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JP3594004B2 - 車両の発電駆動制御装置 - Google Patents
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JP3594004B2 - 車両の発電駆動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電機によって発電された電力で電動機を駆動するようにした車両の発電駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の車両の発電駆動制御装置としては、例えば実開昭55−138129号公報に記載されているものが知られている。
この従来例には、前輪及び後輪の何れか一方を主駆動輪として内燃機関の動力により駆動し、前輪及び後輪の他方を電動機で駆動し、さらに内燃機関の駆動力で発電機を駆動し、この発電機で発電した電力を電動機に供給するようにし、アクセルペダルが踏み込まれかつ車速が設定値以下であるときに電動機を作動させて前輪及び後輪を駆動するようにした前後輪駆動車両が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例にあっては、アクセルペダルが踏み込まれかつ車速が設定値以下であるときに電動機が作動されて前輪及び後輪の何れか一方が内燃機関で回転駆動され、他方が電動機で回転駆動する4輪駆動状態となるものであるが、発電機は自己の発電電力を界磁電流制御として使用する自励発電では発電機の回転に応じて発電するため、発電開始当の発電力が小さく、4輪駆動での発進初期時に必要な比較的大きなトルクを応答性良く得られないという未解決の課題がある。
【0004】
また、電動機に供給する電力が内燃機関によって駆動される発電機で発電された電力を使用している関係で、電動機駆動側の車輪加速スリップ等によって電動機の回転速度が増加すると、電動機の誘起電圧が上昇して、発電電圧との差が減少することからモータ電流が減少するため、所要のトルクを発生することができないという未解決の課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、発進初期時に必要な比較的大きなトルクを応答性良く得ることができ、電動機の回転速度が増加しても所要のトルクを持続することができる車両の発電駆動制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成ために、請求項1に係る車両の発電駆動制御装置は、内燃機関によって駆動される発電機と、該発電機の電力により駆動される電動機と、該電動機により駆動される車輪とを備えた車両の発電駆動制御装置において、前記発電機に設けたフィールドコイルと、蓄電器と、前記フィールドコイルに前記発電機のステータコイルで発電した電力を供給する自励回路と、前記フィールドコイルに前記蓄電器からの電力を供給する他励回路と、前記自励回路の電圧と前記他励回路の電圧との何れか高い方を選択して前記フィールドコイルに供給する電力補正手段と、前記電動機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段で検出した電動機の回転速度に基づいて当該電動機の界磁電流を制御する界磁電流制御手段とを備え、前記界磁電流制御手段は、前記回転速度検出手段で検出した回転速度が加速スリップを生じ易い低回転速度領域であるときに、前記界磁電流を前記電動機の誘起電圧を抑制するように制限することを特徴としている。
【0007】
この請求項1に係る発明では、例えば発進初期時などに、自励回路から供給される発電機で発電する電圧がバッテリ等の蓄電器の電圧より小さいときには、電力補正手段で蓄電器電力を選択して発電機のフィールドコイルに供給して、フィールドコイルで必要とする電力を確保する。また、界磁電流制御手段で、電動機の回転速度が加速スリップを生じ易い低回転速度領域であるときに、電動機に対する界磁電流を電動機の誘起電圧を抑制する電流値に制限する。このため、発電機の発電電力が誘起電圧によって増加することが抑制されることにより、電力補正手段による他励回路からの電力供給状態が継続されて自励回路への切換えが遅らされる。
【0008】
また、請求項2に係る車両の発電駆動制御装置は、内燃機関によって駆動される発電機と、該発電機の電力により駆動される電動機と、該電動機により駆動される車輪とを備えた車両の発電駆動制御装置において、前記発電機に設けたフィールドコイルと、蓄電器と、前記フィールドコイルに前記発電機のステータコイルで発電した電力を供給する自励回路と、前記フィールドコイルに前記蓄電器からの電力を供給する他励回路と、前記自励回路の電圧と前記他励回路の電圧との何れか高い方を選択して前記フィールドコイルに供給する電力補正手段と、前記電動機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段で検出した電動機の回転速度に基づいて当該電動機の界磁電流を制御する界磁電流制御手段とを備え、前記界磁電流制御手段は、前記回転速度検出手段で検出した回転速度が所定回転速度以下であるときに、前記界磁電流を前記電動機の誘起電圧を抑制するように制限することを特徴としている。
この請求項2に係る発明では、界磁電流制御手段で、電動機の回転速度が所定回転速度以であるときに電動機に対する界磁電流を電動機の誘起電圧を抑制するように制限する。このため、発電機の発電電力が誘起電圧によって増加することが抑制されることにより、電力補正手段による他励回路からの電力供給状態が継続されて自励回路への切換えが遅らされる。
【0009】
さらに、請求項3に係る車両の発電駆動制御置は、請求項2に係る発明において、前記界磁電流制御手段は、前記回転速度検出手段で検出した回転速度が所定回転速度以下であるときに、前記界磁電流の目標値を前記回転速度が零である制御開始時の初期電流値から当該回転速度の増加に応じて徐々に増加させるように構成されていることを特徴としている。
この請求項3に係る発明では、電動機の回転速度が指定回転速度以下であるときに、界磁電流を制御開始時の初期電流値から電動機の回転速度の増加に応じて徐々に増加させるので、加速スリップが生じ易い場合に、電動機の誘起電圧を抑制して他励回路から自励回路への切換えを遅らせてモータトルク不足を解消する。
【0010】
さらにまた、請求項4に係る車両の発電駆動制御装置は、請求項2に係る発明において、前記界磁電流制御手段は、前記回転速度検出手段で検出した回転速度が所定回転速度以下であるときに、前記界磁電流の目標値を前記回転速度が零である制御開始時の初期電流値に維持し、前記回転速度が所定回転速度を超えたときに初期電流値より大きい値にステップ状に変化させることを特徴としている。
この請求項に係る発明では、電動機回転速度が所定回転速度以下であるときに、電動機の界磁電流を初期電流値に維持するので、電動機の誘起電圧を抑制して、他励回路から自励回路への切換えを遅らせて、加速スリップを解消するモータトルクを確保する。
【0011】
なおさらに、請求項に係る車両の発電駆動制御装置は、内燃機関によって駆動される発電機と、該発電機の電力により駆動される電動機と、該電動機により駆動される車輪とを備えた車両の発電駆動制御装置において、前記発電機に設けたフィールドコイルと、蓄電器と、前記フィールドコイルに前記発電機のステータコイルで発電した電力を供給する自励回路と、前記フィールドコイルに前記蓄電器からの電力を供給する他励回路と、前記自励回路の電圧と前記他励回路の電圧との何れか高い方を選択して前記フィールドコイルに供給する電力補正手段と、前記電動機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段で検出した電動機の回転速度に基づいて当該電動機の界磁電流を制御する界磁電流制御手段とを備え、前記界磁電流制御手段は、前記回転速度検出手段で検出した前回の演算周期の回転速度が所定回転速度以下であって、今回の演算周期の前記回転速度が前記所定回転速度を瞬間的に超えた場合、前記界磁電流の目標値の増加量を制限する増加量フィルタを有することを特徴としている。
この請求項5に係る発明では、回転速度検出手段で検出した前回の演算周期の回転速度が所定回転速度以下であって、今回の演算周期の電動機の回転速度が瞬間的に所定回転速度を超えたときに電動機の界磁電流の目標値の増加を増加量フィルタで制限する。このため、増加量フィルタから出力される界磁電流が低めとなり、電動機で発生する誘起電圧を抑制する。
【0012】
