作用等を有する他の成分と組み合わせて、例えば緩衝液等に溶解させることにより得ることができる。この際前記タンパク修飾剤Aで修飾された酵素の含有割合は、好ましくは0.01〜30重量%の範囲である。前記含有割合が0.01重量%未満の場合、洗浄保存効果が不十分であり、また30重量%を超えると作業性が低下するので好ましくない。該タンパク修飾剤Aは、含有量50重量%以上、好ましくは100重量%のワックス状として流通させることができ、コンタクトレンズ用洗浄保存液とする際に、前記0.01〜30重量%の含有量となるように希釈するのが好ましい。
【0016】
前記緩衝液としては、生理食塩水、燐酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液等の好ましくはpH2〜11、更に好ましくはpH4〜8の緩衝液等を挙げることができる。また前記他の成分としては、例えば増粘剤、界面活性剤、防腐剤等を好ましく挙げることができる。
【0017】
前記増粘剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、ケン化率50%以上のポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、ポリビニルスルホン酸ナトリウム塩及びこれらの混合物等を挙げることができる。その含有割合は、好ましくは1〜50重量%の範囲である。
【0018】
前記界面活性剤としては、例えば脂肪酸ソーダ石鹸、アルキルサルフェートナトリウム塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤;オクタデシルアミン酢酸塩、オクタデシルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の陽イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノアルキレート、ソルビタンモノアルキレート、ポリエチレンモノアルキレート、(ポリ)オキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルキロールアミド、グリセロールモノステアレート、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;ジメチルアルキルベタイン、アルキルグリシン等の両イオン性界面活性剤及びこれらの混合物等を挙げることができる。その含有割合は、好ましくは0.01〜10重量%の範囲である。
【0019】
前記防腐剤としては、例えばソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0020】
またこれらの他に、pH調整剤(pH緩衝剤)、金属キレート剤、酸化安定剤、香料、保存安定剤等を適時添加することもできる。更には前記タンパク修飾剤Aで修飾された酵素の前記酵素成分として、パパイン、プロメラインを使用する場合、これらの洗浄効果を高めるために、還元剤として、例えばシステイン、クルタチオンチオ尿素等を添加することもできる。
【0021】
本発明のコンタクトレンズ用洗浄保存液の使用方法としては、該洗浄保存液をそのまま若しくは更に生理食塩水、精水等で適量に希釈した後、コンタクトレンズを浸漬させて洗浄、保存させる方法等により用いることができる。洗浄液として使用する場合の浸漬時間は、室温において好ましくは30分間以上、特に好ましくは1〜12時間で行うことができる。この際、室温で静置するほかに、好ましくは30〜60℃に加温したり、あるいは超音波照射等を使用しても良い。また保存液として使用する場合には、任意の時間室温中にて浸漬させた後、精水、生理食塩水、水道水、蒸留水等で洗浄すれば良い。
【0022】
【発明の効果】
本発明のコンタクトレンズ用洗浄保存液は、前記タンパク修飾剤Aで修飾された酵素を含有しているので、長期間高い酵素活性を保持し、汚染物の除去、携帯性、可搬性等に優れており、取り扱いが簡便である。
【0023】
【実施例】
以下本発明を実施例及び比較例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
【合成例1】
トルエン100ml中に、分子量1500のα−アリル−ω−メトキシ−ポリオキシエチレン150g(100mmol)、無水マレイン酸10.3g(105mmol)及び過酸化ベンゾイル0.48g(2mmol)を溶解し、80℃、6時間重合した後、減圧下、100℃にてトルエン及び残留した無水マレイン酸を留去し、白色ワックス状のタンパク修飾剤を得た。またゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、展開溶媒;THF(テトラヒドロフラン)、標準サンプル;PEG(ポリエチレングリコール))で分子量を測定した結果、15000であった。
【0025】
【合成例2】
分子量1500のα−アリル−ω−メトキシ−ポリオキシエチレンの代わりに、分子量3000のα−アリル−ω−メトキシ−ポリオキシエチレン300g(100mmol)を用いた以外は、合成例1と同様にしてタンパク修飾剤を得た。得られたタンパク修飾剤の分子量は約31000であった。
【0026】
【合成例2】
分子量1500のα−アリル−ω−メトキシ−ポリオキシエチレンの代わりに、分子量1500のα−アリル−ω−ヒドロキシ−ポリオキシエチレン150g(100mmol)を用いた以外は、合成例1と同様にしてタンパク修飾剤を得た。得られたタンパク修飾剤の分子量は約15000であった。
【0027】
【実施例1】
