JP3593422B2 - 濃淡画像への署名方法及び復号方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は濃淡画像への署名方法及び復号方法に関する。
近年,多種多様な画像データがネットワークを経由して多くの人に利用され,ネットワークのユーザはこれらの画像を容易に取得して複製できるので,他人の著作物であるという権利意識が薄い。同様にCDROM等の媒体に記録されたデジタル画像についても,簡単に複製が可能であるために著作権の侵害が問題になっており,効果的な保護方法の開発が望まれている。
【0002】
【従来の技術】
ネットワーク上を伝送される画像や,CDROM等の記録媒体に記録された画像等のいわゆるマルチメディア(または電子メディア)の画像は一般のユーザにより簡単に取得することができると共に,原本と同じものを複製することが容易であるため,画像の著作権が侵害される可能性が非常に高くなっている。
【0003】
そのため,近年,マルチメディアの著作権を保護するための研究として,次の▲1▼〜▲3▼の報告を含めて種々の提案がなされている。
▲1▼『著作権保護機能を有する文書画像データの構成法』,松谷秀久外3名,信学技報,ISEC94−58,PP59−68,March 1995
▲2▼『著作権処理のためのシステム構造の提案』,喜多村,情処研報,Vol.95.NO.37,AVM−8,PP.129−134,March 1995
▲3▼『ディジタル画像の著作権保護方式』,小池外2名,SCIS93−13C,Jan.1995 上記の▲1▼〜▲3▼の従来の提案は,いずれの場合も,予め著作権に関する事項を原画像に埋め込んでおき,システムが常時監視できるようにするものである。
【0004】
画像の中に著作権を表す事項を埋め込む方法としては,明るさを利用する方法,暗さを利用する方法,変化を利用する方法,縁(エッジ)を利用する方法,データ圧縮のための直交変換(フーリエ変換等)時に挿入する方法等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の方法では,画像に署名情報を埋め込むので,それがノイズとなり画質劣化を引き起こすという問題があった。そのため劣化防止策として,視覚上影響の少ない部分に埋め込み位置を限定する方法が採られている。
【0006】
しかし,埋め込み位置を限定することは,著作権を持たない第3者による埋め込み情報の検出が比較的容易であり,この埋め込み情報を除去して原画像の複製を行う攻撃に対して破られる可能性が高いという問題がある。
【0007】
同様に,認証のための署名手法としても従来の方法では,埋め込まれた情報を削除または改ざんしようとする第3者からの攻撃に耐えることができるという保証がなかった。
【0008】
本発明は濃淡画像を対象として視覚的にほとんど変化を与えることなく署名画像を埋め込むことが可能な濃淡画像への署名方法及び復号方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は各画素が2m の階調を持つディジタルの原画像を縦・横に所定個数の画素からなる複数のブロックに分割して分割された各ブロックのそれぞれに対し,そのブロックの座標位置に対応してモジュローp(p≦m)のハッシュ関数により0〜(p−1)の一つを算出し,ブロックを構成する複数の各画素の20 〜2m−1 の同じ重みに対応する値同士で構成するm個のビットプレーンの中から前記算出された値に対応する重みのプレーンを取り出してそのビットプレーンの値の中に,当該原画像のブロックに対応する署名画像の中の当該ブロックに対応する位置の画素の値を埋め込み,埋め込まれたプレーンにより原画像の対応するプレーンを更新して署名画像を埋め込むものである。
【0010】
図1は本発明の署名画像埋め込みの原理構成を示し,図2は本発明の署名画像復号の原理構成を示す。
図1において,1は原画像ブロック化手段,2はブロック対応位置決定手段,3は署名画素選択手段,4はブロック対応署名画素値埋め込み手段,10は原画像データ,11はブロックデータ,12は署名画像データ,13は署名済画像データである。
【0011】
