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JP3592383B2 - 高分子製光学的ローパスフィルター、その複合体およびその製造方法並びに複合光学フィルター - Google Patents
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JP3592383B2 - 高分子製光学的ローパスフィルター、その複合体およびその製造方法並びに複合光学フィルター - Google Patents

高分子製光学的ローパスフィルター、その複合体およびその製造方法並びに複合光学フィルター Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばCCD素子(電荷結合素子)、MOS素子(金属−酸化物−半導体素子)等よりなる撮像素子、その他に好適に用いられる光学的ローパスフィルターに関し、さらに詳しくは、複屈折型の高分子製光学的ローパスフィルターに関する。
また、本発明は、上記高分子製光学的ローパスフィルターを有する複合体およびその製造方法に関し、さらに当該高分子製光学的ローパスフィルターと視感度補正用光学フィルターとの積層体よりなる複合光学フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、CCD素子やMOS素子等よりなる撮像素子を用いた撮像光学系においては、被写体光の高空間周波数成分を制限し、擬似信号の発生に伴う被写体による光とは異なる色光成分を除去するために、光学的ローパスフィルターが用いられている。
従来において、かかる光学的ローパスフィルターとしては、複屈折物質中における常光線と異常光線との分離による光学的ローパス特性を利用した、例えば水晶などによる複屈折型のものが多く使用されている。
【0003】
而して、複屈折型の光学的ローパスフィルターにおいて、目的とする空間遮断周波数を得るためには、常光線と異常光線との変位距離の設定が重要である。
常光線と異常光線との変位距離Sは下記数式(1A)により表される(「結晶光学」p198:森北出版)。
【0004】
【数2】
Figure 0003592383
【0005】
上記数式(1A)から明らかなように、一定の大きさの変位距離Sを有する光学的ローパスフィルターにおいては、当該光学的ローパスフィルターを構成する材料が、屈折率の異方性(ne −no )の程度が大きく、被写体光線の入射面の法線と当該光学的ローパスフィルターの光軸(遅相軸)とのなす角度(以下、「配向角」ともいう。)ψの大きさが45度またはその近傍であると、当該光学的ローパスフィルターは厚みが小さいものとなる。
従って、複屈折型の光学的ローパスフィルターであって小型化のものを得るためには、光学的ローパスフィルターの基材として、屈折率の異方性が大きく、配向度が45度またはその付近にあるものを用いることが望ましい。
【0006】
従来、光学的ローパスフィルターの基材の一つとして、水晶板が用いられている。この水晶板は、水晶の単結晶を合成し、これに切削加工、研磨加工などの後加工を施すことにより得られるものであるが、水晶の単結晶の合成およびその後加工には、それぞれ多大な時間と労力が必要である。しかも、水晶板は、屈折率の異方性がおよそ9×10−3と小さいものであるので、所定の空間遮断周波数を得るためには、水晶板の厚さを1〜2mmと相当に大きくすることが必要となり、そのため、光学的ローパスフィルターの小型化および軽量化を図ることは困難であった。
【0007】
また、屈折率の異方性が大きい材料としては、方解石、ルチル等が知られているが、これらは水晶と同様に無機材料であるため、単結晶の合成、後加工等に多大の時間と労力を要する問題がある。
【0008】
一方、有機材料、特に高分子材料を用いると、これに延伸処理を行うことによって複屈折性を有するフィルムを得ることができる。しかしながら、光学的に均一なフィルムが得られる延伸条件下では、水晶以上に高い複屈折性を有するものを得ることが困難であり、また、配向角を自由に設定することができず、実際上ほぼ0度に固定される、という問題点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、光学的ローパスフィルターとして優れた機能を有し、しかも、容易に製造することができる複屈折型の高分子製光学的ローパスフィルターを提供することにある。
