JP3600179B2 - 翼の内部圧力開放構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機の翼の構造、特に翼の内部圧力開放構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機の主翼の先端部の主翼外翼は、飛行中は揚力を得て、機体を空中に支える働きをしている。航空機の後方に配置される尾翼は、水平尾翼と垂直尾翼とから構成され、水平尾翼は、機体に働く空気力を機体の重心まわりに釣り合わせて、上下方向の安定を保つ働きをしている。垂直尾翼は、機体の方向安定を保ち、機体の横滑りを制御する働きをしている。したがって、主翼外翼および尾翼は、航空機が安全に飛行するために欠くことのできない翼である。
【0003】
従来の大型機の翼には、翼の長手方向に延びる桁、桁に垂直に配置されるリブ、外板、および外板に翼の内側から固定される多数のストリンガを含んで構成されるマルチストリンガ構造が多く用いられている。マルチストリンガ構造において、外板およびストリンガには、桁と同様に、曲げモーメントおよびせん断力が作用し、外板と桁には、ねじりモーメントが作用する。
【0004】
図12は、対象物に炸裂弾2が衝突したときの状態を示す断面図である。図12(1)に示されるように、対象物の外板1に炸裂弾2が着弾すると、炸裂弾2の炸薬3が爆発し、図12(2)に示されるように、爆発によって生じる爆風とともに炸裂弾から小片4が放出され、対象物の内空間に飛散する。
【0005】
図13は、翼5に炸裂弾2が衝突したときの状態を示す断面図である。図13(1)に示されるように、翼5の外板6に炸裂弾2が着弾すると、炸裂弾2の炸薬が爆発し、図13(2)に示されるように、爆発によって生じる爆風とともに炸裂弾2から小片4が放出され、翼5の内空間に飛散する。爆風は、翼5の内空間に充満し、図13(3)に示されるように、外板6、補強材である桁ならびにストリンガ、および薄肉部材に対して、過大な圧力を与えて、これらの部材を損傷させる。爆風は、前記部材が破壊されて、爆風が全て翼の外に出てしまうまで、前記部材に圧力を与え続ける。その結果、図13(4)に示されるように、外板6をはじめとする部材が飛散する。このように炸裂弾2によって、翼5は致命的な損傷を受ける。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、外板、ストリンガ、桁およびリブなどの翼の主要な構造部材が損傷すると、翼が翼形を維持することができなくなり、航空機の安全な飛行を保証できなくなる。
【0007】
航空機の翼に炸裂弾が着弾して爆発すると、図13(3)に示されるように、爆風によって外板6などの構造部材が変形し、さらに小片4によって構造部材に貫通孔が形成される。特に大型航空機の主翼外翼および尾翼のような薄い外板を持つ翼の場合、爆風によって外板が広範囲にわたって破壊される。外板が広範囲にわたって破壊されると、桁およびリブなどにも、甚大な損傷がおきる。
【0008】
翼内で発生した爆風によって、翼が極力破壊されないようにするために、軸力などの荷重があまりかからない部材を、爆発時に積極的に破壊されるようにして、その部材が破壊された箇所から爆風を逃がして、翼の主要な構造部材および部材どうしの結合部分が爆風によって損傷することを防止する翼の構造が求められている。
【0009】
本発明の目的は、炸裂弾による爆風による損傷を軽減できる翼の内部圧力開放構造を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内部構造体が外板に覆われて構成される航空機の翼であって、
外板は、一部が残余の部分と別体に形成され、
外板の一部は、外板の残余の部分よりも曲げ剛性が低く、残余の部分に接着して接合され、
外板の残余部分は、内部構造体にファスナを用いて締結されていることを特徴とする翼の内部圧力開放構造である。
【0011】
