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JP3591576B2 - 電子楽器及び楽音制御用操作子機構 - Google Patents
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JP3591576B2 - 電子楽器及び楽音制御用操作子機構 - Google Patents

電子楽器及び楽音制御用操作子機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子楽器の楽音の音色、音量、各種効果等の楽音要素を制御するための操作子機構、及びその操作子機構を備えた電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子楽器には、電子オルガンやシンセサイザ等の電子鍵盤楽器の他、電子ドラム、リズムマシーン、シーケンサ、電子管楽器、MIDIコントローラ等、操作子(操作キー)を備えたものが多種類存在する。
【0003】
例えば、電子鍵盤楽器の鍵は、特定の音程の音を発生させる操作子として機能する他、発音時又は発音開始後に楽音の音量や音色を変化させたり、トレモロやビブラート等の装飾的効果を加えたりする楽音多様化のための制御用操作子として使用されることもある。そして、鍵と別個にコントローラ等を設けた場合と異なり、演奏のための押鍵動作と同時に、例えばその押圧力を調整すれば、発音とその制御の双方を行なうことができ、多様な思い通りの演奏が可能となる。このような制御を可能にする機構としては、並列された鍵全部又はある範囲の複数の鍵を制御用の操作子とし、押鍵時又は押鍵後の押鍵圧を圧力センサにより感知して、押鍵圧に応じた楽音制御を可能にしたものが多い。これらの機構においては、制御用の鍵又はその連動部材の並列幅に亘って延びる帯状の圧力センサが、押鍵圧を受ける位置に設置される。圧力センサは、制御用の鍵の内のいずれかに加えられた押鍵圧に対応した信号を出力し、制御部がその信号に応じて楽音を制御する。
【0004】
しかしながら、このような帯状圧力センサは、通常、数鍵から数十鍵に亘る長さのものが使用されるので、圧力センサの製造、及び取り付けのコスト及び手間が増大するという問題があった。したがって、そのような圧力センサを使用した電子鍵盤楽器の製造コストをも増大させていた。
【0005】
また、電子鍵盤楽器の他、前述の種々の電子楽器においても、発音用のキーを装飾的効果等の制御用操作キーと兼用することが考えられるが、そのために複数キーに亘って延びる圧力センサを使用すれば、前述と同様の問題が生じる。
【0006】
一方、多数の発音用の操作子(鍵やキー)とは別個に設けた単一の操作子で、楽音制御をする装置が提案されている(特許第2897281号, 2897282号公報)。これは、楽器の操作面に沿って直線的に変位可能かつ同操作面に対して垂直に変位可能に設けた操作子と、操作子の下部を固定したベルト状の張設部材とを備えたものであり、操作子の操作の際の操作面に沿う直線的変位とそれに垂直な変位とを別個に検出して、双方によりバイオリン等の擦弦楽器に近い楽音制御を行えるようにしたものである。しかしながら、この装置は、単一の楽音を単一の操作子で制御するものであり、複数の操作子の楽音制御に使用する場合には適さないものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の第1の目的は、複数の操作子の下で行なわれる楽音制御を簡便な構造で実現し、製造コストを低減し得る操作子機構を提供することにある。
【0008】
本発明の第2の目的は、複数の操作子の下で行なわれる楽音制御を簡便な構造で実現し、製造コストを低減した電子楽器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記第1の目的は、直線上に並べられ、かつそれぞれが該直線の方向を横切る方向に往復動可能な複数の操作子と、前記直線の方向に沿い、かつ該複数の操作子のそれぞれの動作を受け得るように張設され前記操作子の往復動の少なくとも一部に伴って撓み位置及び復元位置をとる線条体により構成される張設部材と、該張設部材又は該張設部材と連動する部分に設けられ、該張設部材の撓みに伴う物理量の変化を検知する検知部とを備えたことを特徴とする楽音制御用操作子機構により達成される。
