JP3597130B2 - エコーキャンセラ制御システム及び方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、高速、大容量伝送を行うATM(Asynchronous Transfer Mode)網に接続される電話網に含まれるエコーを消去するエコーキャンセラに関する。特に、本発明は、異なる形態の電話網に応じてエコーキャンセラの動作停止、復旧を制御するエコーキャンセラ制御システム及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電話網とATMとの接続又は電話網のATM化等では、既存の2線アナログ加入者線からATM網を介して電話通信を行う形態が考えられている。
そのような場合、2線4線変換回路(H)により生じるエコーを消去するためのエコーキャンセラが必須となる。
上記場合に反し、網の形態、エコーキャンセラの設置位置等によってエコーキャンセラの従属接続が生じる場合がある。
【0003】
さらに、ピンポン伝送方式を採用するISDN(Integrated Service Digital Network)端末のように、元来エコーが発生せず、エコーキャンセラが不要である端末がエコーキャンセラに接続される場合がある。
上記のエコーキャンセラの従属接続、エコーキャンセラが不要な端末の場合には、通話品質の劣化という問題があるので、従属接続では後段のエコーキャンセラを停止させ、また、エコーキャンセラ不要端末ではその後段のエコーキャンセラを停止させる必要がある。
【0004】
以下に上記の停止させるべきエコーキャンセラの例について具体的に説明を行う。
図10はエコーキャンセラの従属接続に関するエコーキャンセラ停止を説明する概略構成を示す図である。本図には、既存電話網123、124の通信をATM網125経由で行う場合の構成例が示される。
既存電話網123、124にそれぞれ収容される電話機121、122が、ATM125を介して、電話を行うものとする。
【0005】
ATM125を経由する場合、ノード126、127で行うATMセル化による遅延等で遅延が増加するため、エコーキャンセラ128、129が必要になる。
図10の場合には、既存電話網123、124とATM網125との接続点であるノード126、127にそれぞれエコーキャンセラ128、129を設置すればよい。
【0006】
エコーキャンセラ128は電話機121が収容される2線4線変換回路(H:ハイブリット回路)130で発生したエコーを消去し、同様に、エコーキャンセラ129は電話機121が収容される2線4線変換回路(H)130で発生したエコーを消去する。
すなわち、電話機121と122との通信において、片側に1つずつ計2個のエコーキャンセラ128、129が設置される。
【0007】
この場合、例えば、電話機121ではなく、企業等のユーザーがエコーキャンセラ135の設置されているPBX(構内交換機)133を使用し、PBX133配下の2線4線変換回路(H)134及びエコーキャンセラ135を通してアナログ電話機132をATM網125に接続する場合がある。
この場合には、エコーが生じる2線4線変換回路(H)134に対して1つのエコーキャンセラが対応すべきところを複数のエコーキャンセラ128、135が従属接続されることになる。
【0008】
このようなエコーキャンセラ128、135の従属接続では、動作が安定化するまで、2段目のエコーキャンセラ128の方が1段目のエコーキャンセラ135より通信品質が劣化するという第1の問題がある。
このため、エコーキャンセラ128、135が従属される場合には、2段目のエコーキャンセラの動作を停止させる必要がある。
【0009】
図11はディジタル多機能電話機の2線式ディジタル内線方式(ピンポン伝送方式)に関するエコーキャンセラの停止を説明する図である。
本図に示すように、端末としてISDN端末のようなディジタル多機能電話機201を使用する場合は、物理的に2線208でディジタルPBX内線回路202に収容されていてもディジタル多機能電話機201とディジタルPBX202とで信号が重ならないようにするピンポン伝送を行っているため、2線4線変換回路(H)206、207でエコーが発生することはない。
【0010】
図12はディジタル多機能電話機の4線式ディジタル内線方式に関するエコーキャンセル停止を説明する図である。
