JP3592170B2 - ゴルフクラブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフクラブのシャフトは、繊維強化プラスチック(FRP)によって成形されるのが主流になりつつあり、このようなシャフトは、強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを芯金に対して巻回し、これを加熱することで合成樹脂を硬化せしめ、その後、脱芯、研磨、塗装等の工程を経て作成される。
【0003】
このようなFRP製のシャフトにおいて、例えば、特開平9−277389号に開示されているように、ヘッドスピードが遅いゴルファーにとってもヘッドスピードの向上が図れる構成が知られている。この公報に開示されているゴルフクラブのシャフトは、ゴルファーがスイングした際、しなりやすいように低弾性率(5〜15tonf/mm2)の強化繊維を軸長方向に引き揃えたプリプレグを用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、低弾性率の強化繊維によるプリプレグを用いた構成では、高強度でしなりを大きくできる反面、振動減衰率が小さくなるため、打球直後に振動が残ってしまい、しなり感が伝わって不快感が生じると共に頼りない感じを与えてしまう。すなわち、打球時の衝撃によって、打球後にシャフトの先部や胴部が不必要に振動する現象、いわゆる先振れや胴振れが発生してしまう。
【0005】
この発明は、上記問題点に基づいてなされたものであり、高強度でしなりが大きく、かつ打球感に優れた構成のゴルフクラブを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを巻装することで成形されるシャフトを備えたゴルフクラブにおいて、前記シャフトは、その軸長方向の少なくとも一部に、弾性率が5〜15tonf/mm 2 の強化繊維を具備するプリプレグによる低弾性層と、この低弾性層が存在する位置に配置される金属層を有し、前記低弾性層は、前記金属層の長さよりも長いことを特徴とする。
【0007】
上記したように、軸長方向の少なくとも一部に低弾性層を配設することで、シャフトがしなりやすくなり、また、そのような低弾性層がある領域に金属層を配設することで、打球時の衝撃によってしなりやすい部分に伝わる振動が効果的に減衰される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係るゴルフクラブの一実施形態を示す図であり、ウッドタイプのゴルフクラブの斜視図である。
【0009】
ゴルフクラブ1は、中空状のシャフト10と、シャフト10の先端に装着されるヘッド50と、シャフト10の基端側に取着されるグリップ60によって構成されている。
【0010】
シャフト10は、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維等の強化繊維に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル等の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の合成樹脂を含浸したプリプレグを巻装することで成形されており、図2に示すように、グリップ側(図中右側)からヘッド装着側(図中左側)に向けて次第に縮径するテーパ状に成形されている。なお、本発明では、シャフトの形状については限定されること無く、例えば、中間部に急テーパを設けたり、軸長方向で異なるテーパを組み合わせたり、あるいはテーパ部とストレート部を組み合わせた形状であっても良い。なお、図において、符号Lはシャフト全長を、符号L1はシャフト先端からキックポイント(K.P.)までの長さを示す。
【0011】
図3は、シャフト10の具体的な構成を示す図であり、(a)は、巻装されるプリプレグの配置例を示す図、(b)は、図(a)によるプリプレグの積層構造を示す図である。
【0012】
シャフト10は、芯金Mに、複数枚のプリプレグを巻回し、その後、常法すなわちテーピングによる締め付け、加熱硬化、芯金除去、テープの除去、研磨等の工程を経て成形される。なお、図に示す芯金Mは、先端領域と略中央から後端に向かう領域に夫々異なるテーパ部P1,P3が形成されると共に、その間に急テーパ部P2が形成され、かつテーパ部P3の後端側は略ストレート状になっている。このような芯金の外形状によれば、最終的に成形されるシャフトには、芯金に対応したテーパが形成される。
【0013】
