JP3589758B2 - 複数の長い部材を伴うタイロッドを使用する沸騰水型原子炉シュラウドの修理方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉の炉心シュラウド(core shroud)を修理する方法および装置に関する。特に、本発明の方法および装置は、水平溶接部の熱により影響を受ける領域に沿って広範な亀裂がある場合でも、原子炉の運転を安全に行わせるための沸騰水型原子炉シュラウド(囲い板)の修理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉シュラウドは、原子炉容器(reactor vessel)の中に同心状に配置されて、原子炉容器の中を通る冷却水の流れを分配し、燃料集合体(fuel assembly)、気水分離器(steam separator)アッセンブリおよび制御棒案納(内)管(control rod guide tube)を構造的に支持して整列させている。シュラウドは一般に円筒状であって、1インチ半程度の厚さを有する複数のアーチ状(弓形)の鋼プレート(steel plate、鋼板)で通常形成されている。シュラウドのそれぞれの水平レベルのプレート(板)は、突き合わされた比較的短い垂直の縁に沿って溶接により接合され、そのレベルにおいて原子炉を取り囲む。異なる隣接レベルのプレート同士は、突き合わされた比較的長いアーチ状の縁に沿って水平に溶接されて接合される。使用期間が経過すると、腐食、放射線および応力によって、溶接部の熱により影響を受ける領域にシュラウドの亀裂が入りやすくなる。垂直方向溶接部の亀裂は、これらの溶接部の長さがシュラウド全体の長さに対して相対的に短く、シュラウドの機能(即ち、核燃料集合体の支持および配列、ならびに原子炉冷却材の流れを導くこと)に悪影響を与えないので、許容できるものと考えられている。詳しくいえば、隣合うレベルの垂直溶接部は、シュラウドの周の回りで角度的にずらされているので、その溶接部の亀裂はせいぜいそのレベルの軸または垂直長さまでしか広がることはできない。しかし、より長い水平または周方向の溶接部に沿って亀裂が生じた場合、亀裂はシュラウドの周または外周全体に広がってしまい、プレートレベルの間で相対的な横方向の移動が生じる可能性がある。従って、そのような過度の亀裂によって、炉心が燃料集合体を支持したり整列させたりできなくなるおそれがあり、冷却材の流れを不適切に導いたり妨害したり、そして冷却材が漏れてしまうこともあり得る。
【0003】
水平方向の溶接部に過度の亀裂が生じた場合は、シュラウドを交換するか、修理するかしなければならない。交換にはかなりの費用を要し、操業停止期間が比較的長くなり、作業者の放射線被爆の可能性もあるという観点から、修理の方が確実に好ましい方法である。修理の技術には、溶接部の亀裂を横切って垂直方向に隣接するプレートにブラケット(bracket)をボルト止めすることが典型的に含まれる。この方法は、亀裂の長さに応じて、それぞれの亀裂に対して複数のブラケットを必要とする。更に、修理の後で、修理した溶接部に更に亀裂が入っていないかということ、ならびに別の溶接部に新たな亀裂がないかということを別に検査する必要がある。
【0004】
一体に溶接されたアーチ状のプレートの複数のレベルを有する型の原子炉シュラウドを現場で修理するための優れた方法が、米国特許出願第08/190,796号(日本国特願平6−304723号に対応)に開示されている。その方法には、溶接部に沿う水平な亀裂についてシュラウドを検査すること、亀裂の入ったシュラウドの周の回りに間隔を空けて垂直な向きに複数のタイロッドを取り付けてシュラウドを軸方向に圧縮し、それによって水平な亀裂の向い合う表面を互いに押圧させることが含まれる。この修理方法は比較的低コストであって、水平方向の溶接部の亀裂が過度になった場合でも安全な原子炉の運転が許容され、シュラウドと容器との間の環状の空間における冷却材の流れをあまり妨害することはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、上述の原子炉シュラウドの修理方法において、半径方向の小さな間隙により隔てられた同軸の縦方向の部材をタイロッドとして使用して、原子炉冷却材の流れによって引き起こされるタイロッドの過度の振動を防止し、流れにおける熱の過渡現象(thermal transients)(温度変化)によって引き起こされるシュラウドの過剰な荷重(負荷)を防止することである。
【0006】
本発明のもう1つの目的は、タイロッドの同軸の縦方向の部材同士の間の小さな半径方向の間隙を適当な減衰流体(damping fluid)、例えば原子炉冷却材などで満たすことによって、そのようなタイロッドの減衰係数(damping coefficient)を向上させることである。
【0007】
本発明の更に別の目的は、1つの同軸の縦方向の部材がシュラウドに予め荷重を加えて、軸方向に所定の距離で延びた後でのみ、もう1つの同軸の縦方向の部材に軸方向に荷重を伝達する、同軸の縦方向の部材を有するタイロッドを使用することによって、シュラウドにおける熱の過渡現象の作用を最小にすることである。
【0008】
本発明の更にもう1つの目的は、複数の半径方向スペーサをタイロッドの縦方向に沿って縦方向に間隔をあけた位置で保持することにより、シュラウドの周の回りで垂直な向きに取り付けられるタイロッドによって御棒の挿入を確実にし、予め加えられる荷重を低減することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、隣接するシュラウド・プレート・セグメントを接続する少なくとも1つの水平に延びる溶接部を有する原子炉シュラウドを修理する方法には、シュラウドの周の回りで角度的に間隔を空けた複数のそれぞれの位置に、半径方向の間隙によって隔てられた同軸の縦方向の部材を有する複数のタイロッドを垂直な向きに取り付けて、シュラウドを軸方向に圧縮すること、それによって、溶接部の熱により影響を受ける領域に沿って水平亀裂が生成することおよび/または現存する水平亀裂が互いに反対表面へと進行するのを防止することが含まれる。縦方向の部材の1つは、シュラウドに予め荷重を適用するためにシュラウドの頂部および底部に取り付けることもできるし、第1の縦方向の部材を所定の軸方向の距離で弾性的に張り渡した後に、第1の縦方向の部材から他の同軸状に配された縦方向の部材へ軸方向の荷重を伝達するように、もう1つの同軸状に配された縦方向の部材と組み合せることもできる。この方法は、タイロッドの長手方向に沿って縦方向に間隔を空けた位置に複数の半径方向スペーサを配置して、シュラウドの縦方向の動きを制限することによって、制御棒の挿入を確実に行うこと、ならびに新たな亀裂の生成の防止および現存する亀裂の安定化のために必要とされる予め適用する荷重を低減することも含んでいる。
【0010】
本発明のもう1つの要旨は、一般に、沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリが、シュラウド、ならびにシュラウドの周の回りに角度的に間隔を空けた複数のそれぞれの位置において、シュラウドの頂部および底部に隣接するシュラウドの部位(site)に取り付けられた複数のタイロッドを含むことを特徴とする。各タイロッドは、減衰流体で満たされた半径方向の間隙によって隔てられた複数の同軸の縦方向の部材を含む。縦方向の部材の1つは、シュラウドに予め荷重を適用するためにシュラウドの頂部および底部に取り付けることもできるし、第1の縦方向の部材を所定の軸方向の距離で弾性的に張り渡した後に、第1の縦方向の部材から他の同軸状に配された縦方向の部材へ軸方向の荷重を伝達するようにもう1つの同軸状に配された縦方向の部材と組み合せることもできる。複数の半径方向スペーサを、タイロッドの長手方向に沿って縦方向に間隔を空けた位置に配置して、シュラウドの縦方向の動きを制限することによって、制御棒の挿入を確実に行うこと、ならびに新たな亀裂の生成の防止および現存する亀裂の安定化のために必要とされる予め適用する荷重を低減することもできる。
【0011】
本発明の更にもう1つの要旨は、一般に、沸騰水型原子炉シュラウドに圧縮力を適用するためのタイロッドを特徴としており、減衰流体で満たされた半径方向の間隙によって隔てられた複数の同軸の縦方向の部材を含む。タイロッドは、同軸の縦方向の部材の1つの両端をシュラウドの頂部および底部に隣接するシュラウドの部位に取り付けるための手段、ならびに第1の縦方向の部材を所定の距離で軸方向に張り渡した後に、少なくとも1つの他の同軸の縦方向の部材と第1の部材とを軸方向に荷重を適用するように連結するための手段を含む。複数の半径方向スペーサを、タイロッドの長手方向に沿って縦方向に間隔を空けた位置に配置して、シュラウドの縦方向の動きを制限することにより制御棒の挿入を確実に行い、新たな亀裂の生成の防止および現存する亀裂の安定化のために必要とされる予め適用する荷重を低減することもできる。
【0012】
本発明の前述のおよび他の課題、特徴、そして多くの付随する利点は、それぞれの図面において同様の部分を同じ引用符号で示している添付図面との関連を考慮した以下の説明を読むとより良く理解されるようになるので、更に容易に認識されよう。
【0013】
【好ましい態様の説明および実施例】
本発明の方法および装置を、隣接するシュラウド・プレート・セグメントを接合する水平に延びる溶接部を有する種類の沸騰水型原子炉シュラウドの修理に用いることについて、以下説明するが、他方で本発明の方法および装置を、水平溶接部の熱により影響を受ける領域に沿って延びる水平亀裂を有するシュラウドの構造的一体性を復旧させるために使用することもできる。本明細書において使用する「修理(repair)」という用語は、新たな亀裂が生成することを防止するための本発明の使用を含むことも意味する。例えば、亀裂の生じていないシュラウドの場合、これはそれにもかかわらず水平溶接部に沿って亀裂を生じ易いものであって、原子炉を運転可能にした後の亀裂の発生を防止するために、シュラウドの取り付けの前、間または後において本発明の方法および装置を使用することができる。或いは、既に運転中の原子炉を復旧させるために使用する場合、原子炉を引き続き安全な運転および維持管理を可能にしつつ、本発明の方法および装置によって、現存する亀裂を安定化し、新たな亀裂の発生を防止することができる。
