JP3596982B2 - 塗工用電動機制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙やフィルム等の被塗工材の表面に塗工材を塗布するために、被塗工材を搬送する塗工用電動機を制御する塗工用電動機制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の塗工用電動機制御装置は、図5に示すように紙材等の被塗工材表面に塗工材を塗布する一方、塗工開始後にブレードを被塗工材面に押し付けることにより、被塗工材から過剰な塗工材を掻き落とす制御を行っている。
【0003】
この塗工用電動機制御装置は、具体的には必要な構成部分に制御指令を与えるコントローラ1と、塗工用電動機駆動制御系2と、塗工機構部制御系3とによって構成されている。
【0004】
この塗工用電動機駆動制御系2は、塗工ロール4を駆動する塗工用電動機5、この塗工用電動機5の速度を検出する速度検出器6、速度指令a1の下に得られる速度基準a2と速度検出器6で検出される速度帰還a3との速度偏差a4を求める偏差演算手段7、この速度偏差a4が零となるトルク基準a5を求めて出力する速度制御手段8、このトルク基準a5を電流基準a6に換算する換算手段9、この換算手段9から得られる電流基準a6と電流検出器10で検出される塗工用電動機5の電流帰還a7との電流偏差a8を求める偏差演算手段11、この電流偏差a8が零となるような電力変換基準a9を求める電流制御手段12、この電力変換基準a9に応じて塗工用電動機5に電動機電流a10を供給する電力変換器13等によって構成されている。なお、速度制御手段8および電流制御手段12は、少くとも入力を積分する積分要素をもつが、比例・積分要素をもつ構成であってもよい。また、電力変換器13としては、半導体素子からなる公知の技術が用いられる。
【0005】
前記塗工機構部制御系3は、紙材等の被塗工材16に塗工材である塗工液を塗布する塗工ポンプ17と、被塗工材16の表面に押し付けて過剰な塗工材を掻き落とすブレード18と、コントローラ1からの塗工開始指令a11を受けて塗工ポンプ17およびブレード18を制御するとともに、ブレードタッチ指令a12をコントローラ1に送出するコータ制御装置19とが設けられている。
【0006】
前記コントローラ1は、コータ制御装置19からブレードタッチ指令a12を受けたとき、前記速度指令a1に対し、速度基準バイアス13を加えることにより、速度基準a2を増加させるような制御を行っている。
【0007】
次に、以上のように構成された制御装置において特にコントローラ1の処理動作について図6を参照して説明する。
コントローラ1は、自動またはオペレータの開始指示に従って塗工開始指令a11を塗工機構部制御系3に送出すると(ST1)、コータ制御装置19は塗工開始指令a11を受けた旨の応答指令a12を出力すると同時にブレード18に駆動指令を出力する。ここで、コントローラ1は、応答指令有りと判断すると、予めタイマ21に駆動指令後ブレード18が被塗工材16を押し付けるであろう推定時間(ブレードタッチ時間)が設定され、この推定時間の経過後にタイマ21がオンし(ST3)、コイルオン指令を出力し(ST4)、コイル22を励磁する。
【0008】
このコイル22は、常時は速度指令a1に対して零バイアス23を選択して速度基準バイアスa13としているが、コイルオン指令によってコイル22が励磁動作すると予め設定されている所定の速度バイアス値24を選択して速度基準バイアスa13として速度指令a1に加える。そして、コイルオン指令後、タイマ25が予め速度増分による影響が無くなるであろう推定時間の経過後にオンし(ST5)、コイルオフ指令を出力し(ST6)、コイル22を非励磁状態に設定し、零バイアス23を選択出力する。
【0009】
従って、以上のような塗工用電動機制御装置は、無塗工時に通常の速度基準で塗工用電動機5を駆動制御し、速度基準a2=速度指令a1の関係を保持する。一方、塗工開始指令a11の出力後、実際に被塗工材16にブレード18を押し付けて負荷がかかるであろう推定時間をタイマ21で刻時後にコイル22をオンさせて、予め定めた所定の速度バイアス値24を速度基準バイアスa13として速度指令a1に加える。よって、速度基準a2は、速度指令a1に対して速度基準バイアスa13分だけ増加し、速度制御手段8の積分値を増加させ、トルク基準a5を増加させることにより、被塗工材16にグレード18を押し付けることによって生じる塗工用電動機5の速度低下を未然に回避できる。