本発明の第2の目的は、光学的ローパスフィルターとして優れた機能を有し、しかも、軽量で小型化が可能な高分子製光学的ローパスフィルターを提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記の高分子製光学的ローパスフィルターを有する高分子製光学的ローパスフィルター複合体(以下「フィルター複合体」という。)およびその製造方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、上記の高分子製光学的ローパスフィルターを有ししかも視感度補正機能を有する複合光学フィルターを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の高分子製光学的ローパスフィルターは、下記数式(1)で表される常光線と異常光線との変位距離Sが1〜70μmである光学異方性高分子フィルムからなり、
当該光学異方性重合体フィルムは、少なくとも2つの六員環を有する液晶性骨格を部分構造として有する環状アルコール化合物、フェノール化合物または芳香族ヒドロキシ化合物のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである、下記化学式(1)で表される単官能アクリレートまたは単官能メタクリレートを含有してなる、室温において液晶相を示す光重合性液晶組成物を光重合して得られるものであることを特徴とする。
【数3】
Figure 0003592383
【0011】
【化2】
Figure 0003592383
【0012】
上記の光学異方性高分子フィルムは、25℃における屈折率の異方性が0.02〜0.3であることが好ましい。
また、上記の高分子製光学的ローパスフィルターは、被写体光線の入射面の法線と光学異方性高分子フィルムの光軸とのなす角度ψの絶対値が20〜70度であることが好ましい。
【0013】
本発明のフィルター複合体は、間隙を介して対向する基板と、この基板の間に形成された上記の光学異方性高分子フィルムとよりなることを特徴とする。
また、当該フィルター複合体の製造方法は、間隙を介して対向する基板の間に、上記の光重合性液晶組成物を保持させて光学異方性高分子フィルム成型用複合体(以下、単に「成型用複合体」という。)を形成し、この成型用複合体に、その表面対して磁力線の方向が特定の角度となるよう磁界を作用させた状態で前記光重合性液晶組成物を光重合することを特徴とする。
【0014】
本発明の複合光学フィルターは、上記のような高分子製光学的ローパスフィルターと、これに積層された視感度補正用光学フィルターとよりなることを特徴とする。
【0015】
【作用】
本発明の高分子製光学的ローパスフィルターは、特定の光学的特性を有する、特定の有機高分子よりなる光学異方性重合体フィルムよりなるものであるため、光学的ローパスフィルターとして優れた機能を有し、しかも軽量で小型化が容易であり、また製造が容易であって、特に各種の撮像素子のための光学的ローパスフィルターとして好適である。
【0016】
本発明のフィルター複合体は、基板の間に上記の光学異方性高分子フィルムが介在することにより、取扱いが容易でそのまま各種の光学機器に適用することができる。また、本発明の製造方法によれば、成型用複合体に対する磁力線の方向を制御することにより、任意の配向角を有する光学異方性高分子フィルムを製作することができる。
【0017】
本発明の複合光学フィルターは、優れた光学的ローパスフィルターとしての機能と、視感度補正機能を有するものとなる。
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の高分子製光学的ローパスフィルターは、特定の光学的特性を有する光学異方性高分子フィルムからなるものである。
このような光学異方性高分子フィルムは、例えば、図1に示すように、一定の厚みの間隙を介して2枚の平板状の成型用基板を対向して平行に配置し、この2枚の基板の間の間隙に、光重合性官能基を有する液晶化合物を含有してなる光重合性液晶組成物を保持させた状態の成型用複合体を形成し、この成型用複合体について、光重合性液晶組成物における液晶化合物の液晶を特定の方向に配向させ、その状態で当該光重合性液晶組成物を光重合することにより得られる。
以上において、2枚の基板の間の間隙の大きさは、目的とする光学異方性高分子フィルムの厚みの大きさに応じて設定され、通常、0.005〜1mm、好ましくは0.01〜0.5mm、より好ましくは0.05〜0.3mmである。
【0019】