た、請求項に係る車両の発電駆動制御装置は、請求項1乃至の何れかに係る発明において、前記電力補正手段は、発電機の電圧を昇圧する昇圧手段を有し、前記発電機で発電した電圧が前記フィールドコイルで必要とする電圧に対して不足するときに、前記昇圧手段で昇圧した電圧を当該フィールドコイルに供給するように構成されていることを特徴としている。
【0013】
この請求項に係る発明では、発電機で発電した電圧を例えばDC−DCコンバータのような昇圧手段で昇圧し、昇圧した電圧を発電機のフィールドコイルに供給するので、トルク高応答性及びトルク持続性を確保する。
さらに、請求項に係る車両の発電駆動制御装置は、請求項1乃至の何れかに係る発明において、前記内燃機関で車両に配設された前後方向における複数の駆動輪の一部を構成する主駆動輪を駆動し、前記電動機で残りの従駆動輪を駆動するようにしたことを特徴としている。
【0014】
この請求項に係る発明では、主駆動輪を内燃機関で回転駆動し、この内燃機関で発電機を駆動して発電を行い、この発電電力で電動機を駆動して従駆動輪を回転駆動する。
【0015】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、電力補正手段で、発電機の発電電力をフィールドコイルに供給する自励回路からの電圧と蓄電器の電力をフィールドコイルに供給する他励回路からの電圧との何れか大きい値を選択して発電機のフィールドコイルに供給するようにしているので、発進初期時に、発電機で発電する電力がフィールドコイルで必要とする電力に対して不足すると、蓄電器の電力を発電機のフィールドコイルに供給して、発進初期時の高トルク応答性を達成することができるという効果が得られる。また、回転速度検出手段で検出した回転速度が加速スリップを生じ易い低回転速度領域であるときに、電動機の界磁電流を電動機で発生する誘起電圧を抑制するように制限することにより、電力補正手段による他励回路からの電力供給状態を継続して、不要に自励回路からの電力供給状態への切換えが起こることを防止し、急発進や路面外乱等による電動機回転速度の急上昇時であってもトルク応答性を向上させて、安定した発進が可能となるという効果が得られる。
【0016】
また、請求項2に係る発明によれば、回転速度検出手段で検出した回転速度が所定回転速度以下であるときに、電動機の界磁電流を電動機の誘起電圧を抑制するように制限することにより、電力補正手段による他励回路からの電力供給状態を継続して、不要に自励回路からの電力供給状態への切換えが起こることを防止し、急発進や路面外乱等による電動機回転速度の急上昇時であってもトルク応答性を向上させて、安定した発進が可能となるという効果が得られる。
【0017】
さらに、請求項3に係る発明によれば、回転速度検出手段で検出した電動機の回転速度が所定回転速度以下であるときに、界磁電流を電動機の回転速度が零である制御開始時の初期電流値から当該回転速度の増加に応じて徐々に増加させるので、電動機で発生する誘起電圧を抑制することができると共に、界磁電流を連続的に変化させることができるという効果が得られる。
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、回転速度検出手段で検出した電動機の回転速度が所定回転速度以下であるときに、界磁電流の目標値を電動機の回転速度が零である制御開始時の初期電流値を維持し、電動機の回転速度が所定回転速度を超えたときに初期電流値より大きい値にステップ状に変化させるので、電動機で発生する誘起電圧を確実に抑制することができるという効果が得られる。
【0018】
なおさらに、請求項に係る発明によれば、前回の演算周期の電動機の回転速度が所定回転速度以下であって、今回の演算周期の回転速度が瞬間的に所定回転速度を超えたときに、増加量フィルタで界磁電流の増加量を制限することにより、電動機で発生する誘起電圧を抑制するので、電力補正手段による他励回路からの電力供給状態を継続して、自励回路からの電力供給状態への切換えを遅らせることにより、急発進や路面外乱等による電動機回転速度の急上昇時であってもトルク応答性を向上させて、安定した発進が可能となるという効果が得られる。
また、請求項に係る発明によれば、発電機で発電した電圧を例えばDC−DCコンバータのような昇圧手段で昇圧し、この昇圧電圧を発電機のフィールドコイルに供給するので、フィールドコイルで必要とする電圧を確保してトルク高応答性及びトルク持続性を確保することができるという効果が得られる。
【0019】
さらに、請求項に係る発明によれば、主駆動輪を内燃機関で回転駆動し、この内燃機関で発電機を駆動して発電を行い、この発電電力で電動機を駆動して従駆動輪を駆動することができ、4輪駆動車等の前後方向で複数の駆動輪を有する車両で、発進初期時のトルク高応答性及びトルク持続性を確保することができるという効果が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面について説明する。
図1は本発明を4輪駆動車に適用した場合の第1の実施形態を示す概略構成図であり、主駆動輪としての左右前輪1FL、1FRが内燃機関であるエンジン2によって駆動され、従駆動輪としての左右後輪1RL、1RRが従電動機である直流モータ4によって駆動される。
【0021】
エンジン2の出力トルクTeは、トランスミッション及びディファレンシャルギア5を介して左右前輪1FL、1FRに伝達される。また、エンジン2の出力トルクTeの一部は、無端ベルト6を介して発電機7に伝達される。
この発電機7は、エンジン2の回転速度Neにプーリ比を乗じた回転速度Nhで回転し、4WDコントローラ8によって調整される界磁電流Ifgに応じて、エンジン2に対し負荷となり、その負荷トルクに応じた電圧を発電する。この発電機7が発電した電力は、電線9及びジャンクションボックス10を介して直流モータ4に供給される。直流モータ4の出力軸は、減速機11、クラッチ手段としての電磁クラッチ12及びデファレンシャルギヤ13に連結され、ディファレンシャルギヤ13の左右出力側が夫々駆動軸13L及び13Rを介して左右後輪1RL及び1RRに連結されている。
【0022】
上記エンジン2の吸気管路14(例えばインテークマニホールド)には、メインスロットルバルブ15とサブスロットルバルブ16が介装されている。メインスロットルバルブ15は、アクセルペダル17の踏み込み量等に応じてスロットル開度が調整制御される。このメインスロットルバルブ15は、アクセルペダル17の踏み込み量に機械的に連動するか、あるいはアクセルペダル17の踏み込み量を検出するアクセルセンサ18の踏み込み量検出値に応じて、エンジンコントローラ19が電気的に調整制御することで、そのスロットル開度が調整される。上記アクセルセンサ18の踏み込み量検出値は、4WDコントローラ8にも出力される。
【0023】
また、サブスロットルバルブ16は、ステップモータ20をアクチュエータとし、そのステップ数に応じた回転角により開度が調整制御される。このステップモータ19の回転角は、モータコントローラ21からの駆動信号によって調整制御される。なお、サブスロットルバルブ16にはスロットルセンサ22が設けられており、このスロットルセンサ22で検出されるスロットル開度検出値に基づいて、ステップモータ19のステップ数がフィードバック制御される。ここで、上記サブスロットルバルブ16のスロットル開度をメインスロットルバルブ15の開度以下等に調整することによって、運転者のアクセルペダルの操作とは独立して、エンジン2の出力トルクを減少させることができる。
【0024】
また、エンジン2にはその出力回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ23が設けられ、このエンジン回転速度センサ23で検出したエンジン回転速度Neを4WDコントローラ8に出力する。さらに、各車輪1FL〜1RRの夫々には、車輪速を検出する車輪速センサ24FL〜24RRが設けられ、これら車輪速センサ24FL〜24RRで検出した車輪速VwFL〜VwRRを4WDコントローラ8に出力する。さらにまた、トランスミッションのシフト位置を検出するシフト位置センサ25が設けられ、このシフト位置センサ25で検出したシフト位置を4WDコントローラ8に入力する。なおさらに、運転席近傍に4輪駆動状態とするか否かを選択する4WDスイッチ26が設けられ、この4WDスイッチ26のスイッチ信号を4WDコントローラ8に入力する。
【0025】
さらに、発電機7は、図2に示すように、デルタ結線された3相のステータコイルSCと、フィールドコイルFCとを有し、ステータコイルSCの各接続点がダイオードで構成される整流回路30に接続されて、この整流回路30から例えば最大42Vの直流電圧Vが出力される。
