JP3594028B2 - 動力出力装置およびハイブリッド車両並びにその制御方法 - Google Patents
動力出力装置およびハイブリッド車両並びにその制御方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力源としてエンジンと電動機とを備えるとともに、前記電動機と前記エンジンとの結合状態を切り替え可能な動力出力装置、ハイブリッド車両およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンと電動機とを動力源とするハイブリッド車両が提案されている。ハイブリッド車両には、大きく分けてシリーズハイブリッド車両とパラレルハイブリッド車両とがある。シリーズハイブリッド車両とは、エンジンからの動力を発電機により全て電力に変換し、そこで得られた電力で駆動軸に結合された電動機を駆動するハイブリッド車両である。パラレルハイブリッド車両とは、エンジンから出力された動力を2つに分配し、一部を機械的な動力のまま駆動軸に出力するとともに、残余を電力に変換して駆動軸に出力するハイブリッド車両である。
【0003】
シリーズハイブリッド車両は、駆動軸に結合された電動機を駆動するために必要となる電力を供給可能な運転状態のうち、最も効率のよい運転状態を選択してエンジンを運転することができるため、車両の運転状態に関わらず高い運転効率でハイブリッド車両を運転することができる利点がある。
【0004】
パラレルハイブリッド車両は、エンジンから出力された動力の一部を機械的な動力のまま駆動軸に伝達することができるため、電力への変換による損失を伴わない。従って、シリーズハイブリッド車両よりも更に高い運転効率を実現することが可能である。その一方でパラレルハイブリッド車両は、高い運転効率で車両を運転するための制御がシリーズハイブリッド車両に比較して複雑になりがちである。また、車両の運転状態によっては、動力を伝達する際の損失が大きくなり、運転効率が低下することもある。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−46821号公報
【特許文献2】
特開平9−42122号公報
【特許文献3】
特開平7−67208号公報
【特許文献4】
特開平7−107617号公報
【特許文献5】
特開昭50−30223号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のハイブリッド車両(特許文献1)では、シリーズハイブリッドとパラレルハイブリッドとの双方が利用されている。しかしながら、従来のハイブリッド車両では、動力や運転効率等に関し、更に改善を図る余地が残されていた。かかる課題は、車両のみならずハイブリッド式の動力出力装置一般に共通の課題であった。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、シリーズハイブリッドとパラレルハイブリッドの長所を兼ね備えたハイブリッド式の動力出力装置およびハイブリッド車両の動力や運転効率を向上させることのできる技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の動力出力装置は、駆動軸から動力を出力可能な動力出力装置であって、
出力軸を有するエンジンと、
前記駆動軸に結合された電動機と、
前記出力軸と駆動軸との間に結合され、電力のやりとりによって両回転軸間で伝達される動力の大きさを調整可能な動力調整装置と、
前記動力調整装置と電動機との結合および切り離しを行う結合機構と、
前記切り離しが行われた場合における前記動力調整装置での電力と動力との変換を可能とする保持機構とを備え、
前記動力調整装置は、3つの回転軸を有するとともに、そのうちの2つの回転軸が前記出力軸および駆動軸に結合されたプラネタリギヤと、残余の回転軸に結合された電動発電機とを有し、
前記保持機構は、該プラネタリギヤの前記2つの回転軸を相互に結合することにより、該プラネタリギヤの全回転軸を一体的に回転させる機構であり、
前記動力出力装置は、さらに、
前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態を含む複数の結合状態を実現するよう、前記結合機構および保持機構の動作を制御する制御部を備えることを要旨とする。
【0009】
かかる動力出力装置によれば、前記結合機構を結合することにより、エンジンから出力された動力を駆動軸に伝達可能なパラレル式の動力出力装置を構成することが可能となる。一方、前記結合機構を切り離すと、エンジンから出力された動力を駆動軸に直接は伝達することができなくなる。この際、前記保持機構によって前記動力調整装置での電力と動力との変換を可能とすれば、エンジンから出力された動力を一旦全て電力に変換した上で駆動軸から出力するシリーズ式の動力出力装置を構成することができる。従って、上記動力出力装置によれば、両者の結合状態を適宜使い分けることにより、パラレル式の動力出力装置の利点とシリーズ式の動力出力装置の利点とを兼ね備えた運転を実現することが可能となる。
さらに、この動力出力装置では、結合機構と保持機構とを共に結合させる直結状態を実現可能である。直結状態では、エンジンと電動機と電動発電機とからの動力を駆動軸から出力することができる。この場合には、動力出力装置から高い動力を得ることができる。これと共に、あるいは、これに代えて、直結状態では、エンジンからの動力のみを駆動軸から出力することができる。この場合には、電動機と電動発電機とを運転させる必要がないため、高い運転効率を得ることができる。すなわち、この動力出力装置では、ハイブリッド式の動力出力装置の動力や運転効率をさらに向上させることができる。
【0010】
本発明の動力出力装置は、より具体的には、2つの構成が挙げられる。エンジン側から駆動軸側に向けて、「エンジン、動力調整装置および保持機構、結合機構、電動機、駆動軸」の順に備えられた第1の構成と、「エンジン、電動機、結合機構、動力調整装置および保持機構、駆動軸」の順に備えられた第2の構成である。第1の構成において、結合機構を切り離した場合には、エンジンから出力された動力を動力調整装置によって電力に変換するとともに、該電力の供給を受けて電動機を力行するシリーズ式の動力出力装置が構成される。第2の構成において、結合機構を切り離した場合には、エンジンから出力された動力を電動機によって電力に変換するとともに、該電力の供給を受けて動力調整装置を力行するシリーズ式の動力出力装置が構成される。本発明はいずれの構成を採用するものとしても構わない。
【0011】
【0012】
【0013】
動力調整装置は、プラネタリギヤの作用に基づいて以下に示す動力の調整を行うことができる。プラネタリギヤは、遊星歯車とも呼ばれ、3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態が決定されると残余の回転軸の回転状態が一義的に決定される機械的性質を有している。プラネタリギヤに一の回転軸から動力が入力されると、該動力は電動発電機に伝達される動力と、残余の回転軸に伝達される動力とに分配される。電動発電機に伝達された動力は、電力として回生可能である。従って、上述の構成によれば、プラネタリギヤに入力された動力の一部を電力として回生することによって、機械的な動力として伝達される動力の大きさを低減することができる。また、電力を供給して電動発電機を力行すれば、プラネタリギヤに入力された動力を増して伝達することもできる。
【0014】
【0015】
先に説明した通り、プラネタリギヤには3つの回転軸がある。本発明の動力出力装置では、第1の回転軸は電動発電機、第2の回転軸は結合手段、第3の回転軸はエンジンの出力軸または駆動軸にそれぞれ結合されている。かかる結合状態において、結合手段が切り離された場合を考える。結合手段が切り離された状態では、第2の回転軸の回転状態は拘束されない。プラネタリギヤは2つの回転軸の回転状態が決定された場合に残余の回転軸の回転状態が決定される機械的性質を有しているから、第2の回転軸の回転状態が決まらない状況下では、第1の回転軸と第3の回転軸との間で動力をやりとりする場合、動力を受け取る側の回転軸の回転状態は決まらない。
【0016】
上述の保持機構によれば、プラネタリギヤの残余の2つの回転軸、即ち第2の回転軸と第3の回転軸とを結合する。このため、第2の回転軸の回転状態は第3の回転軸の回転状態に拘束され、一体的に回転する。この結果、第2の回転軸の回転状態が決定されるため、第1の回転軸と第3の回転軸との間での動力のやりとりが可能となる。なお、両回転軸を結合する手段としては、クラッチやギヤなど種々の方法を適用することができる。
【0017】
【0018】
本発明のハイブリッド車両は、駆動軸から動力を出力して走行可能なハイブリッド車両であって、
出力軸を有するエンジンと、
前記駆動軸に結合された電動機と、
前記出力軸と駆動軸との間に結合され、電力のやりとりによって両回転軸間で伝達される動力の大きさを調整可能な動力調整装置と、
前記動力調整装置と電動機との結合および切り離しを行う結合機構と、
前記切り離しが行われた場合における前記動力調整装置での電力と動力との変換を可能とする保持機構とを備え、
前記動力調整装置は、3つの回転軸を有するとともに、そのうちの2つの回転軸が前記出力軸および駆動軸に結合されたプラネタリギヤと、残余の回転軸に結合された電動発電機とを有し、
前記保持機構は、該プラネタリギヤの前記2つの回転軸を相互に結合することにより、該プラネタリギヤの全回転軸を一体的に回転させる機構であり、
前記ハイブリッド車両は、さらに、
前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態を含む複数の結合状態を実現するよう、前記結合機構および保持機構の動作を制御する制御部を備えることを要旨とする。
【0019】
かかるハイブリッド車両によれば、先に動力出力装置について説明したのと同様、パラレルハイブリッド車両とシリーズハイブリッド車両の双方の構成を実現することができる。従って、車両の走行状態等に応じて両者を適宜使い分けることにより、パラレルハイブリッド車両とシリーズハイブリッド車両の双方の利点を活かした運転を実現することが可能となる。さらに、このハイブリッド車両によれば、結合機構と保持機構とを共に結合さ せる直結状態を実現可能であるため、ハイブリッド車両の動力や運転効率をさらに向上させることができる。
【0020】
【0021】
【0022】
本発明の他のハイブリッド車両は、駆動軸から動力を出力して走行可能なハイブリッド車両であって、
出力軸を有するエンジンと、
前記駆動軸に結合された電動機と、
前記出力軸と駆動軸との間に結合され、電力のやりとりによって両回転軸間で伝達される動力の大きさを調整可能な動力調整装置と、
前記動力調整装置と電動機との結合および切り離しを行う結合機構と、
前記切り離しが行われた場合における前記動力調整装置での電力と動力との変換を可能とする保持機構とを備え、
前記動力調整装置は、3つの回転軸を有するとともに、そのうちの2つの回転軸が前記出力軸および駆動軸に結合されたプラネタリギヤと、残余の回転軸に結合された電動発電機とを有し、
前記保持機構は、該プラネタリギヤの前記2つの回転軸を相互に結合することにより、該プラネタリギヤの全回転軸を一体的に回転させる機構であり、
前記ハイブリッド車両は、さらに、
該車両の運転状態に関与した所定のパラメータを検出する検出手段と、
該検出結果に応じて前記結合機構および前記保持機構を制御して前記動力調整装置と前記電動機との結合状態を切り替える制御手段とを備える。
ここで、前記車両の運転状態は、車速および前記駆動軸から出力すべき要求トルクであり、前記制御手段は、該車速および要求トルクに基づいて予め設定された領域内において、前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態としてもよい。
また、前記車両の運転状態は、車速および前記駆動軸から出力すべき要求トルクであり、前記制御手段は、該車速および要求トルクに相当する動力を出力する場合の前記エンジンの運転効率が、前記動力調整装置による調整を行わなくても所定値以上となる条件が満たされる場合には、前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態としてもよい。
さらに、前記車両の運転状態は、前記駆動軸から出力すべき要求トルクであり、前記制御手段は、該要求トルクが所定値以上であるときは、前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態としてもよい。なお、「所定値」とはエンジンと電動機と電動発電機との三者からの動力を駆動軸に出力することによって実現可能な要求トルクに基づいて設定された値を意味する。
こうすれば、運転者に格別の負担を強いることなく、車両の運転状態に応じて適切な結合状態を使い分けることができ、パラレルハイブリッド車両とシリーズハイブリッド車両の利点を十分に活用することが可能となる。さらに、直結状態では、ハイブリッド車両の動力や運転効率をさらに向上させることができる。
【0023】
かかる制御手段を有するハイブリッド車両において、結合状態の切り替えは種々の制御態様で実現することができる。
第1の態様として、前記制御手段は、車両の運転状態に対し運転効率の高い結合状態を実現する手段であるものとすることができる。
【0024】
シリーズハイブリッド車両は、必要な動力を出力し得る運転状態のうち運転効率の良い状態を選択してエンジンを運転することができるため、車両の走行状態に関わらず比較的安定して高い運転効率を得ることができる。但し、エンジンから出力された動力を一旦電力に置換した後、電動機等によって再度機械的な動力に変換して駆動軸から出力するため、これらの変換に伴う損失が生じる。パラレルハイブリッド車両も運転効率の良い状態を選択してエンジンを運転することができるとともに、エンジンから出力された動力の一部を機械的な動力のままで駆動軸に伝達することができるため、シリーズハイブリッド車両よりも高い運転効率を得ることができる。但し、車両の走行状態によっては、以下に示す動力の循環が生じ、運転効率が低下することがある。
【0025】
最初に、電動機を駆動軸に結合した構成、即ちエンジン側から、「エンジン、動力調整装置および保持機構、結合機構、電動機、駆動軸」の順に備えられた第1の構成について動力の循環が生じる理由を説明する。図34は、かかるハイブリッド車両の構成例を示す説明図である。このハイブリッド車両では、動力調整装置としてプラネタリギヤPGと発電機Gとを組み合わせた機構を用いている。プラネタリギヤPGとは、遊星歯車とも呼ばれ中心で回転するサンギヤSG、サンギヤの周辺を自転しながら公転するプラネタリピニオンギヤPC、さらにその外周で回転するリングギヤRGの3つのギヤから構成されている。図34のハイブリッド車両では、エンジンのクランクシャフトCSはプラネタリキャリアPCに結合されている。発電機GはサンギヤSGに結合されている。電動機AMはリングギヤRGに結合されている。リングギヤRGは、駆動軸DSにも結合されている。
【0026】
かかるハイブリッド車両における動力の伝達の様子を図35および図36に基づいて説明する。図35はアンダードライブ時、即ちエンジンから出力された動力について、回転数とトルクの積を一定に維持した条件下で、回転数を低減するとともにトルクを増大して駆動軸DSから出力する状態での動力の流れを模式的に示す説明図である。エンジンから出力された動力PU1は、プラネタリギヤPGのギヤ比に応じて2つに分配される。サンギヤSGに結合された発電機Gの回転数およびトルクを制御することによって、リングギヤRGには目標回転数と一致した回転数の動力PU2が伝達される。アンダードライブ時には、目標回転数<エンジンの回転数であるから、動力PU2はエンジンから出力された動力PU1よりも小さい。サンギヤSGにはエンジンから出力された動力のうち残余の動力が伝達される。この動力は、サンギヤSGに結合された発電機Gにより電力EUとして回生される。この電力によって電動機AMを力行し、不足分のトルクを調整すると、要求された回転数およびトルクからなる動力PU3が駆動軸DSに出力される。
【0027】
図36はオーバードライブ時、即ちクランクシャフトCSの回転を増大するとともにトルクを低減して駆動軸DSから出力する状態での動力の流れを模式的に示す説明図である。このときは、エンジンEGから出力された動力PU1は、サンギヤSGに結合された発電機Gを力行することによって回転数が増速された動力PU3としてリングギヤRGに伝達される。次に、アシストモータAMで負荷を与えることにより、余剰のトルクを調整することによって、要求された回転数およびトルクからなる動力PU4が駆動軸DSに出力される。アシストモータAMでは動力PU4の一部を電力EU2として回生することによって負荷を与える。この電力EU2は発電機Gの力行に用いられる。
【0028】
両者を比較すると、アンダードライブ時では、エンジンから出力された動力が駆動軸DSに伝達される経路において、上流側に位置する発電機Gで回生された電力が下流側に位置する電動機AMに供給される。オーバードライブ時には、逆に、下流側に位置する電動機AMで回生された電力が上流側に位置する発電機Gに供給される。発電機Gに供給された電力は、再び機械的な動力として下流側に位置する電動機AMに伝達される。こうしてオーバードライブ時には、図示する通り、動力の循環γ1が生じる。かかる循環γ1が生じると、エンジンEGから出力された動力のうち、有効に駆動軸DSに伝達される動力が低減するため、ハイブリッド車両の運転効率は低下する。
【0029】
なお、駆動軸の回転数がエンジンの回転数よりも高い領域で必ず動力の循環が生じるとは限らない。プラネタリギヤのギヤ比によって動力の循環が生じ始める回転数の関係は相違する。本明細書では、電動機を駆動軸側に結合した構成において、駆動軸の回転数がエンジンの回転数よりも高い状態のうち、動力の循環が生じている状態をオーバードライブと呼ぶものとする。
【0030】
次に、電動機をエンジン側に結合した場合の構成、即ちエンジン側から「エンジン、電動機、動力調整装置、駆動軸」の順に備えるハイブリッド車両の構成を図37に示す。プラネタリギヤPGのサンギヤSGに発電機Gが結合され、プラネタリキャリアPCにエンジンのクランクシャフトが結合され、リングギヤRGに駆動軸DSが結合されている点では、図34の構成と同一である。図37の構成では、電動機AMがクランクシャフトに結合されている点で相違する。
【0031】
かかる構成のハイブリッド車両における動力の伝達の様子を図38および図39に示す。図38はアンダードライブ時の動力の伝達の様子を示し、図39はオーバードライブ時の動力の伝達の様子を示している。かかる構成では、電動機を駆動軸側に結合した場合とは逆の現象が起きる。アンダードライブ時には、下流側に位置する発電機Gで回生された電力EO1が上流側に位置する電動機AMに供給される。オーバードライブ時には、上流側に位置するアシストモータAMにより回生されたEO2が下流側に位置する発電機Gに供給される。従って、電動機をエンジンの出力軸に結合した状態では、アンダードライブ時に図39に示す動力の循環γ2が生じ、ハイブリッド車両の運転効率は低下する。本明細書では、電動機がエンジン側に結合された構成において、駆動軸の回転数がエンジンの回転数よりも低い状態のうち、動力の循環が生じる状態をアンダードライブと呼ぶものとする。
【0032】
このようにパラレルハイブリッド車両は、上述の第1の構成および第2の構成のいずれを採用しても、車両の走行状態によって動力の循環が生じ、運転効率が低下していた。本発明のハイブリッド車両によれば、かかる点に鑑み、車両の走行状態に応じて、シリーズハイブリッド車両の構成と、パラレルハイブリッド車両との構成との運転効率を比較し、より運転効率が高い構成で走行することが可能となる。従って、本発明のハイブリッド車両によれば、運転効率をより向上することが可能となる。
【0033】
第2の態様として、
前記検出手段は、シフトポジションが後退ポジションにあるか否かを検出する手段であり、
前記制御手段は、後退ポジションにあることが検出された場合に、前記結合機構の切り離しを行う手段であるものとすることができる。
【0034】