光重合性液晶組成物は、液晶化合物として、少なくとも2つの六員環を有する液晶骨格を部分構造として有する環状アルコール化合物、フェノール化合物または芳香族ヒドロキシ化合物のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである単官能アクリレートまたは単官能メタクリレートを含有してなり、室温において液晶相を示すものであり、当該単官能アクリレートまたは単官能メタクリレートとしては、下記化学式(1)で表される化合物が用いられる。
【0020】
【化3】
Figure 0003592383
【0021】
上記化学式(1)で表される化合物の代表的な具体例およびその液晶の相転移温度を下記化学式(2)に示すが、本発明において使用することのできる単官能アクリレートまたは単官能メタクリレートは、これらに限定されるものではない。
【0022】
【化4】
Figure 0003592383
【0023】
上記化学式(2)において、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、相転移スキームのCRは結晶相、NEはネマチック相、ISは等方性液体相を表し、温度は相転移温度を表す。
【0024】
光重合性液晶組成物としては、その屈折率の異方性が0.07以上となるように調製されたものを用いることが好ましい。
また、光重合性液晶組成物の重合反応性を向上させることを目的として、光重合開始剤や増感剤を添加してもよい。
ここに、光重合開始剤としては、例えば、公知のベンゾインエーテル系化合物類、ベンゾフェノン化合物類、アセトフェノン化合物類、ベンジルケタール化合物類等から選択したものを用いることができる。
光重合開始剤の使用割合は、光重合性液晶組成物に対して10質量%以下、特に、5質量%以下であることが好ましい。
【0025】
光重合性液晶組成物における液晶化合物の液晶を配向した状態とする手段としては、液晶の技術分野で知られている公知の手段を用いることができる。例えば、基板上にプレチルト角を与えるポリイミド膜等よりなる配向膜を形成することにより液晶を配向させる手段、光重合性液晶組成物に磁力線の方向が特定の方向となるよう磁界を印加することにより液晶を配向させる手段、その他を挙げることができる。
【0026】
磁場を印加することにより液晶を配向させる手段は、成型用複合体の面方向に対する磁力線の方向の角度を制御することにより、光重合性液晶組成物における液晶の配向角を制御することができ、その結果、得られる光学異方性高分子フィルムにおけるフィルムの厚み方向に対する遅相軸の角度を、広い範囲において任意に調節することができる点で好ましい。
【0027】
成型用複合体のための基板を構成する材料としては、有機材料または無機材料を用いることができる。
有機材料の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、セルロース、ポリエーテルケトン等が挙げられる。
無機材料の具体例としては、シリコン、ガラス等を挙げることができる。
【0028】
また、成型用複合体の基板を構成する材料として、光学的視感度補正能を有するものを用いることができる。この場合には、光学的ローパスフィルターとしての機能と視感度補正機能を共に有する複合光学フィルターを、簡単な方法で得ることができる。
【0029】
光重合反応は、上記の成型用複合体に、重合反応用の光として、紫外線または電子線等のエネルギー線を照射することにより行うことが好ましい。このとき、成型用複合体における2枚の基板のうち、少なくともエネルギー線を照射する側のものは、当該エネルギー線に対して適当な透過性を有するものであることが必要である。
また、光重合反応時における温度は、用いられる光重合性液晶組成物の液晶状態が保持される範囲の温度とする必要があるが、できるだけ室温に近い温度を選択することが好ましい。
【0030】
このようにして、2枚の基板と、この基板の間に介在する、遅相軸がフィルムの厚み方向に対して特定の角度をなしている光学異方性高分子フィルムとよりなるフィルター複合体が得られる。このフィルター複合体は、そのままで光学的ローパスフィルターとして使用することのできるものである。また、当該フィルター複合体から基板を除去することにより、重合体よりなる光学異方性高分子フィルムを単独に取り出すことが可能であり、このフィルムはそのままで、または他の適宜の部材と共に、光学機器に適用することにより、光学的ローパスフィルターとして使用することができる。
【0031】