また、フィールドコイルFCは、その一端がダイオードD1を介して整流回路30の出力側に接続されていると共に、ダイオードD2を逆方向に介し、さらに4WDリレー31を介して所定電圧(例えば12ボルト)のバッテリ32に接続され、他端がフライホイールダイオードDFを順方向に介してダイオードD1及びD2のカソード側に接続されていると共に、電圧調整器(レギュレータ)33を介して接地されている。
【0026】
ここで、整流回路30及びダイオードD1を介して界磁電流Ifgを供給する系統が自励回路を形成して磁界発生電力供給手段を構成し、バッテリ31及びダイオードD2を介して界磁電流Ifgを供給する系統が他励回路を形成し、ダイオードD1及びD2が自励回路及び他励回路の電圧の何れか高い方を選択するセレクトハイ機能を有し、電力補正手段を構成している。
【0027】
また、4WDリレー31はそのリレーコイルの一端がバッテリ32にイグニッションスイッチ34を介して接続されたイグニッションリレー35の出力側に接続され、他端が4WDコントローラ8に接続されている。
そして、発電機7は、4WDコントローラ8によってフィールドコイルFCに対する界磁電流Ifgを調整することで、エンジン2に対する発電負荷トルクTg及び発電する発電電圧Vが制御される。電圧調整器33は、4WDコントローラ8からパルス幅変調(PWM)した発電機制御指令(界磁電流値)C1を入力し、その発電機制御指令C1に応じた値に発電機7の界磁電流Ifgを調整する。
【0028】
また、ジャンクションボックス10内にはモータリレー36及び電流センサ37が直列に接続されて設けられ、このモータリレー36は、4WDコントローラ8からの指令によって直流モータ4に供給する電力の断続を行う。また、電流センサ37は、発電機7から直流モータ4に供給される電機子電流Iaを検出し、検出した電機子電流Iaを4WDコントローラ8に出力する。また、直流モータ4に供給されるモータ電圧Vmが4WDコントローラ8で検出される。
【0029】
さらに、直流モータ4は、4WDコントローラ8からのモータ出力トルク指令としてのパルス幅変調した界磁制御指令によって界磁電流Ifmが制御され、その界磁電流Ifmの調整によって駆動トルクTmが調整される。この直流モータ4の温度がサーミスタ38で検出され、その温度検出値が4WDコントローラ8に入力されると共に、直流モータ4の出力軸の回転速度Nmがモータ用回転速度センサ39で検出され、その回転速度Nmが4WDコントローラ8に入力される。
【0030】
また、電磁クラッチ12は、その励磁コイル12aの一端が前記4WDリレー21の出力側に接続され、他端が4WDコントローラ8に接続され、この4WDコントローラ8内でスイッチング素子としてのスイッチングトランジスタ40を介して接地されている。そして、このトランジスタ40のベースに供給するパルス幅変調したクラッチ制御指令CLによって励磁コイル12aの通電電流が制御され、これによって直流モータ4から従駆動輪としての後輪1RL,1RRに伝達されるトルク伝達力が制御される。
【0031】
4WDコントローラ8は、図3に示すように、発電機制御部8A、リレー制御部8B、モータ制御部8C、クラッチ制御部8D、余剰トルク演算部8E、目標トルク制限部8F、余剰トルク変換部8Gを備えている。
上記発電機制御部8Aは、電圧調整器22を通じて、発電機7の発電電圧Vをモニターしながら、この発電機7の界磁電流Ifgを調整することで、発電機7の発電電圧Vを所要の電圧に調整する。
【0032】
リレー制御部8Bは、発電機7から直流モータ4への電力供給の遮断・接続を制御する。
モータ制御部8Cは、直流モータ4の界磁電流Ifmを調整することで、この直流モータ4のトルクを所要の値に調整する。
クラッチ制御部8Dは、後述する余剰トルク演算部8Eで演算する発電負荷トルク目標値Tgtに基づいて対応するモータトルク目標値Tmtを算出し、このモータトルク目標値Tmtに基づいて下記式の演算を行って電磁クラッチ12に対するクラッチ伝達トルクTCLを算出し、このクラッチ伝達トルクTCLをクラッチ電流指令値ICLに変換し、これをパルス幅変調(PWM)してクラッチ電流指令値ICLに応じたデューティ比のクラッチ電流制御出力CLを求め、これをスイッチングトランジスタ40に出力する。
【0033】
CL=Tmt×KDEF ×KTM+TCL0
ここで、KDEF はディファレンシャルギヤ13での減速比、KTM はクラッチトルクマージン、TCL0 はクラッチイニシャルトルクである。
また、所定のサンプリング時間毎に、入力した各信号に基づき、図4に示すように、余剰トルク演算部8E→目標トルク制限部8F→余剰トルク変換部8Gの順に循環して処理が行われる。
【0034】
まず、余剰トルク演算部8Eでは、図5に示すような処理を行う。
すなわち、先ず、ステップS1で、車輪速センサ16FL、16FR、16RL、16RRからの信号に基づいて前輪(主駆動輪)1FL,1FRの平均車輪速から後輪1RL,1RR(従駆動輪)の平均車輪速を減算することで、前輪1FL、1FRの加速スリップ量であるスリップ速度ΔVFを求める。
【0035】
ここで、スリップ速度ΔVFの演算は、例えば、次のように行われる。
前輪1FL、1FRにおける左右輪速の平均値である平均前輪速VWf、及び後輪1RL、1RRにおける左右輪速の平均値である平均後輪速VWrを、それぞれ下記式により算出する。
VWf=(VWFL+VWFR)/2 …………(1)
VWr=(VWRL+VWRR)/2 …………(2)
次に、上記平均前輪速VWfと平均後輪速VWrとの偏差から、主駆動輪である前輪1L、1Rのスリップ速度(加速スリップ量)ΔVFを、下記(3)式により算出する。
【0036】
ΔVF=VWf−VWr …………(3)
次いで、ステップS2に移行して、上記ステップS1で求めたスリップ速度ΔVFが所定値、例えば“0”より大きい正値であるか否かを判定する。この判定結果がスリップ速度ΔVFが“0”以下即ち“0”又は負値であるときには、前輪1FL、1FRが加速スリップしていないと推定されるので、ステップS3に移行して、発電負荷トルク目標値Tgtを“0”に設定した後処理を終了して目標トルク制限部8Fの処理に移行する。
【0037】
一方、ステップS2において、スリップ速度ΔVFが“0”より大きい正値であるときには、前輪1FL、1FRが加速スリップしていると推定されるので、ステップS4に移行する。
このステップS4では、前輪1FL、1FRの加速スリップを抑えるために必要な吸収トルクTΔVFを、下記(4)式によって演算してからステップS5に移行する。この吸収トルクTΔVFは加速スリップ量に比例した量となる。
【0038】
TΔVF=K1×ΔVF …………(4)
ここで、K1は、実験などによって求めたゲインである。
ステップS5では、現在の発電機7の負荷トルクTGを、下記(5)式に基づき演算したのち、ステップS6に移行する。
Figure 0003594004
ここで、Vgは発電機7の電圧、Iaは発電機7の電機子電流、Ngは発電機7の回転数、K2は係数、K3は効率である。
【0039】
ステップS6では、下記(6)式に基づき、余剰トルクつまり発電機7で負荷すべき発電負荷トルク目標値Tgtを求めてから処理を終了して目標トルク制限部8Fの処理に移行する。
Tgt=TG+TΔVF …………(6)
次に、目標トルク制限部8Fの処理について、図6に基づいて説明する。
【0040】
すなわち、まず、ステップS11で、発電負荷トルク目標値Tgtが、発電機7の最大負荷容量HQより大きいか否かを判定する。発電負荷トルク目標値Tgtが発電機7の最大負荷容量HQ以下と判定した場合には処理を終了する。一方、発電負荷トルク目標値Tgtが発電機7の最大負荷容量HQよりも大きいと判定した場合には、ステップS12に移行する。
【0041】
ステップS12では、発電負荷トルク目標値Tgtにおける最大負荷容量HQを越える超過トルクΔTbを下記(7)式によって求めてからステップS13に移行する。
ΔTb=Tgt−HQ …………(7)
ステップS13では、スロットルセンサ22及びエンジン回転数検出センサ23からの信号に基づいて、図7に示すエンジントルク算出マップを参照して、現在のエンジントルクTeを演算してステップS14に移行する。
【0042】
ステップS14では、下記(8)式のように、エンジントルクTeから超過トルクΔTbを減算してエンジントルク上限値TeMを演算し、求めたエンジントルク上限値TeMをエンジンコントローラ19に出力した後に、ステップS15に移行する。
TeM=Te−ΔTb …………(8)
ここで、エンジンコントローラ19では、運転者のアクセルペダル17の操作に関係なく、入力したエンジントルク上限値TeMをエンジントルクTeの上限値となるようにこのエンジントルクTeを制限する。
【0043】