【0014】
本発明の方法および装置を理解するための参照する要点を示すために、沸騰水型原子炉アッセンブリ10を図1に一部切り欠き図で示している。本発明は、主として原子炉シュラウドにおける改善に関するものであって、原子炉自体に関するものではないという点から、本明細書では原子炉の運転について詳細な説明をしない。そのような運転に関しては、多くの出版物や特許文献、例えば、特に米国特許第3,627,634号(グエンサー(Guenther)ら)や同第4,789,520号(モリモト(Morimoto)ら)などに適切な説明がなされている。
【0015】
原子炉アッセンブリ10は圧力容器11を有しており、この容器の頂部は蓋(lid)12により緊密に封止されている。原子炉炉心シュラウド13がベッセル11の内部に取り付けられている。気水分離器14はシュラウド13の頂部の水蒸気プレナム・ヘッド20の上に取り付けられ、気水分離器の上方に水蒸気乾燥(steam drying)アッセンブリ15が配置されている。シュラウド13の中に配置されている下部原子炉炉心支持プレート16は、同じくシュラウドの中に配置されている核燃料集合体17を支えている。下部炉心格子板18と上部炉心格子板19はそれぞれ、燃料集合体17の下方と上方とに位置している。
【0016】
制御棒案納(案内)管21は、容器11の内部において、シュラウド13の下側の容器底部に位置する制御棒駆動機構(図示せず)の上方の位置に配設されている。対応する制御棒23の下端部は、その駆動機構に着脱可能に接続されており、案納管21の中を昇降するように配されている。
【0017】
再循環水は、1つまたはそれ以上の入口24を介して容器11の中に供給され、1つまたはそれ以上の出口25から排出される。また、ディフューザ(diffuser)26、炉心スパージャ(sparger)27および供給水(feed water)スパージャ28も図示されている。1つまたはそれ以上の水蒸気出口29は、シュラウドおよび気水分離器の上の位置で容器11の内部と外部との間を連絡している。
【0018】
シュラウド13は、一般に、複数のレベルからなっており、それぞれが1インチ半程度の厚みを持つアーチ型の複数の304型鋼板(SUS304)を含んでなり、それらが互いに当接している縁部で一体に溶接されている。この溶接された構造を更に良く理解するために、図2を参照する。図2では、角度に関する配置方向を参照するために設けた360゜スケールに隣接して平たく展開したプレートを示している。このプレートは、その長手、あるいはアーチのディメンジョン(dimension)を水平方向に向け、幅のディメンジョンを垂直方向に向け、そして厚さのディメンジョンを半径方向または図2の線図の面に向かう方向に位置決めしている。
【0019】
図2に描かれている特定のシュラウドは、8つの水平な環状のレベルのプレートを有しており、いずれのレベルでもプレートは同じ幅(または高さ)であって、レベルによって高さが異なっている。プレートの厚さまたは奥行きはどのレベルでも同じである。図示しているように、底部の環状レベルは2枚のプレート30、31からなり、それぞれ周方向長さが180゜分の長さであり、端部どうしが合わされ、突き合わされた端部において一体に溶接されて垂直溶接部32と33を形成している。底部から2番目のレベルは6枚のプレート34、35、36、37、38および39からなり、それぞれ周方向長さが60゜分の長さであり、これも突き合わされた端部どうしで互いに溶接されて、垂直溶接部40、41、42、43、44および45を形成している。プレート34ないし39の底縁部はプレート30、31の当接する上縁部に溶接されて、周方向に連続する水平溶接部46を形成している。プレート30および31の間の垂直溶接部32および33は、垂直溶接部40ないし45から角度的にずれているので、隣合うレベルの垂直溶接部が、角度または縦(長手)方向において整列することはない。第2レベルのプレート34ないし39が底部のレベルのプレート30、31より著しく狭い(即ち、垂直方向の高さが小さい)ということも注記しておく。
【0020】
下から3番目のレベルは、端どうしが合わされた2枚の180゜のプレート50、51を有しており、突き合わされたこれらの端において互いに溶接されて、垂直溶接部52、53を形成している。プレート50、51の底縁部はプレート34ないし39の上縁部に溶接されて、周方向に連続する水平溶接部54を形成している。垂直溶接部52、53は、垂直溶接部40ないし45ならびに垂直溶接部32および33から角度的にずれている。プレート50、51は、プレート30、31ならびにプレート34ないし40よりも幅が広い(即ち、垂直方向ディメンジョンが大きい)。
【0021】
シュラウド・プレートの第4の環状レベルは、2枚の180゜のプレート55、56を有しており、それらの端は溶接部57、58において互いに溶接されている。垂直溶接部57、58は、垂直溶接部52、53ならびに溶接部40ないし45から角度的にずれている。しかしながら、溶接部57、58はそれぞれ溶接部32、33と垂直方向に整列している。プレート57、58はシュラウドの他のレベルの全てのプレートよりも幅が広い。プレート55、56の底縁部はプレート50、51の上縁部に溶接されて、周方向に連続する水平溶接部59を形成している。
【0022】
同様に、シュラウドの続きのより高い環状レベルは、5番目のレベルにおいて2枚の180゜のプレート60、61を有し、6番目のレベルにおいて6枚の60゜のプレート64、65、66、67、68、69を有し、7番目のレベルにおいて2枚の180゜のプレート80、81を有し、そして8番目のレベルにおいて6枚の60゜のプレート84、85、86、87、88、89を有している。5番目のレベルは垂直溶接部62、63を有し、6番目のレベルは垂直溶接部70、71、72、73、74および75を有し、7番目のレベルは垂直溶接部82、83を有し、そして8番目のレベルは垂直溶接部90、91、92、93、94、95を有している。周方向に連続する水平溶接部76、77、78および79はそれぞれ、4番目と5番目のレベルの間、5番目と6番目のレベルの間、5番目と6番目のレベルの間、6番目と7番目のレベルの間、そして7番目と8番目のレベルの間に形成されている。5番目、6番目、7番目および8番目のレベルの幅または高さは全て異なっており、いずれも3番目および4番目のレベルの幅よりも狭い。
【0023】
いずれのシュラウド・レベルの垂直溶接部も、隣接するシュラウド・レベルの垂直溶接部とは整列していない。従って、どの垂直溶接部の熱により影響を受ける領域における亀裂も1つのシュラウド・レベルを越えて広がることはできず、そのような亀裂は一般に無視される。他方、水平溶接部46、54、59、76、77、78および79は周方向で連続している。従って、これらの水平溶接部の内の1つにおいて、熱により影響を受ける領域に存在する亀裂は、最終的にはシュラウドの周全体に広がり得る。地震およびその他の振動に対応して、周方向の亀裂は、シュラウド・レベルの間で水平方向の相対的な著しい動きをもたらすことがあると考えられる。このようなことが起きれば、シュラウド内に配置されている核燃料集合体の支持および整列に悪影響を及ぼすことになる。同様に、原子炉内を流れる冷却材の流れも悪影響を受けることになる。
【0024】
本発明によれば、原子炉が運転状態になる前、または既に運転中の原子炉を停止した後に、現場で(in situ)シュラウドにタイロッドを取り付ける。タイロッドの取り付けには、場合によって追加の器材を必要とすることもあるが、可能な場合には常に原子炉内の既存の構造物を用いる。タイロッドは、シュラウドと原子炉容器との間の環状の空間内で、シュラウドの周の回りで間隔を隔てて配置されている。
【0025】
シュラウド・アッセンブリの特徴は、タイロッドを取り付けたシュラウドの周の回りに角度的に間隔を空けた複数の位置において典型的に同じである。従って、以下、判り易くするために1つの角度の位置を参照して、シュラウド・アッセンブリを説明する。
【0026】
本発明の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリを図3に摸式的に示す。シュラウド101は一般に円筒状であって、底縁部103から、シュラウドの直径が大きくなる、寸法の横断方向への変化部、即ちステップ105まで垂直に延びている。シュラウドの直径の増大する部分は、ステップ105から上縁部(top edge)107まで垂直に延びている。リング形態の水平支持プレート109は、シュラウドの底縁部と原子炉容器113の内側表面111との間を接続して、シュラウド用の支持体(サポート)として機能する。環状のリムまたはフランジ115は、シュラウドの上縁部に沿って半径方向に内側に延びて、封止蓋(図示せず)をシュラウドに取り付けるための取り付け表面を形成しており、その取り付けは、シュラウドの周の回りに角度的に間隔を空けてあり、シュラウド・フランジに隣接するシュラウドの外側表面117に保持されたフランジまたは突出部(lug、ラグ)にねじ係合するボルトによって行われる。ここまで説明した構造は、本来の原子炉アッセンブリの一部であって、本発明の一部として加えられたものではない。
【0027】
タイロッドを取り付けるべきそれぞれの位置において、ブラケット(bracket)またはビーム(beam)119はシュラウドの上縁部に取り付けられて、タイロッド121の上端部を受容するような構造に形成されている。各ブラケット119は一般にL字形状であって、シュラウド・フランジ115にねじ係合するボルトによってシュラウドの外側表面に取り付けられた垂直脚部123、ならびにシュラウドから半径方向に外側に延びており、タイロッド121を通すための通し孔が形成されている水平脚部125を有している。