以上の光学異方性高分子フィルムは、複屈折性、すなわち屈折率の異方性が大きいものであることが好ましく、具体的には、屈折率の異方性の下限値は、水晶の屈折率の異方性(0.009)より大きい値、例えば0.01以上、特に、0.02以上であることが好ましく、これにより、光学的ローパスフィルターの小型化を十分に図ることができ、撮像素子のための光学的ローパスフィルターとして好適なものとなる。
一方、本発明において、当該屈折率の異方性の上限値は、液晶の安定性等の観点から0.35以下、特に、0.3以下であることが好ましい。
【0032】
本発明において、光学異方性高分子フィルムにおける常光線と異常光線との変位距離Sは、CCD素子、MOS素子などの撮像素子の1画素分程度以下の大きさに設定されることから、1〜70μm、好ましくは1〜50μmの範囲とされ、これにより、当該光学異方性高分子フィルムは、撮像素子のための光学的ローパスフィルター材として好適なものとなる。
【0033】
常光線と異常光線との変位距離S、すなわち光学的ローパスフィルターとしての空間遮断周波数は、当該光学異方性高分子フィルムの屈折率の異方性、当該光学異方性高分子フィルムにおける厚み方向に対する遅相軸の角度すなわち配向角ψ、および当該光学異方性高分子フィルムの厚み等の条件を設定することにより定まる。
配向角ψは、その絶対値が10〜80度の範囲、好ましくは20〜70度の範囲、より好ましくは30〜60度の範囲とされる。配向角ψの絶対値が過小または過大である場合には、必要な特性を得るために当該光学異方性高分子フィルムの厚みを大きくすることが必要となる。
【0034】
また、光学異方性高分子フィルムの厚みは、当該光学異方性高分子フィルムの配向角ψおよび屈折率の異方性の程度によって異なるが、通常、0.005〜1mm、好ましくは0.01〜0.5mm、より好ましくは0.05〜0.3mmである。光学異方性高分子フィルムの厚みが大きくなると、得られる光学的ローパスフィルターは光線透過率が低下する傾向があるので、この観点からは厚みが小さいことが好ましい。
【0035】
このような光学異方性高分子フィルムは、単体でまたは必要に応じて複数枚重ねて光学的ローパスフィルターとして用いることができる。また、フィルター複合体もその複数を積重して用いることが可能である。
【0036】
本発明においては、例えば視感度補正用フィルターの表面に、上記の光学的ローパスフィルターを積層することにより、それぞれの機能の両方を備えた複合光学フィルターを得ることができる。
この複合光学フィルターに用いられる視感度補正用フィルターとしては、ガラス製またはプラスチック製のものを用いることができる。
ガラス製の視感度補正用フィルターとしては、例えば、リン酸ガラスに銅イオンが導入されたもの(HOYA社製、C−500S,C−5000等)、その他が挙げられ、プラスチック製の視感度補正用フィルターとしては、例えば、リン酸基含有アクリル系単量体およびこれと共重合可能な単量体からなる混合単量体を重合して得られる共重合体と、銅塩を主体とする金属塩とからなる光学フィルター(特開平6−118228号参照)、その他が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
また、本発明の高分子製光学的ローパスフィルターに対し、適当な補正板を組み合わせることにより、被写体光の常光線と異常光線の強度が同等となる特性の複合光学フィルターを得ることができる。このような補正板としては、一般的な1/4波長板を用いることができるが、非偏光のものとするために偏光解消板を用いることも有効である。これらの波長板としては、通常、水晶板が用いられるが、ポリカーボネートやポリビニルアルコール等の高分子製のものを用いることもできる。
【0038】
高分子製光学的ローパスフィルター、補正板および視感度補正用フィルターの複数のものを積層して一体化するためには、積層界面を接着剤または粘着剤を用いて固定することが好ましく、これにより、積層界面の空気層での入射光線の反射が防止され、その結果、ゴーストの発生が防止されると共に、撮像素子へ入射する光量を確保することができる。
このような接着剤としては、熱硬化型ものまたは光硬化型のものであって、優れた光透過性を有するもの、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤またはアクリル系接着剤等の接着剤を用いることが好ましい。また、粘着剤としては、耐候性の観点からアクリル系のものを用いることが好ましい。
【0039】
