JP3589080B2 - トルク検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングホイールの操作により発生する操舵トルクを検出するトルク検出装置に関し、操舵トルクを電気モータの駆動力によってアシストする電気式動力舵取装置に用いられるトルク検出装置として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記電気式動力舵取装置に用いられるトルク検出装置として、たとえば図19および図20に示すものが知られている。
図19は、上記電気式動力舵取装置の操舵機構の構造を一部断面を含んで示す説明図であり、図20は、図19に示す操舵機構に備えられたトルク検出装置の電気的構成をブロックで示す説明図である。
最初に、上記操舵機構の構造について図19を参照して説明する。
操舵機構70には、車両のステアリングホイール(図示省略)に連結された中空のシャフト72が備えられており、シャフト72の下部は、ハウジング73の上部73aに挿通されている。ハウジング73の下部73bには、シャフト74が挿通されており、シャフト74の下部には、ラックRと噛み合うピニオンPが取付けられている。また、ラックRには、操舵力をアシストする図示しないモータの回転トルクが伝達するようになっている。
【0003】
シャフト72の内部には、トーションバー75が収容されており、トーションバー75の上端は、ピン76によってシャフト72と結合されている。トーションバー75の下端は、シャフト74の凹部とスプライン係合している。
ハウジング73の内部に位置するシャフト72の中間部には、磁性体材料で形成されたセンサリング77が設けられており、シャフト74には、磁性体材料で形成されたセンサリング78が設けられている。ハウジング73の内部に位置するセンサリング77,78の外周面と対向する箇所には、各センサリング77,78と所定のギャップを隔ててセンサコイル79が設けられている。
つまり、センサリング77,78と、センサコイル79と、センサリング77,78およびセンサコイル79間のギャップとによってセンサ部71が構成されている。
【0004】
そして、上記構造の操舵機構70では、ステアリングホイールの操作によりシャフト72に操舵トルクが伝わると、トーションバー75がねじれることにより、シャフト72とシャフト74との間で相対変位が生じ、センサリング77,78のオーバラップ量が変位し、センサコイル79に発生するインダクタンスが変化する。そのインダクタンスは、ハウジング73に設けられたインターフェース回路部(以下、I/F回路部と称する)80によって検出され、トルク信号に変換されて車両に備えられたマイクロコンピュータ(以下、マイコンと称する)に出力される。
【0005】
次に、I/F回路部80の動作について図20を参照して説明する。
電源入力により供給される直流電流は、フィルタ回路82によって余分な高調波成分が除去された後、レギュレータ回路83によって基準電圧に変換される。そして、発振回路84は、レギュレータ回路83から発生した基準電圧に基づいて正弦波信号を発生し、この正弦波信号をセンサコイル79に印加する。すると、センサコイル79の両端には、センサコイル79のインダクタンスに比例した正弦波電圧が発生するため、その正弦波電圧のAC成分をDCカット回路85によって取り出し、さらに検波回路86によりAC成分の振幅を取り出すことで、その振幅に比例した直流電圧を有する信号に変換され、加算回路87に入力される。
【0006】
また、センサコイル79の両端に発生した正弦波電圧は、温度補償回路88にも入力され、センサコイル79のインダクタンスが温度の影響を受けてドリフトする量を示す温度ドリフト信号に変換される。そして、その温度ドリフト信号は加算回路87に補償信号として入力され、加算回路87では、検波回路86から出力された信号と、温度補償回路88から出力された補償信号との差を取り出し、温度ドリフト成分をキャンセルしたトルク成分のみのトルク成分信号をスケーリング回路89へ出力する。続いて、スケーリング回路89ではトルク成分信号のゲインを変換し、このゲインの変換されたトルク成分信号は出力アンプ回路90によって増幅された後、さらにトルク信号として図示しないマイコンのA/D入力ポートへ出力される。
【0007】
そして、マイコンは入力されたトルク信号の大きさに基づいて電気モータによるアシスト量を演算し、その演算されたアシスト量に応じた駆動信号がモータ駆動回路から電気モータへ出力され、電気モータの回転トルクがラックR(図19)に伝達され、操舵トルクがアシストされる。
また、I/F回路部80を構成するスケーリング回路89や出力アンプ回路90などはアナログ回路であるため、半導体素子の特性上のバラツキなどによってトルク信号の出力に変動を生じ得る。そのような変動が生じると、マイコンによって演算されるアシスト量が変動し、ステアリング操作の違和感に結び付くおそれがある。
