JP3596977B2 - 移動車の誘導制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地上側に、電流が供給される誘導線が設置され、移動車側に、車体の向きを変更操作自在な操向操作手段と、前記電流により形成される磁界の強さを検出する磁界検出手段と、前記誘導線の長手方向に沿うと共に互いに平行な複数の走行経路の夫々において、前記磁界検出手段による検出情報に基づいて、移動車を前記各走行経路に沿って誘導走行させるべく前記操向操作手段を制御する操向制御手段とが備えられている移動車の誘導制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の移動車の誘導制御装置は、誘導線に供給される電流により形成される磁界の強さは、誘導線からの離間距離に応じて定まる特性を有することから、この磁界の強さの検出情報に基づいて、誘導線の長手方向に沿う平行な複数の走行経路の夫々において、移動車を誘導走行させることができるようにしたものである。
【0003】
上記構成の誘導制御装置において、従来では、前記磁界検出手段により検出される磁界の強さの検出値と、予め設定されている目標値との偏差に基づいて、例えば、この偏差が小さくなるように、操向操作手段を制御する構成となっており、このときの偏差に対する制御定数は常に一定の値になるように構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記構成の誘導制御装置においては、磁界検出手段にて検出される磁界の強さは、誘導線からの離間距離の2乗に反比例するので、離間距離の変化に対して磁界の強さの変化が大きなものとなり、各走行経路のうちの誘導線に近接した箇所にある走行経路と、誘導線から遠く離れた箇所にある走行経路とにおいては、各走行経路上における磁界の強さの変動幅が大きいものとなる。
【0005】
従って、前記各走行経路中を走行する際において、目標走行位置からの車体の実際のずれ量が同じであっても、磁界検出手段の検出値と前記目標値との偏差が異なった値になる。言い換えると、車体の目標位置に対する変動に対する磁界検出手段の出力値変化が前記各走行経路において異なった値になる。
【0006】
その結果、上述したように、上記従来技術においては制御定数が一定であることから、前記各走行経路において操向操作手段の操作量が異なるものになるが、複数の走行経路の夫々において操向制御を設定精度に維持させるために、誘導線から遠く離れた箇所にある走行経路において設定精度にて操向制御させることができるように制御定数を設定しておくと、誘導線に近接した箇所にある走行経路において誘導走行する場合に、磁界検出手段の出力値の変化量が大きくなり過ぎて、ハンチング現象が発生して操向制御が不安定になり、移動車の走行状態が不安定になって車体が振らついてしまう等の不具合が発生していた。
【0007】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、合理的な構成により、複数の走行経路の夫々において、設定精度を維持しながら操向制御を行えるものでありながら、各走行経路において、安定した操向制御を行うことができて移動車を安定走行させることが可能となる移動車の誘導制御装置を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の特徴構成によれば、前記磁界検出手段における現走行経路用の磁界検出部が、複数の走行経路のうちの1つに沿って走行するときに、その走行中の走行経路に沿う前記誘導制御を実行するために磁界の強さを検出することになる。又、現走行経路用の磁界検出部に対して、隣り合う走行経路の間隔に対応させて間隔を隔てて設置する状態で備られた、磁界検出手段における次走行経路用の磁界検出部が、隣接する次の走行経路に沿って移動車を走行させた際に現走行経路用の磁界検出部にて検出されることになる磁界の強さを検出することになる。
そして、制御定数補正手段によって、次走行経路を走行する際における、現走行経路用の磁界検出部による検出値と予め設定される目標値との偏差に対する操向操作手段の操作量を求めるときの制御定数が、前記操作量が適正範囲になるように、次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの検出情報に基づいて補正されることになる。
【0009】
従って、どの走行経路を走行する場合であっても、誘導線からの離間距離にかかわらず、常に適正な操作量にて操向操作手段が操作制御されることになり、例えば、誘導線に近い走行経路を走行する際に、ハンチング現象等に起因して操向制御が不安定になり、車体が振らつく等の不利がなく、安定した操向制御を行えるものとなった。
【0010】
請求項2に記載の特徴構成によれば、前記制御定数補正手段は、前記次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値が設定上限値を越えるような大きい値になると、次走行経路を走行する際の現走行経路用の磁界検出部による検出値と予め設定される目標値との偏差が大きくなり過ぎて、ハンチング現象を発生するおそれがあることから、そのときの制御定数より小さい制御定数に補正するのである。
又、前記次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値が設定下限値を下回るような小さい値になると、次走行経路を走行する際の現走行経路用の磁界検出部による検出値と予め設定される目標値との偏差が小さくなり過ぎて、操向制御における精度が低下してしまうおそれがあることから、そのときの制御定数より大きい制御定数に補正するのである。
【0011】
従って、制御定数を補正する際の基準値として、上限値と下限値とを設けるだけでよく、例えば、前記次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値に対応して最適ば制御定数を、マップデータ形式で備えさせる構成に較べて、それらのデータを保持する記憶手段やデータを比較演算するための演算手段等の構成を簡単な構成で済ませることができる。
【0012】
請求項3に記載の特徴構成によれば、前記制御定数補正手段は、制御対象となる走行経路における磁界の強さに対する適正な制御定数が予めマップデータにて設定記憶されており、前記次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値に基づいて、前記マップデータより求められる前記制御定数に補正するように構成されている。
【0013】
従って、検出される磁界の強さの最大値に基づいて、常に適切な制御定数に補正されることになり、単に、上限値や下限値を設定して、それらとの比較に基づいて、制御定数を大きくさせたり、小さくさせたりするような構成に較べて、より安定した操向制御を行えるものとなる。
【0014】
請求項4に記載の特徴構成によれば、前記移動車に、前記走行経路の始端部及び終端部であることを検出する経路端部検出部が設けられ、前記制御定数補正手段が、前記経路端部検出部の検出情報に基づいて、前記制御定数を補正するように構成されている。
【0015】
従って、移動車が現走行経路の終端部あるいは次走行経路の始端部において、制御定数を予め補正するので、経路途中で補正する場合に較べて、次走行経路を走行する際において、経路全域にわたって適正な制御定数に設定された状態で操向制御が実行されることになる。
【0016】
請求項5に記載の特徴構成によれば、ある走行経路を走行するとき、経路端部検出部により走行経路の端部であることを検出したときから、前記次走行経路用の磁界検出部における検出情報を、前記移動車の走行距離を検出する距離検出手段の検出情報と対応付けて逐次、記憶手段に記憶される。そして、次走行経路を走行する際に、前記操向制御手段は、前記記憶手段にて記憶される記憶情報を前記目標値として操向制御を実行することになる。
【0017】
従って、次走行経路における磁界の強さを記憶しておくことで、常に実際の走行路面の状況に応じて適切な目標値が設定できると共に、複数の走行経路の夫々における前記目標値を全て予め記憶保持させておく必要がなく、記憶手段の容量を小さいもので済ませることができて構成が簡素化できる。
【0018】
請求項6に記載の特徴構成によれば、目標ゲイン設定手段によって、前記次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの検出情報に基づいて、前記現走行経路用の磁界検出部における出力ゲインの目標値が設定される。
前記次走行経路用の磁界検出部にて磁界の強さが検出される走行経路においては、ゲイン調整手段によって、当該走行経路に沿う誘導走行に先立って、前記現走行経路用の磁界検出部における出力ゲインが前記目標値に自動調整されることになる。
そして、制御定数補正手段は、ゲイン調整手段にて出力ゲインが目標値に調整されると、その目標値に対応させて制御定数を補正するのである。
【0019】
その結果、各走行経路における磁界の強さの変動幅が大きい場合であっても、次走行経路用の磁界検出部における検出情報に基づいて、常に、適切な出力ゲインの目標値に自動調整されることになり、検出値が大き過ぎて増幅器の出力歪みによる検出誤差が大きくなったり、検出値が小さ過ぎて適正な偏差が検出できず車体の位置ずれに対する検出誤差が発生したりすることを防止できると共に、このように出力ゲインが目標値に調整されると、その目標値に対応して制御定数を補正することで、常に、検出誤差を小さいものに抑制しながら、安定した操向制御状態を維持することができるものとなった。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る移動車の誘導制御装置について説明する。