【0028】
タイロッド121は、シュラウドの底部のリング形態の支持プレート109と、シュラウドの頂部の近くに取り付けられたタイロッド・ブラケット119との間に延びている。タイロッド121は、水平なシュラウド支持プレート109に取り付けられた下縁部129から、タイロッド・ブラケット119の水平脚部125の下方で軸方向に間隔が空けられている上端部131まで垂直に延びるパイプ形材(pipe section)の形態のチューブ状の縦方向の部材127を有している。パイプ形材127の上端部131は環状のリムまたはフランジ133によって部分的に閉じられており、その中を通る中央開口部134を規定している。パイプ形材の下端部129は135にて閉じており、パイプ形材127の上側フランジ133により規定される開口部134と軸方向に整列してねじ付受容部(レセプタクル)137を規定している。スプリング・ロッドの形態である第2の縦方向の部材139はパイプ形材127の中に同心状に配されており、パイプ形材127の閉じた端部135にねじ係合する下端部141、ならびにパイプ形材127の上端にある開口部134およびタイロッド・ブラケット119の中の孔を通って上方に垂直に伸びる上端部143を有しており、上端部143はナット145によってねじ係合されている。ナット145は、タイロッド・ブラケットの水平脚部125に対して選択的に締め付けられて、スプリング・ロッド139を軸方向に適当な程度に緊張させ、水平なシュラウド・レベルを一体に圧縮する。
【0029】
スプリング・ロッド139は直径が増加した部分または外側に拡がるフランジ147を保持しており、該フランジ147はパイプ形材の環状リムもしくはフランジ133の下方に軸方向に間隔が空けられている当接表面149を形成しており、それらの間に軸方向の間隙151が規定されている。スプリング・ロッドおよびパイプ形材の直径の選択は、それらの間に半径方向の間隙153を提供して、スプリング・ロッド139とパイプ形材の環状リムもしくはフランジ133の間に規定される開口部を通って原子炉冷却材が流れるのに適応するように行う。
【0030】
タイロッドは二つの主要な機能を果たす。第1の機能は、水平な亀裂がシュラウドの周の360゜全体に拡がるような最悪の場合であっても、タイロッドが水平なシュラウド・レベルを一体に圧縮する(締め付ける)ことである。この目的のタイロッドの設計基準の垂直荷重能力は、修理すべき実際の原子炉によるが、1.5〜2.0×1,000,000ポンドのオーダーである。もう1つの機能は、タイロッドがシュラウド・レベル同士の間の横方向のずれ偏位(剪断片寄り、shear deflection)を防止することであり、そうしなければ、シュラウド壁部の厚さを完全に通る360゜の周の回りの亀裂によって側方に自由に動くことになり得る。横方向のずれの防止は、水平亀裂の対向する表面を互いに押圧することによって行う。原子炉にもよるが、地震による設計基準の横方向荷重は約400,000ポンドである。
【0031】
典型的なタイロッドの設備において、原子炉冷却材がタイロッドを流れて通過する結果として、約15ポンドまでの変動する力が発生し得る。タイロッドの振動減衰係数(vibration damping coefficient)値によっては、そのような力が過剰な振動を引き起こし、取り付け箇所における疲労および/または摩耗のためにタイロッドの破損を引き起こすこともある。
【0032】
本発明は、冷却材により満たされる小さな半径方向の間隙によって隔てられた複数の同軸の縦方向の部材からなるタイロッドを取り付けることによって、タイロッドを流れて通過する原子炉冷却材によって生じる変動する力の影響を軽減する。単一部材(即ち、中実)のタイロッドの振動減衰係数についての典型的な値は、臨界の約0.5%である。従って、単一部材のタイロッドが、タイロッドの固有振動数においてフェーズで変動する15ポンドの力によって荷重を受ける場合には、約±22,000psiの応力および約±0.1インチのタイロッド偏位(ゆがみ)が生じ得る。そのような応力は、各タイロッドに加わる約15,000ポンドの力に相当する。
【0033】
本発明において用いる同軸の縦方向の部材は接近した間隔で配されるので、いずれかの著しい横方向の振動によって、部材どうしの間の半径方向の間隙を満たす原子炉冷却材の移動、部材どうしの間での摩擦的接触、種々の部材が異なる振動数で振動する傾向、または上記作用のいずれかの組み合せを生じることになる。その結果、本発明のタイロッドは、5%を越える振動減衰係数を有することができ、更に、単一部材のタイロッドの約10分の1の応力および偏位(即ち、約±2200psiの低い変動応力および約±0.01インチの振幅)を経験し得る。
【0034】
振動減衰係数を増大するためのメカニズム(機構)の1つには、同心状の部材どうしの間での衝突および/または摩擦的係合が含まれるので、部材どうしの間での衝突が予測される領域を、過剰な摩耗またはその他の損傷を防止するように、例えば、影響を受ける位置における材料の量を増すことなどによって、形成することが好ましい。
【0035】
既に述べたように、タイロッドを取り付けることの主な目的は、水平溶接部に沿って亀裂が生じる場合に、シュラウドを一体に保持することである。そのために、シュラウドの頂部と底部との間にタイロッドを取り付けるのであり、シュラウドとタイロッドの軸方向の伸張および収縮の差によって、両方の構造物にかなりの荷重が生じるということが理解されるであろう。特に、ある種の原子炉の熱的な過渡現象のために、タイロッドとシュラウドとの間で、シュラウドに対して相対的にタイロッドを収縮させるような大きな温度差が生じることがある。
【0036】
例えば、260゜Fの原子炉冷却材の温度差によって、約130゜Fまでの金属温度差が生じ、タイロッドの断面積が(偶発的な条件、例えば水蒸気ラインの破損または再循環水ラインの破損などにより生じるものを含めて)すべての設計基準の荷重に耐えるのに十分な大きさである場合には、シュラウドおよびその支持プレートにかかる応力が約110,000psi程度も増えることがある。
【0037】
本発明のタイロッドは、冷却材の流れにおける大きな熱の過渡現象に応じてシュラウドに最小の荷重を作用させる一方で、わずかな荷重条件下において亀裂の入ったシュラウドを一体に保持するのに十分な比較的小さな断面積の縦方向のスプリング部材を使用することによって、大きな熱の過渡現象に関連する問題を回避するものである。同時に、縦方向のスプリング部材と、予め決められた軸方向の間隙を越えて縦方向のスプリング部材に伸びを生じさせる突発的な条件が発生した場合にのみ、軸方向に荷重がかかるような構造にされた同軸の縦方向の補剛(stiffening)部材とを連結することによって、突発的な荷重条件に適応する。
【0038】
図4、5および6に、特定の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリを示して、1つの例のタイロッドの修理取り付けを説明する。図4、5および6を参照すると、一般に円筒状のシュラウド101は、シュラウドの底部環状縁部103から分岐して、原子炉容器113の内側表面111に当接する円錐台(frusto−conical)状の支持プレート109を有している。支持プレート109は、環状の当接位置において容器壁に溶接されている。支持プレートの上縁部155は、シュラウド101の底の環状縁部103と一体に形成されているか、またはそれに溶接されている。複数のブラケット157は、溶接または他のいずれか適当な方法によって、シュラウドの底の環状縁部103付近のシュラウド円筒状部101の外側表面117に、および支持プレートの上縁部155付近で支持プレート109に取り付けられて、支持プレートとシュラウドとの接続部に更に強度を付与している。ブラケット157は、シュラウド101の周の回りに規則的に角度を隔てて設けられている。図示するように、ブラケット157の最下部は、支持構造109から垂直に延びており、容器113の内側表面111から半径方向に間隔を隔てている。シュラウドの封止蓋(図示せず)は、ねじ留めされるボルトによってシュラウド101の上方環状縁部107に取り付けられるか、あるいはシュラウドの上縁部に隣接してシュラウドの周部分に角度的に間隔を隔てて取り付けられている外側に延びる突出部159を用いて他の方法で係合させる。簡単のために、これらの図面においては、異なるシュラウド・レベルを形成するアーチ型のプレートを個々に示していないことに注意すべきであるが、シュラウド構造物は図2について上述した種類の複数の水平レベルのプレートを有してなっていると理解すべきである。
【0039】
シュラウドの修理に使用するタイロッド121は、既存のブラケット157とラグ159とを用いることによって係合する。特に、各タイロッド121はフックまたは同様の係合部材161を保持しており、該フックまたは同様の係合部材161は、ブラケット157の下側からそのブラケットに係合して、タイロッドの上向きの軸方向の移動を防止するように形成されているくさび型の下側部分163を有している。ブラケット157が備えられていない原子炉の場合には、支持プレート109に適当な孔を形成して、タイロッド121の底部を収容させ、それにねじ(またはその他の方法で)係合させることができると理解されるであろう。当然ながら、そのような環境において、係合部材161は、必要とされないこともあるし、または、シュラウド支持構造物のスロット状開口部を介してボルト止めまたはフック止めするように形成することもできる。そのための孔は、ドリル、EDM(放電加工、electron discharge method)技術などによって形成することができる。
【0040】
