JP3596866B2 - リチウム二次電池及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池、特に薄形の形状をしたリチウム二次電池およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、大気中に含まれるCO2 ガス量が増加しつつある為、室温効果により地球の温暖化が生じる可能性が指摘されている。火力発電所は化石燃料などを燃焼させて得られる熱エネルギーを電気エネルギーに変換しているが、燃焼によりCO2 ガスを多量に排出するため新たな火力発電所は、建設することが難しくなって来ている。したがって、火力発電所などの発電機にて作られた電力の有効利用として、余剰電力である夜間電力を一般家庭に設置した二次電池に蓄えて、これを電力消費量が多い昼間に使用して負荷を平準化する。いわゆるロードレベリングが提案されつつある。
【0003】
また、COx、NOx、炭化水素などを含む大気汚染にかかわる物質を排出しないという特徴とを有する電気自動車用途では、高エネルギー密度の二次電池の開発が期待されている。さらに、ブック型パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサー、ビデオカメラ及び携帯電話等のポータブル機器の電源用途では、小型・軽量で高性能な二次電池の開発が急務になっている。
【0004】
このような状況下にあって、 ニッケル・水素二次電池とリチウム二次電池が実用化され、さらに、より高性能を求めて研究開発が精力的に行われている。
【0005】
ニッケル・水素二次電池は、軽量という点ではリチウム二次電池に比べて劣るものの、低コストで製造できることや、製造のしやすさ等の理由から、携帯用機器の電源として、また、一部ではあるが電気自動車用電源としても実用化され始めている。
【0006】
一方、リチウム二次電池は、負極に金属リチウム、リチウム合金、カーボン等を用い、正極には二酸化マンガン、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム等を用いた電池が研究・開発されており、ニッケル・水素二次電池に比べて、高エネルギー密度が期待できる等、優れている点が多いことから、特に携帯用機器に用いられてきている。
【0007】
携帯用機器に用いられる二次電池の形状としては、円筒形、角形が多い。特に、角形電池 は、円筒形電池に比べて薄形化が可能であることから、小形の携帯機器に多く用いられてきている。円筒形電池の作製においては、正極と負極を隔離体であるセパレータを介して円筒形に捲回し、この捲回群を円筒形の容器に挿入した後、この容器の開口部の近くにくびれを入れる。その後、電解液を注入し、内圧開放弁、PTC(正温度抵抗素子:Positive Temperature Coefficient Device)、電流遮断機構等を有した外部端子を兼ねる上蓋をくびれ部分にのせ、パッキンを介してカシメすることにより作製される。角形電池については、一般に、まず、正極と負極を隔離体であるセパレータを介して偏平状に捲回し、この捲回群を角形の容器に挿入する。次いで、内圧開放弁やPTC、電流遮断機構、注液口等を備えた外部端子を兼ねる上蓋を、容器の開口部に載せ、レーザー溶接を施す。その後、電解液を注液口より注入し、この注液口を封口することにより作製される。
【0008】
円筒形電池や角形電池の容器は、一般に、鉄にニッケルメッキを施した板、アルミニウム板、あるいはステンレスの板等を深絞りすることにより製造される。
【0009】
角形電池を作製する際の欠点としては、角形の電池容器を絞り加工によって、深絞りする通常の方法では加工できる材料に限界がある点が挙げられる。通常の場合、電池を構成する容器の厚さが5mm程度以上が限界である。これは、円筒形電池でもほぼ同様である。この厚さよりも薄い材料を用いて角形電池用の容器を作製する方法としては、例えば、板の厚さ方向の中を刳り割り貫くように削り取ることが考えられる。しかし、この方法を採用した場合には大幅なコストアップが避けられず、現実的な方法とはいえない。また、電池容器が薄くなると、当然、上蓋の幅も狭くなる。溶接する上蓋の巾が約5mm以下になると、上蓋に細工された端子キャップおよびその絶縁モールドの加工、注液口の加工等が極めて難しくなる。加えて、電池容器と上蓋の溶接、多くはレーザー溶接であるが、この溶接の際、溶接部近傍の絶縁モールドに熱的悪影響を与えることとなる。
【0010】
一方、最近では、正極と負極の間にセパレータ、ゲル電解質あるいは固体電解質を介在させた蓄電部材を、ラミネートフィルムで覆ったシート形電池と呼ばれる、より薄形化が可能な電池も開発されている。
【0011】
シート形電池については、使用するラミネートフィルムが強度的に弱いため、変形しやすい、傷つきやすい、使用できる範囲が限定されてしまう等の問題が挙げられる。
【0012】
図10(a)、図10(b)は、外装にラミネートフィルムを用いたリチウム二次電池の概略図である。図10(a)は、ラミネートフィルムを用いた二次電池を真横から見た透視図であり、図10(b)は、図10(a)の周辺部をD−D’に沿って垂直方向に切断した断面図である。図10(a)において、1001は一対の出力端子であり、ラミネートフィルム1005を用いてパックが形成され、パックの内部に蓄電部材1003が入れられている。ラミネートフィルム1005は、2枚の耐溶剤性のある厚さ数10μmのプラスチックフィルム1006の間に厚さ数10μmのアルミニウム箔1007を挟んで構成される。このアルミニウム箔1007は、電池内部への水分の透過を防止するためのものであるが、アルミニウム箔1007が薄いため、水分の透過を完全には防止できない可能性がある。
【0013】
ラミネートフィルム1005を用いた電池の実装においては、図10(a)に示すようにラミネートフィルム1005を折り曲げ部1004で折り曲げ、折り曲げた2枚のフィルムで形成される空間内に蓄電部材1003と正極および負極の出力端子を入れ、周辺部に熱溶着部1002を形成して封止がなされる。図10(b)に示されるように、熱溶着は、2枚のラミネートフィルム1005を重ね、圧力をかけながら加熱することにより、ラミネートフィルム1005を構成する内側のプラスチックフィルム1006どうしが溶融、溶着し、熱溶着領域1008が形成される。