図1に示すように、誘導エリアの一例としての矩形形状の圃場1内において、移動車の一例としての作業車Vを圃場1の長手方向に沿って互いに平行な複数の走行経路kの夫々において、無人状態で誘導走行させることができるように構成されている。
【0021】
圃場1の外周部における各辺(畦)には、夫々、畦の長さとほぼ同じ長さの誘導線2が畦の長手方向に沿わせる状態で設置され、各誘導線2には夫々各別に電流供給手段としての電流供給源により所定周波数の交流電流が供給される。つまり、圃場1の長尺方向に沿う両側の畦に沿って設置される各誘導線2a,2cには、各電流供給源3により周波数fa(Hz)及び周波数fc(Hz)の交流電流が夫々供給され、短尺方向に沿う両側の畦に設置される各誘導線2b,2dには、各電流供給源3により周波数fb(Hz)及び周波数fd(Hz)の交流電流が夫々供給される。尚、周波数は、数百Hz〜数十KHz程度に設定されている。
【0022】
前記各誘導線2は、図2に示すように、地中に打ち込まれた導通材料からなる複数の杭4を介して地中を経由して前記電流が通流するように構成され、誘導線が長い距離にわたって設置される場合であっても、長手方向両側部で杭4を打ち込むだけで簡単に設置が行えるように構成されている。尚、地中においては、比較的電気抵抗の高い地表層G1でなく、比較的電気抵抗の低い下層の粘土層G2を通して電流が流れるように、杭4の打ち込み深さを設定している。
【0023】
上述したように設置された誘導線に電流が流れると、その電流によって磁界が形成されるが、誘導線からの離間距離に対する磁界の強さの理論値は演算にて求めることができ、その磁界の強さは誘導線からの離間距離の2乗に反比例する。従って、供給される電流値が一定であれば、図3に示すように、誘導線からの離間距離に対する磁界の強さの変化特性が定まることになり、圃場1内でのある地点での磁界の強さはほぼ一定の大きさになる。
【0024】
前記作業車Vは、四輪型の走行車体5の後部に対地作業装置としてのロータリー耕耘装置6が備えられ、走行しながら圃場1の対地作業(耕耘作業)を行うことができるようになっている。走行車体5にはエンジンが搭載され、このエンジンの動力が、前後進切換機構7を備えた変速装置及び電磁操作式走行クラッチ8を介して各車輪に伝えられて車体が走行するように構成され、エンジンの動力がロータリー耕耘装置6に伝えられるようになっている。又、左右の前輪が操向操作手段としての電動モータ9により操向操作可能に設けられている。
【0025】
前記作業車Vには、車軸の回転数を検出することで車体の走行距離を検出するための例えばロータリーエンコーダ等から成る距離検出手段としての走行距離センサ10、車体の方位を検出する方位検出手段としての方位センサ11、前記前後進切換機構7や操向用電動モータ9等の動作を制御するマイクロコンピュータ利用の制御装置12等が備えられている。
【0026】
又、走行車体5の前部には、前記各誘導線に供給される交流電流により形成される磁界の強さを検出する3個の磁界センサが車体横幅方向に沿って並設される状態で設けられ、このうち、左右両側に位置する側部磁界センサ13R,13Lは、周波数fa及び周波数fcの交流電流により形成される磁界の強さを検出するように構成され、左右中央側に位置する中央磁界センサ14は、周波数fb及び周波数fdの交流電流により形成される磁界の強さを検出するように構成されている。
そして、前記制御装置12は、各側部磁界センサ13R,13Lによる検出情報に基づいて、複数の走行経路kの夫々において、作業車Vを各走行経路kに沿って誘導走行させる誘導走行制御を実行し、且つ、中央磁界センサ14による検出情報に基づいて、各走行経路kの終端部又は始端部に達したことを検出し、終端部に達したことを検出すると、作業車Vを回向走行させて隣接する次回の走行経路に進入誘導させる旋回制御を実行するように構成されている。従って、この制御装置12を利用して走行制御手段100が構成されることになる。
【0027】
従って、前記各側部磁界センサ13R,13Lにより、車体誘導用の磁界検出手段GKが構成され、中央磁界センサ14により、走行経路の始端部及び終端部であることを検出する経路端部検出部が構成されることになる。
つまり、図4に示すように、各側部磁界センサ13R,13L、中央磁界センサ14の出力が夫々、信号処理部15にて処理された後に制御装置12に与えられ、これらの磁界検出情報に基づいて、各走行経路kに沿って誘導走行されるように操向用電動モータ9を制御すると共に、走行経路kの終端部においては、磁界検出情報及び方位センサ11並びに走行距離センサ10の検出情報に基づいて、旋回走行すべく操向用電動モータ9、前後進切換機構7、走行クラッチ8等を制御するように構成されている。
【0028】
前記各磁界センサ13R,13L,14は、図5に示すように、誘導線に流れる交流電流により形成される交番磁界によって誘導起電力が発生する検出コイル16と、この検出コイル16の出力を所定のレベルまで増幅する増幅器17と、検出コイル16の出力のうち前記各誘導線に流れる電流の周波数に対応する出力のみ通過させる周波数フィルターとしてのバンドパスフィルターBPF、このバンドパスフィルターBPFの出力を増幅する増幅器18等を備えて構成されている。
【0029】
従って、各側部磁界センサ13R,13Lによる検出情報には、中央側磁界センサ14のよる検出情報が混入することがバンドパスフィルターBPFにより抑制されることになり、このバンドパスフィルターBPFが情報混入抑制手段を構成することになる。
【0030】
このように、各側部磁界センサ13R,13Lは、夫々、周波数fa及び周波数fcの夫々に対応する検出情報が出力され、中央磁界センサ14は、夫々、周波数fb及び周波数fdの夫々に対応する検出情報が出力されるようになっているが、信号処理部15において、それらのうち、検出レベルが高い方、即ち、作業車Vが該当する誘導線に近い方の検出情報が選択的に出力されるようになっている。
信号処理部15は、図6に示すように、前記各磁界センサ13R,13L,14の出力を直流信号に変換する直流変換回路DCが夫々設けられ、その変換出力が制御装置12に入力され、制御装置12は各磁界センサ13R,13L,14における異なる周波数の出力のうち、検出レベルの高い側の出力を判別して、その出力を選択するように3個のアナログスイッチAS1,AS2,AS3 に選択信号を与えるように構成されている。
【0031】
制御装置12は、中央磁界センサ14の検出情報に基づいて、短尺方向に沿う畦に設置される誘導線2b,2dのうちいずれかの検出レベルの高い側の誘導線からの離間距離を算出して、その離間距離が設定値になると、作業車Vが前記各走行経路kの端部位置に達したことを判別するように構成されている。
尚、短尺方向に沿う畦に設置される誘導線2b,2dは、図7に示すように、両側端部を圃場1内方側に向けて略L字形に屈曲させた状態で設置されている。このように構成すると、誘導線2b,2dの中間部tからの離間距離が設定距離にある地点で誘導線2b,2dの全長にわたってほぼ同一の磁界の強さになるので、この地点を走行経路kの端部位置として設定している。この端部位置は、端部屈曲部の長さLよりも設定距離だけ圃場1内方側によった地点となる。因みに、本出願人の実験によれば、端部屈曲部の長さHが例えば3mであれば、端部位置は誘導線から5mの離間距離の位置となる。
【0032】
このように、走行経路kの端部位置を圃場1の端部よりも内方側に設定する理由は、図1に示すように、有限長の誘導線により形成される磁界において、離間距離が同一の地点における磁界強度分布は、誘導線の端部付近においては、離間距離に対する磁界の強さの関係が直線的でなく、磁界の強さに基づく誘導制御が良好に行えないおそれがあるからである。
【0033】
又、短尺方向に沿う畦に設置される誘導線には、図8に示すように、長尺方向に沿う畦に設置される誘導線2a,2cに流れる電流が地中を通して流入することを抑制する電流抑制手段の一例である周波数フィルターとしての、当該誘導線2a,2cに供給される電流の周波数のみの通過を許容するバンドパスフィルター19が設けられている。このバンドパスフィルター19は、コイル19aとコンデンサ19bを直列接続した共振回路にて構成され、その共振周波数が前記電流の周波数に対応するように構成されている。従って、他の誘導線から地中を通して異なる周波数の電流が流れ込んでも、誘導線にはその流入電流が通流することが抑制され、各磁界センサが誤った情報を検出するおそれを極力少なくさせている。
【0034】
前記各側部磁界センサ13R,13Lの検出情報に対応する各アナログスイッチAS1,AS3 の出力を増幅するための増幅ゲインは、制御装置12からの切り換え情報に基づいて複数段階(4段階)に変更調整するように構成されている。つまり、夫々増幅ゲインの異なる4個の増幅器21,22,23,23の出力のうちのいずれかを制御装置12に入力させるためのアナログスイッチAS4,AS5 に対して、制御装置12が選択内容を指令するように構成されている。