ステップS15では、最大負荷容量HQを発電負荷トルク目標値Tgtに設定してから処理を終了して余剰トルク変換部8Gの処理に移行する。
次に、余剰トルク変換部8Gの処理について、図8に基づいて説明する。
まず、ステップS20で、スリップ速度ΔVFが“0”より大きいか否かを判定する。ΔVF>0と判定されれば、前輪1FL、1FRが加速スリップしているので、ステップS21に移行する。また、ΔVF≦0と判定されれば、前輪1FL、1FRは加速スリップしていないので、ステップS21以降の余剰トルク変換処理を行うことなく処理を終了して余剰トルク演算部8Eの処理に戻る。
【0044】
ステップS21では、モータ用回転速度センサ39が検出したモータ4の回転速度Nmを入力し、そのモータ4の回転速度Nmをもとに図8中に示すモータ界磁電流目標値算出用マップを参照してモータ界磁電流目標値Ifmtを算出し、このモータ界磁電流目標値Ifmtをモータ制御部8Cに出力した後、ステップS22に移行する。
【0045】
ここで、目標モータ界磁電流算出用マップは、横軸にモータ回転速度Nmをとり、縦軸にモータ界磁電流目標値Ifmtをとり、モータ回転速度Nmが“0”であるときにモータ界磁電流目標値Ifmtは最大電流IMAX の約半分程度の初期電流値IINとなり、この状態からモータ回転速度Nmが増加するに応じてモータ界磁電流目標値Ifmtが増加してモータ回転速度Nmが所定回転速度Nに達するとモータ界磁電流目標値Ifmtが最大電流IMAX に達し、その後モータ回転速度Nmが増加して第1の設定値Nまでの間ではモータ界磁電流目標値Ifmtが予め最大電流値IMAX を維持し、モータ回転速度Nmが第1の設定値Nを超えて増加すると、これに応じてモータ界磁電流目標値Ifmtが比較的大きな傾きで減少し、モータ回転速度Nmが第1の設定値Nより大きな第2の設定値Nからこの第2の設定値Nより大きい第3の設定値Nまでの間はモータ界磁電流目標値Ifmtが初期電流値IINより小さい低電流値Iを維持し、モータ回転速度Nmが第3の設定値Nを超えて増加すると、これに応じてモータ界磁電流目標値Ifmtがより大きな傾きで減少して“0”となるように特性線L1が設定されている。
【0046】
すなわち、発進直後の直流モータ4の回転速度Nmが低い状態では、モータ界磁電流目標値Ifmtが初期値Iから所定回転速度Nsまでの間は回転速度Nmの増加に応じて徐々に増加する界磁電流抑制状態として直流モータ4で発生する誘起電圧Eの増加を抑制する。
一方、回転速度Nmが所定回転速度Nsから設定値Nまでの間は一定の所定電流値IMAX とし、直流モータ4が回転速度設定値N以上になった場合には、公知の弱め界磁制御方式で直流モータ4の界磁電流Ifmを小さくする(図10参照)。すなわち、モータ4が高速回転になると直流モータ4における誘起電圧の上昇によりモータトルクが低下することから、上述のように、直流モータ4の回転数Nmが所定値以上になったら直流モータ4の界磁電流Ifmを小さくして誘起電圧Eを低下させることで直流モータ4に流れる電流を増加させて所要モータトルクTmを得るようにする。この結果、直流モータ4が高速回転になってもモータ誘起電圧Eの上昇を抑えてモータトルクの低下を抑制するため、所要のモータトルクTmを得ることができる。
【0047】
ステップS22では、モータ回転速度Nmと、モータ界磁電流目標値Ifmtとをもとに図8中に示したモータ誘起電圧算出用マップを参照してモータ誘起電圧Eを算出する。ここで、モータ誘起電圧算出用マップは、モータ界磁電流目標値Ifmtをパラメータとして横軸にモータ回転速度Nmをとり、縦軸にモータ誘起電圧Eをとり、モータ回転速度Nmが増加することにより、モータ誘起電圧Eが線形に増加し、モータ界磁電流目標値Ifmtが増加することによってもモータ誘起電圧Eが増加するように設定されている。
【0048】
次いで、ステップS23に移行して、上記余剰トルク演算部8Eが演算した発電負荷トルク目標値Tgtに基づき対応するモータトルク目標値Tmtを算出して、ステップS24に移行する。
ステップS24では、上記モータトルク目標値Tmt及びモータ界磁電流目標値Ifmtをもとに図9に示す電機子電流目標値算出用マップを参照して電子電流目標値Iatを算出する。この電機子電流目標値算出用マップは、モータ界磁電流目標値Ifmtをパラメータとして、横軸にモータトルク目標値Tmtをとり、縦軸に電機子電流目標値Iatをとり、モータ出力トルクTmが“0”であるときにはモータ界磁電流目標値Ifmtの値にかかわらず電機子電流目標値Iatが“0”となり、この状態からモータ出力トルクTmが増加するに応じて電機子電流目標値Iatが増加すると共に、モータ界磁電流目標値Ifmtが増加するに応じて電機子電流目標値Iatが減少し、モータ出力トルクTmが大きな値となると、モータ界磁電流目標値Ifmtが小さい方から順次に電機子電流目標値Iatが“0”に設定されるように構成されている。
【0049】
次いで、ステップS25に移行し、下記(9)式に基づき、電機子電流目標値Iat、電線9の抵抗及び直流モータ4のコイルの抵抗の合成抵抗R、及び誘起電圧Eから発電機7の電圧目標値Vを算出し、この発電機7の電圧目標値Vを発電機制御部8Aに出力した後、処理を終了して余剰トルク演算部8Eの処理に戻る。
【0050】
=Iat×R+E …………(9)
ここで、上記余剰トルク変換部8Gでは、モータ側の制御を考慮して発電負荷トルク目標値Tgtに応じた発電機7での目標電圧Vを算出しているが、予め設定したマップを参照して、発電負荷トルク目標値Tgtから直接に、発電負荷トルク目標値Tgtとなる電圧値Vを算出するようにしてもよい。
【0051】
この図8の処理において、ステップS21の処理が界磁電流制御手段に対応している。
次に、上記第1の実施形態の動作を図10に示すタイムチャートを伴って説明する。
今、自動変速機のセレクトレバーをパーキングレンジ(P)とし、イグニッションスイッチをオン状態とすることにより、エンジン2を始動させた状態で車両が停止しているものとする。
【0052】
この停止状態で、運転者が4WDスイッチ26を図10(a)に示すように時点t1でオン状態に操作すると、この時点t1では、図10(c)に示すようにセレクトレバーがパーキングレンジにあるため、4WDリレー制御部8Bでは4WDリレー31をオフ状態に制御し、4WDコントローラ8へのパワー系電源の入力が停止されていると共に、バッテリ32からの発電機7のフィールドコイルFC、ジャンクションボックス10のモータリレー36、電磁クラッチ12のクラッチコイル12aへの電力供給が停止されている。
【0053】
この停止状態から時点t2でセレクトレバーをパーキングレンジ(P)からリバースレンジ(R)及びニュートラルレンジ(N)を経てドライブレンジ(D)に移動させ、時点t3でドライブレンジ(D)を選択してから例えば0.05秒程度の所定時間が経過した時点t4で4WDリレー制御部8Bによって4WDリレー31が図10(b)に示すようにオン状態に制御される。
【0054】
この状態では、車両が停止状態にあるため、前輪1FL,1FRの平均前輪速VWf及び後輪1RL,1RRの平均後輪速VWrが共に“0”であり、スリップ速度ΔVFも“0”となるため、余剰トルク変換部8Gで実行される図8の処理では、ステップS20からステップS21〜ステップS25の処理を実行することなく処理を終了して余剰トルク演算部8Eに戻ることになる。
【0055】
このため、発電機制御部8Aで発電電圧目標値Vに基づく発電機制御出力C1がオフ状態、モータ界磁出力MFもオフ状態に制御され、さらにクラッチ制御部8Dでクラッチ制御出力CLがオフ状態に制御される。したがって、発電機7での発電及び直流モータ4の駆動が停止されていると共に、クラッチ12が非締結状態に制御される。
【0056】
この状態から時点t5でアクセルペダル17を踏込んで車両を急発進させたり、降雨路、雪路、凍結路のような低摩擦係数路面で発進させることにより、主駆動輪となる前輪1FL,1FRに加速スリップを生じると、前後の車輪速差が生じることにより、スリップ速度ΔVFが正の値となる。
このとき、余剰トルク演算部8Eにおける図5の処理で、スリップ速度ΔVFが正値となるので、ステップS2からステップS4に移行し、スリップ速度ΔVFにゲインK1を乗算して加速スリップを抑えるために必要な吸収トルクTΔVFを算出し、次いで、現在の発電電圧V、電機子電流Ia、発電機回転数Ngに基づいて前記(5)式の演算を行って現在の発電負荷トルクTGを算出する(ステップS5)。この現在の発電負荷トルクTGは、図10(d)に示すように、発進時には発電機回転数Ngが比較的小さいので、発電電圧V及び電機子電流Iaの増加に応じて増加する。さらに、吸収トルクTΔVFと現在の発電負荷トルクTGとを乗算して発電負荷トルク目標値Tgtを算出するので、この発電負荷トルク目標値Tgtも図10(e)に示すように増加する。