【0014】
この場合、出力端子1001周辺のシールが難しいため、必要以上に熱溶着の部分を多くする必要があり、信頼性が必ずしも満足できるものではなかった。
【0015】
加えて、一般に熱溶着部1002は5mm以上必要とされており、この熱溶着部1002が、容量密度を低下させる大きな原因となっている。また、この熱溶着部をも折り曲げてしまえば、容量密度の低下は少なくてもすむが、折り曲げにより、ラミネートフィルム1005の信頼性が低下し、水分が更に透過しやすくなるという懸念がある。
【0016】
このような、欠点を補う二次電池として、特開平09−213286号公報に開示されたものがある。当該公報には、ラミネートフィルムを用いずに薄い板厚の金属板を成型してなる薄形電池容器を用いたリチウム電池が開示されている。当該公報に開示されたリチウム電池は、電池容器が、蓄電部材と平行な面に開口部を有する薄形容器と、該開口部に載置した蓋板との接合により封口して形成されたものである。そして、薄形容器と蓋板とは、レーザー照射により溶接されることが開示されている。
【0017】
図11は、当該公報に開示されてリチウム二次電池の構成を模式的に示す断面図である。図11おいては、正極1101と負極1102とを隔離体1103を介して積層し構成される蓄電部材1100と平行な面に開口部を有する薄形の容器1105の開口部に蓋板1104を載置し、端部にレーザー光1008を照射して溶接により封口され、二次電池が作製されている。
【0018】
この方法によると厚さ5mm以下の薄形電池を比較的大きな面積で作製することが可能となる。
【0019】
しかしながら、図11の二次電池は、上記の蓋板1104は板厚が薄い単純なシート状をしているため、蓋板1104の強度が十分でないという問題点を有している。すなわち、電池容器に対して、垂直方向、あるいは斜めからの応力がかかった場合の変形により、往々にしてショートを生ずる恐れがある。
【0020】
さらに、容器1105と蓋板1104の溶接にレーザーを用いることから、蓄電部材が熱に晒されることとなり、熱を遮蔽するための熱遮蔽板1106を溶接部と蓄電部材間に設ける必要がある。この熱遮蔽板1106には、熱伝導性の良い材料、たとえば、ステンレス、銅、ニッケル等の金属で構成された厚さは0.1mm前後の板が用いられる。熱遮蔽板が金属で構成されることから、充放電により膨張しやすい活物質を用いた場合や、応力がかかった場合にはショートが生ずる恐れが高まる。また、この熱遮蔽板の厚さは、総厚さが数mmのリチウム二次電池に対しては、数%から5%程度となり、このことから、これに相当した容量密度が低下することとなる。更に、熱遮蔽板1106の形状を波状とした場合には、容量密度の低下が一層著しいものとなる。隙間1107は、熱遮蔽板1106を入れることにより、蓋1104、もしくは容器1105と正極1101と負極1102と隔離体1103からなる蓄電部材の間に必然的に発生してしまう。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、薄形形状のリチウム二次電池についての上述した従来技術の状況に鑑みてなされたものである。
本発明の目的は熱遮蔽板を用いることなく薄形を達成するリチウム二次電池を提供することにある。
本発明の他の目的は、充放電を繰り返すことによっても容易にはショートすることがない耐久性に富んだリチウム二次電池を提供することにある。
本発明の別の目的は、サイクル寿命の長いリチウム二次電池を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、前記リチウム二次電池の製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明により提供されるリチウム二次電池は、少なくとも一方の部材が凹部を有し、該凹部が内側になるように対向配置された2つの部材と、該2つの部材で囲まれた、正極、負極、及びイオン伝導体を含む蓄電部材とを備え、前記一方の部材の凹部の周辺部及び他方の部材の前記一方の部材の周辺部に対応する領域には互いに溶着された鍔部が設けられ、前記一方もしくは他方の部材には前記蓄電部材と導通した出力端子と該出力端子を絶縁する絶縁部が配されているリチウム二次電池において、前記鍔部の幅が、0.5mm以上3.0mm以下の範囲であり、かつ凹部の周面の傾斜角が5度以上45度以下であることを特徴とする。
【0023】
本発明は、前記リチウム二次電池の製造方法を包含する。
本発明により提供されるリチウム二次電池の製造方法は、少なくとも一方の部材が凹部を有し、該凹部の周面の傾斜角が5度以上45度以下の範囲にあり、該凹部が内側になるように対向配置された2つの部材と、該2つの部材で囲まれた、正極、負極、及びイオン伝導体を含む蓄電部材とを備えたリチウム二次電池の製造方法において、凹部と該凹部の周辺部に鍔部を有する第1の部材を用意する工程、第1の部材の周辺部に対応する領域に鍔部を有する第2の部材を用意する工程、前記凹部に前記蓄電部材を配する工程、前記凹部が内側になるように前記第1の部材と第2の部材とを合わせる工程、及び前記第1の部材及び第2の部材の鍔部を溶着する工程とを有することを特徴とする。
【0024】
本発明のリチウム二次電池においては、対向配置された2つの部材の少なくとも一つに凹部を有し、該凹部の周辺部と、これに対向する部材の周辺部にも鍔部を設け、該鍔部どうしを溶着して構成されている。このように凹部より突き出した鍔部を溶着してなることから、凹部内部に従来必要とされていた熱遮蔽板を設ける必要がない。これにより、熱遮蔽板を用いた構成のリチウム二次電池において懸念された、充放電を繰り返すことによって、生ずる正極や負極の膨張に基づくショートを効果的に防止することができる。そして、本発明のリチウム二次電池は、サイクル寿命の長い優れた特性を示す。
【0025】