署名を埋め込みたい原画像データ10はn×n画素から成り,各画素が2m 階調を表す重み20 〜2m−1 のmビットで構成される。最初に原画像ブロック化手段1により,この原画像データ10をGとすると,全体をq×q画素(q≧3)のブロックに分割する。分割された各ブロックデータ11をgij(i,jはブロックの原画像における位置を表す数値で,それぞれq画素毎に+1される)とする。ここで,ブロックgijのq×q個の画素の20 〜2m−1 の各重みに対応するm個のビットプレーンをgij(k)(k=0,1…,m−1)とすると,gij(k)はq×qビットの集まりである。ここで,ブロック対応位置決定手段2において出力のばらつきが均質で署名の埋め込み位置を一意に決定できる,次の式(1)に示す位置決定関数fとして予め決められたハッシュ関数を用い,i,jを代入して,モジュローp(p≦m)の計算を行って,埋め込み用のビットプレーンk’を求める。
【0012】
k’=f(gij)(k’=0,1,…,p−1) (1)
署名画像データ12として著作者のサイン,顔写真,会社のマーク等の著作権の証明になるものを2値または濃淡(多値)により表現した画像を用い,埋め込む署名画像のサイズは(n/q)×(n/q)画素とし,署名画素選択手段3は原画像の対象となるブロックの位置に対応する署名画像データ12の1画素(sijで表し,i,jは署名画像の座標で,原画像のブロックgijのi,jに対応)を選択する。次にブロック対応署名画素値埋め込み手段4は,選択した署名画素の値を当該ブロックの埋め込み用のビットプレーンk’に埋め込む。すなわち,署名画像データ12をSとすると,Sの各画素sijに対応するブロックの埋め込み用のビットプレーンk’のq×qビットの中に埋め込む。この時,当該ビットプレーンのq×qの中心ビット以外のビットに埋め込むようにしても良い。
【0013】
このようにして,対象となる全てのブロックについて,ブロック対応位置決定手段2,ブロック対応署名画素値埋め込み手段4による動作を繰り返して,署名が埋め込まれた署名済画像データ13が得られる。
【0014】
なお,位置決定関数fの出力値はk=0,1,…,p−1の範囲内にあるが,ビットプレーン上のビットを変更すると同ブロック内の画素値は最大2p−1 階調変動する可能性があり,k’は小さい方が望ましい。一方,下位ビットは攻撃(署名を消す行為等)の対象となり易く,埋め込み位置として適当ではないが,本発明ではこの位置がブロックに対応して変動するため,攻撃に対し充分に対向することができる。
【0015】
次に図2に示す構成において,1aは上記図1により作成された署名済画像データ13をブロック化する署名済画像ブロック化手段,2aは署名済画像の各ブロックについて,対応する埋め込み位置を決定するブロック対応位置決定手段,3aは署名画素値を検出して記憶する署名画素値識別手段,13は上記図1と同様に署名済画像データ,14はブロックデータ,15は復号された署名画像データである。
【0016】
復号を行う場合,署名済画像ブロック化手段1aにより署名済画像データ13について上記図1の1の場合と同様のサイズの画素数(n/q×n/q)でブロック化を行う。各ブロックデータ14に対してブロック対応位置決定手段2aは上記図1の2と同じハッシュ関数を用いた位置決定関数fの計算を行って,埋め込み用のビットプレーンk’を求める。次に署名画素値識別手段3aにより,対象となるブロックからk’に対応するビットプレーンのデータを取り出して,埋め込まれた画素の値を識別する。識別された画素は署名画像データ15に格納される。この復号の動作を各ブロックについて行うことにより,署名画像データ15に全ての署名画素が復号される。
【0017】
【発明の実施の形態】
図3は原画像が濃淡画像で署名画像2値の場合の処理フローである。
この実施例では,原画像が256(=28 )階調を持つ写真,絵画等の画像で,各画素が20 ,2 1,22 …27 の各重みに対応した8ビットで構成され,署名画像が2値(20 の重みだけで0または1)画像であり,サインや2値の図形を表すものとする。また,原画像をブロック化する場合,1つのブロックを3×3=9画素(上記図1の原理構成においてq=3の場合)とする。
【0018】
この2値の署名画像を署名する実施例では,原画像の各ブロックの中の選択されたビットプレーン中に署名画像の2値の画素の“1”,“0”に対応して,“1”の数を奇数に設定する。
【0019】
以下の処理は,CPU,メモリ,イメージリーダ等を備える情報処理装置(図示省略)において実行することができる。