本図に示すように、4線で収容されている場合は、ディジタル多機能電話機221のドライバ224とディジタルPBX内線回路222のレシーバ227、並びに、ディジタル多機能電話機221のレシーバ225とディジタルPBX内線回路222のドライバ228は、上り、下り、それぞれ独立して4線226に接続しているため、当然、エコーは発生しない。
【0011】
エコーが発生していない箇所にエコーキャンセラを適用すると、動作が保証されないという第2の問題がある。
このため、エコーが発生しない場合もエコーキャンセラの動作を停止させる必要がある。
さらに、第1の問題について詳細に説明を行う。
【0012】
このエコーキャンセラの動作を停止させる方法として、例えば、特開平11−289280号公報に開示されるように、残留エコーが所定の値に減衰して定常状態に収束する過程で残留エコーが所定の値以下になるまでの時間を計測し、上記計測時間が所定の値以上になった時、つまり、通常より収束時間が延びた場合にエコーキャンセラの動作を停止させるとしている。
【0013】
以下に、特開平11−289280号公報に開示される従来のエコーキャンセラの説明を行う。
図13は従来のエコーキャンセラの構成を説明する図である。本図に示すように、エコーキャンセラ101は、遠端側信号102、疑似エコー生成回路103、2線4線変換回路(H)104、近端側信号105、エコー消去回路106、残留エコー測定回路107、判断回路108、動作/停止制御回路109、110、入力パターン検出回路111で構成されている。
【0014】
次に、動作を詳細に説明する。遠端側信号102を基に疑似エコー生成回路103で疑似エコーが生成される。
実際には、2線4線変換回路104で遠端側信号102の一部がエコーとして回り込み、近端側信号105に重畳されてエコーキャンセラ101に入力される。
エコー消去回路106は、遠端側信号102を取り込み疑似エコー生成回路103が生成した疑似エコーと2線4線変換回路104で発生したエコーが重畳されている近端側信号105を演算することで、エコー消去を実現する。
【0015】
しかし、疑似エコー生成回路103が即座に精度良く疑似エコーを生成することができないため、残留エコー測定回路107は、エコー消去回路106の出力残留エコーを測定し、疑似エコー生成回路103にフィードバックをかける。
残留エコー測定回路107では、残留エコーの大きさを測定し、その大きさが所定の値以上である状態が継続する時間を計測する。
【0016】
判断回路108は、残留エコー測定回路107により計測した継続時間が所定の値以上になった時にエコーキャンセラ停止信号を発生する。
エコーキャンセラ動作停止制御回路109、110では、判断回路108からのリセット又はエコーキャンセラ停止信号に基づいてエコーキャンセラを動作又は停止させる。
【0017】
なお、エコーキャンセラが停止した状態の時に、エコーキャンセラの入力信号が所定のパターンから通常の入力に変化した時、例えば、データが全て「0」である状態から、何らかのデータに変化した場合に、エコーキャンセラをリセットしてエコーキャンセラを動作状態にすることが提案されている。
図14は、1段目、2段目のエコーキャンセラSout端子での経過時間に対するエコー量を表した図である。
【0018】
本図を用いて、従属接続、この場合は、2段接続時の動作について詳細な説明を行う。
本図に示すように、エコー量が所定値xになるまでの時間T0からT1までの時間を計測し、計測時間経過時点での残留エコー量が所定値x以上であれば、エコーキャンセラ停止信号を発生させ、エコーキャンセラを停止させる。
【0019】
つまり、2段目のエコーキャンセラは、1段目の出力を基に学習するので、学習する間不安定となるため、1段目より従属接続された2段目の規定値xまでの収束する時間T2が長くなるという特性を有する。
エコーキャンセラの停止状態から動作状態へのリセットは、新しい呼が設定される時のように、エコー経路が変わる場合に、エコーキャンセラとして通常行う動作であり、通常は発呼信号によって行う。
【0020】
新しい呼が設定された時に、図13の判断回路108が判断動作を開始する。一方、新しい呼が設定される時は、エコーキャンセラの入力信号から見れば、無通話の状態から信号が送受される状態に移行する時である。
無通話の状態では無音パターン等の所定のパターンが入力され、通常はレベルが変化しない。
【0021】
それに対して、通話状態ではたとえ無音の場合でも背景音等により何らかのレベル変化を伴う信号が入力される。