図3(a)に示す構成では、芯金Mに対して、順に、テーパ部P2より前方領域にプリプレグ11が巻回され、その上から、芯金全体に亘ってプリプレグ12〜14が巻回され、その上から、軸長方向の前方領域に前記プリプレグ11よりも長く構成されたプリプレグ15が、後方領域に前記プリプレグ15の後端と一致するようにプリプレグ16が夫々巻回され、そして、プリプレグ15上から、軸長方向先端部に補強用プリプレグ17が巻回される。
【0014】
ここで、上記のように巻回される各プリプレグの構成を説明する。
【0015】
[プリプレグ11]
プリプレグ11は、チタン、鉄、タングステン、銅、アルミ等によって形成された金属繊維を略軸長方向に引き揃えて合成樹脂を含浸したプリプレグ11a(金属プリプレグ)に、ガラス繊維を織布状にして合成樹脂を含浸したプリプレグ11b(ガラスプリプレグ)を裏打ちしたものであり、実際に巻装された際に図3(b)に示すように、金属層11Lを形成する。
【0016】
この場合、プリプレグ11(金属層11L)は、打球後にヘッド側から伝わる振動を効果的に抑制できるように、シャフトの前端側、特に図2に示すキックポイント(K.P.)よりも前方側に巻装することが望ましい。具体的には、プリプレグ11の長さをL2とした場合、L2<L1であることが望ましい。ただし、L2が短すぎると十分な減衰効果が得られないことから、L2は100mm以上にすることが望ましい。
【0017】
前記金属プリプレグ11aは、肉厚が0.04〜0.30mm、好ましくは0.07〜0.20mmに形成され、樹脂含浸量が20〜60wt%、好ましくは30〜45wt%とされる。また、前記ガラスプリプレグ11bは、肉厚が0.01〜0.20mm、好ましくは0.02〜0.15mmに形成され、樹脂含浸量が20〜60wt%、好ましくは25〜45wt%とされる。そして、このような重合構造のプリプレグ11は、その巻回数が0.9〜3.0となるように形成される。
【0018】
本実施の形態では、金属層11Lがシャフトの最内層に位置して金属プリプレグが内面に露出し、使用する金属材料によっては腐食等の問題が発生することから、ガラスプリプレグ11bを重合させた構成にしているが、金属層がシャフトの最内層以外に位置する構成であれば、ガラスプリプレグを重合することなく、金属プリプレグを単体で巻装しても良い。
【0019】
また、金属層は、打球後に生じるシャフトの振動を減衰するよう配設されるものであり、そのような効果が得られれば、金属層を形成するための構成は種々変形することが可能である。例えば、上記した材料による金属繊維を織布状にし、これに合成樹脂を含浸したプリプレグ、チタン、アルミ、銅、鉄、ニッケル等の金属を厚さ0.01〜0.20mm程度の薄いシート状にしたものや、このような薄い金属シートに多数の貫通孔を形成してメッシュ状にしたもの(合成樹脂を含浸したプリプレグとしても良い)、あるいは、金属粉を含浸したプリプレグ等を巻装することで形成しても良い。
【0020】
この場合、金属層を上記のようなメッシュ構造にすると、軸長方向に金属材が真直ぐに延びた構造とならないため、曲げ剛性が高くなるのを抑制することができる。また、このようなメッシュ構造は、軽量で減衰性に優れ、層間同士で剥離を抑制することが可能となる。なお、上記したような貫通孔を形成する場合、その孔の形状、寸法、方向性等については適宜変形することができる。
【0021】
[プリプレグ12]
プリプレグ12は、炭素繊維を略周方向に引き揃え、これに合成樹脂を含浸することで形成されており(周方向プリプレグ)、実際に巻装された際に、図3(b)に示すように、周方向層12Lを形成する。このように、シャフト全長に亘って周方向層を形成することで、つぶれ、割れ等が生じ難いシャフト構造が得られる。なお、このような周方向層が配設される位置は任意であり、省略することも可能である。
【0022】
前記の周方向プリプレグ12は、肉厚が0.01〜0.10mm、好ましくは0.02〜0.04mmに形成され、樹脂含浸量が20〜50wt%、好ましくは30〜40wt%とされる。また、用いられる炭素繊維は、その弾性率が10〜60tonf/mm2、好ましくは20〜40tonf/mm2とされる。そして、このような構造の周方向プリプレグ12は、その巻回数が1.0〜2.0となるように形成される。
【0023】
[プリプレグ13]
プリプレグ13は、引き揃えられた炭素繊維の方向が、軸長方向に対して±45°の2方向に傾斜するように、2枚の傾斜プリプレグ13a,13bを重ねることで構成されており(斜方向プリプレグ)、実際に巻装された際、図3(b)に示すように、斜方向層13Lを形成する。なお、各プリプレグ13a,13bは、交互に巻回された状態となるように、予め約半プライ程度ずらせて重合させてある。このように、シャフト全長に亘って斜方向層を形成することで、ねじり剛性が向上したシャフト構造が得られる。なお、このような斜方向層が配設される位置は任意である。
