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JP3597213B2 - 撥水被膜の形成方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自動車ガラスなどの透明基板の表面に撥水被膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリジメチルシロキサンやポリフルオロアルキル基を含有した溶液をガラス板の表面に塗布し、これを乾燥した後に焼成することで付着した水滴の接触角を大きくする撥水被膜とすることが従来から行われており、斯かる撥水被膜に関する先行技術として、特開平4−338137号公報、特開平4−359086号公報、特開平5−24885号公報或いは特開平5−24886号公報に開示されるものが知られている。
【0003】
特開平4−338137号公報にはシリコーン系撥水被膜に代るものとして、SiOを主成分とするセラミックスの非金属原子の一部をフルオロアルキル基で置換したものが開示され、、特開平4−359086号公報には金属アルコキシドを含むビヒクルに所定量のフルオロアルキルシラン或いはアルキルシランを混合したものが開示され、特開平5−24885号公報にはガラス表面と撥水被膜との間に透明金属皮膜を介在させたものが開示され、特開平5−24886号公報にはガラス表面にSiO膜を形成し、このSiO膜の表面に凹凸を形成し、その上に撥水被膜を形成することが開示されている。
【0004】
そして、上述した先行技術にあっては、撥水被膜形成用の塗布溶液をガラス表面に塗布した後に乾燥し、その後焼成することで撥水被膜としており、塗布方法としてはディッピング法、スプレー法、スピンコート法が開示されている。
【0005】
ディッピング法は撥水被膜形成用の塗布溶液中にガラス基板を浸漬して塗布する方法であり、この方法では多量の塗布溶液が必要になり、塗布溶液が汚れた場合には多量の塗布溶液を交換しなければならず、片面のみ撥水加工が必要でも両面に撥水被膜が形成されてしまい、これを避けるべく片面にマスクを被せた状態でディッピングしてもガラス板が湾曲しているとマスクにシワがより、シワの部分から塗布液が滲み込んでしまう。
【0006】
スプレー法は塗布ガンを用い雰霧状にしてガラス板に塗布する方法であり、この方法による場合には、膜厚分布が不均一になる不利がある。また、スピンコート法はガラス板上に塗布液を滴下するとともにガラス板を高速で回転させ、遠心力でガラス板表面に塗布液を均一に拡散せしめる方法であるが、自動車用ガラス等は大型で、高速で回転せしめることはできず、膜厚も不均一でしかも薄くできない。
【0007】
また上記のディッピング法、スプレー法及びスピンコート法の欠点を解消できる方法として、図2に示すように上下方向に保持したガラス基板1の上縁にノズル2を用いて塗布溶液3を流し出すフロー法がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
フロー法によると、使用する塗布液の量も比較的少なくて済み、且つ膜厚も均一にできるのであるが、図2にも示すようにガラス板1の非塗布面側の下縁に塗布液の廻り込み部4が生じる。そして、この廻り込み部4と非塗布部との境界部が目立つ不利がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明は、請求項1は、ガラス板などの透明基板を上下方向に保持し、この透明基板の一面の上縁にノズルを用いて撥水被膜となる塗布溶液を流し出し、次いで塗布溶液を乾燥せしめ、この後焼成することで撥水被膜を形成する方法において、前記透明基板の塗布溶液が塗布される面と反対側の面の下縁には塗布に先立って予め別の撥水被膜が形成され、前記透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜の幅は20mm以上60mm以下とすることを特徴とする。
撥水皮膜の幅が20mm未満であると、完全に廻り込みをカバーできず、60mmを超えて設けても無駄になるからである。また60mmを超えて設けるとこの部分は従来シール等を貼着していた部分であり、撥水被膜はシール等を貼着しにくくする不利もある。請求項1では撥水被膜の幅は20mm以上60mm以下としたので、透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜の境界部が目立つおそれもあるが、これにより目立つのを防止できる。
【0010】
請求項2は、ガラス板などの透明基板を上下方向に保持し、この透明基板の一面の上縁にノズルを用いて撥水被膜となる塗布溶液を流し出し、次いで塗布溶液を乾燥せしめ、この後焼成することで撥水被膜を形成する方法において、前記透明基板の塗布溶液が塗布される面と反対側の面の下縁には塗布に先立って予め別の撥水被膜が形成され、前記透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜は非塗布部との境界部においてその厚みが連続的に変化していることを特徴とする。
撥水皮膜は、非塗布部との境界部においてその厚みが連続的に変化しているので、撥水被膜と非塗布部との境界部が目立たなくすることができる。
【0011】
請求項3は、請求項1又は請求項2において、前記透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜の厚さは150Å以上300Å以下とすることを特徴とする。
撥水皮膜の厚さが150Å未満であると撥水機能が十分に発揮されず、300Åを超えると、干渉領域の厚みになり非塗布部との境界部が目立つ。
尚、膜厚の調整は塗布液の濃度を希釈することで行う。つまり、溶媒の量を増やすと形成される膜厚は薄くなる。
【0012】
請求項4は、請求項1に記載の撥水被膜の形成方法において、前記透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜は非塗布部との境界部においてその厚みが連続的に変化していることを特徴とする。
請求項1の作用、効果とともに、撥水被膜の厚みが連続的に変化するので、撥水被膜と非塗布部との境界部を目立たない。
