JP3596211B2 - 溶着成形用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定性、二色成形などの溶着成形をした際の成形品の接着性が均衡して優れた溶着成形用樹脂組成物に関し、更には溶着成形によって得られる中空成形体などに適したナイロン樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン樹脂は、その優れた射出成形性、耐熱性、強靱性、耐オイル・ガソリン性、耐磨耗性などを利して、自動車、機械部品の分野で射出成形品として広範に利用されている。上記分野でのナイロン樹脂の開発経緯は基本的には金属材料からの代替が主体であり、軽量化、防錆化などの利点の多い部品から実用化が進んできた。更に最近はナイロン樹脂材料の高性能化および成形加工技術の進展に伴って、大型且つ複雑形状で、従来技術では樹脂化が困難とされてきた部品へのナイロン樹脂の適用が検討されるようになっている。このような難度の高い部品を樹脂化するためには射出成形や押し出し成形、ブロー成形などの単独成形技術だけでは不十分で、切削、接着、溶着などの後加工技術を組み合わせることが必要となる。しかし、従来のナイロン樹脂材料の設計はかかる後加工への適用性まで考慮したものとは言えず、たとえば2つ以上のパーツからなるガラス繊維強化ナイロン樹脂成形品を二色成形法などに代表される射出溶着法によって接着して用いる場合には特に部品が大型の場合、代表的なナイロン樹脂であるナイロン66樹脂では接着部分の強度が不十分であり、またナイロン6樹脂では吸水による寸法変化が大きいなどの問題のために使用が制限されるのが現状であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来のナイロン樹脂における問題点であった溶着成形時の接着性及び吸水時あるいは自動車不凍液との接触時の溶着部強度の改良を課題とし、更に成形性、耐熱性、強靱性、耐オイル・ガソリン性、耐磨耗性、成形品表面平滑性などナイロン樹脂本来の特性にも均衡して優れた溶着成形法に適したナイロン樹脂組成物を得ることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、ガラス繊維強化ナイロン樹脂においてマトリクス樹脂として特定の高級ナイロン樹脂とナイロン6樹脂またはナイロン6樹脂とナイロン66樹脂の混合物を併用し、更に銅化合物を含むことにより目的が達成されることを見出し本発明に到達した。即ち本発明は、
1.「(A)(a)アミド基1個当たりの炭素原子数が7以上である高級ナイロン樹脂ならびに(b)ナイロン6樹脂またはナイロン6樹脂とナイロン66樹脂の混合物を含有するナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部および(C)銅化合物0.01〜2重量部を含有してなることを特徴とする溶着成形用樹脂組成物。」、2.「(A)(a)アミド基1個当たりの炭素原子数が7以上である高級ナイロン樹脂および(b)ナイロン6樹脂またはナイロン6樹脂とナイロン66樹脂の混合物を含有するナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部からなり、該組成物をナイロン樹脂の融点より30℃高い温度で5分間溶融保持した後、融点より40℃低い温度において測定した半結晶化時間が40秒以上であることを特徴とする溶着成形用樹脂組成物。」
3.「(a)成分のナイロン樹脂が、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1010、ナイロン1012、ナイロン126、ナイロン129、ナイロン1210、ナイロン1212、ナイロン11、ナイロン12の中から選ばれる少なくとも1種である前記1または2記載の溶着成形用樹脂組成物。」
4.「銅化合物が1価の銅化合物である前記1に記載の溶着成形用樹脂組成物。」
5.「1価の銅化合物がハロゲン化第1銅である前記4記載の溶着成形用樹脂組成物。」
6.「(A)(a)アミド基1個当たりの炭素原子数が7以上である高級ナイロン樹脂ならびに(b)ナイロン6樹脂またはナイロン6樹脂とナイロン66樹脂の混合物を含有するナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部および(C)銅化合物0.01〜2重量部を混合することを特徴とする溶着成形用樹脂組成物の製造方法。」
7.「(A)(a)アミド基1個当たりの炭素原子数が7以上である高級ナイロン樹脂ならびに(b)ナイロン6樹脂またはナイロン6樹脂とナイロン66樹脂の混合物を含有するナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部を混合することを特徴とする組成物の製造方法であって、組成物がナイロン樹脂の融点より30℃高い温度で5分間溶融保持した後、融点より40℃低い温度において測定した半結晶化時間が40秒以上であるものである溶着成形用樹脂組成物の製造方法。」
8.「前記1〜5いずれかに記載の溶着成形用樹脂組成物を用いて溶着成形することを特徴とする溶着成形品の製造方法。」
9.「前記1〜5いずれかに記載の溶着成形用樹脂組成物を用いて溶着成形された溶着成形品。」を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0006】
