JP3593436B2 - ポリエステル系樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動性が改良されたポリエステル系樹脂組成物およびその製造方法に関し、特に押出ブロー成形に適した流動性を有する樹脂組成物およびこれを工業的に効率良く得る製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
押出ブロー成形は、中空構造ができる、低圧成形工法である、という特徴がある。この方法は、いったんコールドパリソンを射出成形する必要があるストレッチブロー成形に比べて射出成形工程を省略できるという経済的な利点を有し、容器類の製造に多く使用されている。
【0003】
しかしながら射出成形では金型内に直接溶融樹脂を高速・高圧で注入するのに対し、押出ブロー成形では溶融樹脂を低速度で外気中に吐出させる必要があるため、パリソンの形状は外的要因を受け易く、特に低溶融粘度の樹脂から大型の成形品を得ようとすると肉厚ムラが著しくなるという問題を有している。
【0004】
一方、ポリエチレンテレフタレートなどに代表されるポリエステル樹脂は機械的特性、ガスバリヤー性、耐薬品性に優れ、飲料ボトルや化粧品容器に使用されているものの、通常の溶融重合によって得られる低溶融粘度のポリエステルでは押出ブロー成形時のドローダウンが生じやすいため、例えば容積1リットル程度の大型容器は押出ブロー成形できないという制約を有している。ドローダウンを防止するためにポリエステルの固相重合を行い、パリソンを安定して成形できる程度の高い溶融粘度にして押出ブロー成形に供する試みもなされている。しかし、固相重合により確かに溶融重合の限界を超える高い重合度のポリエステルは得られるものの、固相重合は重合に長時間を要するために一般に生産効率が低く、コストの増大を免れることができないという問題点を有している。
【0005】
本発明の目的は、押出ブロー成形に適した流動性を有するポリエステル系樹脂脂組成物を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、芳香族ジカルボン酸および/またはこれらのエステル形成誘導体を80〜100(モル%)含む酸成分と、グリコール成分からなる25[℃]のフェノール/テトラクロロエタン等量混合溶媒中で測定される極限粘度[η]が0.5[dl/g]以上であるポリエステル樹脂(A)95〜99.9重量部と、重量平均分子量が1万以下であって、加水分解性官能基含有単量体の含有量が90重量%以下である加水分解性官能基含有ポリマー(B)5〜0.1重量部からなるポリエステル系樹脂組成物およびその製造方法にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリエステル樹脂(A)は、ポリエステルの優れた機械的特性、ガスバリヤー性、耐薬品性などを確保する上で芳香族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成誘導体を80〜100[モル%]含む酸成分と、グリコール成分からなることが必要で、樹脂組成物の流動特性および機械的特性、ガスバリヤー性、耐薬品性などを確保する上で25[℃]のフェノール/テトラクロロエタン等量混合溶媒中で測定される極限粘度[η]が0.5[dl/g]以上であることが必要である。ポリエステル樹脂成形品の機械特性などをさらに良好するためには、極限粘度[η]が0.6[dl/g]以上であることが好ましく、固相重合により得られたポリエステルに匹敵する耐ドローダウン性を達成する上では、極限粘度[η]が0.7[dl/g]以上であることがさらに好ましい。
【0008】
本発明で使用されるポリエステル樹脂(A)は芳香族ジカルボン酸および/またはこれらのエステル形成誘導体を主たる酸成分とするものである。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4もしくは2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げられ、これらのエステル形成誘導体としてはアルキルエステルやアリールエステルが挙げられる。
【0009】
ポリエステル樹脂(A)としては芳香族ジカルボン酸成分が全酸成分中80[モル%]以上含有されていることが好ましく、さらに85[モル%]以上含有されていることが好ましい。芳香族ジカルボン酸成分が80[モル%]未満の場合には、得られる成形品の機械的強度が低下する恐れがあり、生産性も低下するおそれがある。
【0010】