最初に原画像を入力し(図3のS1),次に署名画像を入力すると(同S2),各画像はメモリのそれぞれの領域に各画像が格納される。この場合,原画像Gの画素数はn×nで2m 階調であり,埋め込みを行う署名画像Sは原画像Gの縦,横の1/3の長さとし,画素数は(n/3) ×(n/3) 画素で20 階調(2値)であり,その画素をsijで表す。署名画像Sの各画素sijは,“0”または“1”で,i,j=0,1,…,n/3である。
【0020】
次に原画像をブロックに分割する(同S3)。この実施例では,3×3画素で1ブロックとし,各ブロックの3×3画素をgijで表し,i,jは上記署名画像のi,jと同様に0,1,…,n/3である。
【0021】
原画像の座標をi,jとすると,最初にi=0,j=0とし(図3のS4),原画像の最初のブロックについてハッシュ関数fの計算によりk’を求める(図3のS5)。
【0022】
ハッシュ関数fは,種々の関数を使用することができるが,具体例を挙げると次の式(2),(3)で表す関数が簡単でありながらばらつきのある値を発生し,実施例ではこの一方を使用する。但し,(2),(3)以外にもi,jを用いた種々の関数を使用できることは可能である。
【0023】
f(gij)=i+j(モジュローp) (2)
f(gij)=i×j(モジュローp) (3)
但し,p=1,2,…,mであり,p=mとした場合,f(gij)の計算結果として0,1,2,…,m−1の何れか一つの値が得られ,256階調の場合はm=8である。
【0024】
この結果得られたk’に対応するビットプレーンを取得する(図3のS6)。図4はブロックとビットプレーンの説明図である。図4のAは原画像を3×3画素(合計9画素)でブロック化した時の一つのブロックを表し,その中心の画素がgijである。ブロックを構成する9個の各画素はそれぞれ256階調の中の一つの階調を表す20 ,2 1,22 …27 の各重みに対応した8ビットのデータにより構成され,各重みに対して“1”または“0”の値を持つ。このブロックの中の同じ重みに対応して水平方向の3×3(ビット)の平面がビットプレーンであり,ビットプレーンが上下方向に8枚積層されたものとしてAに示されている。その上端のビットプレーンはMSB(最上位桁の27 )に対応し,下端のビットプレーンはLSB(最下位桁の20 )に対応している。
【0025】
上記のハッシュ関数の演算により当該ブロック(座標gijを含む)に対応するk’の値が求められると,図4のB.に示すように対応するビットプレーンが取り出され,gij(k’)として示されている。このビットプレーンの各ビットデータをgbitt で表し,tをビットプレーン内の9個のビットデータの中の一つ(位置)を表すと,gbitt =0または1,t=0,1,…8である。
【0026】
図3の処理フローに戻ると,ビットプレーンが図4のBに示すように取得されると,署名画素の埋め込みが開始される。最初に変数z,tを0に設定する(同S7)。zはビットプレーン内の“1”(または“0”でもよいが以下の説明では“1”とする)の個数の計数値を表す変数であり,tはビットプレーン内のビットデータの個数の計数値を表す変数である。
【0027】
ステップS8〜S10の動作を繰り返して,ビットプレーン内の各ビット(gbitt )について“1”の場合は+1の計数をして,変数zに計数値が得られる。計数を終了すると,原画像のブロックgijに対応する位置の署名画像sij(2値)が“1”か判別する(図3のS11)。“1”の場合は,zの計数値が奇数であるか判別して(同S12),偶数であれば全てのビットgbitt は元のままで,奇数であれば任意の1つのビット(gbitt )を反転する(同S13)。また,sijが“0”の場合は,zの計数値が偶数か判別し(同S14),偶数であるなら任意のビット(gbitt )を反転して(同S15)奇数にする。
【0028】
このS11〜S15の処理により,図3の右側に示す署名のパターンとして示す▲1▼〜▲4▼の4つのケースの何れかに該当する判別が行われ,▲2▼,▲3▼の場合に原画像のビットプレーンの任意のビット(gbitt )が反転される。従って,署名画像のビットが“1”の場合,原画像の対応するビットプレーンの“1”の個数が奇数,“0”の場合は奇数に設定される。
【0029】
図5は署名画素とビットプレーンの変化を示す例である。