そこで、従来は、スケーリング回路89および出力アンプ回路90にポテンショメータ89a、90aを設けることにより、各回路の出力を微調整できるようにし、上記違和感が発生しないようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、センサリング77,78およびセンサコイル79の機械的な加工精度のばらつき、あるいは、材料の特性上のばらつきにより、検出するトルクがセンサ部71ごとにばらつく場合がある。
つまり、従来は、センサ部71に特性差が存在するため、作用した操舵トルクが同じであってもマイコンが演算するアシスト量が電気式動力舵取装置ごとに異なる結果となり、同じ車種でも操舵フィーリングが異なる可能性があった。
【0009】
そこで、本発明は、トルクを検出するセンサ部の特性差によって生じる操舵フィーリングのばらつきをなくすことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段、作用および発明の効果】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、操舵機構に接続されたステアリングホイールの操作により発生する操舵トルクに応じてインダクタンスが変化するセンサコイルを有するセンサ部と、前記インダクタンスを検出するとともに、その検出したインダクタンスに対応する周期を有するトルク信号を出力するインターフェース回路部と、このインターフェース回路部から出力された前記トルク信号に基づいて前記操舵トルクを演算するマイクロコンピュータとを備えており、そのマイクロコンピュータにより演算された操舵トルクに対応する駆動信号によって電気モータを駆動し、その電気モータの駆動力によって前記操舵トルクを補う電気式動力舵取装置を機能させるために前記操舵トルクを検出するトルク検出装置において、前記電気式動力舵取装置に組み付ける前の単体の前記インターフェース回路部に基準となる正弦波電圧を印加することにより、前記インターフェース回路部が単体のときの温度変化による前記トルク信号の周期のズレ量と、前記電気式動力舵取装置に組み付ける前の単体の前記センサ部のセンサコイルの温度変化によるインダクタンス差と、前記センサ部および前記インターフェース回路部を前記電気式動力舵取装置に組み付け、前記ステアリングホイールを所定の基準角度操作して所定の操舵トルクを発生させた状態における前記インターフェース回路部から出力される常温時のトルク信号の周期のズレ量と、を含む特性差を示す特性差データを書換え可能に記憶する特性差データ記憶手段を備えており、前記マイクロコンピュータは、演算された操舵トルクに対して、前記特性差データ記憶手段に記憶された前記特性差データに対応する補正を行うという技術的手段を採用する。
【0011】
特性差データ記憶手段は、操舵機構に接続されたステアリングホイールの操作により発生する操舵トルクを検出するセンサ部の特性差を示す特性差データを記憶する。
そして、補正手段は、上記センサ部の出力に基づいて上記操舵トルクを演算する操舵トルク演算手段によって演算される操舵トルクに対して、上記特性差データ記憶手段に記憶された特性差データに対応する補正を行う。
したがって、上記演算される操舵トルクが、センサ部の特性差によってばらつくのを解消できるため、同じ車種でも操舵フィーリングがばらつくという事態をなくすことができる。
【0013】
特に、請求項2に記載の発明では、特性差データ記憶手段に記憶された各特性差データを書き換える書換え手段が備えられているため、たとえば、経年変化などによってセンサ部の特性が変化し、その特性差が変化した場合であっても、その特性差データを書き換えることができるため、演算された操舵トルクに対して、その書き換えた特性差データに対応する補正を行うことができるので、経年変化によって同じ車種でも操舵フィーリングがばらつくという事態をなくすことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のトルク検出装置の実施形態について図を参照して説明する。
図1は、操舵機構の構造を一部断面を含んで示す説明図である。図2(A)は、図1に示す操舵機構を有する電気式動力舵取装置の電気的構成をブロックで示す説明図であり、図2(B)は、図2(A)に示すEEPROM29の記憶内容を示す説明図である。
【0015】