上端において、タイロッド121は、既存のラグ159の頂部に修理工程の間に取り付けられた個々の金属ビームまたはブラケット119に固定される。各ビーム119は、シュラウドの外側表面117の湾曲にほぼ適合するアーチ状内側表面165、原子炉容器113に面する外側表面167、向かい合って配されて横方向に延びる一対のタブ171で終わる上縁部169、ならびに下縁部173を含んでいる。外側表面167の中にタイロッド121を収容するように縦方向の溝(channel)175が形成されており、その溝内においてビームの上縁と下縁との中間に半円形のボス177が位置している。各ビーム119は、角度的に間隔を空けて配されている対のラグ159の間に適合して、横方向に延びるタブ171によって支持されるように形成されている。ビーム119は、いずれかの適当な手段、例えばねじ手段などによって突起部159に固定されている。ボス177は容器113に面する開放部分を有しており、ビームの溝175の中で環状の隆起部(ridge)を規定して、タイロッド121を受容し、タイロッド121の上端部にねじ係合してボス177を押し付けるナット145を用いて各タイロッド121が軸方向に締め付けられる面を提供する。ナット145を締め付けると係合部材161が引き上げられて、係合部材161の下側部分163がブラケット157に対して上向きの力を及ぼす。ボス177を介してビーム119のナット145によって、対応する下向きの力が作用し、角度的に間隔を空けた複数のタイロッドによって、シュラウド全体に軸方向または縦方向の圧縮力が行われる。この縦方向の圧縮力は水平亀裂の向い合う表面を互いに押圧させ、それによって亀裂が封止され、シュラウド構造物への悪影響が防止される。更に、タイロッドの取り付け後に生じた水平亀裂は、タイロッドにより連続的に加えられる軸方向の圧縮力によって同様に影響のないものになる。
【0041】
既に説明したように、各タイロッド121は、複数の同心円状の縦方向の部材を含んでいる。縦方向の部材の1つはスプリング・ロッド139であり、これは係合部材161とねじ留め式ナット145との間に延びており、シュラウドを一体に保持するのに十分な荷重を予め加える一方で、タイロッドとシュラウドとの間に大きな温度差を生じる熱の過渡現象の影響を最小にする。スプリング・ロッド139は、一般に高強度材料(high strength material、高力材料)、例えばXM19などからなり、含まれるタイロッド部材の断面積に比例するそのような熱の過渡現象の影響を軽減するために、約0.7〜約1.0平方インチの範囲の比較的小さい断面積を有している。スプリング・ロッド139の底端部141は係合部材161の上端部にねじにより取り付けられており、スプリング・ロッド139はそこから上方に垂直に延びて、ナット145にねじ係合される上端部143で終っている。スプリング・ロッド139も、上端と下端との間に、直径の大きくなる部分または外側に延びるフランジ147を有している。
【0042】
補剛パイプ形材127の形態の第2の縦方向の部材はスプリング・ロッド139の周囲に同心円状に配されており、下端部129が係合部材161の上側部分に取り付けられている。パイプ形材127は、スプリング・ロッドの外向きに延びるフランジ147の上方で軸方向に間隔が空けられた内向きに延びるフランジ133において上側端部131で終っており、スプリング・ロッドの外向きに延びるフランジ147が、パイプ形材の内向きに延びるフランジ133に係合する前までの、スプリング・ロッドの所定量の程度の軸方向の伸びを許容する軸方向の間隙151を規定する。スプリング・ロッドとパイプ形材フランジとの間の典型的な軸方向の間隙は、最初の荷重がかけられていない条件のタイロッドについては約0.5インチであり、軸方向の圧縮荷重が加えられているタイロッドについては約0.35インチである。実際の軸方向の間隙は、使用する材料および予想される熱の過渡現象ならびに偶発的な荷重条件に応じて変動する。
【0043】
パイプ形材127とスプリング・ロッド139との間には、小さな半径方向の間隙またはクリアランス153が規定されており、原子炉冷却材(例えば、水など)で満たされて、タイロッドの減衰係数の向上を達成している。半径方向の間隙の寸法は装置ごとに変動するが、スプリング・ロッドとパイプ形材との間の典型的な間隔は約0.5インチである。半径方向のスペーサ179は、パイプ形材の上端部近くにてパイプ形材127から半径方向に延びる円筒状の突起の形態をなしており、タイロッド121を配備した場合に、原子炉容器113の内側表面111を圧迫するバンパー(bumper)または止め(stop)として機能する。半径方向のスペーサ179は、シュラウドの横方向の動きを制限して、炉心を安定化させ、制御棒の挿入の制御を確実にする。
【0044】
図4〜6のタイロッド・アッセンブリの配備は、該アッセンブリの最終的に配備される向きに対してそれが90゜回転させられた向きで、シュラウドと原子炉容器との間でタイロッド・アッセンブリを垂直下向きに降下させることを含んでいる。これにより、アッセンブリが適当な垂直の位置になるまで、係合部材161と半径方向スペーサ179とが縦方向に自由に動くことが許容される。続いてこのアッセンブリをタイロッドの軸の回りに90゜回転すると、係合部材161の下側部分163がブラケット157の下側に係合し、スペーサ179が原子炉容器壁を半径方向に圧迫し、タイロッドの上端部がビーム119内に規定される溝の中に収まる。続いてナット145をボス177の上方に延びるスプリング・ロッド139の上側部分に係合して、所望の軸方向の圧縮力が維持されるように適当な程度に締め付ける。
【0045】
図7および8には変更を加えたシュラウド・アッセンブリを示しており、ここでタイロッド取り付けビームまたはブラケット119は、ビームの上縁部169に沿って角度的に間隔を空けた位置から下方に延びる一対の中空の円筒状タブ(tab)171を有しており、このタブ171はシュラウド・フランジ115の中に形成された環状溝または凹所(リセス、recess)181の中に嵌まる。変更を加えたタイロッド取り付けビーム119は、スプリング・ロッド139を通すために規定されるスルー・ホールを有する水平方向のボス(boss、突起)177をも有している。変更が加えられたビーム119を用いるタイロッド121の取り付けは、図7において最もよく示されているように、既存の一対のラグ159の反対の側で周方向に間隔を空けた位置にて一対の環状溝または凹所181がシュラウド・フランジ115内において形成されていること以外は、既に説明したものと本質的に同様である。垂直なポスト(post)またはペグ(peg)182は各環状溝181の中央に配されており、上側シュラウド・フランジ115からブラケット119を吊り下げるために、円筒状のビーム・タブを環状溝181の1つの中に配置する場合に、円筒所ビーム・タブ171の中に嵌まり込むように形成されている。
【0046】
図9〜14に示す変更が加えられたシュラウド・アッセンブリは既に説明したものと同様であるが、水平ステップ105のすぐ近くに、シュラウド101の外側表面117に取り付けられた一般にL字形状のブラケットまたはブレース(brace)183を有しており、短くされたビーム119が、ブレース183と変更を加えた係合部材161を有するタイロッド121との間に間隙を提供している。更に、複数の半径方向のスペーサ185、187および189が、シュラウド101の外側表面と原子炉容器113の内側表面との間において、タイロッド121の長手方向に沿って間隔を置いた位置で延びている。
【0047】
図10および11に最もよく示されているが、ブレース183はシュラウドの外側形状に適合しており、191と193の部分でステップ105の反対側の垂直プレート・セクションにボルト止めされて、垂直プレート・セクションとステップとを接続する溶接されたジョイントの1つを補強している。ビーム119の下側縁部173が適当な距離でステップ105から垂直に間を置かれて、ステップの上方で垂直プレート・セクションにブレース183を取り付けることができること以外は、ビーム119は図7および8に示すものと同様である。
【0048】
図9を再度参照すると、半径方向のスペーサ185、187および189は平坦なプレート状の部材であって、そのプレートの中にタイロッド121を通すための開口部を有している。スペーサは、タイロッドの縦方向の部材を包囲する外側のスリーブによって保持されることが好ましく、シュラウド外側表面117と原子炉容器113の内側表面との間に適合するように形成されている。半径方向スペーサ185、187および189は、半径方向スペーサ179と共に、上側および下側の炉心支持体(core support)(図示せず)の横方向の動きを制限し、炉心を安定させて制御棒の挿入を確実にするバンパーまたは止めとして機能する。スペーサ187および189は、小さな縦方向の間隙により隔てられて、既存のクランプ構造体(図示せず)にクリアランスを提供し、下部炉心支持体が一般に設置されるシュラウドの内側リムまたはフランジ195のすぐ近くに配置される。スペーサ179は、上側のシュラウド・フランジ115とステップ105との中間に配され、その上に上部炉心支持体が典型的に設置される;スペーサ185は、ステップ105と一対のスペーサ187および189との間に配置される。
【0049】
図13に最もよく示されているが、係合部材161は、円筒状のシャフト199および該シャフトの下端部の交差部材(cross−member)201を有する一般にT字形状のロッドまたはボルト(Tヘッドボルト)197を含む。シャフト199の上端部は、内側のねじ穴205を取り囲み、外側にねじ山が設けられたショルダー部分203を有する。スプリング・ロッド139の下端部141は外側にねじ山が設けられており、穴205の中に取り付けられる。スプリング・ロッド139は円筒状パイプ形材127の中に配置され、該パイプ形材は下端部において内側にねじ穴が設けられて、スプリング・ロッド139の回りのシャフトのショルダー203に取り付けられる。ピン207はシャフト199から半径方向に延びており、シャフトを取り囲む円筒状のカラー211の内側表面に形成された垂直なスロット209の中に受容される。チューブ状のスリーブ213は、パイプ形材127上に入れ子状に適合しており、ショルダー203の下方でシャフト199にねじ係合する。スリーブ213の下端部はカラー211の上端部に当接する。
【0050】