誘導線に供給される電流により形成される磁界の強さは、上述したように離間距離の変化に対して大きく変化するものであり、増幅ゲインを一定に維持した場合には、全範囲にわたって適正な分解能で検出することが難しく、検出精度が低下してしまうおそれがあるので、制御装置12に対する入力レベルが、例えば図9に示すように、前記誘導線からの離間距離が単位距離変化したときに適切な磁界の強さの変化が識別可能となるように、言い換えると、適切な分解能を有する適正出力範囲になるように増幅ゲインを自動調整するのである。
【0035】
前記各側部磁界センサ13R,13Lは、車体横幅方向に設定間隔を隔てて設置されており、そのいずれか一方の側部磁界センサが、作業車Vが、複数の走行経路kのうちの1つに沿って走行するときに、その走行中の走行経路kに沿う誘導制御を実行するために磁界の強さを検出するための現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能し、他方の側部磁界センサが、隣接する次の走行経路kに沿って作業車を走行させた際に前記現走行経路用の磁界検出部GK1 にて検出されることになる磁界の強さを検出する次走行経路用の磁界検出部GK2 として機能するように構成されている。
つまり、他方の側部磁界センサは、現走行経路kを走行しながら次走行経路kの磁界を逐次検出するようになっており、この検出情報は、前記走行距離センサ10により検出される距離情報と対応付けた状態で、記憶手段としてのメモリ25に逐次記憶されるように構成されている。
【0036】
制御装置12は、磁界検出情報が記憶されている次走行経路kにおいて、メモリ25に記憶されている磁界検出情報と、走行距離センサ10により検出される走行経路kの端部位置からの走行距離情報とに基づいて、当該走行経路k上の各地点における磁界の強さの目標値を求め、その目標値と、現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能する側部磁界センサの検出値との偏差に基づいて、走行用電動モータ9を駆動制御する誘導走行制御を実行するように構成されている。
【0037】
又、制御装置12は、メモリ25に記憶されている磁界検出情報に基づいて、次走行経路kにおいて誘導走行される際における現走行経路用の磁界検出部GK1 の出力ゲインの目標値を設定すると共に、次走行経路kにおける誘導走行に先立って、出力ゲインを目標値に自動調整するように構成されている。具体的には、メモリ25に記憶されている磁界の強さの最大値が、ゲイン調整用設定上限値を越えていれば、現行のゲインよりも1段低いゲインの増幅器が選択され、前記最大値が、ゲイン調整用設定下限値を下回っていれば、現行のゲインよりも1段高いゲインの増幅器が選択されるように、アナログスイッチAS4,AS5 に対して選択信号を指令するようになっている。尚、各アナログスイッチAS4,AS5 のゲインは常に同じ値に調整されるようになっている。
前記ゲイン調整用の設定上限値及び設定下限値は、アナログ値としての出力変化の直線性が保障される上下限範囲として設定される。
従って、制御装置12を利用して、目標ゲイン設定手段101と、ゲイン調整手段102が構成されることになる。
【0038】
又、制御装置12は、現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能する側部磁界センサの検出値と、前記目標値との偏差に制御定数を乗じて操向操作量、つまり、電動モータの目標作動量を求めるように構成されている。そして、次走行経路用の磁界検出部GK2 にて検出される磁界の強さの検出情報に基づいて、次走行経路を走行する際における、前記制御定数を、前記操作量が適正範囲になるように補正するように構成されている。
具体的には、前記次走行経路用の磁界検出部GK2 にて検出される磁界の強さの最大値が定数補正用設定上限値を越えると、現走行経路における終端部に達したときに、そのときの制御定数より小さい制御定数に補正し、次走行経路用の磁界検出部GK2 にて検出される磁界の強さの最大値が定数補正用設定下限値を下回ると、現走行経路における終端部に達したときに、そのときの制御定数より大きい制御定数に補正するように構成されている。
尚、定数補正用設定上限値は、ゲイン調整用設定上限値よりも小さい値であり、定数補正用設定下限値は、ゲイン調整用設定下限値よりも大きい値に設定されることになる。
従って、制御装置12を利用して、制御定数補正手段103が構成されることになる。
【0039】
次に、制御装置12の制御動作について説明する。
圃場1内において作業車Vを誘導走行させる場合、制御装置12による自動誘導制御に先立って、初回の走行経路kにおいては、適正な走行経路kに沿わせる状態で手動操縦により作業車Vを走行させる。そのとき、走行経路kの始端位置から、走行を開始させるに伴って、次走行経路側の側部磁界センサ(図1の場合には右側のセンサ13R)の検出情報並びに走行距離センサ10の検出情報とを対応させた状態で、メモリ25に逐次書き込み記憶させておく。
【0040】
そして、次の走行経路kより自動誘導制御が開始され、図10に示すように、先ず、その作業状態に応じて前記出力ゲイン、及び、現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能する側部磁界センサ(図1の場合には左側のセンサ13L)を初期設定する(ステップ1)と共に、前記メモリ25に書き込み記憶されている次走行経路側の側部磁界センサの検出値の最大値に基づいて、前記制御定数を初期設定する。尚、これらの初期設定は図示しない入力手段にて手動にて設定されるが、設定用の判別情報を予め記憶させておいて、検出情報より自動で設定させる構成としてもよい。
【0041】
そして、作業用の走行速度で作業車Vを走行させながら、前記メモリ25に記憶される磁界検出情報と、走行距離センサ10の検出情報とに基づいて、走行経路k上の現時点における磁界の強さの目標値を求めて、現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能する側部磁界センサ13Lの検出値と前記目標値との偏差に制御定数を乗じて操向操作量を求め、この操向操作量になるように、操向用電動モータ9を駆動制御する(ステップ2)。
この誘導走行制御が実行される際に、次走行経路用の磁界検出部GK2 として機能する次走行経路側の側部磁界センサ(図1の場合には右側のセンサ13R)の検出情報を走行距離センサ10の検出情報と対応させた状態で、メモリ25に逐次書き込み記憶させる(ステップ3)。
【0042】
中央磁界センサ14の検出情報に基づいて、走行経路kの終端部に達したことが検出されると、走行経路数Nをカウントアップし(ステップ4,5)、カウント値が圃場1内での設定経路数NSに達していなければ(ステップ6)、前記メモリ25に書き込み記憶された磁界の強さの最大値Xmが、ゲイン調整用設定上限値SGMを越えていれば、現行のゲインよりも1段低いゲインの増幅器が選択されるようにアナログスイッチAS4,AS5 に対して選択信号を指令して、出力ゲインが下げ側に変更される(ステップ7,8)。前記最大値Xmが、ゲイン調整用設定下限値SGLを下回っていれば、現行のゲインよりも1段高いゲインの増幅器が選択されるように、アナログスイッチAS4,AS5 に対して選択信号を指令して、出力ゲインが上げ側に変更される(ステップ9,10)。
【0043】
このとき、メモリ25に記憶されている磁界の強さの最大値Xmが、ゲイン調整用設定上限値SGMを越えていず、ゲイン調整用設定下限値SGLも下回っていなければ、出力ゲインは変更することなく、そのままの値が用いられるが、このような場合であっても、メモリ25に記憶されている磁界の強さの最大値Xmが、定数補正用設定上限値SHMを越えていれば、そのときの制御定数より小さい制御定数(例えば、3割程度低い値)に補正し(ステップ11,12)、前記最大値Xmが、定数補正用設定下限値SHLを下回っていれば、そのときの制御定数より大きい制御定数(例えば、3割程度高い値)に補正する(ステップ13,14)。
【0044】
尚、ステップ8,10にて出力ゲインが変更された場合には、その後、変更状況に応じて制御定数を適宜補正することになる。つまり、出力ゲインが下げられたときは、制御定数を前経路における値より大きい値に補正し(ステップ8,14)、出力ゲインが上げられたときは、前経路における値より小さい値に補正する(ステップ10,12)。
このようにして、磁界の強さの検出値や出力ゲインの変更状況に応じて、常に適切な制御定数にて電動モータを駆動制御するようにして、制御のハンチングや検出誤差の発生を極力、抑制するようにしている。
【0045】
次に、現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能する側部磁界センサを、反対側のもの(右側のセンサ13R)に切り換える(ステップ15)。車体の向きの変化によりそれらの位置関係が反転するからである。
【0046】
次に、車体を次走行経路kの始端部に位置させるべく回向走行させる旋回制御を実行する(ステップ16)。
図12(イ)に示すように、走行経路kの終端位置から設定距離だけ操向操作を中立状態に維持したままで直進走行させた後に、方位センサ11をリセットして、車体の方位が180度反転したことが検出されるまで、最大切れ角にて旋回走行させ、その後、中央磁界センサ14の検出情報に基づいて走行経路kの始端部に達するまで直進走行させる。