本発明のリチウム二次電池の製造方法においては、凹部と該凹部の周辺部に鍔部を有する第1の部材と、第1の部材の周辺部に対応する領域に鍔部を有する第2の部材の鍔部どうしを溶着することから、凹部に収容される正極、負極、及びイオン伝導体を含む発電要素への熱的影響を極力抑えることができる。これにより、サイクル寿命が長く安定した特性のリチウム二次電池を製造することができる。これに加えて、本発明の方法においては、鍔部を有する部材を用意する工程を有し、鍔部を金属加工により形成する場合には、金属加工による材料の硬化により、薄い部材に大きな強度をもたせることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明により提供されるリチウム二次電池は、少なくとも一方の部材が凹部を有し、該凹部が内側になるように対向配置された2つの部材と、該2つの部材で囲まれた、正極、負極、及びイオン伝導体を含む蓄電部材と、を備えたリチウム二次電池において、前記一方の部材の凹部の周辺部、及び、他方の部材の前記一方の部材の周辺部に対応する領域には、互いに溶着された鍔部(つばぶ)が設けられ、前記一方もしくは他方の部材には、前記蓄電部材と導通した出力端子と該出力端子を絶縁する絶縁部が配されていることを特徴とするものである。
【0027】
本発明は、前記リチウム二次電池の製造方法を包含する。
本発明により提供されるリチウム二次電池の製造方法は、少なくとも一方の部材が凹部を有し、該凹部が内側になるように対向配置された2つの部材と、該2つの部材で囲まれた、正極、負極、及びイオン伝導体を含む蓄電部材と、を備えたリチウム二次電池の製造方法において、凹部と該凹部の周辺部に鍔部を有する第1の部材を用意する工程、第1の部材の周辺部に対応する領域に鍔部を有する第2の部材を用意する工程、前記凹部に前記蓄電部材を配する工程、前記凹部が内側になるように前記第1の部材と第2の部材とを合わせる工程、及び前記第1の部材、及び第2の部材の鍔部を溶着する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明を説明する。
図1は、本発明のリチウム二次電池の一例を示す概観図である。
【0029】
ここに示されたリチウム二次電池は、凹部102a(ここで、図面上は、部材の外側表面が見えているが、凹部102aは、部材の内側の窪みを指す)と該凹部の周辺部に鍔部103aを有する部材101aと、同じく凹部102bと該凹部の周辺部に鍔部103bを有する部材101bと、を凹部が内側になるように対向配置し、該鍔部を溶着して構成されている。この部材101a及び部材101bで囲まれた凹部には、不図示の正極、負極、イオン導電体を含む蓄電部材が収容されている。そして部材101aには、該蓄電部材と導通する外部への正極の出力端子104、および負極の出力端子106と該正極の出力端子104、および該負極の出力端子106を絶縁する絶縁部105が設けられている。ここで、部材101a及び部材101bは、最終的には、リチウム二次電池の外装容器を構成する。また、本例では、部材101a及び部材101bの両方に凹部が設けられているが、本発明は、2つの部材の少なくとも一方の部材に凹部を有する態様をも包含する。
【0030】
鍔部103(103aと103bの少なくとも一方を指す。以下同様)を有する部材101(101aと101bの少なくとも一方を指す。以下同様)を用意するに際し、金属材料を加工すると、金属材料が硬化し、部材101の板の厚さが薄くても大きな強度を持たせることができる。更に、蓄電部材を収める凹部の周辺に配された鍔部103どうしを溶着させて電池の外装容器を構成することから、溶着の際の凹部への熱の拡散は直接的なものではなくなり、鍔部103が放熱の役割を果たす。これにより、従来の薄形リチウム二次電池で必要とされた図11における熱遮蔽板1106を設ける必要がなくなる。
【0031】
鍔部103の幅は、好ましくは0.5mm以上3.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上2.0mm以下の範囲とされる。ここで、0.5mm以上としたのは、蓄電部材への熱影響を避けるために好ましい距離を考慮したためである。
【0032】
鍔部103の溶着は、レーザー溶接はじめ、電子ビーム溶接、抵抗溶接、超音波溶接等により行うことができるが、生産性や、信頼性を考えるとレーザー溶接が最も推奨される。レーザー溶接時のレーザービームの照射径は、外装容器を構成する部材の厚さや材質によっても異なるが、例えば、ステンレスの場合、0.2mmから0.4mm、アルミニウムの場合、0.6mmから0.8mmの範囲とするのが望ましい。
【0033】
図2は、本発明のリチウム二次電池で、図1のX−X’に沿って切断した時の外装容器(部材)の一例を示す断面図である。本発明において、部材に形成される凹部の深さ201は、厳密に制限されるものではないが0.3mmから3mmの範囲、好ましくは0.5mmから2.5mmの範囲が適している。また、凹部の角度202は、5度から45度、好ましくは10度から40度の範囲が適している。
【0034】
外装容器を構成する部材101の材料としては、薄さを特に要求される場合には、強度の大きいステンレス、軽さを要求される場合にはアルミニウムが特に推奨されるが、その他、ニッケル、ニッケルメッキを施した鉄、銅等を用いることもができる。
【0035】
部材101の板厚は0.05mm以上プレス加工ができる範囲の厚さまでが推奨されるが、上限としては、ステンレスの場合、0.3mm、アルミニウムの場合、0.8mm程度である。より好ましくは、ステンレスの場合、0.1mmから0.2mmの範囲、アルミニウムの場合0.2mmから0.5mmの範囲である。
【0036】
外装容器を構成する部材101の材料として上記のような金属材料以外にプラスチック材料をも用いることができる。しかし、部材101の材料強度から、全てをプラスチック材料で構成することは難しい。
【0037】
プラスチック材料使用の一例としては、図3に示す態様が考えられる。