図1に示すように、操舵機構60は、図19に示した従来の操舵機構70とほぼ同じ構造であり、この実施形態においては、I/F回路部80が設けられていない点が異なる。I/F回路部は、図2(A)に符号50で示すように、車両に備えられた電子制御ユニット(以下、ECUと称する)100に備えられている。I/F回路部50は、マイコン20に接続されており、マイコン20は、電気モータMを駆動するモータ駆動回路102に接続されている。また、ECU100には、EEPROM29が備えられており、EEPROM29は、マイコン20に接続されている。EEPROM29は、マイコン20がトルク値を演算する際に、トルク値を補正するために用いる後述する各種データが記憶される。
【0016】
次に、センサ部71、I/F回路部50およびマイコン20の電気的構成について、それをブロックで示す図3を参照して説明する。
センサ部71は、センサコイル79と、センサリング77,78と(図1)、センサコイル79およびセンサリング77,78間のギャップとからなる磁気回路で構成されている。
I/F回路部50は、トルクを検出するトルク検出回路51と、このトルク検出回路51の異常を検出するフェール検出回路56とから構成されている。
メイン発振回路52は、自身が有する抵抗と、センサコイル79に発生するインダクタンスとによってLR発振回路を構成しており、センサコイル79に発生するインダクタンスに対応する周期を有するパルス信号を発振する。このメイン発振回路52から発振されたパルス信号は、パルス整形回路53によって波形整形され、その波形整形されたパルス信号は、トルク信号Tとしてマイコン20のタイマ入力20aに入力される。
【0017】
温度検出回路54は、センサコイル79に発生する交直流重畳信号から直流成分を取り出し、この取り出した直流成分に必要なスケーリングを加え、このスケーリングを加えた信号を温度特性信号(以下、温特信号と称する)Vtとしてマイコン20のA/D入力20bおよび差動増幅回路65へ出力する。また、トルク検出回路51には、I/F回路部50の回路温度を検出する温度センサ55が設けられており、その温度センサ55によって検出された回路温度信号thは、マイコン20のA/D入力20cへ出力される。
なお、本実施形態では、温度センサ55としてサーミスタを用いる。
【0018】
フェール検出回路56には、トルク検出回路51に備えられたメイン発振回路52とほぼ同じ構成のサブ発振回路57が備えられている。このサブ発振回路57も、メイン発振回路52と同様に、自身が有する抵抗とセンサコイル79のインダクタンスとによってLR発振回路を構成しており、センサコイル79のインダクタンスに対応する周期を有するパルス信号をメイン発振回路52の発振タイミングで発振する。
【0019】
サブ発振回路57から発振した信号は、パルス整形回路58によって波形整形され、その波形整形された信号は、モニタ1信号としてマイコン20のタイマ入力20dへ出力される。
また、フェール検出回路56には、トルク検出回路51に備えられた温度検出回路54とほぼ同じ構成の温度検出回路59が備えられている。この温度検出回路59は、センサコイル79に発生する交直流重畳信号から直流成分を取り出し、この取り出した直流成分に必要なスケーリングを加え、このスケーリングを加えた信号を差動増幅回路65へ出力する。差動増幅回路65からの出力は、モニタ2信号としてマイコン20のA/D入力20eに入力される。
【0020】
ここで、ステアリング操作から操舵トルクのアシストに至るまでの主な流れを説明する。
ステアリングホイールが操作されると、トーションバー75(図1)がねじれることにより、シャフト72とシャフト74との間で相対変位が生じ、センサリング77,78のオーバラップ量が変位し、センサコイル79のインダクタンスが変化する。そのインダクタンスに対応する周期を有するパルス信号をメイン発振回路52が発振し、そのパルス信号は、パルス整形回路53による波形整形を経てトルク信号Tとしてマイコン20のタイマ入力20aに入力される。
そして、マイコン20は、取り込んだトルク信号Tの周期に基づいてトルク値を演算する。続いて、そのトルク値は、モータ駆動回路102(図2(A))に出力され、モータ駆動回路102は、トルク値に対応する駆動信号を電気モータMへ出力する。そして、電気モータMが回転し、その回転トルクがラックR(図1)に伝達し、操舵トルクがアシストされる。
【0021】
また、マイコン20は、取り込んだ温特信号Vtを用いてセンサ部71の温度変化によるトルク信号Tの補正を行い、回路温度信号thを用いてI/F回路部50の温度変化によるトルク信号Tの補正を行う。
さらに、マイコン20は、トルク信号Tおよびモニタ1信号を監視しており、両信号に所定の差が発生した場合に、メイン発振回路52に異常が発生したと判定する。その判定は、たとえば、モニタ1信号のパルス幅Bを2倍した値から、トルク信号の周期Aを減算した値(2B−A)が所定値Cを超えたか否かに基づいて行う。