【0057】
この発進時には、発電機7での発電電圧Vが図10(j)に示すようにバッテリ電圧Vに比較して低いので、ダイオードD1がオフ状態となり、ダイオードD2がオン状態となって、バッテリ電圧Vが発電機7のフィールドコイルFCに供給される。このため、フィールドコイルFCに十分な界磁電流Ifgを供給することができ、発電電圧Vの増加が可能となり、直流モータ4に供給する電機子電流Iaを増加させることができる。
【0058】
ところで、発電機7で発生させる発電電圧Vは、余剰トルク変換部8Gの図8の処理で制御されることになるが、モータトルク目標値Tmtとモータ界磁電流目標値Ifmtとをもとに図9の電機子電流目標値算出用マップを参照して算出される電機子電流目標値Iatに線路抵抗Rを乗算した電圧値と直流モータ4での誘起電圧Eとを加算して算出される。
【0059】
ここで、モータ界磁電流目標値Ifmtは、モータ回転速度Nmをもとに図8の処理におけるステップS21でモータ界磁電流目標値算出用マップを参照して算出されるが、車両の発進時にはモータ回転速度Nmがまだ低いため、このときのモータ界磁電流目標値Ifmtが最大電流IMAX の約半分程度の電流目標値IINに抑制されて、続くステップS22で算出されるモータ誘起電圧Eも図10(h)に示すように小さい値に抑制された状態で滑らかに増加する。
【0060】
このため、ステップS24で算出される電機子電流目標値Iatが図9に示すように、モータ界磁電流目標値Ifmtが最大値IMAX に設定されている場合に比較して大きい値となり、図10(i)に示すように、時間の経過と共に滑らかに上昇し、必要とするモータトルクTmを確保することができ、直流モータ4の回転速度Nmは図10(f)に示すように前輪1FL,1FRの加速スリップに応じて比較的急に増加する。
【0061】
この結果、急発進時又は低摩擦係数路面での発進時に主駆動輪となる前輪1FL,1FRで加速スリップを生じた場合に、これを解消するように従駆動輪となる後輪1RL,1RRを直流モータ4が前輪1FL,1FRでの加速スリップを解消するように駆動されることになり、円滑な発進を行うことができる。
その後、モータ回転速度Nmが急増すると、これに応じてモータ界磁電流目標値Ifmtも増加するが、その値は最大電流IMAX に比較すると小さい値となるので、これに応じて直流モータ4で発生する誘起電圧Eの増加量も抑制されて図10(h)に示すように緩やかな増加が継続される。
【0062】
同様に、電機子電流目標値Iatもモータ界磁電目標値Ifmtが抑制されていることにより、モータ界磁電流目標値Ifmtが最大値IMAX である場合に比較して大きな値となり、図10(i)に示すように、滑らかに上昇して、直流モータ4で必要なモータトルクTmを発生して、前1FL,1FRでの加速スリップを解消し、これに応じて直流モータ4の回転速度Nmも図10(f)に示すように徐々に減少して通常加速状態に復帰する。
【0063】
その後、時点t6で直流モータ4の回転速度Nmが所定回転速度Nsに達すると、モータ界磁電流目標値IfmtがIMAX に達して、以後モータ回転速度Nmが回転速度設定値N1に達する迄の間IMAX に維持される。
この状態では、モータ回転速度Nmが増加するので、モータ誘起電圧Eも図10(h)に示すように滑らかな増加傾向を継続し、さらに、発電負荷トルクTgtが図10(e)に示すように増加を継続しているので、電機子電流目標値Iatも増加傾向を継続する。
【0064】
その後、時点t6を僅かに越えた時点t7で、発電電圧Vがバッテリ電圧Vを超えると、ダイオードD2がオフ状態となり、これに代えてダイオードD1がオン状態となることにより、バッテリ電圧Vが発電機7のフィールドコイルFCに供給される他励制御状態から発電機7の整流回路30から出力される発電電圧VがフィールドコイルFCに供給される自励制御状態に切換えられる。
【0065】
その後、時点t8で、発電負荷トルク目標値Tgtがピークに達し、その後減少することにより、電動機電流目標値Iatも徐々に減少し、これに応じて発電電圧Vも緩やかな増加状態となる。
その後、時点t9で、発電機負荷トルク目標値Tgtが比較的低い一定値を維持する状態となると、モータ回転速度Nmが増加傾向を継続することからモータ誘起電圧Eも増加傾向を継続し、モータ界磁電流目標値Ifmtが最大値IMAX を継続するので、電機子電流目標値Iatも比較的低い一定値を維持する状態となるが、発電電圧Vはモータ誘起電圧Eの増加に伴って増加する。
【0066】
その後、時点t10で、モータ回転速度Nmが設定回転速度N1に達すると、モータ界磁電流目標値Ifmtが減少して界磁弱め制御が開始される。このとき、モータ回転速度Nmが増加を継続しているので、モータ誘起電圧Eは図10(h)に示すように一定値となる。一方、電機子電流目標値Iatは、モータ界磁電流目標値Ifmtの減少に伴って図10(i)に示すように緩やかな増加傾向となり、発電電圧Vも図10(j)に示すうように緩やかな増加状態となる。
【0067】
その後、時点t11で、モータ回転速度Nmが設定回転速度N2に達すると、モータ界磁電流目標値Ifmtが一定値の低電流値Iとなることにより、モータ回転速度Nmの増加に応じてモータ誘起電圧Eが図10(h)に示すように増加し、電機子電流目標値Iatは図10(i)に示すように一定値を維持し、発電電圧Vはモータ誘起電圧Eの増加に応じて増加する。
【0068】
その後、時点t12で、モータ回転速度Nmが設定回転速度N3に達すると、モータ界磁電流目標値Ifmtが図10(g)に示すように“0”となるので、モータ誘起電圧Eも“0”となり、電機子電流目標値Iatも“0”に近い値となり、発電電圧Vも“0”に近い値となる。
このように、上記第1の実施形態では、車両の急発進時又は低摩擦係数路面での発進時に前輪1FL,1FRの加速スリップ速度ΔVFが急激に増加したときに、発電機7での発電電圧Vが低い状態であっても、バッテリ電圧Vを使用して発電機7のフィールドコイルFCに対する界磁電流を供給する他励制御状態とするので、発電機7での発電電圧Vの増加を確保することができ、これに応じて電機子電流目標値Iatを発電負荷トルク目標値Tgtに一致するモータトルク目標値Tmtに対応させて円滑に増加させることができる。
【0069】
このとき、モータ回転速度Nmが所定回転速度Nsより低い状態では、モータ界磁電流目標値Ifmtが最大電流値IMAX より低い値に設定されているので、モータ誘起電圧Eの増加を抑制して、発電電圧Vの増加を抑制することができ、バッテリ電圧Vによる他励界磁制御状態から発電機7の発電電圧Vによる自励界磁制御状態に切換える時点を遅らせることにより、電機子電流目標値Iatに応答遅れが生じることを防止して、良好な四輪駆動状態を確保することができる。
【0070】
因みに、図10(g)で破線図示のように、モータ界磁電流目標値Ifmtをモータ回転速度Nmが"0"である状態から最大電流値IMAX に維持する場合には、図9の電機子電流目標値算出マップを参照して算出される電機子電流目標値Iatが図10(i)で破線図示のように図10(e)に示す発電負荷トルク目標値Tgtの増加に比較して不足することになり、直流モータ4で発生するモータトルクTmが不足することになると共に、モータ誘起電圧Eがモータ回転速度Nmの増加に対応して図10(h)で破線図示のように増加することになり、これに応じて発電電圧VG 増加することにより、バッテリ電圧VB による他励界磁制御状態から発電電圧VG による自励磁界制御状態に早めに切換わることにより、他励界磁制御状態での電機子電流Iaの応答遅れが大きくなり、直流モータ4で発生するモータトルクTmが小さくなって、前輪1FL,1FRでの加速スリップ状態の解消が遅れるという問題点が生じるが、本発明では、上述したように急発進又は低摩擦係数路面での発進時のように加速スリップが生じ易い場合に、直流モータ4のモータ界磁電流目標値Ifmtを抑制するので、モータ誘起電圧Eの増加及び電機子電流目標値Iatの低下を抑制して、直流モータ4で前輪1FL,1FRでの加速スリップ状態を解消する良好なモータトルクを発生することができる。
【0071】
次に、本発明の第2の実施形態を図11について説明する。
この第2の実施形態は、余剰トルク変換部8Gにおける図8の処理において、ステップS21のモータ界磁電流目標値算出マップを参照する場合に代えてモータ回転速度Nmに基づいて比較演算を行うことによりモータ界磁電流目標値Ifmtを設定するようにしたものである。
【0072】