図13の入力パターン検出回路111が動作停止の間に入力信号を監視し、無通話状態の所定のパターンからレベル変化を伴う信号が入力された時点を検出し、それを契機としてエコーキャンセラをリセットし、判断回路108が判断動作を開始するようにすることができる。
【0022】
上記の第1の問題は、上記の従来技術では、収束時間後でないと、エコーキャンセラを停止させることができないので、エコーキャンセラ停止までの間は収束過程における不安定さから起こる通話品質劣化が発生するという問題である。
【0023】
【発明が解決しょうとする課題】
したがって、本発明は上記問題点に鑑みて、従属接続での2段目以降のエコーキャンセラに対してエコーキャンセラ停止までの間に収束過程の不安定さに起因して起こる品質劣化防止を可能にし、元来エコーが発生しないエコーキャンセラ不要端末が接続されたエコーキャンセラに対して動作を保証するエコーキャンセラ制御システム及び方法を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記問題点を解決するために、高速、大容量伝送を行うネットワークに接続される電話網に生じるエコーの消去を行うためのエコーキャンセラ制御システムにおいて、入力エコー量を測定し、測定された入力エコー量から入力エコー増減量を計算するエコー測定部と、前記エコー測定部により測定された入力エコー量、計算された入力エコー増減量に基づいてエコーの消去の動作、動作停止を行う動作・動作停止部とを備えることを特徴とするエコーキャンセラ制御システムを提供する。
【0025】
この手段により、従属接続での2段目以降のエコーキャンセラに対してエコーキャンセラ停止までの間に収束過程の不安定さに起因して起こる通話品質劣化防止を可能にし、元来エコーが発生しないエコーキャンセラ不要端末が接続されたエコーキャンセラに対して動作を保証する。
好ましくは、前記エコー測定部には、ダブルトーク検出回路が設けられ、前記ダブルトーク検出回路はネットワーク側からの信号と電話網側からの信号とが同時に入力するダブルトークを検出し、ダブルトーク検出時には前記入力エコー量の測定、前記入力エコー増減量の計算を停止し、前記動作・動作停止部にエコーの消去の動作停止を行わせる。
【0026】
この手段により、ダブルトークの発生時には、正しくエコー量を測定できないので、入力エコー量の測定、入力エコー増減量の計算が行われないようにし、さらに、エコーの消去の動作停止を可能にした。
好ましくは、前記エコー測定部には、タイマが設けられ、前記タイマは、エコーが減衰する収束時間よりも短い周期のタイミングを発生し、前記入力エコー量の測定、前記入力エコー増減量の計算に用いさせる。
【0027】
この手段により、異なる形態の電話網に応じてエコーキャンセラの動作停止、復旧を速やかに行うことが可能になる。
好ましくは、前記動作・動作停止部は、計算された前記入力エコー増減量が第1の所定値以上の入力エコー減衰量である場合にはエコー消去の動作停止を行い、計算された前記入力エコー増減量が第1の所定値以上の入力エコー増加量である場合にはエコー消去の動作を行う。
【0028】
さらに、好ましくは、前記動作・動作停止部は、計算された前記入力エコー増減量が第1の所定値未満であり、かつ、測定された前記入力エコー量が第2所定値未満である場合にはエコー消去の動作停止を行い、計算された前記入力エコー増減量が第1の所定値未満であり、かつ、測定された前記入力エコー量が第2所定値以上である場合にはエコー消去の動作を行う。
これらの手段により、エコーキャンセラが1段目か、又は従属接続における2段目かの認識、判別が可能になるので、エコーの消去の動作停止が可能になる。
【0029】
さらに、エコーキャンセラに対する1段目がエコー発生無しか否かの認識、判別が可能になるので、エコーの消去の動作が可能になる。
また、接続先にエコーキャンセラがあるか否かによらず、自由に装置設計が可能になり、製品の共通化が容易となり、コストダウンが可能になる。
好ましくは、前記高速、大容量伝送網はATM網であり、前記電話網にはエコーキャンセルを持たない電話網、エコーキャンセルを持つ電話網、エコーを発生しないディジタル電話網が含まれる。
【0030】
この手段により、高速、大容量伝送網としてATM網に適用可能になる。