図9に示されるタイロッド121は、以下の方法で取り付けられる。図14を参照すると、シュラウド・フランジ115内において、フランジの外側縁部近くに存在する一対のラグ159の反対側に、間隔を置かれた一対の環状溝181が切削または形成されて、円筒状のビーム・タブ171を受容するための凹部空間を規定している。シュラウド101の底部で2つの環状溝181の中央の下において、支持プレート109がドリル加工または例えばEDM技術を用いて切削され、寸法が交差部材201よりもわずかに大きな半径方向のスリット223が形成される。
【0051】
タイロッド121は、シュラウド101と容器113との間の環状空間の中に、支持プレート109内の半径方向のスリット223と同じ向きに交差部材201を向けて下げられる。交差部材201は、図15および図16に示すように、スリット223を通して嵌め、図17および図18に示すように、カラー211をプレート109の上側に座した場合に、交差部材201がプレート109の下側に配置される。続いて、図19および図20に示すように、タイロッド・アッセンブリ121全体を90゜回転させると、交差部材201はスリット223に対して垂直な向きになる。
【0052】
次に図21および図22を参照すると、タイロッド・アッセンブリ121が持ち上げられて、交差部材201がプレートの下側からプレート109に当接して、ピン207がカラー内のスロット209の中を垂直に移動する。持ち上げられた状態を維持するために、図23および図24に示すように、スリーブ213をカラー211に対してねじ留めさせるように回転し、続いてスペーサ179、185、187および189を保持する外側スリーブ225を、図25および図26に示すように、スリーブ213のスプラインが付けられた外側表面に沿ってスリーブ213へ下げ、タイロッドの長手方向に沿って半径方向のスペーサを配置する。外側スリーブ225の下端部がカラー211に達すると、外側スリーブの下端部から延びる縦方向のフィンガー227が、カラーの中に形成された第2の垂直なスロット228の中に突出して、外側スリーブおよび半径方向スペーサの回転を防止する。
【0053】
タイロッド121の下端部を支持プレート109に取り付け、また、半径方向のスペーサをタイロッドの長手方向に沿って縦方向に間隔を置いて配し、円筒状のビーム・タブ171を環状溝181の中に位置せしめることによって、ビーム119はシュラウド・フランジ115に固定される。タイロッド・アッセンブリの外側スリーブ225が、ビーム119の中に形成された縦方向の溝175の中に収容されて、スプリング・ロッド139がボス177の中に配置される。続いて、タイロッド121は、既に説明したように、ナット145をスプリング・ロッド139の上端部とねじ係合し、そのナットをボス177にしっかりと締め付けることによって伸張する。シュラウドの周の回りに角度的に間隔を空けた複数の位置において、前述の取り付け手順を繰り返して、シュラウドを圧縮状態に保持する。
【0054】
もう1つの変更を加えたシュラウド・アッセンブリを図27に示す。ここで、各タイロッド121の上端部は図7および8に示すものと同様のビーム119によって保持されており、タイロッドの下端部は変更が加えられた係合部材161を用いて、予め設けられている補強板(gusset、ガセット)229に取り付けられる。補強板229は、シュラウド支持プレート109の周の回りに角度的に間隔を空けて配され、図28において最もよく示されているように、プレート109から直角に延びている。各補強板229は一般に方形(rectangular)であって、底縁部230は支持プレート109に取り付けられ、外側縁部232は原子炉容器113の内側表面111に当接し、角度をなしたコーナー231は補強板の上縁部234および内側縁部236を接続している。各補強板にはタイロッド121の位置の近くに開口部233が形成されており、該開口部233は係合部材161を受容するように形成されている。
【0055】
各係合部材161はタイロッド121の下端部から吊り下げ(depend)られており、図29に示すように、スプリング・ロッド139の底部にねじ係合するねじ付き開口部237を頂部に有する垂直な柄(shank)部235、ならびに柄部の下端部から延びる一般にC字形状のフック239を有している。フック239は、柄部235からほぼ直角であるが、少し下向きの角度で延びる上側アーム241を有しており、該上側アームは垂直部分243にて終っており、該垂直部分243は上側アーム241から下側アーム245に下向きに延びている。下側アーム245は、垂直部分243の底部から直角に延びて、上向きに曲った部分またはナブ(nub、こぶ部分)247にて終っている。パイプ形材127はスプリング・ロッド139の周囲に同軸状に配されており、内側にねじ山が設けられて、スプリング・ロッドのねじ山を有する下端部141と噛み合う。半径方向のスペーサ179、185および187を保持する外側スリーブ225は、パイプ形材上に嵌められ、スペーサの回転を防止するために柄部235に係合する、縦方向に延びるフィンガー227が底端部に設けられている。
【0056】
図27〜30に示すタイロッド121の取り付けは、シュラウド101の周の回りに角度的に間隔を空けて存在している多数の補強板229に開口部233を形成すること、ならびにフック239を補強板に対して相対的に垂直に向けて、シュラウド101と容器113との間の環状の間隙の中にタイロッドを降下させることを含んでいる。続いて、各フックの端部のナブ247を補強板229内の開口部233の中に通過させて、フックの下側アーム245を開口部の中に位置させる。この時点で、半径方向のスペーサ179、185および187を保持する外側スリーブ225を、柄235上にスリーブの下端部が乗るまで、タイロッド上で降下させる。続いて、図30に示すようにビーム119を取り付け、既に説明したやり方でタイロッド121を伸張させる。
【0057】
図31は、補強板229を有するシュラウド・アッセンブリにて用いるための、変更を加えた係合部材161およびタイロッド121を示している。変更を加えた係合部材161は、多少短い上側アーム241が外側スリーブ225から半径方向に間隔を空けた位置から延びて、外側スリーブの一部が上側アームの上に張り出している以外は、図27、28および29に示すものと同様である。外側スリーブ225の下端部には縦方向のノッチ(notch)249が形成されており、そのノッチは上側アーム241上に適合するように形成されており、スリーブの残りの端部は図32に示すように補強板229に沿って下方に延びるフィンガー227を形成して、スリーブ225およびスリーブに保持されるすべての半径方向スペーサの回転を防止する。外側スリーブ225がパイプ形材127と組み合わされる場合には、例えば、図31に示すようなスプライン251を用いることによって、パイプ形材の回転を防止することもできる。
【0058】
図33に示すシュラウド・アッセンブリは、タイロッドによって保持される追加の半径方向スペーサ、およびタイロッドの上端部をシュラウドに取り付けるための変更されたビーム構造を有すること以外は、図4〜6に示したものと同様である。シュラウド101は、シュラウド・フランジ115の周の回りに角度的に間隔を空けて配されるラグ159の対と、シュラウドの下端部と円錐台状の支持プレート109との間に接続されるブラケット157を有する。図34に最もよく示しているように、各ブラケット157は、シュラウド101の下端部および支持プレート109からそれぞれ直角に延びており、一般的に対向するフィン253および255、ならびにフィンの両側に斜めに延びる一対の接続プレート257および259を含んでいる。係合部材161は一般にJ字型のフックであって、各フックの下端部は261の部分で内側表面にスロットが設けられ(slotted)ており、接続プレート257または259の下縁部を受容する。同じく図34に示されているように、各タイロッド外側スリーブ225の下端部は249においてノッチが付けられて係合部材161の上端部上に適合して、係合部材161に対して相対的に外側スリーブが回転するのを防止する。
【0059】
次に、図35〜38を参照すると、各ビーム119はビーム119の対向する横方向側面に形成された一対の水平な溝263および265を有しており、気水分離器アッセンブリを取り付けるための工具が、予め存在しているラグ159の下側空間に接近するための隙間(クリアランス)を設けている。更に、ビームの上方内側縁部からリップ(lip)267が突出しており、このビームは、ラグ159が溝263および265の直ぐ上に位置させた場合に、シュラウド・フランジ115の上に適合するように形成されている。リップ267はフランジ115に直接接触してもよいし、または以下において更に詳細に説明するように、リップ267が環状のシム(shim、詰め金)269(図42および43参照)の頂部に座して水平なフランジ表面を維持してもよい。
【0060】
図35を参照すると、4つの半径方向スペーサ179、185、187および189が、タイロッド121の外側スリーブ225に保持されているのが示されており、これらのスペーサはタイロッドの長手方向に沿って間隔を空けて配置されて、特定の溶接部の付近におけるシュラウドの横方向の動きを防止している。4つのスペーサ179、185、187および189はそれぞれ、6つの個々の外側スリーブ・セグメント270、272、274、276、278および280の1つに保持されており、これらの外側スリーブ・セグメントは縦方向に噛み合ってスペーサの回転を防止している。
【0061】