【0010】
ところで、速度バイアス値24を速度指令a1に加え続けると、速度制御手段8の積分動作によって塗工用電動機5の速度が速度指令a1よりも常時速度基準バイアス24分だけ増速してしまう。そこで、速度制御手段8の積分結果が速度基準バイアスa13を零にしても速度が低下しないであろう推定時間をタイマ25に設定し、その設定時間後にコイル22をオフし、零値を出力する構成である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような塗工用電動機制御装置では、ブレード18を被塗工材16を介して塗工ロール4に押し付けたことによって発生する塗工ロール4の負荷変動および被塗工材16の張力変動を抑制するために、塗工開始前に塗工開始指令後にブレード18が被塗工材16に当接するであろう時間後に速度指令に速度基準バイアスを加え、また速度基準バイアスa13を零にしても速度の低下とならない時間を設定し、塗工用電動機5を制御するようにしているので、塗工開始発生から実際に速度基準バイアスを印加するタイミングおよび速度基準バイアスを除去するタイミングの最低2つのタイマ調整が必要となり、また最適な速度基準バイアス値の調整が必要である。しかも、これらの調整には実際に装置を動作させつつ、数回の試運転を行う必要があるので、多くの手間および時間がかかり、これら調整作業には調整員の熟練が必要となる。また、機械の経年変化、紙材や塗工材の種類などで負荷特性が変化することから、場合によって再調整を余儀なくされ、非常に調整作業が煩雑である。
【0012】
さらに、速度制御手段8の応答速度によっては、速度の低下を回避できない問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、殆んど調整作業なしで適切なバイアス値を印加し、負荷急変時でも安定した速度で被塗工材を搬送し、塗工品質の安定化および生産性の向上を図る塗工用電動機制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に対応する発明は、速度基準と被塗工材を搬送する塗工用電動機の帰還速度との速度偏差に基づいてトルク基準を出力して前記塗工用電動機の速度を制御するとともに、この塗工用電動機に連結される塗工ロールによって搬送される被塗工材の表面に塗工材を塗布し、かつ、前記被塗工材にブレードを押し付けて過剰な塗工材を除去する塗工用電動機制御装置において、予め所定のトルクバイアス値が設定され、塗工開始指令のもとに前記被塗工材を介して塗工ロールにブレードを押し付けるときに発せられるブレードタッチ指令に基づき、前記トルク基準に前記所定のトルクバイアス値を加えるバイアストルク印加手段を設け、前記塗工ロールにブレードを押付けたときに生じる負荷変動による前記被塗工材の搬送速度の低下を防止する塗工用電動機制御装置である。
【0014】
この請求項1に対応する発明は、以上のような手段を講じたことにより、予め過去の知識,経験等からブレード加圧時の負荷変動による塗工用電動機の速度低下に見合う所定のトルクバイアス値を設定し、塗工開始指令後にバイアストルク印加手段からトルクバイアス値を出力し、トルク基準に加えるようにしたので、従来のように速度制御手段8による応答遅れがなく、調整要素も少なく、安定した速度で塗工用電動機を制御できる。
【0015】
請求項2に対応する発明は、速度基準と塗工用電動機の帰還速度との速度偏差からトルク基準を出力して塗工用電動機の速度を制御する一方、この塗工用電動機に連結される塗工ロールによって搬送される被塗工材の表面に塗工材を塗布し、かつ、被塗工材にブレードを押し付けて過剰な塗工材を除去する塗工用電動機制御装置において、
塗工開始前のトルク基準と塗工開始後のトルク基準との差分トルクをトルクバイアス値として記憶するトルクバイアス値記憶手段と、次回以降の塗工開始後、前記トルクバイアス値記憶手段に記憶されるトルクバイアス値を自動的にトルク基準に加えるバイアストルク印加手段と、塗工中止時に自動的にトルク基準に加えられているトルクバイアス値を除去するバイアス値除去手段とを設けた塗工用電動機制御装置である。
【0016】
