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JP3596332B2 - 積層型燃料電池の運転方法、積層型燃料電池及び積層型燃料電池システム - Google Patents
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JP3596332B2 - 積層型燃料電池の運転方法、積層型燃料電池及び積層型燃料電池システム - Google Patents

積層型燃料電池の運転方法、積層型燃料電池及び積層型燃料電池システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型燃料電池の運転方法、積層型燃料電池及び積層型燃料電池システムに関し、さらに詳しくは、車載動力源、定置型小型発電器等として好適な積層型燃料電池の運転方法、積層型燃料電池及び積層型燃料電池システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、燃料の供給と燃焼生成物の排出とを連続的に行い、燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する電池であり、発電効率が高いこと、大気汚染物質の放出量が少ないこと、騒音が少ないこと、規模を自由に選べること、等の特徴を有している。
【0003】
燃料電池は、使用する電解質膜の種類により、固体高分子型、リン酸型、アルカリ型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型等に分類される。特に、電解質膜として固体高分子電解質を用いる固体高分子型燃料電池は、作動温度が低く、出力密度が高いことから、近年では、車載動力源、定置型の小型発電器等への応用が期待されているものである。
【0004】
図31に、固体高分子型燃料電池の基本構造の一例を示す。図31において、固体高分子型燃料電池の発電単位となる単電池2は、電解質膜12の両面に一対のガス拡散電極14、16を接合した電極・電解質接合体10を、セパレータ18、18で挟んだ構造をとっている。
【0005】
電解質膜12には、一般に、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)の商品名で知られるパーフルオロスルホン酸膜に代表されるフッ素系電解質膜が用いられている。
【0006】
また、ガス拡散電極14、16は、白金等の電極触媒を含む触媒層(図示せず)と、ガスが拡散可能な多孔質材料からなる拡散層(図示せず)の2層からなっている。
【0007】
さらに、セパレータ18、18は、集電性能が高く、酸化水蒸気雰囲気下でも安定な緻密質のグラファイトが一般に用いられる。また、セパレータ18、18には、反応ガスや水などの物質を電解質膜12に供給するためのガス流路18bが設けられている。
【0008】
このような構造を有する単電池2の一方のガス拡散電極14(燃料極)側に改質ガス等の水素を含む燃料ガスを流し、他方のガス拡散電極16(空気極)側に空気等の酸素を含む酸化剤ガスを流すと、電極反応が進行し、その際の自由エネルギー変化を、直接、電気エネルギーとして取り出すことができる。
【0009】
しかしながら、図31に示す単電池2の起電力は1V前後であり、そのままでは実用に供することができない。そのため、通常は、高出力を得るために、単電池2を直列に数百セル積層し、これに燃料、空気、冷却水の出入りを一括して行う装置を取り付けて容器内に納めた燃料電池の積層体(以下、これを「積層型燃料電池」という)として実用に供されている。
【0010】
図32に、積層型燃料電池の構造の一例を示す。図32において、積層型燃料電池20は、図31に示す単電池2を数セル積層する毎に、各単電池2を最適温度に保持するための冷却板22を配置し、さらに積層された単電池2の上下を締付板24、24で締結した構造をとっている。
【0011】
この場合、積層された各単電池2は、一般に、同一のガス流路構造及び電極構造を備えている。また、積層型燃料電池20の側面には、一対の燃料マニホールド34、34及び一対の空気マニホールド36、36が設けられ、各単電池2に、同一流量及び同一圧力の燃料ガス及び空気を配流させるようになっている。
【0012】
さらに、固体高分子型燃料電池においては、電解質膜12を正常に機能させるためには、電解質膜12の含水率を適切に管理する必要がある。そのため、反応ガスは、図示しない加湿器を用いて加湿されおり、その加湿量は、単電池2内で水分の過不足が生じないように、電池温度及び電流密度に応じて調整されている。この点は、リン酸型燃料電池、アルカリ型燃料電池等においても同様であり、電解質膜を正常に機能させるために、適宜、反応ガスの加湿が行われている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単電池を数セル積層する毎に冷却板22を配置した場合には、冷却板22からの距離が長くなるほど単電池2の冷却効率が低下する。その結果、冷却板22から遠い位置にあるガス拡散電極(以下、単に「電極」という)と、近い位置にある電極との間に温度差が発生する。しかも、その温度差は、積層型燃料電池20の出力が大きくなるほど拡大する傾向にある。
【0014】
一方、同一のガス流路構造及び電極構造を有する単電池2に対し、1対の燃料極マニホールド34、34、及び1対の空気マニホールド36、36を介して、流量、圧力及び加湿量の等しい反応ガスを供給する従来型の積層型燃料電池20においては、温度環境の異なる全ての単電池2に対して、最適な加湿量及びガス流量を設定することができない。
【0015】
そのため、電解質膜の水管理が必要な燃料電池において、反応ガスの加湿条件を低温の単電池2に合わせた場合には、高温の単電池2において、電解質膜の含水率が低下するドライアップが発生し、セル電圧が低下する。また、反応ガスの加湿条件を高温の単電池2に合わせた場合には、低温の単電池2において、排水能力が低下し、フラッディングによりセル電圧が低下する。その結果、積層型燃料電池全体のエネルギー効率が低下するという問題がある。
【0016】
この問題を解決するために、すべての単電池2間に冷却板22を設け、各単電池2を均一に冷却することも有効と考えられる。しかしながら、すべての単電池2間に冷却板22を設けるのは、積層型燃料電池の体積を増加させ、単位体積当たりの出力を低下させるという問題がある。
【0017】
さらに、加湿条件を高温の単電池2に合わせた場合には、低温の単電池2において、排水能力が低下し、ガス流路に液体水が滞留する場合がある。液体水が滞留したガス流路(この場合、低温の単電池2)では、ガス流通抵抗が高くなり、ガスの流入量が相対的に少なくなる。直列に積層された燃料電池では、各単電池2での反応量(=電流値or消費ガス量)は一定であるので、ガスの流入量の少なくなったセルでは、ガス量の不足による電圧低下が生じ、その結果、積層型燃料電池全体のエネルギー効率が低下するという問題がある。
【0018】
本発明が解決しようとする課題は、電解質膜の含水率の管理が必要な燃料電池において、単位体積当たりの出力を低下させることなく、各単電池の温度差に起因するセル電圧のばらつきを抑制することができ、これにより高いエネルギー効率が得られる積層型燃料電池の運転方法、積層型燃料電池及び積層型燃料電池システムを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る積層型燃料電池の運転方法は、電解質の片面に空気極、他面に燃料極を接合し、これをガス流路を備えたセパレータで挟持した単電池が複数個積層された単位モジュールと、該単位モジュール間に配置された冷却手段とを備えた積層型燃料電池であって、前記各単電池に供給される水分量と、前記各単電池から排出される水分量とが前記各単電池毎に均衡するように、前記各単電池毎に異なるガス流路構造及び/又は電極構造を備えているものに、流量、圧力及び加湿量の等しい反応ガスを供給し、該反応ガスを前記各単電池に分配することを要旨とするものである。
【0020】
上記構成を有する本発明に係る積層型燃料電池の運転方法によれば、積層された各単電池毎に、流量、圧力及び/又は加湿量の異なるガスが供給及び/又は排出されるので、水分量が不足した単電池に対してのみ、供給される水分量を増加させ、あるいは、排出される水分量を減少させることができる。同様に、水分量が過剰となった単電池に対してのみ、供給される水分量を減少させ、あるいは、排出される水分量を増加させることもできる。そのため、単電池の積層方向に向かって温度分布が発生した場合であっても、セル電圧のばらつきが小さくなり、積層型燃料電池全体のエネルギー効率が向上する。
【0021】
また、本発明に係る積層型燃料電池は、電解質の片面に空気極、他面に燃料極を接合し、これをガス流路を備えたセパレータで挟持した単電池が複数個積層された単位モジュールと、該単位モジュール間に配置された冷却手段とを備え、前記各単電池は、該各単電池供給される水分量と前記各単電池から排出される水分量とが前記各単電池毎に均衡するように、前記各単電池毎に異なるガス流路構造及び/又は電極構造を備えていることを要旨とするものである。
【0022】
この場合、前記ガス流路構造及び/又は前記電極構造は、高温単電池の空気流入量を小さくするものであることが望ましい。また、前記ガス流路構造及び/又は電極構造は、高温単電池の燃料ガス流入量を大きくするものであってもよい。あるいは、前記ガス流路構造及び/又は前記電極構造は、高温単電池の流路内圧を高くするものであってもよい。
【0023】
また、電解質の片面に空気極、他面に燃料極を接合し、これをガス流路を備えたセパレータで挟持した単電池が複数個積層された単位モジュールと、該単位モジュール間に配置された冷却手段とを備えた積層型燃料電池において、高温単電池からの水分の排出量を低下させる及び/又は低温単電池からの水分の排出量を増加させるよう、前記各単電池のガス流路構造及び/又は電極構造を変化させても良い。
【0024】
この場合、高温単電池の空気極に含まれる空気極拡散層の通気性は、他の単電池の空気極に含まれる空気極拡散層の通気性より小さいことが望ましい。
【0025】
上記構成を有する本発明に係る積層型燃料電池によれば、積層方向の温度分布に応じて、各単電池のガス流路構造及び/又は電極構造が異なっているので、1つの反応ガス供給系統を用いて各単電池に反応ガスを分配する場合であっても、各単電池の電極に供給される反応ガスの流量及び/又は圧力、あるいは、各単電池に供給・排出される水分量を個別に増減させることができる。
【0026】
そのため、温度環境の異なる単電池毎又は単電池グループ毎に、ガス流路構造及び/又は電極構造を適切に設計すれば、単電池の積層方向に向かって温度分布が生じた場合であっても、各単電池へ供給される水分量と各単電池から排出される水分量とを、単電池毎に均衡させることができる。換言すれば、高温単電池から排出される水分量を低下させ、低温単電池から排出される水分量を増加させることができる。
【0027】
その結果、各単電池のセル電圧のばらつきが小さくなり、積層型燃料電池全体のエネルギー効率を向上させることができる。しかも、冷却手段の数を増加させることなく積層型燃料電池のエネルギー効率を向上させることができるので、単位体積当たりの出力を低下させることもない。
【0028】
また、本発明に係る燃料電池システムは、電解質膜の両面に電極を接合し、これをガス流路を備えたセパレータで挟持した単電池が複数個積層された単位モジュールと、該単位モジュール間に配置された冷却手段とを備えた積層型燃料電池と、前記各単電池又は前記単電池のグループ毎に、その作動状態を検出する検出手段と、前記各単電池又は前記単電池のグループ毎に、流量、圧力及び/又は加湿量の異なる反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、該検出手段により検出された作動状況に基づき、前記各単電池又は前記単電池のグループ毎に供給される反応ガスの流量、圧力及び/又は加湿量を個別に制御する制御手段とを備えていることを要旨とするものである。
【0029】
上記構成を有する本発明に係る燃料電池システムによれば、積層された各単電池、又は各単電池グループの作動状況が検出手段により個別に検出され、検出された作動状況に基づき、制御手段により流量、圧力又は加湿量が個別に制御された反応ガスが、各単電池又は各単電池グループにそれぞれ配流される。
【0030】