ポリエステル樹脂(A)は、上記芳香族ジカルボン酸以外の酸成分として脂肪族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成誘導体を全酸成分中に20[モル%]未満、好ましくは15[モル%]未満の範囲で含有させることもできる。これらを20[モル%]以上含有させると得られる成形品の機械的強度の低下を招く。。本発明で使用される脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,3もしくは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
【0011】
ポリエステル樹脂(A)はエチレングリコール成分を全グリコール成分中に50[モル%]以上含有することが好ましく。さらに70[モル%]以上が好ましい。エチレングリコールの含有量が50[モル%]未満であると樹脂の製造段階での重合反応性の低下等の問題が発生するおそれがあり、生産効率を低下させる可能性が生ずる。
【0012】
本発明で共重合に使用されるその他のグリコール成分としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ダイマージオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0013】
また、本発明の樹脂組成物から得られる成形品の透明性を良好に保つ上では、ポリエステル樹脂の結晶性を低下させるための共重合成分を含有することが有効で、ポリエステル(A)を構成するジカルボン酸成分またはグリコール成分の少なくとも一方が2種以上の成分により構成され、ポリエステルを構成する主要な繰り返し単位の含有量が96〔モル%〕以下であることが好ましい。特に、押し出しブロー成形によって得られる成形品の透明性を良好に保つためには、ポリエステル(A)を構成するジカルボン酸成分またはグリコール成分の少なくとも一方が2種以上の成分により構成され、ポリエステルを構成する主要な繰り返し単位の含有量が94〔モル%〕以下であることがさらに好ましい。
【0014】
本発明で使用される重量平均分子量が1万以下の加水分解性官能基含有ポリマー(B)に含有される加水分解性官能基は、ポリエステルのカルボン酸末端あるいは水酸基末端と反応しうるものであれば何でもよいが、耐ドローダウン性を安定かつ確実に得るためには、加水分解性官能基の少なくとも1種がグリシジル基であることが好ましい。
【0015】
工業的に安価に製造できるの加水分解性官能基含有ポリマー(B)の例としては、ビニル重合性単量体のビニル重合によって得られたポリマーが挙げられる。ポリマー(B)の添加量を少量にして高い流動性改良効果を得るためには、加水分解性官能基含有単量体の量が40重量%以上であることが好ましく、最も少量の添加で高い流動性改良効果が得られるためのさらに好ましい加水分解性官能基含有量単量体の含有量は60重量%以上である。一方、理由は明らかでないが、あまりに高い加水分解性官能基含有量単量体の含有量により、樹脂組成物の流動性あるいは外観がやや低下することがあるため、加水分解性官能基含有量単量体の含有量は90重量%以下であることがさらに好ましい。
【0016】
ポリマー(B)に含有される好適な加水分解性官能基含有量単量体の例としてはグリシジルメタクリレートが挙げられ、これと共重合可能な加水分解性官能基を含有しない単量体の例としてはスチレンが挙げられる。好ましいポリマー(B)の具体例としては、40〜90重量%のグリシジルメタクリレートおよび10重量%以上のスチレンを構成単位とするポリマーが挙げられる。
【0017】
加水分解性官能基含有ポリマー(B)の重量平均分子量は1万以下であることが必要で、重量平均分子量が1万を超えると、成形品の外観が悪化するという問題点を生じる。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)95〜99.9重量部と、重量平均分子量が1万以下の加水分解性官能基含有ポリマー(B)5〜0.1重量部からなることが必要で、ポリエステル樹脂(A)の含有量が95重量部未満の場合にはポリエステルの優れた機械的特性、ガスバリヤー性、耐薬品性などが損なわれる。加水分解性官能基含有ポリマー(B)の含有量が5重量部を超えると著しい粘度上昇を招くという問題点が生じ、加水分解性官能基含有ポリマー(B)の含有量が0.1重量部未満では、明確な流動性改良効果が得られない。
【0019】