この例では,Aに示すようにビットプレーンgij(k’)の中のビット(gbitt )の“1”の個数が4個で,偶数の例である。この場合,対応する署名画像の画素sijが“1”の場合は,Bに示すように,ビットプレーンの内容はそのままにし,画素sijが“0”の場合はビットプレーン内の一つの“1”のビット(gbitt )が反転されて,“1”の合計個数を3個(奇数)にしている。
【0030】
1つのブロックに対する署名画像の1画素の埋め込みが終了すると,図3のS16〜S19において順次,i,jを更新して各ブロックについてS5以下の処理が実行されて,各ブロックに対し署名画像の各画素が埋め込まれると,原画像への署名画像の埋め込みが終了し,署名済画像が得られる。
【0031】
上記図3に示す処理フローにより作成された署名済画像から2値の署名画像を復号することにより,原画像が署名者により作成されたことを証明することができる。
【0032】
図6は署名済画像から2値の署名画像復号の処理フローである。
最初に,署名済画像(n×n画素,256階調)を入力し(図6のS1),ブロック分割を行う(同S2)。なお,メモリには予め復号する署名画像用の領域を確保しておく。このブロック分割は,上記署名画像の埋め込みの場合と同様に1ブロックを3×3画像とし,各ブロックをgijとし,i,jは0,1,…,n/3とする。次にi,jを0に設定し(同S3),最初のブロックの画素gijについて,ハッシュ関数fを用いてk’(埋め込み用ビットプレーン)を決定する(同S4)。この時のハッシュ関数は,署名画像を埋め込み時と同じ関数を使用する。計算により求められたビットプレーン(3×3ビット)を取得すると,変数z(“1”の個数の計数値),変数t(ビットの個数の計数値)を用いてS6〜S9において,その全ビット(gbitt )内の“1”の個数を計数する。次に“1”の計数値を表すzが奇数であるか判別し(図6のS10),奇数の場合は対象となるブロックに対応する署名画像の画素sijを“1”とし(同S11),偶数の場合は画素sijを“0”とする(同S12)。
【0033】
次にiの値を更新して(図6のS13),i>n/3か判別し,iがn/3を越えない場合はステップS4に戻って同様の処理を繰り返し,iがn/3を越えると次にjを更新する(同S14)。このjについてもj>n/3であるか判別し(図6のS15),該当しないとステップS4に戻って同様の処理を繰り返して,jがn/3を越えると,原画像の全てのブロックについて復号が終了し,復号画像Rを合成して表示する。
【0034】
図7は原画像と署名画像が共に濃淡画像の場合の署名の処理フローである。
この場合,原画像と署名画像は何れも256(=28 )階調を持つ写真,絵,等の画像で,各画素が20 ,2 1,22 …27 の各重みに対応した8ビットで構成されているものとする。
【0035】
この濃淡を持つ署名画像を原画像に署名する実施例では,原画像の各ブロックの中の選択されたビットプレーン中に署名画像の濃淡画素の全ビット値を設定することを原理とする。
【0036】
以下の処理は,上記図3と同様にCPU,メモリ,イメージリーダ等を備える情報処理装置(図示省略)において実行することができる。
最初に原画像を入力し(図7のS1),次に署名画像を入力すると(同S2),各画像はメモリのそれぞれの領域に格納される。また,原画像Gの画素数はn×nで28 階調であり,埋め込みを行う署名画像Sは原画像Gの縦,横の1/3の長さとし,画素数は(n/3) ×(n/3) 画素で28 階調であり,その画素をsijで表し,i,j=0,1,…,n/3である。
【0037】
次に原画像をブロックに分割する(同S3)。この実施例でも上記図3と同様に3×3画素で1ブロックとし,各ブロックの3×3画素をgijで表し,i,jは上記署名画像のi,jと同様に0,1,…,n/3である。
【0038】
ブロックの座標をi,jとすると,最初にi=0,j=0とし(図7のS4),原画像の最初のブロックについてハッシュ関数fの計算によりk’を求める。この場合のハッシュ関数fは,上記図3の場合と同様の関数を用いてi,jにより決定する。k’は0,1,2,…,7の何れか一つの値であり,得られたk’に対応するビットプレーンを原画像のデータから取得する(図7のS5,S6)。
【0039】
