JP3587819B2 - トンネル覆工内面への耐火板取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルの耐火対策としてトンネル覆工内面に布設される耐火板の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近のトンネルでは、火災などによるトンネル覆工の劣化や損傷等を防止するために耐火対策が求められており、覆工コンクリートや覆工セグメント等よりなるトンネル覆工内面に金属板等の耐火板を設置することが提案されている。
【0003】
上記のような耐火板をトンネル覆工内面に取付ける方法としては、いわゆる直張りが一般的であり、例えば耐火板に形成した取付孔に対応してトンネル覆工内面に形成したアンカー挿入孔内に、あと施工アンカーを打設し、そのアンカーに取付ボルトで耐火板を取付ける。あるいはトンネル覆工内面に予めインサートやスタッドを埋設し、それらに取付ボルトで耐火板を取付けるようにしている。
【0004】
ところが、上記のようなアンカー挿入孔を所定位置に精度よく設けることは難しく、また覆工内面の不陸やカーブ等に対して可撓性のない耐火板が追従できないため、耐火板の取付孔との位置合わせが難しい。また上記のインサートやスタッドは予め覆工の所定位置に埋設されているので、その位置変更ができない。特に、シールドトンネルでは、セグメントが用いられ、工場でセグメントを製造する際にインサートやスタッドを埋設するので、現場での位置変更は殆ど不可能であり、耐火板を所定の位置に取付けるのは非常に困難もしくは取付不能となる場合も少なくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、トンネル覆工内面に耐火板を簡単・確実に取付け支持させることのできる耐火板取付構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明によるトンネル覆工内面への耐火板の取付構造は以下のようにしたものである。即ち、トンネル覆工内面に取付けた支持プレートに、係止フックを係合保持させ、その係止フックに取付ボルトとナットとで耐火板を取付け支持させると共に、上記取付ボルトの頭部と耐火板との間に可燃性または熱溶融性のパッキンを介在させたことを特徴とする。
【0007】
なお、上記取付ボルトには、必要に応じて段落とし部を設ける。さらに上記耐火板には、上記係止フックとボルト・ナットとが挿通可能な貫通孔を形成すると共に、その貫通孔内に耐火性の充填材を充填させるとよい。また隣接する耐火板間のトンネル覆工側には、必要に応じて耐火性のシール材を介在させるとよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施形態に基づいて本発明を具体的に説明する。図1(a)は本発明によるトンネル覆工内面への耐火板取付構造の一実施形態を示す正面図、同図(b)はその縦断側面図、図2はその一部の拡大縦断側面図、図3は更にその一部の拡大縦断側面図である。
【0009】
図において、1はトンネル覆工Fの内面に配設した支持プレートで、該支持プレート1は金属板等により上部に断面略コ字形の折曲部1aを有する長尺帯状に形成され、その長手方向をトンネル長手方向と略平行に配置すると共に、トンネル周方向に所定の間隔をおいて複数本配設されている。
【0010】
その各支持プレート1は、その長手方向複数箇所を固定具2でトンネル覆工Fの内面に取付けたもので、その固定具2として本実施形態においては、覆工F内に予め埋設した筒状のインサート21と、そのインサート21の雌ねじ孔(不図示)に螺合するボルト22等を用いたものである。なお、その固定具2としては、例えば、あと施工アンカーを用いる等その他適宜である。
【0011】
上記のようにして支持プレート1を設置したトンネル覆工Fの内面には、その周方向に並ぶ複数本(図の場合は3本)の支持プレート1を跨ぐようにして、略平板状に形成したセラミック製の耐火板3が配設され、その耐火板3に形成した取付孔3aに対応して前記支持プレート1の折曲部1aに係合させた係止フック4に取付ボルト5とナット6とで耐火板3を取付け支持させた構成である。上記ナット6は係止フック4に溶接等で一体的に固着され、そのナット6に取付ボルト5がねじ込まれている。
【0012】