また、本発明においては、高分子製光学的ローパスフィルターおよび複合光学フィルターの光線透過率をさらに高めるために、必要に応じて、これらのフィルターの被写体光線が通過する2つ面の一方若しくは両方に、真空蒸着法、デイッピング法等により無反射コーティング層を形成することができる。
【0040】
上記の光学異方性高分子フィルムからなる高分子製光学的ローパスフィルターあるいはフィルター複合体または当該光学的ローパスフィルターを有する複合光学フィルターは、当該フィルムが高分子物質よりなる厚みのきわめて小さいものであるため、従来使用されている水晶製の光学的ローパスフィルターおよびこれと視感度補正用フィルターとを組み合わせた複合光学フィルターに比べて、軽量で、しかも厚みが小さいものとすることができ、従って、ビデオカメラ等のCCD素子、MOS素子などの撮像素子を利用した機器の小型化、軽量化に大きく寄与することができるものである。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、以下の実施例において 「部」は「質量部」を意味する。
【0042】
〔実施例1〕
前記化学式(2)(a)で表される化合物50部と、前記化学式(2)(d)で表される化合物50部からなる重合性液晶組成物(A1)を調製した。この重合性液晶組成物(A1)は室温でネマチック相を示し、ネマチック相から等方性液体相への相転移温度は47℃であった。
また、25℃における屈折率をアッベ屈折計(アタゴ社製:型式2T)で測定したところ、異常光線屈折率ne は1.663、常光線屈折率no は1.511であり、屈折率の異方性(ne −no )は0.152であった。
【0043】
この重合性液晶組成物(A1)100部に光重合開始剤「イルガキュアー651(チバガイギー社製)」1部を添加して光重合性液晶組成物(A2)を調製し、この光重合性液晶組成物(A2)を、0.1mmの間隙を介して平行に対向配置された2枚のポリカーボネート製の成型用基板の間に保持させて成型用複合体を形成した。この成型用複合体を、8KGの強さの磁界中に、図2に示すように、磁力線の方向に対する当該成型用複合体の面の法線の角度θが45度となるよう傾けた状態で1分間静置し、その後、紫外線放射ランプ(UVP社製:UVGL−25)を用いて1mW/cmの強度の紫外線を室温で5分間照射して光重合性液晶組成物(A2)を重合処理することにより、フィルム複合体を作製した。
次に、作製したフィルム複合体を150℃の温度で10分間保持した後、室温まで冷却し、次いで、光学異方性高分子フィルムを2枚の成型用基板から取り外した。
【0044】
この光学異方性高分子フィルムの配向角ψを、プレチルト角測定装置を用いて、測定光の入射角に対するリタデーションの変化を測定して求めたところ、45度であり、異常光線屈折率nは1.646、常光線屈折率nは1.542であり、屈折率の異方性(n−n)は0.104であった。
この光学異方性高分子フィルムの光学的ローパスフィルターとしての性能を調べるため、図3に示すように、当該光学異方性高分子フィルムF1と、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に細線が刻印された標準フィルムF2とを顕微鏡に設置し、標準フィルムF2上に刻印された細線についての変位距離を測定した。図3において、Lは顕微鏡の対物レンズ、Kは光源である。変位距離は7μmであった。
【0045】
〔実施例2〕
前記化学式(2)(a)で表される化合物33.3部と、前記化学式(2)(c)で表される化合物33.3部と、前記化学式(2)(d)で表される化合物33.3部とからなる重合性液晶組成物(B1)を調製した。この重合性液晶組成物(B1)は、室温においてネマチック相を示し、ネマチック相から等方性液体相への相転移温度は54℃であった。また、25℃における屈折率の異方性は0.126であった。
【0046】
実施例1において、重合性液晶組成物(A1)の代わりに重合性液晶組成物(B1)を用いたこと以外は同様にして光重合性液晶組成物(B2)を調製し、光学異方性高分子フィルムを作製した。
この光学異方性高分子フィルムの配向角ψおよび屈折率の異方性を実施例1と同様にして測定したところ、配向角ψは45度であり、屈折率の異方性は0.071であった。また、実施例1と同様にして標準フィルムF2上に刻印された細線についての変位距離を測定したところ、5μmであった。
【0047】
〔実施例3〕