かかるハイブリッド車両は、シフトポジションが後退ポジションにある場合、即ち車両が後進すべき状態にあるときに、前記結合機構を切り離してシリーズハイブリッド車両の構成とする。かかる制御を行うことにより、以下に示す理由から、ハイブリッド車両は後進時に十分なトルクを出力して、かつ滑らかな走行を行うことが可能となる。
【0035】
既に説明した通り、パラレルハイブリッド車両は、エンジンから出力された動力の一部をそのまま駆動軸に出力することができる。エンジンは車両が前進中であるか後進中であるかに関わらず一方向に回転するのが通常である。従って、パラレルハイブリッド車両では、後進時にエンジンから出力される機械的な動力を逆転方向に変換して出力する必要がある。かかる変換は、動力調整装置および電動機の回転数を制御することにより不可能ではないが、エンジンから車両を前進させる方向に出力されるトルクを相殺する分、駆動軸から出力されるトルクが低くならざるを得ない。また、エンジン、動力調整装置、電動機の3者の精緻なバランスが要求されるため、例えばエンジンからのトルクに変動が生じた場合に駆動軸に出力されるトルク変動が生じやすく、乗り心地を損ねやすい。
【0036】
上述のハイブリッド車両によれば、後進時にシリーズハイブリッド車両の構成を採ることによって、エンジンから出力される動力が直接駆動軸に伝達されなくなる。後進時は駆動軸に結合された動力調整装置または電動機を逆転させることにより容易に制御することが可能となる。また、エンジンからのトルクを相殺する必要がないため、動力調整装置または電動機から十分な後進トルクを出力することが可能となる。
【0037】
第3の態様として、
前記検出手段は、停車中である否かを検出する手段であり、
前記制御手段は、停車中であることが検出された場合に、前記結合機構の切り離しを行う手段であるものとすることができる。
【0038】
かかるハイブリッド車両では、停車中に結合機構を切り離すことによって、シリーズハイブリッド車両の構成を採る。こうすることによって、上記ハイブリッド車両は、停車中にエンジンが始動または停止された場合、以下に示す通り、駆動軸にトルク変動が生じることを回避でき、乗り心地を大きく向上することができる。
【0039】
ハイブリッド車両は、バッテリの充電状態などに応じて停車中にエンジンを運転したり停止したりする。パラレルハイブリッド車両では、動力調整装置の機能によって停車中であっても駆動軸に動力を出力することなくエンジンを運転することができる。例えば、図34の構成では、エンジンから出力された動力のうちプラネタリギヤPGのリングギヤRGに伝達されるトルクを相殺するトルクをアシストモータAMから出力すればよい。この際、エンジンから出力された動力は、発電器Gによって電力として回生される。従って、停車中にエンジンを運転すれば、回生電力によってバッテリを充電することができる。バッテリが十分充電されている状態にある場合は、エンジンの運転を停止することにより、燃料の消費を抑制することができる。シリーズハイブリッド車両も同様の運転が可能である。
【0040】
ここで、パラレルハイブリッド車両の構成では、エンジンの始動および停止が行われると、駆動軸に伝達されるトルクが変動する。駆動軸に結合されたアシストモータAMをかかる変動に完全に追随して制御し、駆動軸に伝達されるトルクを相殺することは非常に困難である。従って、パラレルハイブリッド車両では、停車中にエンジンの始動または停止が行われると、車両の振動が生じ、乗り心地を損ねることがある。上述のハイブリッド車両によれば、停車中はシリーズハイブリッド車両の構成を採るため、エンジンの始動および停止にともなうトルク変動が駆動軸に伝達されることを回避することができ、停車中の乗り心地を大きく向上することができる。
【0041】
なお、第3の態様では、車両が停車中はバッテリの充電状態に関わらずシリーズハイブリッド車両の構成を採るものとしたが、車両が停車中であるという条件と、バッテリの充電容量が所定の範囲にあるとい条件の双方を満足する場合にシリーズハイブリッド車両の構成を採るものとしてもよい。所定の範囲とは、エンジンの始動および停止が行われる範囲となる。かかる制御を行えば、停車中であってもバッテリの充電状態によってはパラレルハイブリッド車両の構成を採ることができ、例えば、シリーズハイブリッド車両からパラレルハイブリッド車両への切り替えを経ることなく滑らかな加速が期待できる等の利点を得ることができる。
【0042】
第4の態様として、
前記検出手段は、前記エンジンのモータリングを行うべき運転状態にあるか否かを検出する手段であり、
前記制御手段は、該運転状態にあることが検出された場合に、前記結合機構の切り離しを行う手段であるものとすることができる。
【0043】
また、第5の態様として、
前記検出手段は、前記エンジンの運転を停止すべき運転状態にあるか否かを検出する手段であり、
前記制御手段は、該運転状態にあることが検出された場合に、前記結合機構の切り離しを行う手段であるものとすることができる。
【0044】
第4の態様および第5の態様によれば、エンジンのモータリング即ち始動および停止を行う場合にシリーズハイブリッド車両の構成を採ることができる。先に説明した通り、パラレルハイブリッド車両の構成において、エンジンの始動および停止を行えば、その際のトルク変動が駆動軸に伝達されるため、車両の振動が生じ、乗り心地を損ねることになる。上記ハイブリッド車両によれば、かかる場合にシリーズハイブリッド車両の構成を採ることによって、エンジンのトルク変動が駆動軸に伝達されることを回避できるため、エンジンの始動および停止時の乗り心地を大きく向上することができる。
【0045】
なお、第4の態様および第5の態様では、車両が停車中であるか否かに関わらず、エンジンの始動および停止時にはシリーズハイブリッド車両の構成を採るものとした。これに対して、車両が停車中または微速で走行している場合において、エンジンが始動または停止される時にのみシリーズハイブリッド車両の構成を採るものとしてもよい。車両が走行している際には運転者および乗員は車両の振動をそれほど敏感には感じないのが通常である。従って、車両が停車中または微速で走行している場合にのみシリーズハイブリッド車両の構成を採るものとすれば、パラレルハイブリッド車両の構成で走行中にエンジンの始動または停止が行われる度にシリーズハイブリッド車両への切り替えが生じることを回避でき、滑らかな走行を実現することができる利点がある。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
本発明のハイブリッド車両は、
該車両が走行するものとして予め設定された経路の状態について、車両の走行状態に関与する所定の情報を入力する経路情報入力手段を備え、
前記制御手段は、該経路情報をも考慮して前記切り替えを行う手段であるものとすることもできる。
【0064】
こうすれば、シリーズハイブリッド車両の構成とパラレルハイブリッド車両の構成とをより適切に使い分けることができ、滑らかな走行を実現することができる。例えば、ある時点での運転状態だけを考慮して、先に説明した種々の制御によって、シリーズハイブリッド車両の構成とパラレルハイブリッド車両の構成のいずれか適切な構成を選択した場合には、走行状態に応じて頻繁に構成が切り替えられる可能性もある。頻繁な切り替えは、乗り心地や運転に対する車両の応答性を損ねることになる。上述のハイブリッド車両によれば、将来、車両が走行する予定の経路情報を考慮して切り替えを行うことができるため、このような頻繁な切り替えによる弊害を抑制することができる。また、将来、電力の消費の増大が予想される場合には、予め蓄電に適した構成で運転することも可能である。
【0065】
経路情報としては、例えば、設定された経路が登坂路であるか否かに関する情報や、渋滞中であるか否かに関する情報、速度規制に関する情報などが挙げられる。例えば、登坂路に接近しているとの情報が得られた場合には、バッテリの充電に適したパラレルモードを優先して用いることが可能となる。また、経路上にカーブが存在することが検出された場合、減速時の渋滞していることが検出されている場合など、種々の情報に基づいてそれぞれ運転モードの頻繁な切り替えを抑制してハイブリッド車両を運転することができる。
【0066】
なお、「経路情報をも考慮して」とは、車両の走行状態によって定まる運転モードに関わらず経路情報に基づいて定まる運転モードを優先するものとすることができる。また、車両の走行状態と運転モードとの対応関係を経路情報に基づいて変更するものとすることもできる。即ち、経路情報に応じてシリーズモードを優先して適用する走行状態を拡張したり、パラレルモードを優先して適用する走行状態を拡張したりするものとしてもよい。また、経路情報に基づいて車両の走行状態に関与するパラメータを補正するものとしてもよい。その他、経路情報を反映した運転モードの種々の設定方法が含まれる。
【0067】
本発明は、以下に示す通り、ハイブリッド車両の制御方法として構成することもできる。
即ち、本発明の制御方法は、駆動軸から動力を出力して走行可能なハイブリッド車両の制御方法であって、
該ハイブリッド車両は、
出力軸を有するエンジンと、
前記駆動軸に結合された電動機と、
前記出力軸と駆動軸との間に結合され、電力のやりとりによって両回転軸間で伝達される動力の大きさを調整可能な動力調整装置と、
前記動力調整装置と電動機との結合および切り離しを行う結合機構と、
前記切り離しが行われた場合における前記動力調整装置での電力と動力との変換を可能とする保持機構とを備え、
前記動力調整装置は、3つの回転軸を有するとともに、そのうちの2つの回転軸が前記出力軸および駆動軸に結合されたプラネタリギヤと、残余の回転軸に結合された電動発電機とを有し、
前記保持機構は、該プラネタリギヤの前記2つの回転軸を相互に結合することにより、該プラネタリギヤの全回転軸を一体的に回転させる機構であり、
(a) 該車両の車速および前記駆動軸から出力すべき要求トルクを検出する工程と、
(b) 該車速および要求トルクが、予め設定された領域内にある場合には、前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態とする工程とを備えることを要旨とする。
【0068】
かかる制御方法によれば、結合機構と保持機構とを備えるハイブリッド車両の結合状態を適切に切り替えることが可能となり、パラレルハイブリッド車両とシリーズハイブリッド車両との利点を兼ね備えた運転を実現することができる。さらに、直結状態では、ハイブリッド車両の動力や運転効率をさらに向上させることができる。
【0069】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。(1)第1参考例の構成: はじめに、第1参考例の構成について図1を用いて説明する。図1は本参考例の動力出力装置を搭載したハイブリッド車両の概略構成を示す説明図である。このハイブリッド車両の動力系統は、次の構成から成っている。動力系統に備えられたエンジン150は通常のガソリンエンジンであり、クランクシャフト156を回転させる。エンジン150の運転はEFIECU170により制御されている。EFIECU170は内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、ROMに記録されたプログラムに従いCPUがエンジン150の燃料噴射料その他の制御を実行する。これらの制御を可能とするために、EFIECU170にはエンジン150の運転状態を示す種々のセンサが接続されている。その他のセンサおよびスイッチなどの図示は省略した。なお、EFIECU170は、制御ユニット190とも電気的に接続されており、制御ユニット190との間で種々の情報を、通信によってやりとりしている。EFIECU170は、制御ユニット190からエンジン150の運転状態に関する種々の指令値を受けてエンジン150を制御している。
【0070】
図1のハイブリッド車両では、動力系統として上流側からエンジン150と、モータ130,140とが備えられている。三者は、プラネタリギヤ120を介して機械的に結合されている。プラネタリギヤ120は、遊星歯車とも呼ばれ、中心で回転するサンギヤ121、サンギヤの周辺を自転しながら公転するプラネタリピニオンギヤ124、さらにその外周で回転するリングギヤ122から構成されている。プラネタリピニオンギヤ124はプラネタリキャリア123に軸支されている。図1のハイブリッド車両では、クランクシャフト156はプラネタリキャリア123に結合されている。モータ130はステータ133がケースに固定され、ロータ132がサンギヤ121に結合されている。モータ140はステータ143がケースに固定され、ロータ142がリングギヤ122に結合されている。リングギヤ122はディファレンシャルギヤを介して車軸116に結合されている。
【0071】
本参考例のハイブリッド車両の動力系統には、さらにリングギヤ122とモータ140との間の結合および切り離しを行うクラッチ160が備えられている。また、リングギヤ122を回転しないように保持するブレーキ162が、クラッチ160の上流側に備えられている。クラッチ160およびブレーキ162の動作は制御ユニット190により制御される。
【0072】
モータ130、140は、三相の同期モータであり、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ132、142と、回転磁界を形成するための三相コイルが巻回されたステータ133,143とを備える。モータ130、140はロータ132、142に備えられた永久磁石による磁界とステータ133,143の三相コイルによって形成される磁界との相互作用により回転駆動する電動機として動作し、場合によってはこれらの相互作用により三相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機としても動作する。なお、モータ130、140は、ロータ132、142とステータ133、143との間の磁束密度が円周方向に正弦分布する正弦波着磁モータを適用することも可能であるが、本参考例では、比較的大きなトルクを出力可能な非正弦波着磁モータを採用した。
【0073】
ステータ133、143はそれぞれ駆動回路191、192を介してバッテリ194に電気的に接続されている。駆動回路191、192は内部にスイッチング素子としてのトランジスタを複数備えたトランジスタインバータであり、制御ユニット190と電気的に接続されている。制御ユニット190が駆動回路191、192のトランジスタのオン・オフの時間をPWM制御するとバッテリ194を電源とする三相交流がステータ133、143の三相コイルに流れ、回転磁界が形成される。
【0074】
本参考例のハイブリッド車両の運転状態は制御ユニット190により制御されている。制御ユニット190もEFIECU170と同様、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、ROMに記録されたプログラムに従い、CPUが後述する種々の制御処理を行う。これらの制御を可能とするために、制御ユニット190には、各種のセンサおよびスイッチが電気的に接続されている。制御ユニット190に接続されているセンサおよびスイッチとしては、アクセルペダルの操作量を検出するためのアクセルペダルポジションセンサ165、シフトレバーの位置を検出するためのシフトポジションセンサ166、車軸116の回転数を検出する回転数センサ117、リングギヤ122に結合された回転軸の回転数を検出する回転数センサ118、プラネタリキャリア123に結合された回転軸の回転数を検出する回転数センサ119等が挙げられる。先に説明した通り、制御ユニット190は、EFIECU170とも電気的に接続されており、EFIECU170との間で種々の情報を、通信によってやりとりしている。制御ユニット190からエンジン150の制御に必要な情報をEFIECU170に出力することにより、エンジン150を間接的に制御することができる。逆にエンジン150の回転数などの情報をEFIECU170から入力することもできる。
【0075】
制御ユニット190は、クラッチ160およびブレーキ162の動作も制御している。本参考例のハイブリッド車両は、クラッチ160およびブレーキ162の動作に応じて動力系統の構成を大きく4通りに変更することができる。図2はかかる構成を一覧で示した説明図である。
【0076】
クラッチ160およびブレーキ162を共に作動状態とした場合の構成Aを図中の左上に示す。かかる構成では、リングギヤ122の回転がブレーキ162により制止される。クラッチ160を結合した状態では、リングギヤ122と車軸116とが直結されている。従って、構成Aでは車軸116の回転もブレーキ162により制止される。つまり、この結合状態は、車両の走行状態には採ることができず、停車中にのみ採ることが可能である。本参考例では、構成Aの結合状態は使用しない。
【0077】
ブレーキ162を作動状態としつつ、クラッチ160をオフとした場合の構成Bを図中の右上に示す。かかる構成では、構成Aと同様、リングギヤ122の回転がブレーキ162により制止される。但し、クラッチ160がオフとなっているため、車軸116は回転可能である。しかも、クラッチ160はモータ140よりも上流側に設けられているから、車軸116にはモータ140から動力を出力することができる。一方、プラネタリギヤ120の作用により、ブレーキ162によりリングギヤ122の回転が制止されても、モータ130が結合されたサンギヤ121およびエンジン150が結合されたプラネタリキャリア123は回転可能である。従って、構成Bでは、エンジン150から出力された動力をモータ130で電力として回生することが可能である。以上より、クラッチ160をオフとし、ブレーキ162をオンとした構成Bは、シリーズハイブリッド車両としての構成を有していることになる。
【0078】
次に、ブレーキ162をオフとしつつ、クラッチ160をオンにした構成Cを図中の左下に示す。この状態では、リングギヤ122は車軸116とともに回転可能である。かかる構成は、先にパラレルハイブリッド車両の例として図34で説明した構成と同じである。従って、本参考例のハイブリッド車両において、ブレーキ162をオフとし、クラッチ160をオンとした構成Cは、パラレルハイブリッド車両としての構成を有していることになる。
【0079】
最後に、ブレーキ162およびクラッチ160の双方をオフにした場合の構成Dを図中の右下に示す。この状態では、リングギヤ122は自由に回転することができる。また、クラッチ160がオフとなっているため、車軸116は回転可能である。また、車軸116にはモータ140から動力を出力することができる。但し、この場合には、エンジン150から出力された動力をモータ130で回生することができない。先に述べた通り、プラネタリギヤは、2つの回転軸の回転状態が決定されると、残余の回転軸の回転状態が決定されるという機械的性質を有している。構成Dでは、ブレーキ162をオフにしているため、リングギヤ122の回転状態が決定されない。エンジン150から動力を出力し、モータ130による回生を行うべくサンギヤ121に負荷を与えた場合を考えると、かかる負荷に抗してサンギヤ121と回転させる反力をリングギヤ122に加えることができないため、モータ130による回生を行うことができないのである。かかる点につき、プラネタリギヤの一般的動作とともに以下に詳しく説明する。
【0080】
プラネタリギヤ120の各ギヤの回転状態は、機構学上周知の次の計算式(1)によって求めることができるが、共線図と呼ばれる図により幾何学的に求めることもできる。
Ns=(1+ρ)/ρ×Nc−Nr/ρ;
Nc=ρ/(1+ρ)×Ns+Nr/(1+ρ);
Nr=(1+ρ)Nc−ρNs;
Tes=Tc×ρ/(1+ρ)=ρTer;
Ter=Tc/(1+ρ);
ρ=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数 ・・・(1);
【0081】
ここで、
Nsはサンギヤの回転数;
Tesはサンギヤに出力されるトルク;
Ncはプラネタリキャリアの回転数;
Tcはプラネタリキャリアのトルク;
Nrはリングギヤの回転数;
Terはリングギヤに出力されるトルク;
である。
【0082】