図3は本発明のリチウム二次電池で、正極の出力端子、負極の出力端子、絶縁部、内圧開放弁を有するリチウム二次電池の一例を示す平面図である。図3においては、正極の出力端子104と負極の出力端子106の周囲に絶縁部105が設けられ、該絶縁部105をプラスチック材料で構成している。別の例としては、電池容器内部の圧力が上昇した時に内部の圧力を解放するような内圧開放弁301を設けることが考えられるがこの弁をプラスチック材料で構成することができる。
【0038】
また、図4に示す態様も考えられる。図4は本発明のリチウム二次電池で、図1のY−Y’に沿って切断した時の外装容器(部材)の一例を示す断面図である。図4においては、不図示の蓄電部材に接続された正極の出力端子104及び負極の出力端子106を部材101から絶縁させるために絶縁部105が設けられていて、該絶縁部105をプラスチック材料で構成することができる。この場合、あらかじめ正極の出力端子104、負極の出力端子106、金属からなる支持板401及び絶縁部105を成形しておき、その支持板401と部材101aを何らかの方法で溶接し、溶接部402を形成することが考えられる。
【0039】
図5は、図1のY−Y’に沿って切断した時の外装容器(部材)の一例を示す断面図で、図1には不図示の内圧開放弁301を含んでいる。リチウム二次電池においては、電池容器内部の圧力が上昇した時に内部の圧力を解放する圧力解放弁301が薄肉部に設けられている。内圧開放弁301にはプラスチックの栓を設けることもできる。内圧開放弁301は、外装容器の金属部分にプレス加工等によって薄肉部を作成したり、金属箔等を貼り付けて所定の圧力で内部の圧力が解放できるように構成することができる。また、安全弁にはゴム栓、スプリングを用いて、所定の圧力になったら作動させ、内圧を下げる方法もある。図5に示す電池は、部材101a、正極の出力端子104、負極の出力端子106および絶縁部105を一体成形して構成することができる。
【0040】
図6に本発明のリチウム二次電池で、正極の出力端子と正極リードを正極出力端子リードで、電気的に接合する場合に、クラッド材を用いた時の断面の一例を示す。正極の出力端子104を構成する材料としては、導電性が高く、腐食しにくく、強度が大きいものが望ましい。そうした材料としては、銅、ニッケル、あるいはこれらに金メッキしたもの等が挙げられる。特に、正極602から出ている正極リード601と一体成形されている正極の端子104の材質がこれとは異なる場合、正極端子リード601にクラッド材を用いて構成することは、有益である。たとえば、正極リード601の材質がアルミニウムの場合、一体成形された正極出力端子リード403の材質をアルミニウムとすれば問題無いが、アルミニウムでは強度が弱いので、ニッケルとしなければならない場合が有り得る。その場合、ニッケルとアルミニウムの溶接は難しいが、クラッド材を用いることにより、このような問題を解消できる。負極についても同様にクラッド材を用いることができる。
【0041】
クラッド材の具体例としては、銅とニッケルが挙げられる。
【0042】
次いで、図7を参照しながら本発明のリチウム二次電池を説明する。図7は本発明のリチウム二次電池で、蓄電要素を外装容器(部材)の内部に収納した時の図1のX−X’ に沿って切断した時の一例を示す断面図である。図7において、蓄電部材としての正極602、負極702、隔離体701としてのセパレータ等は積層され、フィルム703で覆われた状態で部材101aと101bの凹部102に配されている。
【0043】
正極602は、一般に集電体の両側に活物質層が配置される。活物質層はリチウムの挿入、脱離が可能な活物質粉末、導電剤、その他の添加材および、これらの活物質粉末同士、あるいは活物質粉末と集電体を保持させるための結着材で構成される。
【0044】
正極の活物質としては、電解液中で安定であって、リチウムの挿入、脱離が可能であればよく、一例として、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMnO2 、LiMn2 O4 のような遷移金属酸化物とリチウムの化合物、V2 O5 、MnO2 、TiO2 、MoO3 などのリチウムを含まない金属酸化物、TiS2 、MoS2 のような金属カルコゲン化合物、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフタロシアニン等の導電性高分子およびこれらの誘導体が挙げられる。
【0045】
結着材としては、電気化学的、化学的に安定で、結着力のある材料で構成される。一例として、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系の樹脂がよく用いられるが、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース系、ポリビニルアルコールのような酢酸ビニル系のものを用いることもできる。
【0046】
導電剤としては、電気化学的、化学的に安定で、電気伝導度が高いものが望ましい。一例として、炭素粉末、特に黒鉛化した粉末、銅粉末、アルミニウム粉末、チタン粉末等が挙げられる。
【0047】
正極の集電体を構成する材料としては、電気化学的、化学的に安定で、導電性が高い材料であることが望ましい。一例として、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケルが挙げられる。また、集電体の形状としては、シート状、網状、エキスパンド状、穿孔板状、スポンジ状等が採用できる。
【0048】
負極702は、一般に集電体の両側に活物質層が配置される。活物質層はリチウムの挿入、脱離が可能な活物質粉末、導電剤、その他の添加材および、これらの活物質粉末同士、あるいは活物質粉末と集電体を保持させるための結着材で構成される。
【0049】
負極の活物質としては、電解液中で安定であって、リチウムの挿入・脱離、あるいは析出・溶解が可能な材料が望ましい。一例としては、金属リチウムおよび金属リチウムとの合金、アルミニウム−リチウム合金、鉛−リチウム合金、錫−リチウム合金等が挙げられる。また、TiO2 、V2 O5 等の金属酸化物、あるいはこれら金属酸化物のリチウム化合物、錫−鉄、錫−コバルト、シリコン−鉄、シリコン−ニッケル等のリチウムと合金を作る金属(ここでは、錫、シリコン)とリチウムと合金を作らない金属(ここでは、鉄、コバルト、ニッケル)の合金あるいはこれらの合金とリチウムとの合金、あるいは、炭素(非晶質炭素、黒鉛等)等を用いることもできる。