更に、図12(ロ)に示すように、現走行経路k用の磁界検出部として機能する側部磁界センサの検出情報と、前記メモリ25に記憶されている記憶情報とに基づいて、次走行経路に沿う状態になるように車体を旋回しながら前進させて幅寄せを行う。その後、その走行経路に沿わせる状態で誘導走行制御を実行する。
【0047】
このとき、走行経路の始端部に達した後においては、次走行経路用の磁界検出部GK2 として機能する側部磁界センサ(図12においては右側センサ13R)による上記したような記憶動作が実行されるので、経路始端部においては、幅寄せによる検出誤差が発生することになるので、このような誤差を補正して適正な基準情報になるようにしている。
【0048】
つまり、走行経路kの終端部においては前記誘導走行制御が適正に実行され、適正な基準情報として記憶されることになるので、そのときの記憶値と、前記経路始端部において走行距離情報に対応付けて逐次記憶される情報との差異を求めることで、上述したような誤差によるずれ量を求めることができる。但し、これらの情報は、補正が実行される走行経路よりも以前の走行経路における情報であり、しかも、磁界の強さは図3に示すように、走行経路が異なる毎に非線形に変化するので、このような非線形特性に起因した誤差をも少なくさせるようにしている。尚、幅寄せによる走行距離情報の誤差は、操向操作量に基づいて適宜補正することになる。
即ち、走行経路kの終端部における記憶値と、経路始端部において距離情報に対応して逐次記憶される記憶値との差異Δαに対して、補正すべき走行経路における左右の側部磁界センサ13R,13Lの検出値の差分値Aと、前走行経路における左右の側部磁界センサ13R,13Lの検出値の差分値Bとの比を掛け合わせることで、非線形による誤差を少なくさせて、走行距離情報に対応した基準情報の補正値Δβを求めるのである。
【0049】
このようにして、その後の誘導走行において、走行経路の終端部付近での基準情報が上述したような誤差が少なく、ほぼ走行経路に沿う状態で設定できることになり、経路終端部にて作業車Vが蛇行してしまう不利を未然に回避できるものとなる。
【0050】
以後、上述したような誘導走行制御を実行するが、このとき、ステップ8にてゲインが変更されていれば、メモリ25に記憶されている検出情報に対しても、変化量に対応したゲインを掛けて走行用目標値を求めることになる。
そして、ステップ2〜16を繰り返して、各走行経路kに沿わせて順次、作業車Vを誘導走行させ、設定経路数NSに達すると制御が終了する(ステップ6)。
【0051】
現走行経路kにおいては、前走行経路kを走行する際に記憶されている磁界の強さと現走行経路kでの検出磁界とが同じになるように制御され、しかも、前記各側部磁界センサ13R,13Lの設置間隔は、ロータリー耕耘装置6の対地作業幅よりも幅狭に設定されているので、ロータリー耕耘装置6による作業領域が各走行経路kでラップすることになり、未作業領域が発生しないようになっている。
【0052】
又、各側部磁界センサ13R,13Lの設置間隔を変更調整自在に構成されており、その設置間隔を変更させることで、例えば、制御装置の目標値算出用の演算情報等を変更させることなく、圃場の状況等に応じて各走行経路kの間隔を変更させることができる。
【0053】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値が、定数補正用設定上限値SHMを越えていれば、そのときの制御定数より所定割合だけ小さい制御定数に補正し、前記最大値が、定数補正用設定下限値SHLを下回っていれば、そのときの制御定数より所定割合だけ大きい制御定数に補正する構成としたが、このような構成に代えて次のように構成してもよい。
【0054】
次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値に対して、最適な制御定数が予めマップデータとして記憶設定されており、そのマップデータに基づいて、適切な制御対数を選択して補正するように構成してもよい。
又、このとき、前記出力ゲインが変更された場合には、その変更されたゲインに基づいて修正された最大値にて、制御対数を選択するようにしてもよい。
【0055】
(2)上記実施形態では、経路端部検出部としての中央磁界センサにて走行経路に端部位置を検出して、その検出情報に基づいて旋回制御や誘導走行制御を実行させる構成としたが、このような中央磁界センサに代えて、例えば、経路端部にて横方向にレーザー光を照射させて、このレーザー光を検出するセンサにて経路端部を検出するようにしてもよく、又、無線操縦にて手動にて経路端部に至ったことを移動車側に指令する構成等、各種の構成にて実施してもよい。
【0056】
(3)上記実施形態では、次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さをメモリに逐次記憶させるようにしたが、このような構成に代えて、磁界の強さの最大値を検出して最大値のみを記憶させる構成としてもよい。
【0057】
(4)上記実施形態では、増幅ゲインの異なる複数の増幅器のうちのいずれかを選択することで、出力ゲインを調整する構成としたが、無段階に変更調整自在な増幅器を用いて、磁界の強さの最大値に基づいて、無段階に出力ゲインを調整させる構成としてもよい。
【0058】
(5)上記実施形態では、移動車が走行経路の端部に達したことが検出されるに伴って、制御定数の補正を行う構成としたが、車体の旋回制御が実行された後に行う構成としてもよい。
【0059】
(6)上記実施形態では、現走行経路用の磁界検出部GK1 の出力ゲインを自動調整する構成としたが、このような自動調整を行わない構成としてもよい。
【0060】
(7)上記実施形態では、前記磁界検出手段における設置間隔を変更調整できるようにしたが、設置間隔を固定状態で設ける構成としてもよい。
【0061】
(8)上記実施形態では、誘導対象エリアの左右両側に誘導線が設置される場合を例示したが、片側にのみ誘導線が設置される構成としてもよく、この場合において、誘導走行制御は、誘導線に近い方の走行経路から順次、遠い側の経路に誘導させてもよく、誘導線に遠い方の走行経路から順次、近い側の経路に誘導させてもよい。
【0062】
(9)上記実施形態では、移動車として対地作業装置としてロータリー耕耘装置を備える構成としたが、このような構成に代えて、例えば、苗植付装置や刈取収穫機を備えた作業車であってもよく、建設機械や清掃作業等の作業車であってもよい。又、作業を行わない運搬車等の移動車であってもよい。
【0063】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘導状態を示す平面図
【図2】誘導線の設置状態を示す側面図
【図3】磁界強度分布を示す図
【図4】制御ブロック図
【図5】磁界検出手段の構成図
【図6】信号処理部の構成図
【図7】誘導線の設置状態を示す平面図
【図8】誘導線の電気回路図
【図9】ゲインを切り換えた場合の出力特性を示す図
【図10】制御動作のフローチャート
【図11】移動車の平面図
【図12】旋回制御状態を示す平面図
【符号の説明】
2 誘導線
9 操向操作手段
14 経路端部検出部
100 走行制御手段
101 目標ゲイン設定手段
102 ゲイン調整手段
103 制御定数補正手段
GK 磁界検出手段
GK1 現走行経路用の磁界検出部
GK2 次走行経路用の磁界検出部
SHM 設定上限値
SHL 設定下限値
V 移動車
Xm 磁界の強さの最大値
【発明の属する技術分野】
本発明は、地上側に、電流が供給される誘導線が設置され、移動車側に、車体の向きを変更操作自在な操向操作手段と、前記電流により形成される磁界の強さを検出する磁界検出手段と、前記誘導線の長手方向に沿うと共に互いに平行な複数の走行経路の夫々において、前記磁界検出手段による検出情報に基づいて、移動車を前記各走行経路に沿って誘導走行させるべく前記操向操作手段を制御する操向制御手段とが備えられている移動車の誘導制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の移動車の誘導制御装置は、誘導線に供給される電流により形成される磁界の強さは、誘導線からの離間距離に応じて定まる特性を有することから、この磁界の強さの検出情報に基づいて、誘導線の長手方向に沿う平行な複数の走行経路の夫々において、移動車を誘導走行させることができるようにしたものである。
【0003】
上記構成の誘導制御装置において、従来では、前記磁界検出手段により検出される磁界の強さの検出値と、予め設定されている目標値との偏差に基づいて、例えば、この偏差が小さくなるように、操向操作手段を制御する構成となっており、このときの偏差に対する制御定数は常に一定の値になるように構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記構成の誘導制御装置においては、磁界検出手段にて検出される磁界の強さは、誘導線からの離間距離の2乗に反比例するので、離間距離の変化に対して磁界の強さの変化が大きなものとなり、各走行経路のうちの誘導線に近接した箇所にある走行経路と、誘導線から遠く離れた箇所にある走行経路とにおいては、各走行経路上における磁界の強さの変動幅が大きいものとなる。
【0005】
従って、前記各走行経路中を走行する際において、目標走行位置からの車体の実際のずれ量が同じであっても、磁界検出手段の検出値と前記目標値との偏差が異なった値になる。言い換えると、車体の目標位置に対する変動に対する磁界検出手段の出力値変化が前記各走行経路において異なった値になる。