【0010】
本発明の前記第2の目的は、直線上に並べられ、かつそれぞれが該直線の方向を横切る方向に往復動可能な複数の楽音操作用操作子に対し、前記直線の方向に沿い、かつ該複数の操作子のそれぞれの動作を受け得るように張設され前記操作子の往復動の少なくとも一部に伴って撓み位置及び復元位置をとる線条体により構成される張設部材と、該張設部材の一部分又は該張設部材と連動する部分に設けられ、該張設部材の撓みに伴う前記部分における物理量の変化を検知する検知部と、該検知部が前記張設部材の撓みに伴って検知した物理量の変化を、楽音のコントロール用信号として利用する制御部とを備えたことを特徴とする電子楽器により達成される。
【0011】
また、前記張設部材、検知部、及び制御部を備えることにより、音源の発音状態を制御する楽音制御装置を構成することもできる。
【0012】
前記操作子機構は、前記検知部が、前記張設部材の撓みに伴う該張設部材の一部分又は該張設部材と連動する部分の軸線方向への移動に伴う物理量を検知する手段を備えたものとすることができる。
【0013】
前記操作子機構はまた、前記張設部材又は検知部が少なくとも一部に弾性部材を備え、前記検知部が、前記張設部材の撓みに伴って生じる前記弾性部材の変形時の応力又は歪みを検知する手段を備えたものとすることができる。
【0014】
前記操作子機構はさらに、前記検知部が、前記張設部材の撓みに伴う該張設部材の一部分又は該張設部材と連動する部分の軸線方向を横切る方向への移動に伴う物理量を検知する手段を備えたものとすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する複数の実施形態において、同一又は同種の部分には、同一番号を付してその説明を省略することがある。
【0016】
図1は、本発明に係る操作子機構の基本的な構成の1例を示すものであり、並列された複数の操作子1と、該操作子に結合された張設部材2とを示している。各操作子1は、その並列方向を横切る方向に往復動可能に設けられる。並列方向を横切る方向には、図の並列方向xに対して、これに垂直で且つ水平方向であるy方向、並列方向xに垂直で且つ鉛直方向であるz方向、乃至はこれらy方向及びz方向の中間の方向、さらには、これらyz面に沿う方向成分とx方向成分とを含む方向のいずれをも含む。
【0017】
操作子1は、種々の電子楽器の楽音操作部分とすることができ、例えば、電子鍵盤楽器の鍵の他、指又は掌の操作でシンバルやハンドクランプ等の音を出す電子打楽器の操作キー、電子管楽器の指操作用キー、足で操作するフットボリューム、ペダル、スイッチ等、楽音を制御するために複数設けられる操作部分とすることができ、その操作は、押し下げ、引き上げ、ひねり等により、操作子の直線運動、回動運動又はこれらの組み合わせ等、種々の動作を生じさせるものとすることができる。また、操作子は、奏者が力を加えることにより、一つの方向へ動作した後、力を解除すれば元の位置に戻ることにより往復動をなすように、ばね力が作用しているのが一般的であるが、往復動とも奏者の操作により行なうようにしてもよい。なお、操作子には、直接操作される部分の他、直接操作される部分からリンク機構、巻掛け機構、流体伝動装置等の機械的又は流体的伝動部を介して動作する部分が含まれる。
【0018】
張設部材2は、紐、ワイヤ、テープ、コイルばね等の種々の線条体により構成され得る。張設部材2は、操作子1に結合される結果、図2に示すように、操作子1又はその連動部材の移動方向(図2に矢印で示す)に応じた種々の方向への撓みを生じ、操作の解除により弾性的に位置を復元する。張設部材2は、複数の操作子が操作された場合にも各々の操作子又はその連動部材の移動方向に応じた撓みを生じる。
【0019】