【0013】
請求項5は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の撥水被膜の形成方法において、前記撥水被膜形成用の塗布溶液はテトラエトキシシラン及びフルオロアルキルシランを含むことを特徴とする。
本発明の撥水被膜形成用の塗布液は、S i を50%以上含むセラミックスの非金属原子の一部がフルオロアルキル基に置換されたものである。更にガラス基板としては、珪酸ガラス、珪酸アルカリガラス、鉛アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、バリウムガラス等の珪酸塩ガラス、B 及びS i を含有するほう珪酸ガラス、P を含有するリン酸塩ガラスなどから選択することができる。またガラス板の代りに透明樹脂板を用いることも可能である。
【0014】
【作用】
塗布液の廻り込みが生じる部分に予め別の撥水被膜を形成しておくことで、廻り込みがなくなる。
【0015】
【実施例】
本発明に係る撥水被膜の形成方法は塗布溶液の調製工程、廻り込み防止処理工程、塗布工程及び焼成工程に大別される。以下に各工程毎に説明する。
【0016】
(調製工程)
以下の(a)〜(c)を20分間攪拌する。
Figure 0003597213
上記の混合溶液を密封容器に入れ、25℃で24時間放置する。この後、この溶液をエタノールによって5倍に希釈して塗布溶液とする。
【0017】
(廻り込み防止処理工程)
上記によって調製した塗布溶液を更にエタノールで4倍に希釈(5%溶液)し、この希釈溶液を図1に示すようにガラス板1の非塗布面の下縁に30mm幅で塗布した。塗布方法は布を用いた手塗りとした。
この後、Ce(セリコ)で洗浄した後、純水でリンスし、エアーナイフにて乾燥させて撥水被膜5を形成した。
【0018】
(塗布工程)
上記で得られた塗布溶液をフロー法にてガラス板の片面に塗布する。フロー法はガラス板1を上下方向に保持した状態で、ガラス板1の上縁部にノズル2を用いて塗布溶液3を200cc/minの供給量で流し出すことで行う。
塗布液を塗布したら、乾燥室の条件を温度21℃、湿度18%、風速分布0.3m/min〜0.5m/minとして乾燥せしめた。これによりガラス板表面にウェット膜が形成される。
【0019】
(焼成工程)
上記のウェット膜を形成したガラス板を大気中で120℃、20分間保持して水及びエタノールを蒸発させ、更に250℃に昇温し、1時間保持することで撥水被膜を形成した。
【0020】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、フロー法にて撥水被膜形成用の塗布液をガラス板等の透明基板に塗布するにあたり、前記透明基板の塗布溶液が塗布される面と反対側の面の下縁に塗布に先立って予め別の撥水被膜を形成しておき、透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜の幅を20mm以上60mm以下とし、或いは透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜は非塗布部との境界部においてその厚みが連続的に変化させるようにしたので、廻り込みがなくなり、廻り込んだ塗布液の境界部が目立つことがなくなる。
【0021】
また、透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜の境界部が目立つおそれもあるが、これは予め形成する撥水被膜の厚さを150Å以上300Å以下とするか、幅を20mm〜60mmとするか、境界部における撥水被膜の厚さを連続的に変化させることで防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を説明する図
【図2】従来方法を説明する図
【符号の説明】
1…ガラス板、2…ノズル、3…塗布液、4…廻り込み部、5…予め形成する撥水被膜。

Claims (5)

  1. ガラス板などの透明基板を上下方向に保持し、この透明基板の一面の上縁にノズルを用いて撥水被膜となる塗布溶液を流し出し、次いで塗布溶液を乾燥せしめ、この後焼成することで撥水被膜を形成する方法において
    記透明基板の塗布溶液が塗布される面と反対側の面の下縁には塗布に先立って予め別の撥水被膜が形成され、
    前記透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜の幅は20mm以上60mm以下とする、
    とを特徴とする撥水被膜の形成方法。
  2. ガラス板などの透明基板を上下方向に保持し、この透明基板の一面の上縁にノズルを用いて撥水被膜となる塗布溶液を流し出し、次いで塗布溶液を乾燥せしめ、この後焼成することで撥水被膜を形成する方法において、
    前記透明基板の塗布溶液が塗布される面と反対側の面の下縁には塗布に先立って予め別の撥水被膜が形成され、
    前記透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜は非塗布部との境界部においてその厚みが連続的に変化している、
    とを特徴とする撥水被膜の形成方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の撥水被膜の形成方法において、前記透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜の厚さは150Å以上300Å以下とすることを特徴とする撥水被膜の形成方法。
  4. 請求項1に記載の撥水被膜の形成方法において、前記透明基板の下縁に予め形成する撥水被膜は非塗布部との境界部においてその厚みが連続的に変化していることを特徴とする撥水被膜の形成方法。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の撥水被膜の形成方法において、前記撥水被膜形成用の塗布溶液はテトラエトキシシラン及びフルオロアルキルシランを含むことを特徴とする撥水被膜の形成方法。
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