【0006】
その結果、上述したように、上記従来技術においては制御定数が一定であることから、前記各走行経路において操向操作手段の操作量が異なるものになるが、複数の走行経路の夫々において操向制御を設定精度に維持させるために、誘導線から遠く離れた箇所にある走行経路において設定精度にて操向制御させることができるように制御定数を設定しておくと、誘導線に近接した箇所にある走行経路において誘導走行する場合に、磁界検出手段の出力値の変化量が大きくなり過ぎて、ハンチング現象が発生して操向制御が不安定になり、移動車の走行状態が不安定になって車体が振らついてしまう等の不具合が発生していた。
【0007】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、合理的な構成により、複数の走行経路の夫々において、設定精度を維持しながら操向制御を行えるものでありながら、各走行経路において、安定した操向制御を行うことができて移動車を安定走行させることが可能となる移動車の誘導制御装置を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の特徴構成によれば、前記磁界検出手段における現走行経路用の磁界検出部が、複数の走行経路のうちの1つに沿って走行するときに、その走行中の走行経路に沿う前記誘導制御を実行するために磁界の強さを検出することになる。又、現走行経路用の磁界検出部に対して、隣り合う走行経路の間隔に対応させて間隔を隔てて設置する状態で備られた、磁界検出手段における次走行経路用の磁界検出部が、隣接する次の走行経路に沿って移動車を走行させた際に現走行経路用の磁界検出部にて検出されることになる磁界の強さを検出することになる。
そして、制御定数補正手段によって、次走行経路を走行する際における、現走行経路用の磁界検出部による検出値と予め設定される目標値との偏差に対する操向操作手段の操作量を求めるときの制御定数が、前記操作量が適正範囲になるように、次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの検出情報に基づいて補正されることになる。
【0009】
従って、どの走行経路を走行する場合であっても、誘導線からの離間距離にかかわらず、常に適正な操作量にて操向操作手段が操作制御されることになり、例えば、誘導線に近い走行経路を走行する際に、ハンチング現象等に起因して操向制御が不安定になり、車体が振らつく等の不利がなく、安定した操向制御を行えるものとなった。
【0010】
請求項2に記載の特徴構成によれば、前記制御定数補正手段は、前記次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値が設定上限値を越えるような大きい値になると、次走行経路を走行する際の現走行経路用の磁界検出部による検出値と予め設定される目標値との偏差が大きくなり過ぎて、ハンチング現象を発生するおそれがあることから、そのときの制御定数より小さい制御定数に補正するのである。
又、前記次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値が設定下限値を下回るような小さい値になると、次走行経路を走行する際の現走行経路用の磁界検出部による検出値と予め設定される目標値との偏差が小さくなり過ぎて、操向制御における精度が低下してしまうおそれがあることから、そのときの制御定数より大きい制御定数に補正するのである。
【0011】
従って、制御定数を補正する際の基準値として、上限値と下限値とを設けるだけでよく、例えば、前記次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値に対応して最適ば制御定数を、マップデータ形式で備えさせる構成に較べて、それらのデータを保持する記憶手段やデータを比較演算するための演算手段等の構成を簡単な構成で済ませることができる。
【0012】
請求項3に記載の特徴構成によれば、前記制御定数補正手段は、制御対象となる走行経路における磁界の強さに対する適正な制御定数が予めマップデータにて設定記憶されており、前記次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値に基づいて、前記マップデータより求められる前記制御定数に補正するように構成されている。
【0013】
従って、検出される磁界の強さの最大値に基づいて、常に適切な制御定数に補正されることになり、単に、上限値や下限値を設定して、それらとの比較に基づいて、制御定数を大きくさせたり、小さくさせたりするような構成に較べて、より安定した操向制御を行えるものとなる。
【0014】
請求項4に記載の特徴構成によれば、前記移動車に、前記走行経路の始端部及び終端部であることを検出する経路端部検出部が設けられ、前記制御定数補正手段が、前記経路端部検出部の検出情報に基づいて、前記制御定数を補正するように構成されている。
【0015】
従って、移動車が現走行経路の終端部あるいは次走行経路の始端部において、制御定数を予め補正するので、経路途中で補正する場合に較べて、次走行経路を走行する際において、経路全域にわたって適正な制御定数に設定された状態で操向制御が実行されることになる。
【0016】
請求項5に記載の特徴構成によれば、ある走行経路を走行するとき、経路端部検出部により走行経路の端部であることを検出したときから、前記次走行経路用の磁界検出部における検出情報を、前記移動車の走行距離を検出する距離検出手段の検出情報と対応付けて逐次、記憶手段に記憶される。そして、次走行経路を走行する際に、前記操向制御手段は、前記記憶手段にて記憶される記憶情報を前記目標値として操向制御を実行することになる。
【0017】
従って、次走行経路における磁界の強さを記憶しておくことで、常に実際の走行路面の状況に応じて適切な目標値が設定できると共に、複数の走行経路の夫々における前記目標値を全て予め記憶保持させておく必要がなく、記憶手段の容量を小さいもので済ませることができて構成が簡素化できる。
【0018】
請求項6に記載の特徴構成によれば、目標ゲイン設定手段によって、前記次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの検出情報に基づいて、前記現走行経路用の磁界検出部における出力ゲインの目標値が設定される。
前記次走行経路用の磁界検出部にて磁界の強さが検出される走行経路においては、ゲイン調整手段によって、当該走行経路に沿う誘導走行に先立って、前記現走行経路用の磁界検出部における出力ゲインが前記目標値に自動調整されることになる。
そして、制御定数補正手段は、ゲイン調整手段にて出力ゲインが目標値に調整されると、その目標値に対応させて制御定数を補正するのである。
【0019】
その結果、各走行経路における磁界の強さの変動幅が大きい場合であっても、次走行経路用の磁界検出部における検出情報に基づいて、常に、適切な出力ゲインの目標値に自動調整されることになり、検出値が大き過ぎて増幅器の出力歪みによる検出誤差が大きくなったり、検出値が小さ過ぎて適正な偏差が検出できず車体の位置ずれに対する検出誤差が発生したりすることを防止できると共に、このように出力ゲインが目標値に調整されると、その目標値に対応して制御定数を補正することで、常に、検出誤差を小さいものに抑制しながら、安定した操向制御状態を維持することができるものとなった。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る移動車の誘導制御装置について説明する。
図1に示すように、誘導エリアの一例としての矩形形状の圃場1内において、移動車の一例としての作業車Vを圃場1の長手方向に沿って互いに平行な複数の走行経路kの夫々において、無人状態で誘導走行させることができるように構成されている。
【0021】
圃場1の外周部における各辺(畦)には、夫々、畦の長さとほぼ同じ長さの誘導線2が畦の長手方向に沿わせる状態で設置され、各誘導線2には夫々各別に電流供給手段としての電流供給源により所定周波数の交流電流が供給される。つまり、圃場1の長尺方向に沿う両側の畦に沿って設置される各誘導線2a,2cには、各電流供給源3により周波数fa(Hz)及び周波数fc(Hz)の交流電流が夫々供給され、短尺方向に沿う両側の畦に設置される各誘導線2b,2dには、各電流供給源3により周波数fb(Hz)及び周波数fd(Hz)の交流電流が夫々供給される。尚、周波数は、数百Hz〜数十KHz程度に設定されている。
【0022】
前記各誘導線2は、図2に示すように、地中に打ち込まれた導通材料からなる複数の杭4を介して地中を経由して前記電流が通流するように構成され、誘導線が長い距離にわたって設置される場合であっても、長手方向両側部で杭4を打ち込むだけで簡単に設置が行えるように構成されている。尚、地中においては、比較的電気抵抗の高い地表層G1でなく、比較的電気抵抗の低い下層の粘土層G2を通して電流が流れるように、杭4の打ち込み深さを設定している。
【0023】
上述したように設置された誘導線に電流が流れると、その電流によって磁界が形成されるが、誘導線からの離間距離に対する磁界の強さの理論値は演算にて求めることができ、その磁界の強さは誘導線からの離間距離の2乗に反比例する。従って、供給される電流値が一定であれば、図3に示すように、誘導線からの離間距離に対する磁界の強さの変化特性が定まることになり、圃場1内でのある地点での磁界の強さはほぼ一定の大きさになる。