半径方向スペーサ179は、最上の外側スリーブ・セグメント270から原子炉容器113の内側表面に向けて直角に延びる一般に方形の突出物であって、上側の炉心支持体の横方向の動きを制限する止めとして機能する。セグメント270はスペーサ179の多少上方に位置する上端部から下端部へ下向きに延びており、その下端部はセグメント272のノッチ付きの上端部に噛み合うように形成された突起部(prong)273を有している。セグメント272は、タイロッドの位置に応じて、半径方向スペーサ185を有しても有さなくてもよい。しかしながら、セグメント272がスペーサ185を保持する場合には、スペーサは、セグメントの対向する側から直角に延びてシュラウド101と容器131の内側表面との間で延びる一対の半径方向の突出部188および190を含み、従って、スペーサは、水平溶接部76付近におけるシュラウドの横方向の動きを制限する止めとして機能することになる。スペーサを保持してもしなくても、セグメント272は下端部に突起部273を備えて、その突起部がセグメント274のノッチ付き上端部と噛み合う。図示するように、セグメント274は半径方向のスペーサを保持していないが、水平溶接部59付近におけるシュラウドの横方向の動きを制限する半径方向スペーサ187を有するセグメント276に突起部273を介して噛み合っている。半径方向スペーサ187は、半径方向の突出部188および190がセグメント276の対向する側の縦方向にずれた位置から突出して、原子炉内に存在している構造物のための隙間を提供すること以外は、半径方向スペーサ185と同様である。セグメント278は、セグメント276とセグメント280との間に延びており、突起部273を介してセグメント280に噛み合っている。最下のセグメント280は半径方向スペーサ189を保持しており、該スペーサは、内側突出部が下側の原子炉支持フランジ195を横切って垂直に延びるじょうご状(フレアー状)になっていること以外は、半径方向スペーサ185と同様である。半径方向スペーサ189は、下側の炉心支持フランジ195と容器113の内側表面との間に水平に延びて、下部炉心支持体の横方向の動きを制限する止めとして機能する。図34において最もよく示されているように、セグメント280の下端部は249においてノッチが付けられて、外側スリーブ225の各セグメントおよびそれらに保持されている半径方向スペーサの回転を防止するフィンガー227を形成するように、係合部材161上に取り付けられている。
【0062】
図39〜43は、図33に示すタイロッド・アッセンブリの取り付けシーケンス(段階)を説明している。図39において、J字形の係合部材161を備えているタイロッド121が、係合部材161をその最終的に配備される向きに対して90゜回転させて、シュラウド101と容器113との間の環状の間隙の中を降下するところが示されている。図40において、タイロッド121は90゜回転して、係合部材161の下端部163をブラケット157の下方に位置させている。図41に示すように、外側スリーブ225をタイロッド121上にセグメントで取り付け、1つまたはそれ以上のセグメント(例えば、最上部および最下部のセグメント270および280)に半径方向スペーサ(例えば、179および189など)を保持させる。取り付ける特定のタイロッドの配置に応じて、少なくて1個程度または多い場合は4個程度またはそれ以上の半径方向スペーサをタイロッドによって保持させて、種々のシュラウドセクションまたはレベルの横方向の動きを制限する止めとして機能させることができる。図42に示すように、外側ショルダー271を有する環状シム269をシュラウド・フランジ115の頂部に位置させて、図43に示すように、ブラケット119を、タイロッド121とシュラウド101の上端部との間で、ブラケットのリップ267が環状シム269のショルダー271に座してシュラウド・フランジ115の頂部に水平表面を形成するまで、降下させる。続いて、ナット145をスプリング・ロッド139の上端部にねじ込み、既に説明した方法で、ボス177に対して締め付けてスプリング・ロッドを伸張させることができる。
【0063】
以上のことから、沸騰水型原子炉シュラウドを修理するためのタイロッドとして同軸の縦方向部材を用いると、タイロッドの過剰な振動の防止を促進し、ある熱の過渡現象によってシュラウドおよびその支持体が過剰な応力を受けることの防止に役立つということが理解されるであろう。「修理(repair)」とは、原子炉シュラウドを軸方向に圧縮(押圧)するためのタイロッドの予防的または復旧的な使用を意味し、原子炉シュラウドを圧縮状態に維持することによって、既に存在している亀裂を安定化する(落ち着かせる)ことができ、かつ新たな亀裂の生成を防止することができ、原子炉の安全な操作およびメンテナンス可能にする。
【0064】
「同軸(coaxial)」という用語は、本明細書において用いる場合、一方が他方の中にあるというように広く解釈すべきである。本発明の縦方向の部材を同軸であると称する場合、図示するように、内側の縦長部材を外側の縦長部材の中に同心状に配して、外側部材の長手方向の中央軸に沿って延びさせること、または内側の縦長部材を外側の縦長部材の中に偏心させて配置し、外側部材の長手方向の偏心軸に沿って延びさせることができると理解すべきである。タイロッドを形成する縦方向の部材は断面において、円形、多角形状および中空の形態を含めて、任意の形状を有することができ、縦長の部材を内側の縦長の部材の周囲に同軸状に配置させる場合、いずれか一方または両方の部材が、対称的または非対称的な外部形状を有していてもよい。「スプリング・ロッド」として機能する同軸の縦方向の部材は、予め荷重がかけられた状態でシュラウドの上側部分と下側部分との間に取り付けられ、シュラウドに過剰な応力をかけることなく、冷却材の流れにおける熱の過渡現象に適合するように形成されている。スプリング・ロッドは、図示するように中実であって、パイプ形材の形態の同軸の縦方向の補剛部材によって取り囲まれていてもよいし、中空のチューブ状部材であって、より大きい補剛ロッドを収容するように、またはより大きな補剛パイプ形材によって収容されるように形成されてもよい。図示するように、縦方向の補剛部材は、一端にていずれか適当な取り付け手段、例えばねじ係合などを用いてシュラウド構造物に係合する部材に取り付けられてもよいし、または両端部が固定されずにスプリング・ロッドの回りで吊り下げられていてよく、スプリング・ロッドに保持され、補剛部材により保持された端壁部もしくはフランジの中に配置される、軸方向に間隔を置いた環状のフランジを用いることによって、軸方向の自由な動きを防止できる。
【0065】
スプリング・ロッドおよび補剛パイプ形材を構成するために種々の材料を使用することができ、選ばれた材料に応じて、スプリング・ロッドの断面領域(断面積)を熱の過渡現象に適合し、また、シュラウドの亀裂の両側部分を一体に保持するのに十分な予め加える荷重を維持するように調節することができ、他方で、パイプ形材の断面領域(断面積)を突発的な負荷条件、例えば、スチームラインの破損の際に起る条件などに耐えるように調節することができる。しかしながら、スプリング・ロッドを高力材料、例えばXM−19などで製造し、残りの構成要素、例えば、パイプ形材、半径方向スペーサ、ビームおよび係合部材などを304型ステンレス鋼(SUS304)で製造することが好ましい。更に、縦方向の部材どうしの間の半径方向の間隙は原子炉冷却材の流れにより連絡され、原子炉冷却材によってその間隙を満たすこともできるし、または間隙を、原子炉冷却材(典型的には、水)もしくは他の適当な減衰物質で満たした閉鎖空間に形成することもできる。
【0066】
タイロッドの上端部および下端部の取り付けについて種々の異なるタイプのものを述べ示したが、このような取り付け方法は限定的なものではないということを理解されたい。例えば、タイロッドの下方端部は、図示するように既存のブラケットに引っ掛けてもよいし、補強板に取り付けてもよいし、あるいは、シュラウドの底部でシュラウドと容器との間でそれ自体が自動的に割り込む楔式の広がりデバイス(wedge−type spanning device)を使ってもよい。
【0067】
説明したように、多くの例において、タイロッドは既存の基材に取り付けられるが、基材を追加してよく、或いは別の適切な係合手段をタイロッドのために設けてもよい。同様に、ビーム119はタイロッド121をラグ159に取り付けるために便利な構造物であるが、その目的のために、シュラウドの壁部に直接取り付けられる横方向のフランジ、シュラウドと原子炉容器壁との間で延びるプレート、シュラウド・フランジ115の上部表面に重なるリップを有し、原子炉容器壁に対して反作用するブラケット、シュラウドの最上部フランジ115の中に形成される溝またはスロット(slot)から吊り下げられるブラケット、またはシュラウドもしくは原子炉容器壁によって保持された、突起部(lug、ラグ)とは別のビームを含めて、他の手段を用いることができる。
【0068】
本発明のタイロッドはシュラウド壁と原子炉容器壁との間の環状の空間の中に取り付けられるように説明したが、タイロッドをシュラウド壁のいずれかの側または両側に取り付けてシュラウドを一体に保持することができると理解されるであろう。ほとんどの場合において、タイロッドを既存の基材に取り付けているが、シュラウドと原子炉容器壁との間の環状の空間に取り付けることが特に有利である。
【0069】
本発明のタイロッドと共に半径方向スペーサを使用する場合、亀裂の位置および所定のタイロッドの特定の位置に応じて、タイロッドの全数のいずれの割合のタイロッドがスペーサを保持してもよいし、スペーサを保持するタイロッドがすべて、同じ数のスペーサを長手方向に沿って同じ位置または異なる位置にて保持してもよいし、或いは同じ位置または異なる位置に異なる数のスペーサをそれぞれ保持してもよい。上側および下側の炉心支持フランジ115および195の近くに半径方向スペーサを配置することによって、上側および下側の炉心支持プレートの横方向の動きを制限して、制御棒の挿入を確実にする。上側および下側の炉心支持フランジの中間に半径方向スペーサを配置することによっても、個々のシュラウド・プレートセクションまたはレベルの横方向の動きを制限して、亀裂によるレベルの分離を防止する。半径方向スペーサは、円筒状、チューブ状、方形状およびプレート状の形状を含めて、いずれか適当な形状を有することができ、シュラウドと同じ材料(例えば、304型ステンレス鋼(SUS304))からなることが好ましい。図示したように、スペーサは、セグメント化された外側スリーブ上に保持されてもよいし、内側スリーブもしくはタイロッドと同軸の縦方向部材上に位置する連続した外側スリーブ上に保持されてもよいし、或いはスペーサはタイロッドの縦方向部材に直接固定されてもよい。セグメント化された外側スリーブによって保持される場合、スペーサの回転を防止するように、セグメントを互いにおよび/または他の構造物と噛み合うように形成することができる。好ましい態様において、スペーサは、いずれの1つのシュラウド・レベルの横方向の動きもシュラウド壁の厚さの約半分(約0.75インチ)以下に制限して、亀裂の生じた溶接部によって接合されるシュラウド・レベルの横方向の動きによって冷却材流の漏れを生じる開口部が生成しないようにする止めとして機能する。