また、マイコン20は、モニタ2信号の電圧V2を監視しており、その電圧V2が所定の範囲外となった場合に、温度検出回路54に異常が発生したと判定する。その判定は、たとえば、電圧V2がVB≦V2≦VAの範囲外となったか否かに基づいて行う。
【0022】
次に、本実施形態のトルク検出装置の特徴部分について図4ないし図16を参照して説明する。
本実施形態のトルク検出装置は、センサ部71およびI/F回路部50の温度変化および組み付け誤差などによるトルク信号Tのばらつきを補正することに加えて、センサ部71の特性差によるトルク信号Tのばらつきを補正し、同じ車種による操舵フィーリングのばらつきをなくすことができることを特徴とする。
なお、以下に説明する各処理において取得される各種のズレ量は、ECU100に備えられたEEPROM29(図2(B))に格納されるものとする。
【0023】
図4は、マイコン20がトルク信号Tを取り込んで上記各補正を行い、トルク値を演算するまでの処理の流れをブロックで示す説明図である。図5ないし図7は、図4に示す各ブロックにおいて行われる処理の詳細を示す説明図である。
図8ないし図10は、マイコン20がリアルタイムで実行する処理の流れを示すフローチャートである。図8は、トルク信号Tに基づいて実行するトルク信号演算の流れを示すフローチャートであり、図9は、温特信号Vtに基づいて実行する温特信号演算の流れを示すフローチャートであり、図10は、回路温度信号thに基づいて実行する回路温度演算の流れを示すフローチャートである。
【0024】
図11ないし図16は、図8ないし図10に示す各処理を実行する際に用いるデータを予め取得しておくために行う処理の流れを示すフローチャートである。図11ないし図13は、I/F回路部50およびセンサ部71を実車に組み付ける前にデータを取得する処理の流れを示すフローチャートである。
図11は、I/F回路部50単体のときの温度変化によるトルク信号のズレ量などのデータを取得するための処理の流れを示すフローチャートであり、図12は、I/F回路部50単体のときの温度変化による温特信号のズレ量などのデータを取得するための処理の流れを示すフローチャートであり、図13は、センサ部71の特性差によるインダクタンス差を取得するための処理の流れを示すフローチャートである。
【0025】
図14ないし図16は、I/F回路部50およびセンサ部71を実車に組み付けた後でデータを取得する処理の流れを示すフローチャートである。
図14は、常温時のトルク信号データを取得するための処理の流れを示すフローチャートであり、図15は、常温時の温特信号データを取得するための処理の流れを示すフローチャートであり、図16は、インダクタンス補正のための係数を演算するための処理の流れを示すフローチャートである。
【0026】
[組み付け前]
最初に、I/F回路部50およびセンサ部71を実車に組み付ける前にデータを取得する処理について、図11ないし図13を参照して説明する。
まず、I/F回路部50単体のときの温度変化によるトルク信号のズレ量などのデータを取得するための処理について図11を参照して説明する。
この処理は、I/F回路部50が完成した時点で、センサ部71とは別個にI/F回路部50単体で行うものであり、たとえばI/F回路部50の温度エージング工程やバーンイン検査工程における恒温環境下において行う。また、この処理は、基準となる正弦波電圧をI/F回路部50に印加して行い、I/F回路部50から出力されるトルク信号Tをマイコンに取り込むことにより行う。
【0027】
まず、周囲温度20℃に置かれているI/F回路部50から出力されるトルク信号(以下、トルク信号T(20)と称する)を取り込み(ステップ(以下、Sと略す)401)、その取り込んだトルク信号T(20)の周期のズレ量(以下、ズレ量T(20)と称する)を演算し、そのズレ量T(20)をメモリ(たとえばマイコンに内蔵されたメモリ)に格納する(S403)。また、このズレ量T(20)はEEPROM29(図2(B))にも格納される。このEEPROM29に格納されたズレ量T(20)は、後述するトルク信号回路部オフセット補正(図8のS101、図4および図5の21)における演算に用いられる。
続いて、周囲温度が80℃の時のトルク信号(以下、トルク信号T(80)と称する)を取り込み(S405)、その取り込んだトルク信号T(80)の周期のズレ量(以下、ズレ量T(80)と称する)をメモリに格納する(S407)。
【0028】
そして、メモリに格納されたズレ量T(80)からズレ量T(20)を減算したもの(T(80)−T(20))を温度差60(80−20)で除算した値K1を演算する(S409)。つまり、1℃当たりの周期のズレ量K1を求める。続いて、そのズレ量K1をEEPROM29に格納する(S411)。このズレ量K1は、後述するトルク信号回路部傾き補正(図8のS103、図4および図5の22)における演算に用いられる。
【0029】