さらに、本発明は、高速、大容量伝送網に接続される電話網に生じるエコーの消去を行うためのエコーキャンセラ制御方法において、入力エコー量を測定し、測定された入力エコー量から入力エコー増減量を計算する工程と、測定された入力エコー量、計算された入力エコー増減量に基づいてエコーの消去の動作、動作停止を行う工程とを備えることを特徴とするエコーキャンセラ制御方法を提供する。
【0031】
この手段により、上記発明と同様に、従属接続での2段目以降のエコーキャンセラに対してエコーキャンセラ停止までの間に収束過程の不安定さに起因して起こる通話品質劣化防止を可能にし、元来エコーが発生しないエコーキャンセラ不要端末が接続されたエコーキャンセラに対して動作を保証する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るエコーキャンセラ制御システムの概略構成を示すブロック図である。
本図に示すように、エコーキャンセラ301にはRin端子313、Rout端子314、Sin端子315、Sout端子316が設けられる。
【0033】
Rout端子314は2線4線変換回路(H:ハイブリット回路)304に受信信号を出力し、Sin端子315は2線4線変換回路(H)304から送信信号である近端側信号303を入力する。
近端側信号303には、2線4線変換回路(H)304のインピーダンス不整合により発生する遠端側信号302の一部の回り込みが送信信号に重畳される。
【0034】
Rout端子314は網側から受信信号である遠端側信号302を入力し、Sout端子316は網側に受信信号のエコーを消去した送信信号を出力する。
エコーキャンセラ301はエコー測定部320、動作・動作停止部330を有する。
エコーキャンセラ301の動作・動作停止部330には疑似エコー生成回路305が設けられ、疑似エコー生成回路305は遠端側信号302を基に疑似エコーを生成する。
【0035】
疑似エコー生成回路305にはエコー消去回路310が接続され、エコー消去回路310は、近端側信号303から疑似エコー生成回路305により生成された疑似エコーを差し引くことによりエコーを消去する。
なお、疑似エコー生成回路305は、エコー消去回路310の出力に接続され、残留エコーを求め、これをフィードバックとして使用する。
【0036】
エコー消去回路310の前後に通過/迂回回路311、312が設けられ、通過/迂回回路311、312は、近端側信号303がエコー消去回路310を通過し又は迂回することを可能にする。
さらに、エコーキャンセラ301のエコー測定部320にはエコー測定回路308が設けられ、エコー測定回路308は遠端側信号302と近端側信号303を入力し、近端側信号303の入力エコー量を測定し、入力エコー増減量の計算を行う。
【0037】
エコー測定回路308にはタイマー306が接続され、タイマー306はエコー消去の収束時間より極めて短い周期を生成し、所定周期間隔でエコー測定回路308に入力エコー量の測定、入力エコー増減量の計算を行わせる。このように極めて短い周期の生成は、極めて短いタイミングで入力エコー量の測定、入力エコー増減量の計算を可能にし、異なる形態の電話網に応じてエコーキャンセラの動作、動作停止の切替えを速やかに行うことが可能になる。
【0038】
さらに、エコー測定回路308にはダブルトーク検出回路307が接続され、ダブルトーク検出回路307は遠端側信号302、近端側信号303を入力し、ダブルトークの検出を行い、ダブルトーク検出情報をエコー測定回路308に出力する。
エコー測定回路308、タイマー306には動作・動作停止部330の切替判断回路309が接続され、切替判断回路309は、エコー測定回路308、タイマー306の出力に基づき、疑似エコー生成回路305、通過/迂回回路311、312の制御を行う。
【0039】
すなわち、切替判断回路309は、入力エコー減衰量が所定値以上になり、又は入力エコー量が収束を判定するための所定値未満となった場合に、疑似エコー生成回路305を制御して疑似エコーの生成の停止を可能にし、かつ通過/迂回回路311、312を制御して近端側信号303のエコー消去回路310への迂回を可能にする。
【0040】
さらに、切替判断回路309は、入力エコー増加量が所定値以上になり、又は入力エコー量が収束を判定するための所定値以上となった場合、疑似エコー生成回路305を制御して疑似エコーの生成停止の復旧を可能にし、かつ通過/迂回回路311、312を制御して近端側信号303のエコー消去回路310への通過を可能にする。
【0041】