そのため、各単電池又は各単電池グループに供給される反応ガスの流量、圧力又は加湿量を適切に制御すれば、単電池の積層方向に向かって温度分布が生じた場合であっても、各単電池の電解質膜の水収支の不均一や、反応ガスの相対的な過不足を解消することができる。その結果、各単電池のセル電圧のばらつきが小さくなり、燃料電池システム全体のエネルギー効率を向上させることができる。しかも、冷却手段の数を増加させることなく燃料電池システムのエネルギー効率を向上させることができるので、単位体積当たりの出力を低下させることもない。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本発明に係る積層型燃料電池は、複数個の単電池が積層された単位モジュールと、単位モジュール毎に設けられる冷却手段とを備えている。図1に、本発明の第1の実施の形態に係る積層型燃料電池40の基本構造となる単位モジュール42の断面図を示す。
【0032】
図1(a)において、単位モジュール42は、2個の単電池、すなわち単電池44及び単電池45が積層された構造になっている。単電池44は、電解質膜46の両面に、それぞれ燃料極48及び空気極50を接合した電極・電解質膜接合体(以下、これを単に「接合体」という)52と、接合体52を両面から挟持するためのセパレータ54及びセパレータ56からなっている。
【0033】
また、単電池45は、電解質膜66の両面に、それぞれ燃料極68及び空気極70を接合した接合体72と、接合体72を両面から挟持するセパレータ56及びセパレータ58からなっており、単電池44とは、セパレータ56を共用した構造になっている。
【0034】
セパレータ54の一方の面には、接合体52の空気極50に空気を供給するためのガス流路(以下、これを「空気流路」という)54cが設けられている。また、セパレータ54の他方の面には、溝状の冷媒流路60が設けられ、単位モジュール42を積層したときに形成される空洞内に、水、不活性ガス等の冷媒を流せるようになっている。
【0035】
セパレータ56の一方の面には、接合体52に燃料ガスを供給するためのガス流路(以下、これを「燃料流路」という)56aが設けられている。また、セパレータ56の他方の面には、接合体72に空気を供給するための空気流路56cが設けられている。さらに、セパレータ58には、接合体72に燃料ガスを供給するための燃料流路58aが設けられている。
【0036】
ここで、図1(b)に示すように、空気流路56cの溝の深さDC2は、空気流路54cの溝の深さDC1より小さくなっており、空気流路56cの断面積の方が小さくなっている。この点、積層された各単電池の空気流路の構造をすべて同一とする、従来型の積層型燃料電池とは異なっている。
【0037】
なお、本実施の形態の場合、燃料流路56aの溝の深さDA1は、燃料流路58aの溝の深さDA2と同一になっている。また、接合体72の燃料極68及び空気極70の電極構造は、それぞれ、接合体52の燃料極48及び空気極50の電極構造と同一になっている。
【0038】
そして、このような構造を有する単位モジュール42を積層し、さらに、各単電池44、45に、それぞれ、空気及び燃料ガスを供給するための一対の空気マニホールド及び一対の燃料マニホールド(いずれも図示せず)を取り付ければ、積層型燃料電池40となる。
【0039】
なお、本発明は、電解質膜46、66の含水率の管理が必要な燃料電池に対して適用される。具体的には、電解質膜46、66として、固体高分子電解質、濃厚リン酸又はアルカリ溶液を用いる固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池又はアルカリ型燃料電池が好適な一例として挙げられる。
【0040】
特に、固体高分子型燃料電池に対して本発明を適用した場合には、単位体積当たりの出力を低下させることなく、電解質膜46、66のドライアップ又はフラッディングに起因する出力低下が軽減されるので、車載動力源に適した積層型燃料電池が得られるという利点がある。
【0041】
また、図1に例示する単位モジュール42においては、反応ガスを反対方向に流す、いわゆるカウンターフロー方式が採用されているが、反応ガスの流し方はこれに限定されるものではない。例えば、反応ガスを同一方向に流すコフロー方式でも良く、あるいは、直角方向に流すクロスフロー方式でも良い。
【0042】
さらに、冷却手段も、図1に例示する構造に限定されるものではない。例えば、内部に冷媒流路を備えた平板状の冷却板を単位モジュール42に隣接して設けてもよい。あるいは、単位モジュール42の両端に配したセパレータ54、58の内部に冷媒流路を設け、セパレータを直接、冷却するようにしても良い。
【0043】
次に、本発明に第1の実施の形態に係る積層型燃料電池40の作用について説明する。図7は、単電池44(45)内の水の流れを模式的に示したものである。単電池44(45)内における水の収支は、以下のような形で行われる。
【0044】
すなわち、図7に示すように、加湿された燃料ガスが燃料極48(68)側に供給されると、燃料ガスから燃料極48(68)に水が供給される。燃料極48(68)に供給された水は、電気浸透により、水素イオンと共に電解質膜46(66)を通って空気極50(70)側へ移動する。
【0045】
一方、空気極50(70)側では、電極反応により水が生成する。また、電極反応により生成した水、及び電気浸透により燃料極48(68)側から空気極50(70)側へ移動した水の一部は、拡散により燃料極48(68)側に移動し、他の一部は、空気極50(70)側から燃料電池外へ排出される。従って、安定した発電特性を維持するためには、これらの収支がバランスすることが重要である。
【0046】
ここで、単電池44、45への水の供給、及び単電池44、45からの水の排出が、全て水蒸気の形で行われるものと仮定し、空気極50、70側から出ガス流と共に水蒸気として排出することができる最大の水分量(以下、これを「最大排水量」という)をWCout−MAXとおくと、WCout−MAXは、次の数1の式で表すことができる。
【0047】
【数1】
Figure 0003596332
【0048】
また、空気極50、70側へ持ち込まれる水の量(以下、これを「総水供給量」という)をWCin−totalとおくと、WCin−totalは、次の数2の式で表すことができる。
【0049】
【数2】
Figure 0003596332
【0050】
ここで、空気極50、70側の最大排水量WCout−MAXが、総水供給量WCin−totalより少ない場合には、雰囲気中の水分は余剰気味となる。そのため、余分の水が空気極50、70の細孔を閉塞してガスの供給を阻害する「フラッディング」が発生し、セル電圧が低下する。逆に、空気極50、70側の最大排水量WCout−MAXが総水供給量WCin−totalより多い場合には、雰囲気は乾燥気味となる。そのため、電解質膜46、66の含水率が低下して膜抵抗が増大する「ドライアップ」が発生し、セル電圧が低下する。
【0051】
従って、安定した発電性能を維持するためには、これらの収支をバランスさせ、空気極50、70側における電解質膜46、66の含水率を適正に維持することが重要である。
【0052】
ところで、数1の式における飽和水蒸気圧pWc−satは、空気極側の温度のみで決まるパラメータであり、温度が高いほど大きくなる傾向にある。従って、すべての単電池の構造を同一とし、全ての単電池に対して同一流量の反応ガスを供給する場合であっても、各単電池の温度が均一である時には、飽和水蒸気圧pWc−satはすべての単電池で同一となるので、すべての単電池において水収支がバランスし、セル電圧にばらつきが生ずることはない。
【0053】
しかしながら、例えば図8(b)に示すように、電解質膜12として固体高分子電解質膜を用い、同一のガス流路構造及び電極構造を有する2個の単電池2を積層する毎に冷媒流路22aを設けて積層型燃料電池38とした場合には、各単電池2の冷却効率に差が生じる。
【0054】
その結果、各燃料極14a、14bの温度(以下、これを「アノード温」という)及び空気極16a、16bの温度(以下、これを「カソード温」という)には、冷媒流路22aからの距離に応じた差が発生する。この温度差は、図8(a)に示すように、積層型燃料電池38の電流密度が大きくなるほど拡大する傾向にある。
【0055】
このような積層型燃料電池38に流量及び加湿量が同一である空気を均一に供給した場合には、空気極16a側と空気極16b側では飽和水蒸気圧pWc−satが異なるために、空気極16a、16b側の最大排水量WCout−MAXにばらつきが生じ、一部の電解質膜12において、水収支に過不足が生じる。
【0056】
そのため、例えば、空気極16a、16b側の加湿量をカソード温の低い空気極16aに合わせて設定した場合において、低電流密度の時には、図9(a)に示すように、セル電圧に大きなばらつきは生じないが、図9(b)に示すように、高電流密度の時には、カソード温の高い空気極16bのセル電圧がドライアップにより低下し、積層型燃料電池38全体の出力が低下する。
【0057】
また、図10(b)に示すように、電解質膜12として固体高分子電解質膜を用い、同一のガス流路構造及び電極構造を有する3個の単電池2を積層する毎に冷媒流路22aを設けて積層型燃料電池39とした場合も同様であり、カソード温及びアノード温には、図10(a)に示すように、冷媒流路22aからの距離に応じた温度差が発生する。
【0058】
そのため、例えば、空気極16a、16b、16c側の加湿量をカソード温の最も低い空気極16aに合わせて設定した場合には、図11に示すように、カソード温が高くなるほど、ドライアップによりセル電圧が低下し、積層型燃料電池39全体の出力が低下する。
【0059】
これに対し、図1に示す積層型燃料電池40においては、カソード温の高い空気極(以下、これを「高温空気極」という)70側の空気流路56cの断面積が、カソード温の低い空気極(以下、これを「低温空気極」という)50側の空気流路54cの断面積より小さくなっている。
【0060】
そのため、入り空気中に含まれる水の量(以下、これを「空気加湿量」という)WCinを低温空気極50に合わせて小さく設定した場合であっても、高温空気極70側では、数1の式に示す空気極入り空気流量(以下、これを単に「空気流量」という)fAirinが小さくなるので、高温空気極70側の最大排水量WCout−MAXを小さくすることができる。その結果、高温空気極70側のドライアップに起因するセル電圧の低下が抑制され、積層型燃料電池40全体の出力を向上させることができる。
【0061】
同様に、空気加湿量WCinを高温空気極70に合わせて大きく設定した場合であっても、低温空気極50では、数1の式に示す空気流量fAirinが大きくなるので、低温空気極50側の最大排水量WCout−MAXを大きくすることができる。その結果、低温空気極50側のフラッディングに起因するセル電圧の低下が抑制され、積層型燃料電池40全体の出力を向上させることができる。
【0062】
単位モジュール42を構成する単電池の積層数を3個以上とする場合も同様であり、カソード温が高くなるほど空気流量が小さくなるように、各単電池の空気流路の構造、すなわち、溝の深さ、断面積等を変化させれば、空気極のドライアップ又はフラッディングに起因するセル電圧の低下を抑制することができる。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る積層型燃料電池について説明する。図2に、本発明の第2の実施の形態に係る積層型燃料電池74の基本構造となる単位モジュール76の断面図を示す。
【0064】
図2において、単位モジュール76は、高温空気極70側の空気流路56cの溝の深さDC2を、低温空気極50側の空気流路54cの溝の深さDC1と同一とし、空気流路56cの入口側に、多孔体78を設けた以外は、図1に示す単位モジュール42と同様の構成を有している。
【0065】
このような構成を有する単位モジュール76が積層された積層型燃料電池74によれば、高温空気極70側の空気流路56cの流路抵抗は、低温空気極50側の空気流路54cより大きいので、これに圧力及び加湿量の等しい空気を供給した場合には、高温空気極70側の空気流量を小さくすることができる。
【0066】
そのため、空気加湿量WCinを低温空気極50に合わせて小さく設定した場合であっても、高温空気極70側のドライアップに起因するセル電圧の低下を抑制することができる。同様に、空気加湿量WCinを高温空気極70に合わせて大きく設定した場合であっても、低温空気極50側のフラッディングに起因するセル電圧の低下を抑制することができる。
【0067】