この請求項2に対応する発明は、以上のような手段を講じたことにより、塗工用電動機駆動制御系から塗工開始前のトルク基準と塗工開始後のトルク基準とを取り出し、これら両トルク基準の差分トルクであるトルクバイアス値を設定し、次回以降の塗工開始後に自動的にトルク基準に加え、また、塗工中止時に自動的にトルク基準からトルクバイアス値を除去するので、塗工ラインを利用して調整作業なしに正確にトルクバイアス値を取得できる。また、塗工開始から塗工終了まで常に所定のトルクバイアス値を瞬時に印加するので、タイミングの調整が不要であるばかりか、負荷急変時でも安定した速度で塗工用電動機を制御でき、塗工品質の安定化および生産性に大きく貢献できる。
【0017】
さらに、請求項3に対応する発明は、速度基準と塗工用電動機の帰還速度との速度偏差からトルク基準を出力して塗工用電動機の速度を制御する一方、この塗工用電動機に連結される塗工ロールによって搬送される被塗工材の表面に塗工材を塗布し、かつ、被塗工材にブレードを押し付けて過剰な塗工材を除去する塗工用電動機制御装置において、予め塗工材の種類、被塗工材の材質、塗工時の速度、外気温度、湿度等の条件項目のうち何れか1つ以上の条件項目に対する塗工開始前の前記トルク基準と塗工開始後の前記トルク基準との差分トルクであるトルクバイアス値を記憶するトルクバイアス値記憶手段と、塗工開始時、条件項目の入力または塗工ラインから検出される条件項目に基づいてトルクバイアス値記憶手段から該当する条件項目に対応するトルクバイアス値を取り出して前記トルク基準に加えるバイアストルク印加手段と、塗工中止時にトルク基準からトルクバイアス値を除去するバイアス値除去手段とを設けた塗工機械設備制御装置である。
【0018】
この請求項3に対応する発明は、以上のような手段を講じたことにより、塗工材の種類、被塗工材の材質、塗工時の速度、外気温度、湿度等の条件項目によって負荷変動が生じることを考慮し、予め1つ以上または複数の組み合わせごとに最適なトルクバイアス値を取り出して設定し、条件項目の指示があった時、当該条件項目に対応するトルク基準を加えるので、塗工材の種類、被塗工材の材質などで負荷特性の変化にも拘らず、その条件項目に合った最適なトルクバイアス値を印加でき、よって塗工開始後に瞬時に塗工用電動機の速度低下に見合うトルクバイアス値の補正が可能であり、しかも速度制御手段の後続でトルク補正を行うことから、速度制御手段による応答遅れが無く、応答速度に優れ、品質の高い製品を安定に生産できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1は請求項1に係わる塗工用電動機制御装置の一実施形態を示す構成図である。なお、同図において図5と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0020】
この制御装置は、コントローラ30と、塗工用電動機駆動制御系40と、塗工機構部制御系50とで構成されている。
このコントローラ30は、オペレータによる塗工指示を受けて塗工開始指令を出力しその他必要な処理を実行させるシーケンスプログラム、塗工指示やトルクバイアス値を入力する入力手段31および必要に応じてバイアストルクその他のデータを表示する表示手段32が設けられ、さらにバイアストルク印加手段33が設けられている。
【0021】
このバイアストルク印加手段33は、零値設定部33aと補正トルク設定部33bの他、塗工機構部制御系50を構成するコータ制御装置51からブレードタッチ指令a33および塗工中止指令を受けて前記零値設定部33aの零値またはトルク補正設定部33bのトルクバイアス値を選択的に出力するバイアス値選択出力手段33cが設けられている。この補正トルク設定部33bのトルクバイアス値は過去の知識、経験等から把握される値を入力手段31から設定する。また、塗工開始前後のトルク基準の変化を測定し、その変化分のトルクを設定してもよい。
【0022】
前記塗工用電動機駆動制御系40は、速度指令を速度基準とし、この速度基準と塗工用電動機5に付設される速度検出器6からの速度帰還a3との速度偏差a4を求める偏差演算手段7と、この速度偏差a4が零となるトルク基準a5を求めて出力する速度制御手段8と、この速度制御手段8によって得られるトルク基準a5と前記バイアストルク印加手段33から印加されるトルクバイアス値a31とを加算し、グレード18が被塗工材16を介して塗工ロール4を押し付けたときに生じる負荷変動による搬送速度の低下を回避するトルク補正手段41と、この補正済みのトルク基準を電流基準a6に換算する換算手段9と、この換算手段9から得られる電流基準a6と電流検出器6で検出される電流帰還a7との電流偏差a8を求める偏差演算手段11と、この電流偏差a7が零となるような電力変換基準a9を求める電流制御手段12と、この電力変換基準a9に応じて塗工用電動機5に電動機電流a10を供給する電力変換器13とによって構成されている。この塗工用電動機5は、紙材等の被塗工材16を搬送する塗工ロール4を駆動制御するものである。