【0050】
結着材、導電材については、正極活物質で述べたのと同様の材料を用いることができる。
【0051】
負極の集電体を構成する材料については、電気化学的、化学的に安定で、導電性が高いこと、およびリチウムと合金化しないことが要求される。このような材料の一例として、銅、ニッケル、ステンレス、チタン等を挙げることができる。形状は、シート状、網状、エキスパンド状、穿孔板状、スポンジ状等を採用することができる。
【0052】
隔離体701は正極602と負極702の電気的絶縁をとるため設けられる。そこで、充放電に関与するリチウムはイオンの状態で、この隔離体を自由に通過できなければならない。隔離体としてセパレータを用いた場合には、同時に電解液を蓄電部材の中に注液する。ゲル、あるいは固体電解質を用いた場合には、それ自体が隔離体であり、かつリチウムイオンを通過させることができるため、電解液の注液は必ずしも、必要ではない。
【0053】
セパレータとしては、微細孔を有するポリプロピレン薄膜、ポリエチレン薄膜あるいはこれら2種類を積層し厚さ数10μmとした薄膜、あるいは不織布等を用いることができる。
【0054】
電解液は、溶媒と電解質からなる。溶媒の一例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチルラクトン等を挙げることができる。電解質の一例としては、六フッ化リン酸リチウム、4フッ化リン酸リチウム、4フッ化硼酸リチウム等を挙げることができる。
【0055】
固体電解質としては、β−アルミナ、酸化銀、沃化リチウム等を挙げることができる。
【0056】
ゲル電解質としては、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンイミン等、ポリマーと前記記載の溶媒および電解液等との組み合わせからなるものを挙げることができる。
【0057】
正極、負極、イオン伝導体(電解液あるいはゲル電解質を含んだセパレータ、ゲル電解質、固体電解質)の配置については、イオン伝導体を介して、正極と負極を交互に積層するもの、あるいは、イオン伝導体を介して、正極と負極を平たく捲回するもの等が採用できる。セパレータを用いた場合には平たく捲回したもの、ゲル電解質や固体電解質を用いた場合には積層したものが実用上有益である。
【0058】
蓄電部材を覆うフィルム703しては、絶縁性があり、耐溶剤性を備えた材料を採用するのが望ましく、このような材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、フッソ樹脂等が挙げられる。フィルムの厚さは、約10μmから50μmの範囲とするのが実用上望ましい。
【0059】
図8は本発明のリチウム二次電池で、外装容器(部材)の中に電池本体を収納した時の一例で、真上から透視した時の図である。図8においては、内圧開放弁301、正極の出力端子104及び負極の出力端子106のまわりは絶縁部105で絶縁されている。403、404は、それぞれ、正極及び負極の出力端子リードであり、601及び801は、それぞれ、正極及び負極リードである。部材101で構成される外装容器の内部には、蓄電部材802が配されている。
【0060】
絶縁部材としてのプラスチック材料としては、絶縁性はもちろん、高強度で、耐溶剤性に優れ、水分を透過しないものが望ましい。こうした材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂等を挙げることができる。
【0061】
内圧開放弁301は絶縁体としてのプラスチック部を一体成形する時に、同時に形成することができる。
【0062】
正極、負極、導電体を含む隔離体からなる蓄電部材802を金属容器を構成する部材101に直接接することのないように、蓄電部材802を部材101から絶縁する必要がある。この絶縁は、蓄電部材802をプラスチックフィルム、たとえば、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等で覆う手法や、金属の部材101の内側に前述のプラスチックフィルムを貼る手法あるいは、絶縁性のプラスチックを塗工する手法等でなし得る。
【0063】
具体的な、電池の作製は、次のように行い得る。即ち、正極の出力端子104と負極の出力端子106とを絶縁部105により絶縁し、内圧開放弁301を備えた部材101に、絶縁性のプラスチックフィルム(不図示)で覆った蓄電部材802を、前記の部材101の凹部に配し、正極の出力端子リード403を介して正極の出力端子104と蓄電部材802の正極リード601、及び負極の出力端子リード404を介して負極の出力端子106と負極リード801とをレーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接等を用いて、溶接する。次いで、一方の部材上に他方の部材(不図示)をかぶせ、両者の鍔どうしを溶接することにより、薄形電池が得られる。
【0064】
ここで、本発明においては、2つの部材の鍔部を溶着により接合してリチウム二次電池を製造するが、2つの部材の接合には、溶着以外にも接着剤を用いた接着法が考え得る。
【0065】
常温付近の安定した温度領域で電池を使用する場合については、接着剤の種類を選べば接着法による接合でも実質的に問題はないと考えられるが、低温や高温域で使用する場合や、温度衝撃をうけやすいような環境下での使用では、問題が懸念される。即ち、部材と接着材との熱膨張係数が異なることから、接着剤と部材間の密着性が低下し、水分が電池内に侵入、電池性能を劣化させる恐れがある。
【0066】
これに対し、レーザー溶接等の溶接を用いて2つの部材を接合する本発明のリチウム二次電池は、溶接部が解け、均一な状態で接合されているので、広範囲の温度変化等にも十分耐え得る密着性が確保でき、耐久性、信頼性に富んだ二次電池となる。