単位モジュール76を構成する単電池の積層数を3個以上とする場合も同様であり、カソード温が高くなるほど空気流量が小さくなるように、各単電池の空気流路の構造、すなわち、多孔体の断面積、大きさ、気孔径、気孔率等を変化させれば、空気極のドライアップ又はフラッディングに起因するセル電圧の低下を抑制することができる。
【0068】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る積層型燃料電池について説明する。図3に、本発明の第3の実施の形態に係る積層型燃料電池80の基本構造となる単位モジュール82の断面図を示す。
【0069】
図3において、単位モジュール82は、高温空気極70側の空気流路56cの溝の深さDC2を、低温空気極50側の空気流路54cの溝の深さDC1と同一とし、空気流路56cの入口側に、障害板84を設けた以外は、図1に示す単位モジュール42と同様の構成を有している。
【0070】
このような構成を有する単位モジュール82が積層された積層型燃料電池80によれば、図2に示す単位モジュール76と同様、空気流路56cの流路抵抗が大きくなるので、空気流路56cの空気流量を小さくすることができる。これにより、積層方向の温度分布に起因するドライアップ及びフラッディングが抑制され、積層型燃料電池80全体の出力を向上させることができる。
【0071】
単位モジュール82を構成する単電池の積層数を3個以上とする場合も同様であり、カソード温が高くなるほど空気流量が小さくなるように、各単電池の空気流路の構造、すなわち、障害板の面積、取付角度、形状等を変化させれば、空気極のドライアップ又はフラッディングに起因するセル電圧の低下を抑制することができる。
【0072】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る積層型燃料電池について説明する。図4に、本発明の第4の実施の形態に係る積層型燃料電池86の基本構造となる単位モジュール88の断面図を示す。
【0073】
図4において、単位モジュール88は、高温空気極70側の空気流路56cの溝の深さDC2と、低温空気極50側の空気流路54cの溝の深さDC1を同一とし、空気流路56cの出口側、及び空気流路54cの入口側に、それぞれ、突起56d及び54dを設けた以外は、図1に示す単位モジュール42と同様の構成を有している。
【0074】
このような構造を有する単位モジュール88が積層された積層型燃料電池86によれば、高温空気極70側の空気流路56cには、出口側に突起56dが設けられているので、出口側の流路抵抗が増大する。一方、低温空気極50側の空気流路54cには、入口側に突起54dが設けられているので、入口側の流路抵抗が増大する。その結果、空気流路56c内の内圧は、空気流路54c内の内圧より高くなる。
【0075】
そのため、空気加湿量WCinを低温空気極50に合わせて小さく設定した場合であっても、高温空気極70では、数1の式に示すカソード側のセル内圧Pが大きくなるので、高温空気極70側の最大排水量WCout−MAXを小さくすることができる。その結果、高温空気極70のドライアップに起因するセル電圧の低下が抑制され、積層型燃料電池86全体の出力を向上させることができる。
【0076】
同様に、空気加湿量WCinを高温空気極70に合わせて大きく設定した場合であっても、低温空気極50では、数1の式に示すカソード側のセル内圧Pが小さくなるので、低温空気極50側の最大排水量WCout−MAXを大きくすることができる。その結果、低温空気極50のフラッディングに起因するセル電圧の低下が抑制され、積層型燃料電池86全体の出力を向上させることができる。
【0077】
単位モジュール88を構成する単電池の積層数を3個以上とする場合も同様であり、カソード温が高くなるほど空気流路の内圧が高くなるように、各単電池の空気流路の構造、すなわち、突起の大きさ、取付位置等を変化させれば、空気極側のドライアップ又はフラッディングに起因するセル電圧の低下を抑制することができる。
【0078】
次に、本発明の第5の実施の形態に係る積層型燃料電池について説明する。本発明の第5の実施の形態に係る積層型燃料電池の基本構造となる単位モジュールは、図示はしないが、高温空気極70側の空気流路56cの溝の深さDC2と、低温空気極50側の空気流路54cの溝の深さDC1を同一とし、高温空気極70の通気性を、低温空気極50の通気性より小さくした点以外は、図1に示す単位モジュール42と同様の構成を有している。
【0079】
このような電極構造の異なる単電池が積層された積層型燃料電池によれば、高温空気極70の通気性が小さいために、数2の式に示す電極反応で生成した水Wgenと、高温空気極70側に移動する水Wdragが高温空気極70を通って空気流路56c側に排出されにくくなる。
【0080】
そのため、空気加湿量WCinを低温空気極50に合わせて小さく設定した場合には、高温空気極70側の最大排水量WCout−MAXは、計算上、総水供給量WCin−totalより大きくなるが、実際に排出される水分量は、WCin−totalより小さくなる。その結果、高温空気極70側のドライアップに起因するセル電圧の低下が抑制され、積層型燃料電池全体の出力を向上させることができる。
【0081】
同様に、空気加湿量WCinを高温空気極70に合わせて大きく設定した場合であっても、低温空気極50の通気性が大きいために、低温空気極50からの水の排出が促進される。その結果、低温空気極50のフラッディングに起因するセル電圧の低下が抑制され、積層型燃料電池全体の出力を向上させることができる。
【0082】
単位モジュールを構成する単電池の積層数を3個以上とする場合も同様であり、カソード温が高くなるほど空気極の通気性が小さくなるように、各単電池の空気極の電極構造、すなわち、拡散層の厚さ、気孔径、気孔率等を変化させれば、空気極側のドライアップ又はフラッディングに起因するセル電圧の低下を抑制することができる。
【0083】
以上のように、積層型燃料電池に備えられる各単電池の温度ばらつきに起因する空気極側のドライアップ及びフラッディングを抑制するためには、空気極側の水収支をバランスさせ、電解質膜の含水状態の不均一を解消することが有効である。この点は、燃料極側も同様である。以下に、燃料極側の水収支をバランスさせるための具体的方法について説明する。
【0084】
図5に、本発明の第6の実施の形態に係る積層型燃料電池90の基本構造となる単位モジュール92の断面図を示す。図5において、単位モジュール92は、アノード温の高い燃料極(以下、これを「高温燃料極」という)48側の燃料流路56aの溝の深さDA1が、アノード温の低い燃料極(以下、これを「低温燃料極」という)68側の燃料流路58aの溝の深さDA2より大きくなっている。
【0085】
なお、本実施の形態の場合、高温空気極70側の空気流路56cの溝の深さDC2は、低温空気極50側の空気流路54cの溝の深さDC1と同一になっている。また、その他の点は、図1に示す単位モジュール42と同様の構成を有している。
【0086】
次に、本発明の第6の実施の形態に係る積層型燃料電池90の作用について説明する。単電池44、45への水の供給、及び単電池44、45からの水の排出が、すべて水蒸気の形で行われるものと仮定すると、燃料極48、68側に供給される水の供給量は、燃料入りガス中に含まれる水分量(以下、これを「燃料加湿量」という)に等しい。そこで、燃料加湿量をWAinとおくと、WAinは、次の数3の式で表すことができる。
【0087】
【数3】
Figure 0003596332
【0088】
また、燃料極出ガスと共に燃料電池外へ排出される水の量(以下、これを「総排水量」という)をWAoutとおくと、総排水量WAoutは、次の数4の式で表すことができる。
【0089】
【数4】
Figure 0003596332
【0090】
さらに、燃料極48、68側から電解質膜46、66に補給される水の量(以下、これを「補給水量」という)をWAgainとおくと、補給水量WAgainは、数3の式及び数4の式より、次の数5の式で表すことができる。
【0091】
【数5】
Figure 0003596332
【0092】
ここで、燃料極48、68側の総排水量WAoutが、燃料加湿量WAinより少ない場合には、燃料極48、68側の水分は、余剰気味となる。逆に、WAoutがWAinより多い場合には、雰囲気は乾燥気味となる。従って、安定した発電性能を維持するためには、これらの収支をバランスさせ、燃料極48、68側における電解質膜46、66の含水率を適正に維持することが重要である。
【0093】
ところで、数4の式における飽和水蒸気圧pWA−satは、アノード温のみで決まるパラメータであり、温度が高いほど大きくなる。従って、すべての単電池の燃料流路の構造及び電極構造が同一である積層型燃料電池に対し、加湿量が同一である燃料ガスを均一に供給した場合において、アノード温に差が発生した時には、各燃料極側の飽和水蒸気圧pWA−satが異なるために、燃料極側の総排水量WAoutにばらつきが生じ、一部の電解質膜において、水収支に過不足が生じる。その結果、ドライアップ又はフラッディングにより、セル電圧にばらつきが発生する。
【0094】
これに対し、図5に示す積層型燃料電池90によれば、高温燃料極48側の燃料流路56aの断面積が、低温燃料極68の燃料流路58aの断面積より大きくなっているので、高温燃料極48側の燃料極入り燃料流量(以下、これを単に「燃料流量」という)fHinを大きくすることができる。
【0095】
そのため、入り燃料ガス中の水のモル分率(以下、これを「入水モル分率」という)xを低温燃料極68に合わせて小さく設定した場合であっても、高温燃料極48では、数3の式に示す燃料流量fHinが大きくなるので、燃料加湿量WAin、すなわち補給水量WAgainを大きくすることができる。
【0096】
これは、通常、積層型燃料電池においては、反応で消費された水素の量CH2が一定で、かつ入水モル分率xが出ガス中の水のモル分率Xより大きくなるように制御されているためである。その結果、高温燃料極48のドライアップに起因するセル電圧の低下が抑制され、積層型燃料電池90全体の出力を向上させることができる。
【0097】
同様に、入水モル分率xを高温燃料極48に合わせて大きく設定した場合であっても、低温空気極50では、数3の式に示す燃料流量fHinが小さくなるので、燃料加湿量WAin、すなわち補給水量WAgainを小さくすることができる。その結果、低温燃料極68のフラッディングに起因するセル電圧の低下が抑制され、積層型燃料電池90全体の出力を向上させることができる。
【0098】
単位モジュール92を構成する単電池の積層数を3個以上とする場合も同様であり、アノード温が高くなるほど燃料流量が大きくなるように、各単電池の燃料流路の構造、すなわち、溝の深さ、断面積等を変化させれば、燃料極側のドライアップ又はフラッディングに起因するセル電圧の低下を抑制することができる。
【0099】
次に、本発明の第7の実施の形態に係る積層型燃料電池について説明する。図6に、本発明の第7の実施の形態に係る積層型燃料電池94の基本構造となる単位モジュール96の断面図を示す。
【0100】
図6において、単位モジュール96は、高温燃料極48側の燃料流路56aの溝の深さDA1と、低温燃料極68側の燃料流路58aの溝の深さDCA2を同一とし、燃料流路56aの出口側、及び燃料流路58aの入口側に、それぞれ、突起56f及び58fを設けた以外は、図5に示す単位モジュール92と同様の構成を有している。
【0101】
このような構造を有する単位モジュール96が積層された積層型燃料電池94によれば、高温燃料極48側の燃料流路56aには、出口側に突起56fが設けられているので、出口側の流路抵抗が増大する。一方、低温燃料極68側の燃料流路58aには、入口側に突起58fが設けられているので、入口側の流路抵抗が増大する。その結果、燃料流路56a内の内圧は、燃料流路58a内の内圧より高くなる。
【0102】
そのため、燃料加湿量WAinを低温燃料極68に合わせて小さく設定した場合であっても、高温燃料極48側では、数4の式に示すアノード側のセル内圧Pが大きくなるので、高温燃料極48側の総排水量WAoutを小さくすることができる。その結果、高温燃料極48のドライアップに起因するセル電圧の低下が抑制され、積層型燃料電池94全体の出力が向上する。
【00103】
同様に、燃料加湿量WAinを高温燃料極48に合わせて大きく設定した場合であっても、低温燃料極68側では、数4の式に示すアノード側のセル内圧Pが小さくなるので、低温燃料極68側の総排水量WAoutを大きくすることができる。その結果、低温燃料極68のフラッディングに起因するセル電圧の低下が抑制され、積層型燃料電池94全体の出力が向上する。