前記化学式(2)(a)で表される化合物50部と、前記化学式(2)(c)で表される化合物50部とからなる重合性液晶組成物(C1)を調製した。この重合性液晶組成物(C1)は室温においてネマチック相を示し、ネマチック相から等方性液体相への相転移温度は57℃であった。また、25℃における屈折率の異方性は0.075であった。
【0048】
実施例1において、重合性液晶組成物(A1)の代わりに重合性液晶組成物(C1)を用いて光重合性液晶組成物(C2)を調製し、この光重合性液晶組成物(C2)を0.2mmの間隙を介して対向配置された2枚の成型用基板の間に保持して成型用複合体を得たこと以外は同様にして光学異方性高分子フィルムを作製した。
この光学異方性高分子フィルムの配向角ψおよび屈折率の異方性を実施例1と同様にして測定したところ、配向角ψは45度であり、屈折率の異方性は0.043であった。また、実施例1と同様にして標準フィルムF2上に刻印された細線についての変位距離を測定したところ、6μmであった。
【0049】
〔実施例4〕
実施例1の光重合性液晶組成物(A2)の重合処理において、成型用複合体を、磁力線の方向に対する当該成型用複合体の面の法線の角度θが10度となるよう傾けた状態としたこと以外は同様にして光学異方性高分子フィルムを作製した。
この光学異方性高分子フィルムの配向角ψおよび屈折率の異方性を実施例1と同様にして測定したところ、配向角ψは10度であり、屈折率の異方性は0.104であった。また、実施例1と同様にして標準フィルムF2上に刻印された細線についての変位距離を測定したところ、2μmであった。
【0050】
〔実施例5〕
実施例1の光重合性液晶組成物(A2)の重合処理において、成型用複合体を、磁力線の方向に対する当該成型用複合体の面の法線の角度θが30度となるよう傾けた状態としたこと以外は同様にして光学異方性高分子フィルムを作製した。
この光学異方性高分子フィルムの配向角ψおよび屈折率の異方性を実施例1と同様にして測定したところ、配向角ψは30度であり、屈折率の異方性は0.104であった。また、実施例1と同様にして標準フィルムF2上に刻印された細線ついての変位距離を測定したところ、5μmであった。
【0051】
〔実施例6〕
実施例1の光重合性液晶組成物(A2)の重合処理において、成型用複合体を、磁力線の方向に対する当該成型用複合体の面の法線の角度θが50度となるよう傾けた状態としたこと以外は同様にして光学異方性高分子フィルムを作製した。
この光学異方性高分子フィルムの配向角ψおよび屈折率の異方性を実施例1と同様にして測定したところ、配向角ψは50度であり、屈折率の異方性は0.104であった。また、実施例1と同様にして標準フィルムF2上に刻印された細線ついての変位距離を測定したところ、7μmであった。
【0052】
〔実施例7〕
実施例1の光重合性液晶組成物(A2)の重合処理において、成型用複合体を、磁力線の方向に対する当該成型用複合体の面の法線の角度θが70度となるよう傾けた状態としたこと以外は同様にして光学異方性高分子フィルムを作製した。
この光学異方性高分子フィルムの配向角ψおよび屈折率の異方性を実施例1と同様にして測定したところ、配向角ψは70度であり、屈折率の異方性は0.104であった。また、実施例1と同様にして標準フィルムF2上に刻印された細線の変位距離を測定したところ、4μmであった。
【0053】
〔比較例1〕
厚みが1mmの水晶板からなる光学的ローパスフィルターを作製し、実施例1と同様にして標準フィルムF2上に刻印された細線ついての変位距離を測定したところ6μmであった。
このように水晶板からなる光学的ローパスフィルターは、本発明の光学異方性高分子フィルムからなる光学的ローパスフィルターと比較すると、常光線と異常光線との変位距離が同等のものとするためには、厚みが極めて大きいものが必要となることが確認された。
【0054】
〔実施例8〕
市販のプラスチック製視感度補正用フィルター(呉羽化学製:UCF−40)の片側の表面に、実施例1で得られた光学異方性高分子フィルムを光硬化型のアクリル系接着剤を用いて積層して一体化することにより、複合光学フィルターを得た。
この複合光学フィルターの光学的ローパスフィルター機能を調べるため、実施例1と同様にして標準フィルムF2上に刻印された細線についての変位距離を測定したところ、7μmであり、実施例1の光学異方性高分子フィルムの性能が維持されていることが確認された。