【0024】
前記の各傾斜プリプレグ13a,13bは、肉厚が0.02〜0.20mm、好ましくは0.04〜0.15mmに形成され、樹脂含浸量が20〜40wt%、好ましくは24〜35wt%とされる。また、用いられる炭素繊維は、その弾性率が24〜70tonf/mm2、好ましくは30〜50tonf/mm2とされる。そして、このような構造の斜方向プリプレグ13は、その巻回数が1.0〜6.0となるように形成される。なお、各プリプレグ13a,13bの炭素繊維の引き揃え方向は、夫々+45°、−45°にするのが好ましいが、夫々+45°±15°、−45°±15°にしても同様の効果を得ることが可能である。
【0025】
[プリプレグ14]
プリプレグ14は、炭素繊維を略軸長方向に引き揃え、これに合成樹脂を含浸することで形成されており(軸長方向プリプレグ)、実際に巻装された際に図3(b)に示すように、軸長方向層14Lを形成する。
【0026】
この場合、軸長方向プリプレグ14は、肉厚が0.05〜0.25mm、好ましくは0.07〜0.16mmに形成され、樹脂含浸量が20〜40wt%、好ましくは24〜35wt%とされる。また、用いられる炭素繊維は、その弾性率が20〜50tonf/mm2、好ましくは24〜40tonf/mm2とされる。そして、このような構造の軸長方向プリプレグ14は、その巻回数が1.0〜3.0となるように形成される。
【0027】
このように、シャフト全長に亘って、上記した構造のプリプレグによる軸長方向層14Lを形成することで、高弾性で高強度のシャフト構造が得られる。なお、このような軸長方向層14Lが配設される位置は任意である。
【0028】
[プリプレグ15]
プリプレグ15は、弾性率が低い炭素繊維、具体的には、弾性率が15tonf/mm2以下、好ましくは5〜15tonf/mm2の炭素繊維を略軸長方向に引き揃え、これに合成樹脂を含浸することで形成されており(低弾性プリプレグ)、実際に巻装された際に図3(b)に示すように、低弾性層15Lを形成する。このように低弾性層を配設することで、高強度でありながら、しなりが大きいゴルフクラブとすることができる。
【0029】
この場合、低弾性層15Lは、シャフトの全長に亘って配設しても良いが、シャフト前端からキックポイント(K.P.)のやや後方までの範囲に亘って配設することが望ましく、このような範囲に低弾性層を配設することで、打球時にシャフト前端側がしなりやすくなって、ボールを高く打ち出すことが可能となる。なお、このような効果は、低弾性層を、シャフトのヘッド取付け側からシャフト全長Lの1/2の長さの範囲内の少なくとも一部に配設すれば得られる。
【0030】
低弾性層15Lは、シャフトのしなり曲線を滑らかにし、更に応力集中による破損を防止することから、シャフト先端からの距離が、上記金属層11Lの長さL2よりも長いことが望ましい。また、低弾性層15Lは、しなりやすさに影響を強く与えることから外層側に配設するのが良く、金属層11Lは、軽量化を図るべく断面積の小さい内層側に配設するのが良い。また、金属層を低弾性層よりも内層側に配設することで、上記したしなりやすさに影響を与えることが小さくなる。
【0031】
なお、上記した低弾性プリプレグ15は、肉厚が0.05〜0.20mm、好ましくは0.07〜0.16mmに形成され、樹脂含浸量が20〜45wt%、好ましくは25〜38wt%とされる。そして、このような構造の低弾性プリプレグ15は、その巻回数が1.0〜3.0となるように形成される。
【0032】
[プリプレグ16]
プリプレグ16は、上記プリプレグ15よりも弾性率が高い炭素繊維、具体的には、弾性率が16〜60tonf/mm2、好ましくは24〜46tonf/mm2の炭素繊維を略軸長方向に引き揃え、これに合成樹脂を含浸することで形成されており(高弾性プリプレグ)、実際に巻装された際に図3(b)に示すように、上記低弾性層15Lに隣接した高弾性層16Lを形成する。この場合、高弾性層16Lは、シャフトの全長に亘って配設しても良いが、前記低弾性層15Lに隣接した後方側に配設されることで、シャフト後方側の剛性を高めて前方側がよりしなりやすいゴルフクラブとすることができる。
【0033】
なお、上記した高弾性プリプレグ16は、肉厚が0.05〜0.20mm、好ましくは0.07〜0.16mmに形成され、樹脂含浸量が20〜40wt%、好ましくは24〜35wt%とされる。そして、このような構造の低弾性プリプレグ16は、その巻回数が1.0〜3.0となるように形成される。
【0034】
[プリプレグ17]