【0067】
図9は、本発明のリチウム二次電池を携帯電話にセットした時に、リチウム二次電池が機器の外装の一部なった時の概観を示す。携帯電話本体902に、本発明のリチウム二次電池901を矢印Aの方向にセットすることにより、リチウム二次電池が携帯電話の外装の一部になる。この時、部材101の外側は、携帯機器の他の外装部分とマッチングするように、プラスチックで覆う、ラベルを貼る、塗装する、等の処理が施されている。このようにして用いることにより、電池をセットした後に蓋をする必要がなくなり、多くの携帯機器の薄型化がより一層、可能になる。
【0068】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0069】
実施例1
正極はコバルト酸リチウムを90重量部、導電材として天然黒鉛を5重量部、バインダとしてポリフッ化ビニリデン5重量部、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを50重量部、これらを混練し、粘度が3000cpsのスラリーとした。これを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面へ間欠塗工し、乾燥した。この正極をプレスし、厚さを200μmとした。
【0070】
負極はグラファイトを95重量部、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを5重量部、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを60重量部、これらを混練し、粘度が2000cpsのスラリーとした。これを厚さ12μmの銅箔の両面に間欠塗工した。この負極をプレスし、厚さを180μmとした。
【0071】
これらの正極と負極を52mm×70mmの寸法に切断し、その一部の活物質を掻き落とし、集電体の箔を露出させ、そこへ集電体と同じ材質のアルミニウムと銅の幅5mm×厚さ50μm×長さ5mmのリボンを超音波溶接器で溶接し、それぞれ正極、負極のリードとした。この正極、負極を厚さ25μmで、53mm×71mmの大きさのポリプロピレン製の多孔性セパレータを介して、負極が外側になるようにして、正極を6枚、負極を7枚を交互に積層した。さらに、蓄電部材の外側をプラスチック性のフィルムで覆い、電池ケースと絶縁した。
【0072】
一方、外装容器(部材)は、板厚0.15mmのステンレス板を金型を用い、図1のように絞り加工した。この容器は2個用意した。凹部の寸法は、長さ86mm、幅54mmで鍔部は1mm、凹部の深さは1.5mm、凹部の角度は15度とした。2個のうちの一方の一部に12mm×10mmの穴をあけ、正極の出力端子と負極の出力端子になる厚さ150μmのニッケルシートをポリプロピレンでインサート成形し、ニッケル端子とケースを絶縁を取りながら一体化した。正極端子および負極端子の外部へ出ている大きさは、ともに3mm×5mmである。
【0073】
ニッケル端子をインサート成形した容器の中に、前述した正極と負極をセパレータを介して積層した蓄電部材を入れ、正極、負極のリードを正極端子および負極端子のリードに超音波溶接した。そこへ、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートの等量混合溶媒1リットルに、1モルの6フッ化燐酸リチウムを溶解した電解液を注液した。これに、インサート成形を施さないもう一方の容器をかぶせた。
【0074】
押え治具で容器の鍔を抑えながら、この鍔をYAGレーザー溶接機で溶接した。溶接は、あらかじめエネルギー1.4J、パルスの照射時間2.0m・secで、照射回数1pps(1秒あたりのパルス回数)、2mmピッチで仮止をした。その後、エネルギー1.4J、パルスの照射時間2.0m・sec、照射回数25pps、送り速度2.0mm/secでシーム溶接した。これにより、薄形電池を作製した。
【0075】
実施例2
負極は平均粒径3μmの錫粉末60重量部、カルボキシメチルセルロース5重量部、水35重量部を混練し、粘度2000cpsのペーストとし、厚さ12μmの銅箔に塗工した。これを乾燥させ、厚さ180μmにプレスした。
正極および、電極寸法、正極および負極のリード、積層枚数、容器の構成等は実施例1と同じにして薄形電池を作製した。
【0076】
実施例3
正極と負極は実施例1と同じものを用いた。
この電池では、実施例1のセパレータの代わりに、ゲル電解質を用いた。作製方法は所定の寸法に切断した正極および負極の表面に、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレートを70重量部、ポリエチレングリコールジメタクリレートを30重量部、エチレンカーボネートとジメトキシエタンの等容積混合物に6フッ化燐酸リチウムを1モル/Lの濃度で溶解した溶液を400重量部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを0.3重量部を混合した溶液を塗布し、その後、紫外線を照射し、ゲル状の電解質にした。正極および負極の表面に形成されたゲル層の厚さはセパレータの厚さの1/2の12.5μmとした。これにより、積層した場合に、セパレータと同じ厚さになる。
【0077】
積層枚数、容器の構成等、その他の構成は、実施例1と同じにして薄形電池を作製した。
【0078】
実施例4
実施例1と同様にして薄形電池を作製した。
正極端子のリードは厚さ50μmのアルミニウムとニッケルのクラッド材を5mm×10mmの寸法に切断し、このクラッド材のニッケル側と正極端子を超音波溶接で溶接し、もう一方をアルミニウム側を正極リードであるアルミニウムリボンに超音波で溶接した。
正極、負極の構成、容器の構成等、他の条件は実施例1と同じである。
【0079】
実施例5
外装容器(部材)は、実施例1と同様の材料を用い、絞り加工した。寸法は、凹部の深さが3.0mmであることを除いて、全て同じである。正極および負極の出力端子の構成、蓄電部材の構成、電解液、等は全て同様である。