【0024】
前記作業車Vは、四輪型の走行車体5の後部に対地作業装置としてのロータリー耕耘装置6が備えられ、走行しながら圃場1の対地作業(耕耘作業)を行うことができるようになっている。走行車体5にはエンジンが搭載され、このエンジンの動力が、前後進切換機構7を備えた変速装置及び電磁操作式走行クラッチ8を介して各車輪に伝えられて車体が走行するように構成され、エンジンの動力がロータリー耕耘装置6に伝えられるようになっている。又、左右の前輪が操向操作手段としての電動モータ9により操向操作可能に設けられている。
【0025】
前記作業車Vには、車軸の回転数を検出することで車体の走行距離を検出するための例えばロータリーエンコーダ等から成る距離検出手段としての走行距離センサ10、車体の方位を検出する方位検出手段としての方位センサ11、前記前後進切換機構7や操向用電動モータ9等の動作を制御するマイクロコンピュータ利用の制御装置12等が備えられている。
【0026】
又、走行車体5の前部には、前記各誘導線に供給される交流電流により形成される磁界の強さを検出する3個の磁界センサが車体横幅方向に沿って並設される状態で設けられ、このうち、左右両側に位置する側部磁界センサ13R,13Lは、周波数fa及び周波数fcの交流電流により形成される磁界の強さを検出するように構成され、左右中央側に位置する中央磁界センサ14は、周波数fb及び周波数fdの交流電流により形成される磁界の強さを検出するように構成されている。
そして、前記制御装置12は、各側部磁界センサ13R,13Lによる検出情報に基づいて、複数の走行経路kの夫々において、作業車Vを各走行経路kに沿って誘導走行させる誘導走行制御を実行し、且つ、中央磁界センサ14による検出情報に基づいて、各走行経路kの終端部又は始端部に達したことを検出し、終端部に達したことを検出すると、作業車Vを回向走行させて隣接する次回の走行経路に進入誘導させる旋回制御を実行するように構成されている。従って、この制御装置12を利用して走行制御手段100が構成されることになる。
【0027】
従って、前記各側部磁界センサ13R,13Lにより、車体誘導用の磁界検出手段GKが構成され、中央磁界センサ14により、走行経路の始端部及び終端部であることを検出する経路端部検出部が構成されることになる。
つまり、図4に示すように、各側部磁界センサ13R,13L、中央磁界センサ14の出力が夫々、信号処理部15にて処理された後に制御装置12に与えられ、これらの磁界検出情報に基づいて、各走行経路kに沿って誘導走行されるように操向用電動モータ9を制御すると共に、走行経路kの終端部においては、磁界検出情報及び方位センサ11並びに走行距離センサ10の検出情報に基づいて、旋回走行すべく操向用電動モータ9、前後進切換機構7、走行クラッチ8等を制御するように構成されている。
【0028】
前記各磁界センサ13R,13L,14は、図5に示すように、誘導線に流れる交流電流により形成される交番磁界によって誘導起電力が発生する検出コイル16と、この検出コイル16の出力を所定のレベルまで増幅する増幅器17と、検出コイル16の出力のうち前記各誘導線に流れる電流の周波数に対応する出力のみ通過させる周波数フィルターとしてのバンドパスフィルターBPF、このバンドパスフィルターBPFの出力を増幅する増幅器18等を備えて構成されている。
【0029】
従って、各側部磁界センサ13R,13Lによる検出情報には、中央側磁界センサ14のよる検出情報が混入することがバンドパスフィルターBPFにより抑制されることになり、このバンドパスフィルターBPFが情報混入抑制手段を構成することになる。
【0030】
このように、各側部磁界センサ13R,13Lは、夫々、周波数fa及び周波数fcの夫々に対応する検出情報が出力され、中央磁界センサ14は、夫々、周波数fb及び周波数fdの夫々に対応する検出情報が出力されるようになっているが、信号処理部15において、それらのうち、検出レベルが高い方、即ち、作業車Vが該当する誘導線に近い方の検出情報が選択的に出力されるようになっている。
信号処理部15は、図6に示すように、前記各磁界センサ13R,13L,14の出力を直流信号に変換する直流変換回路DCが夫々設けられ、その変換出力が制御装置12に入力され、制御装置12は各磁界センサ13R,13L,14における異なる周波数の出力のうち、検出レベルの高い側の出力を判別して、その出力を選択するように3個のアナログスイッチAS1,AS2,AS3 に選択信号を与えるように構成されている。
【0031】
制御装置12は、中央磁界センサ14の検出情報に基づいて、短尺方向に沿う畦に設置される誘導線2b,2dのうちいずれかの検出レベルの高い側の誘導線からの離間距離を算出して、その離間距離が設定値になると、作業車Vが前記各走行経路kの端部位置に達したことを判別するように構成されている。
尚、短尺方向に沿う畦に設置される誘導線2b,2dは、図7に示すように、両側端部を圃場1内方側に向けて略L字形に屈曲させた状態で設置されている。このように構成すると、誘導線2b,2dの中間部tからの離間距離が設定距離にある地点で誘導線2b,2dの全長にわたってほぼ同一の磁界の強さになるので、この地点を走行経路kの端部位置として設定している。この端部位置は、端部屈曲部の長さLよりも設定距離だけ圃場1内方側によった地点となる。因みに、本出願人の実験によれば、端部屈曲部の長さHが例えば3mであれば、端部位置は誘導線から5mの離間距離の位置となる。
【0032】
このように、走行経路kの端部位置を圃場1の端部よりも内方側に設定する理由は、図1に示すように、有限長の誘導線により形成される磁界において、離間距離が同一の地点における磁界強度分布は、誘導線の端部付近においては、離間距離に対する磁界の強さの関係が直線的でなく、磁界の強さに基づく誘導制御が良好に行えないおそれがあるからである。
【0033】
又、短尺方向に沿う畦に設置される誘導線には、図8に示すように、長尺方向に沿う畦に設置される誘導線2a,2cに流れる電流が地中を通して流入することを抑制する電流抑制手段の一例である周波数フィルターとしての、当該誘導線2a,2cに供給される電流の周波数のみの通過を許容するバンドパスフィルター19が設けられている。このバンドパスフィルター19は、コイル19aとコンデンサ19bを直列接続した共振回路にて構成され、その共振周波数が前記電流の周波数に対応するように構成されている。従って、他の誘導線から地中を通して異なる周波数の電流が流れ込んでも、誘導線にはその流入電流が通流することが抑制され、各磁界センサが誤った情報を検出するおそれを極力少なくさせている。
【0034】
前記各側部磁界センサ13R,13Lの検出情報に対応する各アナログスイッチAS1,AS3 の出力を増幅するための増幅ゲインは、制御装置12からの切り換え情報に基づいて複数段階(4段階)に変更調整するように構成されている。つまり、夫々増幅ゲインの異なる4個の増幅器21,22,23,23の出力のうちのいずれかを制御装置12に入力させるためのアナログスイッチAS4,AS5 に対して、制御装置12が選択内容を指令するように構成されている。
誘導線に供給される電流により形成される磁界の強さは、上述したように離間距離の変化に対して大きく変化するものであり、増幅ゲインを一定に維持した場合には、全範囲にわたって適正な分解能で検出することが難しく、検出精度が低下してしまうおそれがあるので、制御装置12に対する入力レベルが、例えば図9に示すように、前記誘導線からの離間距離が単位距離変化したときに適切な磁界の強さの変化が識別可能となるように、言い換えると、適切な分解能を有する適正出力範囲になるように増幅ゲインを自動調整するのである。
【0035】
前記各側部磁界センサ13R,13Lは、車体横幅方向に設定間隔を隔てて設置されており、そのいずれか一方の側部磁界センサが、作業車Vが、複数の走行経路kのうちの1つに沿って走行するときに、その走行中の走行経路kに沿う誘導制御を実行するために磁界の強さを検出するための現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能し、他方の側部磁界センサが、隣接する次の走行経路kに沿って作業車を走行させた際に前記現走行経路用の磁界検出部GK1 にて検出されることになる磁界の強さを検出する次走行経路用の磁界検出部GK2 として機能するように構成されている。
つまり、他方の側部磁界センサは、現走行経路kを走行しながら次走行経路kの磁界を逐次検出するようになっており、この検出情報は、前記走行距離センサ10により検出される距離情報と対応付けた状態で、記憶手段としてのメモリ25に逐次記憶されるように構成されている。
【0036】
制御装置12は、磁界検出情報が記憶されている次走行経路kにおいて、メモリ25に記憶されている磁界検出情報と、走行距離センサ10により検出される走行経路kの端部位置からの走行距離情報とに基づいて、当該走行経路k上の各地点における磁界の強さの目標値を求め、その目標値と、現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能する側部磁界センサの検出値との偏差に基づいて、走行用電動モータ9を駆動制御する誘導走行制御を実行するように構成されている。
【0037】
