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JP3598433B2 - 抗菌性齲蝕検知液 - Google Patents
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抗菌性齲蝕検知液 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は歯牙の齲蝕の治療に於いて、齲蝕原因菌に感染した歯質を除去する際に、感染部分を殺菌しつつそこを選択的に染色することにより、当該部位の除去に伴って撒き散らされる高濃度汚染組織細片による口腔内外の汚染を軽減しつつ、感染歯質の除去を容易にする事により、感染歯質の取り残しや感染歯質による再汚染を防止し、齲蝕治療をより安全に行いえる抗菌性齲蝕検知液を提供せんとするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯牙の齲蝕の治療に於いて、齲蝕原因菌に感染した歯質を除去する際に、感染部分を選択的に染色することにより識別性を改善し、感染歯質の除去を可及的に完全にすることを目的として、特開昭51−38428号にて塩基性フクシンとモノまたは多価アルコールからなる「齲蝕検知液」が提案され、効果を上げてきた。しかし、齲蝕検知液が開発され、商品化され広く使用された後にも、齲蝕治療後の歯髄刺激の報告は跡を絶たず、歯科界の大きな問題であった。
一方、齲蝕の予防を目的として、歯の表面に付着し、齲蝕の原因となる歯垢等を染色するための「歯垢または歯石検知用組成物」が特開昭51−38427号にて提案されて、毎日のブラッシングを十分に行うための指標を与え、歯垢の危険度を判定するための「齲蝕活性診断用組成物」が特開昭56−96700号にて提案されていた。前者は各種染料を多価アルコール及び/又は水に溶解した組成物であり、後者はpH指示薬を水溶性ポリマーの水溶液に溶解し、さらにクロラムフェニコール及びアジ化ナトリウムから選ばれる抗生物質または防腐剤を配合した組成物であった。
【0003】
本発明において問題とする歯髄刺激の原因に関しては、充填材成分の歯髄への浸透が最も可能性の高いものとして鋭意研究されてきたが、充填材成分そのものを歯髄に近接して埋入しても大した刺激は起こらず、最近では口腔内細菌の二次的な侵入と、齲蝕原因菌感染部の除去不良等の細菌原因説が有力視されている。近年、口腔内細菌の二次的な侵入を防ぐため、歯質と充填修復材との間の接着性を高めて修復物辺縁のシールを良くする方向に研究が進み、最近の歯質に対する接着技術は非常に高度なレベルに到達している。そのため歯髄刺激の症例は減少したものの、まだ治療後の歯髄刺激の報告は皆無とは言えない。
この歯髄刺激の原因として最後に考えられているのが齲蝕感染歯質の取り残しと、一旦除去された感染歯質の患部への再付着である。本発明者はかかる状況に鑑み、齲蝕原因菌感染部の取り残し及び/又は一旦除去された感染歯質の再付着という可能性を根絶し得る材料について、鋭意研究の結果以下の知見を得た。
【0004】
▲1▼齲蝕検知液は齲蝕感染部が厚い場合には、一回の染色で完全に最奥部まで染み込む事はできない。このため、齲蝕検知液を何度も使って患部の所在を確認しながら窩洞を形成していくが、それでも最後の確認としての染色を怠った場合には、齲蝕原因菌の除去しきれない可能性がある。
▲2▼感染歯質除去がほぼ終了した時点では、歯質は染色されているのかいないのか判別しにくい場合があること、僅かに染色されている部分を完璧に除去しようとすると切削器具が歯髄腔にまで突き抜けてしまうため、やや染色されていると思っても、除去を途中で止めてしまう場合もある。
▲3▼感染歯質を除去した歯質表面には、スメヤー層と称する削りカスの層が必ず存在し、その中への細菌の混入も疑われている。
▲4▼切削された歯質の表面には象牙細管と称する細管があり、その中にスメヤー層が圧入されたものがスメヤープラグと呼ばれているが、この中にう蝕原因菌により汚染された歯質が圧入されている可能性がある。最近の歯科用接着剤ではスメヤープラグが象牙細管入り口に残っており、スメヤープラグが象牙細管入り口を安全に封鎖していると宣伝されているが、このスメヤープラグが齲蝕原因菌により高濃度に感染された歯質である可能性がある。
▲5▼感染部除去の際に患歯周囲に散布される高濃度汚染歯質が、唾液等の滲出液に混入して患部を再汚染する可能性がある。
【0005】