なお、張設部材2は、操作子の並列方向に沿って張設される。図3は、電子鍵盤楽器の鍵盤を操作子とする場合の、張設部材の種々の張設形態を示している。図示の例では、簡単のために、鍵盤下面のどこかが張設部材に接することにより張設部材を撓ませるようになっており、これにより、押鍵による発音に対する音質変化等の付加的制御を行なうようになっているものとする。図示のように、張設部材2aは、操作子の並列方向に平行に配置されている場合を示す。張設部材2bは、操作子の並列方向に対して傾斜しているが、楽音制御用の操作子の範囲Aの動作を受け得る範囲に張設部材2bが位置している。張設部材2cは、操作子の並列方向に平行であるが、楽音制御に寄与する操作子の範囲Bに亘って延びている。このように、張設部材の張設方向は、操作子の並列方向に平行とするのが望ましいが、該並列方向もしくは上下方向に対して傾斜していても操作子の動作を受けて撓みを生じ得る位置にある範囲であればよい。このように操作子並列方向と張設部材張設方向とを平行以外の方向に設けるという配置は、高音側と低音側とで感度を連続的に変化させるための有効な手段となる。また、張設部材2の張設範囲は、操作子1の動作を受け得る範囲であればよい。
【0020】
したがって、例えば、電子鍵盤楽器において、鍵盤の下方に鍵の並列方向に張設され鍵の押圧動作に伴って撓み位置をとる張設部材を設けるに当たり、張設部材を鍵並列方向に対し平行以外の方向に設けることが可能である。
【0021】
本発明に係る操作子機構は、操作子により撓ませられた張設部材の物理量の変化を検知して楽音制御を行なうものである。制御される楽音には、発音、消音タイミング、音量、音色、音高、パンニング等、本機構が装着される電子楽器における種々の楽音制御に適用することができる。通常は、操作子の操作による発音と同時又は発音開始後の楽音の制御を対象とする。
【0022】
本機構には、その楽音制御のための検知部3が設けられる。検知部3は、張設部材の張設形態乃至支持形態に応じたものとされる。図4から図10は、操作子機構における張設部材及び検知部の種々の形態を概略的に示している(簡単のため、操作子等を省略し、張設部材及び検知部を中心に示す)。
【0023】
図4では、張設部材2は、一端を支持部材G上の固定部4のフックに係止して固定され、他端が検知部3aに接続されている。検知部3aは、張設部材2を係合させる滑車5と、該滑車を経た張設部材に結合された錘6と、張設部材2における滑車5寄りの端部付近に配置された計測部7aとを備えている。計測部7aは、張設部材又は張設部材と連動する部分の動作を検知し得る種々のものとすることができる。図示のものでは、張設部材に反射板70を固定し、反射板70が向きを一定に保って移動するように案内するガイドレール71を支持部材Gに固定して反射板70の下端に係合させ、反射板70に臨む位置にフォトリフレクタ72を接近して配置している。フォトリフレクタ72は、反射板の位置の変化に応じて変化する受光量を検知する。或いは、反射板70に、多数の光反射性ライン及び光吸収性ラインの縦縞を形成し、張設部材2の撓みに伴って反射板70が移動するとフォトリフレクタ72から通過する縦縞の数に応じた出力が得られるようにしてもよい。
【0024】
この他の例として、計測部7aには、図12に示すものを採用することができる。図12(a)に示す計測部は、図4に示されている滑車5と共に回転する軸に可変コンデンサ701を接続し、張設部材2の撓みに伴う滑車5の回転に応じて可変コンデンサ701の抵抗値が変化するようにしたものである。操作子の操作により、張設部材が撓むと、滑車5が回転し可変コンデンサ701も回転するので、その抵抗値変化を検出するものである。
【0025】
図12(b) に示す計測部は、張設部材2に光透過率を漸進的に変化させるスケール板702を固定し、これをガイド703で一定方向に摺動するように案内し、ガイド703に発光部及び受光部を備え到達光量を検知するフォトセンサ704を配置したものである。操作子の操作により、張設部材2が撓むと、スケール板702も移動し、フォトセンサ704の受光部に達する光量が変化するので、その変化量を検知する。
【0026】