次に、I/F回路部50単体のときの温度変化による温特信号のズレ量などのデータを取得するための処理の流れについて図12を参照して説明する。
この処理も前述のトルク信号Tの周期のズレ量を求める処理と同じ環境下で行う。
まず、周囲温度が20℃の時にI/F回路50から出力される温特信号(以下、温特信号Vt(20)と称する)を取り込み(S501)、その取り込んだ温特信号Vt(20)の電圧のズレ量(以下、ズレ量Vt(20)と称する)を演算し、そのズレ量Vt(20)をメモリに格納する(S503)。また、このズレ量Vt(20)は、EEPROM29(図2(B))にも格納される。このEEPROM29に格納されたズレ量Vt(20)は、後述する温特信号回路部オフセット補正(図9のS201、図4および図5の26)における演算に用いられる。続いて、周囲温度が80℃の時の温特信号(以下、温特信号Vt(80)と称する)を取り込み(S505)、その取り込んだ温特信号Vt(80)の電圧のズレ量(以下、ズレ量Vt(80)と称する)をEEPROM29に格納する(S507)。
【0030】
そして、メモリに格納されたズレ量Vt(80)からズレ量Vt(20)を減算したもの(Vt(80)−Vt(20))を温度差60(80−20)で除算した値K2を演算する(S509)。つまり、1℃当たりのズレ量K2を求める。
続いて、そのズレ量K2をEEPROM29に格納する(S511)。このズレ量K2は、後述する温特信号回路部傾き補正(図9のS203、図4および図5の27)における演算処理のために用いる。
【0031】
次に、センサ部71の特性差によるインダクタンス差を取得するための処理の流れについて図13を参照して説明する。
この処理も前述のトルク信号Tの周期のズレ量を求める処理と同じ環境下で行う。まず、周囲温度20℃の時のセンサコイル79のインダクタンスL1を検出し(S901)、その検出したインダクタンスL1をメモリに格納する(S903)。続いて、インダクタンスL1から基準インダクタンスL0を減算してインダクタンス差ΔLを演算し(S905)、その演算したインダクタンス差ΔLをEEPROM29(図2(B))に格納する(S907)。このインダクタンス差ΔLは、後述するトルク信号センサ部特性差補正(図8のS112、図4および図6の36)における演算に用いる。
【0032】
[組み付け後]
次に、センサ部71およびI/F回路50を実車に組み付けた際の組み付け誤差を補正するために基準となるデータを取得するための処理について図14ないし図16を参照して説明する。
なお、以下の各処理は、たとえば車両出荷時に常温(10℃〜20℃)下の工場内における検査工程において行う。また、以下の各処理は、センサ部71およびI/F回路部50を実車に組み付け、ステアリングを所定の基準角度操舵し、所定の操舵トルクを発生させた状態で行う。
【0033】
最初に、トルク信号データを取得する処理の流れについて図14を参照して説明する。
上記状態でI/F回路部50から出力される常温時のトルク信号T(c)を取り込み(S601)、その取り込んだトルク信号T(c)の周期のズレ量(以下、ズレ量T3(c)と称する)を演算し、そのズレ量T3(c)をEEPROM29(図2(B))に格納する(S603)。このズレ量T3(c)は、トルク信号センサ部オフセット補正(図8のS107、図4および図6の31)における演算に用いる。
【0034】
次に、温特信号データを取得する処理の流れについて図15を参照して説明する。
この処理もトルク信号データ取得処理(図14)と同じ状態で行う。I/F回路部50から出力される常温時の温特信号Vt(c)を取り込み(S701)、その取り込んだ温特信号Vt(c)の電圧のズレ量(以下、ズレ量Vt3(c)と称する)を演算し、そのズレ量Vt3(c)をEEPROM29(図2(B))に格納する(S703)。このズレ量Vt3(c)は、温特信号センサ部オフセット補正(図9のS207、図4および図6の34)における演算に用いる。
【0035】
次に、インダクタンス補正のための係数演算処理の流れについて図16を参照して説明する。
この処理もトルク信号データ取得処理(図14)と同じ状態で行う。定数K5と、前述の温特信号データ取得処理(図15)において求められたズレ量Vt3(c)との積(K5×Vt3(c))に、前述のトルク信号データ取得処理(図14のS603)において演算されたズレ量T3(c)を加算した係数T7を演算し(S801)、その係数T7をEEPROM29(図2(B))に格納する(S803)。この係数T7は、後述するトルク信号センサ部インダクタンス補正(図8のS109、図4および図6の32)における演算に用いる。
【0036】
[トルク値演算の流れ]