他方の部材は、板厚0.15mmのステンレスを長さ88mm、幅56mmに切断し、作製した。外装容器の中に蓄電部材をいれ、電解液を注入した後、この部材をかぶせ、実施例1と同一条件で、レーザー溶接し、薄形電池を作製した。
【0080】
比較例1
実施例1と同様に、正極と負極を作製し、また、正極、負極、セパレータを同様に積層し、蓄電部材とした。
【0081】
図11に示す様に、電池の容器1105は、板厚0.15mmのステンレスを金型を用い、絞り加工した。隔離体1103を介して正極1101と負極1102を積層した蓄電部材を容器1105に入れ、蓄電部材の上に、厚さ0.1mmのステンレス製の熱遮蔽板1106を配置した。実施例1と同じ電解液を注入し、その後、端子取り出し口のスペース12mm×10mmを有した蓋板1104を実施例1と同様にレーザー溶接で溶接した。電池部材から出ている正極、負極のリードは、あらかじめ、上蓋に端子の取り出し部の穴を開けておき、そこから取り出し、端子とした。容器と端子の絶縁は、スプレーガンによって液状化させたポリエチレン樹脂を吹き付ける事により行った。
【0082】
比較例2
負極は実施例2と同様に作製した。それ以外の、正極、セパレータ、電池容器等の構成は比較例1と同じである。
【0083】
比較例3
ゲル電解質層は実施例3と同様に作製した。それ以外の正極、負極、電池容器等の構成は比較例1と同様である。
【0084】
比較例4
熱遮蔽板を用いない事を除いて、比較例1と同じである。
【0085】
評価1
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、比較例1、比較例2、比較例3の電池で、充放電サイクル寿命を繰り返した。
【0086】
充放電試験はアービン インスツルメンツ社製BT−2043充放電システムを用い、充電条件が、1Aで3時間、4.2Vの定電流、定電圧充電、放電が1Aで終止電圧2.5Vとした。休止時間は、充電および放電後、共に10分間とした。試験に供した電池の個数は全て5個である。表1に充放電のサイクル途中でショートした電池の個数を示した。表中の数値は試験中の累計である。
【0087】
その結果、実施例1、2、3、4、5は充放電サイクル試験の途中でショートするものはなかったが、比較例2は100サイクル目までに2個ショートし、200サイクル目では全てショートしてしまった。比較例1、3は比較例2ほどではないが、400サイクル目までには全てショートしてしまった。これらの電池を解体したところ、隔離体であるセパレータやゲル電解質層が一部破損していた。この原因は、充放電に伴う活物質の体積膨張により、熱遮蔽板に応力がかかったため、起ったものと思われる。
【0088】
【表1】
【0089】
評価2
実施例1および実施例5と比較例1および比較例4の電池を1Aで3時間、4.2Vの定電流、定電圧充電で充電した。この電池の電圧を測定しながら、油圧プレスにより電池の全面を加圧し、急激な電圧低下を起こした時の圧力を測定した。
【0090】
実施例1は49MPaの圧力まで、実施例5は30MPaの圧力まで、急激な電圧低下はなかったが、比較例1では4.9MPa、比較例4では、わずか0.98MPaで電圧低下を起こした。
このことから、本発明の電池が耐荷重に優れている事が分かった。
【0091】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明のリチウム二次電池においては、対向配置された2つの部材の少なくとも一つに凹部を有し、該凹部の周辺部と、これに対向する部材の周辺部にも鍔部を設け、該鍔部どうしを溶着して構成されていることから、凹部内部に従来必要とされていた熱遮蔽板を設ける必要がなく、該熱遮蔽板を用いた構成のリチウム二次電池において懸念された、充放電を繰り返すことによって、生ずる正極や負極の膨張に基づくショートを効果的に防止することができる。そして、本発明のリチウム二次電池は、サイクル寿命の長い優れた特性を示す。
【0092】
また、本発明のリチウム二次電池の製造方法においては、凹部と該凹部の周辺部に鍔部を有する第1の部材と、第1の部材の周辺部に対応する領域に鍔部を有する第2の部材の鍔部どうしを溶着することから、凹部に収容される正極、負極、及びイオン伝導体を含む発電要素への熱的影響を極力抑えることができ、サイクル寿命が長く安定した特性のリチウム二次電池を製造することができる。これに加えて、本発明の方法においては、鍔部を有する部材を用意する工程を有し、鍔部を金属加工により形成する場合には、金属加工による材料の硬化により、薄い部材に大きな強度をもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウム二次電池の一例を示す概観図である。
【図2】本発明のリチウム二次電池で、図1のX−X’に沿って切断した時の部材の一例を示す断面図である。
【図3】本発明のリチウム二次電池で、正極の出力端子、負極の出力端子、絶縁部、内圧開放弁を有するリチウム二次電池の一例を真上から見た図である。
【図4】本発明のリチウム二次電池で、図1のY−Y’に沿って切断した時の部材の一例を示す断面図である。
【図5】本発明のリチウム二次電池で、図1のY−Y’に沿って切断した時の部材を示す断面図で、絶縁部の一部に内圧開放弁を有した一例を示している。
【図6】本発明のリチウム二次電池で、正極の出力端子と正極リードを正極出力端子リードで、電気的に接合する場合に、クラッド材を用いた時の一例を示す断面図である。
【図7】本発明のリチウム二次電池で、電池本体を部材の内部に収納した時の図1のX−X’に沿って切断した時の一例を示す断面図である。
【図8】本発明のリチウム二次電池で、部材の中に電池本体を収納した時の一例で、真上から透視した時の図である。
【図9】本発明のリチウム二次電池を携帯電話にセットした時、リチウム二次電池が携帯電話の外装の一部になった時の図である。
【図10】外装にラミネートフィルムを用いた従来のリチウム二次電池の一例を示す概略図である。
【図11】従来のリチウム二次電池の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