【0104】
単位モジュール96を構成する単電池の積層数を3個以上とする場合も同様であり、アノード温が高くなるほど燃料流路の内圧が大きくなるように、各単電池の燃料流路の構造、すなわち、突起の大きさ、取付位置等を変化させれば、燃料極側のドライアップ又はフラッディングに起因するセル電圧の低下を抑制することができる。
【0105】
以上のように、積層型燃料電池において発生する各単電池の温度ばらつきに起因するドライアップ及びフラッディングを抑制するためには、燃料極側の水収支をバランスさせ、各電解質膜の含水状態の不均一を解消する必要がある。そのためには、各単電池の燃料流路の構造又は燃料極の電極構造を、温度環境に応じて変化させることが有効である。
【0106】
次に、本発明に係る燃料電池システムについて説明する。図12に、本発明に係る燃料電池システムのブロック構成図を示す。図12において、燃料電池システム100は、積層型燃料電池102と、反応ガス供給装置104と、加湿量制御装置106と、反応ガス供給制御装置108と、電池作動状況検出装置110とを備えている。
【0107】
積層型燃料電池102は、複数個の単電池を積層した単位モジュールと、この単位モジュールを積層する毎に設けられる冷却手段とを備えている。図13に積層型燃料電池102の断面図を示す。図13に例示する積層型燃料電池102において、単位モジュール102cは、2個の単電池102a及び102bが積層されたものからなり、単位モジュール102c間には、冷却装置102dが配置されている。
【0108】
単位モジュール102cに備えられる単電池102a及び102bは、それぞれ温度環境が異なるので、これらを単電池102aのグループ(以下、これを「グループ1」という)と単電池102bのグループ(以下、これを「グループ2」という)に分け、分岐された空気マニホールド及び燃料マニホールド(図13中、実線及び点線で表示)を介して、空気及び燃料ガスを分配するようになっている。
【0109】
図14に、積層型燃料電池102の斜視図を示す。図14において、積層型燃料電池102には、2つの空気導入口102f、102gと、2つの空気排出口102h、102iが設けられている。この内、空気導入口102fと空気排出口102hは、ともにグループ1に属する各単電池102aの空気流路につながっており、分岐された空気マニホールドの一方から供給される空気を、空気導入口102fから各単電池102aに配流し、各単電池102aから排出されるガスを集めて、空気排出口102hから排出するようになっている。
【0110】
同様に、空気導入口102gと空気排出口102iは、ともにグループ2に属する各単電池102bの空気流路につながっており、分岐された空気マニホールドの他方から供給される空気を、空気導入口102gから各単電池102bに配流し、各単電池102bから排出されるガスを集めて、空気排出口102iから排出するようになっている。
【0111】
また、積層型燃料電池102には、2つの燃料導入口102j、102kと、2つの燃料排出口102l、102mが設けられている。この内、燃料導入口102jと燃料排出口102lは、ともにグループ1に属する各単電池102aの燃料流路につながっており、分岐された燃料マニホールドの一方から供給される改質ガスを、燃料導入口102jから各単電池102aに配流し、各単電池102aから排出されるガスを集めて、燃料排出口102lから排出するようになっている。
【0112】
同様に、燃料導入口102kと燃料排出口102mは、ともにグループ2に属する各単電池102bの燃料流路につながっており、分岐された燃料マニホールドの他方から供給される改質ガスを、燃料導入口102kから各単電池102bに配流し、各単電池102bから排出されるガスを集めて、燃料排出口102mから排出するようになっている。
【0113】
なお、本発明に係る燃料電池システム100において、単位モジュール102cを構成する単電池102a、102bのガス流路構造及び電極構造は、同一であっても良く、あるいは、その温度に応じて、異なる構造を有していても良い。また、分岐されたマニホールドから供給される反応ガスを各単電池グループに分配するための具体的構造は、図14に例示する構造に限定されるものではなく、また、冷却装置102dについても、図13に例示する構造に限定されるものではない。
【0114】
さらに、本発明は、電解質膜の含水率の管理が必要な燃料電池、具体的には、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池又はアルカリ型燃料電池に対して適用するのが好ましい。特に、固体高分子型燃料電池に対して本発明を適用した場合には、単位体積当たりの出力を低下させることなく、電解質膜の水収支の不均一あるいは反応ガスの相対的な過不足に起因する出力低下が軽減されるので、車載動力源に適した燃料電池システムが得られるという利点がある。
【0115】
反応ガス供給装置104は、各単電池の燃料極に所定量の改質ガスを供給するための燃料改質器104a、燃料供給装置104b及び水供給装置104cと、積層型燃料電池102の空気極に所定量の空気を供給するための空気供給装置104dと、電池作動状況検出装置110により検出された積層型燃料電池102の作動状況に基づき、改質ガス及び空気の総供給量を制御する発電量制御装置104eからなっている。
【0116】
燃料改質器104aは、周知のように、メタノール等からなる燃料蒸気と水蒸気とを触媒存在下で改質反応させることにより、水素を主成分とする改質ガスを発生させる装置であり、改質反応に必要な燃料蒸気と水蒸気は、それぞれ、燃料供給装置104b及び水供給装置104cから供給されるようになっている。
【0117】
加湿量制御装置106は、積層型燃料電池102に供給される改質ガス及び空気に所定量の水分を添加して加湿すると共に、温度環境の異なる単電池グループ毎に、その加湿量を個別に制御するための装置である。そのため、加湿量制御装置106は、2つの燃料加湿量制御装置106a及び106bと、2つの空気加湿量制御装置106c及び106dからなっている。
【0118】
燃料改質器104aと燃料加湿量制御装置106a及び106bとは、分岐された燃料マニホールドを介して接続されており、燃料改質器104aで発生させた改質ガスを、燃料加湿量制御装置106a及び106bに分配するようになっている。また、燃料加湿量制御装置106a及び106bは、それぞれ、図14に示すグループ1の燃料導入口102j及びグループ2の燃料導入口102kに接続されいる。
【0119】
同様に、空気供給装置104dと空気加湿量制御装置106c及び106dは、分岐された空気マニホールドを介して接続されており、空気供給装置104dにより供給される空気を、空気加湿量制御装置106c及び106dに分配するようになっている。また、空気加湿量制御装置106c及び106dは、それぞれ、図14に示すグループ1の空気導入口102f及びグループ2の空気導入口102gに接続されている。
【0120】
なお、燃料加湿量制御装置106a、106b、及び空気加湿量制御装置106c及び106dに備えられる加湿器の構造については特に限定されるものではない。すなわち、水蒸気を用いて加湿する加湿器でも良く、あるいは、ミストを用いて加湿する加湿器でも良い。
【0121】
反応ガス供給制御装置108は、温度環境の異なる単電池グループ毎に、反応ガスの流量及び/又は圧力を個別に制御するための装置である。そのため、反応ガス供給制御装置108は、2つの燃料ガス供給制御装置108a及び108bと、2つの空気供給制御装置108c及び108dからなっている。
【0122】
燃料ガス供給制御装置108a及び108bは、それぞれ、図14に示すグループ1の燃料排出口102l及びグループ2の燃料排出口102mに接続されいる。また、空気供給制御装置108c及び108dは、それぞれ、図14に示すグループ1の空気排出口102h及びグループ2の空気排出口102iに接続されている。
【0123】
なお、各単電池に供給される反応ガスの流量及び圧力を個別に制御する方法としては、種々の方法が考えられる。具体的には、反応ガス供給装置104に備えられるポンプ回転数等を調節することにより、燃料ガス及び空気の総供給量を制御すると共に、反応ガス供給制御装置108に備えられるバルブ開度等を調節することにより、各反応ガス流路の流路抵抗を個別に制御すれば良い。
【0124】
また、図12において、反応ガス供給制御装置108(燃料ガス供給制御装置108a、108b、及び空気供給制御装置108c、108d)は、いずれも、積層型燃料電池102の排出口側に設けられているが、反応ガス供給制御装置108を導入口側、すなわち、燃料加湿量制御装置106a、106bと積層型燃料電池102の間、及び空気加湿量制御装置106c、106dと積層型燃料電池102の間にそれぞれ設け、これによって反応ガスの流量及び圧力を個別に制御するようにしてもよい。
【0125】
あるいは、反応ガス供給制御装置108を積層型燃料電池102の導入口側及び排出口側の双方に設け、これらを用いて反応ガスの流量及び圧力を個別に制御するようにしてもよい。
【0126】
電池作動状況検出装置110は、積層型燃料電池102の作動状況を検出する機能と、測定された作動状況に基づき、各単電池のセル電圧のばらつきを小さくするために必要なガス流量、圧力、及び加湿量を算出する機能とを備えている。
【0127】
ここで、「作動状況」とは、具体的には、セル電圧、電解質膜の抵抗値、セル温度、セル内圧、並びに排出ガス中に含まれる水素濃度及び酸素濃度をいう。また、これらの作動状況は、グループ1に属する単電池102a及びグループ2に属する単電池102bについて、それぞれ個別に検出されるようになっている。
【0128】
さらに、電池作動状況検出装置110で算出されたガス流量等の制御パラメータは、発電量制御装置104e、燃料加湿量制御装置106a、106b、空気加湿量制御装置106c、106d、燃料ガス供給制御装置108a、108b、及び空気供給制御装置108c、108dに出力されるようになっている。
【0129】
なお、電池作動状況検出装置110による作動状況の検出は、積層された全ての単電池について行っても良く、あるいは、図13に示すように、各グループの中から選ばれる代表的な1又は2以上の単電池について行っても良い。
【0130】
次に、図12に示す燃料電池システム100の一般的動作について説明する。まず、電池作動状況検出装置110により積層型燃料電池102の作動状況を監視する。そして、グループ1に属する単電池102aと、グループ2に属する単電池102bのセル電圧の間に差が生じた場合には、電池作動状況検出装置110において、セル電圧の差を小さくするために必要な改質ガス及び空気の流量及び圧力、並びに改質ガス及び空気への加湿量が算出される。
【0131】
次いで、算出された改質ガス及び空気の流量及び圧力が、発電量制御装置102e並びに燃料ガス供給制御装置108a、108b及び空気供給制御装置108c、108dに、また、算出された加湿量が燃料加湿量制御装置106a、106b、及び空気加湿量制御装置106c、106dにそれぞれ出力される。
【0132】
発電量制御装置104eでは、算出された改質ガスの流量及び圧力に基づき、燃料供給装置104b及び水供給装置104cに制御信号を出力し、それぞれ、所定量の改質ガスを発生させるに必要な燃料蒸気及び水蒸気を燃料改質器104aに供給させる。
【0133】
燃料改質器104aでは、供給された燃料蒸気及び水蒸気から、改質反応により、改質ガスが発生する。発生した改質ガスは、分岐された燃料マニホールドを介して、それぞれ燃料加湿量制御装置106a及び106bに分配される。この時、燃料加湿量制御装置106a及び106bに分配される改質ガスの比率及び圧力は、積層型燃料電池102の排気側に設けられる燃料ガス供給制御装置108a、108bにより、個別に制御される。
【0134】
燃料加湿量制御装置106a及び106bに改質ガスが分配されると、電池作動状況検出装置110で算出された加湿量に基づき、所定量の水分がそれぞれ添加される。そして、加湿量が個別に制御された改質ガスは、それぞれ、グループ1に属する各単電池102aの燃料極及びグループ2に属する各単電池102bの燃料極に供給される。
【0135】
同様に、空気供給装置104dでは、電池作動状況検出装置110で算出された空気の流量及び圧力に基づき、所定量の空気を積層型燃料電池102に供給する。供給された空気は、分岐された空気マニホールドを介して、それぞれ空気加湿量制御装置106c及び106dに分配される。この時、空気加湿量制御装置106c及び106dに分配される空気の比率及び圧力は、積層型燃料電池102の排気側に設けられる空気供給制御装置108c、108dにより、個別に制御される。