又、制御装置12は、メモリ25に記憶されている磁界検出情報に基づいて、次走行経路kにおいて誘導走行される際における現走行経路用の磁界検出部GK1 の出力ゲインの目標値を設定すると共に、次走行経路kにおける誘導走行に先立って、出力ゲインを目標値に自動調整するように構成されている。具体的には、メモリ25に記憶されている磁界の強さの最大値が、ゲイン調整用設定上限値を越えていれば、現行のゲインよりも1段低いゲインの増幅器が選択され、前記最大値が、ゲイン調整用設定下限値を下回っていれば、現行のゲインよりも1段高いゲインの増幅器が選択されるように、アナログスイッチAS4,AS5 に対して選択信号を指令するようになっている。尚、各アナログスイッチAS4,AS5 のゲインは常に同じ値に調整されるようになっている。
前記ゲイン調整用の設定上限値及び設定下限値は、アナログ値としての出力変化の直線性が保障される上下限範囲として設定される。
従って、制御装置12を利用して、目標ゲイン設定手段101と、ゲイン調整手段102が構成されることになる。
【0038】
又、制御装置12は、現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能する側部磁界センサの検出値と、前記目標値との偏差に制御定数を乗じて操向操作量、つまり、電動モータの目標作動量を求めるように構成されている。そして、次走行経路用の磁界検出部GK2 にて検出される磁界の強さの検出情報に基づいて、次走行経路を走行する際における、前記制御定数を、前記操作量が適正範囲になるように補正するように構成されている。
具体的には、前記次走行経路用の磁界検出部GK2 にて検出される磁界の強さの最大値が定数補正用設定上限値を越えると、現走行経路における終端部に達したときに、そのときの制御定数より小さい制御定数に補正し、次走行経路用の磁界検出部GK2 にて検出される磁界の強さの最大値が定数補正用設定下限値を下回ると、現走行経路における終端部に達したときに、そのときの制御定数より大きい制御定数に補正するように構成されている。
尚、定数補正用設定上限値は、ゲイン調整用設定上限値よりも小さい値であり、定数補正用設定下限値は、ゲイン調整用設定下限値よりも大きい値に設定されることになる。
従って、制御装置12を利用して、制御定数補正手段103が構成されることになる。
【0039】
次に、制御装置12の制御動作について説明する。
圃場1内において作業車Vを誘導走行させる場合、制御装置12による自動誘導制御に先立って、初回の走行経路kにおいては、適正な走行経路kに沿わせる状態で手動操縦により作業車Vを走行させる。そのとき、走行経路kの始端位置から、走行を開始させるに伴って、次走行経路側の側部磁界センサ(図1の場合には右側のセンサ13R)の検出情報並びに走行距離センサ10の検出情報とを対応させた状態で、メモリ25に逐次書き込み記憶させておく。
【0040】
そして、次の走行経路kより自動誘導制御が開始され、図10に示すように、先ず、その作業状態に応じて前記出力ゲイン、及び、現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能する側部磁界センサ(図1の場合には左側のセンサ13L)を初期設定する(ステップ1)と共に、前記メモリ25に書き込み記憶されている次走行経路側の側部磁界センサの検出値の最大値に基づいて、前記制御定数を初期設定する。尚、これらの初期設定は図示しない入力手段にて手動にて設定されるが、設定用の判別情報を予め記憶させておいて、検出情報より自動で設定させる構成としてもよい。
【0041】
そして、作業用の走行速度で作業車Vを走行させながら、前記メモリ25に記憶される磁界検出情報と、走行距離センサ10の検出情報とに基づいて、走行経路k上の現時点における磁界の強さの目標値を求めて、現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能する側部磁界センサ13Lの検出値と前記目標値との偏差に制御定数を乗じて操向操作量を求め、この操向操作量になるように、操向用電動モータ9を駆動制御する(ステップ2)。
この誘導走行制御が実行される際に、次走行経路用の磁界検出部GK2 として機能する次走行経路側の側部磁界センサ(図1の場合には右側のセンサ13R)の検出情報を走行距離センサ10の検出情報と対応させた状態で、メモリ25に逐次書き込み記憶させる(ステップ3)。
【0042】
中央磁界センサ14の検出情報に基づいて、走行経路kの終端部に達したことが検出されると、走行経路数Nをカウントアップし(ステップ4,5)、カウント値が圃場1内での設定経路数NSに達していなければ(ステップ6)、前記メモリ25に書き込み記憶された磁界の強さの最大値Xmが、ゲイン調整用設定上限値SGMを越えていれば、現行のゲインよりも1段低いゲインの増幅器が選択されるようにアナログスイッチAS4,AS5 に対して選択信号を指令して、出力ゲインが下げ側に変更される(ステップ7,8)。前記最大値Xmが、ゲイン調整用設定下限値SGLを下回っていれば、現行のゲインよりも1段高いゲインの増幅器が選択されるように、アナログスイッチAS4,AS5 に対して選択信号を指令して、出力ゲインが上げ側に変更される(ステップ9,10)。
【0043】
このとき、メモリ25に記憶されている磁界の強さの最大値Xmが、ゲイン調整用設定上限値SGMを越えていず、ゲイン調整用設定下限値SGLも下回っていなければ、出力ゲインは変更することなく、そのままの値が用いられるが、このような場合であっても、メモリ25に記憶されている磁界の強さの最大値Xmが、定数補正用設定上限値SHMを越えていれば、そのときの制御定数より小さい制御定数(例えば、3割程度低い値)に補正し(ステップ11,12)、前記最大値Xmが、定数補正用設定下限値SHLを下回っていれば、そのときの制御定数より大きい制御定数(例えば、3割程度高い値)に補正する(ステップ13,14)。
【0044】
尚、ステップ8,10にて出力ゲインが変更された場合には、その後、変更状況に応じて制御定数を適宜補正することになる。つまり、出力ゲインが下げられたときは、制御定数を前経路における値より大きい値に補正し(ステップ8,14)、出力ゲインが上げられたときは、前経路における値より小さい値に補正する(ステップ10,12)。
このようにして、磁界の強さの検出値や出力ゲインの変更状況に応じて、常に適切な制御定数にて電動モータを駆動制御するようにして、制御のハンチングや検出誤差の発生を極力、抑制するようにしている。
【0045】
次に、現走行経路用の磁界検出部GK1 として機能する側部磁界センサを、反対側のもの(右側のセンサ13R)に切り換える(ステップ15)。車体の向きの変化によりそれらの位置関係が反転するからである。
【0046】
次に、車体を次走行経路kの始端部に位置させるべく回向走行させる旋回制御を実行する(ステップ16)。
図12(イ)に示すように、走行経路kの終端位置から設定距離だけ操向操作を中立状態に維持したままで直進走行させた後に、方位センサ11をリセットして、車体の方位が180度反転したことが検出されるまで、最大切れ角にて旋回走行させ、その後、中央磁界センサ14の検出情報に基づいて走行経路kの始端部に達するまで直進走行させる。
更に、図12(ロ)に示すように、現走行経路k用の磁界検出部として機能する側部磁界センサの検出情報と、前記メモリ25に記憶されている記憶情報とに基づいて、次走行経路に沿う状態になるように車体を旋回しながら前進させて幅寄せを行う。その後、その走行経路に沿わせる状態で誘導走行制御を実行する。
【0047】
このとき、走行経路の始端部に達した後においては、次走行経路用の磁界検出部GK2 として機能する側部磁界センサ(図12においては右側センサ13R)による上記したような記憶動作が実行されるので、経路始端部においては、幅寄せによる検出誤差が発生することになるので、このような誤差を補正して適正な基準情報になるようにしている。
【0048】
つまり、走行経路kの終端部においては前記誘導走行制御が適正に実行され、適正な基準情報として記憶されることになるので、そのときの記憶値と、前記経路始端部において走行距離情報に対応付けて逐次記憶される情報との差異を求めることで、上述したような誤差によるずれ量を求めることができる。但し、これらの情報は、補正が実行される走行経路よりも以前の走行経路における情報であり、しかも、磁界の強さは図3に示すように、走行経路が異なる毎に非線形に変化するので、このような非線形特性に起因した誤差をも少なくさせるようにしている。尚、幅寄せによる走行距離情報の誤差は、操向操作量に基づいて適宜補正することになる。
即ち、走行経路kの終端部における記憶値と、経路始端部において距離情報に対応して逐次記憶される記憶値との差異Δαに対して、補正すべき走行経路における左右の側部磁界センサ13R,13Lの検出値の差分値Aと、前走行経路における左右の側部磁界センサ13R,13Lの検出値の差分値Bとの比を掛け合わせることで、非線形による誤差を少なくさせて、走行距離情報に対応した基準情報の補正値Δβを求めるのである。
【0049】
このようにして、その後の誘導走行において、走行経路の終端部付近での基準情報が上述したような誤差が少なく、ほぼ走行経路に沿う状態で設定できることになり、経路終端部にて作業車Vが蛇行してしまう不利を未然に回避できるものとなる。
【0050】