次に、マイコン20が、I/F回路部50からトルク信号Tを取り込み、その取り込んだトルク信号Tに対して、上述の各処理においてEEPROM29に格納した各種のズレ量を用いて補正を行いながら正確なトルク値を演算する流れについて図4ないし図6、図8ないし図10を参照して説明する。
なお、以下の説明は、図4ないし図6に示す流れにしたがって説明する。
[トルク信号回路部オフセット補正21]
マイコン20は、I/F回路部50から出力されたトルク信号Tをタイマ入力20aに取り込んでその周期T(t)を演算し、その周期T(t)に、EEPROM29に格納されているズレ量T(20)を加算する補正により周期T1を演算する(図8のS101)。
【0037】
[電圧から温度に変換24]
一方、マイコン20は、図10の回路温度演算においてI/F回路部50から出力された回路温度信号thをA/D入力20cに取り込み、その回路温度信号thの電圧をその電圧に対応する回路温度(以下、回路温度tc0と称する)に変換する(図10のS301)。この変換は、図5の24に示すように、電圧thおよび温度tc0を対応付けたマップデータを用いて行う。
[100ケ加重平均25]
続いて、マイコン20は、100ケの温度tc0の加重平均を用いて重み付けを行った回路温度tcを演算する(図10のS303)。
[トルク信号回路部傾き補正22]
そして、マイコン20は、図8のトルク信号演算においてEEPROM29に格納されているズレ量K1に対して、回路温度演算のS303において演算された重み付けを行った回路温度tcを乗算する補正を行ってK1・tcを演算し、そのK1・tcにS101で演算された周期T1を加算する補正により周期T2を演算する(図8のS103)。
【0038】
[温特信号回路部オフセット補正26]
一方、マイコン20は、図9の温特信号演算においてI/F回路部50から出力された温特信号VtをA/D入力20bに取り込み、その温特信号Vtの電圧Vtに、EEPROM29に格納されているズレ量Vt(20)を加算する補正により電圧Vt1を演算する(図9のS201)。
[温特信号回路部傾き補正27]
続いて、マイコン20は、EEPROM29に格納されているズレ量K2に、回路温度演算のS303において演算された重み付けを行った回路温度tcを乗算する補正を行ってK2・tcを演算し、そのK2・tcにS201で演算された電圧Vt1を加算する補正により電圧Vt2を演算する(図9のS203)。
【0039】
[トルク信号回路部非線形補正23]
そして、マイコン20は、図8のトルク信号演算において回路温度thが所定値、たとえば100℃を超える非線形な領域では、重み付けした回路温度tcに対応するオフセット量ΔT2を周期T2に加算し、周期T3を演算することによりトルク信号回路部非線形補正を行う(図8のS105)。このオフセット量ΔT2の演算は、図5の23に示すように、ΔT2およびtcを対応付けたマップデータを用いて行う。
[温特信号回路部傾き補正27]
一方、マイコン20は、図9の温特信号演算において回路温度thが所定値、たとえば100℃を超える非線形な領域では、重み付けした回路温度tcに対応するオフセット量ΔVt2を電圧Vt2に加算し、電圧Vt3を演算することにより温特信号回路部非線形補正を行う(図9のS205)。このオフセット量ΔVt2の演算は、図5の28に示すように、ΔVt2およびtcを対応付けたマップデータを用いて行う。
【0040】
[トルク信号センサ部オフセット補正31]
そして、マイコン20は、図8のトルク信号演算においてS105で演算された周期T3に、EEPROM29に格納されているズレ量T3(c)を加算し周期T4を演算する(図8のS107)。
[トルク信号センサ部インダクタンス補正32]
続いて、マイコン20は、EEPROM29に格納されているズレ量T7に対するズレ量K7を演算し、そのズレ量K7にS107で演算された周期T4を乗算して周期T5を演算する(図8のS109)。ズレ量K7の演算は、図6の32に示すように、K7およびT7を対応付けたマップデータを用いて行う。
【0041】
[温特信号センサ部オフセット補正34]
一方、マイコン20は、図9の温特信号演算においてS205で演算された電圧Vt3にEEPROM29に格納されているズレ量Vt3(c)を加算して電圧Vt4を演算する(図9のS207)。
[電圧から温度に変換44]
続いて、マイコン20は、S207で演算された電圧Vt4を温度Vtsに変換する(図9のS209)。この変換は、図7の44に示すように、電圧Vt4および温度Vtsを対応付けたマップデータを用いて行う。
[100ケ加重平均45]
続いて、マイコン20は、100ケの温度Vtsの加重平均を用いて重み付けを行った回路温度Vtsaを演算する(図10のS303)。
【0042】
[トルク信号センサ部温度補正33]