ところで、感染歯質の取り残しは避けるべきではあるが、万が一感染歯質を取り残しても、あるいは感染歯質が再付着したとしても、その内に残存する細菌を不活性にすれば新たな齲蝕の発生は起きないはずである。そのためには齲蝕原因菌に対して有効な抗菌剤溶液で窩洞内を処理すれば目的を達し得るはずである。このような試みが学会や歯科雑誌でよく紹介されているが、抗菌剤溶液で齲蝕窩洞を処理しても、抗菌剤溶液が感染歯質の全領域に浸透するか否かは感染歯質の厚み等に依存し、感染歯質の厚みが厚い場合には効果が薄い場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題を解決するためには、以下の事項を満足することが必要であると考えるに至った。
▲1▼齲蝕検知液を用いた感染歯質の染色と感染歯質の殺菌とを同時に行うと、それに続く歯質の除去によって発生する削りカスは殺菌済みのものであるため、それの再付着による歯髄刺激の危険性や、近隣の歯や歯茎、器具等を汚染し、新たなう蝕を誘発する危険性は大幅に少なくなる。
▲2▼齲蝕検知のための染色と同時に殺菌を行いつつ感染歯質を除去する作業を繰り返すと、感染歯質の厚みを減らしながら同時に殺菌も行う事になり、病巣深部の細菌に対しても効率よく殺菌を行う事ができる。特に、最後の確認の染色を終えた後は窩洞内の感染歯質の残存はなく、万一再付着した菌がいたとしても、それは完全に殺菌されており、確実な治療が可能になる。本発明者はこのような考え方に基づいて抗菌性齲蝕検知液を発明すべく以下のような検討を加えた。
【0007】
本発明で使用される抗菌剤は、従来の歯科医療において消毒剤、殺菌剤等として用いられてきた公知のものが使用できるが、▲1▼齲蝕原因菌といわれているmutans streptococciやLactobacilli、齲蝕原性をもち得る菌といわれているstreptococcus mitis、actinomyces viscosus、さらに歯髄疾患の原因菌とされている偏性嫌気性菌等に対して、例えば1000μg/mlの濃度の溶液を10秒間作用させた場合に、99%以上の細菌を殺菌し得るものが好ましい。
▲2▼該抗菌剤は水及び/または水混和性溶媒に可溶性であること。
▲3▼該抗菌剤は本発明の組成物中に保存された場合に、経時的に分解しない安定性を有し、さらに本発明の他の必須成分である色素を退色させないことが必要である。
【0008】
さらにまた、▲4▼齲蝕患部除去後の治療の段階においても、その抗菌性が継続し残存する物が本発明の齲蝕検知液の用途には非常に好ましい。すなわち、分子内に抗菌性基と重合性基とを合わせ持つ重合性抗菌剤は、それが歯質表面に残存したとしても、それに続く歯面への歯科用接着剤による処理を阻害せず、なおかつ接着操作の間に接着剤と共重合して接着層を強化するために使われる。すなわち、一般的な抗菌剤が歯質表面に残存したとしても、それは接着剤の重合には邪魔をしないとしても、積極的に良いことをしないのに対して、本発明の重合性抗菌剤は、接着の耐久性等を考えると格段に優れた効果が期待できる。さらに、このような化合物には歯質表面を歯科用接着剤との馴染みがよい状態に改質する事も期待し得る。
【0009】
即ち本発明は、水及び/または水混和性溶媒と、齲蝕感染部を染色して該部位の識別性を向上させ得る色素と、抗菌剤を含有してなる抗菌性齲蝕検知液において、該抗菌剤が下記の一般式 II III 及び IV で表される分子内に(メタ)アクリロイル基またはスチレン基を有する第4級アンモニウム塩基を有する化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の重合性抗菌剤であることを特徴とする抗菌性齲蝕検知液である。
【0010】
【化5】
Figure 0003598433
【0011】
【化6】
Figure 0003598433
【0012】
【化7】
Figure 0003598433
【0013】
【化8】
Figure 0003598433
【0014】
本発明で使用される重合性抗菌剤は、例えば特願平4−274577号、特願平6−243781号に記載され、上記一般式 )、( II )、( III 及び IV に示されるような(メタ)アクリロイル基やスチレン基を有する第4級アンモニウム塩等や、(メタ)アクリロイルオキシ基とピリジニウム塩基を有する化合物が例示される。
【0015】