【0023】
次に、以上のような装置の動作について説明する。
先ず、バイアストルク印加手段33の補正トルク設定部33bに、過去の知識、経験等に基づき、グレード18を塗工ロール4に押し付けたときに生じる負荷変動による搬送速度の低下を回避するに相当するトルクバイアス値を設定する。
【0024】
以上の状態において塗工ラインを動作させると、バイアストルク印加手段33の零値設定部33aの零値が選択され、トルク補正手段41に印加される。このとき、トルク基準a5はそのまま電流換算手段9に導入される。
【0025】
しかして、入力手段31から塗工指示を受けると、コントローラ30は、塗工開始指令a32を出力し、コータ制御装置51に送出する。コータ制御装置51では、ブレード18を駆動して被塗工材16に押し付けると同時にブレードタッチ指令a33をコントローラ30に送出する。
【0026】
ここで、コントローラ30のバイアス値選択出力手段33cは、零値設定部31a側から補正トルク設定部33b側を選択し、この補正トルク設定部33bに設定されているトルクバイアス値をトルク補正手段41に送出する。ここで、トルク補正手段41は、トルク基準a5にトルクバイアス値a31を加算し、電流換算手段9に導入する。
【0027】
その結果、ブレード18が塗工ロール4に加圧されて塗工用電動機5の速度が低下するであろうトルク分が瞬時に補われ、塗工前の速度を維持するとともに、被塗工材にかかる張力を一定に保つことができる。
【0028】
そして、コータ制御装置51から塗工中止の信号を受けたとき、バイアス値選択出力手段33cは、補正トルク設定部33b側から零値設定部33a側を選択し、零値をトルク補正手段41に送出して塗工開始前の状態に戻る。
【0029】
従って、以上のような実施の形態によれば、予め過去の知識,経験等から負荷ないし速度低下に見合う所定のトルクバイアス値を設定し、ブレード18の押し付けと同時にバイアストルク印加手段33からトルクバイアス値a31を出力し、トルク基準に加えるので、従来のように速度制御手段8の遅れが無く、塗工開始後の不足トルクを瞬時に補うことから、応答速度の向上および調整作業の簡素化を図ることができ、しかも高速、かつ、安定した操業を確保できる。
(第2の実施の形態)
図2は請求項2に係わる塗工用電動機制御装置の一実施形態を示す構成図である。なお、この塗工用電動機制御装置は、塗工用電動機駆動制御系40および塗工機構部制御系50が図1の構成と同様であるので、同一部分には同一符号を用い、専らコントローラ30の改良部分について説明する。
【0030】
このコントローラ30は、図1と同様にシーケンスプログラム、入力手段31および表示手段32の他、塗工開始指令やブレードタッチ指令から塗工開始前および塗工開始後を判断し、塗工開始前のトルク基準および塗工開始後のトルク基準を取込むトルク基準入力手段34と、このトルク基準入力手段34で取込んだ塗工開始前のトルク基準と塗工開始後のトルク基準との差分トルクであるトルクバイアス値を記憶するトルクバイアス値記憶手段35と、無塗工時には予め設定される零値を出力し、次回以降の塗工時にトルクバイアス値記憶手段35に記憶されているトルクバイアス値を出力しトルク基準に加えるバイアストルク印加手段36と、塗工中止時に零値を出力することによりトルク基準に加えられているトルクバイアス値を除去するバイアス値除去手段37とが設けられている。
【0031】
次に、以上のように構成された装置の動作について説明する。
先ず、最初の塗工時に先立ち、塗工開始指令と同時または入力手段31からのトルク取込み指示に基づいてトルク基準入力手段34が塗工開始前のトルク基準を取り込んでトルクバイアス値記憶手段35に記憶する。しかる後、コータ制御装置51からブレードタッチ指令a33を受けたとき、塗工開始後のトルク基準を取り込んだ後、トルクバイアス値記憶手段35に記憶した後、塗工開始前のトルク基準と塗工開始後のトルク基準とのトルク差を求める。また、塗工開始後のトルク基準を取り込んだ後、トルクバイアス値記憶手段35の塗工開始前のトルク基準を読み出し、塗工開始前のトルク基準と塗工開始後のトルク基準とのトルク差を、トルクバイアス値としてトルクバイアス値記憶手段35に記憶する。