本発明に従えば、外板の一部は、外板の残余の部分と別体に形成され、外板の残余の部分よりも曲げ剛性が低く、残余の部分に接着して設けられる。このような構成によって、翼内の圧力が上昇すると、曲げ剛性が低い外板の一部が、曲げ剛性の高い外板の残余の部分よりも先に変形することによって、曲げ剛性が変化する部分、したがって外板の一部と残余の部分とが接合される部分に、応力を集中させることができる。これによって翼内の圧力が上昇して所定の圧力以上になると、接合される部分での剥離を進展させ、外板の一部を飛散させることができる。このようにして、外板の一部だけを、外板の残余の部分を損傷させることなく、飛散させることができる。したがって外板の大半に影響する大きな損傷、および外板の大半が飛散してしまうことを防ぎ、翼の形状を保持することができるので、航空機の安全な飛行を続行することができる。
また外板の残余部分は、内部構造体にファスナを用いて締結されているので、翼内の圧力が上昇し、外板の一部が飛散するときに、外板の残余の部分が損傷、および飛散することを防ぐことができる。したがって外板の大半に影響する大きな損傷、および外板の大半が飛散してしまうことを、確実に防ぐことができる。
【0012】
また本発明は、外板の一部と外板の残余の部分とが接合される部分は、翼外方に向かうにつれて外方に突出していることを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、外板の一部と残余の部分とが接合される部分は、翼外方に向かうにつれて外方へ突出して形成されており、前述のようにして外板の一部と残余の部分とが接合される部分に、応力が集中すると、剥離が容易に進展するので、外板の一部を容易に飛散させることができる。
【0014】
また本発明は、外板の一部および外板の残余の部分は、複数の層部分が積層されて構成され、外板の一部と外板の残余の部分とが接合される部分が階段状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、外板の一部と外板の残余の部分とが接合される部分は、階段状に形成されている。このように接合部分を、階段状に形成することによって、直線状に形成する場合に比べて、接合面積を大きくすることができる。これによって外板の一部を、残余の一部に比べて剛性が低くするために、厚み寸法を小さくしても、通常航行時において外板に作用する空気力では損傷せずに坑することができる接合力を得ることができる。このように通常航行に関しては充分な接合力を得たうえで、接着による接合は、爆風などの衝撃的な圧力に対しては脆弱であり、外板の一部が容易に飛散することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の翼の内部圧力開放構造を用いた航空機11を示す斜視図である。本実施の形態の翼の内部圧力開放構造は、尾翼15および主翼外翼13に用いられる。主翼外翼13は、飛行中は揚力を得て、機体を空中に支える働きをする航空機11の主翼14の先端部である。航空機11の後方に配置される尾翼15は、水平尾翼12と垂直尾翼16を含んで構成され、水平尾翼12は、機体に働く空気力を機体の重心まわりに釣り合わせて、ピッチ方向の安定を保つ働きをする。垂直尾翼16は、機体のヨー方向の安定を保ち、機体の横滑りを制御する働きをする。
【0021】
図2は、航空機11の水平尾翼12を示す斜視図である。水平尾翼12は、機体に固定される水平安定板21と、変位自在な動翼22とを含んで構成される。水平安定板21は、前縁部23、後縁部24、および前縁部23と後縁部24との間に配置される翼桁間構造部25を含んで構成される。動翼22は、後縁部24に角変位自在に直結されている。
【0022】
図3は、水平尾翼12の水平安定板21の内部構造体21aを示す斜視図である。内部構造体21aは、水平尾翼(以後「翼」ということがある)12の長手方向に延びて配置される前桁26、翼12の長手方向に延び、前桁26の翼弦方向後縁側に配置される後桁27、翼弦方向に延び、翼12の長手方向に所定の間隔をあけて並び、前桁26と後桁27とに連結される複数のリブ28、翼12の長手方向に延び、前桁26の翼弦方向前縁側に配置される前縁補強部材29a、翼12の長手方向に延び、後桁27の翼弦方向後縁側に配置される後縁補強部材29b、前縁補強部材29aと前桁26とを連結する複数の第1連結部材30a、および後縁補強部材29bと後桁27とを連結する複数の第2連結部材30bを含んで構成される。前桁26、後桁27、リブ28、前縁補強部材29a、後縁補強部材29b、第1連結部材30aおよび第2連結部材30bを総称して、内部構造部材と呼ぶ。これらの内部構造部材を外部から覆うように外皮体31を連結して、翼12が構成される。