また、この複合光学フィルターの分光透過率を測定したところ、可視光領域の透過率は60%以上と高く、優れた透明性を有するものであり、一方、近赤外領域(波長700〜1000nm)の波長光の透過率は10%以下であり、近赤外領域の波長光が効率よく吸収されていることが認められた。
【0055】
〔実施例9〕
実施例1と同様にして光学異方性高分子フィルムを3枚作製し、これらの光学異方性高分子フィルムを、それぞれの遅相軸が互いに平行になる状態で、市販の光硬化型透明アクリル系接着剤を用いて接着して積層することにより積層型の光学的ローパスフィルターを得た。この光学的ローパスフィルターについて、実施例1と同様にして標準フィルムF2上に刻印された細線の変位距離を測定したところ、22μmであり、実施例1で得られた光学異方性高分子フィルムのほぼ3倍の値を示した。
【0056】
【発明の効果】
本発明の高分子製光学的ローパスフィルターは、光学異方性高分子フィルムが、特定の光学特性を有する、特定の光重合性液晶組成物を光重合して得られるものであることにより、光学的ローパスフィルターとして優れた機能を有し、しかも軽量で小型化が容易なものであり、容易に製造することができる。
【0058】
本発明のフィルター複合体は、基板の間に上記の光学異方性高分子フィルムが介在することにより、取扱いが容易でそのまま各種の光学機器に適用することができる。
【0059】
また、本発明の製造方法によれば、成型用複合体に対する磁力線の方向を制御することにより、任意の配向角を有する光学異方性高分子フィルムを製作することができる。
【0060】
本発明の複合光学フィルターは、優れた光学的ローパスフィルターとしての機能と、視感度補正機能とを有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】光重合性液晶組成物における液晶化合物の液晶を配向させた状態を示す説明図である。
【図2】光重合性液晶組成物における液晶化合物の液晶を配向させる手段の一例を示す説明図である。
【図3】常光線と異常光線との変位距離を測定する手段の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
F1 光学異方性高分子フィルム
F2 標準フィルム
L 顕微鏡の対物レンズ
光源

Claims (6)

  1. 下記数式(1)で表される常光線と異常光線との変位距離Sが1〜70μmである光学異方性高分子フィルムからなり、
    当該光学異方性重合体フィルムは、少なくとも2つの六員環を有する液晶性骨格を部分構造として有する環状アルコール化合物、フェノール化合物または芳香族ヒドロキシ化合物のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである、下記化学式(1)で表される単官能アクリレートまたは単官能メタクリレートを含有してなる、室温において液晶相を示す光重合性液晶組成物を光重合して得られるものであることを特徴とする高分子製光学的ローパスフィルター。
    Figure 0003592383
    Figure 0003592383
  2. 光学異方性高分子フィルムの25℃における屈折率の異方性が0.02〜0.3であることを特徴とする請求項1に記載の高分子製光学的ローパスフィルター。
  3. 被写体光線の入射面の法線と光学異方性高分子フィルムの光軸とのなす角度ψの絶対値が20〜70度であることを特徴とする請求項1に記載の高分子製光学的ローパスフィルター。
  4. 間隙を介して対向する基板と、この基板の間に形成された、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光学異方性高分子フィルムとよりなることを特徴とする高分子製光学的ローパスフィルター複合体。
  5. 間隙を介して対向する基板の間に、請求項1に記載の光重合性液晶組成物を保持させて光学異方性高分子フィルム成型用複合体を形成し、この光学異方性高分子フィルム成型用複合体に、その面に対して磁力線の方向が特定の角度となるよう磁界を作用させた状態で前記光重合性液晶組成物を光重合することを特徴とする高分子製光学的ローパスフィルター複合体の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の高分子製光学的ローパスフィルターまたは請求項4に記載の高分子製光学的ローパスフィルター複合体と、これに積層された視感度補正用光学フィルターとよりなることを特徴とする複合光学フィルター。
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