本発明で(a)成分として用いられるナイロン樹脂は、アミド基1個当たりの炭素原子数が7以上である高級ナイロン樹脂であり、炭素数7以上のラクタムまたはアミノ酸、およびジアミンとジカルボン酸との組み合わせのうち、上記アミド基濃度の要件を満たす実質的当モル塩などのポリアミド形成性成分から誘導される構造単位を必須成分とする高級ナイロン樹脂である。これらのポリアミド形成性成分の例としては、11ーアミノウンデカン酸、12ーアミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、エナントラクタム、ωーラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2ーメチルペンタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4ー/2,4,4ートリメチルヘキサメチレンジアミン、5ーメチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3ービス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4ービス(アミノメチル)シクロヘキサン、1ーアミノー3ーアミノメチルー3,5,5ートリメチルシクロヘキサン、ビス(4ーアミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3ーメチルー4ーアミノシクロヘキシル)メタン、2,2ービス(4ーアミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2ークロロテレフタル酸、2ーメチルテレフタル酸、5ーメチルイソフタル酸、5ーナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられる。この中でも特に有用な高級ナイロン樹脂の具体的な例としては、ナイロン6・9、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン10・10、ナイロン10・12、ナイロン11・6、ナイロン11・10、ナイロン11・12、ナイロン12・6、ナイロン12・10、ナイロン12・12、ナイロン12T、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6T/6I共重合体、ナイロン6T/M−5T共重合体およびこれらの混合物、共重合体などを挙げることができる。
【0007】
ここで用いられる(a)ナイロン樹脂(a)の重合度には特に制限がないが、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の範囲のものが好ましく使用される。
【0008】
本発明において(b)成分としてナイロン6樹脂またはナイロン6樹脂とナイロン66樹脂の混合物が使用される。ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂とは各々ポリカプラミド、ポリヘキサメチレンアジパミドであるが、これらポリマーの諸特性を損なわない範囲(たとえば2重量%未満)で他のポリアミド成分が導入された共重合体も含まれる。ここで用いられるナイロン6樹脂およびナイロン66樹脂の重合度には特に制限がなく、1%の濃硫酸溶液中、25℃測定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に1.8〜4.0、更に2.0〜3.5の範囲のものが好ましく使用される。(A)ナイロン樹脂において、(a)の高級ナイロンの配合量は、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上の順に好ましく、また99重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、80重量%以下の順に好ましい。また(b)のナイロン6、ナイロン66の配合量はその和が、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上の順に好ましく、また99重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、80重量%以下の順に好ましい。
【0009】
本発明においてはマトリクス樹脂として前記高級ナイロン樹脂をナイロン6樹脂またはナイロン6樹脂とナイロン66樹脂の混合物と併せて使用することが二色成形などの射出溶着成形時の接着部強度の高い製品を得る上で、また溶着成形品が水や不凍液と接触した際の溶着部強度を高く維持する上で重要である。高級ナイロンの併用によって溶着成形時の接着部強度の高い製品が得られる理由は明確ではないが、樹脂組成物の固化・結晶化挙動がナイロン6樹脂やナイロン66樹脂あるいは高級ナイロン樹脂単体と比較して緩やかで、特に溶融状態から冷却された際の固化速度を反映する半結晶化時間が長いことが成形品接着部の混和性増大に有効に作用するものと推定される。
【0010】
本発明においては(B)成分として用いられるガラス繊維は平均繊維径5〜15μmのガラス繊維であり、その繊維長には特に制限はない。通常は押し出し混練作業性の高いストランド長3mmのガラス繊維が使用できるが、ストランド長1mm以上のガラス繊維と繊維長20〜500μmのガラス繊維を混合物として原料に使用することもできる。また、ストランド長の異なるガラス繊維を2種以上併用する際には、用いるガラス繊維の平均径が2μm以上異なる種類のものを使用することも好ましい方法である。
【0011】
本発明の樹脂組成物中の全ガラス繊維含有量はナイロン樹脂100重量部に対して10〜150重量部の範囲であり、20〜80重量部の範囲が更に好ましい。
【0012】