図12(c)に示す計測部は、張設部材2に下端縁が傾斜したシャッター板705を固定し、これをガイド706で一定方向に摺動するように案内し、ガイド706に発光部及び受光部を備え到達光量を検知するフォトセンサ707を配置したものである。操作子の操作により、張設部材2が撓むと、シャッター板705も移動し、フォトセンサ707の受光部に達する光量が変化するので、その変化量を検知する。
【0027】
図12(d)に示す計測部は、図4に示した滑車5の下方において張設部材2の端部に金属製錘708を固定し、これと微小間隔をおいて電磁コイルを備えた接センサ709を配置したものである。近接センサ709の電磁コイルへの通電状態において、操作子の操作により、張設部材2が撓むと、錘708が移動し、近接センサ709との間隙を変化させる。これに伴って、電磁コイルの渦電流損失が変化し、近接センサ707からの出力が変化するので、その変化量を検知する。特に、図12(d’) に示すように、近接センサとして、一次コイル711及び二次コイル712を配置したものとするのが望ましい。一次コイル711に高周波交流電圧を印加した状態において、錘708が移動すると、一次コイルの磁束φ1により錘710に渦電流が発生する。その結果、電磁誘導により二次コイル712にφ1と逆向きの磁束φ2が発生し、差動の形で二次コイル712側で電力損失を検知することができる。図において713は増幅器である。
【0028】
これらによる検知対象となる物理量は、張設部材又は張設部材と連動する部分の変位、速度、加速度等とすることができ、楽音制御にはこれらの内の1種の他、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの検知に基づく楽音制御は、検知量に対し、線形、非線形、オン−オフ等、種々の形態とすることができる。
【0029】
図4に示すように、張設部材2には、錘6による引っ張り力が作用しており、操作子が操作されると、張設部材2は引っ張り力に抗して撓み、その撓み量に応じて錘6が引き上げられることになる。図4の例では、計測部7aが、このときの張設部材2に設けた反射板の変位を検知して制御用信号を発生させる。
【0030】
図5に示す例では、図4と同様に一端が固定され(図示は省略)、他端が検知部3bに接続されている。検知部3bは、支持部材G上に固定され張設部材側にフック9を有した固定部材8と、フック9に一端を係止され他端を張設部材2に係止したコイルばね10と、張設部材2におけるばね10寄りの端部付近に配置されに計測部7aとを備えている。張設部材2には、ばね10による引っ張り力が作用しており、操作子が操作されると、張設部材2は引っ張り力に抗して撓み、その撓み量に応じてばね10が伸びることになる。計測部7aは、図4に示したものと同様のものとすることができ、端部付近における張設部材の移動量等を検知する(図には詳細を省略して示す)。
【0031】
図6は、張設部材を複数本に分割した例を示している。図示の例では2本の張設部材2d、2eに分割され、各々の外側端部を図5に示したと同様の固定部材8、ばね10に係止し、内側端部を接続部材11に接続している。該接続部材11と支持部材Gとの間には、張設部材2d,2eを横切る方向に上端を取り付けられたばね12、該ばねの下端に結合された柱状の計測部13、及び該計測部を支持する固定部材8’が設けられている。計測部13の側面には歪みゲージが貼り付けられている。このように、張設部材が、2本に分割されているので、操作子機構の検知部3bは、次のように作動する。2本の張設部材の内、例えば張設部材2dが操作子に押圧されて撓んだ場合は、接続部材11が図の左方に移動し、歪みゲージ13aは引張り歪みを出力する。一方、張設部材2eが操作子に押圧されて撓んだ場合は、接続部材11が図の右方に移動し、歪みゲージ13aは圧縮歪みを出力する。したがって、左右いずれの張設部材に操作子が作用したのかを区別することができる。また、張設部材2d,2eの双方に操作子が作用したときは、操作子の押圧力の強い方へ計測部が曲がり変形を生じる。