この場合のビットプレーンの構成は上記した図4のBに,gij(k’)として示され,ビットプレーンの各ビットデータをgbitt で表し,tをビットプレーン内の9個のビットデータの中の位置を表すと,gbitt =0または1,t=0,1,…8である。
【0040】
ビットプレーンが取得されると,署名画素の埋め込みが実行される。この場合,対象となるブロックに対応する署名画像の画素sijの多値データsbitt (20 ,21 ,…,2m−1 の各重みに対応する値から成る)を取得し(図7のS7),t=0として設定し,sbitt をビットプレーンのgbitt としてセットし(同S8),以下tの値を更新してS9〜S11のループにより署名画像の画素ijの8ビットをビットプレーンのgbitt にセットする。但し,ビットプレーンは9ビットあるため,その中心のビットを除いた8ビットの位置に,画素sijの8ビットの多値データsbitt を配置する。
【0041】
図8にビットプレーンに濃淡の署名画像の画素を埋め込む例を示す。この場合,図8のAに示す原画像のブロックから選択されたビットプレーンgij(k’)の9つのビット(gbitt )に対し,中心のビットを除いた周囲の8ビットにそれぞれ0〜7の位置を表す番号を付与する。一方,原画像の対象となるブロックに対応する署名画像の画素sijの0〜m−1の各重みに対応する8ビットのデータは図8のBに示す値とすると,このBに示す0〜7の値をAに示す0〜7の位置に設定すると,図8のCに示す署名画素が埋め込まれたビットプレーンが得られる。
【0042】
一つの原画像の一つのブロックに対する署名画像の一つの画素の埋め込みが終わると,図7のS12〜S15の処理を介してi,jを更新してS5〜S11の処理が繰り返され,全てのブロックに対し対応する署名画像の画素が埋め込まれると署名済画像が得られて終了する。
【0043】
なお,この図7の実施例は,署名画像も原画像と同じ256(28 )階調の場合であるが,署名画像が2r の場合には,20 ,21 ,22 ,…,2r−1 の合計r個のデータをビットプレーン内に設定することにより署名画像の画素を埋め込むことができる。
【0044】
また,この実施例では濃淡画像について説明したが,同様の処理によりカラーの原画像に対し,単色の濃淡の署名画像や,カラーの署名画像を埋め込むことができる。その場合,原画像をブロック化して,R,G,Bのカラーに対応して選択されたビットプレーンに対し,濃淡の署名画像の対応する画素の値をセットしたり,カラーの署名画像の対応する画素のR,G,Bの値をそれぞれ設定することにより実現することができる。
【0045】
上記の図7に示す処理フローにより作成された署名済画像から濃淡の署名画像を復号すると,原画像が署名者により作成されたことを証明することができる。
図9は署名済画像から多値の署名画像を復号するための処理フローである。
【0046】
署名済画像を入力し(図9のS1),3×3のブロックに分割する(同S2)。最初にi=0,j=0を設定して(同S3),署名済画像の中の対象ブロックについてハッシュ関数fを用いてk’=f(gij)を計算し(同S4),対象となるブロックからk’に対応するビットプレーンを取得する(同S5)。この後,S6〜S9の処理により,ビットプレーン内のt=0からm−1(=7)までのgbitt を順番に取り出してsbitt として署名画像の画素のデータとしてセットする。この処理は,上記図8のCに示す署名画素を含むビットプレーンから,図8のBに示す署名画像の画素を得ることに相当する。
【0047】
一つのビットプレーンについて0〜7の合計8ビットが得られると,署名画像の一つの画素の値(sij)が取得されたものとし(図9のS10),以下のS11〜S14の処理において,i,jを順番に更新して他のブロックについてS4〜S9の処理が繰り返し実行されて,全ブロックからそれぞれに対応する署名画像の画素の値(sij)が得られると,復号画像(署名画像)が合成され,表示を行い(同S15),処理を終了する。
【0048】
