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JP3598766B2 - 自動車の車体前部構造 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体前部構造に関し、さらに詳しくは、自動車の車体前部に配設されるストラット式サスペンションのサスペンションフレーム構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体前部に配設されるサスペンションの型式がダブルウィッシュボン式である場合には、ステアリングギヤケースの取付部である車体のクロスメンバやサスペンションフレームに対してステアリングギヤケースをこれより高い位置に配置しても、適切なタイヤのトー角変化を得ることが可能である。例えば、図6に示すように、車体フレームに固着されたサスペンションフレーム30の上面に取付ブラケット31及び取付金具32を介してステアリングギヤケース(ピニオンケース)33を取付けることによりステアリングギヤケース33をサスペンションフレーム30より高い位置に配置した場合でも、適切なタイヤのトー角変化を得ることが可能である。
【0003】
これに対し、サスペンションの型式がストラット式である場合には、ステアリングギヤケースの配設高さ位置をなるべく低くして、ロアコントロールアームに対するタイロッドの長さを長くしなければ、適切なタイヤのトー角変化を得ることはできない。このため、ストラット式サスペンションを備えた自動車では、図7に示すようにサスペンションフレーム30の後面にステアリングギヤケース33を取付部材34を介して取付けると共に、このステアリングギヤケース33の下方部分をサスペンションフレーム30よりも下方に配置するようにしている。しかし、ステアリングギヤケース33を前輪よりも前方に配置するレイアウトの場合にステアリングギヤケース33を低い位置に配置すると、悪路を走行する際にステアリングギヤケース33が路面に接触する等の不具合を生じるおそれがあるため、従来ではステアリングギヤケース33を保護すべく図7に示すようにその下部箇所であってかつサスペンションフレーム30と車体フレームのクロスメンバ35との間にアンダーガード36を配設するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の如き従来の車体前部構造にあっては、ステアリングギヤケース33の保護のために別部材のアンダーカバー36を設ける必要があるため、部品点数並びに組付工数が増加すると共に、車体重量が重くなるという問題点がある。また、タイロッドをなるべく長くとるためにはステアリングピニオン37(図6及び図7参照)を車体内側(車体中央側)の箇所に寄せる必要があるが、この場合には、ステアリングコラムとの連結部のジョイント角が大きくなって操舵力の変動が大きくなり、操舵感が悪くなるという不具合がある。
【0005】
一方、ステアリングギヤケース33の保護のためにステアリングラック軸を敢えて上方へ移動配置してステアリングギヤケースを高い位置に配置することが考えられるが、この場合にはトー角変化を適切なものにするためにタイロッドの長さを長くする必要があり、これに応じて相対的にステアリングラック軸(図示せず)が短くなり、要求されるステアリングの切れ角が得られなくなるという問題が生じる。
【0006】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、アンダーカバーを配設することなくステアリングギヤケースを低い位置に配置しても悪路走行時等にステアリングギヤケースが路面に接触するのを防止できると共に、低コスト,軽量,コンパクトでしかも適切な(小さな)トー角変化並びに滑らかな操舵感を得られるようなステアリング系を備えた自動車の車体前部構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明では、サスペンションアーム及びステアリングギヤケースをサスペンションフレームに取付けると共に、前記ステアリングギヤケースの少なくとも一部分を前記サスペンションフレームの底面部より下方に配置するようにした自動車の車体前部構造において、前記サスペンションフレームの底面部の車体左右方向に沿った複数箇所に、下方側に向けて突出しかつ車体後方に向かうにつれて斜め下がりとなる形状の傾斜面を有する複数個の下方突出部を設け、前記底面部の最後端部分に位置する前記下方突出部の最下端を前記サスペンションフレームの最下端とし、前記下方突出部の最下端を前記ステアリングギヤケースの最下端よりも低い位置に配置すると共に、前記複数個の下方突出部のうちの少なくとも1つを、前記ステアリングギヤケースの一部であるステアリングピニオンケースよりも車体前方側の位置であってかつ前記ステアリングピニオンケースに対して車体前後方向に対向する位置に配置し、これにより、前記下方突出部に、前記ステアリングピニオンケース及びステアリングギヤケース取付箇所への飛び石等に対するアンダーガードとしての機能、並びに、前記ステアリングピニオンケース及びステアリングギヤケース取付箇所に路面が接触するのを防止するスキッドプレートとしての機能をもたせるようにしている。