すなわち、第2の実施形態では、余剰トルク変換部8Gにおける図8のステップS21のモータ界磁電流目標値算出処理が、図11に示すように、ステップS21aでモータ回転速度Nmが所定回転速度Ns以下であるか否かを判定し、Nm≦NsであるときにはステップS21bに移行して、モータ界磁電流目標値Ifmtを最大電流値IMAX の半分程度の初期電流値IINに設定してから処理を終了してステップS23に移行する。
【0073】
また、ステップS21aの判定結果がNm>NsであるときにはステップS21cに移行して、モータ回転速度Nmが回転速度設定値N以下であるかを判定し、Nm≦NであるときにはステップS21dに移行して、モータ界磁電流目標値Ifmtを最大電流値IMAX に設定してから処理を終了して前記ステップS23に移行する。
【0074】
さらに、ステップS21cの判定結果がNm>NであるときにはステップS21eに移行して、モータ回転速度Nmが回転速度設定値N以下であるか否かを判定し、Nm≦NであるときにはステップS21fに移行して、モータ界磁電流目標値Ifmtを初期電流値IINより小さい低電流値Iに設定してから処理を終了してステップS23に移行する。
【0075】
さらにまた、ステップS21eの判定結果がNm>NであるときにはステップS21gに移行して、モータ界磁電流目標値Ifmtを“0”に設定してから処理を終了してステップS23に移行する。
この第2の実施形態によると、モータ回転速度Nmが所定回転速度Ns以下である間はモータ界磁電流目標値Ifmtが初期電流値IINに抑制されることにより、前述した第1の実施形態と同様に、直流モータ4の誘起電圧の増加を抑制することができると共に、電機子電流目標値Iatの減少を抑制することができ、発電機7の他励界磁制御状態から自励界磁制御状態への切換えを遅らせて、電機子電流目標値Iatの応答遅れを防止して、直流モータ4で前輪側1FL,1FRで発生する加速スリップを解消するモータトルクを発生することができる。
【0076】
次に、本発明の第3の実施形態を図12について説明する。
この第3の実施形態は、上記第2の実施形態のようにモータ回転速度が低い領域でモータ界磁電流目標値Ifmtを抑制する場合に、瞬間的なモータ回転速度の変化でモータ界磁電流目標値Ifmtが増大することを抑制するようにしたものである。
【0077】
すなわち、第3の実施形態では、余剰トルク変換部8GにおけるステップS21の処理が図12に示すように前述した図11の処理において、ステップS21dの処理の次に増加フィルタ処理が介挿され、且つステップS21b及びS21gの次に減少フィルタ処理が介挿されていると共に、ステップS21e及びS21fの処理が省略されたことを除いては図11の処理と同様の処理を行い、図11との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0078】
増加フィルタ処理は、ステップS21dでモータ界磁電流目標値Ifmtが最大電流値IMAX に設定されたときに、ステップS31に移行して、前回のモータ回転速度Nm(n-1) が所定回転速度Ns以下であるか否か判定し、Nm(n-1) ≦Nsであるときには今回初めてモータ回転速度Nmが所定回転速度Nsを超えたものと判断してステップS32に移行し、制御開始から所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過したときにはステップS33に移行して、瞬間的なモータ回転速度変化状態を表すフラグFを通常モータ回転速度変化であることを表す"0"にリセットしてからステップS34に移行し、前回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n-1) に比較的大きな値の通常制限値ΔIfANを加算した値を今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) として設定してからステップS35に移行し、モータ界磁電流目標値Ifmt(n) が最大電流値IMAX を超えたか否かを判定し、Ifmt(n) ≦IMAX であるときにはそのままフィルタ処理を終了して前記ステップS22に移行し、Ifmt(n) >IMAX であるときにはステップS36に移行して、今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) を最大電流値IMAX に設定してからフィルタ処理を終了して前記ステップS22に移行する。
【0079】
また、ステップS32の判定結果が制御開始から所定時間が経過していないときには瞬間的なモータ回転速度変化であると判断してステップS37に移行し、瞬間的なモータ回転速度変化であることを表すフラグFを"1"にセットしてからステップS38に移行して、前回のモータ界磁電流目標値Ifmt (n-1) に予め設定した前記通常制限値ΔIf AN より小さい値の抑制制限値ΔIf AL を加算した値を今回のモータ界磁電流目標値Ifmt (n) として設定してからフィルタ処理を終了して前記ステップS22に移行する。
さらに、前記ステップS31の判定結果がNm(n-1) >NsであるときにはステップS39に移行してフラグFが"1"であるか否かを判定し、フラグFが"0"にリセットされているときには前記ステップS34に移行し、フラグFが"1"にセットされているときには前記ステップS38に移行する。
【0080】
また、減少フィルタ処理は、ステップS21bの次にステップS40に移行して、今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) から前回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n−1) を減算した偏差ΔIfmを算出し、次いでステップS41に移行して、偏差ΔIfmが負であるか否かを判定し、ΔIfm≧0であるときにはモータ界磁電流目標値Ifmtが増加しているものと判断してそのままステップS43に移行し、ΔIfm<0であるときにはモータ界磁電流目標値Ifmtが減少しているものと判断してステップS42に移行して、前回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n−1) から予め設定した通常制限値ΔIfDNを減算した値を今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) として設定してからステップS43に移行する。
【0081】
ステップS43では、今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が初期電流値IIN未満であるか否かを判定し、Ifmt(n) ≧IINであるときにはそのままフィルタ処理を終了して前記ステップS22に移行し、Ifmt(n) <IINであるときにはステップS44に移行して、今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) を初期電流値IINに設定してからフィルタ処理を終了して前記ステップS22に移行する。
【0082】
さらに、ステップS21gの次にステップS45〜S47に移行して、前記す40〜S42と同様の処理を行い、次いでステップS48に移行して、今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が負であるか否かを判定し、Ifmt(n) ≧0であるときにはそのままフィルタ処理を終了してステップS22に移行し、Ifmt(n) <0であるときにはステップS49に移行して今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) を“0”に設定してからフィルタ処理を終了して前記ステップS22に移行する。
【0083】
この図12の処理が界磁電流制御手段に対応し、このうちステップS37〜S39の処理が第1のフィルタに対応し、ステップS33〜S36の処理が第2のフィルタに対応している。
この第3の実施形態によると、車両の急発進時又は低摩擦係数路面での発進時に前輪1FL,1FRで大きな加速スリップが生じたときに、発電負荷トルク目標値Tgtの急増によるモータトルク目標値Tmtの増加によって直流モータ4の回転速度が図13(a)に示すように増加する。
【0084】
このとき、モータ回転速度Nmが所定回転速度Ns以下であるときには、ステップS21aからステップS21bに移行してモータ界磁電流目標値Ifmtが図13(b)に示すように、初期電流値IINに設定してからステップS40に移行することにより、増加フィルタ処理は行われない。