良好な諸特性が安定して得られる好ましい組成は、ポリエステル樹脂(A)98〜99.9重量部と、重量平均分子量が1万以下の加水分解性官能基含有ポリマー(B)2〜0.1重量部であり、さらに溶融重合で得られる程度のポリエステル樹脂に、固相重合品なみの高度な耐ドローダウン性を付与するためには、加水分解性官能基含有ポリマーの含有量は0.3重量部以上であることが好ましい。
【0020】
本発明の樹脂組成物では該樹脂組成物の270[℃]、せん断速度600[1/秒]で測定した溶融粘度が1000〜20000[ポイズ]の範囲にある時、押出ブロー成形に最も適した流動特性を得ることができる。さらに本発明の樹脂組成物においては、通常のポリエステルに比べて低い溶融粘度にて高い耐ドローダウン性を発現するため、固相重合で得られるブロー成形用ポリエステルの溶融粘度を下回る5000ポイズ以下の溶融粘度範囲においても押出ブロー成形に適した耐ドローダウン性を得ることができるため、従来にない高流動性を備えたブロー成形用樹脂を得ることができる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、上記ポリエステル樹脂(A)と加水分解性官能基含有ポリマー(B)を溶融混合することによって好適に得ることができる。
【0022】
溶融混合する手段の一例としては、押出機による溶融混練が挙げられる。例えばグリシジル基を含有するポリマーとポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルを押出機によって溶融混練する際には、2〜3分間の加熱によってもグリシジル基とポリエステルの反応は進行し耐ドローダウン性の改良効果が得られるが、より充分に反応を進行させ樹脂組成物中に残存する未反応のグリシジル基量を充分に低下せしめかつより高度な流動性改良効果を得るためには、溶融混練後ポリエステルの融点以上の温度にて10分以上熱履歴を受けさせることが好ましい。
【0023】
また、ポリエステル樹脂(A)への分散を容易にする上で、溶融混合に供されるポリマー(B)の形状は粉体であることが好ましく、さらに工業的に安価に粉体が製造できるという利点から、ポリマー(B)は乳化重合によって得られた粉体であることが好ましい。
【0024】
本発明のポリエステル系樹脂組成物を使用した成形品には、必要に応じてさらに特定の性能を付与するために従来公知の各種加工処理を施したり、適当な添加剤を配合することができる。加工処理の例としては、紫外線、α線、β線、γ線あるいは電子線等の照射、コロナ処理、プラズマ照射処理、火炎処理等の処理、塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリオレフィン等の樹脂の塗布、ラミネート、あるいは金属の蒸着等が挙げられる。添加剤の例としては、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等の樹脂、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられる。
【0025】
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、ボトル等中空容器やパイプ、チューブ等部品類のダイレクトブロー成形品、押出しシート、板、インフレーションフィルム、ラミネートコーティング等の押出し成形法による成形品等の材料として使用することができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
【0027】
実施例には、ポリエステル樹脂として、三菱レイヨン製、ダイヤナイトMA−521H(テレフタル酸、エチレングリコールからなる、[η]=0.78のポリエステル)、同社製KR−560( テレフタル酸94モル%、イソフタル酸6モル%、エチレングリコールからなる、[η]=0.77のポリエステル)、およびテレフタル酸90モル%、イソフタル酸10モル%、エチレングリコールからなる、[η]=0.77のポリエステルを使用した。
【0028】
溶融粘度の評価はキャピログラフを使用し270[℃]、せん断速度600[1/秒]で押出しした際の粘度を測定した。
【0029】
耐ドローダウン性の評価はキャピログラフを使用し270[℃]、せん断速度60[1/秒]で押し出した際のストランド長が400[mm]に達する秒数を測定した。
【0030】
透明性は、耐ドローダウン性の評価によって得られたストランド状サンプルの外観目視によって評価した。
【0031】
(実施例1〜7)