【0023】
図4は、図2のセクションIVを拡大して、前桁26と後桁27との間の水平尾翼12の構造を示す斜視図である。外皮体31は、外板32、および前桁26と後桁27との間の外板32に、翼12の長手方向に延び、翼12の翼弦方向に並んで、翼12の内側から固定される補強体である複数のストリンガ33を含んで構成される。外板32とストリンガ33とは、コキュア(Cocure)接着される。コキュア接着は、成形した外板32およびストリンガ33を硬化せずに、外板32にストリンガ33を密着させて、外板32とストリンガ33とを個々に硬化させると同時に、ストリンガ33に含浸させる合成樹脂を接着剤として接着する接合方法である。
【0024】
ストリンガ33は、炭素繊維強化樹脂材料(略称:CFRP)から成り、軸直角断面における外形が一様に略台形状で、軸直角断面で見たときに、台形の平行な2つの辺のうち長い方の辺を成す側面が、外板32に、翼の内方側から接着される。CFRPは、繊維材料、たとえば炭素繊維に、合成樹脂、たとえばエポキシ樹脂を含浸した複合材料である。これによって翼内部で炸裂弾が爆発したときに、爆発による爆風がストリンガ33の外周を滑らかに流れるので、その風圧によってストリンガ33に作用する荷重を軽減することができる。
【0025】
本実施の形態において、ストリンガ33は、軸直角断面が略台形状としたが、爆発による爆風がストリンガ33の外周を滑らかに流れるような三角形などの多角形および半円などの断面形状としてもよい。
【0026】
翼桁間構造部25は、前桁26、後桁27および複数のリブ28を含み、さらに前桁26と後桁27との間の外板32およびストリンガ33を含んで構成される。本発明の翼の内部圧力開放構造は、外板32の、前桁26と後桁27との間、かつリブ28Aとリブ28Aに隣り合って同方向に延びるリブ28Bとの間の一部分(以後、「飛散板」ということがある。)34を、外板32の残余の部分32aと別体にすることによって実現される。飛散板34は、前桁26、後桁27およびリブ28に固定されない。飛散板34とストリンガ33とは、コキュア接着される。
【0027】
本実施の形態の翼の内部圧力開放構造によれば、何らかの要因で翼12内の圧力が上昇して、所定の圧力以上に達すると、外板32の一部である飛散板34が飛散するので、少なくとも外板32の大半に影響する損傷および外板32の大半が飛散することを防ぎ、翼12の形状を保持することができるので、飛散板34の飛散後も航空機は安全に飛行を続行することができる。
【0028】
また本実施の形態の翼の内部圧力開放構造によれば、飛散板34は、外板32の残余の部分32aとは別体であるので、翼12内の圧力が所定の圧力以上になると、飛散板34は、容易に飛散することができる。
【0029】
また本実施の形態の翼の内部圧力開放構造によれば、飛散板34と残余の部分32aとは接着されるので、翼12内の圧力が所定の圧力以上になると、飛散板34は、容易に飛散することができるとともに、飛散板34の飛散による、外板32の残余の部分32aの破損を防止することができる。
【0030】
図5は、図4の切断面線S5−S5から見た断面図である。飛散板34は、外周部分35が翼外方に向かうにつれて、外方に突出している。飛散板34と外板32の残余の部分32aとは、コキュア接着される。
【0031】
本実施の形態の翼の内部圧力開放構造によれば、飛散板34の外周部分35は、翼12の外方に向かうにつれて外方に突出するので、翼12の外部から内部に向かって作用する力によって、飛散板34は損傷せずに抗することができ、翼12内の圧力が所定の圧力以上になると、飛散板34は、容易に飛散することができる。