図2は図1におけるダブルトーク検出回路307を説明する図である。本図に示すように、網側からRin端子313に遠端側信号302が入力し、2線4線変換回路(H)304からSin端子303に近端側信号303が入力する。
ダブルトーク検出回路307に遠端側信号302、近端側信号303が同時に入力すると、ダブルトークの検出が行われる。ダブルトークの発生時には、正しくエコー量を測定できないので、ダブルトーク検出回路307は、ダブルトーク検出の情報をエコー測定回路306に出力し、ダブルトークを検出している時にエコー測定回路308に入力エコー量の測定、入力エコー増減量の計算が行われないようにする。
【0042】
また、ダブルトーク検出時には、切替判断回路309は、エコー消去回路310に対して通過/迂回回路311、312の迂回動作を行う。
図3はエコー測定回路308による入力エコー量の測定、入力エコー増減量の計算を説明する図である。本図に示すように、エコー測定回路308では、横軸には時間(t)、縦軸にはエコー量(E)を取り、タイマー306からエコー消去の収束時間より極めて短い周期のタイミング…tn、tn+1、tn+2、…が入力される。
【0043】
さらに、エコー測定回路308ではRin端子313からの遠端側信号302、Sin端子315から近端側信号303を入力し、上記タイミング…tn、tn+1、tn+2、…を用いて入力エコー量…、En、En+1、En+2、…が測定される。
さらに、エコー測定回路308では、これらの測定された入力エコー量…、En、En+1、En+2、…を用いて、入力エコー増減量Δ…、ΔEn、ΔEn+1、…が、下記式のように、求められる。
ΔEn=ΔEn+1−ΔEn
【0044】
図4は切替判断回路309の切替判断を説明する図である。先ず、切替判断回路309では入力エコー増減量に基づいて、停止復旧/通過、停止/迂回の切替制御信号を、上記タイミング…tn、tn+1、tn+2、…を用いて、形成する。
すなわち、エコー測定回路308から入力した入力エコー増減量…、ΔEn、ΔEn+1、ΔEn+2、…が、±ΔE0で区分され、区分された範囲に依存した切替制御信号が出力される。
【0045】
すなわち、+ΔE0を越える範囲では、切替判断回路309から動作/通過の切替制御信号が出力される。
−ΔE0を下回る範囲では、切替判断回路309から動作停止/迂回の切替制御信号が出力される。
±ΔE0の間の範囲では、本図(b)に示すように、エコー測定回路308から入力した入力エコー量…、En、En+1、En+2、…がΔE0で区分され、E0を越える範囲では、切替判断回路309から動作/通過の切替制御信号が出力される。
【0046】
入力エコー量が0とE0の間の範囲では、切替判断回路309から動作停止/迂回の切替制御信号が出力される。
図5は本発明に係るエコーキャンセラ301をATM網のノードとして使用する例を説明する。本図に示すように、高速、大容量伝送を行うATM網420の1つのノード410にエコーキャンセラ301が設けられる。
ノード410には複数の電話網401〜403、…、404〜406、…、407〜409、…が接続される。
【0047】
複数の電話網401〜403にはそれぞれ電話機401A〜403A、2線4線変換回路(H)401B〜403Bが設けられ、エコーキャンセラを備えていないとする。
複数の電話網404〜406はPBX(構内交換機)であり、これにはそれぞれ電話機404A〜404A、2線4線変換回路(H)404B〜406B、エコーキャンセラ404C〜406Cが設けられている。
【0048】
複数の電話網407〜409は、ピンポン伝送方式を採用するISDN(Integrated Service Digital Network)のディジタルPBX(構内交換機)網であり、又は4線式ディジタル内線方式のディジタルPBX(構内交換機)網であり、これにはそれぞれディジタル多機能電話機407A〜409Aが設けられる。
【0049】
図6は、図5のエコーキャンセラ301に複数の電話網404〜406を接続することにより、エコーキャンセラを2段に従属接続し、通話路を切り替えた場合に、Sin端子315の経過時間に対するエコー量を示す図である。
本図に示すように、電話網404〜406の順番でエコーキャンセラ301への通話路を切り替えた場合、それぞれの1段目のエコーキャンセラのSin端子では未だエコーが消去されていないためエコー量が一定であるが、2段目の本発明に係るエコーキャンセラ301のSin端子315では通話路切替直後エコーキャンセラされているためエコー量が減少している。