以下ではプラネタリギヤ120の作用について共線図に基づき説明する。図3に共線図の一例を示す。縦軸が各ギヤの回転数を示している。横軸は、各ギヤのギヤ比を距離的な関係で示している。サンギヤ121(図中のS)とリングギヤ122(図中のR)を両端にとり、位置Sと位置Rの間を1:ρに内分する位置Cをプラネタリキャリア123の位置とする。ρは上述の通り、リングギヤ122の歯数(Zr)に対するサンギヤ121の歯数(Zs)の比である。こうして定義された位置S,C,Rにそれぞれのギヤの回転数Ns,Ne,Nrをプロットする。プラネタリギヤ120は、このようにプロットされた3点が必ず一直線に並ぶという性質を有している。この直線を動作共線と呼ぶ。動作共線は2点が決まれば一義的に決まる。従って、動作共線を用いることにより、3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転数から残余の回転軸の回転数を求めることができる。
【0083】
また、プラネタリギヤ120では、各回転軸のトルクを動作共線に働く力に置き換えて示したとき、動作共線が剛体として釣り合いが保たれるという性質を有している。具体例として、プラネタリキャリア123に作用するトルクをTeとする。このとき、図3に示す通り、トルクTeに相当する大きさの力を位置Cで動作共線に鉛直下から上に作用させる。作用させる方向はトルクTeの方向に応じて定まる。また、リングギヤ122から出力されるトルクTrを位置Rにおいて動作共線に、鉛直上から下に作用させる。図中のTes,Terは剛体に作用する力の分配法則に基づいてトルクTeを等価な2つの力に分配したものである。「Tes=ρ/(1+ρ)×Te」「Ter=1/(1+ρ)×Te」なる関係がある。以上の力が作用した状態で、動作共線図が剛体として釣り合いがとれているという条件を考慮すれば、サンギヤ121に作用すべきトルクTm1,リングギヤ軸に作用すべきトルクTm2を求めることができる。トルクTm1はトルクTesと等しくなり、トルクTm2はトルクTrとトルクTerの差分に等しくなる。
【0084】
図2における構成D、即ちブレーキ162がオフとなっている状態を考える。この状態では、リングギヤ122は自由に回転することができる。図3の共線図において、リングギヤ122に対応するRの位置では一切トルクが加えられないことになる。かかる状態では、動作共線を剛体として釣り合いのとれた状態に保つことはできない。従って、図2における構成Dでは、モータ130による回生を行うことができない。もちろん、バッテリ194の充電状態に余裕があれば、モータ140に電力を供給して走行することが可能である。
【0085】
本参考例のハイブリッド車両は、プラネタリギヤ120の性質に基づき、適用可能なエンジン150の回転数に車速に応じた制限がある。例えば、図3の共線図において、リングギヤ122即ち車軸116がある回転数Nrで回転している場合を考える。つまり、リングギヤ122の回転状態が図3中のポイントPrで表される状態にある場合を考える。この場合において、エンジン150の回転数がNeのとき、共線図は既に説明した通り、図3中の実線で表される。
【0086】
一方、リングギヤ122がポイントPrで回転している場合において、エンジン150の回転数が図3中のポイントPeまで上昇した場合を考える。かかる場合の共線図は、図3中の破線で示された通りとなり、サンギヤ121はポイントPsで回転することになる。このとき、サンギヤ121は非常に高い回転数で回転する。
【0087】
一般にギヤには、破損を招かずに回転可能な回転数に上限値がある。ポイントPsはサンギヤ121についてかかる上限値を超える可能性がある。かかる場合には、エンジン150の回転数をポイントPeよりも低くする必要がある。このように、本参考例のハイブリッド車両は、リングギヤ122の回転数に応じて図4に示すようにエンジン150の回転数に制限が設けられている。エンジン150の回転数が低い場合には、サンギヤ121が高速で逆転する可能性があるため、エンジン150の回転数には上限値のみならず下限値も存在する。
【0088】
(2)運転制御処理:
次に、本参考例のハイブリッド車両の運転制御処理について説明する。先に説明した通り、本参考例のハイブリッド車両は、シリーズハイブリッド車両としての構成(以下、シリーズモードと呼ぶ)、パラレルハイブリッド車両としての構成(以下、パラレルモードと呼ぶ)を切り替え、種々の運転モードにより走行することができる。制御ユニット190内のCPU(以下、単に「CPU」という)は車両の運転状態に応じて運転モードを判定し、それぞれのモードについてエンジン150、モータ130、140およびクラッチ160、ブレーキ162等の制御を実行する。これらの制御はCPUが運転制御処理ルーチンを周期的に実行することにより行われる。
【0089】
図5は運転制御処理ルーチンのフローチャートである。この処理が開始されると、CPUはまず運転モード切り替え処理を実行する(ステップS100)。運転モード切り替え処理のフローチャートを図6に示す。
【0090】
運転モード切り替え処理ルーチンでは、CPUは車両の運転状態に関与する種々のパラメータを読み込む(ステップS102)。かかるパラメータとしては、シフトポジション、車速、要求トルク、バッテリ残容量、エンジン運転状態などがある。シフトポジションは、シフトポジションセンサ166により検出される。車速は、車軸の回転数センサ117により検出される。要求トルクは、アクセルペダルポジションセンサ165により検出されたアクセルペダルポジションと車速に基づいて算出することができる。バッテリの残容量は、残容量センサにより検出される。エンジン運転状態とは、エンジン150が現在運転されているか否かを意味しており、EFIECU170との通信により検出することができる。
【0091】
こうして検出された運転状態に基づき、予め設定された条件に従ってCPUは運転モードを順次判定する。まず、シフトポジションがRポジション、即ち後進位置にあるか否かを判定する(ステップS104)。Rポジションにある場合には、シリーズモードを選択する(ステップS130)。
【0092】
シフトポジションがRポジションでない場合には、次に車速および要求トルクで定まる走行状態がシリーズ領域に入っているか否かを判定する(ステップS106)。シリーズ領域とは、ハイブリッド車両が走行可能なトルクおよび車速の組み合わせのうち、シリーズモードで走行すべきとして設定された領域をいう。本参考例における設定例を図7に示す。
【0093】
図中の曲線LIMはハイブリッド車両が走行可能な領域を示している。図中のハッチングを付した領域がパラレルモードで走行すべき領域を意味しており、その他の領域がシリーズモードで走行すべき領域を意味している。破線Aは後述する動作曲線である。図示する通り、要求トルクが比較的低い領域および車両が停車中ではシリーズモードを適用するように設定されている。車速およびトルクが所定値以上の領域では、パラレルモードでの走行を行う。本参考例では、かかる設定がマップとして制御ユニット190内のROMに記憶されている。CPUは、ステップS106において、車速および要求トルクに基づいてかかるマップを参照して、ハイブリッド車両の運転モードを設定するのである。シリーズモードで運転すべき領域にあると判定された場合には、運転モードとしてシリーズモードを選択する(ステップS130)。
【0094】
車両の走行状態がシリーズ領域にない場合には、CPUはエンジン150の始動および停止を行うべき状態にあるか否かを判定する(ステップS120)。例えば、エンジン150が停止している場合において、バッテリ194の残容量が所定値以下になった場合には、エンジン150を始動しモータ130で発電してバッテリ194の充電を行う必要がある。逆にエンジン150が運転している場合においてバッテリ194の残容量が所定値以上になった場合には、エンジン150の運転を停止しモータ130での発電を停止してバッテリ194の過充電を防ぐ必要がある。このようにCPUは主にバッテリ194の充電状態および現在のエンジン150の運転状態に基づき、エンジン150の始動および停止を行うべきか否かを判定する。エンジン150の始動および停止を行うべき運転状態にある場合には、シリーズモードを選択する(ステップS130)。
【0095】
本参考例のハイブリッド車両は、パラレルモードにおいてエンジン150の始動および停止を行うことも可能であるため、エンジン150の始動および停止を行うべき運転状態を考慮せずに運転モードを設定することも可能ではある。但し、パラレルモードではエンジン150の始動および停止をするためにモータ130から出力されるトルクがリングギヤ122を介して車軸116にも出力されるため、トルクショックを生じやすい。原理的にはモータ140を制御して、トルクショックを相殺することも可能ではあるが、エンジン150の始動および停止時にリングギヤ122に出力されるトルクの変動に追随してモータ140を制御し、トルクショックを完全に相殺することは困難である。本参考例では、エンジン150の始動および停止時にはシリーズモードを取るものとすることによって、かかるトルクショックが生じることを回避している。
【0096】
以上で示した判定条件のいずれも満たしていない場合には、パラレルモードを選択する(ステップS122)。なお、本参考例において、このように運転モードを設定している理由については後述する。
【0097】
パラレルモードが指定された場合には、従前の構成がシリーズモードであるか否かに応じてモード変更すべきか否かを判定する(ステップS124)。従前の構成がシリーズモードである場合には、パラレルモードへの切り替えを行う(ステップS126)。従前の構成がパラレルモードである場合には、この処理をスキップする。
【0098】
シリーズモードが指定された場合も同様に、従前の構成がパラレルモードであるか否かに応じてモード変更すべきか否かを判定し(ステップS132)、従前の構成がパラレルモードである場合にはシリーズモードへの切り替えを実行する(ステップS134)。従前の構成がシリーズモードである場合には、この処理をスキップする。
【0099】
なお、パラレルモードとシリーズモードの切り替えは、本参考例では、図2中の構成Dを経て行われる。例えば、パラレルモード(図2の構成C)からシリーズモード(図2の構成B)への切り替えを行う場合には、一旦クラッチ160をオフにして、ブレーキ162とクラッチ160の双方がオフの状態(構成D)とする。その後、ブレーキ162をオンとしてシリーズモード(構成B)に至る。シリーズモード(構成B)からパラレルモード(構成C)への切り替え時も同様に、一旦ブレーキ162をオフにして構成Dとした後、クラッチ160をオンにしてパラレルモード(構成C)に至る。
【0100】
クラッチ160とブレーキ162のオン・オフを同時に制御するものとしても構わないが、両者の制御のタイミングによっては瞬間的にクラッチ160およびブレーキ162の双方がオンの状態(構成A)となる可能性もある。走行中にかかる構成に至ると車軸116に大きなトルクショックが生じる可能性がある。本参考例では、このように構成Dを経て切り替えることによって、かかるショックを未然に防止している。
【0101】
以上の処理により、運転モードの切り替えを終了すると、CPUは運転制御処理(図5)に戻る。運転モードが設定された後は、車軸116から要求された動力を出力するための制御処理を実行する。この制御内容は、エンジン150の始動および停止モードであるか否かに応じて異なる。従って、CPUはエンジン150の始動および停止を行うべき状態か否かを判断する(ステップS200)。この判断内容は、運転モード切り替え処理(図6)のステップS120における判断と同様である。エンジン150の始動および停止を行うべき状態でないと判断された場合には、通常の走行状態に当たる場合に車軸116から動力を出力するための処理としてトルク制御処理を実行する(ステップS300)。その他の場合には、車軸116から動力を出力しつつ、エンジン150の始動および停止をも行うための始動・停止制御処理を実行する(ステップS400)。
【0102】
まず、トルク制御処理の内容について説明する。図8は、トルク制御ルーチンの内容を示すフローチャートである。パラレルモードおよびシリーズモードでも同様の処理によって制御される。但し、後述する通り、モードの相違によって、エンジン150、モータ130、140の運転ポイントの設定内容は相違する。もちろん、運転ポイントの設定方法に応じてそれぞれ異なるトルク制御ルーチンを用意するものとしても構わない。
【0103】
この処理が開始されるとCPUは駆動軸、つまり車軸116から出力すべきエネルギPdを設定する(ステップS302)。この動力は、アクセルペダルポジションセンサ165により検出されたアクセルの踏み込み量に基づいて設定される。駆動軸から出力すべきエネルギPdは、車軸116の目標回転数Nd*とトルクTd*の積で表される。フローチャートには図示を省略したが、駆動軸から出力すべきエネルギPdの設定とともに車軸116の目標回転数Nd*および目標トルクTd*の組み合わせも設定されている。
【0104】
次に、充放電電力Pbおよび補機駆動エネルギPhを算出する(ステップS304,S206)。充放電電力Pbとは、バッテリ194の充放電に要するエネルギであり、バッテリ194を充電する必要がある場合には正の値、放電する必要がある場合には負の値を取る。補機駆動エネルギPhとは、エアコンなどの補機を駆動するために必要となる電力である。こうして算出された電力の総和が要求動力Peとなる(ステップS308)。
【0105】
なお、トルク制御ルーチンでは、単位時間当たりのエネルギ収支を考慮してエンジン150等の制御を実行する。従って、本明細書でエネルギという場合は、全て単位時間当たりのエネルギを意味するものとする。この意味で、本明細書においては、機械的なエネルギは動力と同義であり、電気的なエネルギは電力と同義である。また、説明の容易のため、車軸116とリングギヤ122との間には変速機は設けられていないものとする。つまり、車軸116の回転数およびトルクは、リングギヤ122の回転数およびトルクと等しいものとする。
【0106】
次に、CPUは、こうして設定された要求動力Peに基づいてエンジン150の運転ポイントを設定する(ステップS310)。運転ポイントとは、エンジン150の目標回転数Neと目標トルクTeの組み合わせをいう。エンジン150の運転ポイントは、予め定めたマップに従って、基本的にはエンジン150の運転効率を優先して設定する。
【0107】
図9はかかるマップの例である。図9はエンジンの回転数Neを横軸に、トルクTeを縦軸に取り、エンジン150の運転状態を示している。図中の曲線Bはエンジン150の運転が可能な限界範囲を示している。曲線α1からα6まではエンジン150の運転効率が一定となる運転ポイントを示している。α1からα6の順に運転効率は低くなっていく。また、曲線C1からC3はそれぞれエンジン150から出力される動力(回転数×トルク)が一定となるラインを示している。
【0108】
エンジン150は図9に示す通り、回転数およびトルクに応じて、運転効率が大きく相違する。エンジン150から曲線C1に相当する動力を出力する場合には、図9中のA1点に相当する運転ポイント(回転数およびトルク)でエンジン150を運転するときが最も運転効率が高くなる。同様に曲線C2およびC3に相当する動力を出力する場合には図9中のA2およびA3点で運転する場合が最も効率が高くなる。出力すべき動力ごとに最も運転効率が高くなる運転ポイントを選択すると、図9中の曲線Aが得られる。これを動作曲線と呼ぶ。なお、この曲線Aは先に図7に示した曲線Aと同じである。動作曲線Aは、予め実験または解析によって設定され、制御ユニット190内のROMにマップとして記憶されている。
【0109】
図8のステップS310における運転ポイントの設定では、上述のマップから要求動力Peに応じた運転ポイントを読み込むことで、エンジン150の目標回転数Neおよび目標トルクTeを設定する。こうすることにより、効率の高い運転ポイントを設定することができる。エンジン150の運転ポイントの設定は、シリーズモードおよびパラレルモードの場合で同じである。
【0110】
次にCPUはモータ130、140のトルクおよび回転数の指令値を設定する(ステップS312)。これらの指令値は、シリーズモードとパラレルモードとで相違する。
【0111】
シリーズモードの場合には、車軸116に要求される動力を全てモータ140で出力する。従って、モータ140の目標回転数N2および目標トルクT2は車軸116の目標回転数Nd*および目標トルクTd*と一致する。先に説明した通り、本参考例のハイブリッド車両は、シフトポジションが後進位置にある場合はシリーズモードとなる。従って、シリーズモードでは、目標回転数Nd*は後進方向、即ち負の値となる場合もある。かかる場合であってもモータ140の設定値は車軸116の目標回転数Nd*および目標トルクTd*と一致することに変わりはない。
【0112】
一方、モータ130の運転ポイントは、エンジン150の回転状態がステップS310で設定された目標回転数Ne、目標トルクTeとなるように設定される。即ち、先に示した式(1)において、リングギヤ122の回転数Nrに値0、プラネタリキャリア123の回転数NcおよびトルクTcにエンジン150の目標回転数Neおよび目標トルクTeを代入し、サンギヤ121の回転数Ns、トルクTsを求めることによってモータ130の目標回転数N1、トルクT1は次の通り設定される。
N1=(1+ρ)/ρ×Ne;
T1=Tc×ρ/(1+ρ);
【0113】
パラレルモードの場合には、リングギヤ122の回転数Nrが車軸116の目標回転数Nd*と一致するように、モータ130、140の目標回転数が設定される。モータ140は車軸116と同じ回転数で回転する。従ってモータ140の目標回転数N2は車軸116の目標回転数Nd*と一致する。モータ130の目標回転数N1は先に示した式(1)において、リングギヤ122の回転数Nrに車軸116の目標回転数Nd*、プラネタリキャリア123の回転数Ncにエンジン150の目標回転数Neを代入することによって、次の通り設定される。
N1=(1+ρ)/ρ×Ne−Nd*/ρ;
【0114】
また、モータ130、140の目標トルクT1,T2は、それぞれ車軸116に出力されるトルクが要求トルクTd*と一致するように設定される。先に示した式(1)によれば、エンジン150からトルクTeが出力されるとき、リングギヤ122のトルクTrおよびサンギヤ121のトルクTsはそれぞれ次の通り求められる。
Ts=Te×ρ/(1+ρ);
Tr=Te/(1+ρ);
【0115】
従って、エンジン150を目標の運転ポイントTeで運転することができるよう、サンギヤ121のトルクTsに相当する負荷を与えるようにモータ130の目標トルクT1が設定される。具体的には、T1=−Tsである。また、モータ140の目標トルクT2はエンジン150からリングギヤ122に伝達されるトルクを補償して要求トルクTd*が得られるように設定される。具体的には、「T2=Td*−Tr」である。
【0116】
以上の処理により、モータ130、140の運転ポイントが設定されたことになる。なお、本参考例のハイブリッド車両は、それぞれの運転モードにおいてエンジン150を停止したまま走行することも可能である。かかる場合には、エンジン150の回転数Ne、トルクTeを値0とすることにより、モータ130、140の運転ポイントを設定することができる。
【0117】
こうして設定されたトルク指令値および回転数指令値に基づいて、CPUはモータ130、140、エンジン150の運転を制御する(ステップS314)。モータの運転制御処理は、同期モータの制御として周知の処理を適用することができる。本参考例では、いわゆる比例積分制御による制御を実行している。つまり、各モータの現在の回転数を検出し、目標回転数との偏差に基づいて、各相に印加する電圧指令値を設定する。印加される電圧値は上記偏差の比例項、積分項、累積項によって設定される。それぞれの項にかかる比例係数は実験などにより適切な値が設定される。こうして設定された電圧は、駆動回路191,192を構成するトランジスタインバータのスイッチングのデューティに置換され、いわゆるPWM制御により各モータに印加される。
【0118】
CPUは駆動回路191,192のスイッチングを制御することによって、上述の通り、モータ130、モータ140の運転を直接制御する。これに対し、エンジン150の運転は現実にはEFIECU170が実施する処理である。従って、制御ユニット190のCPUはEFIECU170に対してエンジン150の運転ポイントの情報を出力することで、間接的にエンジン150の運転を制御する。こうして、本参考例のハイブリッド車両は、通常の走行時に要求された回転数およびトルクからなる動力を車軸116から出力して走行することができる。