その曲がり量は、両張設部材に作用した押圧力の差に対応したものとなる。すなわち、両操作子の押圧力は、部分的に相殺された形で歪みゲージに伝えられる。これにより、例えば、張設部材2dに或る押圧力を作用させた状態で、張設部材2eに作用する操作子の押圧力を次第に強め、或る強さに達したところで、張設部材2dの押圧力を弱めていくという操作をすると、歪みゲージの歪みの出力は、当初の引張り歪みから次第に歪み量を減じ、その後、圧縮歪みへと変化する。これを利用して、操作子による楽音制御を音高とした場合に、音高の連続的な変化(ポルタメント的変化)を生じさせることができる。また、操作子による楽音制御を音源の定位とした場合には、音源の定位を左右などに変化させること(パンニング)が可能となる。この他、この操作子機構によれば、両張設部材を使用して、単一の張設部材のみでは実現し得ない中間的な制御状態を得ることができる。
【0032】
図7は、張設部材2の複数方向での変化量を検知する検知部3dの例を示している。張設部材の一端は、図外の固定部に固定され、他端が図示した検知部3dに接続されている。検知部3dは、支持部材G上に固定され張設部材側にフック係止用線条13を有した固定部材8と、弾性的に伸縮可能な線条13に一端を係止され他端を張設部材2に係止した第1計測部7bと、張設部材2における第1計測部寄りの位置に配置された第2計測部7cとを備えている。第1計測部7bは、張設部材の軸線方向xの変化量を計測し、第2計測部7cは、張設部材2に垂直な方向y、zへの変化量を検知する。第1計測部7bは、相互に向き合う内端部同士をばねで接続され、外端部をフック70により張設部材2及び線条13に係止したコア71と、該コア71を囲み該コアを摺動自在に保持する電磁コイル部72とを備えている。コア71は、内部に鉄芯を備えている。第1計測部7bは、この構造により、コア71が張設部材に引っ張られて移動すると電磁コイル部72に対する鉄芯の位置が変化し、これに伴って電磁コイル部のインダクタンスが変化する。その変化は、電磁コイル部72の接続線720から出力される。したがって、操作子の操作により張設部材2が撓み、コア71をに引っ張ると、両コアの移動量に応じてインダクタンスの変化量がx方向の変化量として第1計測部7bから出力される。
【0033】
なお、この例では、第1計測部は、コアと電磁コイルとによりインダクタンス変化量を出力するものとしているが、この他、張設部材による引っ張りに応じた歪み等の変化を出力する種々の形態とすることができる。
【0034】
第2計測部7cは、張設部材2を囲む矩形の支持枠73と、該支持枠に支持された縦摺動枠74及び横摺動枠75とを備えている。縦摺動枠74及び横摺動枠75は、支持枠73の内面に形成された縦溝76及び横溝77に各々両端部を係合して摺動可能に支持され各々鉛直方向及び水平方向に移動することができる。縦摺動枠74及び横摺動枠75は、共に張設部材2の径より僅かに大きい間隔の扁平な中空部を有している。したがって、張設部材が鉛直方向に移動するときは、縦摺動枠74が移動し、横摺動枠75は移動しない。また、張設部材が水平方向に移動するときは、横摺動枠75が移動し、縦摺動枠74は移動しない。そして、鉛直方向成分及び水平方向成分からなる斜め方向に張設部材が移動するときは、縦摺動枠74及び横摺動枠75が、前記鉛直方向成分及び水平方向成分に応じた移動をする。支持枠73には、縦摺動枠74及び横摺動枠75の移動量に応じた抵抗値を出力するように、ボリューム型可変抵抗が設けられている。
【0035】
したがって、図7の検知部3dによれば、張設部材2が操作子1の動作を受けると、それに伴う引っ張り力を第1計測部7b及び線条13に伝え、第1計測部7bは、電磁コイル部72に対するコア71,71’の移動に伴うインダクタンスの変化により、x方向の変化量を出力する。また、第2計測部7cは、張設部材2の軸線方向を横切る方向への移動におけるy方向及びz方向成分に応じた変化量を出力する。
【0036】