101a、101b(101) 部材
102a、102b(102) 凹部
103a、103b(103) 鍔部
104 正極の出力端子
105 絶縁部
106 負極の出力端子
201 凹部の深さ
202 凹部の角度
301 内圧開放弁
401 支持板
402 溶接部
403 正極出力端子リード
404 負極出力端子リード
405 レーザー光
601 正極リード
602 正極
700 蓄電部材
701 隔離体
702 負極
703 フィルム
801 負極リード
802 蓄電部材
901 本発明のリチウム二次電池
902 携帯電話本体
1001 出力端子
1002 熱溶着部
1003 蓄電部材
1004 折り曲げ部
1005 ラミネートフィルム
1006 プラスチックフィルム
1007 アルミニウム箔
1008 熱溶着領域
1101 正極
1102 負極
1103 隔離体
1104 蓋板
1105 容器
1106 熱遮蔽板
1107 隙間
1108 レーザー光
1100 蓄電部材
Claims (20)
- 少なくとも一方の部材が凹部を有し、該凹部が内側になるように対向配置された2つの部材と、該2つの部材で囲まれた、正極、負極、及びイオン伝導体を含む蓄電部材とを備え、前記一方の部材の凹部の周辺部及び他方の部材の前記一方の部材の周辺部に対応する領域には互いに溶着された鍔部が設けられ、前記一方もしくは他方の部材には前記蓄電部材と導通した出力端子と該出力端子を絶縁する絶縁部が配されているリチウム二次電池において、前記鍔部の幅が、0.5mm以上3.0mm以下の範囲であり、かつ凹部の周面の傾斜角が5度以上45度以下であることを特徴とするリチウム二次電池。
- 前記2つの部材の両方に凹部が設けられている請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記部材の材質が主として、ステンレス、ニッケル、鉄−ニッケルメッキ、アルミニウム、銅の少なくとも一種以上からなる請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記出力端子が正極の出力端子と負極の出力端子を含む請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記正極の出力端子と負極の出力端子の位置が前記凹部の周囲より15mm以内に位置する請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記部材の一部がプラスチックで構成されている請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記部材に内圧開放弁を有している請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 内圧開放弁として薄肉部を設けることを特徴とする請求項7記載のリチウム二次電池。
- 前記絶縁部に内圧開放弁が設けられている請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 内圧開放弁として薄肉部を設けることを特徴とする請求項9記載のリチウム二次電池。
- 内圧開放弁の圧力調整用として、ゴムもしくはスプリングを用いたことを特徴とする請求項7または9記載のリチウム二次電池。
- 前記絶縁部がプラスチックで構成されている請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記正極の正極リード部と正極の出力端子が正極の出力端子リードにより接合され、該正極の出力端子リードがクラッド材で構成された請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記正極の出力端子リードが、少なくともニッケル、チタン、銅、あるいは正極の出力端子の元素を主成分とする材料と、正極リード部の元+素を主成分とする材料とで構成されている請求項13に記載のリチウム二次電池。
- 少なくとも一方の部材が凹部を有し、該凹部の周面の傾斜角が5度以上45度以下の範囲にあり、該凹部が内側になるように対向配置された2つの部材と、該2つの部材で囲まれた、正極、負極、及びイオン伝導体を含む蓄電部材とを備えたリチウム二次電池の製造方法において、凹部と該凹部の周辺部に鍔部を有する第1の部材を用意する工程、第1の部材の周辺部に対応する領域に鍔部を有する第2の部材を用意する工程、前記凹部に前記蓄電部材を配する工程、前記凹部が内側になるように前記第1の部材と第2の部材とを合わせる工程、及び前記第1の部材及び第2の部材の鍔部を溶着する工程とを有することを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
- 前記第2の部材は、凹部を有するものである請求項15に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- 前記第1の部材もしくは第2の部材に、前記蓄電部材と導通した出力端子と該出力端子を絶縁する絶縁部を配する工程を含む請求項15に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- 前記鍔部の溶着を、レーザー溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接、超音波溶接から選ばれた方法により行う請求項15に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- 正極の出力端子および負極の出力端子の周囲を絶縁部で覆い、該絶縁部の周囲に金属部を配置し、該金属部と第1の容器を溶接して固定する請求項17に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- 正極の出力端子、負極の出力端子、端子を絶縁する絶縁部および第1の部材を一体成形法により形成する請求項17に記載のリチウム二次電池の製造方法。
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