【0119】
次に、図5のステップS400のエンジンの始動・停止処理について説明する。図10は、始動・停止制御ルーチンのフローチャートである。この処理が開始されると、CPUは車軸116からの出力エネルギPdを算出する(ステップS402)。出力エネルギPdの算出方法は、トルク制御ルーチン(図8)のステップS302〜S308で説明した処理と同様である。
【0120】
CPUは、こうして設定された駆動軸出力エネルギPdに基づいてモータ130,140の運転ポイントを設定する(ステップS404)。先に運転モード切り替え処理ルーチン(図6)で示した通り、本参考例のハイブリッド車両は、エンジン150の始動および停止を行うときは、シリーズモードとしている。従って、モータ140の目標回転数N2、目標トルクT2は、車軸116の目標回転数Nd*および目標トルクTd*と一致する。
【0121】
一方、モータ130の目標回転数N1および目標トルクT1は、エンジン150の始動および停止を行うための運転ポイントに設定される。例えば、エンジン150を始動する場合、エンジン150のモータリングに必要なトルクがプラネタリキャリア123に出力されるようにモータ130の目標トルクを設定する。また、エンジン150の回転数が始動時に定められた所定のシーケンスで上昇するようにモータ130の目標回転数N1を設定する。逆にエンジン150を停止する場合、エンジン150の回転を制動するのに必要なトルクがプラネタリキャリア123に出力されるようにモータ130の目標トルクを設定する。また、停止時の回転数が所定のシーケンスで低下するようにモータ130の目標回転数N1を設定する。先に示した式(1)において、プラネタリキャリア123の回転数Nc、トルクTcにモータリング時の回転数、トルクを代入することによってモータ130の目標回転数およびトルクを設定することができる。
【0122】
なお、運転モード切り替え処理(図6)の内容によっては、パラレルモードにおいてエンジン150の始動および停止を行うように設定することも可能である。かかる場合には、エンジン150を始動および停止する際のシーケンスとして設定された回転数をエンジン150の目標回転数Neとし、始動および停止の際にプラネタリキャリア軸に出力されるべきトルクに負号を付した値をエンジン150の目標トルクTeとすることによって、先に説明したパラレルモードにおけるモータ130,140の運転ポイントの設定方法と同じ方法でそれぞれの運転ポイントを設定することができる。
【0123】
以上の処理により、エンジン150の始動・停止を行う際の運転ポイントが設定された。CPUは、これらの設定に基づき、モータ130,140およびエンジン150の運転を制御する(ステップS406)。モータ130,140の制御は、先にトルク制御ルーチンで説明したのと同様である。エンジン150の制御も、CPUがEFIECU170との通信により間接的にエンジン150を制御するという点ではトルク制御ルーチンと同様である。ここでは、EFIECU170が実行するエンジン150の制御内容が相違している。例えば、エンジン150を始動する場合には、エンジン150の回転数がモータリングにより予め定めた所定の回転数まで上昇した時点で燃料を噴射し、点火する制御を行う。エンジン150を停止する場合には、エンジン150の燃料噴射を禁止する制御を行う。こうして、本参考例のハイブリッド車両は、要求された回転数およびトルクからなる動力を車軸116から出力しつつ、エンジン150の始動および停止を行って走行することができる。
【0124】
CPUは、こうしてトルク制御処理または始動・停止制御処理を終了すると、運転制御ルーチン(図5)に戻り、次に共振抑制制御処理を実行する(ステップS500)。
【0125】
図11は、共振抑制制御処理のフローチャートである。この処理は、プラネタリギヤ120の回転軸に生じるねじれ共振を抑制するための制御である。共振を生じやすい回転軸が運転モードに応じて異なるため、運転モードに応じて処理内容が分かれている。
【0126】
この処理が開始されるとCPUは、シリーズモードであるか否かを判定する(ステップS502)。先に説明した通り、運転モードに応じて処理内容が相違するためである。
【0127】
シリーズモードである場合には、次にプラネタリキャリア123に結合された回転軸(以下、プラネタリキャリア軸と呼ぶ)が共振しているか否かを検出する(ステップS504)。プラネタリキャリア軸の回転数をセンサ119により検出し、検出結果をバンドパスフィルタを通して処理することにより、回転数が共振を生じる帯域に入っているか否かを検出する。プラネタリキャリア軸の共振は、エンジン150の始動および停止時に生じやすい。
【0128】
プラネタリキャリア軸が共振していないと判断された場合には、共振を抑制するための処理は不要であるため、共振抑制制御処理ルーチンを終了する。共振していると判断された場合には、CPUは共振経過時間を求める(ステップS506)。共振経過時間とはプラネタリキャリア軸の回転数が共振帯域に入ってからの経過時間を意味する。
【0129】
次に、CPUはこうして求められた共振経過時間に基づいてブレーキ162の油圧を設定する(ステップS508)。本参考例では、共振経過時間とブレーキ162の油圧との関係が予めテーブルとして設定され制御ユニット190のROMに記憶されている。CPUは、ステップS508において、かかるテーブルを参照してブレーキ162の油圧を設定するのである。
【0130】
図12は、本参考例におけるブレーキ油圧の設定例を示す説明図である。共振経過時間の増加とともにブレーキ油圧が初期値Biから終端値Bfまで変化するように設定されている。本参考例では、図示する通り、共振経過時間がt1に至るまでは初期値Biを維持し、その後、徐々にブレーキ油圧を低減して、時間t2において終端値Bfに至るように設定されている。
【0131】
ブレーキ油圧はシリーズモードにおいて、リングギヤ122の回転を拘束するトルクに比例する。このようにブレーキ油圧を低減すると、油圧に応じて、リングギヤ122を拘束するトルクが低下し、回転可能となる。従って、先に示した式(1)から明らかな通り、モータ130からプラネタリキャリア軸に出力されるトルクが低減する。プラネタリキャリア軸の共振はモータ130から出力されるトルクがエンジン150の慣性力に比して大きすぎることによって生じる弾性振動であるため、モータ130からのトルクを低減することによって共振を抑制することができる。
【0132】
本参考例では、かかる観点からプラネタリキャリア軸の共振を抑制することができる程度にブレーキ油圧を低減している。その終端値Bfは以下の条件に基づいて設定されている。第1に値Bfはプラネタキャリア軸がねじれ共振によって破断する最大トルク、即ちプラネタリキャリア軸のねじれ強さに相当するトルクが出力されるブレーキ油圧Btb以下に設定される。図12では、初期値Biがかかるブレーキ油圧Btbを超えているが、これは共振が生じた瞬間にねじれによる破断が生じる訳ではないことに基づくものであり、初期値Biを上述のブレーキ油圧Btb以下に設定するものとしても構わない。
【0133】
第2の条件として終端の値Bfは車両の振動が生じなくなる限界値Bos以下に設定される。プラネタリキャリア軸に共振が生じた場合、動力系統は車両に固定されているため、車両全体に振動が生じる。かかる振動は共振が弱くなるにつれて低減する。限界値Bosは予め実験等によって設定された値であり、乗員が許容できる程度に車両の振動が抑えられる限界の上限のブレーキ油圧を意味する。
【0134】
第3の条件として、終端の値Bfは、エンジン150のモータリングおよび停止に必要なトルクをプラネタリキャリア軸に出力可能な下限値Bminよりも大きい値に設定される。プラネタリキャリア軸の共振はエンジン150の始動および停止時に生じる。ブレーキ油圧の終端値Bfを上述の下限値Bmin以上に設定しておくことにより、共振抑制制御が実行された場合でもエンジン150の始動および停止を継続することができる。エンジン150の始動および停止に必要となるトルクは比較的低いため、プラネタリキャリア軸の破断や車両の極端な振動を招くことなく終端の値Bfを設定することができる。このように図12のマップに従って、ブレーキ162の油圧が設定されると、CPUは該設定値にブレーキ162の油圧を低減する(ステップS510)。
【0135】
なお、図12では、ブレーキ162の油圧を時間t1〜t2の間で直線的に減らしているが、かかる設定に限られず、非線形に変化させるものとしても構わない。また、単調減少にする必要もなく、例えば、ブレーキ油圧を一旦大きく減じてから、やや増加させた状態で維持するものとしても構わない。
【0136】
一方、ステップS502においてパラレルモードであると判定された場合には、CPUはリングギヤ122に結合された回転軸(以下、リングギヤ軸と呼ぶ)が共振しているか否かを判定する(ステップS512)。共振の判定は、プラネタリキャリア軸の場合(ステップS504)と同様、リングギヤ軸の回転数をセンサ118により検出し、バンドパスフィルタで処理することによって検出する。リングギヤ軸の共振は、急発進または急制動された場合に生じやすい。
【0137】
リングギヤ軸が共振していないと判断された場合には、共振を抑制するための処理は不要であるため、共振抑制制御処理ルーチンを終了する。共振していると判断された場合には、CPUは共振経過時間を求める(ステップS514)。共振経過時間とはリングギヤ軸の回転数が共振帯域に入ってからの経過時間を意味する。
【0138】
次に、CPUはこうして求められた共振経過時間に基づいてクラッチ160の油圧を設定する(ステップS516)。本参考例では、共振経過時間とクラッチ160の油圧との関係が予めテーブルとして設定され制御ユニット190のROMに記憶されている。CPUは、ステップS516において、かかるテーブルを参照してクラッチ160の油圧を設定するのである。
【0139】
図13は、本参考例におけるクラッチ油圧の設定例を示す説明図である。共振経過時間の増加とともにクラッチ油圧が初期値Ciから終端値Cfまで変化するように設定されている。本参考例では、図示する通り、共振経過時間がt3に至るまでは初期値Ciを維持し、その後、徐々にクラッチ油圧を低減して、時間t4において終端値Cfに至るように設定されている。
【0140】
クラッチ油圧を低減すると、油圧に応じて、リングギヤ軸に付加されるトルクが低下する。リングギヤ軸の共振は車軸116からリングギヤ軸に付加されるトルクがエンジン150およびモータ130の慣性力に比して大きすぎることによって生じる弾性振動であるため、車軸116から伝達されるトルクを低減することによってリングギヤ軸の共振を抑制することができる。
【0141】
本参考例では、かかる観点からリングギヤ軸の共振を抑制することができる程度にクラッチ油圧を低減している。その終端値Cfはブレーキ油圧と同様、リングギヤ軸がねじれ共振によって破断する最大トルク、即ちリングギヤ軸のねじれ強さに相当するトルクが伝達されるクラッチ油圧Ctb以下に設定され、また、モータ130による回生制動が可能なトルクを伝達できるクラッチ油圧Cmin以上に設定されている。車両の制動時には、モータ140を回生運転して車両の運動エネルギを電力として回収することが可能であるが、クラッチ油圧をCmin以上に設定することにより、モータ130による回生制動も行うことが可能となり、より効率的に運動エネルギを回収することができる。このように図13のマップに従って、クラッチ160の油圧が設定されると、CPUは該設定値にクラッチ160の油圧を低減する(ステップS510)。
【0142】
なお、リングギヤ軸の共振は、急発進および急制動時に生じるため、図13ではブレーキ油圧の設定とは異なり、車両の振動を生じないための上限値を考慮していないが、かかる上限値を考慮して設定するものとしても構わないことはいうまでもない。
【0143】
本参考例では、エンジン150の始動および停止時はシリーズモードを選択するよう設定されているため、パラレルモード時にはプラネタリキャリア軸の共振を抑制する制御を実行していない。これに対し、パラレルモードでもエンジン150の始動および停止が行われるように運転モードが設定されている場合には、ステップS504〜S510で示した処理をパラレルモードにおいても実行するものとしてもよい。
【0144】
以上の処理を周期的に実行することにより、本参考例のハイブリッド車両は、エンジン150から出力された動力を所望の回転数およびトルクに変換して駆動軸から出力し、走行することができる。また、エンジンの始動および停止を行うこともできる。さらに、プラネタリキャリア軸やリングギヤ軸に生じる共振を抑制することもできる。
【0145】
次に、車両の走行状態と運転モードとの関係(図7)の設定方法について説明する。本参考例では、第1に停車中も含めて比較的車速およびトルクが低い領域(図7中の領域S1)および後進領域をシリーズモードとしている。また、車速が高い部分でも比較的低トルクの領域(図7中の領域S2)をシリーズモードとしている。
【0146】
一般にハイブリッド車両は、緩やかに発進するときにはモータの動力によって発進する。こうすることにより、燃費の悪い状態でエンジン150を運転することが回避でき、また車両を滑らかに発進することができる等の利点がある。本参考例のハイブリッド車両もかかる利点を活かすため、モータの動力のみを利用して発進する。モータからの動力のみを利用する場合には、シリーズモードの構成の方が制御が容易である。本参考例では、かかる観点からモータのみの動力を用いて走行する領域、即ち図7中の領域S1をシリーズモードの領域に設定している。この領域の範囲は、具体的にはモータ140から出力可能なトルクの大きさ等に基づいて設定することができる。
【0147】
領域S1および後進領域をシリーズモードに設定することにより、本参考例のハイブリッド車両は次に示す種々の利点を有している。第1にエンジン150の始動および停止時における利点である。ハイブリッド車両は発進後、加速するにつれてエンジン150を始動し、エンジン150からの動力も利用して走行をする。本参考例では、先に説明した通り、エンジン150の始動時にはシリーズモードとなるよう設定して、トルクショックを回避している。モータ140の動力を利用して走行する領域からエンジン150の動力を利用する領域への過渡領域を包含するように領域S1を設定することにより、エンジン150の始動時に運転モードの切り替えをすることなく、エンジン150を始動することができる。エンジン150の運転を停止する際も同様の利点を得ることができる。
【0148】
第2に停車中にエンジン150の始動および停止が行われた場合における利点である。本参考例のハイブリッド車両は、停車中であっても、バッテリ194の充電状態に応じてエンジン150を運転したり停止したりする。エンジン150を運転してモータ130により発電を行いバッテリ194を充電することは、シリーズモードおよびパラレルモードの双方の構成において可能である。但し、パラレルモードではエンジン150の始動および停止時に車軸116に出力されるトルクを完全には相殺できず、トルクショックが生じる可能性がある。かかるトルクショックは停車中や微速で走行している場合には、運転者および乗員に特に敏感に感じとられる。本参考例では、停車中および微速で走行している場合において、シリーズモードとなるよう領域S1を設定することにより、かかるトルクショックを回避することができ、ハイブリッド車両の乗り心地を向上している。
【0149】
次に、車速が高い部分でも比較的低トルクの領域(図7中の領域S2)をシリーズモードとしている理由について説明する。かかる領域はシリーズモードとパラレルモードの運転効率に基づいて設定されている。図14は、両者の運転効率を比較して示した説明図である。ここでは、図7中のある車速Vにおいて、要求トルクが変化した場合の運転効率、即ち図7中の直線Lに沿った運転効率の変化を示している。
【0150】
既に図34〜図36を用いて説明した通り、パラレルモードではアンダードライブ走行時に運転効率が高く、オーバードライブ走行時には動力の循環が生じるため、運転効率が低下する。アンダードライブ走行とは、エンジン150から出力された動力を、回転数が低くトルクが高い状態に変換して出力する走行状態である。オーバードライブ走行とは、エンジン150から出力された動力を、回転数が高くトルクが低い状態に変換して出力する走行状態である。従って、パラレルモードでは、図14に示す通り、比較的高いトルクが要求されている領域で運転効率が高く、動力の循環が生じるようになるトルクTa以下の領域で運転効率が低くなる。
【0151】
また、パラレルモードでは先に説明した回転数制限(図4)に基づいてさらに運転効率が低下することがある。図15にオーバードライブ状態での共線図の例を示す。車速、即ちリングギヤ122の回転数が図中のポイントNrで示される回転数に相当している状態を表している。要求トルクが比較的低い場合、エンジン150の回転数が図7の動作曲線A上の例えばポイントA3で設定されたとする。このとき、先に説明したプラネタリギヤ120の作用に基づき、サンギヤ121の回転数は図15中のポイントNs1に相当する値となる。サンギヤ121は非常に高速で逆転する。既に述べた通りプラネタリギヤ120には機械的な回転数制限が存在する。図15の回転状態では、サンギヤ121の回転数がかかる制限値Nlimを超えている場合がある。
【0152】
このように本参考例のハイブリッド車両では、プラネタリギヤ120の回転数の制限から、エンジン150が動作曲線A上の運転ポイントで運転できない場合がある。上述の例では、サンギヤ121の回転数を制限値Nlim以下に抑えるためにエンジン150の回転数を例えばポイントA4で示される点まで増す必要がある。つまり、エンジン150を図7中のポイントA4で運転する必要がある。このようにエンジン150を動作曲線Aから離れた運転ポイントで運転すれば、その分運転効率が低下する。かかる原因に基づき、パラレルモードでは、図14に示す通り要求トルクがTb以下の領域で更に運転効率が低下する。
【0153】
一方、シリーズモードでは、動力の循環やプラネタリギヤ120の回転数制限に基づく運転効率の低下が生じない。従って、図14に示す通り、要求トルクの変化に関わらず比較的安定した運転効率を得ることができる。但し、シリーズモードでは、エンジン150から出力された動力を全て一旦電力に変換する際の損失が大きく、最高の運転効率はパラレルモードよりも低い。
【0154】
本参考例では、このように要求トルクと車速との関係に応じてパラレルモードとシリーズモードとの運転効率を予め求め、運転効率がより高い運転モードを選択している。図14の例では、要求トルクが値Tc以上の領域では、パラレルモードを選択し、要求トルクが値Tc以下の領域ではシリーズモードを選択する。図7では、シリーズモードは動作曲線Aよりも要求トルクが低い領域に設定されているが、必ずしもかかる関係が維持されるとは限らない。また、パラレルモードとシリーズモードとの頻繁な切り替えを抑制するために、一定のヒステリシスを設けて切り替えるようにすることもできるのは言うまでもない。
【0155】
以上で説明した本参考例のハイブリッド車両によれば、パラレルモードとシリーズモードとを車両の走行状態に応じて使い分けることができ、両者の特性を活かした運転を行うことができる。従って、ハイブリッド車両の運転効率を向上することができ、また乗り心地を改善することができる。
【0156】
具体的には、第1に先に図14および図7を用いて説明した通り、本参考例のハイブリッド車両は、車速および要求トルクに応じてパラレルモードとシリーズモードのうち、より運転効率が高い運転モードを選択して走行することができる。従って、パラレルモードまたはシリーズモードのいずれかの構成に固定されていた従来のハイブリッド車両に比較して、車両の走行状態に関わらず運転効率を向上することができる。
【0157】
第2に本参考例のハイブリッド車両は、図6の運転モード切り替え処理で説明した通り、エンジン150の始動および停止をシリーズモードで行っている。従って、トルクショックをほとんど生じることなくエンジン150の始動等を行うことができ、乗り心地を大きく向上することができる。
【0158】