プリプレグ17は、ヘッドが装着される部分を補強すべく配設されるものであり、炭素繊維を略軸長方向に引き揃え、これに合成樹脂を含浸することで形成され(補強プリプレグ)、実際に巻装された際に図3(b)に示すように、補強層17Lを形成する。この場合、補強プリプレグ17は、肉厚が0.05〜0.20mm、好ましくは0.07〜0.15mmに形成され、樹脂含浸量が24〜40wt%、好ましくは30〜35wt%とされる。また、用いられる炭素繊維は、その弾性率が5〜40tonf/mm2、好ましくは15〜30tonf/mm2とされる。
【0035】
以上述べたような構成のプリプレグが巻装されることで成形されるシャフト構造によれば、高強度で先端側がしなりやすいゴルフクラブとなり、かつしなりが大きい領域に金属層が配設されていることから、打球時に生じる振動が効果的に減衰されて、打球感の良好なゴルフクラブが得られる。すなわち、打球後に先振れや胴振れが生じることのない打球感が良好なゴルフクラブが得られる。
【0036】
なお、図3は、シャフト構造の一例を示したに過ぎず、シャフトを成形する各プリプレグに関しては、用いる枚数、巻回数、肉厚、強化繊維の種類、樹脂含浸量等の構成は、ゴルフクラブの要求特性等に応じて種々変更することができる。また、上記した構成において、強化繊維を略周方向に引き揃えるとは、軸芯に対して、90°±10°の範囲を含み、強化繊維を略軸長方向に引き揃えるとは、軸芯に対して、0°±10°の範囲を含む。
【0037】
次に、図4を参照して、上記した実施形態の変形例を説明する。なお、この変形例では、上記実施形態と同一の部分については同一の参照符号を付し、その説明については省略する。
【0038】
この変形例では、上記した構成のプリプレグ15,16の上から、上記プリプレグ12と略同一構成の周方向プリプレグ20を、そして、その上から上記プリプレグ14と略同一構成の軸長方向プリプレグ21を巻装して、第2周方向層20Lおよび第2軸長方向層21Lを配設したものである。
【0039】
このように、上記した構成と同様、振動減衰効果が高いゴルフクラブにおいて、更に第2周方向層20Lを配設することで、つぶれや割れに対する補強効果が高められ、更に第2軸長方向層21Lを配設することで、シャフト全体の剛性を高めることができる。
【0040】
なお、軸長方向プリプレグ21の強化繊維に、低弾性のものを用いることによって、シャフト全体を、更にしなりやすい構造とすることもできる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高強度でしなりが大きいゴルフクラブでありながら、打球直後に生じる不快な振動が直ちに減衰され、打球感に優れた構成のゴルフクラブとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るゴルフクラブの一実施形態を示す図であり、ウッドタイプのゴルフクラブの斜視図。
【図2】図1のゴルフクラブのシャフトを示す図。
【図3】シャフトの具体的な構成を示す図であり、(a)は、巻装されるプリプレグの配置例を示す図、(b)は、図(a)によるプリプレグの積層構造を示す図。
【図4】図3に示したシャフトの変形例を示す図であり、(a)は、巻装されるプリプレグの配置例を示す図、(b)は、図(a)によるプリプレグの積層構造を示す図。
【符号の説明】
1 ゴルフクラブ
10 シャフト
11L 金属層
15L 低弾性層
M 芯金
Claims (4)
- 強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを巻装することで成形されるシャフトを備えたゴルフクラブにおいて、
前記シャフトは、その軸長方向の少なくとも一部に、弾性率が5〜15tonf/mm 2 の強化繊維を具備するプリプレグによる低弾性層と、この低弾性層が存在する位置に配置される金属層を有し、前記低弾性層は、前記金属層の長さよりも長いことを特徴とするゴルフクラブ。 - 前記金属層は、低弾性層の内側に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブ。
- 前記金属層は、メッシュ状に形成されたシートを巻装することで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブ。
- 前記低弾性層及び金属層は、シャフトのヘッド取付け側からシャフト全長の1/2の長さの範囲の少なくとも一部に配設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
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