これらの中では、臭化メタクリロイルオキシドデシルピリジニウム、臭化メタクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウム、臭化メタクリロイルオキシオクタデシルピリジニウム、塩化メタクリロイルオキシドデシルピリジニウム、塩化メタクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウム、塩化メタクリロイルオキシオクタデシルピリジニウム、臭化N,N−ジメタクリロイルオキシエチルラウリルベンジルアンモニウム、塩化N,N−ジメタクリロイルオキシエチルラウリルベンジルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチル[4−N−オクタデシルピリジニルメチル]コハク酸エステル臭化物、メタクリロイルオキシエチル[4−N−オクタデシルピリジニルメチル]コハク酸エステル塩化物、
【0016】
メタクリロイルオキシエチル[4−N−ヘキサデシルピリジニルメチル]コハク酸エステル臭化物、メタクリロイルオキシエチル[4−N−ヘキサデシルピリジニルメチル]コハク酸エステル塩化物、メタクリロイルオキシエチル[4−N−ドデシルピリジニルメチル]コハク酸エステル臭化物、メタクリロイルオキシエチル[4−N−ドデシルピリジニルメチル]コハク酸エステル塩化物、臭化ヘキサデシル[4−3−(5−メタクリロイルオキシ)バレロイルオキシ)プロピル]ピリジニウム、塩化ヘキサデシル[4−(12−メタクリロイルアミノ)ドデカノイルオキシメチル]ピリジニウム等が好ましい。
【0017】
また、4−ビニルベンジルメチルドデシルアンモニウムクロライド、4−ビニルベンジルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、2−スチリルエチルメチルドデシルアンモニウムクロライド、2−スチリルエチルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライドなども使用できる。
【0018】
また、ある種の抗生物質や、アジ化ナトリウム、フェノール、クレゾール、過酸化水素、ヨードホルム、次亜塩素酸等の抗菌剤は、本発明の組成物成分中で容易に分解したり、本発明の必須成分である色素を分解あるいは変質させたり、抗菌剤が歯質表面に残留した場合に、それに積層したラジカル重合性組成物の重合を阻害する可能性が大きく、そのようなものは本発明の組成物には使用できない。
【0019】
また、本発明の抗菌性齲蝕検知液に使用する色素は、上記溶媒に溶解し、齲蝕検知液の浸透した部分を目視的に明示でき、さらに、これが浸透した部分を水洗しても水洗により除去されない物を選択する必要がある。また、色素の色は天然歯質の色とは明らかに異質で目立つ色が好ましく、赤色、青色、紫、黒その他の濃い色が好ましい。
【0020】
そのような物として、塩基性フクシン、エオシン、エリスロシン、酸性フクシン、サフラニン、ローズベンガル、ベーメル、フロキシンBK、アシッドレッド、ファストアシッドマゼンダ、フロキシンB、ファストグリーンFCF、ローダミンB、ゲンチアナ紫、銅クロロフィルソーダ、ラッカイン酸、コチニール、シソシンよりなる群から選ばれた一種又は二種以上の色素が例示される。溶剤中の色素の濃度は0.1〜2重量%、好ましくは0.1〜1重量%の範囲とする。これより低い場合には十分な着色が得られず、この範囲より高い濃度では第一脱灰層あるいは更に健全な部分にまで着色が及ぶことがあり、かえって識別が困難となる場合がある。
【0021】
本発明の組成物に使用する溶媒は、水及び/または水混和性溶媒である。該溶媒は色素や抗菌剤を溶かす必要がある。このような溶媒として水と任意の量で混和して均一溶液を形成し得る溶媒が好ましく、そのような水混和性溶媒としては炭素数10以下で極性基を有し、その粘度が20cps 以下の溶媒が望ましい。なかでも炭素数2〜10個を有する有機モノ、ジ又はトリヒドロキシ化合物は齲蝕部分への色素の浸透性を高め、齲蝕部分を鮮明に染色させる効果を有するので好ましい。
【0022】
これらの化合物としては、たとえば次のようなものがあげられる。エタノール、エチレングリコール、n−プロパノール、イソプロパノール、1,2ープロピレングリコール、1,3ープロピレングリコール、1,2ーブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、イソブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、
【0023】
ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリンなどが挙げられ、中でもプロピレングリコール、トリエチレングリコールが良好な結果を与える。また、モノ、ジ、トリヒドロキシ化合物以外の有機溶剤としてはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、ジメトキシエタン等を挙げることができる。