図中、7は上記取付ボルト5に嵌めたワッシャで、そのワッシャ7は耐火板3の取付孔3aよりも大径に形成され、そのワッシャ7の耐火板3側にはワッシャ7と略同径の可燃性または熱溶融性材料よりなるパッキン8が設けられている。また上記取付孔3a内にはモルタル等の耐火性の充填材9が充填されている。
【0013】
なお上記係止フック4には、必要に応じて抜け止め用のバネ板10を設けるとよく、本実施形態においては、図4に示すように断面略L字形に形成したバネ板10を係止フック4に溶接等で一体的に取付け、係止フック4のU字状の湾曲部内に位置する上記バネ板10の下部折曲部に波板状の湾曲部10aを形成した構成である。
【0014】
上記係止フック4を図4(a)の状態から同図(b)のように支持プレート1の折曲部1aに係合させたとき、その折曲部1aと係止フック4との間に上記湾曲部10aがやや圧縮状態で挟持され、その弾発力(弾性復元力)で係止フック4が支持プレート1に対して抜け止め係止される構成である。
【0015】
また本実施形態における上記取付ボルト5の雄ねじ部5bの先端部付近には、前記ナット6の内径よりも小径の段落とし部5cが形成され、その段落とし部5cの軸線方向長さは、ナット6の軸線方向長さと同等もしくはそれよりも長く形成されている。また図2において、11は隣接する耐火板3・3の突き合わせ端部3bのトンネル覆工F側に介在させたセラミックウール等よりなる耐火性のシール材で、火災発生時等に隣り合う耐火板の隙間から火炎等が覆工内面側に侵入するのを防ぐものである。
【0016】
上記の構成において、トンネル覆工Fの内面に耐火板3を布設するに当たっては、予め前記固定具2により覆工Fの内面に図1のように支持プレート1を取付け、これに耐火板3を取付け支持させるもので、先ず、図5(a)および図6のようにワッシャ7およびパッキン8の中心孔7a・8aに取付ボルト5を挿通し、その先端部を係止フック4に固着したナット6にねじ込んだ状態で、そのナット6および係止フック4を耐火板3に形成した取付孔3aに挿入した後、図5(b)および図7のように係止フック4を支持プレート1の折曲部1aに引っ掛けるようにして係合保持させる。
その際、耐火板3に形成した取付孔3aが、図のように係止フック4とナット6とが挿通可能な貫通孔となっていれば、取付ボルト5にワッシャ7とパッキン8および係止フック4を介してナット6を予めねじ込んだ状態で、耐火板3の表面側からの作業のみによって、係止フック4を支持プレート1に係合保持させることができるので、極めて作業性がよい。また、係止フック4に前記のような抜け止め用のバネ板10を設けると、係止フック4が折曲部1aから不用意に抜け落ちたり、がたつくのを防止することができる。
【0017】
次いで、耐火板3の取付孔3a内に図に省略したホース等を介してモルタル等の耐火性の充填材を充填した後、取付ボルト5をナット6に更にねじ込むことによって、前記図3のようにワッシャ7およびパッキン8を耐火板3の内面に圧接させると共に、取付ボルト5の頭部5aと支持プレート1との間に耐火板3を挟んだ状態で締め付け固定するものである。
【0018】
このように、支持プレート1に係合する係止フック4と、その係止フック4に耐火板3を取付けるためのボルト5・ナット6等を使用することによって、前記従来のような面倒な位置合わせ作業を省くことができ、耐火板3を所定の位置に簡単・確実に取付け支持させることができる。即ち、係止フック4は、覆工Fの内面に固定されている支持プレート1の折曲部1aに対してスライドさせることができ、また取付ボルト5は取付孔3aの孔径分だけ径方向に移動させることができ、さらに取付ボルト5のナット6に対するねじ込み量の加減によって耐火板3の締付け程度を調整することができるので、位置合わせしながらの固定作業を容易・迅速に行うことができるものである。
【0019】
なお取付ボルト5には、前述のように段落とし部5cを設けるとよく、そのようにすると、例えば前記図3のように耐火板3を取付けた状態から万一ボルト5が緩んでも、図8のように上記段落とし部5cにナット6が係合して、その状態で抜け止め係止され、上記取付ボルト5とナット6とを人為的に芯あわせしてボルトを回動しない限りは、ボルト5および耐火板3が不用意に落下することがないものである。なお、上記取付ボルト5は、既存のものに単に段落とし部5cを加工するだけでよく、別途付属構成部品等を必要としないので容易・安価に製造することができる。