本発明で(C)成分として用いられる銅化合物が好ましく配合される。具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2ーメルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどとの錯化合物などが挙げられる。なかでも1価の銅化合物とりわけ1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第1銅、ヨウ化第1銅などを特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加量は生成する樹脂組成物の成形品を二色成形法で接着した際の溶着部強度を向上せしめるに足る量であるが、これには通常ナイロン樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部が求められ、さらに0.015〜1重量部の範囲であることが好ましい。銅化合物の添加量が0.01重量部に満たないと二色成形などの溶着成形した際の溶着部強度が不足となる傾向があり、逆に2重量部を越える量の添加では溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずることになる。本発明では銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリを添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
【0013】
本発明においては上記の特定のガラス繊維以外にも繊維状/非繊維状無機強化材を添加することも可能であり、それら強化剤の具体例としては、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状/非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
【0014】
また本発明のナイロン樹脂組成物にエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランの添加は、機械的強度、靱性などの向上に有効である。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
【0015】
さらに、本発明のナイロン樹脂組成物には、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、などの添加剤を添加することができる。
【0016】
本発明のナイロン樹脂組成物の調製方法は特定の方法に限定されないが、具体的且つ効率的な例として原料のナイロン樹脂、ガラス繊維および銅化合物の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど公知の溶融混練機に供給して用いるナイロン樹脂の融点に応じて180〜330℃の温度で溶融混練する方法などを挙げることができる。
【0017】
本発明において溶着成形時の接着強度向上に効果のある銅化合物の添加は上記溶融混練過程のいずれでなされても良い。 また、原料ナイロン樹脂の重合時に予め添加されていてもよい。このようにして得られた本発明のナイロン樹脂組成物は、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定性、溶着成形時の接着性が均衡して優れたものであり、二色成形として通常の2種以上の溶融樹脂を同時に射出または押し出し成形する成形法におけると同様、射出成形や押し出し成形、ブロー成形で得られた成形品を射出成形金型内にインサートし、次いで新たに射出成形を行って両者を接着せしめて用いる場合に特に有用であり、この利点を生かしてたとえば自動車のインテークマニホールドなどの吸気系部品、ウォーターインレット、ウォーターアウトレットなどの冷却系部品、フューエルインジェクション、フューエルデリバリーパイプなどの燃料系部品、オイルタンクなどの容器類といった中空形状部品用などに好適に用いることができる。
【0018】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例及び比較例中に示された配合割合は全て重量%である。
【0019】
また、以下の実施例において材料強度、流動性、成形品表面平滑性、溶着強度の評価は、次の方法により行った。
[材料強度]以下の標準方法に従って測定した。
引張強度 :ASTM D638
曲げ弾性率 :ASTM D790
[表面平滑性]80x80x3mmの角板を射出成形し、得られた成形品表面で蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、平滑性の指標とした。
○:蛍光灯の反射像が不明瞭ながらも観察される。
△:蛍光灯の反射像が観察できない。
[半結晶化時間]樹脂サンプル約10mgをDSC(パーキンエルマー7型)のサンプルパン中に採り、40℃/分の昇温速度で樹脂の融点+30℃まで昇温し、5分間保持する。次いで100℃/分の降温速度で融点マイナス40℃の温度まで急冷し、結晶化による発熱ピークが観測されるまでの時間を測定して半結晶化時間とした。
【0020】
[接着強度測定]
曲げ疲労測定用試験片を半割りした形であり、図1に示す表面形状で厚さ10mmの試験片を、以下説明する方法で得られた樹脂組成物を射出成形法で成形した。この成形片1つを曲げ疲労試験片用金型にインサートし、残りの部分を同じ樹脂組成物で新たに射出成形し、図1の辺Aが接合部となる図2に示す形状の成形品を得た。この成形品の引っ張り試験を行い、破断強度を接着強度1の値とした。
【0021】
別に得られた図1の形状を有する試験片2個を、辺A同士が接触するように金型にインサートし、図3に示すように、さらに辺Aを中心線として、新たに厚さ1mm、幅10mmの帯状部Bを、同じ樹脂組成物を用いて射出成形を行い、帯状部Bによって接着された接着試験片を得た。得られた試験片について曲げ強度を測定し、その値を接着強度2とした。
【0022】
実施例1