【0024】
フェノールは毒性が強くて用いることができず、有機アミンは染着力はあるが臭気あるいは為害作用の面から不適当であり、炭化水素は色素の溶解性がよくなく染着力も水を用いたときより更に劣る。これらの有機溶剤は前述のように水と混合しても用いられ、また、これらの有機溶剤2種以上を混合して用いることもできる。各溶剤の混合量比は溶剤の種類により適宜選ばれる。
【0025】
本発明の試薬の調製は極めて容易であり、所望量の色素と抗菌剤を有機溶剤、蒸留水またはこれらの混合溶液中に加え、室温または加熱下に撹拌溶解せしめるだけで目的を達成する。また別法としては、色素と抗菌剤をあらかじめ有機溶剤、蒸留水またはこれらの混合液中に所望量より多い量を溶解させておき、使用時にそれに有機溶剤、蒸留水等を加えて希釈し、所望の濃度にしてもよい。
【0026】
本発明の方法によって得られる抗菌性齲蝕検知液を患者の患歯の窩洞に適用するには、細長いノズルのついた容器にこの試薬を入れ、ノズルの先端よりこの試薬の少量を窩洞内に滴下し、1〜10秒後に窩洞内を水洗することにより行われる。この極めて簡単な操作によって、残存している第一脱灰層のみが鮮明に染色され、第二脱灰層および健全象牙質はほとんど染色されず、したがって齲蝕原因菌に感染した部分を的確に検知し、同時に感染部の細菌を殺菌あるいは静菌することができる。
【0027】
実施例により本発明をさらに説明する。
実施例1〜8、比較例1〜2
下表1に示す各種色素0.5重量部、抗菌剤0.5重量部および有機溶剤100重量部を室温下にて混合撹拌して、表1に示すように各種の検知試薬を調製した。これを用いて、抜去した齲蝕歯牙の切断面について染着識別性、抗菌性を調べた。染着識別性は試薬を切断面に塗布して約5秒後にその適用部分を水洗して観察し、もともと存在している色相差および硬度差にもとづき判別される齲蝕部分と健全象牙質部分が、より明瞭に染め分けられるかどうかを以下の基準で判定を行った。
【0028】
++ ;鮮明に染着
+ ;染着
+− ;わずかに染着
− ;ほとんど染着しない
【0029】
抗菌性は齲蝕羅患歯の齲蝕部分に調製した各試薬を塗布して10秒後に水洗して、染着した部分とさらに深い部分を、エアータービンに装着したカーバイドバーで切削した。その後切削物を無菌的に調製したBHI(ブレインハートインフュージョン)液体培地中に入れて10分間超音波洗浄を行った後、一夜培養して齲蝕原因細菌の発育を吸光度から換算し、以下の基準で判定を行った。
【0030】
++;染着部の細菌の発育阻止が認められ未染着部の細菌の発育は認められなかった。
+−; 〃 未染着部の細菌の発育は認められた。
−−;染着部の細菌の発育阻止が全く認められず未染着部の細菌の発育も認められた。
【0031】
【表1】
Figure 0003598433
【0032】
*:メタクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド
**:臭化メタクリロイルオキシエチル(4−N−ヘキサデシルピリジニルメチル)コハク酸エステル
***:4−ビニルベンジルドデシルアンモニウムクロライド
【0033】
【発明の効果】
本発明は、齲蝕部分の検知と同時に齲蝕部分に存在する歯髄疾患の原因菌を殺菌または静菌する効果を有する抗菌性齲蝕検知液を提供する。

Claims (1)

  1. 水及び/または水混和性溶媒と、齲蝕感染部を染色して該部位の識別性を向上させ得る色素と、抗菌剤を含有してなる抗菌性齲蝕検知液において、該抗菌剤が下記の一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)で表される分子内に(メタ)アクリロイル基またはスチレン基を有する第4級アンモニウム塩基を有する化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の重合性抗菌剤であることを特徴とする抗菌性齲蝕検知液。
    Figure 0003598433
    Figure 0003598433
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    Figure 0003598433
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