この状態で、モータ回転速度Nmが図13(a)に示すように時点t11で瞬間的に所定回転速度Nsを超える状態となると、ステップS21cからステップS21dを経てステップS31に移行する。この状態では前回のモータ回転速度Nm(n-1) が所定回転速度Ns以下であるので、ステップS32に移行し、制御開始から所定時間が経過していないので、ステップS37に移行して、フラグFが"1"にセットされ、次いでステップS38に移行して、前回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n-1) に比較的小さな値の抑制制限値ΔIfALを加算した値を今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) として設定されるので、モータ界磁電流目標値Ifmt(n) の増加量は図13(b)に示すように抑制制限値ΔIfALに抑制される。
【0085】
次に、図12の処理が実行されたときには、モータ回転速度Nmが所定回転速度Nsを超えているが、前回のモータ回転速度Nm(n−1) が所定回転速度Nsを超えているので、ステップS31からステップS39に移行し、フラグFが“1”にセットされているのでステップS38に移行して、前回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n−1) に比較的小さな値の抑制制限値ΔIfALを加算した値を今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) として設定されるので、モータ界磁電流目標値Ifmt(n) の増加量は図13(b)に示すように抑制制限値ΔIfALに抑制される。
【0086】
その後、抑制制限値ΔIfALによるモータ界磁電流目標値Ifmtの増加が繰り返されて、時点t12でモータ回転速度Nmが所定回転速度Ns以下となると、図12の処理でステップS21aからステップS21bに移行することにより、今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が低電流値Iが設定され、その後減少フィルタ処理が行われる。この減少フィルタ処理では、今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) から前回のモータ界磁電流目標Ifmt(n−1) を減算した偏差ΔIfmを算出し、この偏差ΔIfmが負であるので、ステップS41からステップS42に移行して、前回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n−1) から予め設定された通常制限値ΔIfDNを減算した値が今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) として設定してからステップS43に移行し、Ifmt(n) ≧0であるので、そのままフィルタ処理を終了してステップS22に移行する。
【0087】
このため、モータ界磁電流目標値Ifmtが図13(b)に示すように減少し、この減少フィルタ処理が継続されて今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が初期電流値IIN未満となると、ステップS43からステップS44に移行して今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が初期電流値IINに設定され、この状態がモータ回転速度Nmが所定回転数Nsを超えるまで維持される。
【0088】
その後、制御開始から所定時間が経過した後の時点t13で再度モータ回転速度Nmが所定回転速度Nsを超えると、図12の処理でステップS31からステップS32に移行し、制御開始から所定時間が経過しているので、ステップS33に移行し、フラグFが“0”にリセットされる。
次いで、ステップS34で前回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n−1) に通常制限値ΔIfANを加算した値が今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) として設定され、この今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が最大電流値IMAX より小さいのでそのままフィルタ処理を終了してステップS22に移行する。
【0089】
この結果、モータ界磁電流目標値Ifmtが図13(b)に示すように、抑制制限値ΔIfALより大きい値の通常制限値ΔIfANで比較的急峻に増加することになる。
その後、モータ電流目標値Ifmtが通常制限値ΔIfANでの増加傾向を継続し、時点t14で算出した今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が最大電流値IMAX を超えると、ステップS35からステップS36に移行して、今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が最大電流値IMAX に制限され、この状態がモータ回転速度Nmが回転速度設定値Nを超えるまで継続される。
【0090】
その後、時点t15でモータ回転速度Nmが回転速度設定値Nを超えると、ステップS21cからステップS21gに移行して、今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が“0”に設定される。
このため、ステップS45で算出される今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) から前回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n−1) を減算した偏差ΔIfmが負となるため、ステップS46からステップS47に移行して、前回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n−1) に通常制限値ΔIfDNを減算した値が今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) として設定され、このモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が“0”より大きいのでそのままステップS22に移行する。
【0091】
したがって、モータ界磁電流目標値Ifmtが図13(b)に示すように通常制限値ΔIfDNで順次減少され、時点t16で今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が負となると、ステップS48からステップS49に移行して、今回のモータ界磁電流目標値Ifmt(n) が“0”に設定される。
このように、上記第3の実施形態によると、車両の発進時にモータ回転速度Nmが瞬間的に増加して所定回転速度Nsを超える状態となったときに、今回のモータ界磁転流目標値Ifmt(n) として最大電流値IMAX が設定されるが、これが増加フィルタ処理で増加量が抑制制限値ΔIfALに制限されるので、ノイズの影響を除去して、初期電流値IINを略維持することができる。この結果、モータ誘起電圧Eの上昇を抑制することができると共に、電機子電流目標値Iatの減少を抑制することができ、直流モータ4で前輪1FL,1FRで発生する加速スリップを解消する良好なモータトルクTmを発生することができる。
【0092】
なお、上記第1〜第3の実施形態においては、クラッチ手段として電磁クラッチ11を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、流体圧クラッチを適用することもでき、この場合には流体圧クラッチに供給する流体圧を制御する圧力制御弁を電気的に制御することにより、クラッチ締結力を制御すればよく、その他クラッチ締結力を電気的制御が可能な任意のクラッチを適用することができる。
【0093】
また、上記第1〜第3の実施形態においては、発電機7の入力軸をベルト6を介してエンジン2に連結した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、発電機7の入力軸をトランスファの出力側から前輪1FL,1FRまでの回転部分に連結するようにしてもよく、この場合には、エンジン2のアイドリング時の負荷を減少させることができる。
【0094】
さらに、上記第1〜第3の実施形態においては、モータ回転数検出手段としてモータ回転速度センサ39を適用し、このモータ回転速度センサ39でモータ回転速度Nmを直接検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車輪速センサ24RL及び24RRで検出した車輪速VwRL及びVwRRとディファレンシャルギヤ13の減速比とに基づいてモータ回転速度を推定するようにしてもよい。