第3に本参考例では、図7に示した通り、停車中および微速走行中にシリーズモードとしている。このため、かかる走行状態においてエンジン150の始動および停止が行われた場合のトルクショックを回避することができる他、運転モードの切り替えを伴うことなく、モータ140のみの動力を利用した走行状態からエンジン150の動力を利用して走行する状態への移行を行うことができる。従って、本参考例のハイブリッド車両によれば、走行状態を滑らかに移行することが可能となる。
【0159】
第4に本参考例では、運転モード切り替え処理(図6)で示した通り、後進時にシリーズモードを取るものとしている。エンジン150を運転しながら後進する際には、エンジン150からのトルクを相殺する必要がなくなり、モータ140から十分な後進トルクを出力することができる。また、エンジン150の運転状態に関わらずモータ140を容易に制御することができるため、滑らかな後進を実現することができる。全体の制御処理が容易になり制御ユニット190の負担が軽減されるという利点もある。
【0160】
第5に本参考例のハイブリッド車両では、クラッチ160およびブレーキ162の油圧を制御することによって、プラネタリギヤ120の回転軸に生じる共振を抑制することができる。従って、かかる共振に基づいて生じる車両の振動を抑制することができ、乗り心地を大きく向上することができる。また、プラネタリギヤ120の摩耗や破損を抑制し、寿命を延ばすことができる。
【0161】
本参考例のハイブリッド車両は、上述した種々の効果を得ることができるが、上記参考例で示した種々の制御は一例に過ぎない。例えば、図7に示した運転モードと走行状態との関係は、これに限らず、種々の設定が可能である。停車中、微速走行、および後進中においてもパラレルモードを取るものとしてもよい。かかる場合において、バッテリ194の残容量から充電が必要と判断された場合にシリーズモードへの切り替えを行ってエンジン150を始動することも可能である。
【0162】
本参考例では、エンジン150からの動力を機械的な動力と電力とに分配する機構としてプラネタリギヤ120およびモータ130を用いた。動力を分配する機構は他にも種々の構成が適用可能である。
【0163】
第1参考例の変形例としてのハイブリッド車両の構成を図16に示す。変形例のハイブリッド車両では、動力系統として、エンジン150、クラッチモータ230、モータ140Aを備える。クラッチモータ230とは、インナロータ232、アウタロータ233の同軸周りに相対的に回転可能な対ロータモータをいう。クラッチモータ230のインナロータ232は、エンジン150のクランクシャフト156に結合されている。アウタロータ233は、車軸116に結合されている。車軸116側には、第1参考例(図1)と同様、モータ140Aが結合されている。
【0164】
クラッチモータ230は、既に説明した通り、対ロータの同期電動発電機として構成されており、外周面に複数個の永久磁石を有するインナロータ232と、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたアウタロータ233とを備える。クラッチモータ230はインナロータ232に備えられた永久磁石による磁界とアウタロータ233に備えられた三相コイルによって形成される磁界との相互作用により両者が相対的に回転駆動する電動機として動作し、場合によってはこれらの相互作用によりアウタロータ233に巻回された三相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機としても動作する。三相コイルにはスリップリングを介して電力のやりとりがなされる。
【0165】
クラッチモータ230はインナロータ232とアウタロータ233の双方が回転可能であるため、インナロータ232およびアウタロータ233の一方から入力された動力を他方に伝達することができる。クラッチモータ230を電動機として力行運転すれば他方の軸にはトルクが付加された動力が伝達されることになるし、電動発電機として回生運転すれば動力の一部を電力の形で取り出しつつ残余の動力を伝達することができる。また、力行運転も回生運転も行わなければ、動力が伝達されない状態となる。この状態は機械的なクラッチを解放にした状態に相当する。
【0166】
変形例のハイブリッド車両は第1参考例(図1)と同様、クラッチモータ230とモータ140Aとの間にクラッチ160Aを備える。また、クラッチ160Aの上流側にブレーキ162Aを備える。クラッチ160Aおよびブレーキ162Aの結合状態に応じて、変形例のハイブリッド車両は、種々の構成を取ることができる。
【0167】
図17は、変形例のハイブリッド車両が取りうる構成を示す説明図である。クラッチ160Aおよびブレーキ162Aを共に作動状態とした場合の構成A1を図中の左上に示す。この結合状態は、第1参考例(図2)の構成Aに相当する。かかる構成では、アウタロータ233の回転がブレーキ162Aにより制止される。クラッチ160Aを結合した状態では、アウタロータ233と車軸116とが直結されている。従って、構成A1では車軸116の回転もブレーキ162Aにより制止される。
【0168】
ブレーキ162Aを作動状態としつつ、クラッチ160Aをオフとした場合の構成B1を図中の右上に示す。この構成は、第1参考例(図2)の構成Bに相当する。かかる構成では、構成A1と同様、アウタロータ233の回転がブレーキ162Aにより制止される。但し、クラッチ160Aがオフとなっているため、車軸116は回転可能である。しかも、クラッチ160Aはモータ140よりも上流側に設けられているから、車軸116にはモータ140から動力を出力することができる。一方、クラッチモータ230の作用により、ブレーキ162Aによりアウタロータ233の回転が制止されてもエンジン150は回転可能である。従って、構成B1では、エンジン150から出力された動力をクラッチモータ230で電力として回生することが可能である。以上より、構成B1は、シリーズハイブリッド車両としての構成を有していることになる。
【0169】
次に、ブレーキ162Aをオフとしつつ、クラッチ160Aをオンにした構成C1を図中の左下に示す。この構成は、第1参考例(図2)の構成Cに相当する。この状態では、アウタロータ233は車軸116とともに回転可能である。エンジン150から出力された動力は、クラッチモータ230で一部がアウタロータ233側に伝達されつつ、残余が電力として回生される。この電力はモータ140Aの駆動等に使用される。従って、構成C1は、パラレルハイブリッド車両としての構成を有していることになる。
【0170】
構成C1において、エンジン150から出力された動力を変換して車軸116に出力する方法について説明する。まず、アンダードライブ走行、即ちエンジン150から出力された動力を、回転数が低くトルクが高い状態に変換して出力する状態について説明する。構成C1の結合状態から明らかな通り、車軸116とアウタロータ233の回転数とは等しい。従って、アンダードライブ走行時には、クラッチモータ230のアウタロータ233はインナロータ232よりも低い回転数で回転する。これはインナロータ232からアウタロータ233に伝達されるトルクの方向に対してクラッチモータ230が逆転している状態に相当する。従って、クラッチモータ230ではインナロータ232とアウタロータ233の滑りに応じた電力を回生することができる。
【0171】
作用・反作用の原理により、インナロータ232とアウタロータ233とのトルクは等しい。従って、クラッチモータ230のアウタロータ233側に伝達されるトルクはエンジン150のトルクに等しい。アンダードライブ走行時には、エンジン150が出力するトルクよりも高いトルクが要求される。従って、モータ140Aに電力を供給して力行することにより、要求トルクとエンジン150から出力されるトルクとの差分に相当するトルクを出力する。この電力には、主としてクラッチモータ230で回生された電力が用いられる。従って、アンダードライブ走行時には、第1参考例のハイブリッド車両と同様、エンジン150から出力された動力の一部を回生した電力は、上流側に位置するクラッチモータ230から下流側に位置するモータ140Aに供給される。このため、変形例のハイブリッド車両はアンダードライブ時には動力の循環を生じない。
【0172】
次に、オーバードライブ走行、即ちエンジン150から出力された動力を、回転数が高くトルクが低い状態に変換して出力する状態について説明する。オーバードライブ走行時には、クラッチモータ230のアウタロータ233はインナロータ232よりも高い回転数で回転する。これはインナロータ232からアウタロータ233に伝達されるトルクの方向に対してクラッチモータ230が順方向に回転している状態に相当する。従って、クラッチモータ230はインナロータ232とアウタロータ233の滑りに応じた電力の供給を受けて力行される。
【0173】
オーバードライブ走行時には、エンジン150が出力するトルクよりも低いトルクが要求される。従って、モータ140Aで負荷を与えて車軸116に出力されるトルクを低減する。つまり、モータ140Aで電力を回生する。この電力は、主としてクラッチモータ230の力行に供給される。従って、オーバードライブ走行時には、第1参考例のハイブリッド車両と同様、エンジン150から出力された動力の一部が下流側に位置するモータ140Aで回生され、上流側に位置するクラッチモータ230に供給される。このため、変形例のハイブリッド車両はオーバードライブ時には動力の循環を生じ、運転効率が低下する。
【0174】
最後に、ブレーキ162Aおよびクラッチ160Aの双方をオフにした場合の構成D1を図中の右下に示す。この構成は、第1参考例(図2)の構成Dに相当する。この状態では、アウタロータ233は自由に回転することができる。クラッチ160Aがオフとなっているため、車軸116も回転可能である。但し、この場合には、エンジン150から出力された動力をクラッチモータ230で回生することができない。電力を回生するためには、インナロータ232とアウタロータ233との間に相対的な滑りが生じることが必要であるが、構成D1では、アウタロータ233が自由に回転可能な状態であるため、両ロータ間で十分な滑りが生じないからである。構成D1では、バッテリ194の充電状態に余裕がある場合であれば、モータ140Aに電力を供給して走行することが可能である。
【0175】
このように変形例のハイブリッド車両は、構成A1〜構成D1がそれぞれ第1参考例の構成A〜構成Dに相当し、運転効率等の面でほぼ同等の性質を有している。従って、運転モードと車両の走行状態との関係(図7)を、変形例のハイブリッド車両の構成に応じた適切な設定とすれば、第1参考例と同様の態様で本発明を適用することが可能である。この結果、変形例のハイブリッド車両によれば、第1参考例と同様、パラレルモードとシリーズモードの利点を活かした運転を実現することができ、運転効率および乗り心地の向上を図ることができる。
【0176】
(3)第1実施例:
次に本発明の第1実施例としてのハイブリッド車両について説明する。図18は、第1実施例のハイブリッド車両の構成を示す説明図である。この実施例においても、動力系統として上流側からエンジン150と、モータ130B,140Bとが備えられており、三者がプラネタリギヤ120Bを介して機械的に結合されている点では第1参考例と同じである。また、プラネタリギヤ120Bとモータ140Bとの間に第1クラッチ160が設けられている点でも同様である。
【0177】
第1実施例では、第1参考例のブレーキ162に代えて、第2クラッチ161が設けられている点で相違する。第2クラッチ161は、プラネタリギヤ120Bのリングギヤ122Bとプラネタリキャリア123Bとの結合および切り離しを行う。動作は、制御ユニット190により制御される。なお、図の煩雑さを避けるため、図18では図示を省略したが、第1参考例と同様のセンサ類がそれぞれ設けられている。
【0178】
第1実施例のハイブリッド車両は、第1クラッチ160および第2クラッチ161の結合状態に応じて4通りの構成を取ることができる。図19は、第1実施例のハイブリッド車両の結合状態を示す説明図である。
【0179】
第1クラッチ160および第2クラッチ161を共に作動状態とした場合の構成A2を図中の左上に示す。かかる構成では、第2クラッチ161によりリングギヤ122Bとプラネタリキャリア123Bとが一体的に回転する。共線図の状態を考えれば明らかな通り、両者が一体的に回転する場合、モータ130Bも同一の回転数で回転する。また、第1クラッチ160を結合した状態では、リングギヤ122Bと車軸116とが直結されている。従って、構成A2ではエンジン150、モータ130B、モータ140Bおよび車軸116の全てが直結された状態に相当する。以下、この運転モードを直結モードと呼ぶ。かかる構成は、第1参考例と異なり、第1実施例特有の構成である。
【0180】
第2クラッチ161を作動状態としつつ、第1クラッチ160をオフとした場合の構成B2を図中の右上に示す。かかる構成では、構成A2と同様、第2クラッチ161によって、リングギヤ122Bとプラネタリキャリア123Bとが一体的に回転する。また、モータ130Bも同一の回転数で回転する。従って、エンジン150とモータ130Bとが直結した状態に相当する。一方、車軸116にはモータ140Bから動力を出力することができる。以上より、構成B2は、シリーズハイブリッド車両としての構成を有していることになる。
【0181】
次に、第2クラッチ161をオフとしつつ、第1クラッチ160をオンにした構成C2を図中の左下に示す。この状態では、プラネタリギヤ120Bは共線図に従って、3つのギヤがそれぞれ回転可能である。また、リングギヤ122Bは車軸116とともに回転可能である。かかる構成は、先にパラレルハイブリッド車両の例として図34で説明した構成と同じである。従って、構成C2は、パラレルハイブリッド車両としての構成を有していることになる。
【0182】
最後に、第2クラッチ161および第1クラッチ160の双方をオフにした場合の構成D2を図中の右下に示す。この状態では、プラネタリギヤ120Bは共線図に従って、3つのギヤがそれぞれ回転可能である。また、車軸116にはモータ140Bから動力を出力することができる。但し、この場合には、エンジン150から出力された動力をモータ130Bで回生することができない。構成D2では、第2クラッチ161をオフにしており、リングギヤ122Bの回転状態が決定されないため、モータ130で電力を回生することができないのである。
【0183】
第1実施例のハイブリッド車両の運転制御ルーチンについて説明する。運転制御ルーチン全体の流れは第1参考例(図5)と同様である。つまり、制御ユニット190のCPUは、運転モード切り替え処理を実行し(ステップS100)、エンジン150が始動または停止の場合には(ステップS200)、始動・停止制御処理を実行し(ステップS400)、その他の場合には通常のトルク制御処理を実行する(ステップS300)。これらの処理の後、CPUは共振抑制制御処理を実行する(ステップS500)。こうした一連の処理を繰り返し実行して第1実施例のハイブリッド車両は走行する。
【0184】
第1実施例では、上述の処理のうち運転モード切り替え処理の内容が第1参考例(図6)と相違する。図20は、第1参考例との相違点のフローチャートである。第1参考例の運転モード切り替え処理と同様、このルーチンが開始されると、CPUは車両の走行状態に関与する諸量を読み込み(図6のステップS102)、シフトポジションがRポジションであるか否か(ステップS104)、走行状態がシリーズ領域に該当するか否か(ステップS106)の条件に基づき、シリーズモードを選択するか否かを設定する。かかる判定は、第1参考例と同様、予め設定されたテーブルに基づいてなされる。
【0185】
第1実施例では、これらの条件に基づき、シリーズモードが選択されなかった場合、CPUは次に、走行状態が直結領域にあり、かつバッテリ194の残容量SOCが所定の値Slimよりも大きいか否かを判定する(図20のステップS110)。これらの条件を満足する場合には、直結モードが選択され(ステップS112)、従前のモードから切り替えが必要である場合には、直結モードへの切り替え処理が行われる(ステップS114,S116)。これらの判定によりシリーズモードおよび直結モードのいずれも選択されなかった場合には、第1参考例と同様、バッテリ194の充電状態に基づいてエンジン150の始動および停止を行うべきか否かが判定され(図6のステップS120)、エンジン150の始動および停止を行う必要がない場合には、パラレルモードが選択される(ステップS122〜S126)。エンジン150の始動および停止を行うべき状態にある場合には、シリーズモードが選択される(ステップS130〜S134)。
【0186】
シリーズ領域(図6のS106)および直結領域(図20のステップS110)の判断は、第1参考例と同様、車両の走行状態と運転モードとの関係を与えるテーブルに基づいてなされる。第1実施例におけるテーブルの例を図21に示した。図中のクロスハッチを施した領域DC1,DC2が直結領域である。斜線のハッチングを施した領域がパラレルモードの領域である。その他の領域がシリーズモードの領域である。本実施例の場合には、シリーズモードの領域は第1参考例と同じである。
【0187】
直結領域は、図19で示した直結モード(構成A1)の利点を活かす領域に設定されている。構成A1は、先に説明した通り、エンジン150、モータ130B、モータ140Bが全て車軸に直結されたモードに相当する。従って、これら3つの動力源から出力されるトルクによって、パラレルモードよりも大きなトルクを出力することができる。また、直結モードでは、モータ130B、140Bを運転することなく、エンジン150から出力された動力を直接車軸116に出力することができる。この場合、モータ130B、140Bを運転することによる損失は生じない。従って、動作曲線上の運転ポイントと車軸116に要求される動力とが一致する場合には、直結モードによれば、非常に高い運転効率で走行することができる。第1実施例では、直結モードのかかる利点を活かし、大トルクが要求される領域DC1や走行トルクが比較的大きく、かつ動作曲線A近傍の領域DC2において直結モードを使用するものとしている。
【0188】
直結モードでは、モータ130Bおよびモータ140Bの双方を力行する。従って、バッテリ194に十分余裕があることが望ましい。このため、第1実施例では、走行状態が直結領域に入っている場合のみならず、バッテリ194の残容量SOCが所定の値Slimよりも大きい場合にのみ直結モードを選択するものとしている。所定の値Slimは、モータ130Bおよびモータ140Bを力行するのに十分な残容量として予め設定された値である。
【0189】
第1実施例では、パラレルモードとシリーズモードとの切り替えは、2通りの経路によって行われる。一つは第1参考例と同様の経路である。即ち、一旦第1クラッチ160、第2クラッチ162の双方がオフとなる構成D2の状態を経てパラレルモードとシリーズモードとの切り替えを行う経路である。もう一つは、一旦第1クラッチ160、第2クラッチ162の双方がオンとなる構成A2の状態を経てパラレルモードとシリーズモードとの切り替えを行う経路である。例えば、図21中の経路Ps1でパラレルモードとシリーズモードとの切り替えが行われる場合には、前者の経路が適用される。図21中の経路Ps2でパラレルモードとシリーズモードとの切り替えが行われる場合には、後者の経路が適用される。
【0190】
以上の処理により運転モードが設定されると、CPUは第1参考例と同様、トルク制御処理(図6のステップS300)または始動・停止制御処理(ステップS400)を実行する。それぞれのルーチンの内容は、第1参考例(図6および図10)と同様である。但し、モータ130B、モータ140Bの運転ポイントの設定値に第1参考例とは相違する部分がある。
【0191】
パラレルモードの構成(図19の構成C1)は、第1参考例のパラレルモード(図2の構成C)と同じである。従って、モータ130B、モータ140Bの運転ポイントの設定値は、トルク制御処理(図6)、始動・停止制御ルーチン(図10)ともに第1参考例の場合と同じである。
【0192】