【0050】
このため、エコーキャンセラ301のSin端子315でのエコー量の差分を利用し、エコーキャンセラ301自身が1段目か又は2段目かの認識、判断が可能になる。
このような場合、本発明のエコーキャンセラ301では、入力エコー量の減衰量に基づいて、切替判断回路309により、通過/迂回回路311、312が制御され、近端側信号303がエコー消去回路310を迂回することになる。
【0051】
このようにして、従属接続では、2段目に当たるエコーキャンセラ301では、入力エコー量の減衰量に基づいて、1段目にエコーキャンセラの存在を認識し、1段目のエコーキャンセラにエコーの消去を委ねるため、エコーの収束前に2段目のエコーキャンセラ301自身の動作を停止する。これにより、従来のように、収束後の停止までの間に生じる収束過程の不安定さに起因して起こる通話品質劣化を防止することが可能になる。
【0052】
図7は、図5のエコーキャンセラ301に複数の電話網401〜403又は複数の電話網407〜409を接続した場合に、Sin端子315の経過時間に対するエコー量を示す図である。
本図(a)に示すように、電話網401〜403の1つに本発明に係るエコーキャンセラ301を接続した場合にはエコーキャンセラ301のSin端子305では未だエコーが消去されていないためエコー量が一定である。
【0053】
このような場合、本発明のエコーキャンセラ301では、入力エコー増減量の変化が小さく、入力エコー量が一定であるが、入力エコー量がE0よりも大きいので、入力エコー量に基づいて、切替判断回路309により、通過/迂回回路311、312が制御され、近端側信号303がエコー消去回路310を通過することになる。
このようにして、エコーキャンセラを持たない複数の電話網401〜403を認識して、複数の電話網401〜403に対してエコーキャンセラ301を動作させ、エコーを消去することが可能である。
【0054】
本図(b)に示すように、電話網407〜409の1つに本発明に係るエコーキャンセラ301を接続した場合には電話網407〜409にはエコーが発生しないので、エコーキャンセラ301のSin端子305ではエコー量が少ない一定値を示す。
すなわち、2線4線変換回路(H)などのエコー発生源がエコーキャンセラ301から見えない(接続されていない)場合は時間経過によらずエコーキャンセラ301のSin端315でのエコー量は、少ない一定値を示す。
【0055】
この特性を利用してエコー発生源がエコーキャンセラ301から見えないことが認識、判別可能になる。
このような場合、本発明のエコーキャンセラ301では、入力エコー増減量の変化が小さく、入力エコー量も小さいので、切替判断回路309により、通過/迂回回路311、312が制御され、近端側信号303がエコー消去回路310を迂回することになる。
【0056】
このようにして、エコーキャンセラを生じない複数の電話網407〜409を認識し、複数の電話網407〜409対して、エコーキャンセラ301の動作は停止する。
これにより、従来のように、エコーを生じない複数の電話網407〜409に対して、エコーキャンセラ301を動作させることによる通話品質の劣化を防止することが可能になる。
以上の説明により、接続先にエコーキャンセラがあるか否かによらず、自由に装置設計が可能になり、製品の共通化が容易となり、コストダウンが可能になる。
【0057】
図8は図5のエコーキャンセラ301に通話路切替により異なる電話網を接続した場合に、Sin端子315の経過時間に対するエコー量を示す図である。
本図(a)に示すように、エコーを生じない電話網407〜409がエコーキャンセラ301に接続されている状態から、エコーキャンセラを持たない電話網401〜403に通路の接続が切り替わる。
このような場合、本発明のエコーキャンセラ301では、通路の接続の切り替わり時点で、入力エコー量Eの入力エコー増加量ΔEの変化が大きくなる(>+ΔE0)ので、切替判断回路309により、通過/迂回回路311、312が迂回制御から通過制御に切り替わる。
【0058】
本図(b)に示すように、エコーキャンセラを持たない電話網401〜403がエコーキャンセラ301に接続されている状態から、エコーを生じない電話網407〜409に通路の接続が切り替わる。
このような場合、本発明のエコーキャンセラ301では、通路の接続の切り替わり時点で、入力エコー量Eの入力エコー減衰量ΔEの変化が大きくなる(<−ΔE0)ので、切替判断回路309により、通過/迂回回路311、312が通過制御から迂回制御に切り替わる。