また、本発明では、前記サスペンションフレームの下方突出部を、前記ステアリングギヤケースの一部であるステアリングピニオンケース、並びに、前記サスペンションフレームへの前記ステアリングギヤケースの取付箇所の前方側にそれぞれ対応して配置し、前記下方突出部の最下端を前記ステアリングピニオンケース及びステアリングギヤケース取付箇所の最下端よりも下方となるように配置している。
また、本発明では、前記下方突出部を前記サスペンションフレームの底面部に屈曲成形により一体成形している。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施態様について図1〜図5を参照して説明する。
【0009】
図1及び図2はストラット式フロントサスペンションを有する四輪自動車1の車体前部構造を示すものであって、これらの図において、2は車体フレームを構成するクロスメンバ、3はこのクロスメンバ2の前方箇所においてこれとほぼ平行に配設された状態で車体フレームに固着されたサスペンションフレーム、4はステアリングハンドル5の回動操作力を前輪6に伝達して前輪6の操舵を行なうステアリング機構である。
【0010】
上述のステアリング機構4は、図2に明示するように、ステアリングハンドル5に連結されたステアリングシャフト7と、このステアリングシャフト7にユニバーサルジョイント8aを介して連結された連結シャフト9と、この連結シャフト9にユニバーサルジョイント8bを介して連結されたステアリングピニオン10と、このステアリングピニオン10に噛合されたステアリングギヤケース11内のステアリングラック軸(図示せず)と、このステアリングラック軸(ステアリングギヤ)に連結されたタイロッド12と、前輪6に取付けられたナックル13とから構成されており、ステアリングハンドル5の回動操作力はこれらの各部材を順次介して前輪6に伝達されるようになっている。なお、ステアリングギヤケース11はクロスメンバ2の前方箇所であってかつサスペンションフレーム3の後方位置において、サスペンションフレーム3に対してほぼ平行に対応配置されている。そして、サスペンションフレーム3の両端部の下面にはブラケット14を介してブッシュ15が取付けられており(図3参照)、このブッシュ15とナックル13との間にロアコントロールアーム16が回動可能に架設されている(図1〜図4参照)。
【0011】
また、本実施形態におけるサスペンションフレーム3は、図5(A)に示す如く例えば上下に2分割されたプレス成形の上側半体3a及び下側半体3bから成り、これらの上側半体3a及び下側半体3bを図5(b)に示す如く互いに組み合わせることによって閉断面形状のサスペンションフレーム3が構成されるようになっている。そして、ステアリングギヤケース11の一部であるステアリングピニオンケース11aが図3に示す如く取付金具17及びボルト18によってサスペンションフレーム3の後面部19に締付固定され、ステアリングピニオンケース11aを低い位置に設置すべくその下方部分Sがサスペンションフレーム3の底面部20よりも下方に突出するように配置されている。
【0012】
一方、サスペンションフレーム3の下側半体3bの底面部すなわちサスペンションフレーム3の底面部20には、その長手方向(車体左右方向)に沿った複数箇所(例えば、図2において斜線αで示す2箇所)に下方側に向けて突出しかつ車体後方に向かうにつれて斜め下がりとなる形状の傾斜面21aを有する下方突出部21が一体成形(屈曲成形)にて設けられており、前記底面部20の最後端部分がサスペンションフレーム3の最下端22となされている。
【0013】
かくして、図1〜図4において斜線γで概念的に示すサスペンションフレーム3の2個の下方突出部21は、ステアリングギヤケース11の一部であるステアリングピニオンケース11a、並びに、サスペンションフレーム3へのステアリングギヤケース11の一対の取付箇所M,N(図2参照)の前方側にそれぞれ対応して配置されると共に、図2,図3及び図4に明示するように一方の下方突出部21がステアリングピニオンケース11aよりも車体前方側の位置であってかつステアリングピニオンケース11aに対して車体前後方向に対向する位置に配置されており、下方突出部21の最下端22がステアリングピニオンケース11a及び取付箇所M,Nの最下端よりも下方となるように配置されるようになっている。これにより、前記下方突出部21は、ステアリングピニオンケース11a及び取付箇所M,Nへの飛び石等に対するアンダーガードとしての機能を有すると共に、これらに路面が接触するのを防止するスキッドプレートとしての機能を果たすように構成されている。