このように、x、y、zの3軸方向についての物理量の変化を検知することにより、1本の張設部材を使用して3種類の楽音制御を行なうことができる。x、y、z軸方向の物理量変化に対応させる楽音制御としては、例えば、音量、音高、音色、アンプリチュードエンベロープ、チョーキング効果、カットオフフリーケンシー、トレモロ、ピッチベンド、ワウワウ効果等を割り当てることができる。
【0037】
図8は、操作子の操作時に、図7に示した検知部により検知される張設部材2の変位の例を示している。張設部材2がその軸線方向及びこれを横切る方向へ変位して、張設部材上の点P0が、点P1に移動した場合、そのx方向成分dxは、第1計測部7bで検知され、y方向成分dy及びz方向成分dzは、第2計測部7cで検知される。ここで、変位dxは、点P0と点P1との距離のx軸線への投影により得られる長さに略該当する。また、変位dy及びdzは、点P0における張設部材に垂直な平面と張設部材との交点P2のy軸及びz軸への投影により、P2−P3, P0−P3として得られる長さに該当する。
【0038】
図9は、検知部のさらに他の例を示している。この検知部3eは、支持部材Gに固定された固定部材8と、該固定部材8の上面から上方へ延びる支持棒14と、該支持棒14の上部に固定された柱状の計測部7dと、該計測部7dの上端から上方へ延び上端にフックを備えた係止棒15とを備えている。張設部材2は、一端を図外の固定部に固定され、他端を係止棒15のフックに係止されている。計測部7dは、例えば直径10mm、長さ40mmの硬質ゴム製の柱体78における張設部材とは反対側の面に歪みゲージ78aが固着されたものである。図9は、操作子の操作により張設部材2が撓んだ状態を示している(撓み量を実際より拡大して示す)。この状態において、柱体78は張設部材に引っ張られて張設部材側へ屈曲し、その結果歪みゲージ78aは引き延ばされ、歪みを出力する。したがって、張設部材2の撓みに応じた出力が歪みゲージ78aにより得られる。
【0039】
以上の図4から図9に示した例では、張設部材2、2a、2bは、それ自身が実質上長手方向に弾性変形せず、その支持端に変位を生じさせるようにするのが望ましい。
【0040】
図10に示す検知部の例では、上記とは異なり、それ自身が長手方向に弾性変形する張設部材2’を使用している。張設部材2’は、図4と同様に一端が固定され(図示は省略)、他端が支持部材G上の検知部3fに接続されている。検知部3fは、支持部材Gに固定された固定部材16と、該固定部材16に関し張設部材2’とは反対側において支持部材G上に固定されたレール17と、該レール上に摺動可能に支持された摺動部材18とを備えている。摺動部材18は、側面視において横転U字状をなしており、そのU字状における脚部を固定部材16に対向させている。U字状における凹部の内端部にはフック19が設けられている。摺動部材18の一方の脚部の端面には、計測部7eとして圧力センサが固定され、他方の脚部の端面には緩衝材20が固定されている。張設部材2’は、端部をフック19に係止されており、その状態でもう一方の固定部に支持された端部との間で或る程度引き伸ばされ、その弾性力により摺動部材18を固定部材16に向けて押しつけている。
【0041】
図10に示す操作子機構は、操作子が操作されると、その動作に伴って張設部材2’が弾性変形して伸びを生じながら撓む。これにより、摺動部材18が、張設部材2’によってさらに引かれ、固定部材16を押圧する圧力が高まる。したがって、計測部7e(圧力センサ)からの出力もこれに伴って増大する。このように、張設部材2’を弾性に富んだものとし、計測部7eにより張設部材2’の撓みに応じた出力を得ることができる。計測部7eの圧力センサとしては、感圧ゴム、感圧インク等を使用することができる。緩衝材20は、摺動部材18が張設部材に引かれた際に、その引っ張り力が正確に圧力センサに作用するように設けられており、材質としては、プラスチック、ゴム等の種々の弾性材料とすることができる。或いは、緩衝材に代えて、前記感圧ゴム、感圧インク等をここにも設け、計測部7eと共通の出力線に接続することもできる。
【0042】