【0136】
空気加湿量制御装置106c及び106dに空気が分配されると、電池作動状況検出装置110で算出された加湿量に基づき、所定量の水分がそれぞれ添加される。そして、加湿量が個別に制御された空気は、それぞれ、グループ1に属する各単電池102aの空気極及びグループ2に属する各単電池102bの空気極に供給される。
【0137】
積層型燃料電池102のグループ1に属する各単電池102a、及びグループ2に属する各単電池102bに、それぞれ流量、圧力及び加湿量が個別に制御された改質ガス及び空気が供給されると、グループ1に属する単電池102aのセル電圧及び/又はグループ2に属する単電池102bのセル電圧が変化する。そこで、電池作動状況検出装置110により、変化した各単電池のセル電圧を再度検出し、これらを対比する。そして、単電池102aと単電池102bのセル電圧の差が所定の値以下となるまで、上述した制御が繰り返される。
【0138】
次に、温度環境の異なる各単電池のセル電圧の差を小さくするための具体的な運転方法について説明する。図15に、その制御フローチャートの一例を示す。初めに、図15に示すステップ1(以下、単に「S1」という)において、グループ1に属する単電池102aのセル電圧Vと、グループ2に属する単電池102bのセル電圧Vが電池作動状況検出装置110により検出される。
【0139】
次いで、S2において、セル電圧Vとセル電圧Vが等しいか否かが判断される。セル電圧Vとセル電圧Vが等しい場合(S2:YES)には、S1に戻り、セル電圧Vとセル電圧Vの変動が生じるまで上述のS1〜S2の各ステップが繰り返される。一方、セル電圧Vとセル電圧Vが等しくない場合(S2:NO)には、各単電池の反応ガス供給量に相対的な過不足が生じていることを示しているので、次にS3に進む。
【0140】
S3では、セル電圧Vがセル電圧Vより大きいか否かが判断される。セル電圧Vがセル電圧Vより大きい場合(S3:YES)には、S4に進み、グループ1に属する単電池102aの空気極から排出されるガス中の酸素濃度(以下、これを「酸素濃度X01」という)と、グループ2に属する単電池102bの空気極から排出されるガス中の酸素濃度(以下、これを「酸素濃度XO2」という)が電池作動状況検出装置110により検出される。
【0141】
次いで、S5において、酸素濃度X02が酸素濃度XO1以上であるか否かが判断される。酸素濃度X02が酸素濃度XO1以上でない場合(S5:NO)には、単電池102bに供給される空気が相対的に不足したためにセル電圧Vが低下したことを示している。そこで、この場合にはS6へ進み、空気供給制御装置108dを用いて、単電池102bに供給される空気流量(以下、これを「空気流量fAirin(2)」という)を増加させる。
【0142】
一方、酸素濃度X02が酸素濃度XO1以上である場合(S5:YES)には、電圧Vの低下が単電池102bに供給される空気量の相対的な不足によるものではないことを示しているので、そのままS7に進む。
【0143】
S7では、グループ1に属する単電池102aの燃料極から排出されるガス中の水素濃度(以下、これを「水素濃度XH1」という)と、グループ2に属する単電池102bの燃料極から排出されるガス中の水素濃度(以下、これを「水素濃度XH2」という)が電池作動状況検出装置110により検出される。
【0144】
次いで、S8では、水素濃度XH2が水素濃度XH1以上であるか否かが判断される。水素濃度XH2が水素濃度XH1以上でない場合(S8:NO)には、単電池102bに供給される燃料が相対的に不足したためにセル電圧Vが低下したことを示している。そこで、この場合にはS9へ進み、燃料ガス供給制御装置108bを用いて、単電池102bに供給される燃料流量(以下、これを「燃料流量fHin(2)」という)を増加させる。
【0145】
一方、電圧Vの低下が空気流量の不均一にのみ起因する場合には、S8において、水素濃度XH2が水素濃度XH1以上であると判断される(S8:YES)ので、この場合には、S1に戻る。そして、セル電圧Vとセル電圧Vが一致するまで、上述したS1〜S9の各ステップが繰り返されることになる。
【0146】
また、S3において、セル電圧Vがセル電圧Vより大きくないと判断された場合(S3:NO)には、S10へ進み、そこで、酸素濃度X01と酸素濃度XO2が電池作動状況検出装置110により検出される。
【0147】
次いで、S11において、酸素濃度X01が酸素濃度XO2以上であるか否かが判断される。酸素濃度X01が酸素濃度XO2以上でない場合(S11:NO)には、単電池102aに供給される空気が相対的に不足したためにセル電圧Vが低下したことを示している。そこで、この場合にはS12へ進み、空気供給制御装置108cを用いて、単電池102aに供給される空気流量(以下、これを「空気流量fAirin(1)」という)を増加させる。
【0148】
一方、酸素濃度X01が酸素濃度XO2以上である場合(S11:YES)には、セル電圧Vの低下が単電池102aに供給される空気量の相対的に不足によるものではないことを示しているので、そのままS13に進む。S13では、水素濃度XH1と水素濃度XH2が電池作動状況検出装置110により検出される。
【0149】
次いで、S14では、水素濃度XH1が水素濃度XH2以上であるか否かが判断される。水素濃度XH1が水素濃度XH2以上でない場合(S14:NO)には、単電池102aに供給される燃料ガスが相対的に不足したためにセル電圧Vが低下したことを示している。そこで、この場合にはS15へ進み、燃料ガス供給制御装置108aを用いて、単電池102aに供給される燃料流量(以下、これを「燃料流量fHin(1)」という)を増加させる。
【0150】
一方、セル電圧Vの低下が空気流量の不均一にのみ起因する場合には、S14において、水素濃度XH1が水素濃度XH2以上であると判断される(S14:YES)ので、この場合には、S1に戻る。そして、セル電圧Vとセル電圧Vが一致するまで、上述したS1〜S3及びS10〜S15の各ステップが繰り返される。
【0151】
以上のように、図15に示した積層型燃料電池の運転方法によれば、温度環境の異なる単電池グループ毎に検出された酸素濃度及び水素濃度に応じて、空気流量及び燃料流量を個別に制御しているので、積層型燃料電池に備えられる各単電池のガス流路構造及び電極構造を同一とした場合であっても、ガス流量の相対的な過不足に起因するセル電圧の低下を抑制することができる。また、これによって、積層型燃料電池102のエネルギー効率を向上させることができる。
【0152】
次に、温度環境の異なる各単電池のセル電圧の差が小さくなるように、ガス流量及び加湿量の双方を増減させる具体的な運転方法について説明する。図16に、その制御フローチャートの一例を示す。初めに、図16に示すS21において、グループ1に属する単電池102aのセル電圧Vと、グループ2に属する単電池102bのセル電圧Vが電池作動状況検出装置110により検出される。
【0153】
次いで、S22において、セル電圧Vとセル電圧Vが等しいか否かが判断される。セル電圧Vとセル電圧Vが等しい場合(S22:YES)には、S21に戻り、セル電圧Vとセル電圧Vの変動が生じるまで上述のS21〜S22の各ステップが繰り返される。一方、セル電圧Vとセル電圧Vが等しくない場合(S22:NO)には、各単電池の反応ガス供給量及び/又は加湿量に相対的な過不足が発生したことを示しているので、S23に進む。
【0154】
S23では、セル電圧Vがセル電圧Vより大きいか否かが判断される。セル電圧Vがセル電圧Vより大きい場合(S23:YES)には、S24に進み、そこで、単電池102aの電解質膜の膜抵抗Rと、単電池102bの電解質膜の膜抵抗Rが電池作動状況検出装置110により検出される。さらに、S25において、膜抵抗Rが膜抵抗R以上であるか否かが判断される。
【0155】
膜抵抗Rが膜抵抗R以上でない場合(S25:NO)、すなわち膜抵抗Rの方が大きい場合には、単電池102bに供給される水分量よりも単電池102bから排出される水分量の方が多くなったために、単電池102bにおいてドライアップが発生し、これによってセル電圧Vが低下したことを示している。そこで、この場合には、S26に進む。
【0156】
S26では、単電池102bにおける水分量の不足を解消するための手段が実行される。例えば、セル電圧Vの低下が、単電池102bの空気極側における水分量の不足に起因する場合には、空気供給制御装置108dを用いて、空気流量fairin(2)を減少させればよい。これにより、単電池102bの空気極側から排出される水分量を少なくすることができる。あるいは、空気加湿量制御装置106dを用いて、単電池102bの空気加湿量WCin(2)を増加させてもよい。これにより、単電池102bの空気極側に供給される水分量を増加させることができる。
【0157】
また、セル電圧Vの低下が、単電池102bの燃料極側における水分量の不足に起因する場合には、燃料加湿量制御装置106bを用いて、単電池102bの燃料加湿量WAin(2)を増加させ、これによって燃料極側に供給される水分量を増加させてもよい。
【0158】
さらに、空気流量fairin(2)、空気加湿量WCin(2)及び燃料加湿量WAin(2)から選ばれる少なくとも1以上の制御パラメータを組み合わせ、単電池102bの水収支の均衡が保たれるように、これらを同時に制御してもよい。
【0159】
一方、膜抵抗Rが膜抵抗R以上である場合(S25:YES)、すなわち膜抵抗Rの方が小さい場合には、単電池102bから排出される水分量よりも単電池102bに供給される水分量の方が多くなったために、単電池102bにおいてフラッディングが発生し、これによってセル電圧Vが低下したことを示している。そこで、この場合には、S27に進む。
【0160】
S27では、単電池102bにおける過剰水分を排除するための手段が実行される。例えば、セル電圧Vの低下が、単電池102bの空気極側における過剰水分に起因する場合には、空気流量fairin(2)を増加させ、空気極側から排出される水分量を増加さればよい。あるいは、空気加湿量WCin(2)を減少させ、空気極側に供給される水分量を減少させてもよい。
【0161】
また、セル電圧Vの低下が、単電池102bの燃料極側における過剰水分に起因する場合には、燃料加湿量WAin(2)を減少させ、燃料極側に供給される水分量を減少させてもよい。さらに、空気流量fairin(2)、空気加湿量WCin(2)及び燃料加湿量WAin(2)から選ばれる少なくとも1以上の制御パラメータを組み合わせ、単電池102bの水収支の均衡が保たれるように、これらを同時に制御してもよい。
【0162】
S26あるいはS27において、空気流量fairin(2)、空気加湿量WCin(2)及び燃料加湿量WAin(2)から選ばれる少なくとも1以上が制御された後、S21に戻る。そして、セル電圧Vとセル電圧Vが一致するまで、上述したS21〜S27の各ステップが繰り返される。
【0163】
これに対しS23において、セル電圧Vがセル電圧Vより大きくないと判断された場合(S23:NO)には、S28に進み、そこで、膜抵抗Rと膜抵抗Rが検出される。さらに、S29において、膜抵抗Rが膜抵抗R以下であるか否かが判断される。
【0164】
膜抵抗Rが膜抵抗R以下でない場合(S29:NO)、すなわち膜抵抗Rの方が大きい場合には、単電池102aにおいて水分量が不足し、これによってセル電圧Vが低下したことを示している。そこで、この場合には、S30に進み、単電池102aにおける水分量の不足を解消するための手段が実行される。
【0165】
例えば、セル電圧Vの低下が、単電池102aの空気極側における水分量の不足に起因する場合には、空気供給制御装置108cを用いて空気流量fairin(1)を減少させるか、あるいは、空気加湿量制御装置106cを用いて空気加湿量WCin(1)を増加させればよい。
【0166】
また、セル電圧Vの低下が、単電池102aの燃料極側における水分量の不足に起因する場合には、燃料加湿量制御装置106aを用いて燃料加湿量WAin(1)を増加させればよい。さらに、これらの中から選ばれる1以上の制御パラメータを組み合わせ、単電池102aの水収支の均衡が保たれるように、これらを同時に制御してもよい。
【0167】
一方、膜抵抗Rが膜抵抗R以下である場合(S29:YES)、すなわち膜抵抗Rの方が小さい場合には、単電池102aにおいて水分量が過剰となり、これによってセル電圧Vが低下したことを示している。