【0014】
このような構成の自動車の車体前部構造によれば、ステアリングギヤケース11及びロアコントロールアーム16を支持するサスペンションフレーム3の下側半体3bの底面部20に、下方側に向けて突出しかつ車体後方に向かうにつれて斜め下がりとなる形状の傾斜面21aを有する下方突出部21を一体成形してスキッドプレートとして機能するようにしたので、この下方突出部21の存在により悪路走行時でもステアリングギヤケース11が路面に接地(接触)してしまうような不具合の発生を確実に防止することができる。その上、前記下方突出部21はサスペンションフレーム3に屈曲成形にて一体成形するようにしているので、従来では別体として設けていたアンダーガードを省略することができ、従って部品点数並びに組付工数の削減が可能となり低コストにすることができる。さらに、前記下方突出部21はサスペンションフレーム3の車体左右方向の全域に設けることなく必要部分すなわちステアリングギヤケース11の最下端となるピニオンケース11a及びその取付部分だけに対応させて配置するようにしているので、その点においても、軽量かつ小型で低コストにすることが可能である。
【0015】
一方、上述のような下方突出部21をサスペンションフレーム3に設けたことにより、ステアリングギヤケース11ひいてはステアリングギヤを低い位置に配置することが可能となり、これにより、適切な(小さな)トー角度変化をえることができ、かつ、ステアリングコラムのジョイント角を小さくできて滑らかな操舵感を得ることができる。
【0016】
本発明の一実施形態につき述べたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、サスペンションフレーム3の底面部20に設けられる下側突出部21の数は2つに限らず、必要に応じて3つ以上設けるようにしても良い。また、全ての下方突出部21をステアリングギヤケース11よりも車体前方側に配置することなくその一部をステアリングギヤケース11よりも車体後方側に配置するようにしても良い。
【0017】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明は、サスペンションアーム及びステアリングギヤケースを支持するサスペンションフレームの底面部に、下方側に向けて突出しかつ車体後方に向かうにつれて斜め下がりとなる形状の傾斜面を有する下方突出部を複数個設けて、これらの下方突出部に、ステアリングピニオンケース及びステアリングギヤケース取付箇所への飛び石等に対するアンダーガードとしての機能、並びに、前記ステアリングピニオンケース及びステアリングギヤケース取付箇所に路面が接触するのを防止するスキッドプレートとしての機能をもたせるようにしたものであるから、本発明によれば、従来では別個に設けるようにしていたアンダーガードを省略することが可能となる。従って、部品点数並びに組付工数の削減、ひいてはコストダウンを図ることができる。しかも、上述の下方突出部はサスペンションフレームを屈曲成形することによって容易に一体成形をすることが可能であり、低コスト,軽量,コンパクトに構成することが可能である。また、本発明によれば、下方突出部にスキッドプレートとしての機能を持たせることができることに加えて、前記下方突出部が対応するステアリングギヤケース部分に飛び石が当たるのを防止でき、特にピニオンケース等の重要部分の保護を図ることができる。
【0018】
また、請求項2に記載の本発明は、サスペンションフレームの下方突出部を、前記ステアリングギヤケースの一部であるステアリングピニオンケース、並びに、前記サスペンションフレームへの前記ステアリングギヤケースの取付箇所の前方側にそれぞれ対応して配置し、前記下方突出部の最下端を前記ステアリングピニオンケース及びステアリングギヤケース取付箇所の最下端よりも下方となるように配置したものであるから、本発明によれば、悪路等を走行する場合であってもステアリングギヤケースに路面が接地しよとする前にサスペンションフレームの下方突出部の最下端が路面に接触することとなるため、この下方突出部の最下端部分がスキッドプレートとして機能する。そのため、ステアリングピニオンケースが接地してしまうような不具合の発生を確実に防止することができ、ステアリングピニオンケースの保護を図ることができる。