そして、マイコン20は、図8のトルク信号演算において、センサコイル79の温度に対するインダクタンスのズレ量ΔT5を温特信号演算のS211で演算された重み付けした回路温度Vtsaに対するズレ量ΔT5を演算し、そのズレ量ΔT5にS109で演算された周期T5を加算して周期T6を演算する(図8のS111)。
【0043】
[トルク信号センサ部特性差補正36]
続いて、マイコン20は、EEPROM29に格納されているインダクタンス差ΔLを読出し、図6の36に示すマップデータを用いて、インダクタンス差ΔLに対応する補正係数K8を演算し、S111で演算された周期T6に補正係数K8を乗算して周期T7を演算する(図8のS112)。
このように、トルク信号センサ部特性差補正を行うことにより、センサ部71の特性差によるトルク信号Tの周期のズレをなくすことができる。
【0044】
[周期からトルクに変換41、トルク値42、100ケ加重平均43]
そして、マイコン20は、S112で演算された周期T7をその周期T7に対応するトルクに変換し、トルク値tq100を演算する(図8のS113)。この変換は、図7の41に示すように、周期T7およびトルクtq100を対応付けたマップデータを用いて行う。続いて、マイコン20は、S113で演算されたtq100を加重平均処理して重み付けを行う(S115)。
この重み付けされたtq100は、モータ駆動回路102(図2(A))へ送出され、モータ駆動回路102は、tq100に対応する周期の駆動信号を電気モータMに供給する。これにより、電気モータMが回転し、電気モータMの回転トルクがラックR(図1)に伝達され、操舵トルクがアシストされる。
上述したマイコン20、EEPROM29およびI/F回路部50が、本発明のトルク検出装置に対応する。
【0045】
以上のように本実施形態のトルク検出装置を使用すれば、センサ部71の特性差によるトルク信号Tの周期のズレをトルク信号センサ部特性差補正36(S112)によってなくすことができる。また、環境温度の変化、加工精度および組み付け誤差などによるセンサ部71やI/F回路部50の特性のばらつきを上記各種の補正処理によってなくすことができる。
したがって、トルク検出装置を取付ける同じ車種において操舵フィーリングが異なるという事態をなくすことができる。
また、上記補正処理は、上記ばらつきの大きさに対応してソフトウエアによって自動的に実行できるため、個々のアナログ回路を調整する手間が不要である。
【0046】
次に、本発明第2実施形態のトルク検出装置について図17および図18を参照して説明する。
センサ部71のセンサコイル79のインダクタンスは、経年変化によって変化する可能性がある。
そこで、たとえば、車検時にインダクタンス差ΔLを書換えることができるように構成する。図17は、その書換えをするための処理の流れを示すフローチャートであり、図18は、本第2実施形態のトルク検出装置が適用される操舵機構を示す説明図である。
【0047】
図18に示すように、操舵機構61の図面右端には、センサコイル79のインダクタンスを検出するための検出端子62が設けられており、車検時などに、その検出端子62に測定器を接続してセンサコイル79のインダクタンスL1を検出する。そして、インダクタンス差ΔLは、図17に示す流れで求める。
センサコイル79のインダクタンスL1を検出し(S921)、そのインダクタンスL1をメモリに格納し(S923)、インダクタンスL1から基準インダクタンスL0を減算してインダクタンス差ΔLを求め(S925)、そのインダクタンス差ΔLをEEPROM29に格納する(S927)。
以上のように、本第2実施形態のトルク検出装置を使用すれば、センサコイル79のインダクタンスが経年変化などによって変化した場合であっても、インダクタンス差ΔLを最新のデータに書換えることができるため、操舵フィーリングの経年変化を抑制できる。
【0048】
なお、上記各実施形態では、センサ部71の特性差を補正するためにインダクタンス差ΔLを用いたが、センサ部71のインピーダンスZの差をΔZとして用いることもできる。また、組み付けの前後において各種データを取得する際の周囲温度などの条件は、前述の条件に限定されるものではなく、設定変更することができる。
上述のインダクタンス差ΔLが本発明の特性差データに対応し、EEPROM29が特性差データ記憶手段に対応し、マイコン20が実行する図13のS901〜S907が本発明の特性差データ記憶手段として機能する。また、マイコン20が実行する図8のS112が本発明の補正手段として機能し、図17のS921〜S927が書換え手段として機能する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施形態のトルク検出装置によって機能する操舵機構の構造を一部断面を含んで示す説明図である。
【図2】図2(A)は、図1に示す操舵機構を有する電気式動力舵取装置の電気的構成をブロックで示す説明図であり、図2(B)は、図2(A)に示すEEPROM29の記憶内容を示す説明図である。