【0059】
図9は図1におけるエコーキャンセラ制御システムの一連動作を説明するフローチャートを示す図である。
ステップS101において、タイマー306で生成されるエコー消去の収束時間より極めて短い周期がトリガとなり、ステップS101からステップS110までの本フローチャートが実行され、先ず、ダブルトーク検出回路307によるダブルトークの検出が行われる。ダブルトークの検出中には処理を終了する。
【0060】
ステップS102において、ダブルトークの検出が行われない場合には、エコー測定回路308により入力エコー量の測定が行われる。
ステップS103において、前回の入力エコー量の測定値を用いて、入力エコー増減量を計算して求める。
ステップS104において、切替判断回路309により入力エコー増減量について所定値以上の入力エコー減衰量があるか否かが判断される。所定値以上の入力エコー減衰量がない場合にはステップS107に進む。
【0061】
ステップ105、ステップS106において、所定値以上の入力エコー減衰量がある場合には、切替判断回路309により擬似エコー生成回路305の動作停止、エコー消去回路310の迂回動作を行い、処理を終了して待機する。
ステップS107において、切替判断回路309により入力エコー増減量について所定値以上の入力エコー増加量がない場合にはステップS110に進む。
【0062】
ステップS108、ステップS109において、所定値以上の入力エコー増加量がある場合には、切替判断回路309により擬似エコー生成回路305の動作復旧、エコー消去回路310の通過動作を行い、処理を待機する。
ステップS110において、入力エコー量の測定値を用いて収束しているか否かを判断する。入力エコー量の測定値が所定値以上である場合には収束していないと判断し、ステップS108に進む。
【0063】
さらに、入力エコー量の測定値が所定値未満である場合には収束していると判断し、ステップS105に進む。
以上により、エコーキャンセラ301は、Sin端315の入力エコー量、入力エコー増減量をエコー測定回路308で測定し、計算することにより、エコーキャンセラ301が1段目か、又は従属接続における2段目かの認識、判別が可能になる。
【0064】
さらに、エコーキャンセラ301に対する1段目がエコー発生無しか否かの認識、判別が可能になる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、入力エコー量を測定し、測定された入力エコー量から入力エコー増減量を計算し、測定された入力エコー量、計算された入力エコー増減量に基づいてエコーの消去の動作、動作停止を行うようにしたので、元来エコーが発生しないエコーキャンセラ不要端末が接続されたエコーキャンセラに対して動作を保証し、従属接続での2段目以降のエコーキャンセラに対してエコーキャンセラ停止までの間に収束過程の不安定さに起因して起こる通話品質劣化防止を可能にする。
【0066】
すなわち、入力エコー量の増減量によりエコーキャンセラの有無が判断でき、その結果をエコーキャンセラの動作に反映できるので、エコーキャンセラの動作、動作停止の切替えが早くなることにより、学習不安定領域が短くなり、通話品質が向上する。
エコー量、その増減量を測定、計算し、所定値と比較することで、2線4線変換回路(H)の有無、エコーキャンセラの有無が判定でき、その結果をエコーキャンセラの動作に反映させるので、接続先にエコーキャンセラがあるか否かによらず、自由に装置設計が可能になり、製品の共通化が容易となり、コストダウンが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエコーキャンセラ制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1におけるダブルトーク検出回路307を説明する図である。
【図3】エコー測定回路308による入力エコー量の測定、入力エコー増減量の計算を説明する図である。
【図4】切替判断回路309の切替判断を説明する図である。
【図5】本発明に係るエコーキャンセラ301をATM網のノードとして使用する例を説明する。
【図6】図5のエコーキャンセラ301に複数の電話網404〜406を接続することにより、エコーキャンセラを2段に従属接続し、通話路を切り替えた場合に、Sin端子315の経過時間に対するエコー量を示す図である。