【0019】
また、請求項3に記載の本発明は、前記下方突出部をサスペンションフレームの底面部に屈曲成形により一体成形するようにしたものであるから、本発明によれば、特別な部材を用いることなく下方突出部をサスペンションフレームに簡単に形成することができる。
【0020】
さらに、上述の如き本発明によれば、サスペンションフレームに下方突出部を設けたのに応じてステアリングギヤケースひいてはステアリングギヤを車体フレームの低い位置に配置することが可能となる。従って、ステアリングギヤケースを車体フレームの低い位置に配置する構成を採用することにより、適切な(小さな)トー角変化を得ることができると共にステアリングコラムのジョイント角を小さくでき、滑らかな操舵感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る四輪自動車の車体前部構造を示す側面図である。
【図2】上述の車体前部構造の平面図である。
【図3】サスペンションフレームへのステアリングギヤケース(ピニオンケース)の取付状態を示す側面図である。
【図4】図3において矢印X方向から見た正面図である。
【図5】サスペンションフレームの構成を説明するためのものであって、図5(A)はサスペンションフレームを構成する上側半体及び下側半体をそれぞれ分割して示す断面図、図5(B)は上側半体及び下側半体を互いに組み合わせて成るサスペンションフレームを示す側面図である。
【図6】従来における四輪自動車の車体前部構造を説明するためのものであって、サスペンションフレームへのステアリングギヤケース(ピニオンケース)の取付状態を示す側面図である。
【図7】従来における別の四輪自動車の車体前部構造を説明するためのものであって、ステアリングギヤケース(ピニオンケース)の下部にアンダーガードを配設した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 四輪自動車
2 クロスメンバ
3 サスペンションフレーム
3a 上側半体
3b 下側半体
4 ステアリング機構
6 前輪
7 ステアリングシャフト
10 ステアリングピニオン
11 ステアリングギヤケース
11a ステアリングピニオンケース
12 タイロッド
13 ナックル
16 ロアコントロールアーム
17 取付金具
20 底面部
21 下方突出部
21a 傾斜面
22 最下端

Claims (3)

  1. サスペンションアーム及びステアリングギヤケースをサスペンションフレームに取付けると共に、前記ステアリングギヤケースの少なくとも一部分を前記サスペンションフレームの底面部より下方に配置するようにした自動車の車体前部構造において、前記サスペンションフレームの底面部の車体左右方向に沿った複数箇所に、下方側に向けて突出しかつ車体後方に向かうにつれて斜め下がりとなる形状の傾斜面を有する複数個の下方突出部を設け、前記底面部の最後端部分に位置する前記下方突出部の最下端を前記サスペンションフレームの最下端とし、前記下方突出部の最下端を前記ステアリングギヤケースの最下端よりも低い位置に配置すると共に、前記複数個の下方突出部のうちの少なくとも1つを、前記ステアリングギヤケースの一部であるステアリングピニオンケースよりも車体前方側の位置であってかつ前記ステアリングピニオンケースに対して車体前後方向に対向する位置に配置し、これにより、前記下方突出部に、前記ステアリングピニオンケース及びステアリングギヤケース取付箇所への飛び石等に対するアンダーガードとしての機能、並びに、前記ステアリングピニオンケース及びステアリングギヤケース取付箇所に路面が接触するのを防止するスキッドプレートとしての機能をもたせるようにしたことを特徴とする自動車の車体前部構造。
  2. 前記サスペンションフレームの下方突出部を、前記ステアリングギヤケースの一部であるステアリングピニオンケース、並びに、前記サスペンションフレームへの前記ステアリングギヤケースの取付箇所の前方側にそれぞれ対応して配置し、前記下方突出部の最下端を前記ステアリングピニオンケース及びステアリングギヤケース取付箇所の最下端よりも下方となるように配置したことを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体前部構造。
  3. 前記下方突出部を前記サスペンションフレームの底面部に屈曲成形により一体成形したことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車の車体前部構造。
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