或いは、図10の例において、計測部(圧力センサ等)を図の7eの箇所及び20の箇所の双方に設け、各々から別個の出力線を導出した場合は、両出力の合計から張設部材の軸線方向の物理量(応力、歪み等)を検知し、両出力の差から2つの計測部の並列方向(張設部材軸線方向を横切る方向)の物理量変化(応力、歪み等)を検知することができる。同様の原理に基づき、摺動部材18と固定部材16との間の面において、張設部材の軸線方向を横切る一又は複数の所望の方向に計測部を並列して設けることにより、並列した計測部同士の出力の差から並列方向の物理量変化を検知することができる。さらに、図10の例において、3個の計測部(圧力センサ)を張設部材の軸線を中心とする周方向に120度間隔で設けておけば、これらの計測部からの出力を総合的に計算して、張設部材の軸線方向及びそれを横切る方向のあらゆる方向について張設部材の撓みに伴う物理量の変化を求めることができる。
【0043】
なお、図5の例のように、張設部材自身が実質的に伸びの弾性変形をしなくても、これにばねを接続して全体として伸びの弾性変形を生じるようにし、これを図10の張設部材2’に置き換えて使用することもできる。
【0044】
図11は、本発明に係る操作子機構を備えたシンセサイザーの例を示している。このシンセサイザーは、並列した鍵(白鍵及び黒鍵)Kの操作により基板B上のキーボードスイッチSkが作動して発音をなすものであり、さらに、音色変化のためのパネルスイッチSp、音量設定のための音量コントローラCd、ピッチベンドやモジュレーションデプスのためのホイールW、及び本発明に係る操作子機構Aを備えている。鍵Kは、押圧されることにより鍵後方(演奏者から遠い側)を中心に回動し、ストッパTに当接して回動を停止する。その際に、キーボードスイッチSkを押し動かし、スイッチSkのON動作により発音がなされる。各鍵は、前側下方へ延びた延在部Eを有している。延在部Eの下方には張設部材2が、一端部を固定部4に固定され、他端部を検知部3gに接続されている。図示の例では、検知部3gがL字形の金属製弾性変形片21に計測部7fとして歪みゲージが固定されたものであり、計測部7fの出力は、信号線22により、図外の楽音制御部に伝達されるようになっている。
【0045】
したがって、鍵Kを押圧すると、キーボードスイッチSkが閉じられると共に、延在部Eが張設部材2を撓ませ、これにより検知部3gの弾性変形片21が弾性変形し、計測部7fが変形に応じた出力をする。その出力は、信号線22を経て楽音制御部に伝達され、押鍵圧に応じた音量、音色、その他の装飾的楽音が発せされる。この例では、張設部材2が全鍵に亘って延びているので、どの鍵を押圧するときにも、上記制御を行なうことができる。
【0046】
なお、図11の実施形態においては、張設部材2、検知部3gとして前述の実施形態に示したものを例とする種々のものを使用することができる。
【0047】
以上に説明した実施形態においては、張設部材の撓みに伴う物理量は、以下の要素によって異なる。
【0048】
i) 同時に操作する操作子の数
ii) 操作子を操作する速度や操作時に加える力
iii) 上記i), ii)の組み合わせ
演奏者は、操作子を操作しながら、操作子機構を通じて制御される楽音を聴いている。したがって、演奏の瞬間毎に上記の要素の組み合わせが変化しても、発せられる楽音を聴いて直ぐにそれらの組み合わせに応じた入力を自ら調整し、求める楽音制御を行なうことができる。例えば、鍵盤楽器が、張設部材の撓み量に伴う検知部での変位の検知に基づいて、発音開始後の音量制御(アフターコントロール)を行なう場合、多数の鍵を押圧するほど張設部材の撓み量、したがって検知部で検知される変位は大きくなる。その結果、打鍵後のアフターコントロールにおいては、小さい押鍵力で大きな音量が出る傾向を示す。しかし、演奏者はアフターコントロールによる楽音を聴いて瞬時に鍵への押圧力を変化させることができるので、押鍵数にあまり影響されることなく求める音量の音を奏することができる。