ナイロン樹脂、ガラス繊維および銅化合物の溶融混練は日本製鋼所製TEX30型2軸押し出し機を用いて行った。用いたナイロン樹脂、ガラス繊維、および銅化合物の種類と配合量は表2に示した。N11樹脂30重量部およびナイロン6樹脂の混合物70重量部からなるナイロン樹脂100重量部、 CuI 錯体(ヨウ化第1銅 / 2−メルカプトベンズイミダゾール=1 / 1錯体)0.4重量部をシリンダー温度280℃、スクリュー回転数150rpmの条件で運転中の押し出し機のフィーダーに供給し、ついで押し出し機先端部のサイドフィーダーから繊維径10μm、ストランド長3mmのガラス繊維50重量部を供給して溶融混練を行い、押し出しガットを冷却後ペレタイザーでペレット化した。
【0023】
ここで得られた樹脂組成物を種々の試験片に射出成形および溶着成形して表面平滑性、材料強度、接着強度などを測定した結果は表1に示すとおりであった。
【0024】
【表1】
【0026】
比較例1
ナイロン樹脂として相対粘度2.70のナイロン66のみを用いた以外は実施例1に記載した方法と全く同様に混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行った。その結果は表1に示すとおりであり、ここで得られた組成物は接着強度が実施例1に示す本発明の組成物に比べて不足であった。
【0027】
比較例2
ナイロン樹脂として相対粘度2.80のナイロン610のみを用いた以外は実施例1に記載した方法と全く同様に混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行った。その結果は表1に示すとおりであり、ここで得られた組成物も接着強度が実施例1に示す本発明の組成物に比べて不足であった。
【0028】
実施例2
表2に示すように用いるナイロン樹脂、ガラス繊維および銅化合物の種類と配合量を変えた以外は実施例1に記載した方法と全く同様の方法で溶融混練、ペレット化、射出成形、物性測定を行い、表1に示す結果を得た。ここで得られた組成物も表面平滑性、溶着強度の優れた実用価値の高いものであった。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のナイロン樹脂組成物は、耐熱性、成形製品表面外観、寸法安定性、溶着成形時の接着性が均衡して優れたものであり、溶着成形として通常の2種以上の溶融樹脂を同時に射出または押し出し成形する成形法におけると同様、射出成形や押し出し成形、ブロー成形で得られた成形品を射出成形金型内にインサートし、次いで新たに射出成形を行って両者を接着せしめて用いる場合に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用した二色成形される前の試験片の形状を示す平面図
【図2】実施例で引っ張り強度測定した試験片の平面図
【図3】実施例で曲げ強度を測定した試験片の平面図および側面図
Claims (9)
- (A)(a)アミド基1個当たりの炭素原子数が7以上である高級ナイロン樹脂ならびに(b)ナイロン6樹脂またはナイロン6樹脂とナイロン66樹脂の混合物を含有するナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部および(C)銅化合物0.01〜2重量部を含有してなることを特徴とする溶着成形用樹脂組成物。
- (A)(a)アミド基1個当たりの炭素原子数が7以上である高級ナイロン樹脂および(b)ナイロン6樹脂またはナイロン6樹脂とナイロン66樹脂の混合物を含有するナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部からなり、該組成物をナイロン樹脂の融点より30℃高い温度で5分間溶融保持した後、融点より40℃低い温度において測定した半結晶化時間が40秒以上であることを特徴とする溶着成形用樹脂組成物。
- (a)成分のナイロン樹脂が、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1010、ナイロン1012、ナイロン126、ナイロン129、ナイロン1210、ナイロン1212、ナイロン11、ナイロン12の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の溶着成形用樹脂組成物。
- 銅化合物が1価の銅化合物である請求項1に記載の溶着成形用樹脂組成物。
- 1価の銅化合物がハロゲン化第1銅である請求項4記載の溶着成形用樹脂組成物。
- (A)(a)アミド基1個当たりの炭素原子数が7以上である高級ナイロン樹脂ならびに(b)ナイロン6樹脂またはナイロン6樹脂とナイロン66樹脂の混合物を含有するナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部および(C)銅化合物0.01〜2重量部を混合することを特徴とする溶着成形用樹脂組成物の製造方法。
- (A)(a)アミド基1個当たりの炭素原子数が7以上である高級ナイロン樹脂ならびに(b)ナイロン6樹脂またはナイロン6樹脂とナイロン66樹脂の混合物を含有するナイロン樹脂100重量部に対して、(B)平均繊維径5〜15μmのガラス繊維10〜150重量部を混合することを特徴とする組成物の製造方法であって、組成物がナイロン樹脂の融点より30℃高い温度で5分間溶融保持した後、融点より40℃低い温度において測定した半結晶化時間が40秒以上であるものである溶着成形用樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜5いずれかに記載の溶着成形用樹脂組成物を用いて溶着成形することを特徴とする溶着成形品の製造方法。
- 請求項1〜5いずれかに記載の溶着成形用樹脂組成物を用いて溶着成形された溶着成形品。
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