MA−521Hと、乳化重合によって合成した粉体状の重量平均分子量の1万以下の加水分解性官能基含有ポリマー(n−オクチルメルカプタンによって分子量を制御した)を、表1に示す割合[重量%]で配合し、2軸押出機でバレル設定温度270℃にて溶融混合した後、キャピログラフにより溶融粘度の測定を行った。評価結果を表1に示す。
【0032】
(実施例8〜12)
KR−560と、乳化重合によって合成した粉体状の分子量1万以下の加水分解性官能基含有ポリマーを、表1に示す割合[重量%]で配合し、2軸押出機でバレル設定温度270℃にて溶融混合した後、キャピログラフにより溶融粘度の測定を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例13)
テレフタル酸90モル%、イソフタル酸10モル%、エチレングリコールからなる、[η]=0.77のポリエステルと、乳化重合によって合成した粉体状の重量平均分子量が1万以下の加水分解性官能基含有ポリマーを、表1に示す割合[重量%]で配合し、2軸押出機でバレル設定温度270℃にて溶融混合した後、キャピログラフにより溶融粘度の測定を行った。評価結果を表1に示す。
【0033】
(実施例14)
テレフタル酸90モル%、イソフタル酸10モル%、エチレングリコールからなる、[η]=0.77のポリエステル(A−1)と、ブレンマー50S(分子量約10000のスチレン含有ポリマー,ペレット状)を表1に示す割合[重量%]で配合し、2軸押出機でバレル設定温度270℃にて溶融混合した後、キャピログラフにより溶融粘度の測定を行った。評価結果を表1に示す。
【0034】
(比較例1)
加水分解性官能基含有ポリマーの添加量を10重量%とした以外は実施例1と同様にした。大量のポリマー添加は不経済であるだけでなく、添加剤がおそらく結晶核剤として働くため、材料の透明性を損なうことがわかる。評価結果を表1に示す。
【0035】
(比較例2,3)
MA−521H、KR−560のポリエステルの評価結果を表1に示す。
【0036】
(比較例4)
加水分解性官能基含有ポリマーの分子量が5万より大きい他は実施例10と同様にした。評価結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
B−1:St/GMA(90/10)、重量平均分子量9700
B−2:St/GMA(80/20)、重量平均分子量6700
B−3:St/GMA(60/40)、重量平均分子量9000
B−4:St/GMA(40/60)、重量平均分子量7100
B−5:グリシジルメタクリレート含有共重合体、日本油脂(株)製ブレンマー50S
B−6: St/GMA(60/40)、重量平均分子量5万
St:スチレン、GMA:グリシジルメタクリレート、(90/10)等は重量比
透明性:×−著しい白濁、△−やや白濁、○−肉厚部(放流樹脂の塊)以外は透明、◎−肉厚部も透明
表面平滑性:×−著しい凹凸により表面光沢無し、△−凹凸による表面光沢やや低下、○−表面光沢良好
【0039】
【発明の効果】
本発明によるポリエステル系樹脂組成物は従来の固相重合によらずに、ポリエステルの有する加工性および透明性を損なうことなく、ボトル等中空容器やパイプ、チューブ等部品類のダイレクトブロー成形品、押出しシート、板、インフレーションフィルム、ラミネートコーティング等の押出し成形法による成形品を安定して成形し得る優れた耐ドローダウン性を有するものである。また本発明のの製造方法はそのポリエステル系樹脂組成物を効率的に得ることができるものである。
Claims (2)
- 芳香族ジカルボン酸および/またはこれらのエステル形成誘導体を80〜100(モル%)含む酸成分と、グリコール成分からなる25[℃]のフェノール/テトラクロロエタン等量混合溶媒中で測定される極限粘度[η]が0.5[dl/g]以上であるポリエステル樹脂(A)95〜99.9重量部と、重量平均分子量が1万以下であって、加水分解性官能基含有単量体の含有量が90重量%以下である加水分解性官能基含有ポリマー(B)5〜0.1重量部からなるポリエステル系樹脂組成物。
- 芳香族ジカルボン酸および/またはこれらのエステル形成誘導体を80〜100[モル%]含む酸成分と、グリコール成分からなる25[℃]のフェノール/テトラクロロエタン等量混合溶媒中で測定される極限粘度[η]が0.5[dl/g]以上であるポリエステル樹脂(A)95〜99.9重量部と、(B)重量平均分子量が1万以下であって、加水分解性官能基含有単量体の含有量が90重量%以下である加水分解性官能基含有ポリマー(B)5〜0.1重量部を溶融混合することによって、ポリエステル系樹脂組成物を製造する方法。
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