【0168】
そこで、この場合にはS31に進み、前述とは逆に、空気流量fairin(1)の増加及び/又は空気加湿量WCin(1)の減少、あるいは、燃料加湿量WAin(1)の減少により、空気極側あるいは燃料極側から過剰水分を排除すればよい。さらに、これらの中から選ばれる1以上の制御パラメータを組み合わせ、単電池102aの水収支の均衡が保たれるように、これらを同時に制御してもよい。
【0169】
S30あるいはS31において、空気流量fairin(1)、空気加湿量WCin(1)及び燃料加湿量WAin(1)から選ばれる少なくとも1以上が制御された後、S21に戻る。そして、セル電圧Vとセル電圧Vが一致するまで、上述したS21〜S23、及びS28〜S31の各ステップが繰り返される。
【0170】
以上のように、図16に示す積層型燃料電池の運転方法によれば、温度環境の異なる単電池グループ毎に検出された膜抵抗を用いて、反応ガスの流量及び加湿量を個別に制御しているので、各単電池のガス流路構造及び電極構造を同一とした場合であっても、電解質膜の含水率の不均一や、反応ガス供給量の相対的な過不足を抑制することができる。また、これによってセル電圧のばらつきを解消することができ、積層型燃料電池全体の出力を向上させることができる。
【0171】
次に、温度環境の異なる各単電池のセル電圧の差を小さくするための他の運転方法について説明する。図17〜図19に、制御フローチャートの一例を示す。初めに、図17に示すS41において、グループ1に属する単電池102aのセル電圧Vと、グループ2に属する単電池102bのセル電圧Vが電池作動状況検出装置110により検出される。
【0172】
次いで、S42において、セル電圧Vとセル電圧Vが等しいか否かが判断される。セル電圧Vとセル電圧Vが等しい場合(S42:YES)には、S41に戻り、セル電圧Vとセル電圧Vの変動が生じるまで上述のS41〜S42の各ステップが繰り返される。一方、セル電圧Vとセル電圧Vが等しくない場合(S42:NO)には、各単電池の反応ガス供給量に相対的な過不足が発生したことを示しているので、S43に進む。
【0173】
S43では、セル電圧Vがセル電圧Vより大きいか否かが判断される。セル電圧Vがセル電圧Vより大きい場合(S43:YES)には、図18に示すS51に進む。S51では、セル電圧Vの現在値をVとして記憶させ、次いで、空気流量fairin(2)を増加させる。そして、所定時間経過後、S52において、セル電圧Vを再度検出し、さらに、S53において、記憶された現在値Vと新たに検出されたセル電圧Vとの対比が行われる。
【0174】
現在値Vがセル電圧Vより小さい場合(S53:YES)には、空気流量fairin(2)が相対的に不足し、これによってセル電圧Vが低下したことを示している。そこで、この場合にはS54へ進み、セル電圧Vの現在値をVとして記憶させ、次いで、空気流量fairin(2)を増加させる操作が実行される。所定時間経過後、S55において、セル電圧Vを再度検出し、S56において、記憶された現在値Vと新たに検出されたセル電圧Vとの対比が行われる。
【0175】
そして、S56において、現在値Vがセル電圧Vより小さいと判断された場合(S56:YES)には、単電池102bの空気流量fairin(2)の相対的な不足が未だ解消されていないことを示しているので、S54に戻り、上述したS54〜S56の各ステップが繰り返される。一方、現在値Vがセル電圧Vより小さくない(S56:NO)場合、すなわち、空気流量fairin(2)を増加させてもセル電圧Vがもはや増加しなくなった場合は、S41へ戻る。
【0176】
これに対し、S53において、現在値Vがセル電圧Vより小さくないと判断された場合(S53:NO)には、セル電圧Vの低下が空気流量fairin(2)の相対的な不足に起因するものではないことを示している。そこで、この場合にはS57に進み、上述と同様の手順に従い、空気流量fairin(2)を減少させることにより、セル電圧Vが増加するか否かが判断される(S57〜S59)。
【0177】
記憶された現在値Vが新たに検出されたセル電圧Vより小さい場合(S59:YES)には、空気流量fairin(2)が相対的に過剰となり、これによってセル電圧Vが低下したことを示している。そこで、この場合にはS60に進み、セル電圧Vが増加しなくなるまで、空気流量fairin(2)を減少さる(S60〜S62)。そして、空気流量fairin(2)を増加させてもセル電圧Vがもはや増加しなくなったところで(S62:NO)、S41へ戻る。
【0178】
また、S59において、現在値Vがセル電圧Vより小さくないと判断された場合(S59:NO)には、セル電圧Vの低下が空気流量の相対的な過不足に起因するものではないことを示している。そこで、この場合にはS63へ進み、燃料流量fHin(2)の増加によってセル電圧Vが増加するか否かが判断される(S63〜S65)。
【0179】
燃料流量fHin(2)の増加によってセル電圧Vが増加した場合(S65:YES)には、S66へ進み、セル電圧Vが増加しなくなるまで、燃料流量fHin(2)を増加さる(S66〜S68)。そして、燃料流量fHin(2)を増加させてもセル電圧Vがもはや増加しなくなったところで(S68:NO)、S41へ戻る。
【0180】
一方、S65において、燃料流量fHin(2)の増加によってセル電圧Vが増加しなかった場合(S65:NO)は、S69に進み、燃料流量fHin(2)を減少させることにより、セル電圧Vが増加するか否かが判断される(S69〜S71)。
【0181】
燃料流量fHin(2)の減少によってセル電圧Vが増加した場合(S71:YES)には、S72へ進み、セル電圧Vが増加しなくなるまで、燃料流量fHin(2)を減少さる(S72〜S74)。そして、燃料流量fHin(2)を増加させてもセル電圧Vがもはや増加しなくなったところで(S71:NO、又はS74:NO)、S41へ戻る。
【0182】
同様に、S43において、セル電圧Vがセル電圧Vより大きくないと判断された場合(S43:NO)には、図19に示すS81に進む。そして、上述と同様の手順に従い、空気流量fairin(1)の増加(S81〜S86)及び減少(S87〜S92)、並びに燃料流量fHin(1)の増加(S93〜S98)及び減少(S99〜S104)が順次、試行錯誤的に実行され、セル電圧Vを低下させた原因が解消されるまで、反応ガス流量の個別制御が行われる。
【0183】
以上のように、図17〜図19に示す積層型燃料電池の運転方法によれば、温度環境の異なる単電池グループ毎に、反応ガスの流量を個別に制御しているので、各単電池のガス流路構造及び電極構造を同一とした場合であっても、反応ガス供給量の相対的な過不足に起因するセル電圧のばらつきを解消することができ、これによって、積層型燃料電池全体の出力を向上させることができる。
【0184】
また、図17〜図19に示す運転方法によれば、図15及び図16に示す運転方法と異なり、酸素濃度や水素濃度を検出するための装置、あるいは、電解質膜の膜抵抗を検出するための装置を用いることなく、セル電圧のばらつきを解消できるので、積層型燃料電池システムの低コスト化が図れるという利点がある。
【0185】
【実施例】
(実施例1)
図1に示す構造を有する積層型燃料電池40を作製し、放電特性を調べた。すなわち、空気流路の溝の深さが異なる単電池を2個積層して単位モジュール42とし、これを25個積層して積層型燃料電池40(単電池の積層数=50セル)とした。
【0186】
ここで、冷媒流路60により直接冷却される低温空気極50側の空気流路(以下、これを「冷却空気流路」という)54cの溝の深さDC1は0.6mmとし、冷媒流路60により直接冷却されない高温空気極70側の空気流路(以下、これを「非冷却空気流路」という)56cの溝の深さDC2は0.3mmとした。
【0187】
また、冷媒流路60により直接冷却されない高温燃料極48側の燃料流路(以下、これを「非冷却燃料流路」という)56aの溝の深さDA1、及び冷媒流路60により直接冷却される低温燃料極68側の燃料流路(以下、これを「冷却燃料流路」という)58aの溝の深さDA2は、いずれも0.5mmとした。さらに、電極面積を200cmとし、電解質膜46、66には、パーフルオロ系の固体高分子電解質膜を用いた。
【0188】
得られた積層型燃料電池40の燃料極側には、露点90℃の水蒸気を含む水素ガスを、圧力0.2MPa、水素利用率80%相当の流量で供給した。また、空気極側には、露点80℃の水蒸気を含む空気を、圧力0.2MPa、酸素利用率20%相当の流量で供給した。さらに、1セルおきに設けられる冷媒流路60には、水温80℃の冷却水を供給した。次いで、この積層型燃料電池40を、1.0A/cmの電流密度一定の条件下で放電させ、各単電池のカソード温とセル電圧を測定した。
【0189】
(比較例1)
冷却空気流路54cの溝の深さDC1、及び非冷却空気流路56cの溝の深さDC2を、いずれも0.45mmとした以外は、実施例1と同一の構造を有する積層型燃料電池を作製し、実施例1と同一条件下で放電特性を調べた。
【0190】
実施例1及び比較例2で得られた結果を、それぞれ、図20及び図21に示す。冷却空気流路54cの溝の深さDC1及び非冷却空気流路56cの溝の深さDC2をいずれも0.45mmとした比較例1では、図21に示すように、カソード温は、冷却空気流路54cに隣接する低温空気極50で82℃、非冷却空気流路56cに隣接する高温空気極70で98℃となり、冷媒流路60からの距離に応じて、カソード温に16℃の温度差が発生した。
【0191】
また、カソード温の低い単電池44のセル電圧は0.60Vであるのに対し、カソード温の高い単電池45のセル電圧は0.40Vに低下した。これは、カソード温の異なるすべての単電池に対し、露点80℃の水蒸気を含むドライ気味の空気を均等に送り込んでいるために、単電池45においてドライアップが生じたためである。
【0192】
これに対し、非冷却空気流路56cの溝の深さDC2を冷却空気流路54cの溝の深さDC1の半分とした実施例1では、図20に示すように、温度分布は比較例1とほとんど違いがないが、カソード温の高い単電池45のセル電圧が0.58Vに向上し、その結果、積層型燃料電池全体の総電圧が向上した。これは、非冷却空気流路56cの断面積が小さいために、非冷却空気流路56cの空気流量が少なくなり、単電池45のドライアップが抑制されたためである。
【0193】
(実施例2)
図2に示す構造を有する積層型燃料電池74を作製し、放電特性を調べた。すなわち、非冷却空気流路56cの入り口にガス流通の障害となる多孔体78を設けて単位モジュール76とし、これを25個積層して積層型燃料電池74(単電池の積層数=50セル)とした。
【0194】
なお、冷却空気流路54cの溝の深さDC1及び非冷却空気流路56cの溝の深さDC2は、いずれも0.45mmとした。また、単位モジュール74の構造に関するその他の点については、実施例1と同一とした。得られた積層型燃料電池74について、実施例1と同一条件下で放電特性を調べた。結果を図22に示す。
【0195】
非冷却空気流路56cに多孔体78を設けた実施例2では、カソード温の分布は比較例1とほとんど違いがないが、セル電圧は、カソード温の低い単電池44で0.60V、カソード温の高い単電池45で0.58Vとなり、比較例1に比して、単電池45のセル電圧が向上した。これは、多孔体78により非冷却空気流路56cの流路抵抗が高くなったために、非冷却空気流路56cの空気流量が少なくなり、単電池45のドライアップが抑制されたためである。
【0196】
(実施例3)
図3に示す構造を有する積層型燃料電池80を作製し、放電特性を調べた。すなわち、非冷却空気流路56cの入口にガス流通の障害となるような障害板84を設けて単位モジュール82とし、これを25個積層して積層型燃料電池80(単電池の積層数=50セル)とした。なお、単位モジュール82の構造に関するその他の点については、実施例2と同一とした。
【0197】
得られた積層型燃料電池80の燃料極側には、露点90℃の水蒸気を含む水素ガスを、圧力0.2MPa、水素利用率80%相当の流量で供給した。また、空気極側には、露点90℃の水蒸気を含む空気を、圧力0.2MPa、酸素利用率20%相当の流量で供給した。さらに、1セルおきに設けられる冷媒流路60には、水温80℃の冷却水を供給した。次いで、積層型燃料電池80を、1.0A/cmの電流密度一定の条件下で放電させ、各単電池のカソード温とセル電圧を測定した。
【0198】
(比較例2)
比較例1と同一の構造を有する積層型燃料電池を用い、実施例3と同一条件下で放電特性を調べた。
【0199】