【0070】
以上説明した種々の態様の特徴は、修理すべき沸騰水型原子炉シュラウドの特定の構造に応じて、望ましいいずれの方法で組み合わせてもよい。
【0071】
例えば、本明細書において図示および説明したいずれかのビームを、前述のいずれかの係合部材と組み合わせて、タイロッドを既存のシュラウド構造物に取り付けることもできる。同様に、セグメント化されたおよびセグメント化されていない外側スリーブを、ビームおよび係合部材のいずれかの組み合わせと共に用いて、シュラウドと原子炉容器壁との間の環状空間の中に適合するように形成された1つまたはそれ以上の半径方向スペーサを保持することもできる。
【0072】
本発明に従って沸騰水型原子炉シュラウドを修理するための新規かつ改良を加えた方法および装置の好ましい態様を説明したが、本明細書において述べた教示事項には、その他の変更、変法および変形も当業者には示唆されていると考えられる。従って、そのような変更、変法および変形はすべて、特許請求項により規定する本発明の範囲内に含まれると考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法による修理に適する原子炉の種類の例である沸騰水型原子炉の一部切り欠き斜視図である。
【図2】図2は、図1の原子炉の円筒炉心シュラウドを平たく展開した図である。
【図3】図3は、本発明のタイロッドアッセンブリを用いて修理される原子炉シュラウドの一部の、部分的に断面で示す摸式図である。
【図4】図4は、本発明のタイロッドアッセンブリを用いて修理される原子炉シュラウドの一部の、部分的に断面で示す破断側面図である。
【図5】図5は、図4のタイロッドアッセンブリの上面図(top view)である。
【図6】図6は、図4のタイロッドアッセンブリの破断正面図(front view)である。
【図7】図7は、本発明のモディファイ(変更)したタイロッドアッセンブリの上面図である。
【図8】図8は、図7のタイロッドアッセンブリの線8−8を通る断面図である。
【図9】図9は、本発明のもう1つのモディファイしたタイロッドアッセンブリを用いて修理された原子炉シュラウドの一部の、部分的に断面で示す側面図である。
【図10】図10は、図9のタイロッドアッセンブリの部分的に断面で示す拡大部分側面図である。
【図11】図11は、図9のタイロッドアッセンブリの部分正面図である。
【図12】図12は、図9のタイロッドアッセンブリの部分上面図である。
【図13】図13は、図9に示すタイロッドアッセンブリの下側端部の部分的に断面で示す部分側面図である。
【図14】図14は、図9のタイロッドアッセンブリを装着する前の、モディファイされた原子炉シュラウドアッセンブリの上面図である。
【図15】図15は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する、部分的に断面で示す拡大した側面図である。
【図16】図16は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する底面図である。
【図17】図17は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する部分的に断面で示す拡大した側面図である。
【図18】図18は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する底面図である。
【図19】図19は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する部分的に断面で示す拡大した側面図である。
【図20】図20は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する底面図である。
【図21】図21は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する部分的に断面で示す拡大した側面図である。
【図22】図22は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する底面図である。
【図23】図23は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する部分的に断面で示す拡大した側面図である。
【図24】図24は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する底面図である。
【図25】図25は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する部分的に断面で示す拡大した側面図である。
【図26】図26は、図9のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する底面図である。
【図27】図27は、もう1つのモディファイされたタイロッドアッセンブリを用いた原子炉シュラウドアッセンブリの斜視図である。
【図28】図28は、図27のシュラウドアッセンブリの部分的に断面で示す側面図である。
【図29】図29は、図27に示すタイロッドアッセンブリの下側端部の部分的に断面で示す側面図である。
【図30】図30は、図27に示すタイロッドアッセンブリの上側端部の拡大した部分斜視図である。
【図31】図31は、もう1つのモディファイされたタイロッドの下側端部の拡大した部分図である。
【図32】図32は、取り付けられた図31のタイロッドアッセンブリの拡大した部分斜視図である。
【図33】図33は、更にもう1つのモディファイされたタイロッドアッセンブリを用いたもう1つの原子炉シュラウドアッセンブリの斜視図である。
【図34】図34は、図33のタイロッドアッセンブリの拡大した部分斜視図である。
【図35】図35は、図33の原子炉シュラウドアッセンブリの部分的に断面で示す側面図である。
【図36】図36は、図33のタイロッドアッセンブリの正面図である。
【図37】図37は、図33のタイロッドアッセンブリの上面図である。
【図38】図38は、図33に示すタイロッドアッセンブリの上側端部の拡大した部分斜視図である。
【図39】図39は、図33のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する部分的に断面で示す側面図である。
【図40】図40は、図33のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する部分的に断面で示す側面図である。
【図41】図41は、図33のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する部分的に断面で示す側面図である。
【図42】図42は、図33のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する部分的に断面で示す側面図である。
【図43】図43は、図33のタイロッドアッセンブリの取り付けを説明する部分的に断面で示す側面図である。
【符号の説明】
10…原子炉アッセンブリ、11…容器、12…リッド、13…シュラウド、
14…気水分離器、15…水蒸気乾燥アッセンブリ、16…支持プレート、
17…核燃料集合体、18,19…格子板、20…水蒸気プレナムヘッド、
21…制御棒案納管、23…制御棒、24…入口、25…出口、
26…ディフューザ、27…炉心スパージャ、28…供給水スパージャ、
29…水蒸気出口、30,31…プレート、32,33…垂直溶接部、
34,35,36,37,38,39…プレート、
40,41,42,43,44,45…垂直溶接部、46…水平溶接部、
50,51…プレート、52,53…垂直溶接部、54…水平溶接部、
55,56…プレート、57,58…垂直溶接部、59…水平溶接部、
60,61…プレート、62,63…垂直溶接部、
64,65,66,67,68,69…プレート、
70,71,72,73,74,75…垂直溶接部、
76,77,78,79…水平溶接部、80,81…プレート、
82,83…垂直溶接部、84,85,86,87,88,89…プレート、
90,91,92,93,94,95…垂直溶接部、111…容器、
113…原子炉容器、115…フランジ、119…ビーム、
121…タイロッド、123…垂直脚部、125…水平脚部、
127…パイプ形材、129…下縁部、131…上端部、133…フランジ、
135…端部、137…収容部、139…スプリング・ロッド、
141…下端部、143…上端部、145…ナット、147…フランジ、
149…当接表面、151,153…間隙、155…上縁部、
157…ブラケット、159…突起部、161…係合部材、163…下端部、
171…ビーム・タブ、175…溝、177…ボス、
179…半径方向スペーサ、181…環状溝、
185,187,189…スペーサ、188,190…突起、
201…交差部材、203…ショルダー部分、205…ねじ穴、207…ピン、
209…スロット、211…カラー、213…スリーブ、223…スリット、
225…スリーブ、227…フィンガー、229…補強板、231…コーナー、
232…外側縁部、233…開口部、234…上縁部、235…柄部、
236…内側縁部、237…ねじ付き開口部、239…フック、