【図3】センサ部71、I/F回路部50およびマイコン20の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【図4】マイコン20がトルク信号Tを取り込んで上記各補正を行い、トルク値を演算するまでの処理の流れをブロックで示す説明図である。
【図5】図4に示す各ブロックにおいて行われる処理の詳細を示す説明図である。
【図6】図4に示す各ブロックにおいて行われる処理の詳細を示す説明図である。
【図7】図4に示す各ブロックにおいて行われる処理の詳細を示す説明図である。
【図8】トルク信号Tに基づいて実行するトルク信号演算の流れを示すフローチャートである。
【図9】温特信号Vtに基づいて実行する温特信号演算の流れを示すフローチャートである。
【図10】回路温度信号thに基づいて実行する回路温度演算の流れを示すフローチャートである。
【図11】I/F回路部50単体のときの温度変化によるトルク信号のズレ量などのデータを取得するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】I/F回路部50単体のときの温度変化による温特信号のズレ量などのデータを取得するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】センサ部71の特性差によるインダクタンス差を取得するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】
【0025】常温時のトルク信号データを取得するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】常温時の温特信号データを取得するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】インダクタンス補正のための係数を演算するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】本発明第2実施形態においてインダクタンス差ΔLの書換えをするための処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】本発明第2実施形態のトルク検出装置が適用される操舵機構を示す説明図である。
【図19】従来の電気式動力舵取装置の操舵機構の構造を一部断面を含んで示す説明図である。
【図20】図19に示す操舵機構に備えられたトルク検出装置の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【符号の説明】
20 マイコン
29 EEPROM(特性差データ記憶手段)
50 I/F回路部
71 センサ部
77,78 センサリング
79 センサコイル
Claims (2)
- 操舵機構に接続されたステアリングホイールの操作により発生する操舵トルクに応じてインダクタンスが変化するセンサコイルを有するセンサ部と、前記インダクタンスを検出するとともに、その検出したインダクタンスに対応する周期を有するトルク信号を出力するインターフェース回路部と、このインターフェース回路部から出力された前記トルク信号に基づいて前記操舵トルクを演算するマイクロコンピュータとを備えており、そのマイクロコンピュータにより演算された操舵トルクに対応する駆動信号によって電気モータを駆動し、その電気モータの駆動力によって前記操舵トルクを補う電気式動力舵取装置を機能させるために前記操舵トルクを検出するトルク検出装置において、
前記電気式動力舵取装置に組み付ける前の単体の前記インターフェース回路部に基準となる正弦波電圧を印加することにより、前記インターフェース回路部が単体のときの温度変化による前記トルク信号の周期のズレ量と、前記電気式動力舵取装置に組み付ける前の単体の前記センサ部のセンサコイルの温度変化によるインダクタンス差と、前記センサ部および前記インターフェース回路部を前記電気式動力舵取装置に組み付け、前記ステアリングホイールを所定の基準角度操作して所定の操舵トルクを発生させた状態における前記インターフェース回路部から出力される常温時のトルク信号の周期のズレ量とを含む特性差を示す特性差データを書換え可能に記憶する特性差データ記憶手段を備えており、
前記マイクロコンピュータは、演算された操舵トルクに対して、前記特性差データ記憶手段に記憶された前記特性差データに対応する補正を行うことを特徴とするトルク検出装置。 - 前記特性差データ記憶手段に記憶された前記特性差データを書き換える書換え手段が備えられたことを特徴とする請求項1に記載のトルク検出装置。
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