本発明により標準画像データベースSIDBAの「girl」,「moon」及び「aerial」といった周知の複数の画像(256×256画素,256階調)に,2値の文字からなる署名画像(85×85画素の2階調)や,人物の顔写真を表す濃淡の署名画像(85×85画素の256階調)を埋め込んだ結果,何れの場合にも画質劣化はほとんど認められないという実験結果を得ることができた。さらに詳細に画質を評価するため,信号対雑音比(SNR)を求めた結果を図10,図11に示す。但し,SNRは次の式(4)で定義し,err(エラー)は次の式(5)により定義されるものとし,式(5)の中のorgi は原画像の輝度レベル,embi は署名画像の輝度レベルを表す。
【0049】
【数1】
【0050】
図10は2値の署名画像の場合のp(ハッシュ関数のモジュロー値)に対応するSN比を示し,図11は多値の署名画像の場合のpに対応するSN比を示す。図10,図11において,それぞれ(a) は埋め込み用のビットプレーンの位置決定のハッシュ関数fとして,上記の式(2)のf=i+j(modp)を用いた場合の各p(モジュロー)に対するSN比(SNR),(b) は上記の式(3)のf=i×j(modp)を用いた場合の各pに対するSN比(SNR)を示す。
【0051】
図10,図11により,pが大きくなると上位のビットプレーンを利用する機会が増すので画質が劣化するが,p≦7で2値の署名データを埋め込んだ場合,それぞれSN比が40dBを越えており,良好な画面が保持されていることが分かる。更に,本発明の埋め込みの方法によれば,埋め込んだ署名データを完全な形で復号できる利点がある。
【0052】
本発明の安全性を確認するため,署名の削除,改ざんを目的とした攻撃に対する耐性を評価した結果,次の3種類の攻撃を行い,強度を検証した。
攻撃1:各画素の下位αビットを削除する。
【0053】
攻撃2:各画素の輝度レベルを±βとする。
攻撃3:各画素にγ以下の雑音を付加する。
但し,画像を著しく損傷するような攻撃は,ユーザの立場(画像が全く見えない)から意味をなさないので,対象外とした。
【0054】
攻撃1に対しては,実験により下位ビットαとして1,2,3,4を削除した場合の結果として,図12に攻撃後復号した署名画像(2値)を示す。これによれば,攻撃1に対しかなりの強度を発揮している。これはハッシュ関数f(位置決定関数)により埋め込み位置k’がランダムに0〜(p−1)に振り分けられているためである。攻撃2に対しては,埋め込みアルゴリズムの中で画質維持のために行う輝度の補正により損傷を受けやすいが,画素の輝度レベルβが2のk’乗と等しい場合は,その部分ブロックの署名情報が欠落するが,βが2の(k’−1)乗より小さいと下位ビットを操作することで攻撃を防止できる。これは結果的に画質を劣化させることになるので,画質維持と強度保持のトレードオフの問題である。また攻撃3に対しても同様のことがいえる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば,画像の著作権保護のための署名情報を簡単な方法により原画像の中に原画像に依存することなく画質の劣化を抑制しつつ完全に埋め込むことができる。
【0056】
また,署名済画像に対する署名の削除,改ざんを目的とした各種の攻撃に対しても,ブロックに対応して埋め込み位置がランダムであるため推定することが困難であり,簡単に削除,改ざんを行うことができない。
【0057】
濃淡の原画像へ2値及び多値(濃淡)の署名画像の何れでも埋め込みが簡単に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の署名画像埋め込みの原理構成を示す図である。
【図2】本発明の署名画像復号の原理構成を示す図である。
【図3】原画像が濃淡画像で署名画像2値の場合の署名の処理フローを示す図である。
【図4】ブロックとビットプレーンの説明図である。
【図5】署名画素とビットプレーンの変化を示す例である。
【図6】署名済画像から2値の署名画像復号の処理フロー示す図である。
【図7】原画像と署名画像が共に濃淡画像の場合の署名の処理フローである。
【図8】ビットプレーンに濃淡の署名画像の画素を埋め込む例を示す図である。
【図9】署名済画像から多値の署名画像を復号するための処理フローを示す図である。
【図10】2値の署名画像の場合のpに対応するSN比を示す図である。
【図11】多値の署名画像の場合のpに対応するSN比を示す図である。
【図12】攻撃後復号した署名画像(2値)の例を示す図である。
【符号の説明】
1 原画像ブロック化手段
2 ブロック対応位置決定手段
3 署名画素選択手段
4 ブロック対応署名画素値埋め込み手段