241…上側アーム、243…垂直部分、245…下側アーム、247…ナブ、
249…ノッチ、251…スプライン、253,255…フィン、
257,259…接続プレート、263,265…溝、267…リップ、
269…シム(詰め金)、270,272,274,276,278,280…外側スリーブ・セグメント。
Claims (34)
- 隣接するシュラウド・プレート・セグメントを接続する、少なくとも1つの水平に延びる溶接部を有する原子炉炉心シュラウドを修理する方法において、以下の工程:
(a)それぞれが半径方向の間隙により隔てられた同軸の縦方向の複数の部材を有する複数のタイロッドを、シュラウドの周の回りで角度的に間隔を空けた複数のそれぞれの位置において、シュラウドの頂部および底部に隣接するシュラウドの部位に取り付ける工程;および
(b)シュラウドの頂部に隣接する部位を、シュラウドの底部に隣接する部位に向けて、それぞれのタイロッドに沿って押圧させる工程
を含んでなる方法。 - 工程(a)が、
(c)シュラウドの周の回りで角度的に間隔を空けた複数のそれぞれの位置において、各タイロッドの第1の同軸の縦方向の部材を、シュラウドの頂部および底部に隣接するシュラウドの部位に取り付ける工程;および
(d)第1の縦方向の部材が所定の距離で軸方向に伸ばされる場合に、第1の縦方向の部材から第2の縦方向の部材へ軸方向の荷重を伝達するように、各タイロッドの第2の同軸の縦方向の部材と第1の縦方向の部材とを接続する工程
を含む請求項1記載の方法。 - 工程(d)が、
(e)第2の縦方向の部材の一端をシュラウドの部位の1つに取り付ける工程;
(f)第2の縦方向の部材により保持される重なるフランジと第2の縦方向の部材の取り付け端部との間で第1の縦方向の部材により保持されるフランジを配置する工程;および
(g)フランジどうしの間に軸方向の間隙を形成する工程
を含む請求項2記載の方法。 - 工程(c)が、
(h)それぞれが第1の縦方向の部材を受容するボスを保持している複数のビームを、シュラウドの頂部に隣接する対の突起部(ラグ)の間に取り付ける工程;および
(i)各第1の縦方向の部材の上端部を、対応するボスを圧迫するナットとねじ係合させる工程
を含む請求項2記載の方法。 - 工程(b)が、
(j)各第1の縦方向の部材にねじ係合するナットを選択的に締め付ける工程を含む請求項4記載の方法。 - 工程(c)が、
(k)第1の縦方向の部材の下端部を係合部材とねじ係合する工程
を更に含む請求項5記載の方法。 - (l)シュラウドの底部分に取り付けられた既存のブラケットに、係合部材をフック止めする工程
を更に含んでなる請求項6記載の方法。 - (m)シュラウドの底部分に取り付けられた支持プレートの中に孔を形成する工程;
(n)支持プレートの孔を通して係合部材を降下する工程;および
(o)係合部材を回転させて、孔を通る係合部材の上方への動きを防止する工程
を更に含んでなる請求項6記載の方法。 - (p)シュラウドの底部分に取り付けられた支持プレートから直角に延びる補強板の中に孔を形成する工程;
(q)係合部材を孔に通過させて、係合部材を補強板にフック止めする工程を更に含んでなる請求項6記載の方法。 - (r)同軸の縦方向の部材どうしの間の半径方向の間隙を減衰流体で満たす工程を更に含んでなる請求項1記載の方法。
- (s)複数の半径方向スペーサを、タイロッドの長手方向に沿って縦方向に間隔を空けた位置に配置する工程
を更に含んでなる請求項1記載の方法。 - 工程(s)が、
(t)半径方向スペーサを保持するチューブ状のスリーブ・セグメントをタイロッド上で降下させる工程
を含む請求項11記載の方法。 - 頂部、底部および隣接する水平縁部に沿って一体に溶接される複数のシュラウド・プレート・セグメントを含む沸騰水型原子炉シュラウド、ならびに
シュラウドの外側で角度的に間隔を空けた複数のそれぞれの位置において、それぞれが半径方向の間隙により隔てられた同軸の複数の縦方向の部材を含む、頂部および底部に隣接するシュラウドの部位に取り付けられる複数のタイロッド
を含んでなる沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。 - 同軸の縦方向の部材がそれぞれ軸方向に反対側の端部を有し、該同軸の縦方向の部材の第1のものが両端でシュラウドの頂部および底部に隣接してシュラウドの部位に取り付けられる請求項13記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- 第1の同軸の縦方向の部材が軸方向に所定量延びた後に、第2の同軸の縦方向の部材に軸方向で荷重が加わるように、第1の同軸の縦方向の部材を第2の同軸の縦方向の部材と接続する手段を更に含んでなる請求項14記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- 接続手段が、第1および第2の同軸の縦方向の部材によりそれぞれ保持される軸方向に間隔が空けられて重なる第1および第2のフランジを含む請求項15記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- 第2の同軸の縦方向の部材の一端がシュラウドに取り付けられており、第2の同軸の縦方向の部材の取り付け端部と第2の同軸の縦方向の部材により保持されるフランジとの中間に第1の同軸の縦方向の部材により保持されるフランジが配置される請求項16記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- 半径方向の間隙が減衰流体により満たされる請求項13記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- 第1の縦方向の部材の上端がシュラウドの頂部から吊り下げられるビームに取り付けられる請求項13記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- 各第1の縦方向の部材の下端部がシュラウドの底部に係合する手段に取り付けられる請求項13記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- シュラウドの底部に取り付けられるブラケットを更に含んでなり、係合手段がブラケットの下側に係合するような構造のフックである請求項20記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- シュラウドの底部に取り付けられる支持プレートから直角に延びる補強板を更に有してなり、係合手段が該補強板に形成された孔に係合するような構造のフックである請求項20記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- シュラウドの底部に取り付けられる支持プレートを更に有してなり、係合手段が支持プレートに形成された孔に係合するような構造のT−ヘッドボルトである請求項20記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- 少なくとも1つのタイロッドの長手方向に沿って縦方向に間隔が空けられた位置に保持され、シュラウドと原子炉壁との間に延びる複数の半径方向スペーサを更に含んでなる請求項13記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- 半径方向スペーサがタイロッドの縦方向の部材を取り囲む外側スリーブに保持される請求項24記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- 外側スリーブがセグメント化されている請求項25記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- 外側スリーブの下端部が、タイロッドの下端部に取り付けられる係合部材を圧するように形成されているフィンガーを含む請求項25記載の沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリ。
- 同軸の縦方向の部材がそれぞれ軸方向に対向する端部を有する、半径方向の間隙によって隔てられる複数の同軸の縦方向の部材;
第1の同軸の縦方向の部材の一端をシュラウドの頂部に取り付けるための手段;
第1の同軸の縦方向の部材の他端をシュラウドの底部に取り付けるための手段;
第1の同軸の縦方向の部材を張り伸ばすための手段;
第1の同軸の縦方向の部材が軸方向に所定量延びた後に、第2の同軸の縦方向の部材に軸方向の荷重を加えるように、第1の同軸の縦方向の部材を第2の同軸の縦方向の部材と接続する手段;ならびに
半径方向の間隙内に配される減衰流体
を含んでなる沸騰水型原子炉シュラウド・アッセンブリに圧縮力を加えるためのタイロッド・アッセンブリ。 - 接続手段が、第1および第2の同軸の縦方向の部材によりそれぞれ保持される、軸方向に間隔が空けられて重なる第1および第2のフランジを含む請求項28記載のタイロッド・アッセンブリ。
- 第2の同軸の縦方向の部材がシュラウドに取り付けられており、第2の同軸の縦方向の部材のその取り付け端部と第2の同軸の縦方向の部材により保持されるフランジとの中間に第1の同軸の縦方向の部材により保持されるフランジが配される請求項29記載のタイロッド・アッセンブリ。
- タイロッドの長手方向に沿って縦方向に間隔が空けられた位置で保持されて、シュラウドと原子炉容器壁との間で延びる複数の半径方向スペーサを更に有してなる請求項28記載のタイロッド・アッセンブリ。
- 半径方向スペーサがタイロッドの縦方向の部材を取り囲む外側スリーブに保持される請求項31記載のタイロッド・アッセンブリ。
- 外側スリーブがセグメント化されている請求項32記載のタイロッド・アッセンブリ。
- 外側スリーブの下端部が、第1の縦方向の部材の他の端部に取り付けるための手段に係合するような構造のフィンガーを含む請求項32記載のタイロッド・アッセンブリ。
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