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JP3594476B2 - 多孔質石英ガラス体の製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質石英ガラス体の製造方法に関し、特に半導体工業などで高純度石英を処理する装置等の断熱材などとして利用するに適した、多孔質石英ガラス体を工業的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱処理炉の断熱材として、アルミナ・シリカ系やジルコニア系などの種々の材質で構成されたものが用いられている。しかし、このような断熱材を半導体工業用高純度石英ガラスの製造装置、特に熱処理炉などに使用すると、断熱材に含まれる金属不純物が高温で揮発して、被処理物である石英ガラスの表面を汚染することがあり、品質低下の原因の一つとなっていた。
そして、このような断熱材からの金属不純物の揮発は、高温処理を反復するに従って徐々に低下するため、被処理物表面の汚染が許容レベルまで低下するに至るには、長時間の高温運転、いわゆる「枯らし」を行うことが必要とされていた。
【0003】
一方、石英ガラスは耐熱性が高いために、上記のような高純度石英ガラスの熱処理炉などに断熱材として利用することが提案されている。
特に、高純度石英ガラスの熱処理炉などに断熱材として、熱線の透過を遮断するために、内部に微小な気泡を包含させて赤外線を乱反射させることにより、断熱性を高めた不透明石英ガラスが知られている。
この不透明石英ガラスを得る方法として、珪酸質原料粉に窒化珪素微粉末を添加して溶融する方法(特開平4−65328号)や、その泡の径分布を20〜180μmとした不透明石英ガラス(特開平5−254882号)、更に、OH基を含有する粉末状シリカ又は多孔質状シリカ体をアンモニア雰囲気中で600〜1300℃の範囲の温度でアンモニア処理し、得られたアンモニア処理粉体を所定形状の型の中で加圧した後に、1400〜1900℃の温度で溶融発泡させるシリカ発泡体の製造方法(特開平5−17180号)などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかる多孔質石英ガラスを得るための発泡剤は、金属不純物の含有量の少ないことが望まれるが、純度の高い窒化珪素は極めて高価となり、経済的でないという課題があった。
また、アンモニアを発泡剤として使用すれば、アンモニアをOH基と反応させるための特殊な装置が必要となるほか、発泡剤に含まれる金属不純物の点での問題は軽減するものの、工程が複雑となることに伴う不純物の混入を防止する対策を強化する必要があり、これもまた経済的でないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、高純度の石英ガラスを製造する熱処理装置の断熱材等に、使用することができる多孔質石英ガラス体を、工業的に製造することができる改良された製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる多孔質石英ガラス体の製造方法は、シリコンアルコキシドの加水分解により得た水分含有乾燥シリカゲル粉末を、酸素水素炎中で加熱溶融して独立気泡体を形成することを特徴とする。
ここで、前記シリコンアルコキシドが、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランから選択された少なくも1種であることんが望ましい。
また、前記乾燥シリカゲル粉末が、5〜20重量%の水分を含有していることが望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の多孔質石英ガラス体の製造方法において、原料として用いられるシリコンアルコキシドは、各種のアルコキシル基を有するアルコキシシランやアルコキシシロキサンなどであってよく、例えばテトラエトキシシラン、テトラメトキシシランなどが好ましいが、テトラメトキシシランが特に好ましく用いられる。
かかるシリコンアルコキシドは、酸性或いは塩基性の触媒の存在下で水と反応させて加水分解し、シリカゾルを経て固化させるか、又はゾル化と平行して加温するなどの方法で固化させて湿潤ゲルとするが、かかる未乾燥シリカゲルは、原料に由来する水やアルコールなどを多量に含んでいる。
【0008】
このような未乾燥シリカゲル中の水やアルコールは、シリカゲルを乾燥しても完全に脱離することはなく、また加水分解やゲル化の条件並びに乾燥条件によって、アルコキシル基やシラノール基の残留量も変化する。
従って、本発明において用いられる乾燥シリカゲルとしては、乾燥による脱水が十分でなく、水分含有量が5〜20重量%の範囲にあるものであることが好ましい。これは、水分含有量が5重量%未満である場合には、石英ガラス体の熱伝導率が高く、充分な断熱効果を得ることができず、また水分含有量が20重量%を越えるある場合には、石英ガラス体の変形が著しく、気泡径が中心部ほど大きくなり、均一な気泡を得ることができないためである。
かかる水分を含有する乾燥シリカゲルは、水とその他の揮発成分とが共に発泡剤として作用して気泡を生成するので、目的とする多孔質石英ガラス体に含まれる気泡の径や数に応じて、適当な水分含有量を有する乾燥シリカゲルを選択して使用することが望ましい。
【0009】
また、シリコンアルコキシドの加水分解により得た水分含有乾燥シリカゲル粉末50重量%以上と、シリカ粉末50重量%以下の混合物を、酸素水素炎中で加熱溶融して独立気泡体を形成しても良い。
前記乾燥シリカゲルに併用できる原料であるシリカ粉末は、できるだけ純度の高い石英原料、例えばゾルゲル法によって製造されたシリカや、クリストバライト、水晶などの粉末が好ましい。かかるシリカ粉末の配合量は、乾燥シリカゲルの水分含有量に応じて、多孔質石英ガラス体の見掛け密度が所望の範囲に入るように、調整することが望ましい。
【0010】
このような乾燥シリカゲルだけの粉末、又は乾燥シリカゲルとシリカ粉末との混合物は、粉末状のまま酸素水素炎中に供給され、急速に加熱溶融されることにより独立気泡体に転化する。