【0032】
図6は、図5のセクションVIを拡大した断面図である。外板32の残余の部分32aは、炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸した複合材料から成る複数の層部分が積層されて成形される。たとえば最外層部分37は、繊維の延びる方向である繊維方向が翼12の長手方向に対して±45度を成す±45度材から成り、最外層部分37を除く層部分は、繊維方向が翼12の長手方向に平行な0度材、および繊維方向が翼12の長手方向に垂直な90度材および±45度材を複数に積層して成形される。
【0033】
飛散板34は、炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸した複合材料から成る複数の層部分が積層されて成形される。この複数の層は、主として繊維方向が翼の長手方向に対して45度を成す±45度材から成る。炭素繊維を含む複合材料は、軽量かつ高強度であり、飛散板34の成形にファスナおよび接着剤を必要としない。飛散板34の厚さT1は、残余の部分32aの厚さT2よりも薄く成形される。
【0034】
本実施の形態の翼の内部圧力開放構造によれば、飛散板34は、外板32の残余の部分32aより曲げ剛性が低いので、翼12内の圧力が上昇すると、残余の部分32aよりも先に飛散板34が変形することによって、飛散板34と残余の部分32aとが接合される部分に、応力が集中するので、翼12内の圧力が所定の圧力以上になると、飛散板34は、容易に飛散することができる。
【0035】
飛散板34の外周部分35の層部分は、翼12の内方から外方に向かうにつれて階段状に外方に突出するように積層される。外板32の残余の部分32aの少なくとも飛散板34と接着される部分43の層部分は、翼12の外方から内方に向かうにつれて階段状に外方に突出するように積層される。飛散板34の外周部分35の各層部分の翼12の内方側の面が、前記飛散板34の層部分に対して翼12の内方に向かって1段下がった残余の部分32aの、飛散板34と接着される部分43の層部分の、翼12の外方側の面にコキュア接着される。
【0036】
本実施の形態の翼の内部圧力開放構造によれば、飛散板34と外板32の残余の部分32aとを接着する層部分は、上述のように階段状であるので、飛散板34の外周部分35を翼12の内方から外方に向かうにつれて直線状に外方に突出するような形状とし、同様に外板32の残余の部分32aの少なくとも飛散板34と接着される部分43を翼12の外方から内方に向かうにつれて直線状に外方に突出する形状とした場合に比べて、翼12の内方から外方に向かう方向の接着面積を大きくすることができ、飛散板34の厚さ寸法を小さくしても、通常航行時において、外板32に作用する空気力に対して損傷せずに抗することができる接着力を得ることができる。また接着された部分は、爆風の衝撃的な圧力に対して脆弱であるので、飛散板34は極めて容易に飛散することができる。
【0037】
図7は、図4のセクションVIIを拡大した斜視図である。図8は、図7の切断面線S8−S8から見た断面図である。リブ28と外板32とを連結するリブシアタイ51は、翼12の翼弦方向C1に延びる平板状の連結部51aと、前記連結部51aの一方の面の中央部から翼12の内方に向かって突出し、連結部51aの長手方向C1に延びる凸部51bとを有する、リブシアタイ51の軸直角断面の外形がT字状の部材である。リブシアタイ51は、ファスナ52を介して外板32に締結される。ファスナ52は、円柱形状の軸部52aと、軸部52aの一端側に設けられ、軸部52aから遠ざかるにつれて拡径する略円錐台形状の頭部52bとを有する。ファスナ52の頭部52bは、その最大径が軸部52aの外径の2倍以上の充分大きな寸法となるように形成される。
【0038】