以後、上述したような誘導走行制御を実行するが、このとき、ステップ8にてゲインが変更されていれば、メモリ25に記憶されている検出情報に対しても、変化量に対応したゲインを掛けて走行用目標値を求めることになる。
そして、ステップ2〜16を繰り返して、各走行経路kに沿わせて順次、作業車Vを誘導走行させ、設定経路数NSに達すると制御が終了する(ステップ6)。
【0051】
現走行経路kにおいては、前走行経路kを走行する際に記憶されている磁界の強さと現走行経路kでの検出磁界とが同じになるように制御され、しかも、前記各側部磁界センサ13R,13Lの設置間隔は、ロータリー耕耘装置6の対地作業幅よりも幅狭に設定されているので、ロータリー耕耘装置6による作業領域が各走行経路kでラップすることになり、未作業領域が発生しないようになっている。
【0052】
又、各側部磁界センサ13R,13Lの設置間隔を変更調整自在に構成されており、その設置間隔を変更させることで、例えば、制御装置の目標値算出用の演算情報等を変更させることなく、圃場の状況等に応じて各走行経路kの間隔を変更させることができる。
【0053】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値が、定数補正用設定上限値SHMを越えていれば、そのときの制御定数より所定割合だけ小さい制御定数に補正し、前記最大値が、定数補正用設定下限値SHLを下回っていれば、そのときの制御定数より所定割合だけ大きい制御定数に補正する構成としたが、このような構成に代えて次のように構成してもよい。
【0054】
次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さの最大値に対して、最適な制御定数が予めマップデータとして記憶設定されており、そのマップデータに基づいて、適切な制御対数を選択して補正するように構成してもよい。
又、このとき、前記出力ゲインが変更された場合には、その変更されたゲインに基づいて修正された最大値にて、制御対数を選択するようにしてもよい。
【0055】
(2)上記実施形態では、経路端部検出部としての中央磁界センサにて走行経路に端部位置を検出して、その検出情報に基づいて旋回制御や誘導走行制御を実行させる構成としたが、このような中央磁界センサに代えて、例えば、経路端部にて横方向にレーザー光を照射させて、このレーザー光を検出するセンサにて経路端部を検出するようにしてもよく、又、無線操縦にて手動にて経路端部に至ったことを移動車側に指令する構成等、各種の構成にて実施してもよい。
【0056】
(3)上記実施形態では、次走行経路用の磁界検出部にて検出される磁界の強さをメモリに逐次記憶させるようにしたが、このような構成に代えて、磁界の強さの最大値を検出して最大値のみを記憶させる構成としてもよい。
【0057】
(4)上記実施形態では、増幅ゲインの異なる複数の増幅器のうちのいずれかを選択することで、出力ゲインを調整する構成としたが、無段階に変更調整自在な増幅器を用いて、磁界の強さの最大値に基づいて、無段階に出力ゲインを調整させる構成としてもよい。
【0058】
(5)上記実施形態では、移動車が走行経路の端部に達したことが検出されるに伴って、制御定数の補正を行う構成としたが、車体の旋回制御が実行された後に行う構成としてもよい。
【0059】
(6)上記実施形態では、現走行経路用の磁界検出部GK1 の出力ゲインを自動調整する構成としたが、このような自動調整を行わない構成としてもよい。
【0060】
(7)上記実施形態では、前記磁界検出手段における設置間隔を変更調整できるようにしたが、設置間隔を固定状態で設ける構成としてもよい。
【0061】
(8)上記実施形態では、誘導対象エリアの左右両側に誘導線が設置される場合を例示したが、片側にのみ誘導線が設置される構成としてもよく、この場合において、誘導走行制御は、誘導線に近い方の走行経路から順次、遠い側の経路に誘導させてもよく、誘導線に遠い方の走行経路から順次、近い側の経路に誘導させてもよい。
【0062】
(9)上記実施形態では、移動車として対地作業装置としてロータリー耕耘装置を備える構成としたが、このような構成に代えて、例えば、苗植付装置や刈取収穫機を備えた作業車であってもよく、建設機械や清掃作業等の作業車であってもよい。又、作業を行わない運搬車等の移動車であってもよい。
【0063】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘導状態を示す平面図
【図2】誘導線の設置状態を示す側面図
【図3】磁界強度分布を示す図
【図4】制御ブロック図
【図5】磁界検出手段の構成図
【図6】信号処理部の構成図
【図7】誘導線の設置状態を示す平面図
【図8】誘導線の電気回路図
【図9】ゲインを切り換えた場合の出力特性を示す図
【図10】制御動作のフローチャート
【図11】移動車の平面図
【図12】旋回制御状態を示す平面図
【符号の説明】
2 誘導線
9 操向操作手段
14 経路端部検出部
100 走行制御手段
101 目標ゲイン設定手段
102 ゲイン調整手段
103 制御定数補正手段
GK 磁界検出手段
GK1 現走行経路用の磁界検出部
GK2 次走行経路用の磁界検出部
SHM 設定上限値
SHL 設定下限値
V 移動車
Xm 磁界の強さの最大値
Claims (6)
- 地上側に、電流が供給される誘導線(2)が設置され、
移動車(V)側に、
車体の向きを変更操作自在な操向操作手段(9)と、
前記電流により形成される磁界の強さを検出する磁界検出手段(GK)と、
前記誘導線(2)の長手方向に沿うと共に互いに平行な複数の走行経路の夫々において、前記磁界検出手段(GK)による検出情報に基づいて、移動車(V)を前記各走行経路に沿って誘導走行させるべく前記操向操作手段(9)を制御する操向制御手段(100)とが備えられている移動車の誘導制御装置であって、
前記磁界検出手段(GK)は、
前記複数の走行経路のうちの1つに沿って走行するときに、
その走行中の走行経路に沿う前記誘導制御を実行するために磁界の強さを検出するための現走行経路用の磁界検出部(GK1 )と、隣接する次の走行経路に沿って前記移動車(V)を走行させた際に前記現走行経路用の磁界検出部(GK1 )にて検出されることになる磁界の強さを検出する次走行経路用の磁界検出部(GK2 )とを、隣り合う走行経路の間隔に対応させて間隔を隔てて設置する状態で備えるものであり、
前記次走行経路用の磁界検出部(GK2 )にて検出される磁界の強さの検出情報に基づいて、
前記次走行経路を走行する際における、前記現走行経路用の磁界検出部(GK1 )による検出値と予め設定される目標値との偏差に対する前記操向操作手段(9)の操作量を求めるときの制御定数を、前記操作量が適正範囲になるように補正する制御定数補正手段(103)が設けられている移動車の誘導制御装置。 - 前記制御定数補正手段(103)は、
前記次走行経路用の磁界検出部(GK2 )にて検出される磁界の強さの最大値(Xm)が設定上限値(SHM)を越えると、そのときの制御定数より小さい制御定数に補正し、
前記次走行経路用の磁界検出部(GK2 )にて検出される磁界の強さの最大値(Xm)が設定下限値(SHL)を下回ると、そのときの制御定数より大きい制御定数に補正するように構成されている請求項1記載の移動車の誘導制御装置。 - 前記制御定数補正手段(103)は、
制御対象となる走行経路における磁界の強さに対する適正な制御定数が予めマップデータにて設定記憶されており、
前記次走行経路用の磁界検出部(GK2 )にて検出される磁界の強さの最大値に基づいて、前記マップデータより求められる前記制御定数に補正するように構成されている請求項1記載の移動車の誘導制御装置。 - 前記移動車(V)に、前記走行経路の始端部及び終端部であることを検出する経路端部検出部(14)が設けられ、
前記制御定数補正手段(103)が、前記経路端部検出部(14)の検出情報に基づいて、前記制御定数を補正するように構成されている請求項1、2又は3記載の移動車の誘導制御装置。 - 前記移動車(V)の走行距離を検出する距離検出手段(10)と、
前記走行経路の端部であることを検出する経路端部検出部(14)と、
この経路端部検出部(14)により走行経路の端部であることを検出したときから、前記次走行経路用の磁界検出部(GK2 )における検出情報を、前記距離検出手段(10)の検出情報と対応付けて逐次記憶する記憶手段(25)とが設けられ、
前記操向制御手段(100)は、前記記憶手段(25)にて記憶される記憶情報を前記目標値として操向制御を実行するように構成されている請求項1、2、3又は4記載の移動車の誘導制御装置。 - 前記移動車(V)に、
前記次走行経路用の磁界検出部(GK2 )にて検出される磁界の強さの検出情報に基づいて、前記現走行経路用の磁界検出部(GK1 )における出力ゲインの目標値を設定する目標ゲイン設定手段(101)と、
前記次走行経路用の磁界検出部(GK2 )にて磁界の強さが検出される走行経路においては、当該走行経路に沿う誘導走行に先立って、前記現走行経路用の磁界検出部(GK1 )における出力ゲインを前記目標値に自動調整するゲイン調整手段(102)とが設けられ、
前記制御定数補正手段(103)は、
前記ゲイン調整手段(102)にて前記出力ゲインが前記目標値に調整されると、その目標値に対応させて前記制御定数を補正するように構成されている請求項1、2、3、4又は5記載の移動車の誘導制御装置。
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