即ち、シリカゲル粒子は溶融が始まると共に水分やアルコール等の脱離分解が起こり、粒子の内部に気泡が生成して相互に融着し、また混在するシリカ粉末とも融着して、堆積しつつ独立気泡体が順次成長し、多孔質石英ガラス体が得られる。
なお、前記乾燥シリカゲル粉末として、ナトリウム、カリウム、リチウム、銅、カルシウム、鉄、アルミニウム、及び硼素のいずれの含有量も0.1ppm 未満であるものを使用することが望ましい。これは、特に半導体工業で使用される高純度石英もしくは半導体ウエハを熱処理する装置に用いられる断熱材として、有効利用できるための範囲である。
【0011】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明の多孔質石英ガラス体の製造方法を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例の記載により何ら制限を受けるものではない。
【0012】
(第1実施例)
精製したテトラメトキシシランとメタノールとをモル比が1:3の割合で混合したのち、これに比抵抗率が13×10Ω・cmの純水を、テトラメトキシシランに対するモル比が1:10の割合となるように加え、均一な溶液を得た。この混合溶液を密閉容器に入れて35℃の温度に保って加水分解と重合反応をさせ、その後35時間かけて75℃まで昇温し、完全にゲル化させた。その後容器を開放して100℃で乾燥し、乾燥シリカゲルとしたのち粉砕して粒径100〜292μmの粉体とし、更にこれを水分含有量を約10重量%となるまで乾燥した。
【0013】
上記の乾燥シリカゲル粉末を酸素水素炎中に連続的に供給して加熱溶融し、外径が約150mm長さ約100mmの不透明な石英ガラス体Aを得た。この石英ガラス体A中に含まれる気泡は殆ど全てが独立気泡であり、径が50〜220μmの範囲で均一に分布しているものであった。
【0014】
(第2実施例)
第1実施例と同様の操作により、水分含有量を約5重量%になるまで乾燥した乾燥シリカゲル粉末を調製した。そして、この乾燥シリカゲル粉末を用いて第1実施例と同様に酸素水素炎で加熱溶融し、外径が約150mm長さ約100mmの不透明な石英ガラス体Bを得た。この石英ガラス体B中に含まれる気泡は殆ど全てが独立気泡であり、径が30〜190μmの範囲で均一に分布しているものであった。
【0015】
(第3実施例)
第1実施例と同様の操作により、水分含有量を約20重量%になるまで乾燥した乾燥シリカゲル粉末を調製した。そして、この乾燥シリカゲル粉末を用いて第1実施例と同様に酸素水素炎で加熱溶融し、外径が約150mm長さ約100mmの不透明な石英ガラス体Cを得た。この石英ガラス体C中に含まれる気泡は殆ど全てが独立気泡であり、径が100〜500μmの範囲で均一に分布しているものであった。
【0016】
(第1比較例)
第1実施例と同様の操作により、水分含有量を約1重量%になるまで乾燥した乾燥シリカゲル粉末を調製した。そして、この乾燥シリカゲル粉末を用いて第1実施例と同様に酸素水素炎で加熱溶融し、外径が約150mm長さ約100mmの半透明な石英ガラス体Dを得た。
この石英ガラス体D中に含まれる気泡は殆ど全てが独立気泡であったが、径が5〜55μmの範囲で均一に分布しているものであった。
【0017】
(第2比較例)
第2実施例と同様の操作により、水分含有量を約25重量%になるまで乾燥した乾燥シリカゲル粉末を調製した。そして、この乾燥シリカゲル粉末を用いて第1実施例と同様に酸素水素炎で加熱溶融し、外径が約150mm長さ約100mmの半透明な石英ガラス体Eを得た。
この石英ガラス体E中に含まれる気泡は殆ど全てが独立気泡であったが、その気泡径は中心部ほど大きなり、均一な気泡径を有するものではなかった。また石英ガラス体の変形が著しく実用に適するものではなかった。
【0018】
これらの実施例及び比較例で得られた多孔質石英ガラス体A〜Eについて、原子吸光分析法によって不純物含有量を分析したところ、ナトリウム、カリウム、リチウム、銅、カルシウム、鉄、アルミニウム、及び硼素のいずれもが、0.1ppm 以下であった。
また、JISのR1611(ファインセラミックスのレーザーフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率試験方法)に記載された方法に準じて、これらの多孔質石英ガラス体A〜Oの熱伝導率(W/m・K)を測定した結果を、別途に観察・測定した気泡径分布と併せて、以下の表1に示す。なお、比較例2については、前記したように実用に適さないものであるため、熱伝導率の測定及び気泡径分布の測定は行わなかった。
【0019】
【表1】
Figure 0003594476
【0020】
以上のことから明らかなように、本発明の多孔質石英ガラス体の製造方法によって製造される石英ガラス体は、断熱性に優れしかも被処理物に対する汚染を極めて少なくすることができるため、高純度石英ガラスの熱処理炉の内壁材に適している。
【0021】
【発明の効果】
本発明の多孔質石英ガラス体の製造方法は、シリコンアルコキシドの加水分解により得た水分含有乾燥シリカゲル粉末を、酸素水素炎中で加熱溶融して独立気泡体を形成するようになしているため、極めて不純物の含有量が少なく、且つ実質的に独立気泡のみからなる多孔質石英ガラス体が、簡素な工程で効率よく製造できる。
そして本発明の多孔質石英ガラス体は、高純度であって雰囲気に露出している表面積が小さいから、熱処理用炉の内壁面などに断熱材等として使用すると、被処理物に対する汚染を極めて少なくすることができる効果がある。

Claims (2)

  1. シリコンアルコキシドの加水分解により得た5〜20重量%の水分を含有している乾燥シリカゲル粉末を、酸素水素炎中で加熱溶融して独立気泡体を形成することを特徴とする多孔質石英ガラス体の製造方法。
  2. 前記シリコンアルコキシドが、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランから選択された少なくも1種であることを特徴とする請求項1に記載された多孔質石英ガラス体の製造方法。
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