外板32のリブシアタイ51の連結部51aに連結される連結領域部32bは、翼12の翼弦方向C1にわたって翼12の内方に突出し、その厚さT3は、ファスナ52の頭部52bの軸線方向厚さT4以上の寸法に形成される。外板32の連結領域部32bに、外板32を厚さ方向に貫通する複数の挿通孔36が、翼弦方向C1に所定の間隔をあけて2列に並んで形成される。また外板32の挿通孔36の翼12の外方側には、翼12の外方に向かうにつれて拡径する略円錐台形状の凹所54が形成される。リブシアタイ51の連結部51aには、外板32の連結領域部32bの挿通孔36に対応する挿通孔53が形成される。外板32の挿通孔36とリブシアタイ51の挿通孔53とが同軸になるように、外板32とリブシアタイ51とが連結される。
【0039】
ファスナ52の軸部52aは、外板32の挿通孔36とリブシアタイ51の53とに挿通され、頭部52bは、電気による腐食を防止するのに用いられるディンプルワッシャ(「ワッシャ」ということがある)55を介在して、挿通孔36の凹所54に嵌まり込む。詳細には、ワッシャ55は、円錐台状の受部55aと前記受部55aから半径方向外方に突出する係止部55bとを有し、ワッシャ55の受部55aが挿通孔36の凹所54に嵌まり込み、ファスナ52の頭部52bがワッシャ55の受部55aに嵌まり込む。ファスナ52の頭部52bの端面は、ワッシャ55の係止部55bとは面一であり、外板32の翼の外方の表面とはほぼ面一である。ファスナ52の軸部52aの他端部が係止部材56に嵌合されることによって、ファスナ52が外板32およびリブシアタイ51に係止して、外板32とリブシアタイ51とが締結される。さらに外板32とリブシアタイ51とは、接着剤57によって接着される。
【0040】
ファスナ52の頭部52bを大きくするとともにワッシャ55を介在して、ファスナ52によって外板32とリブシアタイ51とを接合することによって、頭部52bから外板32に作用する応力を小さくすることができるので、外板32の面外せん断強度を向上することができる。
【0041】
図9は、図4のセクションIXを拡大した斜視図である。リブシアタイ51の凸部51bに当接するストリンガ33の端部には、凸部51bに平行な締結部61が設けられる。締結部61には、上述の外板32に設けられる挿通孔36および凹所54と同様の挿通孔および凹所が設けられ、リブシアタイ51の翼の内方に凸部51bには、締結部61の挿通孔に対応する挿通孔が設けられる。上述の外板32とリブシアタイ51との締結と同様にして、ファスナ62によって、リブシアタイ51とストリンガ33とを締結する。
【0042】
このとき外板32とリブシアタイ51とを締結するファスナ52の軸線と、ストリンガ33とリブシアタイ51とを締結するファスナ62の軸線とは、交差する位置関係にあり、これによって外板32がリブシアタイ51から離間しようとする方向、換言すれば、外板32とリブシアタイ51とを締結するファスナ52の軸線方向に作用する力が、ストリンガ33とリブシアタイ51とを締結するファスナ62にも作用するので、ファスナ52に作用する力を軽減することができる。
【0043】
またストリンガ33は、外板32に接着されるとともに、ストリンガ33の締結部61を有する端部は、リブシアタイ51の外板32との接合部分にも接着されており、これによってさらにファスナ52に作用する力を軽減することができる。
【0044】
図10は、リブ28を示す斜視図である。リブ28は、リブシアタイ51とウェブ71とを含んで構成される。ウェブ71は、板状で、リブシアタイ51の翼の内方に凸部51bに接合される。ウェブ71には、複数の孔72が形成される。翼内部で炸裂弾が爆発によって生じる爆風は、これらの孔72を通過することができ、被弾したリブ28間の翼内の圧力が上昇することを防ぐことができ、外板32およびリブ28などの局所的な損傷を防ぐことができる。
【0045】
図11は、炸裂弾81が着弾した水平尾翼12を示す模式図である。図11(1)に示されるように、水平尾翼12の外板32に炸裂弾81が着弾すると、炸裂弾81の炸薬が爆発し、図11(2)に示されるように、爆発によって生じる爆風が、水平尾翼12の内部空間に拡がる。この爆発によって内部空間の圧力が上昇し、予め定める所定の圧力以上になると、図11(3)に示されるように、飛散板34が飛散して、水平尾翼12の内部圧力を開放する。このようにして、図11(4)に示されるように、少なくとも外板32の残余の部分32aの破損を防ぐことができ、航空機は飛散板34の飛散後も安全に飛行を続行することができる。