実施例3及び比較例2で得られた結果を、それぞれ、図23及び図24に示す。空気流路の溝の深さを同一とし、露点90℃の水蒸気を含むウェット気味の空気を空気流路に供給した比較例2では、図24に示すように、カソード温は、低温空気極50で82℃、高温空気極70で98℃となった。
【0200】
また、カソード温の高い単電池45のセル電圧は0.60Vであるのに対し、カソード温の低い単電池44のセル電圧は0.20Vまで低下した。これは、カソード温の異なるすべての単電池に対し、露点90℃の水蒸気を含むウェット気味の空気を均等に送り込んでいるために、単電池44においてフラッディングが生じたためである。
【0201】
これに対し、非冷却空気流路56cに障害板84を設けた実施例3では、図23に示すように、カソード温の分布は比較例2とほとんど違いがないが、カソード温の低い単電池44のセル電圧が0.58Vまで向上した。これは、入り口側に設けられた障害板84により、非冷却空気流路56cの流路抵抗が高くなったために、冷却空気流路54cの空気流量が多くなり、単電池44のフラッディングが抑制されたためである。
【0202】
(実施例4)
図4に示す構造を有する積層型燃料電池86を作製し、放電特性を調べた。すなわち、非冷却空気流路56cの出口に突起56dを設けると共に、冷却空気流路54cの入口に突起54dを設けて単位モジュール88とし、これを25個積層して積層型燃料電池86(単電池の積層数=50セル)とした。なお、単位モジュール88の構造に関するその他の点については、実施例2と同一とした。
【0203】
得られた積層型燃料電池86の燃料極側には、露点90℃の水蒸気を含む水素ガスを、圧力0.2MPa、水素利用率80%相当の流量で供給した。また、空気極側には、露点90℃の水蒸気を含む空気を、酸素利用率20%相当の流量で供給した。さらに、1セルおきに設けられる冷媒流路60には、水温80℃の冷却水を供給した。次いで、この積層型燃料電池86を、1.0A/cmの電流密度一定の条件下で放電させ、各単電池のカソード温とセル電圧を測定した。結果を図25に示す。
【0204】
空気極の出ガス圧力を0.13MPaに調整したところ、セル内空気圧力は、高温空気極70側で0.2MPa、低温空気極50側で0.13MPaとなった。これは、空気流路の出口及び入口に設けた突起54d、56d部分で約0.07MPaの圧力損失が生じたためである。また、低温空気極50側のカソード温は82℃、高温空気極70側のカソード温は98℃であり、温度分布は、比較例2とほぼ同様であった。
【0205】
しかしながら、セル電圧は、カソード温の高い単電池45で0.54V、カソード温の低い単電池44で0.52Vとなり、比較例2に比して、セル電圧のばらつきが小さくなり、積層型燃料電池86全体の出力が向上した。これは、冷却空気流路54cの内圧が比較例2に比して低いために、単電池44でのフラッディングが抑制されたためである。
【0206】
(実施例5)
電極構造の異なる単電池が積層された積層型燃料電池を作製し、放電特性を調べた。すなわち、2個の単電池を積層して単位モジュールとし、これを25個積層して積層型燃料電池(単電池の積層数=50セル)とした。また、高温空気極の拡散層の平均孔径は約0.1μmとし、低温空気極の拡散層の平均孔径は約1μmとした。
【0207】
なお、単位モジュールの構造に関するその他の点については、実施例2と同一とした。また、得られた積層型燃料電池について、実施例1と同一条件下で放電特性を調べた。
【0208】
(比較例3)
すべての空気極の拡散層の平均孔径を約1μmとした以外は、実施例5と同一の構造を有する積層型燃料電池を作製し、実施例5と同一条件下で放電特性を調べた。
【0209】
実施例5及び比較例3で得られた結果を図26及び図27に示す。すべての空気極の拡散層の平均孔径を1μmとした比較例3では、図27に示すように、カソード温は、冷却空気極54c側で82℃、非冷却空気極56c側で98℃であった。また、セル電圧は、カソード温の低い単電池で0.60V、カソード温の高い単電池で0.40Vとなった。これは、拡散層の平均孔径が等しい空気極に対し、露点80℃の水蒸気を含む空気を均等に配流したために、カソード温の高い単電池においてドライアップが生じたためである。
【0210】
これに対し、高温空気極の拡散層の平均孔径を0.1μmとした実施例5では、図26に示すように、カソード温の分布は比較例3と同等であったが、カソード温の高い単電池のセル電圧が0.52Vまで向上した。これは、高温空気極の拡散層の平均孔径を小さくしたために、電解質膜からの水の持ち出しが少なくなり、ドライアップが抑制されたためである。
【0211】
(実施例6)
図5に示す構造を有する積層型燃料電池90を作製し、放電特性を調べた。すなわち、燃料流路の溝の深さが異なる単電池を2個積層して単位モジュール92とし、これを25個積層して積層型燃料電池90(単電池の積層数=50セル)とした。
【0212】
ここで、冷却燃料流路58aの溝の深さDA2は0.5mmとし、非冷却燃料流路56aの溝の深さDA1は0.4mmとした。また、冷却空気流路54aの溝の深さDC1及び非冷却空気流路56cの溝の深さDC2は、いずれも0.5mmとした。さらに、電極面積を200cmとし、電解質膜46、66には、パーフルオロ系の固体高分子電解質膜を用いた。
【0213】
得られた積層型燃料電池90の燃料極側には、露点85℃の水蒸気を含む水素ガスを、圧力0.2MPa、水素利用率80%相当の流量で供給した。また、空気極側には、露点85℃の水蒸気を含む空気を、圧力0.2MPa、酸素利用率20%相当の流量で供給した。さらに、1セルおきに設けられる冷媒流路60には、水温80℃の冷却水を供給した。次いで、この積層型燃料電池90を、1.0A/cmの電流密度一定の条件下で放電させ、アノード温及びセル電圧を測定した。
【0214】
(比較例4)
非冷却燃料流路56aの溝の深さDA1、及び冷却燃料流路58aの溝の深さDA2を、いずれも0.45mmとした以外は、実施例6と同一の構造を有する積層型燃料電池を作製し、実施例6と同一の条件下で、放電特性を調べた。
【0215】
実施例6及び比較例4で得られた結果を、それぞれ図28及び図29に示す。燃料流路の溝の深さを同一とし、露点85℃の水蒸気を含む水素ガスを各燃料流路に均等に配流した比較例4では、図29に示すように、アノード温は、低温燃料極68側で81℃、高温燃料極48側で95℃となった。また、セル電圧は、アノード温の低い単電池45で0.62V、アノード温の高い単電池44で0.40Vとなった。これは、アノード温の異なるすべての燃料極に対し、露点85℃の水蒸気を含む水素ガスを均等に配流しているために、単電池44においてドライアップが生じたためである。
【0216】
これに対し、非冷却燃料流路56aの溝の深さDA1を大きくした実施例6では、図28に示すように、温度分布は比較例4とほとんど違いがないが、アノード温の高い単電池44のセル電圧が0.55Vまで向上した。これは、非冷却燃料流路56aの断面積が大きいために、高温燃料極48側の燃料流量が多くなり、単電池44のドライアップが抑制されたためである。
【0217】
(実施例7)
図6に示す構造を有する積層型燃料電池94を作製し、放電特性を調べた。すなわち、非冷却燃料流路56aの出口に突起56fを設けると共に、冷却燃料流路58aの入口に突起58fを設けて単位モジュール96とし、これを25個積層して積層型燃料電池94(単電池の積層数=50セル)とした。
【0218】
なお、非冷却燃料流路56aの溝の深さDA1、及び、冷却燃料流路58aの溝の深さDA2は、いずれも0.45mmとし、単位モジュール96の構造に関するその他の点については、実施例6と同一とした。
【0219】
得られた積層型燃料電池94の燃料極側には、露点90℃の水蒸気を含む水素ガスを、水素利用率80%相当の流量で供給した。また、空気極側には、露点80℃の水蒸気を含む空気を、圧力0.2MPa、酸素利用率20%相当の流量で供給した。さらに、1セルおきに設けられる冷媒流路には、水温80℃の冷却水を供給した。次いで、この積層型燃料電池94を、1.0A/cmの電流密度一定の条件下で放電させ、アノード温及びセル電圧を測定した。結果を図30に示す。
【0220】
燃料極出ガス圧力を0.20MPaに調整したところ、セル内燃料ガス圧力が、高温燃料極48側で0.25MPa、低温燃料極68側で0.2MPaとなった。これは、燃料流路の出口及び入口に設けた突起56f及び58f部分で、約0.05MPaの圧力損失が生じたためである。また、低温燃料極68側のカソード温は81℃、高温燃料極48側のカソード温は95℃であり、温度分布は、比較例4とほぼ同様であった。
【0221】
しかしながら、セル電圧は、アノード温の低い単電池45で0.62V、アノード温の高い単電池44で0.58Vとなり、比較例4に比して、アノード温の高い単電池44のセル電圧が向上した。これは、非冷却燃料流路56aの内圧が増加したために、電解質膜からの水の持ち出しが少なくなり、単電池44におけるドライアップが抑制されたためである。
【0222】
以上の結果から、単電池を数セル積層する毎に冷媒流路を設けた積層型燃料電池において、各単電池の温度環境に応じて、ガス流路構造又は電極構造を変化させれば、1つの反応ガス供給系統を用いて、燃料ガス及び空気を分配する場合であっても、電解質膜のドライアップ又はフラッディングに起因するセル電圧の低下が抑制され、積層型燃料電池の総電圧が向上することがわかった。
【0223】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しないで種々の改変が可能である。
【0224】
例えば、上記実施例においては、空気極側又は燃料極側のいずれか一方のガス流路構造又は電極構造を、温度環境に合わせて変化させているが、上述した各種実施例を相互に組み合わせ、空気極側及び燃料極側の双方のガス流路構造及び電極構造を、温度環境に合わせて変化させても良い。
【0225】
また、本発明に係る燃料電池システムにおいては、温度環境の異なる単電池グループ毎に、反応ガスの流量、圧力、及び加湿量を個別に制御するので、各単電池のガス流路構造及び電極構造は同一であってもよいが、温度環境に合わせてガス流路構造及び/又は電極構造を変化させた積層型燃料電池を用いても良い。
【0226】
このような積層型燃料電池を本発明に係る燃料電池システムに組み込めば、加湿量制御装置106及び反応ガス供給制御装置108における負荷が軽減されるので、反応ガスの流量等の制御をさらに容易化することができる。
【0227】
さらに、上記実施の形態において説明した燃料電池システムでは、単電池を2個積層する毎に冷却手段を設けた積層型燃料電池が用いられているが、3個以上の単電池を積層する毎に冷却手段を設けた積層型燃料電池を用いても良い。
【0228】
この場合、燃料電池システムに、燃料加湿量制御装置、空気加湿量制御装置、燃料ガス供給制御装置及び空気供給制御装置を、それぞれ3個以上設けるようにすれば、温度環境の異なる単電池グループ毎に、反応ガスの流量、圧力及び加湿量を最適化することが可能となり、これにより上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0229】
【発明の効果】
本発明に係る積層型燃料電池の運転方法は、各単電池へ供給される及び/又は各単電池から排出される反応ガスの流量、圧力及び/又は加湿量を単電池毎に変化させているので、単電池の積層方向に向かって温度分布が生じた場合であっても、ドライアップ又はフラッディングに起因するセル電圧のばらつきを小さくすることができるという効果がある。また、これにより、積層型燃料電池全体の出力が向上するという効果がある。
【0230】
また、本発明に係る積層型燃料電池は、各単電池に供給される水分量と、各単電池から排出される水分量が単電池毎に均衡するように、各単電池のガス流路構造及び/又は電極構造を変化させているので、1つの燃料マニホールド及び空気マニホールドを介して、各単電池に燃料ガス及び空気を配流する場合であっても、各単電池毎にガス流量、圧力、あるいは、単電池から排出される水蒸気量を個別に制御することができるという効果がある。
【0231】
また、これによって、ドライアップ又はフラッディングに起因するセル電圧のばらつきを小さくすることができ、積層型燃料電池全体の出力が向上するという効果がある。しかも、冷却手段の数を増加させることなく積層型燃料電池のエネルギー効率を向上させることができるので、単位体積当たりの出力を低下させることもない。
【0232】