タンパク質分解酵素として商品名「ビオプラーゼ」(ナガセ生化学工業(株)製)5gをpH=8.6のほう酸緩衝液50mlに溶解し、5℃に保ちながら、合成例1で得られたタンパク修飾剤5gを30分間かけて徐々に加えた後、更に5℃に保ちながら1時間撹拌した。反応終了後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、更に防腐剤としてパラヒドロキシ安息香酸メチル0.1gを加え、洗浄保存液を調製した。
【0028】
【実施例2】
タンパク修飾剤の使用量を10gとした以外は、実施例1と同様にして洗浄保存液を調製した。
【0029】
【実施例3】
タンパク修飾剤の使用量を2.5gとした以外は、実施例1と同様にして洗浄保存液を調製した。
【0030】
【実施例4】
タンパク修飾剤として、合成例2で合成したタンパク修飾剤10gを用いた以外は、実施例1と同様にして洗浄保存液を調製した。
【0031】
【実施例5】
タンパク修飾剤として、合成例3で合成したのタンパク修飾剤5gを用いた以外は、実施例1と同様にして洗浄保存液を調製した。
【0032】
【実施例6】
酵素として、商品名「ビオプラーゼ」(ナガセ生化学工業(株)製)の代わりに、商品名「アクチナーゼ」(科研製薬(株)社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして洗浄保存液を調製した。
【0033】
【実施例7】
酵素として、商品名「ビオプラーゼ」(ナガセ生化学工業(株)製)の代わりに、商品名「プロテアーゼアマノ」(天野製薬(株)社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして洗浄保存液を調製した。
【0034】
【実施例8】
リゾチーム0.129g、アルブミン0.394g、γ−グロブリン0.275g、第1リン酸ナトリウム0.08g、塩化カルシウム2水和物0.022g、1N水酸化ナトリウム0.3ml及び蒸留水100mlを混合して人工涙液を調製した。
次いで酸素透過性コンタクトレンズ(メニコン(株)製、商品名「メニコンEX」)を前記人工涙液中で15分間煮沸した後、生理食塩水で洗浄した。この操作を3回繰返すことにより人工汚垢レンズを得た。該人工汚垢レンズは、暗視野実体顕微鏡を用いると、レンズ全体が白濁して観察された。
【0035】
そこで、この人工汚垢レンズを実施例1〜7で得られた各洗浄保存液中にそれぞれ別々に室温で6時間浸漬させた後、蒸留水ですすぎ、暗視野実体顕微鏡にて観察した結果、すべて透明となり、優れた洗浄効果が確認できた。また実施例1〜7で調製した後、6か月が経過した洗浄保存液を用いて同様の評価を行ったところ、すべて透明なレンズが得られた。従って該洗浄保存液は、6か月洗浄効果を維持していることが判った。
【0036】
【比較例1】
商品名「ビオプラーゼ」(ナガセ生化学工業(株)製)5gを、pH=7.4のほう酸緩衝液50mlに溶解させ、洗浄液を調製した。これを用いて、実施例8と同様のタンパク質洗浄試験を行った。その結果、洗浄液調製直後では、透明なレンズが得られ、実施例1〜7で調製した洗浄保存液と同等の洗浄効果が得られたが、6か月間室温で放置した後、同様の評価を行ったところ、レンズは白濁しており、洗浄効果がないことが判った。
【0037】
【比較例2】
酵素として、商品名「ビオプラーゼ」(ナガセ生化学工業(株)製)の代わりに、商品名「アクチナーゼ」(科研製薬(株)社製)を用いた以外は、比較例1と同様にして洗浄保存液を調製して試験した。その結果、洗浄保存液調製直後では優れた洗浄効果が確認できたが、6か月後では洗浄効果はなかった。
【0038】
【比較例3】
酵素として、商品名「ビオプラーゼ」(ナガセ生化学工業(株)製)の代わりに、商品名「プロテアーゼアマノ」(天野製薬(株)社製)を用いた以外は、比較例1と同様にして洗浄保存液を調製して試験した。その結果、洗浄保存液調製直後では優れた洗浄効果が確認できたが、6か月後では洗浄効果はなかった。
【0039】
【実施例9】
実施例1〜3で得られた洗浄保存液の40℃での経時安定性を、商品名「ビオプラーゼ」(ナガセ生化学工業(株)製)の基質であるカゼインの水解活性測定により評価した。すなわち、まずカゼイン(Hammarsten社製)1.2gに、50mMリン酸水素二ナトリウム水溶液160mlを加え、加熱して完全に溶解させ、希塩酸でpHを7.5に調整した後、精製水を加えてカゼイン含有溶液200mlを調製した。このカゼイン含有溶液30mlを試験管にとり、37℃に保温した状態で実施例1〜3で得られた各洗浄保存液0.6mlを加えた。続いて37℃で20分間加温した後、タンパク質沈殿試薬(トリクロロ酢酸18.0g、酢酸ナトリウム18.0g、酢酸19.0mlを精製水に溶解して1リットルとしたもの)3.0mlを加えて酵素反応を停止させ、これを濾過した。この濾液0.8mlを試験管にとり、0.55M炭酸ナトリウム水溶液2.0mlと、Folin試薬0.4mlを加えて37℃で30分間加温して発色させ、660nmにおける吸光度を測定した。調製直後の洗浄液の吸光度に対する所定時間経過後の洗浄液の吸光度の比率を酵素活性残存率として表1に示す。
【0040】
【比較例4】
比較例1で得られた洗浄液について、実施例9と同様に経時安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0041】
表1から、比較例4では1週間後には酵素活性の完全な失活が見られるのに対し、本発明による洗浄保存液は、4週間後においてもコンタクトレンズの洗浄に有効な酵素活性残存率を有していることが判った。
【0042】
【表1】
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