【0046】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、何らかの要因で翼内の圧力が上昇して、所定の圧力以上に達すると、外板の一部が飛散するので、少なくとも外板の大半に影響する損傷および外板の大半が飛散することを防ぎ、翼の形状を保持することができるので、外板の飛散後も航空機は安全に飛行を続行することができる。
また外板の残余部分は、内部構造体にファスナを用いて締結されているので、翼内の圧力が上昇し、外板の一部が飛散するときに、外板の残余の部分が損傷、および飛散することを防ぐことができる。したがって外板の大半に影響する大きな損傷、および外板の大半が飛散してしまうことを、確実に防ぐことができる。
【0047】
請求項2記載の本発明によれば、外板の一部と残余の部分とが接合される部分が翼外方に向かうにつれて外方に突出しているので、その接合部分に、応力が集中すると、剥離が容易に進展し、外板の一部を容易に飛散させることができる。
【0048】
請求項3記載の本発明によれば、接合部分を、階段状に形成することによって、接合面積を大きくすることができる。これによって外板の一部を、残余の一部に比べて剛性が低くするために、厚み寸法を小さくしても、通常航行時において外板に作用する空気力では損傷せずに坑することができる接合力を得ることができる。しかも接着による接合は、爆風などの衝撃的な圧力に対しては脆弱であり、外板の一部が容易に飛散することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の翼の内部圧力開放構造を用いた航空機11を示す斜視図である。
【図2】航空機11の水平尾翼12を示す斜視図である。
【図3】水平尾翼12の水平安定板21の内部構造体21aを示す斜視図である。
【図4】図2のセクションIVを拡大して、前桁26と後桁27との間の水平尾翼12の構造を示す斜視図である。
【図5】図4の切断面線S5−S5から見た断面図である。
【図6】図5のセクションVIを拡大した断面図である。
【図7】図4のセクションVIIを拡大した斜視図である。
【図8】図7の切断面線S8−S8から見た断面図である。
【図9】図4のセクションIXを拡大した斜視図である。
【図10】図10は、リブ28を示す斜視図である。
【図11】炸裂弾81が着弾した水平尾翼12を示す模式図である。
【図12】対象物に炸裂弾2が衝突したときの状態を示す断面図である。
【図13】翼5に炸裂弾2が衝突したときの状態を示す断面図である。
【符号の説明】
12 水平尾翼
26 前桁
27 後桁
28 リブ
32 外板
33 ストリンガ
34 飛散板
35 飛散板の外周部分
Claims (3)
- 内部構造体が外板に覆われて構成される航空機の翼であって、
外板は、一部が残余の部分と別体に形成され、
外板の一部は、外板の残余の部分よりも曲げ剛性が低く、残余の部分に接着して接合され、
外板の残余部分は、内部構造体にファスナを用いて締結されていることを特徴とする翼の内部圧力開放構造。 - 外板の一部と外板の残余の部分とが接合される部分は、翼外方に向かうにつれて外方に突出していることを特徴とする請求項1記載の翼の内部圧力開放構造。
- 外板の一部および外板の残余の部分は、複数の層部分が積層されて構成され、外板の一部と外板の残余の部分とが接合される部分が階段状に形成されていることをことを特徴とする請求項2記載の翼の内部圧力開放構造。
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2001
- 2001-03-30 JP JP2001100646A patent/JP3600179B2/ja not_active Expired - Lifetime
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