【0032】
このようにしてトルクバイアス値を得た後、次回以降の塗工開始後、つまりブレードタッチ指令a33を受けたとき、トルクバイアス値記憶手段35に記憶されるトルクバイアス値を自動的に読み出してトルク補正手段41に送出し、トルク基準に加えることにより、塗工開始後の不足トルクを補うものである。
【0033】
しかる後、ブレードタッチ指令がなくなるか、或いはコータ制御装置51から塗工中止指令を受けたとき、バイアス値除去手段35がトルク差であるトルクバイアス値に代えて零値を取込んでトルク補正手段41に送出することにより、結果としてトルク基準に加えられているトルクバイアス値を除去する。
【0034】
従って、以上のような実施の形態によれば、塗工開始前のトルク基準と塗工開始後のトルク基準との差分トルクをトルクバイアス値とし、次回以降の塗工開始後に自動的にトルク基準に加え、また、塗工中止時に自動的にトルク基準に加えられているトルクバイアス値を除去するので、塗工ラインを稼働させつつ調整作業なしに正確にトルクバイアス値を得ることができる。また、塗工開始から塗工終了まで常に所定のトルクバイアス値を速度制御手段8の出力側で印加しているので、応答速度を上げることができ、また速度急変時でも安定な速度で塗工用電動機を駆動でき、塗工品質の安定化および生産性に大きく貢献する。特に、塗工開始から塗工終了まで常時所定のトルクバイアス値を印加できるのは、外側に速度制御ループを設けてい安定制御を行っているためである。
(第3の実施の形態)
図3は請求項3に係わる塗工用電動機制御装置の一実施形態を示す構成図である。なお、この塗工用電動機制御装置においても、塗工用電動機駆動制御系40および塗工機構部制御系50が図1と同様な構成であるので、同一部分には同一符号を付して説明し、専らコントローラ30の改良部分について説明する。
【0035】
このコントローラ30は、シーケンスプログラム、入力手段31および表示手段32の他、塗工材の種類,被塗工材の材質,塗工時の速度,外気温度,湿度などの条件項目に応じて被塗工材16にブレードを押し付けたときに負荷特性が変化することに着目し、予め前述する1つの条件項目または複数の条件項目の組み合わせごとに塗工開始前のトルク基準と塗工開始後のトルク基準との差分トルクをトルクバイアス値として記憶するトルクバイアス値記憶手段38と、零値設定部39aおよび補正トルク設定部39bを有し、そのうち補正トルク設定部39bにはオペレータまたは上位生産管理コンピュータからの条件項目抽出指示、或いは塗工ラインから検出に基づく条件項目抽出指示に基づいて、トルクバイアス値記憶手段38から条件項目抽出指示に応じたトルクバイアス値が設定され、かつ、前記零値設定部39aの零値またはトルク補正設定部39bのトルクバイアス値を選択的に出力するバイアス値選択出力手段39cを有するバイアストルク印加手段39Aと、バイアス値除去手段39Bとが設けられている。
【0036】
このバイアス値除去手段39Bは、コータ制御装置51から塗工中止信号を受けるか、或いはブレードタッチ指令が無くなったとき、補正トルク設定部39b側の出力に代えて零値設定部39aの零値を選択することにより、結果としてトルクバイアス値を除去する機能をもっている。
【0037】
次に、以上のような実施形態の動作について説明する。
先ず、必要な条件項目または複数の条件項の組み合わせごとに塗工ラインを稼働し、トルクバイアス値記憶手段38に塗工開始前のトルク基準と塗工後のトルク基準との差分であるトルクバイアス値を設定する。
【0038】
以上のようにしてトルクバイアス値記憶手段38にトルクバイアス値を設定した後、入力手段からオペレータ,上位生産管理コンピュータまたは塗工ラインの必要なセンサから条件項目抽出指示を入力すると、トルクバイアス値記憶手段38から条件項目抽出指示に応じたトルクバイアス値がトルク補正設定部39bに設定される。
【0039】
この状態において塗工ラインを稼働するが、無塗工時にはバイアス値選択出力手段39cが零値設定部39aの零値を選択し、トルク補正手段41に印加する。この場合には、速度制御手段8から得られたトルク基準がそのまま電流換算手段9に送られる。