シリーズモードの構成も第1参考例のシリーズモードとほぼ同じである。但し、第1参考例ではエンジン150とモータ130とはプラネタリギヤ120のギヤ比に応じて異なる回転数で回転していたのに対し、第1実施例ではモータ130Bがエンジン150と同じ回転数で回転する点で相違する。従って、第1実施例ではシリーズモードにおいて、モータ130Bの目標回転数N1およびトルクT1は、エンジン150の目標回転数Ne、トルクTeと同じ値に設定される。
【0193】
直結モードの場合には、エンジン150の運転ポイントの設定方法が第1参考例と相違する。先に説明した通り、直結モードでは、エンジン150の回転数と車軸116の回転数とが等しい。従って、直結モードでは、エンジン150の回転数が車軸116の回転数と等しくなる動作曲線A上の運転ポイントをエンジン150の運転ポイントとして設定する。こうして設定された運転ポイントにおけるエンジン150のトルクが要求トルクに一致する場合には、第1実施例のハイブリッド車両は、モータ130B、140Bの目標トルクを値0、即ち空転させた状態で走行する。直結モードでは、モータ130Bおよびモータ140Bの目標回転数N1,N2も車軸116の回転数と等しくなる。
【0194】
エンジン150の出力が要求トルクに不足する場合には、以下に示す通り、不足分のトルクを補償するようにモータ130Bおよびモータ140Bの運転ポイントが設定される。モータ130B、140Bの目標トルクT1,T2は、両者の総和が上記不足分、即ち要求トルクからエンジン150の出力トルクを引いた値に等しくなるように設定される。モータ130B、140Bのトルクの配分は両者の運転効率を考慮して設定される。第1実施例では、モータ130Bとモータ140Bの出力定格の比で上記不足分のトルクを配分して、それぞれの目標トルクT1,T2を設定している。モータ130Bとモータ140Bの定格が等しければ、目標トルクはそれぞれ上記不足分のトルクの半分ずつとなる。
【0195】
直結モードにおけるモータ130B、140Bのトルク配分は、これに限らず種々の設定が可能である。例えば、不足分のトルクが比較的小さい場合にはモータ140Bのみでトルクを出力し、モータ140Bでは補償しきれない程、トルクが不足した場合にモータ130Bの力行を開始するものとしてもよい。
【0196】
以上の処理により、第1実施例のハイブリッド車両は要求された回転数およびトルクからなる動力を出力して走行することができる。CPUは第1参考例と同様、これらの制御処理に続いて共振抑制制御処理を実行する(図7のステップS500)。
【0197】
第1実施例における共振抑制制御処理は、第1参考例とほぼ同じ処理である(図11参照)。第1参考例では、シリーズモードにおいて共振が発生した場合には、ブレーキ162の油圧を低減した。第1実施例では、ブレーキ162の油圧に変えて第2クラッチ161の油圧を低減する。つまり、第1参考例の共振抑制制御処理(図11)のステップS508およびステップS510において、ブレーキ油圧に代えて、第2クラッチ油圧を用いれば、第1実施例におけるシリーズモードでの共振制御処理を実現することができる。第2クラッチ161の油圧は、第1参考例のブレーキ油圧と同様のテーブル(図12参照)として予め設定されている。このテーブルは、第1参考例で説明した考え方に基づいて設定することができる。
【0198】
第1参考例では、パラレルモードにおいてリングギヤ軸に共振が発生した場合には、クラッチ160の油圧を低減した。第1実施例でもパラレルモードにおいて共振が発生した場合には、第1参考例と同様、第1クラッチ160の油圧を低減する。第1クラッチ160の油圧は、第1参考例と同様のテーブル(図13参照)として予め設定されている。さらに、第1実施例では、直結モードにおいてもパラレルモードと同様の制御処理を行う。つまり、リングギヤ軸に共振が発生した場合には、第1クラッチ160の油圧を低減する。従って、第1実施例では、第1参考例における共振抑制制御処理ルーチン(図11)のステップS512〜S518をそのまま実行することにより、パラレルモードおよび直結モードにおける共振抑制制御を実現することができる。
【0199】
以上で説明した第1実施例のハイブリッド車両によれば、走行状態に応じてパラレルモードとシリーズモードとを使い分けて走行することができる。従って、第1参考例と同様、それぞれのモードの利点を活かした運転を実現することができ、ハイブリッド車両の運転効率および乗り心地を大きく向上することができる。
【0200】
また、第1実施例では直結モードを取ることによってさらに大きな利点を得ることができる。第1に直結モードでは、エンジン150、モータ130B、140Bの全てからトルクを出力することが可能となり、第1参考例の構成以上に大きなトルクを出力することが可能となる。従って、ハイブリッド車両の走行領域を拡大することができる。第2に直結モードでは、比較的限られた条件下ではあるが、エンジン150から出力された動力のみで走行することが可能となる。かかる走行状態では、モータ130B、140Bで電力を消費しない。また、エンジン150から出力された動力と電力との変換も伴わないため、かかる変換に伴う損失が生じない。従って、かかる走行状態では、非常に高い効率でハイブリッド車両を運転することができる。
【0201】
(4)第2参考例:
次に、本発明の第2参考例としてのハイブリッド車両について説明する。図22は、第2参考例のハイブリッド車両の構成を示す説明図である。この参考例では、動力系統として上流側からエンジン150と、モータ140C,130Cとが備えられている。第1参考例および第1実施例では、エンジン150のクランクシャフト156に直結されているモータは存在しなかったのに対し、第2参考例では、モータ140Cが直結している点で相違する。
【0202】
第2参考例では、プラネタリギヤ120Cのプラネタリキャリア123Cにエンジン150のクランクシャフト156が結合し、サンギヤ121Cにモータ130Cが結合し、リングギヤ122Cに車軸116が結合している。モータ140Cとプラネタリギヤ120Cとの間にクラッチ160Cが設けられている。さらに、クラッチ160Cの下流側には、プラネタリキャリア123Cの回転を制止するブレーキ162Cが設けられている。クラッチ160Cおよびブレーキ162Cは第1参考例と同様、制御ユニット190により制御される。なお、図の煩雑さを避けるため、図22では図示を省略したが、第1参考例と同様のセンサ類がそれぞれ設けられている。
【0203】
第2参考例のハイブリッド車両は、クラッチ160Cおよびブレーキ162Cの結合状態に応じて4通りの構成を取ることができる。図23は、第2参考例のハイブリッド車両の結合状態を示す説明図である。
【0204】
クラッチ160Cおよびブレーキ162Cを共に作動状態とした場合の構成A3を図中の左上に示す。かかる構成では、プラネタリキャリア123Cの回転がブレーキ162Cにより制止される。クラッチ160Cを結合した状態では、プラネタリキャリア123Cとクランクシャフト156とが直結されている。従って、構成A3ではクランクシャフト156の回転もブレーキ162Cにより制止される。プラネタリキャリア123Cの回転が制止されても、サンギヤ121Cおよびリングギヤ122Cは回転可能である。従って、構成A3はエンジン150からの動力を利用することはできないが、モータ130Cからの動力によって走行することは可能な状態である。
【0205】
ブレーキ162Cを作動状態としつつ、クラッチ160Cをオフとした場合の構成B3を図中の右上に示す。かかる構成では、構成A3と同様、プラネタリキャリア123Cの回転がブレーキ162Cによって制止される。サンギヤ121Cおよびリングギヤ122Cは回転可能である。従って、モータ130Cからの動力によって走行することは可能である。一方、クラッチ160Cがオフとなっているため、エンジン150およびモータ140Cも自由に回転可能な状態である。従って、エンジン150からの動力によってモータ140Cで発電することができる。以上より、構成B3は、シリーズハイブリッド車両としての構成を有していることになる。以下、この構成をシリーズモードと呼ぶ。
【0206】
ブレーキ162Cをオフとしつつ、クラッチ160Cをオンにした構成C3を図中の左下に示す。この構成は、先にパラレルハイブリッド車両の例として図37で説明した構成と同じである。従って、第2参考例のハイブリッド車両において、ブレーキ162Cをオフとし、クラッチ160Cをオンとした構成C3は、パラレルハイブリッド車両としての構成を有していることになる。以下、この構成をパラレルモードと呼ぶ。
【0207】
最後に、ブレーキ162Cおよびクラッチ160Cの双方をオフにした場合の構成D3を図中の右下に示す。この状態では、プラネタリギヤ120Cは全てのギヤが自由に回転可能である。また、エンジン150から出力された動力をモータ140Cによって回生することが可能である。但し、この構成では、プラネタリキャリア123Cの回転状態が何ら拘束されていないため、モータ130Cから車軸116に動力を出力することができない。従って、構成D3は走行中には結合状態の切り替え時に過渡的に利用される構成である。
【0208】
第2参考例のハイブリッド車両の運転制御ルーチンについて説明する。運転制御ルーチン全体の流れは第1参考例(図5)と同様である。つまり、制御ユニット190のCPUは、運転モード切り替え処理を実行し(ステップS100)、エンジン150が始動または停止の場合には(ステップS200)、始動・停止制御処理を実行し(ステップS400)、その他の場合には通常のトルク制御処理を実行する(ステップS300)。これらの処理の後、CPUは共振抑制制御処理を実行する(ステップS500)。こうした一連の処理を繰り返し実行して第2参考例のハイブリッド車両は走行する。
【0209】
第2参考例では、運転モード切り替え処理においてシリーズ領域を判定するテーブルの内容が第1参考例(図6)と相違する。第2参考例において、運転モードと走行状態との関係を与えるテーブルを図24に示す。図中のハッチングを施した領域がパラレルモードで走行すべき領域であり、その他の領域がシリーズモードで走行すべき領域である。
【0210】
第1参考例と同様、停車中および微速で走行中の領域ではシリーズモードを適用するものとしている。また、運転モード切替処理(図6)の内容から明らかな通り、シフトポジションがRポジションにある場合、およびエンジン150の始動・停止を行う場合にはシリーズモードが選択される点も第1参考例と同様である。第1参考例では通常の走行状態において、比較的低トルクが要求される領域でシリーズモードとしていたのに対し、第2参考例では比較的高トルクが要求される領域でシリーズモードとする点で相違する。
【0211】
第2参考例においても通常走行時の運転モードの設定は、第1参考例と同様、シリーズモードとパラレルモードとの運転効率を比較し、より運転効率の高いモードを選択することによって設定されている。第1参考例の場合、パラレルモードでは、先に図34〜図36を用いて説明した通り、アンダードライブ走行時に循環を生じることなく動力を出力することができ、運転効率が高かった。従って、高いトルクが要求される領域において運転効率の高いパラレルモードが選択されていた。
【0212】
第2参考例の構成では、先に図37〜図39を用いて説明した通り、第1参考例の構成とは逆の現象が生じる。つまり、エンジン150から出力される動力を高回転数、低トルクの状態に変換して出力するオーバードライブ走行時において、循環を生じることなく動力を出力することができ、運転効率が高くなる。従って、第2参考例では、第1参考例とは逆に、低いトルクが要求される領域において運転効率の高いパラレルモードが選択されるのである。
【0213】
第2参考例では、パラレルモード(図23中の構成C3)とシリーズモード(構成B3)との切り替えは、図23の構成D3を経て行われる。例えば、パラレルモード(構成C3)からシリーズモード(構成B3)に切り替える場合には、一旦クラッチ160Cが切り離されD3の構成をとった後、ブレーキ162Cによってプラネタリキャリア123Cを保持する。かかる経路で切り替えを行うことにより、エンジン150の運転を停止することなくパラレルモードからシリーズモードへの切り替えを実行することが可能となる。シリーズモードからパラレルモードへの切り替え時においても、シリーズモードにおいてエンジン150の始動をした後、パラレルモードへの切り替えを実行することが可能となる。従って、構成D3を経て運転モードの切り替えを行うことにより、エンジン150の始動および停止に伴うトルクショックを生じることなく、滑らかに運転モードを切り替えることが可能となる。
【0214】
もっとも、構成D3を経た切り替えでは、運転モードを切り替えるわずかな期間とはいえ動力を出力することができない期間が存在する。かかる期間を回避することが望ましい場合には、構成A3を経た切り替えを行うものとしても構わない。
【0215】
こうして運転モードの切り替え処理が実行されると、図7のフローチャートに示した通り、CPUはエンジン150の始動・停止をすべき状態か否かを判定し(ステップS200)、かかる状態にある場合は始動・停止制御処理(ステップS400)、その他の場合は通常のトルク制御処理(ステップS300)を実行する。これらの処理の内容は、それぞれ第1参考例で示した処理(図8および図10)と同様であるが、第2参考例では、モータ130C、140Cの運転ポイントの設定が第1参考例と相違する。
【0216】
シリーズモードの場合には、車軸116に要求される動力を全てモータ130Cで出力する。従って、モータ130Cの目標回転数N1および目標トルクT1はプラネタリギヤ120Cについて成立する先に示した関係式(1)において、リングギヤ122の回転数Nr、トルクTrに車軸116の目標回転数Nd*および目標トルクTd*を代入し、プラネタリキャリア123Cの回転数Ncに値0を代入することにより、次の通り求めることができる。
N1=−Nd*/ρ;
Ts=ρTd*;
【0217】
モータ140Cはエンジン150と直結されている。従って、モータ140Cの目標回転数N2、トルクT2は、それぞれエンジン150の目標回転数Ne、目標トルクTeに一致する。
【0218】
パラレルモードの場合には、リングギヤ122の回転数Nrが車軸116の目標回転数Nd*と一致し、プラネタリキャリア123Cの回転数がエンジン150の目標回転数Neに一致するように、モータ130C、140Cの目標回転数が設定される。モータ140Cはエンジン150と同じ回転数で回転する。従ってモータ140Cの目標回転数N2はエンジン150の目標回転数Neと一致する。モータ130Cの目標回転数N1は先に示した式(1)において、リングギヤ122の回転数Nrに車軸116の目標回転数Nd*、プラネタリキャリア123の回転数Ncにエンジン150の目標回転数Neを代入することによって、次の通り設定される。
N1=(1+ρ)/ρ×Ne−Nd*/ρ;
【0219】
また、モータ130C、140Cの目標トルクT1,T2は、それぞれ車軸116に出力されるトルクが要求トルクTd*と一致するように設定される。先に示した式(1)においてリングギヤ122CのトルクTerに車軸116の目標トルクTd*を代入すれば、サンギヤ121CのトルクTesおよびプラネタリキャリア123CのトルクTcを次の通り求めることができる。
Tes=ρTd*;
Tc=(1+ρ)Td*;
【0220】
従って、モータ130Cは、上述のトルクをサンギヤ121Cに出力できるように目標トルクT1が設定される。具体的には、T1=Tesである。また、モータ140Cの目標トルクT2はエンジン150から出力されたトルクTeを調整してプラネタリキャリア123Cに上述のトルクが出力されるように設定される。具体的には、「T2=Tc−Td*」である。本参考例では、エンジン150からのトルクを高回転、低トルクに変換して出力するオーバードライブ状態においてパラレルモードが適用されるから、モータ140Cの目標トルクT2は、主として負の値をとる。つまり、モータ140Cは主として回生運転される。
【0221】
エンジンの始動・停止処理では、シリーズモードとなる。従って、モータ140の目標回転数N2、目標トルクT2は、エンジン150の始動および停止を行うための運転ポイントに設定される。モータ130Cの運転ポイントは、上述したシリーズモードにおける設定と同様である。
【0222】
以上の処理により、第2参考例のハイブリッド車両は要求された回転数およびトルクからなる動力を出力して走行することができる。CPUは第1参考例と同様、これらの制御処理に続いて共振抑制制御処理を実行する(図7のステップS500)。
【0223】
図25は、第2参考例における共振抑制制御処理のフローチャートである。第2参考例では、エンジン150の始動および停止を、プラネタリギヤ120Cよりも上流側に位置するモータ140Cにより行う。従って、エンジン150の始動および停止時にプラネタリギヤ120Cの回転軸に共振を生じる可能性はほとんどない。従って、第2参考例では、車軸116に結合されたリングギヤ軸に生じる共振を抑制する制御を実行する。
【0224】
図25に示す通り、共振抑制制御処理が開始されると、CPUは、リングギヤ軸が共振しているか否かを判定する(ステップS530)。この判定は、第1参考例の共振抑制制御処理(図11のステップS512)と同様、リングギヤ軸の回転数の検出結果をバンドパスフィルタで処理し、共振帯域に入っているか否かにより判定する。
【0225】
リングギヤ軸が共振していない場合には、何も処理を行わずに共振抑制制御処理を終了する。リングギヤ軸が共振している場合には、共振経過時間を検出し(ステップS532)、経過時間に応じてプラネタリキャリア軸の保持力を設定する(ステップS534)。保持力は第1参考例と同様、経過時間に応じたテーブルとして予め設定されている。
【0226】
但し、第2参考例では、運転モードに応じて保持力を設定する対象が相違する。シリーズモード(図23の構成B3)においては、プラネタリキャリア軸の回転を拘束しているのはブレーキ162Cである。従って、シリーズモードでは、ブレーキ162Cの油圧を低減する。パラレルモード(図23の構成C3)においては、プラネタリキャリア軸は、クラッチ160Cによってエンジン150およびモータ140Cと結合されることによって回転が拘束されている。従って、パラレルモードでは、クラッチ160Cの油圧を低減する。第2参考例では、共振経過時間に応じてそれぞれの油圧を与えるテーブルを個別に用意しており、運転モードによって両者を使い分けている。それぞれのテーブルは第1参考例においてクラッチ160の油圧を与えるテーブル(図13)と同様の考え方に基づき設定することが可能である。
【0227】
こうしてプラネタリキャリア軸の保持力が設定されると、CPUは、運転モードに応じてクラッチ160Cまたはブレーキ162Cを制御して、保持力を低減する(ステップS536)。
【0228】
以上で説明した第2参考例のハイブリッド車両によれば、走行状態に応じてパラレルモードとシリーズモードとを使い分けて走行することができる。従って、第1参考例と同様、それぞれのモードの利点を活かした運転を実現することができ、ハイブリッド車両の運転効率および乗り心地を大きく向上することができる。
【0229】
また、第2参考例では比較的低トルクの領域でパラレルモードを適用している(図24参照)。先に図14を用いて説明した通り、動力の循環が生じない走行状態では、パラレルモードの方がシリーズモードよりも高い運転効率を実現することができる。従って、第2参考例の構成は、比較的低トルクで走行されることが多いハイブリッド車両に有効に適用することができる。
【0230】
第2参考例においても第1参考例と同様、変形例を構成することができる。図26は、第2参考例の変形例としてのハイブリッド車両の構成を示す説明図である。第2参考例では、動力の分配機構としてプラネタリギヤ120Cおよびモータ130Cを組み合わせて使用した。変形例では、動力の分配機構をクラッチモータ230Dを用いる点で相違する。クラッチモータ230Dのインナロータ232Dは、エンジン150のクランクシャフト156およびモータ140Dに結合されている。アウタロータ233Dは、車軸116に結合されている。
【0231】
変形例のハイブリッド車両は、クラッチモータ230Dとモータ140Dとの間にクラッチ160Dを備える。また、クラッチ160Dの下流側にブレーキ162Dを備える。クラッチ160Dおよびブレーキ162Dの結合状態に応じて、変形例のハイブリッド車両は、種々の構成を取ることができる。
【0232】