また、本発明に係る燃料電池システムは、積層型燃料電池に備えられる単電池又は単電池グループ毎に作動状況を個別に検出する検出手段と、検出手段により検出された作動状況に基づき、各単電池又は各単電池グループに供給される反応ガスの流量、圧力又は加湿量を個別に制御する制御手段とを備えているので、単電池の積層方向に向かって温度分布が発生した場合であっても、各単電池の電解質膜の水収支の不均一や、反応ガス流量の相対的な過不足を解消することができる。
【0233】
そのため、各単電池のセル電圧のばらつきを小さくすることができ、燃料電池システム全体の出力が向上するという効果がある。しかも、冷却手段の数を増加させることなく燃料電池システムのエネルギー効率を向上させることができるので、単位体積当たりの出力を低下させることもない。
【0234】
以上のように、本発明によれば、燃料電池の高出力化及び高エネルギー効率化を図ることができる同時に、燃料電池のコンパクト化を図ることができるので、これを例えば車載用の燃料電池システムに応用すれば、自動車の高出力化、軽量化等に寄与するものであり、産業上その効果の極めて大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る積層型燃料電池の基本構造となる単位モジュールのガス流方向から見た断面図であり、図1(b)は、そのA−A’線断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る積層型燃料電池の基本構造となる単位モジュールのガス流方向と垂直な方向から見た断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る積層型燃料電池の基本構造となる単位モジュールのガス流方向と垂直な方向から見た断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る積層型燃料電池の基本構造となる単位モジュールのガス流方向と垂直な方向から見た断面図である。
【図5】本発明の第6の実施の形態に係る積層型燃料電池の基本構造となる単位モジュールのガス流方向と垂直な方向から見た断面図である。
【図6】本発明の第7の実施の形態に係る積層型燃料電池の基本構造となる単位モジュールのガス流方向と垂直な方向から見た断面図である。
【図7】単電池内の水の流れを説明する図である。
【図8】図8(a)は、単電池を2セル積層する毎に冷媒流路を設けた従来一般に用いられる積層型燃料電池に発生する積層方向の温度分布を示す図であり、図8(b)は、単電池を2セル積層する毎に冷媒流路を設けた積層型燃料電池のガス流方向から見た断面図である。
【図9】図9(a)は、図8(b)に示す構造を有する積層型燃料電池を電流密度0.2A/cmの条件下で放電させたときのアノード温、カソード温及びセル電圧を示す図であり、図9(b)は、電流密度1.0A/cmの条件下で放電させたときのアノード温、カソード温及びセル電圧を示す図である。
【図10】図10(a)は、単電池を3セル積層する毎に冷媒流路を設けた従来一般に用いられる積層型燃料電池に発生する積層方向の温度分布を示す図であり、図10(b)は、単電池を3セル積層する毎に冷媒流路を設けた積層型燃料電池のガス流方向から見た断面図である。
【図11】図10(b)に示す構造を有する積層型燃料電池を電流密度1.0A/cmの条件下で放電させたときのアノード温、カソード温及びセル電圧を示す図である。
【図12】本発明に係る燃料電池システムを示すブロック構成図である。
【図13】図12に示す燃料電池システムに用いられる積層型燃料電池の一例を示す概略構成図である。
【図14】図12に示す燃料電池システムに用いられる積層型燃料電池の一例を示す斜視図である。
【図15】図12に示す燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図16】同じく、図12に示す燃料電池システムの運転方法の他の一例を示すフローチャートである。
【図17】同じく、図12に示す燃料電池システムの運転方法の他の一例を示すフローチャートである。
【図18】図17に示すフローチャートの続きである。
【図19】同じく、図17に示すフローチャートの続きである。
【図20】空気流路の断面積が異なる単電池が積層された積層型燃料電池(実施例1)のカソード温とセル電圧の関係を示す図である。
【図21】空気流路の断面積が等しい単電池が積層された積層型燃料電池にドライ気味の空気を供給した場合(比較例1)のカソード温とセル電圧の関係を示す図である。
【図22】非冷却空気流路の入口に多孔体を設けた積層型燃料電池(実施例2)のカソード温とセル電圧の関係を示す図である。
【図23】非冷却空気流路の入口に障害板を設けた積層型燃料電池(実施例3)のカソード温とセル電圧の関係を示す図である。
【図24】空気流路の断面積が等しい単電池が積層された積層型燃料電池にウェット気味の空気を供給した場合(比較例2)のカソード温とセル電圧の関係を示す図である。
【図25】非冷却空気流路の出口及び冷却空気流路の入口に突起を設けた積層型燃料電池(実施例4)のカソード温とセル電圧の関係を示す図である。
【図26】空気極の拡散層の平均孔径が異なる単電池が積層された積層型燃料電池(実施例5)のカソード温とセル電圧の関係を示す図である。
【図27】空気極の拡散層の平均孔径が等しい単電池が積層された積層型燃料電池(比較例3)のカソード温とセル電圧の関係を示す図である。
【図28】燃料流路の異なる単電池が積層された積層型燃料電池(実施例6)のカソード温とセル電圧の関係を示す図である。
【図29】燃料流路の等しい単電池が積層された積層型燃料電池にドライ気味の燃料ガスを供給した場合(比較例4)のカソード温とセル電圧の関係を示す図である。
【図30】非冷却燃料流路の入口及び冷却燃料流路の出口に突起を設けた積層型燃料電池(実施例7)のカソード温とセル電圧の関係を示す図である。
【図31】燃料電池の基本構造となる単電池を示す分解斜視図である。
【図32】従来一般に用いられる積層型燃料電池を示す斜視図である。
【符号の説明】
40、74、80、86、90、94 積層型燃料電池
42、76、82、88、92、96 単位モジュール
44、45 単電池
54c 空気流路(冷却空気流路)
54d 突起
56c 空気流路(非冷却空気流路)
56d、56f 突起
56a 燃料流路(非冷却燃料流路)
58a 燃料流路(冷却燃料流路)
58f 突起
60 冷媒流路
78 多孔体
84 障害板
100 燃料電池システム
102 積層型燃料電池
104 反応ガス供給装置
106 加湿量制御装置
108 反応ガス供給制御装置
110 電池作動状況検出装置

Claims (10)

  1. 電解質の片面に空気極、他面に燃料極を接合し、これをガス流路を備えたセパレータで挟持した単電池が複数個積層された単位モジュールと、該単位モジュール間に配置された冷却手段とを備えた積層型燃料電池であって、前記各単電池に供給される水分量と、前記各単電池から排出される水分量とが前記各単電池毎に均衡するように、前記各単電池毎に異なるガス流路構造及び/又は電極構造を備えているものに、
    流量、圧力及び加湿量の等しい反応ガスを供給し、
    該反応ガスを前記各単電池に分配する積層型燃料電池の運転方法。
  2. 電解質の片面に空気極、他面に燃料極を接合し、これをガス流路を備えたセパレータで挟持した単電池が複数個積層された単位モジュールと、
    該単位モジュール間に配置された冷却手段とを備え、
    前記各単電池は、該各単電池供給される水分量と前記各単電池から排出される水分量とが前記各単電池毎に均衡するように、前記各単電池毎に異なるガス流路構造及び/又は電極構造を備えた積層型燃料電池。
  3. 前記ガス流路構造は、高温空気極側の空気流量が低温空気極側の空気流量より少なくなるように、
    前記高温空気極側の空気流路の断面積を前記低温空気極側の空気流路の断面積より小さくし、
    前記高温空気極側の空気流路の入口に多孔体を設け、及び/又は、
    前記高温空気極側の空気流路の入口に障害板を設けたことを特徴とする請求項2に記載の積層型燃料電池。
  4. 前記ガス流路構造は、高温燃料極側の燃料ガス流量が低温燃料極側の燃料ガス流量より多くなるように、前記高温燃料極側の燃料ガス流路の断面積を前記低温燃料極側の燃料流路の断面積より大きくしたことを特徴とする請求項2に記載の積層型燃料電池。
  5. 前記ガス流路構造は、高温空気極側の圧力が低温空気極側の圧力より高くなるように、前記高温空気極側の空気流路の出口側の断面積を小さ くし、かつ前記低温空気極側の空気流路の入口側の断面積を小さくしたことを特徴とする請求項2に記載の積層型燃料電池。
  6. 前記ガス流路構造は、高温燃料極側の圧力が低温燃料極側の圧力より高くなるように、前記高温燃料極側の燃料ガス流路の出口側の断面積を小さくし、かつ低温燃料極側の燃料ガス流路の入口側の断面積を小さくしたことを特徴とする請求項2に記載の積層型燃料電池。
  7. 前記電極構造は、高温空気極の通気性が低温空気極の通気性より小さくなるように、
    前記高温空気極側の拡散層の平均孔径を前記低温空気極側の拡散層の平均孔径より小さくし、
    前記高温空気極側の拡散層の厚さを前記低温空気極側の拡散層の厚さより厚くし、及び/又は
    前記高温空気極側の拡散層の気孔率を前記低温空気極側の拡散層の気孔率より小さくしたことを特徴とする請求項2に記載の積層型燃料電池。
  8. 電解質膜の両面に電極を接合し、これをガス流路を備えたセパレータで挟持した単電池が複数個積層された単位モジュールと、該単位モジュール間に配置された冷却手段とを備えた積層型燃料電池と、
    前記各単電池毎又は前記単電池のグループ毎に、電圧、空気流路から排出されるガス中の酸素濃度及び燃料流路から排出されるガス中の水素濃度を検出する検出手段と、
    前記各単電池毎又は前記単電池のグループ毎に、流量、圧力及び/又は加湿量の異なる反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
    電圧の低い単電池又は単電池のグループの酸素濃度が、電圧の高い単電池又は単電池のグループの酸素濃度より低いときには、前記電圧の低い単電池又は単電池のグループの空気流量を増加させ、
    前記電圧の低い単電池又は単電池のグループの水素濃度が、前記電圧の高い単電池又は単電池のグループの水素濃度より低いときには、前記電圧の低い単電池又は単電池のグループの燃料流量を増加させる制御手段とを備えている積層型燃料電池システム。
  9. 電解質膜の両面に電極を接合し、これをガス流路を備えたセパレータで挟持した単電池が複数個積層された単位モジュールと、該単位モジュール間に配置された冷却手段とを備えた積層型燃料電池と、
    前記各単電池毎又は前記単電池のグループ毎に、電圧、及び膜抵抗を検出する検出手段と、
    前記各単電池毎又は前記単電池のグループ毎に、流量、圧力及び/又は加湿量の異なる反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
    電圧の低い単電池又は単電池のグループの膜抵抗が、電圧の高い単電池又は単電池のグループの膜抵抗より小さいときには、前記電圧の低い単電池又は単電池のグループの空気流量を増加させ、空気加湿量を減少させ、及び/又は燃料加湿量を減少させ、
    前記電圧の低い単電池又は単電池のグループの膜抵抗が、前記電圧の高い単電池又は単電池のグループの膜抵抗より大きいときには、前記電圧の低い単電池又は単電池のグループの空気流量を減少させ、空気加湿量を増加させ、及び/又は燃料加湿量を増加させる制御手段とを備えた積層型燃料電池システム。
  10. 電解質膜の両面に電極を接合し、これをガス流路を備えたセパレータで挟持した単電池が複数個積層された単位モジュールと、該単位モジュール間に配置された冷却手段とを備えた積層型燃料電池と、
    前記各単電池毎又は前記単電池のグループ毎に、電圧を検出する検出手段と、 前記各単電池毎又は前記単電池のグループ毎に、流量、圧力及び/又は加湿量の異なる反応ガスを供給する反応ガス供給手段と、
    電圧の低い単電池又は単電池グループの空気流量又は燃料流量を一時的に増減させ、一時的な増減によって前記電圧の低い単電池又は単電池のグループの電圧が上昇したときには、前記電圧の低い単電池又は単電池のグループの電圧が上昇しなくなるまで、前記電圧の低い単電池又は単電池のグループの空気流量又は燃料流量を増減させる制御手段とを備えた積層型燃料電池システム。
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