【0095】
さらにまた、上記第1〜第3の実施形態においては、発電機7での発電電圧Vが低い領域ではバッテリ電圧VでフィールドコイルFCに供給する電圧を増加補正する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、発電電圧Vがバッテリ電圧Vに相当する所定電圧未満であるときに発電機7の整流回路30から出力される発電電圧VをDC−DCコンバータ等の昇圧回路を適用して所定電圧まで昇圧するようにしてもよい。
【0096】
なおさらに、上記第1〜第3の実施形態においては、前輪1FL,1FRを主駆動輪とし、後輪1RL,1RRを従駆動輪とする4輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、後輪1RL,1RRを主駆動輪とし、前輪1FL,1FRを従駆動輪とするようにしてもよい。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、本発明を4輪駆動車に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前後方向に2輪以上の駆動輪を備え、一部の主駆動輪を内燃機関で駆動し、残りの従駆動輪を電動機で駆動する場合に本発明を適用することができ、その他内燃機関等の回転駆動源によって回転駆動される発電機によって車輪を駆動する電動機を駆動する電動式駆動装置に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す概略装置構成図である。
【図2】第1実施形態における制御系のブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る4WDコントローラを示す機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態における4WDコントローラでの制御処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態における余剰トルク演算部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態における目標トルク制御部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】エンジン回転速度Neをパラメータとしてスロットル開度θとエンジントルクTeとの関係を示すエンジントルク算出マップを示す図である。
【図8】第1の実施形態における余剰トルク変換部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】モータ界磁電流目標値をパラメータとしてモータトルク目標値と電機子電流目標値との関係を示す電機子電流目標値算出マップを示す図である。
【図10】第1の実施形態の動作の説明に供するタイムチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態を示すモータ界磁電流目標値を算出する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施形態を示すモータ界磁電流目標値を算出する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施形態の動作の説明に供するタイムチャートである。
【符号の説明】
1FL,1FR 前輪
1RL,1RR 後輪
2 エンジン
4 直流モータ
7 発電機
8 4WDコントローラ
10 ジャンクションボックス
11 減速機
12 電磁クラッチ
24FL〜24RR 車輪速センサ
30 整流回路
D1,D2 ダイオード
31 4WDリレー
32 バッテリ
33 電圧調整器
FC フィールドコイル
SC ステータコイル
37 電流センサ
39 モータ用回転速度センサ

Claims (7)

  1. 内燃機関によって駆動される発電機と、該発電機の電力により駆動される電動機と、該電動機により駆動される車輪とを備えた車両の発電駆動制御装置において、
    前記発電機に設けたフィールドコイルと、蓄電器と、前記フィールドコイルに前記発電機のステータコイルで発電した電力を供給する自励回路と、前記フィールドコイルに前記蓄電器からの電力を供給する他励回路と、前記自励回路の電圧と前記他励回路の電圧との何れか高い方を選択して前記フィールドコイルに供給する電力補正手段と、前記電動機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段で検出した電動機の回転速度に基づいて当該電動機の界磁電流を制御する界磁電流制御手段とを備え、前記界磁電流制御手段は、前記回転速度検出手段で検出した回転速度が加速スリップを生じ易い低回転速度領域であるときに、前記界磁電流を前記電動機の誘起電圧を抑制するように制限することを特徴とする車両の発電駆動制御装置。
  2. 内燃機関によって駆動される発電機と、該発電機の電力により駆動される電動機と、該電動機により駆動される車輪とを備えた車両の発電駆動制御装置において、
    前記発電機に設けたフィールドコイルと、蓄電器と、前記フィールドコイルに前記発電機のステータコイルで発電した電力を供給する自励回路と、前記フィールドコイルに前記蓄電器からの電力を供給する他励回路と、前記自励回路の電圧と前記他励回路の電圧との何れか高い方を選択して前記フィールドコイルに供給する電力補正手段と、前記電動機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段で検出した電動機の回転速度に基づいて当該電動機の界磁電流を制御する界磁電流制御手段とを備え、前記界磁電流制御手段は、前記回転速度検出手段で検出した回転速度が所定回転速度以下であるときに前記界磁電流を前記電動機の誘起電圧を抑制するように制限することを特徴とする車両の発電駆動制御装置。
  3. 前記界磁電流制御手段は、前記回転速度検出手段で検出した回転速度が所定回転速度以下であるときに、前記界磁電流の目標値を前記回転速度が零である制御開始時の初期電流値から当該回転速度の増加に応じて徐々に増加させるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の車両の発電駆動制御装置。
  4. 前記界磁電流制御手段は、前記回転速度検出手段で検出した回転速度が所定回転速度以下であるときに、前記界磁電流の目標値を前記回転速度が零である制御開始時の初期電流値に維持し、前記回転速度が所定回転速度を超えたときに初期電流値より大きい値にステップ状に変化させることを特徴とする請求項2記載の車両の発電駆動制御装置。
  5. 内燃機関によって駆動される発電機と、該発電機の電力により駆動される電動機と、該電動機により駆動される車輪とを備えた車両の発電駆動制御装置において、
    前記発電機に設けたフィールドコイルと、蓄電器と、前記フィールドコイルに前記発電機のステータコイルで発電した電力を供給する自励回路と、前記フィールドコイルに前記蓄電器からの電力を供給する他励回路と、前記自励回路の電圧と前記他励回路の電圧との何れか高い方を選択して前記フィールドコイルに供給する電力補正手段と、前記電動機の回転速度を検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段で検出した電動機の回転速度に基づいて当該電動機の界磁電流を制御する界磁電流制御手段とを備え、前記界磁電流制御手段は、前記回転速度検出手段で検出した前回の演算周期の回転速度が所定回転速度以下であって、今回の演算周期の前記回転速度が前記所定回転速度を瞬間的に超えた場合、前記界磁電流の目標値の増加量を制限する増加量フィルタを有することを特徴とする車両の発電駆動制御装置。
  6. 前記電力補正手段は、発電機の電圧を昇圧する昇圧手段を有し、前記発電機で発電した電圧が前記フィールドコイルで必要とする電圧に対して不足するときに、前記昇圧手段で昇圧した電圧を当該フィールドコイルに供給するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の車両の発電駆動制御装置。
  7. 前記内燃機関で車両に配設された前後方向における複数の駆動輪の一部を構成する主駆動輪を駆動し、前記電動機で残りの従駆動輪を駆動するようにしたことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の車両の発電駆動制御装置。
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