図27は、変形例のハイブリッド車両が取りうる構成を示す説明図である。クラッチ160Dおよびブレーキ162Dを共に作動状態とした場合の構成A4を図中の左上に示す。この結合状態は、第2参考例(図23)の構成A3に相当する。かかる構成では、インナロータ232Dの回転がブレーキ162Dにより制止される。クラッチ160Dを結合した状態では、インナロータ232Dとクランクシャフト156、モータ140Dとが直結されている。従って、構成A4ではエンジン150およびモータ140Dを運転することができない。
【0233】
ブレーキ162Dを作動状態としつつ、クラッチ160Dをオフとした場合の構成B4を図中の右上に示す。この構成は、第2参考例(図23)の構成B3に相当する。かかる構成では、構成A4と同様、インナロータ232Dの回転がブレーキ162Dにより制止される。但し、クラッチ160Dがオフとなっているため、エンジン150からの動力によってモータ140Dを駆動して発電することができる。また、ブレーキ162Dによりインナロータ232Dの回転が制止されているため、クラッチモータ230Dから車軸116に動力を出力することが可能である。以上より、構成B4は、シリーズハイブリッド車両としての構成を有していることになる。
【0234】
次に、ブレーキ162Dをオフとしつつ、クラッチ160Dをオンにした構成C4を図中の左下に示す。この構成は、第2参考例(図23)の構成C3に相当する。この状態では、アウタロータ233は車軸116とともに回転可能である。エンジン150から出力された動力は、一部がモータ140Dで回生される。残余の動力は、クラッチモータ230Dを力行することによって回転数が調整されて車軸116に出力される。クラッチモータ230Dを力行するための電力はモータ140Dで回生された電力が主として使用される。従って、構成C4は、パラレルハイブリッド車両としての構成を有していることになる。
【0235】
構成C4において、エンジン150から出力された動力を変換して車軸116に出力する方法について説明する。アンダードライブ走行時には、クラッチモータ230Dのアウタロータ233Dはインナロータ232Dよりも低い回転数で回転する。このとき、クラッチモータ230Dではインナロータ232Dとアウタロータ233Dの滑りに応じた電力を回生することができる。一方、エンジン150から出力されたトルク以上のトルクを車軸116から出力するために、モータ140Dは力行される。モータ140Dの力行に必要な電力は、クラッチモータ230Dで回生された電力が供給される。従って、アンダードライブ走行時には、第2参考例のハイブリッド車両と同様、エンジン150から出力された動力の一部を回生した電力は、下流側に位置するクラッチモータ230Dから上流側に位置するモータ140Aに供給される。このため、変形例のハイブリッド車両はアンダードライブ時には動力の循環を生じ、運転効率が低下する。
【0236】
オーバードライブ走行時には、クラッチモータ230Dのアウタロータ233Dはインナロータ232Dよりも高い回転数で回転する。従って、クラッチモータ230Dはインナロータ232Dとアウタロータ233Dの滑りに応じた電力の供給を受けて力行される。一方、オーバードライブ走行時には、モータ140Dにより負荷を与えて、エンジン150が出力するトルクよりも低いトルクを車軸116から出力する。つまり、モータ140Dで電力を回生する。この電力は、主としてクラッチモータ230Dの力行に供給される。従って、オーバードライブ走行時には、第2参考例のハイブリッド車両と同様、エンジン150から出力された動力の一部が上流側に位置するモータ140Dで回生され、下流側に位置するクラッチモータ230Dに供給される。このため、変形例のハイブリッド車両はオーバードライブ時には動力の循環を生じない。
【0237】
最後に、ブレーキ162Dおよびクラッチ160Dの双方をオフにした場合の構成D4を図中の右下に示す。この構成は、第2参考例(図23)の構成D3に相当する。この状態では、アウタロータ233Dは自由に回転することができる。また、エンジン150およびモータ140Dも自由に回転することができる。但し、この場合には、インナロータ232Dの回転が拘束されていないため、クラッチモータ2320Dから車軸116に動力を出力することができない。
【0238】
このように変形例のハイブリッド車両は、構成A4〜構成D4がそれぞれ第2参考例の構成A3〜構成D3に相当し、運転効率等の面でほぼ同等の性質を有している。従って、運転モードと車両の走行状態との関係を、変形例のハイブリッド車両の構成に応じて適切な設定とすれば、第2参考例と同様の態様で本発明を適用することが可能である。この結果、変形例のハイブリッド車両でも、第2参考例と同様、パラレルモードとシリーズモードの利点を活かした運転を実現することができ、運転効率および乗り心地の向上を図ることができる。
【0239】
(5)第2実施例:
次に、本発明の第2実施例としてのハイブリッド車両について説明する。図28は、第2実施例のハイブリッド車両の構成を示す説明図である。この実施例においても、動力系統として上流側からエンジン150と、モータ140E,130Eとが備えられており、エンジン150とモータ140Eとが直結されている点、およびモータ130Eがプラネタリギヤ120Eを介して機械的に結合されている点では第2参考例と同じである。また、プラネタリギヤ120Eとモータ140Eとの間に第1クラッチ160Eが設けられている点でも同様である。
【0240】
第2実施例では、第2参考例のブレーキ162Cに代えて、第2クラッチ161Eが設けられている点で相違する。第2クラッチ161Eは、プラネタリギヤ120Eのリングギヤ122Eとプラネタリキャリア123Eとの結合および切り離しを行う。動作は、制御ユニット190により制御される。なお、図の煩雑さを避けるため、図28では図示を省略したが、第1参考例と同様のセンサ類がそれぞれ設けられている。
【0241】
第2実施例のハイブリッド車両は、第1クラッチ160Eおよび第2クラッチ161Eの結合状態に応じて4通りの構成を取ることができる。図29は、第2実施例のハイブリッド車両の結合状態を示す説明図である。
【0242】
第1クラッチ160Eおよび第2クラッチ161Eを共に作動状態とした場合の構成A5を図中の左上に示す。かかる構成では、第2クラッチ161Eによりリングギヤ122Eとプラネタリキャリア123Eとが一体的に回転する。両者が一体的に回転する場合、モータ130Eも同一の回転数で回転する。また、第1クラッチ160Eを結合した状態では、エンジン150のクランクシャフト156と車軸116とが直結されている。従って、構成A5ではエンジン150、モータ140E、モータ130Eおよび車軸116の全てが直結された状態に相当する。以下、この運転モードを直結モードと呼ぶ。
【0243】
第2クラッチ161Eを作動状態としつつ、第1クラッチ160Eをオフとした場合の構成B5を図中の右上に示す。かかる構成では、構成A5と同様、第2クラッチ161Eによって、リングギヤ122Eとプラネタリキャリア123Eとが一体的に回転し、モータ130Eも同一の回転数で回転する。従って、車軸116とモータ130Eとが直結した状態に相当し、モータ130Eからの動力を車軸116に出力することができる。一方、エンジン150およびモータ140Eは自由に回転可能であり、エンジン150から出力された動力をモータ140Eで電力として回生することができる。従って、構成B5は、シリーズハイブリッド車両としての構成を有していることになる。
【0244】
次に、第2クラッチ161Eをオフとしつつ、第1クラッチ160Eをオンにした構成C5を図中の左下に示す。この構成は、第2参考例の構成C3に相当する。従って、構成C5は、パラレルハイブリッド車両としての構成を有していることになる。
【0245】
最後に、第2クラッチ161Eおよび第1クラッチ160Eの双方をオフにした場合の構成D5を図中の右下に示す。この状態では、プラネタリギヤ120Eは共線図に従って、3つのギヤがそれぞれ回転可能である。また、エンジン150からの動力をモータ140Eにより電力として回生可能である。但し、この場合には、プラネタリキャリア123Eの回転が拘束されていないため、モータ130Eから車軸116に動力を出力することができない。この構成は、第2参考例の構成D3に相当する。
【0246】
第2実施例のハイブリッド車両の運転制御ルーチンについて説明する。運転制御ルーチン全体の流れは第1参考例(図5)と同様である。つまり、制御ユニット190のCPUは、運転モード切り替え処理を実行し(ステップS100)、エンジン150が始動または停止の場合には(ステップS200)、始動・停止制御処理を実行し(ステップS400)、その他の場合には通常のトルク制御処理を実行する(ステップS300)。これらの処理の後、CPUは共振抑制制御処理を実行する(ステップS500)。こうした一連の処理を繰り返し実行して第2実施例のハイブリッド車両は走行する。
【0247】
第2実施例の運転モード切り替え処理の内容は、第1実施例(図6、図20)と同様である。まず、シフトポジションおよび走行状態に基づいてシリーズモードを選択するか否かを判定する(図6のステップS102〜S106)。これらの条件に基づき、シリーズモードが選択されなかった場合、走行状態が直結領域にあり、かつバッテリ194の残容量SOCが所定の値Slimよりも大きければ直結モードを選択する(図20のステップS112)。これらの判定によりシリーズモードおよび直結モードのいずれも選択されなかった場合、エンジン150の始動および停止を行うべきと判定される場合には、シリーズモードが選択され、その他の場合にはパラレルモードが選択される(図6のステップS120〜S134)。
【0248】
シリーズ領域および直結領域の判断は、これまでの参考例および実施例と同様、車両の走行状態と運転モードとの関係を与えるテーブルに基づいてなされる。第2実施例におけるテーブルの例を図30に示した。図中のクロスハッチを施した領域DC1,DC2が直結領域である。斜線のハッチングを施した領域がパラレルモードの領域である。その他の領域がシリーズモードの領域である。本実施例の場合、直結モードの領域は第1実施例と同じである。また、シリーズモードの領域は第2参考例と同じである。
【0249】
パラレルモードとシリーズモードとの切り替えは、第1実施例と同様、2通りの経路によって行われる。一つは、一旦第1クラッチ160E、第2クラッチ162Eの双方がオフとなる構成D5の状態を経てパラレルモードとシリーズモードとの切り替えを行う経路である。もう一つは、一旦第1クラッチ160E、第2クラッチ162Eの双方がオンとなる構成A5の直結モードを経てパラレルモードとシリーズモードとの切り替えを行う経路である。両者の経路は、第1実施例(図20)と同様、車両の走行状態が図30のテーブル中でどのような軌跡を描くかに応じて使い分けられる。
【0250】
以上の処理により運転モードが設定されると、CPUは第1参考例と同様、トルク制御処理(図5のステップS300)または始動・停止制御処理(ステップS400)を実行する。それぞれのルーチンの内容は、第1参考例(図8および図10)と同様である。但し、モータ130E、モータ140Eの運転ポイントの設定値に第1参考例とは相違する部分がある。
【0251】
パラレルモードの構成は、第2参考例と同じである。従って、モータ130E、モータ140Eの運転ポイントの設定値は、トルク制御処理(図8)、始動・停止制御ルーチン(図10)ともに第2参考例の場合と同じである。
【0252】
シリーズモードの構成も第2参考例のシリーズモードとほぼ同じである。但し、第2参考例では車軸116とモータ130Eとはプラネタリギヤ120Eのギヤ比に応じて異なる回転数で回転していたのに対し、第2実施例ではモータ130Eが車軸116と同じ回転数で回転する点で相違する。従って、第2実施例ではシリーズモードにおいて、モータ130Eの目標回転数N1およびトルクT1が車軸116の目標回転数Nd*、トルクTd*と同じ値に設定される。
【0253】
直結モードの場合、エンジンの運転ポイントは第1実施例と同様、エンジン150の回転数が車軸116の回転数と等しくなる動作曲線A上のポイントに設定される。こうして設定された運転ポイントにおけるエンジン150のトルクが要求トルクに一致する場合には、第2実施例のハイブリッド車両は、モータ130E、140Eの目標トルクを値0、即ち空転させた状態で走行する。
【0254】
エンジン150の出力が要求トルクに不足する場合には、不足分のトルクを補償するようにモータ130Eおよびモータ140Eの運転ポイントが設定される。両者の配分は、第1実施例の場合と同様、両モータの定格出力の比に基づいて設定される。もちろん、第2実施例においても、直結モードにおけるモータ130E、140Eのトルク配分は、これに限らず種々の設定が可能である。
【0255】
以上の処理により、第2実施例のハイブリッド車両は要求された回転数およびトルクからなる動力を出力して走行することができる。CPUは第1参考例と同様、これらの制御処理に続いて共振抑制制御処理を実行する(図5のステップS500)。
【0256】
第2実施例における共振抑制制御処理は、第2参考例と同じ処理である(図25参照)。第2参考例では、リングギヤ軸に共振が発生した場合には、クラッチ160Dまたはブレーキ162Dの油圧を低減した。第2実施例では、ブレーキ162Dの油圧に変えて第2クラッチ161Eの油圧を低減する。第2クラッチ161Eの油圧は、第2参考例のブレーキ油圧と同様のテーブルにより予め設定されている。
【0257】
第2参考例では、パラレルモードにおいてリングギヤ軸に共振が発生した場合には、クラッチ160Dの油圧を低減した。第2実施例でもパラレルモードにおいて共振が発生した場合には、第1参考例と同様、第1クラッチ160Eの油圧を低減する。第2実施例では、直結モードにおいてもパラレルモードと同様、第1クラッチ160Eの油圧を低減する。
【0258】
以上で説明した第2実施例のハイブリッド車両によれば、走行状態に応じてパラレルモードとシリーズモードとを使い分けて走行することができる。従って、第1参考例と同様、それぞれのモードの利点を活かした運転を実現することができ、ハイブリッド車両の運転効率および乗り心地を大きく向上することができる。
【0259】
また、第2実施例では直結モードを取ることによって第1実施例と同様の利点を得ることができる。つまり、エンジン150、モータ130E、140Eの全てからトルクを出力することにより、ハイブリッド車両の走行領域を拡大することができる。また、直結モードでは、非常に高い効率でハイブリッド車両を運転することができる。
【0260】
(6)第3実施例:
次に、本発明の第3実施例としてのハイブリッド車両について説明する。第3実施例のハイブリッド車両の構成を図31に示す。この構成は、第1参考例のハイブリッド車両(図1)とほぼ同じである。クラッチ160およびブレーキ162の切り替えに応じて、図2に示す種々の構成を取り得る点でも同じである。第3実施例では、制御ユニット190に車両が走行する経路に関する情報を与えるための装置として、経路情報センサ200、道路データベース201が備えられている点で第1参考例のハイブリッド車両と相違する。
【0261】
道路データベース201は、主として電子化された道路地図を記憶するデータベースであり、ハードディスクや種々のCD−ROMその他のメディアを主体として構成される。道路データベース201には、各道路の位置のみならず高低に関する情報も記憶されている。また、運転者が予め入力した目的地および経路も記憶されている。
【0262】
経路情報センサ200とは、ハイブリッド車両の位置の検出と、走行する予定の経路に関していわゆる道路状況を取得するためのセンサである。ハイブリッド車両の位置の検出は、例えば、人工衛星からの電波に基づいて緯度、経度を検出するセンサを用いることができる。慣性センサ、加速度センサなどを備え、車両の走行経緯から現在の位置を算出するものとしてもよい。道路状況の検出は、電波で送信されるこれらの情報を受信機によって受信することで行う。
【0263】
第3実施例のハイブリッド車両は、運転制御ルーチン(図5)において、運転モード切り替え処理の内容が第1参考例と相違する。第3実施例における運転モード切り替え処理の内容を図32に示す。このルーチンでは、CPUは、まず車両の走行状態に関する種々のパラメータに併せて経路情報の読み込みを行う(ステップS102)。入力される経路情報としては、走行予定の経路が、登坂路か降坂路か等の高低差に関する情報、いわゆる山道のようにカーブが多い道であるか否かという情報、通常の道路か高速自動車国道なのかという道路の種別に関する情報、そしていわゆる渋滞情報などが含まれる。
【0264】
次に、CPUは、経路情報を優先すべき場合には(ステップS103)、該経路情報に基づいて運転モードの設定および切り替えを行う(ステップS136)。その他の場合には、第1参考例と同様(図6参照)、車両の走行状態に応じて運転モードの設定および切り替えを行う。
【0265】
第3実施例では、経路情報を優先すべき場合として予め種々の場合が設定されている。かかる設定について図33を用いて説明する。図33は、第3実施例のハイブリッド車両の走行領域における各走行モードの使い分けを示す説明図である。
【0266】
第1の例として、走行予定の経路に登坂路が含まれており、車両が登坂路の手前の所定の範囲に接近したことが検出された場合には、パラレルモードを優先して使用するように設定される。先に図14で説明した通り、パラレルモードの方がシリーズモードよりも高い運転効率を実現することができる。また、モータ130の定格に起因する充電効率の差もある。本実施例では、モータ130として比較的定格の小さいモータを使用している。従って、発電能力の上限値も比較的小さい。かかる状況下では、走行に必要な動力とバッテリ194の充電に要する動力の総和に相当する動力をエンジン150から出力しても、その全てをモータ130で回生することができない場合がある。この結果、シリーズモードにおいては、バッテリ194の充電はモータ130の定格を超えない範囲で徐々に行う必要が生じる。一方、パラレルモードでは、エンジン150から出力される動力の一部を機械的な動力のまま車軸116に出力する。従って、モータ130で回生すべき電力のうち走行に要する電力、即ちモータ140に供給される電力を比較的小さくすることができる。この結果、パラレルモードでは、バッテリ194の充電に供する電力を大きく取ることができる。
【0267】
これらの理由により、パラレルモードを優先して使用することにより、電力の消費量が増す登坂路に備えて予めバッテリ194を充電するのに適した運転を行うことができる。なお、パラレルモードを優先した運転は、種々の態様により実現することができる。ステップS136において、該経路情報に基づいて運転モードの設定および切り替えを行う場合において、走行予定の経路に登坂路が含まれており、車両が登坂路の手前の所定の範囲に接近したことが検出されたときは、車両の走行状態に関わらずにパラレルモードに設定するものとしてもよい。また、運転モードを与えるテーブル(図33)において、シリーズモードとパラレルモードの境界BLを、パラレルモードの領域が拡張する方向(図中の矢印Ar2の方向)に変更するものとしてもよい。
【0268】
第2の例として、例えば、経路上に連続していないカーブ又はコーナーが存在し、車両がそのカーブ等の手前の所定の範囲に接近したことが検出されたときは、シリーズモードを優先して運転モードを設定する。かかるカーブまたはコーナーを走行する場合の車両の走行状態の軌跡を図33の曲線C1に示す。このように車両は、一旦減速した後、加速する。通常の設定によれば、カーブ等の走行時にはシリーズモード、パラレルモード、シリーズモードの順に頻繁に切り替えが行われることになる。頻繁な切り替えは車両の乗り心地を損ねるとともに、切り替え時にはトルクの出力等に時間遅れが生じやすいため、カーブ等を走行する際の車両の応答性を損ねる。本実施例のハイブリッド車両では、経路情報としてかかる経路が検出された場合には、運転モードをシリーズモードに設定する。従って、頻繁な切り替えに伴う上述の弊害を回避することができる。もちろん、運転モードを与えるテーブル(図33)の境界BLを、シリーズモードの領域が拡張する方向(図中の矢印Ar1の方向)に変更するものとしてもよい。
【0269】