【0040】
しかる後、コントローラ30は、塗工開始指令a32をコータ制御装置51に送出すると、このコータ制御装置51は、塗工ポンプ17を動作させて塗工材を被塗工材16に塗布するとともに、ブレード18を塗工ロール4に押し付けてブレードタッチ指令a33を送出する。
【0041】
コントローラ30は、バイアス値選択出力手段39cにてブレードタッチ指令a33を受けると、トルク補正設定部39b側を選択し、トルクバイアス値a31をトルク補正手段41に送出する。ここで、トルク補正手段41は、トルク基準a5にトルクバイアス値a31を加えて電流換算手段9に導入し、塗工ロール4にブレード18が加圧されていることによる塗工用電動機5の速度低下となるトルク分を瞬時に補い、塗工前の速度を維持することにより、被塗工材16にかかる張力を一定に保ことができる。
【0042】
従って、従来装置と以上のような実施形態の本発明請求項1〜3の制御装置とを比較すると、図4に示すような結果が得られる。すなわち、塗工ロール4にブレード18を押し付けたにも拘らず、何ら補正を行わない場合には、塗工用電動機5は図示イのように大幅に速度が低下するが、従来のように速度基準a2に速度基準バイアスa13を加えた装置の場合には、速度の低下をかなり改善されるが、速度制御手段8の遅れの影響を受けて図示ロのような速度の低下となって現われる。
【0043】
しかし、本発明装置におけるトルクバイアス値の補正の場合には、塗工用電動機5の速度低下に見合うトルク分を瞬時に補うことにより、塗工前の速度を確実に維持できる。しかも、従来装置においては、塗工開始によるブレード加圧の後、所定時間後にタイマ25をオフするために、タイマ設定時間の調整およびタイミング等が難しくなるが、本発明装置の場合には塗工開始によるブレード加圧の後、塗工終了によるブレード開放まで一定のトルクバイアス値を加えればよく、時間調整等が不要になり、簡単に補正処理を行うことができる。
【0044】
なお、コントローラ30と塗工用電動機駆動制御系40とは一体でもよく、或いは完全に分離し、コントローラ30から塗工用電動機駆動制御系40にトルクバイアス値を与える構成でもよい。また、トルクバイアス値は、アナログ、ディジタル(パラレル、シリアル)の何れの伝送でもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、次のような種々の効果を奏する。
請求項1の発明では、予め過去の知識,経験等からブレード加圧時の負荷変動による塗工用電動機の速度低下に見合う所定のトルクバイアス値を設定し、塗工開始指令後にトルクバイアス値をトルク基準に加えるので、従来のように速度制御手段による応答遅れがなく、調整要素も少なく、安定した速度で塗工用電動機を制御できる。
【0046】
請求項2の発明では、塗工開始前のトルク基準と塗工開始後のトルク基準との差分トルクであるトルクバイアス値を設定し、次回以降の塗工開始後に自動的にトルク基準に加え、塗工中止時に自動的にトルク基準からトルクバイアス値を除去するので、調整作業なしに正確にトルクバイアス値を取得でき、また塗工開始から塗工終了まで常に所定のトルクバイアス値を瞬時に印加するので、タイミングの調整が不要であり、速度急変時でも安定した速度で塗工用電動機を制御でき、塗工品質の安定化および生産性に大きく貢献できる。
【0047】
請求項3の発明では、負荷変動となる条件項目の1つまたは複数の組み合わせごとに最適なトルクバイアス値を設定し、条件項目の指示があった時、その条件項目に対応するトルク基準に加えるので、塗工材の種類、被塗工材の材質などの条件項目に合った最適なトルクバイアス値を塗工開始後に瞬時に速度低下に見合うトルクバイアス値の補正が可能であり、応答速度に優れ、品質の高い製品を安定に生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係わる塗工用電動機制御装置の一実施形態を示す構成図。
【図2】請求項2に係わる塗工用電動機制御装置の一実施形態を示す構成図。
【図3】請求項3に係わる塗工用電動機制御装置の一実施形態を示す構成図。
【図4】従来装置による速度補正と本発明装置によるトルク補正との比較図。
【図5】従来装置の構成図。
【図6】従来装置の動作手順を説明する図。