【0020】
また耐火板3は、取付ボルト5の頭部5aとナット6との間に位置させる構成とし、そのボルト頭部5aとナット6との間、特に耐火板3の内面側(トンネル空間側)に可燃性または熱溶融性材料よりなるパッキン8を介在させるとよい。そのパッキンとしては紙又は合成樹脂もしくはゴム、特に有機系のものが望ましい。
【0021】
本実施形態においては取付ボルト5の頭部5a側にワッシャ7を設け、そのワッシャ7の耐火板3側にパッキン8を設けたが、ボルト頭部5aを耐火板3の取付孔3aよりも大径に形成し、もしくはボルト頭部5aにフランジ部を形成して、そのボルト頭部5aもしくはフランジ部の耐火板3側にパッキン8を設けてもよい。
【0022】
また上記実施形態は、係止フック4にナット6を取付け、そのナット6に取付ボルト5をねじ込むようにしたが、係止フック4にボルト5を取付け、そのボルト5にナット6をねじ込むようにしてもよい。その場合、上記パッキン8および必要に応じてワッシャ7はナット側に設ければよい。
【0023】
上記のようにボルト頭部5aとナット6との間に可燃性または熱溶融性材料よりなるパッキン8を介在させると、火災発生時にはパッキン8が溶融もしくは消失して耐火板3の取付部に遊びが生じる。これにより、耐火板3や支持プレート1もしくはボルト5・ナット6等が熱膨張しても、その膨張差等により耐火板3の取付部に無理な力が作用することはなく、耐火板3が変形もしくは破損するのを防止することができる。特に、耐火板3としてセラミック製のものを用いた場合には、耐火板3が熱で割れるのを防ぐことができるものである。
【0024】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によるトンネル覆工内面への耐火板取付構造は、上記の構成であるから以下のような効果が得られる。
(1)前記従来のような面倒な位置合わせ(穴合わせ)等が不要であり、覆工内面に不陸やカーブがあっても耐火板を簡単・確実に取り付けることができる。
(2)例えば地震時によりトンネル覆工内面が多少変形しても支持プレート1等が変形してそれを吸収するので、追従性が高く、耐震性に優れる。
(3)取付方法が容易であるため、作業効率が高い。
(4)耐火板の材質や種類を限定することなく対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明による耐火板取付構造の一実施形態を示す正面図。
(b)はその縦断側面図。
【図2】上記耐火板取付構造の一部の拡大縦断側面図。
【図3】上記耐火板取付構造を更に拡大した一部の縦断側面図。
【図4】(a)は係止フックおよびバネ板の拡大図。
(b)は支持プレートに係合させた状態の同上図。
【図5】(a)は上記耐火板取付構造の要部の分解斜視図。
(b)は組付け状態の同上図。
【図6】上記耐火板取付構造の組付け要領の説明図。
【図7】上記耐火板取付構造の組付け要領の説明図。
【図8】ボルトが緩んだ状態の上記耐火板取付構造の縦断側面図。
【符号の説明】
1 支持プレート
2 固定具
3 耐火板
3a 取付孔
4 係止フック
5 取付ボルト
5a 頭部
5b 雄ねじ部
5c 段落とし部
6 ナット
7 ワッシャ
8 パッキン
9 充填材
10 バネ板
11 シール材
F トンネル覆工
Claims (4)
- トンネル覆工内面に取付けた支持プレートに、係止フックを係合保持させ、その係止フックに取付ボルトとナットとで耐火板を取付け支持させると共に、上記取付ボルトの頭部と耐火板との間に可燃性または熱溶融性のパッキンを介在させたことを特徴とするトンネル覆工内面への耐火板取付構造。
- 前記取付ボルトに段落とし部を設けた請求項1記載のトンネル覆工内面への耐火板取付構造。
- 前記耐火板に、前記係止フックとボルト・ナットとが挿通可能な貫通孔を形成すると共に、その貫通孔内に耐火性の充填材を充填してなる請求項1または2記載のトンネル覆工内面への耐火板取付構造。
- 隣接する耐火板間のトンネル覆工側に耐火性のシール材を介在させた請求項1〜3のいずれかに記載のトンネル覆工内面への耐火板取付構造。
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