【図7】図5のエコーキャンセラ301に複数の電話網401〜403又は複数の電話網407〜409を接続した場合に、Sin端子315の経過時間に対するエコー量を示す図である。
【図8】図5のエコーキャンセラ301に通話路切替により異なる電話網を接続した場合に、Sin端子315の経過時間に対するエコー量を示す図である。
【図9】図1におけるエコーキャンセラ制御システムの一連動作を説明するフローチャートを示す図である。
【図10】エコーキャンセラの従属接続に関するエコーキャンセラ停止を説明する図である。
【図11】ディジタル多機能電話機の2線式ディジタル内線方式(ピンポン伝送方式)に関するエコーキャンセラ停止を説明する図である。
【図12】ディジタル多機能電話機の4線式ディジタル内線方式に関するエコーキャンセラ停止を説明する図である。
【図13】従来のエコーキャンセラの構成を説明する図である。
【図14】1段目、2段目のエコーキャンセラSout端子での経過時間に対するエコー量を表した図である。
【符号の説明】
301…エコーキャンセラ
302…遠端側信号
303…近端側信号
304…2線4線変換回路(H)
305…疑似エコー生成回路
306…タイマー
307…ダブルトーク検出回路307
308…エコー測定回路
309…切替判断回路
310…エコー消去回路
311、312…通過/迂回回路
313…Rin端子
314…Rout端子
315…Sin端子
316…Sout端子
320…エコー測定部
330…動作・動作停止部
401〜409…電話網
401A〜409A…電話機
401B〜406B…2線4線変換回路(H)
404C〜406C…エコーキャンセラ
410…ノード
420…ATM網
Claims (7)
- 高速、大容量伝送網に接続される電話網に含まれるエコーの消去を行うためのエコーキャンセラ制御システムにおいて、
入力エコー量を測定し、測定された入力エコー量から入力エコー増減量を計算するエコー測定部と、
前記エコー測定部により測定された入力エコー量、計算された入力エコー増減量に基づいてエコーの消去の動作、動作停止を行う動作・動作停止部とを備えることを特徴とするエコーキャンセラ制御システム。 - 前記エコー測定部には、ダブルトーク検出回路が設けられ、前記ダブルトーク検出回路は高速、大容量伝送網側からの信号と電話網側からの信号とが同時に入力するダブルトークを検出し、ダブルトーク検出時には前記入力エコー量の測定、前記入力エコー増減量の計算を停止し、前記動作・動作停止部にエコーの消去の動作停止を行わせることを特徴とする、請求項1に記載のエコーキャンセラ制御システム。
- 前記エコー測定部には、タイマが設けられ、前記タイマは、エコーが減衰する収束時間よりも短い周期のタイミングを発生し、前記入力エコー量の測定、前記入力エコー増減量の計算に用いさせることを特徴とする、請求項1に記載のエコーキャンセラ制御システム。
- 前記動作・動作停止部は、計算された前記入力エコー増減量が第1の所定値以上の入力エコー減衰量である場合にはエコー消去の動作停止を行い、計算された前記入力エコー増減量が第1の所定値以上の入力エコー増加量である場合にはエコー消去の動作を行うことを特徴とする、請求項1に記載のエコーキャンセラ制御システム。
- 前記動作・動作停止部は、計算された前記入力エコー増減量が第1の所定値未満であり、かつ、測定された前記入力エコー量が第2所定値未満である場合にはエコー消去の動作停止を行い、計算された前記入力エコー増減量が第1の所定値未満であり、かつ、測定された前記入力エコー量が第2所定値以上である場合にはエコー消去の動作を行うことを特徴とする、請求項1に記載のエコーキャンセラ制御システム。
- 前記高速、大容量伝送網はATM網であり、前記電話網にはエコーキャンセルを持たない電話網、エコーキャンセルを持つ電話網、エコーを発生しないディジタル電話網が含まれることを特徴とする、請求項1に記載のエコーキャンセラ制御システム。
- 高速、大容量伝送網に接続される電話網に含まれるエコーの消去を行うためのエコーキャンセラ制御方法において、
入力エコー量を測定し、測定された入力エコー量から入力エコー増減量を計算する工程と、
測定された入力エコー量、計算された入力エコー増減量に基づいてエコーの消去の動作、動作停止を行う工程とを備えることを特徴とするエコーキャンセラ制御方法。
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