【符号の説明】
4…塗工ロール、5…塗工用電動機、16…被塗工材、17…塗工ポンプ、18…グレード、30…コントローラ、33,36,39A…バイアストルク印加手段、35,38…トルクバイアス値記憶手段、37,39B…バイアス値除去手段、40…塗工用電動機駆動制御系、41…トルク補正手段、50…塗工機構部制御系、51…コータ制御装置。
Claims (3)
- 速度基準と被塗工材を搬送する塗工用電動機の帰還速度との速度偏差に基づいてトルク基準を出力して前記塗工用電動機の速度を制御するとともに、この塗工用電動機に連結される塗工ロールによって搬送される前記被塗工材の表面に塗工材を塗布し、かつ、前記被塗工材にブレードを押し付けて過剰な塗工材を除去する塗工用電動機制御装置において、
予め所定のトルクバイアス値が設定され、塗工開始指令のもとに前記被塗工材を介して塗工ロールにブレードを押し付けるときに発せられるブレードタッチ指令に基づき、前記トルク基準に前記所定のトルクバイアス値を加えるバイアストルク印加手段を設け、
前記塗工ロールにブレードを押し付けたときに生じる負荷変動による前記被塗工材の搬送速度の低下を防止することを特徴とする塗工用電動機制御装置。 - 速度基準と被塗工材を搬送する塗工用電動機の帰還速度との速度偏差に基づいてトルク基準を出力して前記塗工用電動機の速度を制御するとともに、この塗工用電動機に連結される塗工ロールによって搬送される前記被塗工材の表面に塗工材を塗布し、かつ、前記被塗工材にブレードを押し付けて過剰な塗工材を除去する塗工用電動機制御装置において、
塗工開始前の前記トルク基準と塗工開始後の前記トルク基準との差分トルクであるトルクバイアス値を記憶するトルクバイアス値記憶手段と、
次回以降の塗工開始後、前記トルクバイアス値記憶手段に記憶されるトルクバイアス値を自動的に前記トルク基準に加えるバイアストルク印加手段と、
塗工中止時に自動的に前記トルク基準に加えられている前記トルクバイアス値を除去するバイアス値除去手段と、
を備えたことを特徴とする塗工用電動機制御装置。 - 速度基準と被塗工材を搬送する塗工用電動機の帰還速度との速度偏差に基づいてトルク基準を出力して前記塗工用電動機の速度を制御するとともに、この塗工用電動機に連結される塗工ロールによって搬送される前記被塗工材の表面に塗工材を塗布し、かつ、前記被塗工材にブレードを押し付けて過剰な塗工材を除去する塗工用電動機制御装置において、
予め塗工材の種類、被塗工材の材質、塗工時の速度、外気温度、湿度等の条件項目のうち何れか1つ以上の条件項目に対する塗工開始前の前記トルク基準と塗工開始後の前記トルク基準との差分トルクであるトルクバイアス値を記憶するトルクバイアス値記憶手段と、
塗工開始後、条件項目の入力または塗工ラインから検出される条件項目に基づいてトルクバイアス値記憶手段から該当する条件項目に対応するトルクバイアス値を取り出して前記トルク基準に加えるバイアストルク印加手段と、
塗工中止時に前記トルク基準に加えられている前記トルクバイアス値を除去するバイアス値除去手段と、
を備えたことを特徴とする塗工用電動機制御装置。
Priority Applications (1)
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| JP15256996A JP3596982B2 (ja) | 1996-06-13 | 1996-06-13 | 塗工用電動機制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15256996A JP3596982B2 (ja) | 1996-06-13 | 1996-06-13 | 塗工用電動機制御装置 |
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| JPH104693A JPH104693A (ja) | 1998-01-06 |
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-
1996
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| JPH104693A (ja) | 1998-01-06 |
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