10 原画像データ
11 ブロックデータ
12 署名画像データ
13 署名済画像データ
Claims (5)
- 各画素が2m の階調を持つディジタルの原画像を縦・横に所定個数の画素からなる複数のブロックに分割し,
前記分割された各ブロックのそれぞれに対し,そのブロックの座標位置に対応してモジュローp(p≦m)のハッシュ関数により0〜(p−1)の一つを算出し,
当該ブロックを構成する複数の各画素の20 〜2m-1 の同じ重みに対応する値同士で構成するm個のビットプレーンの中から前記ハッシュ関数により算出された値に対応する重みのビットプレーンを取り出し,
前記取り出されたビットプレーンを構成する所定個数のビット中に,当該原画像のブロック位置に対応する2値の署名画像の1画素の値を埋め込むため,
前記取り出されたビットプレーンを構成する全てのビットについて“1”(または“0”)の合計の偶奇を求め,
前記署名画像の前記ブロックに対応する位置の画素の値が“1”か“0”かに応じて,前記ビットプレーンの中の“1”(または“0”)の個数が偶数(または奇数)になるようにビットプレーン内の任意の一つの画素の値を変更して1画素の値を埋め込むことにより署名済画像を得ることを特徴とする濃淡画像への署名方法。 - 各画素が2 m の階調を持つディジタルの原画像を縦・横に所定個数の画素からなる複数のブロックに分割し,
前記分割された各ブロックのそれぞれに対し,そのブロックの座標位置に対応してモジュローp(p≦m)のハッシュ関数により0〜(p−1)の一つを算出し,
当該ブロックを構成する複数の各画素の2 0 〜2 m-1 の同じ重みに対応する値同士で構成するm個のビットプレーンの中から前記ハッシュ関数により算出された値に対応する重みのビットプレーンを取り出し,
前記取り出されたビットプレーンを構成する所定個数のビット中に,当該原画像のブロックに対応する位置に濃淡画像である署名画像の1画素の値を埋め込むため,
前記取り出されたビットプレーンの中の中心位置のビットを除いて,周囲の各画素に対応する各ビットの中に,前記署名画像の前記ブロックに対応する位置の1画素の各重みに対応する全ビットを設定することにより1画素の値を埋め込むことにより署名済画像を得ることを特徴とする濃淡画像への署名方法。 - 請求項1または2の何れかにおいて,
前記ハッシュ関数として,モジュローpにより前記ブロックの位置を表す数値(i,j)を加算または乗算を行う関数を使用することを特徴とする濃淡画像への署名方法。 - 請求項1により2値の署名画像が署名された署名済画像を縦・横に所定個数の画素からなる複数のブロックに分割し,
前記分割された各ブロックのそれぞれに対し,そのブロックの位置に対応して前記署名画素の埋め込みに使用したハッシュ関数により一つの値を算出し,
当該ブロックを構成する複数の各画素の2 0 〜2 m-1 の同じ重みに対応する値同士で構成するm個のビットプレーンの中から前記ハッシュ関数により算出された値に対応する重みのビットプレーンを当該ブロックから取り出し,
前記取り出されたビットプレーン内の“1”(または“0”)の個数の奇・偶を判別し,奇数の場合は当該ブロックに対応する署名画像の画素を“0”(または“1”),偶数の場合は“1”(または“0”)と判別し,
署名済画像の全ブロックから対応する2値の署名画像の全体の画像を復号することを特徴とする署名画像の復号方法。 - 請求項2により濃淡の署名画像が署名された署名画像を縦・横に所定個数の画素からなる複数のブロックに分割し,
前記分割された各ブロックのそれぞれに対し,そのブロックの位置に対応して前記署名画素の埋め込みに使用したハッシュ関数により一つの値を算出し,
当該ブロックを構成する複数の各画素の2 0 〜2 m-1 の同じ重みに対応する値同士で構成するm個のビットプレーンの中から前記ハッシュ関数により算出された値に対応する重 みのビットプレーンを当該ブロックから取り出し,
前記取り出されたビットプレーンの中の中心位置のビットを除いて,周囲の各画素に対応する複数ビットを,署名画像の前記ブロックに対応する位置の画素の各重みに対応するビットとして抽出し,
署名済画像の全ブロックから対応する濃淡画像である署名画像を復号することを特徴とする署名画像の復号方法。
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