なお、楽音のアフターコントロールのためには、制御部において、打鍵時の張設部材の撓みとその後の押鍵力による撓みとを区別するために、打鍵時の検知部からの速い出力増加分をフィルターでカットし、その後の出力に応じて楽音を制御するようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上の通り、本発明に係る電子楽器の操作子機構においては、操作子並列方向に沿って張設され操作子の往復動の少なくとも一部に伴って撓み位置及び復元位置をとる張設部材と、該張設部材の撓みに伴う物理量の変化を検知する検知部とを備えているので、少なくとも1本の張設部材で複数の操作子の動作を検知することができる。したがって、その検知に基づいて、複数の操作子の下で行なわれる楽音制御を簡便な構造で実現し、操作子機構の製造コストを低減し得る。
【0050】
また、本発明に係る電子楽器においては、上記操作子機構を備え、該操作子機構の出力に基づく楽音制御をするので、複数の操作子の下で行なわれる楽音制御を簡便な構造で実現し、製造コストを低減し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る操作子機構の1例を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した操作子機構における張設部材の動作の説明図である。
【図3】本発明に係る操作子機構における張設部材の配置の説明図である。
【図4】本発明に係る操作子機構の他の例における張設部材及び検知部を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る操作子機構のさらに他の例における張設部材の一部及び検知部を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る操作子機構のさらに他の例における張設部材及び検知部を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る操作子機構のさらに他の例における張設部材の一部及び検知部を示す斜視図である。
【図8】図7に示した操作子機構における張設部材の動作の説明図である。
【図9】本発明に係る操作子機構のさらに他の例における張設部材の一部及び検知部を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る操作子機構のさらに他の例における張設部材の一部及び検知部を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る操作子機構を備えた電子鍵盤楽器の例を一部切り欠いて示す斜視図である。
【図12】本発明に使用し得る計測部の種々の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1:操作子、 2,2a〜2e,2’:張設部材、 3,3a〜3g:検知部、 7a〜7f:計測部、 K:鍵盤、 G:支持部材

Claims (2)

  1. 直線上に並べられ、かつそれぞれが該直線の方向を横切る方向に往復動可能な複数の操作子と、前記直線の方向に沿い、かつ該複数の操作子のそれぞれの動作を受け得るように張設され前記操作子の往復動の少なくとも一部に伴って撓み位置及び復元位置をとる線条体により構成される張設部材と、該張設部材又は該張設部材と連動する部分に設けられ、該張設部材の撓みに伴う物理量の変化を検知する検知部とを備えたことを特徴とする楽音制御用操作子機構。
  2. 直線上に並べられ、かつそれぞれが該直線の方向を横切る方向に往復動可能な複数の楽音操作用操作子に対し、前記直線の方向に沿い、かつ該複数の操作子のそれぞれの動作を受け得るように張設され前記操作子の往復動の少なくとも一部に伴って撓み位置及び復元位置をとる線条体により構成される張設部材と、該張設部材の一部分又は該張設部材と連動する部分に設けられ、該張設部材の撓みに伴う前記部分における物理量の変化を検知する検知部と、該検知部が前記張設部材の撓みに伴って検知した物理量の変化を、楽音のコントロール用信号として利用する制御部とを備えたことを特徴とする電子楽器。
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