第3の例として、例えば、経路上に連続したカーブ又はコーナーが存在し、車両がそのカーブ等の手前の所定の範囲に接近したことが検出されたときは、パラレルモードを優先して運転モードを設定する。かかるカーブまたはコーナーを走行する場合の車両の走行状態の軌跡を図33の曲線C2に示す。連続したカーブ等の走行時には、車両は比較的低い速度、高トルクの領域で走行することが多い。従って、かかる経路が検出された場合に、運転モードをパラレルモードに設定することにより、頻繁な切り替えを回避することができる。もちろん、運転モードを与えるテーブル(図33)の境界BLを、パラレルモードの領域が拡張する方向(図中の矢印Ar2の方向)に変更するものとしてもよい。
【0270】
第4の例として、例えば、車両が登坂路上にいることが検出されたときは、発進時にパラレルモードを用いる。登坂路での発進時の走行状態を図33中の曲線C3に示す。かかる発進では、通常の発進よりも大きなトルクが要求される。従って、通常通りシリーズモードで発進を開始すると、その直後にパラレルモードへの切り替えが必要となる。大きなトルクが要求されている走行状態では、運転モードの切り替えを行わずに連続的にトルクを出力することが望ましい。登坂路での発進時にはパラレルモードで発進することにより、上述の切り替えを回避し、連続的にトルクを出力することが可能となる。なお、パラレルモードでの発進時には、最初からエンジン150の動力を利用してもよいが、モータ140の動力のみで発進するものとしてもよい。
【0271】
第5の例として、車両が走行中の経路の勾配に応じて運転モード(図33)の境界BLを変更し、いずれかの運転モードを優先的に用いる。例えば、登坂路では比較的大きなトルクが要求されるため、パラレルモードの領域で走行することが多い。従って、登坂路の勾配に応じて境界BLをパラレルモードが拡張する側(図33中の矢印Ar2側)に変更することにより、走行中の頻繁な切り替えを抑制することができる。逆に、降坂路では、それほど大きなトルクが要求されないため、シリーズモードの領域で走行することが多い。従って、その勾配に応じて境界BLをシリーズモードが拡張する側(図33の矢印Ar1側)に変更することにより、走行中の頻繁な切り替えを抑制することができる。
【0272】
なお、図33には示していないが、急な降坂路ではトルクが負の領域、即ち制動力をかけながら走行する場合もある。かかる場合には、モータ140での回生制動を行うが、更に勾配が急になれば、モータ130による回生制動およびエンジン150のエンジンブレーキも併用することが望ましい。モータ130による回生およびエンジンブレーキはパラレルモードにおいて用いることが可能となる。従って、非常に急な下り勾配が検出された場合には、パラレルモードを優先するように運転モードを切り替えるものとしてもよい。
【0273】
経路情報に基づく運転モードの設定は、更に種々の設定が可能である。例えば、経路に高速道路が含まれている場合、登坂路が検出された場合と同様、パラレルモードを優先する切り替えを行うことができる。高速走行時には登坂路の走行と同様、電力消費が増すため、予めバッテリ194の充電に適した運転モードを選択するのである。
【0274】
また、別の例として、例えば、走行予定の経路が渋滞しているとの情報が検出された場合、その手前の所定の範囲に接近してからは、シリーズモードを優先して使用するように設定することができる。渋滞時には、停車、発進、低速での走行が繰り返し行われるのが通常であるから、予めシリーズモードに設定することにより、切り替えの頻度を抑え、滑らかな運転を実現することができる。経路情報を優先して運転モードを切り替える処理は、これらに限らず更に多くの設定が可能である。例えば、経路が市街地であるか否かに応じて運転モードを設定するものとしてもよい。
【0275】
以上で説明した第3実施例のハイブリッド車両によれば、車両の走行状態のみならず経路情報に基づいて適切な運転モードを設定することができる。従って、パラレルモードとシリーズモードの利点をより適切に使い分けることができ、ハイブリッド車両の運転効率および乗り心地をより向上することができる。
【0276】
第3実施例では、第1参考例と同じ構成を有するハイブリッド車両に経路情報センサ200および道路データベース201を付加した構成を説明した。これに限らず、他の参考例,実施例および変形例にそれぞれ経路情報センサ200および道路データベース201を付加した構成を取ることもできることは言うまでもない。
【0277】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、更に種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例えば、本実施例のハイブリッド車両では、エンジンとしてガソリンエンジン150を用いたが、ディーゼルエンジンその他の動力源となる装置を用いることができる。また、本実施例では、モータとして全て三相同期モータを適用したが、誘導モータその他の交流モータおよび直流モータを用いるものとしてもよい。また、本実施例では、種々の制御処理をCPUがソフトウェアを実行することにより実現しているが、かかる制御処理をハード的に実現することもできる。当然、本発明は実施例のようなハイブリッド車両に限られず、例えば、船舶、航空機、工作機械など種々の動力出力装置に適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1参考例としてのハイブリッド車両の全体構成を示す説明図である。
【図2】第1参考例のハイブリッド車両の結合状態を示す説明図である。
【図3】プラネタリギヤの基本的動作を説明する共線図である。
【図4】車速とエンジン回転数の制限を示す説明図である。
【図5】運転制御ルーチンのフローチャートである。
【図6】運転モード切替処理ルーチンのフローチャートである。
【図7】第1参考例のハイブリッド車両の走行領域における各走行モードの使い分けを示す説明図である。
【図8】トルク制御ルーチンのフローチャートである。
【図9】エンジンの運転ポイントと運転効率との関係を示す説明図である。
【図10】始動・停止制御ルーチンのフローチャートである。
【図11】共振抑制制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図12】ブレーキ油圧の設定を示す説明図である。
【図13】クラッチ油圧の設定を示す説明図である。
【図14】各運転モードと運転効率との関係を示す説明図である。
【図15】高速走行時の共線図である。
【図16】第1参考例の変形例としてのハイブリッド車両の構成を示す説明図である。
【図17】第1参考例の変形例としてのハイブリッド車両の結合状態を示す説明図である。
【図18】第1実施例としてのハイブリッド車両の全体構成を示す説明図である。
【図19】第1実施例のハイブリッド車両の結合状態を示す説明図である。
【図20】第1実施例における運転モード切替処理ルーチンのフローチャートである。
【図21】第1実施例のハイブリッド車両の走行領域における各走行モードの使い分けを示す説明図である。
【図22】第2参考例としてのハイブリッド車両の全体構成を示す説明図である。
【図23】第2参考例のハイブリッド車両の結合状態を示す説明図である。
【図24】第2参考例のハイブリッド車両の走行領域における各走行モードの使い分けを示す説明図である。
【図25】第2参考例における共振抑制制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図26】第2参考例の変形例としてのハイブリッド車両の構成を示す説明図である。
【図27】第2参考例の変形例としてのハイブリッド車両の結合状態を示す説明図である。
【図28】第2実施例としてのハイブリッド車両の全体構成を示す説明図である。
【図29】第2実施例のハイブリッド車両の結合状態を示す説明図である。
【図30】第2実施例のハイブリッド車両の走行領域における各走行モードの使い分けを示す説明図である。
【図31】第3実施例としてのハイブリッド車両の全体構成を示す説明図である。
【図32】第3実施例における運転モード切替処理ルーチンのフローチャートである。
【図33】第3実施例のハイブリッド車両の走行領域における各走行モードの使い分けを示す説明図である。
【図34】従来のハイブリッド車両について、アシストモータを車軸に結合した場合の構成を示す説明図である。
【図35】従来のハイブリッド車両について、アシストモータを車軸に結合した場合における、アンダードライブ走行時の動力の伝達の様子を示す説明図である。
【図36】従来のハイブリッド車両について、アシストモータを車軸に結合した場合における、オーバードライブ走行時の動力の伝達の様子を示す説明図である。
【図37】従来のハイブリッド車両について、アシストモータをクランクシャフトに結合した場合の構成を示す説明図である。
【図38】従来のハイブリッド車両について、アシストモータをクランクシャフトに結合した場合における、アンダードライブ走行時の動力の伝達の様子を示す説明図である。
【図39】従来のハイブリッド車両について、アシストモータをクランクシャフトに結合した場合における、オーバードライブ走行時の動力の伝達の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
116...車軸
117、118、119...回転数センサ
120、120B、120C、120E...プラネタリギヤ
121、121C...サンギヤ
122、122B、122C、122E...リングギヤ
123...プラネタリキャリア
123B...プラネタリキャリア
123C...プラネタリキャリア
123E...プラネタリキャリア
130、130B、130C、130E...モータ
132...ロータ
133...ステータ
140、140A、140B、140C、140D、140E...モータ
142...ロータ
143...ステータ
150...エンジン
156...クランクシャフト
160、160A、160C、160D、160E...クラッチ
161、161E...第2クラッチ
162、162A、162C、162D、162E...ブレーキ
165...アクセルペダルポジションセンサ
166...シフトポジションセンサ
190...制御ユニット
191,192...駆動回路
194...バッテリ
200...経路情報センサ
201...道路データベース
230、230D...クラッチモータ
232、232D...インナロータ
233、233D...アウタロータ
Claims (13)
- 駆動軸から動力を出力可能な動力出力装置であって、
出力軸を有するエンジンと、
前記駆動軸に結合された電動機と、
前記出力軸と駆動軸との間に結合され、電力のやりとりによって両回転軸間で伝達される動力の大きさを調整可能な動力調整装置と、
前記動力調整装置と電動機との結合および切り離しを行う結合機構と、
前記切り離しが行われた場合における前記動力調整装置での電力と動力との変換を可能とする保持機構とを備え、
前記動力調整装置は、3つの回転軸を有するとともに、そのうちの2つの回転軸が前記出力軸および駆動軸に結合されたプラネタリギヤと、残余の回転軸に結合された電動発電機とを有し、
前記保持機構は、該プラネタリギヤの前記2つの回転軸を相互に結合することにより、該プラネタリギヤの全回転軸を一体的に回転させる機構であり、
前記動力出力装置は、さらに、
前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態を含む複数の結合状態を実現するよう、前記結合機構および保持機構の動作を制御する制御部を備える動力出力装置。 - 駆動軸から動力を出力して走行可能なハイブリッド車両であって、
出力軸を有するエンジンと、
前記駆動軸に結合された電動機と、
前記出力軸と駆動軸との間に結合され、電力のやりとりによって両回転軸間で伝達される動力の大きさを調整可能な動力調整装置と、
前記動力調整装置と電動機との結合および切り離しを行う結合機構と、
前記切り離しが行われた場合における前記動力調整装置での電力と動力との変換を可能とする保持機構とを備え、
前記動力調整装置は、3つの回転軸を有するとともに、そのうちの2つの回転軸が前記出力軸および駆動軸に結合されたプラネタリギヤと、残余の回転軸に結合された電動発電機とを有し、
前記保持機構は、該プラネタリギヤの前記2つの回転軸を相互に結合することにより、該プラネタリギヤの全回転軸を一体的に回転させる機構であり、
前記ハイブリッド車両は、さらに、
前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態を含む複数の結合状態を実現するよう、前記結合機構および保持機構の動作を制御する制御部を備えるハイブリッド車両。 - 駆動軸から動力を出力して走行可能なハイブリッド車両であって、
出力軸を有するエンジンと、
前記駆動軸に結合された電動機と、
前記出力軸と駆動軸との間に結合され、電力のやりとりによって両回転軸間で伝達される動力の大きさを調整可能な動力調整装置と、
前記動力調整装置と電動機との結合および切り離しを行う結合機構と、
前記切り離しが行われた場合における前記動力調整装置での電力と動力との変換を可能とする保持機構とを備え、
前記動力調整装置は、3つの回転軸を有するとともに、そのうちの2つの回転軸が前記出力軸および駆動軸に結合されたプラネタリギヤと、残余の回転軸に結合された電動発電機とを有し、
前記保持機構は、該プラネタリギヤの前記2つの回転軸を相互に結合することにより、該プラネタリギヤの全回転軸を一体的に回転させる機構であり、
前記ハイブリッド車両は、さらに、
該車両の運転状態に関与した所定のパラメータを検出する検出手段と、
該検出結果に応じて前記結合機構および前記保持機構を制御して前記動力調整装置と前記電動機との結合状態を切り替える制御手段とを備え、
前記車両の運転状態は、車速および前記駆動軸から出力すべき要求トルクであり、
前記制御手段は、該車速および要求トルクに基づいて予め設定された領域内において、前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態とするハイブリッド車両。 - 駆動軸から動力を出力して走行可能なハイブリッド車両であって、
出力軸を有するエンジンと、
前記駆動軸に結合された電動機と、
前記出力軸と駆動軸との間に結合され、電力のやりとりによって両回転軸間で伝達される動力の大きさを調整可能な動力調整装置と、
前記動力調整装置と電動機との結合および切り離しを行う結合機構と、
前記切り離しが行われた場合における前記動力調整装置での電力と動力との変換を可能とする保持機構とを備え、
前記動力調整装置は、3つの回転軸を有するとともに、そのうちの2つの回転軸が前記出力軸および駆動軸に結合されたプラネタリギヤと、残余の回転軸に結合された電動発電機とを有し、
前記保持機構は、該プラネタリギヤの前記2つの回転軸を相互に結合することにより、該プラネタリギヤの全回転軸を一体的に回転させる機構であり、
前記ハイブリッド車両は、さらに、
該車両の運転状態に関与した所定のパラメータを検出する検出手段と、
該検出結果に応じて前記結合機構および前記保持機構を制御して前記動力調整装置と前記電動機との結合状態を切り替える制御手段とを備え、
前記車両の運転状態は、車速および前記駆動軸から出力すべき要求トルクであり、
前記制御手段は、該車速および要求トルクに相当する動力を出力する場合の前記エンジンの運転効率が、前記動力調整装置による調整を行わなくても所定値以上となる条件が満たされる場合には、前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態とするハイブリッド車両。 - 駆動軸から動力を出力して走行可能なハイブリッド車両であって、
出力軸を有するエンジンと、
前記駆動軸に結合された電動機と、
前記出力軸と駆動軸との間に結合され、電力のやりとりによって両回転軸間で伝達される動力の大きさを調整可能な動力調整装置と、
前記動力調整装置と電動機との結合および切り離しを行う結合機構と、
前記切り離しが行われた場合における前記動力調整装置での電力と動力との変換を可能とする保持機構とを備え、
前記動力調整装置は、3つの回転軸を有するとともに、そのうちの2つの回転軸が前記出力軸および駆動軸に結合されたプラネタリギヤと、残余の回転軸に結合された電動発電機とを有し、
前記保持機構は、該プラネタリギヤの前記2つの回転軸を相互に結合することにより、該プラネタリギヤの全回転軸を一体的に回転させる機構であり、
前記ハイブリッド車両は、さらに、
該車両の運転状態に関与した所定のパラメータを検出する検出手段と、
該検出結果に応じて前記結合機構および前記保持機構を制御して前記動力調整装置と前記電動機との結合状態を切り替える制御手段とを備え、
前記車両の運転状態は、前記駆動軸から出力すべき要求トルクであり、
前記制御手段は、該要求トルクが所定値以上であるときは、前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態とするハイブリッド車両。 - 請求項3ないし5のいずれか記載のハイブリッド車両であって、
前記電動機および電動発電機に電力を供給する電源を有し、
前記車両の運転状態は、該電源から供給可能な電力量を含み、
前記制御手段は、更に、該電力量が予め設定された所定値以上の場合に限り、前記直結状態を実現するハイブリッド車両。 - 請求項3ないし5のいずれか記載のハイブリッド車両であって、
前記制御手段は、車両の運転状態に対し運転効率の高い結合状態を実現する手段であるハイブリッド車両。 - 請求項3ないし5のいずれか記載のハイブリッド車両であって、
前記検出手段は、シフトポジションが後退ポジションにあるか否かを検出する手段であり、
前記制御手段は、後退ポジションにあることが検出された場合に、前記結合機構の切り離しを行う手段であるハイブリッド車両。 - 請求項3ないし5のいずれか記載のハイブリッド車両であって、
前記検出手段は、停車中である否かを検出する手段であり、
前記制御手段は、停車中であることが検出された場合に、前記結合機構の切り離しを行う手段であるハイブリッド車両。 - 請求項3ないし5のいずれか記載のハイブリッド車両であって、
前記検出手段は、前記エンジンのモータリングを行うべき運転状態にあるか否かを検出する手段であり、
前記制御手段は、該運転状態にあることが検出された場合に、前記結合機構の切り離しを行う手段であるハイブリッド車両。 - 請求項3ないし5のいずれか記載のハイブリッド車両であって、
前記検出手段は、前記エンジンの運転を停止すべき運転状態にあるか否かを検出する手段であり、
前記制御手段は、該運転状態にあることが検出された場合に、前記結合機構の切り離しを行う手段であるハイブリッド車両。 - 請求項3ないし5のいずれか記載のハイブリッド車両であって、
該車両が走行するものとして予め設定された経路の状態について、車両の走行状態に関与する所定の情報を入力する経路情報入力手段を備え、
前記制御手段は、該経路情報をも考慮して前記切り替えを行う手段であるハイブリッド車両。 - 駆動軸から動力を出力して走行可能なハイブリッド車両の制御方法であって、
該ハイブリッド車両は、
出力軸を有するエンジンと、
前記駆動軸に結合された電動機と、
前記出力軸と駆動軸との間に結合され、電力のやりとりによって両回転軸間で伝達される動力の大きさを調整可能な動力調整装置と、
前記動力調整装置と電動機との結合および切り離しを行う結合機構と、
前記切り離しが行われた場合における前記動力調整装置での電力と動力との変換を可能とする保持機構とを備え、
前記動力調整装置は、3つの回転軸を有するとともに、そのうちの2つの回転軸が前記出力軸および駆動軸に結合されたプラネタリギヤと、残余の回転軸に結合された電動発電機とを有し、
前記保持機構は、該プラネタリギヤの前記2つの回転軸を相互に結合することにより、該プラネタリギヤの全回転軸を一体的に回転させる機構であり、
(a) 該車両の車速および前記駆動軸から出力すべき要求トルクを検出する工程と、
(b) 該車速および要求トルクが、予め設定された領域内にある場合には、前記結合機構および前記保持機構を、ともに結合させる直結状態とする工程とを備える制御方法。
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